Thoughtful, detailed coverage of everything Apple for 33 years
前週号 | 日本語版ホーム | 次週号

#1681: Take Control Books の 20 周年、USB-C モデル Apple Pencil、Kini 動作感知器でアクセス監視、話題に即したソーシャル空間

Take Control Books の 20 周年をお祝いできるのが嬉しい。この電子ブックシリーズは私たちが 2003 年に創設し、2017 年に Joe Kissell に売却したものだ。Apple は3番目の Apple Pencil モデルとして、ワイヤレス充電に代えて USB-C を導入するとともに圧力検知などの機能もなくして価格を下げたモデルを発表した。Adam Engst は人気ある Kottke.org ブログに新しいコメントシステムが導入されたことを紹介しつつ、どうしようもないソーシャルメディアよりも話題に即したソーシャル空間に参加したいと語る。それから Adam は小さなデバイス Kini をレビューする。動く度にテキストメッセージを送信することで、貴重品、危険物、立入禁止区域などへのアクセスを監視できるというものだ。今週注目すべき Mac アプリのリリースは 1Password 8.10.18、VMware Fusion 13.5、Parallels Desktop 19.1、Default Folder X 6.0.1、Mimestream 1.1.3、Agenda 18.2、Airfoil 5.11.7 と Piezo 1.8.1、SpamSieve 3.0.1、Cyberduck 8.7、Mactracker 7.12.11、Scrivener 3.3.6、それに Affinity Designer, Photo, Publisher 2.2.1 だ。

Adam Engst  訳: Mark Nagata   

Apple、USB-C モデルで Apple Pencil シリーズを拡張

初めに、$99 の Apple Pencil があった。丸く仕上げられたスタイラスペンで、なくしやすいキャップが Lighting コネクタを覆っており、これは 8 年前にデビューした。(2015 年 9 月 9 日の記事“iPad Pro、Smart Keyboard と Apple Pencil と共に発表される”参照。) それから 3 年後、$129 の第2世代 Apple Pencil が登場して、サイド面の一部を平らにして磁気接着し、物理的な充電コネクタを廃止してワイヤレスの電磁誘導充電をするようにした。(2018 年 10 月 30 日の記事“Apple、デザイン改訂した iPad Pro と Apple Pencil を導入”参照。)

具合の悪いことではあるがおそらく避け得なかった選択の結果、この第2世代 Apple Pencil は第1世代モデルを置き換えず、そのためサポートの分裂状態が発生した。Lightning ポートを搭載した旧型の iPad では第1世代 Apple Pencil しか使えず、USB-C ポートを搭載した新型の iPad では第2世代モデルしか使えないからだ。いや、例外は第 10 世代 iPad で、これは USB-C ポートを搭載しているのに、今に至るまで第1世代 Apple Pencil しか使えなかった。しかもその組み合わせには同梱された USB-C to Apple Pencil Adapter がペアリングと充電双方のために必須で、新たに第 10 世代 iPad を購入するユーザーで既に第1世代 Apple Pencil を持っている人のために Apple はこのアダプタを $9 で別売している

そして今回、Apple は3番目の Apple Pencil を登場させた。ただし「第3世代」という用語を使うのは避けて、その代わりにこのモデルを "Apple Pencil (USB-C)" と呼んでいる。USB-C ポートを搭載したすべての iPad と互換だが、$79 のこの USB-C Apple Pencil はどうやら第 10 世代 iPad を念頭に置いて作られているようだ。平らなサイド面で磁気接着する点は第2世代 Apple Pencil と同じだが、ペアリングと充電はワイヤレスでない。第1世代モデルの取り外し可能なキャップと Lighting コネクタの代わりに、今回のモデルではドアをスライドさせると USB-C ポートが見え、これを充電に使う。当然のことだがケーブルは同梱されていない。これと互換な iPad を持っている人は全員、適切なケーブルを既に持っているはずだ。出荷は 11 月初旬に始まる。

USB-C Apple Pencil with sliding cover

いったいなぜ今回の USB-C Apple Pencil では価格を他のモデルよりこんなに安くできたのか? 他の2つのモデルにある圧力感知センサーがなくなり、第2世代 Apple Pencil にあるワイヤレスでのペアリングと充電が省かれ、第2世代モデルのダブルタップジェスチャーでツールを切り替える機能もない。プラス面を言えば、この USB-C Apple Pencil は iPad Pro のホバーモード (ポイント機能) に対応している。つまり、Apple Pencil で画面に触れる前にマークをプレビューできる。この機能は第1世代モデルにはない。頭が混乱したって? Apple がこのような一覧表を出している。

Apple Pencil feature comparison

圧力感知機能は Apple Pencil の重要な機能の一つであった。とりわけ、Wacom タブレットなどの競合製品ではタブレット側に圧力感知機能を要するのだから。なので、今回のモデルで Apple がこの機能を省く決断をしたのはかなり興味深い。最もありそうな説明は、Apple が多くの iPad ユーザーを対象としたデータを持っていて、多くのユーザーがメモを書いたり、気軽な絵を描いたり、オーディオやビデオを編集したりといった目的で使っており、圧力感知機能を必要としていないと分かっているからではなかろうかというものだ。USB-C Apple Pencil と第2世代 Apple Pencil の間の $50 という価格差も、圧力感知センサーがコストの大きな部分を占めていたことを示唆している。

実際問題として、USB-C ポートを搭載した iPad mini、iPad Air、または iPad Pro を持っているか購入予定の人は、$79 の USB-C Apple Pencil と $129 の第2世代 Apple Pencil のどちらかを選べるようになった。第 10 世代 iPad を持っているか購入予定の人は、$79 の USB-C Apple Pencil と $99 の第1世代 Apple Pencil のどちらかを選べる。現行モデルのうち第9世代 iPad のみが、まだ Lightning に依存しており、従って第1世代 Apple Pencil しか使えない。ここでも、頭が混乱してしまったら Apple の iPad 比較ページにある一覧表を見るとよい。

iPad spec comparison for port and Apple Pencil

私自身は手書きした文字がほとんど読めたものではなく、お絵描きなど大嫌いなので、第1世代 Apple Pencil を持ってはいるけれども使ったのは 2017 年に 10.5 インチ iPad Pro を購入して以来の通算で1時間以下だろう。たった一回、現実に役に立ったのは、土地の自然歩道システムの衛星写真地図の上でレースのコースをトレースした際だった。許可申請のためにルート図を提出する必要があったからだ。もしも iPad 上で指先で、あるいは Mac 上でマウスを使ってしたならば、トレースするのがずっと難しく、仕上がりも良くなかっただろう。結局、私は Apple Pencil のターゲット層には属していない。

でも、気軽にメモ書きをしたい、あるいは周囲をスケッチしたり、簡単なイラストを描いたりしたいという人には、今回の USB-C Apple Pencil が第2世代 Apple Pencil に代わる魅力的な選択肢となるかもしれない。問題の核心は、圧力感知機能とワイヤレス充電機能が $50 の価格差に見合うかどうかという点にある。

討論に参加

Adam Engst  訳: Mark Nagata   

ソーシャルメディアに代わる話題に即した議論の場を試そう

ベテランのブロガーである Jason Kottke がこう書いている

ここ数か月かけて、私は kottke.org に新しいコメントシステムを組み込むための仕事を続けてきた。そして今日、ベータ版の形でそれをスタートさせる。[中略] では、いったいなぜコメントなのか? それになぜ今? ブログのコメントは長らく見捨てられ、スパムやソーシャルメディア、毒ある発言や放置の餌食と成り果てた。それでもなお、コメントを通じて盛況なコミュニティーが形成されているサイトは今もまだたくさんある。

今こそまさに良いタイミングに思える。Twitter が崩壊し Threads、Bluesky、Mastodon といったソーシャルサイトやサービスがその代わりとなるべく競い合っている。("代わり”という単語をそれぞれ違う意味で使っているが。) インターネット上のソーシャルメディアに何を望むかを人々は考え直しつつあり、今こそ kottke.org のようなサイトにも他とは違う、願わくは他より良い方法で、情報を共有し議論を交わす体験を提供できる機会が訪れたと信じたい。

個人的に Jason Kottke を知っている訳ではないが、私はつい数か月前に彼の 25 年続くブログの電子メールダイジェストを購読し始めた。するとたちまち私は TidBITS との類似性に気付いて興味をそそられた。最も目立つのは彼の Kottke.org Newsletter で、うまく管理された電子メールによって、受け取る人に高信号/低雑音のコミュニケーション経路が提供されている点だ。TidBITS と同じく、ホストに Arcustech を、電子メール配送に Sendy を使っている。

でも、今週私の目を惹いたのは、彼のブログにコメントを追加 (あるいは再開なのか?) しようとしていることだった。それがソーシャルメディアの害悪に対する応答として考えられているところに私は拍手を送りたい。私たちはもう何十年も TidBITS でコメントをホストし続けてきていて、読者たちが援助を求めたり、自身の体験や専門知識を寄せたりして、活気あるコミュニティーを形成している。スパムをブロックしたり、議論が本来の道筋から逸れないようにしたりするためにある程度の追加作業は必要だが (実際には私に代わって Discourse が作業の大半をしてくれる)、それに見合ったやりがいがあるのは間違いない。

ここで鍵となるのはブログのコメントと、それにより形成されるコミュニティーとが 話題に即したソーシャル空間 を提供することによって、人々が特定のコンテンツの枠の中で快適にやり取りできることだ。TidBITS においてそれは Apple エコシステムであり、もっと幅広い話題を扱う Kottke.org においては個々の投稿がそれ自身のコンテクストを生み出すのだろう。また、私が家族用に Slack グループを作ったのもコンテクストが理由だった。ここではあらゆる議論で家族のコンテクストが提供されている。(2019 年 2 月 12 日の記事“Facebook にうんざりしたら、家族で Slack に引っ越そう”参照。)

コンテクストの欠落こそが、どうしようもないソーシャルメディアに潜む多くの害悪の一つだ。ソーシャルメディアのアルゴリズムが勝手に選んで押し付けてくる結果として議論のコンテクストがひっきりなしに入れ替わる。その目的はあなたにクリック、反応、共有、あるいは投稿するように仕向けて火を焚きつけ人目を惹くようにさせること、それさえできれば何でもよいのだ。そこに建設的な会話を促そうという意図はない。だから私はあえてこの地獄のごった煮から身を引いて、その代わりにコメントのスレッドや、焦点を絞ったフォーラム、プライベートなメーリングリスト、Slack グループ、Messages の会話、そしてもちろん個人間の電子メールで、時間を費やすことにした。皆さんにもそれができるだろう。

討論に参加

Adam Engst  訳: 亀岡孝仁  

Kini、最小限の動き検出で心の平和を提供

私が Kickstarter 上で資金提供されるプロジェクトについて書くことはまずない。見込みのありそうなプロジェクトを私自身で後押しするリスクを追うことに問題は無いが、それ等を TidBITS で取り上げることに関しては躊躇してしまう。それ等が単なる魅力的な約束に終わってしまうのではないかという恐怖からである - 説明書は注意深く作成されており、善意の製品を示すビデオは格好よく出来ていても、それ等が出荷までこぎ着けられるかどうかは分からないし、たとえ出荷されたとしても、説明通りには動作しないかも知れない。しかし、例外はあり、私がここで取り上げる Kickstarter プロジェクトは、実際の製品で私が使い始めて一週間になる。

Kini 動き検出器

この製品は半導体センサーと無線を備えた小さなプラスチックの箱で Kini と言う名前である。私がそれについて書いても大丈夫と思う理由の一つは、その後ろにいる会社 Kinisium は基本的に Mahboud Zabetian と彼の妻 Nicky であることである。私は Mahboud を何十年来知っていて、基本的には、彼は昔 MacHack に度々登場していて、言わば Mac 開発者の私的なメーリングリストを通しての知り合いといった所である。彼は WildPackets という名のネットワーク分析とセキュリティ科学捜査の会社を長年やっていて、彼自身は Visa や YouTube と言った会社に対するモバイルとユーザー経験のコンサルに従事している。Kini は Mahboud の専門からは少々外れているが、そもそもは貴重品を監視しそして子供達を銃から遠ざけておく手助けをするという情熱から出たプロジェクトとして始まったもので、一つの気分転換である。[訳者注:この製品は現在、米国とカナダのみで動作します]

Kini は一つの芸しか出来ない。それがやることと言ったらそれが動いたと教えてくれることだけである。それにはスマートフォンにある様な加速度計が内蔵されており、三次元のどの方向の動きも検出する。それが一旦動きを検出すると、あなたの Wi-Fi ネットワークから Internet-to-SMS ゲートウェイ経由であなたへ (或いはあなたが指定したどの番号へでも) テキストメッセージを送出する、通常は 10 秒以内に。それだけである。アプリもないし、テキストメッセージサービスの料金は $65 の購入金額に含まれているので (Kickstarter の割引料金)、更なる定期購読に申し込む必要はない。警備会社が絡んでくることもないし、それに Kinisium はあなたが何を監視しているのかとかそれがどの場所にあるのかも全く知らない。

動くものなら何にでも Kini を使う事が出来る、例えば、個人的な、値打ちのある、そして遠ざけておきたい物、そして場所へのアクセスの様な。使用例を挙げれば:

Kinisium は 3,000 台の Kini を完成させており、他に数週間の内に更に 10,000 台分の回路板が届く予定である。それだけあれば Kickstarter からの需要を満たすには十分すぎる程であろう。Kickstarter では $7500 の目標は既に超えており、この記事を書いている時点で既に $28,000 以上を集めている。

Kini のハードウェアと設定

物理的な側面から言うと、Kini は小さなプラスチックの箱で、片端には充電用の USB-C コネクタが、もう一端には内包されているプラスチック被覆のスチールケーブルを通すことの出来る穴付の出っ張りが付いている。底は平らであり、Kini を保持するために面ファスナー (工業用 Velcro だと思えばよい) の片面を取り付けることも出来る。それは 25 セント硬貨 10 枚を二列に重ねた大きさで、重さは 31 グラムあり、色は赤と灰色がある。LED が状態と充電中を示す。Kini はフル充電で一年以上もち (もっと長い可能性がある)、そして電池は 10 年は持つはずである。充電が必要になると知らせてくる。

Kini dimensions

使用料はどうであろうか? 定期購読はないが、テキストメッセージにはお金がかかる。一回1セント以下だが、それでも数が増えれば大きくなる。Kini の基本的な使用例では低い使用頻度を想定しているので、Kinisium が言うのは、通知に制限がかかるかも知れないという - 事前の警告はある - 一日 5 メッセージ、月に 45、或いは年に 400 を超えると。もしもっと高いメッセージ回数を想定しているのであれば、Kinisium に連絡されたし。そして、私は Kini にアプリは必要ないと言ったが、彼らは SMS 料金を回避する方法としてアプリを検討中である。

Kini は、環境に配慮した包装を使用している - 外箱は小さな段ボール箱で、中身の収納には堆肥化可能な "コーヒーパウチ" 袋が使われ、Kini、USB 充電ケーブル (USB Type A から USB-C) と凹んだ電源ボタン用のピン、そしてプラスチック被覆のスチールケーブルと面ファスナーを収納している。プラスチックの使用が最小限に抑えられているのは嬉しい。

Kini unboxing

設定は、アプリが絡まないので、少々分かりにくい。初めて Kini をオンにすると、それは Kini Setup Wi-Fi ネットワークを作り出す。それに iPhone, iPad, 或いは Mac から接続して、提供されているパスワードを使ってログインし、その後、Set Up Kini 封筒に印刷された6文字のコードを入力する。それでその Kini はあなたの Kini アカウントに追加され、そして設定ネットワークは削除される。

Kini setup process

Kini Setup ネットワークに対する専用ポータルページは、私の iPhone 15 Pro と iOS 17 の組み合わせ、そして macOS 14 Sonoma の走る M1 MacBook Air では完璧に働いたが、macOS 13 Ventura の下での 2020 27-inch iMac 上では動かなかった - リリース初期の生みの苦しみなのであろう。もしそうなったら、ナビゲートして必要な Web ページへと直接行ける

自分の Kini アカウントの中で、自分の名前、電話番号、そしてメールアドレスを変更出来るし、もっと多くの電話番号も追加出来る。しかしながら、個々の Kini は、現時点では一つの電話番号にしか通知出来ない。

Kini account

アカウントの底部にある Kini をクリックするとその設定が立ち上がり、その名前を変え、どの電話番号に知らせるかを選択、起動する度に受け取るテキストをカスタマイズする、動きがあった時に LED を光らせるべきかどうかを選択、そして感度を設定出来る (左下)。底部の Advanced Settings をクリックすると、どれ位の頻度で Kini がチェックインするか、起動に関係なく、そしてどの方向の動きに対して監視すべきかを構成させてくれる (右下)。

Kini settings

Kini の使い方

Kini messages

試験のために、私は数日の間 Kini をキャットドアに取り付けた (剥離可能な接着テープを使って)。私は誰も私の仕掛けにちょっかいを出すとは思っていなかった。それは余りに多くの通知を生成するので長期間付けたままにしておけないが、我々の猫が何時、そしてどれ位頻繁に出入りするのかを見るのはとても面白い。私は Sleep Focus をオンにしているので [訳者注:この間通知は届かない]、この猫の深夜の徘徊で目を覚まされる事はないが、Mahboud が私に語った所によると、彼はある特定の時間帯は Kini を黙らせる機能を追加することを考えていると言う。つまり、データは集めるがそれを報告はしないと言うこと。

私が経験した唯一の問題は、Kini からの時折のメッセージで状況を報告出来ないと言ってくる。それは恐らく Wi-Fi の通信エラーによるものだと思われる。ちっぽけな機器が Wi-Fi 経由で出来る事には限りがある、とりわけ尋常ではない場所に置かれた場合には。しかし、Mahboud はファームウェア内の Wi-Fi 感度を改善することに取り組んでいて、ファームウェアはアップデート可能である。彼はまた、外部アンテナをつなげるバージョンも考えているとのことで、自分の Wi-Fi の到達範囲の縁により近づけて Kini を置きたいと思っているユーザーには助けになるであろう。

このテキストメッセージは一方向である - それを使って Kinisium に返信することはどうやっても出来ない。私はそのことについて考えたことはなかったが、私が運転中に猫がキャットドアを通り過ぎそしてメッセージが送られ、それが私の自動の Driving Focus 返信を起動させ、そしてその結果、Kinisium からの自動返信を受け取ることとなった。曰く、サポートが必要ならメールで同社に連絡をして欲しいと。

私は未だ Kini にまつわる自動化の可能性について探求していないが、Internet 自動化サービス IFTTT には SMS テキストメッセージトリガーがある。それを使えば、一つの電話番号にしか通知出来ないという制約を回避したり、メールの様な他の通信手段も使えるようにするとかのことが可能になるかも知れない。将来的には、もし Kini が事前設定したスケジュールで起動しないならば通知してくると言うような Check In に似た自動化能力も期待したい ("iOS 17 の Check In 機能、安心感を提供し、救命に役立つことも" 9 October 2023 参照)。それは 否定的情報 のもう一つの例でもあり、例えば、高齢の親戚が薬箱を開けるのを忘れていてリマインダーが必要だと言うような状況を明らかに出来るかも知れない。

私は、Kini の監視にまつわる状況を色々考えようとしてきた。例えば、子供達によるアクセスを監視するために酒キャビネットに一つ仕掛ける場面を想定してみよう。それを隠しておいて何でも知っている親であることを装う事は出来るが、長続きはしないであろう。或いは、Kini を取っ手にぶら下げて見える様にしておいて、警告とする事も可能である。その気になった十代なら Kini の裏をかく事も可能か? Kini はほんの少々の注意深い動きなら検出しないかも知れないが、私が試した範囲では、それを起動させることなくそれなりの距離を動かすことは出来なかった。Wi-Fi を切るのはどうであろうか? それで通知を遅らせることは勿論出来るが、Kini はその動きを覚えており、Wi-Fi が戻ってオンラインになった途端にそれを報告してくる。紙クリップを使い Kini を動かすことなくオフにすることは可能であろうが、その動きもまた報告される。短期的に働く攻撃の組み合わせはあり得るであろうと思われる。例えば、Wi-Fi を不能にしてそれから Kini を壊せば、それは後で報告出来ないが、それですらオンラインで何が起こったかについての何らかの印は生成されるであろう。加えて、我々が取り上げているのは $65 の機器である - 完全なセキュリティにはもっとお金がかかる、レーザーやピラニアのせいで。

最後に、もし Kini を設定するのであれば、もし通知が来たらどうするかを考えておいた方が良い。勿論、詳細は状況によって変わるであろうし、ただ単に子どもに厳しい説教を与えるだけの問題なのかも知れない。私が Tonya に言ったのは、次に我々が旅行をする時には、Kini を玄関のドアの内側にぶら下げておいて、もしドアが開いたら我々に知らせてくれるようにしたらどうかと言うことである。数人の友人と家族が鍵を持っているので、誰かが入ってくると言うのは考えられないことではないが、ではその後どうするのか? 泥棒かも知れないからと隣人に電話をするのは何とも気まずい。と言う訳で、私の iMac と Tonya の Mac mini に取付けることの方がもっと賢明かも知れない - 何らかの理由で友人の一人が立ち寄ったとしても、彼らは我々のコンピュータをいじったりはしないであろうし、またそれ等は盗むとしたら我が家の中では最も魅力的な品物であるかも知れない。そうしておけば、もし我々が通知を受けたら、とりわけ両方の Mac から、我々のその時の居場所が何処であれ、直ぐに警察に電話をすべきだと分かるであろう。

我々がそんなことをする必要がないことを願いたい。Kini が誰も我々の物に手を付けていないことを確信させてくれるからである。もし同様の心の平和を確かにすることが望ましいのでれば - 或いは、少々偏執狂気味の誰かに対するちょっと風変わりなホリデイギフトをお探しなら - Kini Kickstarter を 16 November 2023 の前に調べてみたら如何であろうか。

討論に参加

Adam Engst  訳: Mark Nagata   

Take Control Books の 20 周年を祝う

2023 年 10 月 24 日に Take Control Books が 20 周年の記念日を祝うことを、私はこの上なく嬉しく思う。(そのお披露目をした 2003 年 10 月 20 日の記事“Take Control してみようよ!”をぜひお読み頂きたい。そんなにも昔に、Tonya と私は Mac 世界の最高の著者たちの何人かの有能な助力を得て Take Control シリーズ本をスタートさせ、それは私たち皆の生活を根底から変えた。

けれどもそれから 14 年近く経って、何か別のものを始める時期が来たと考えた私たちは、Take Control を当時花形の著者であった Joe Kissell に売却した。(2017 年 5 月 1 日の記事“Take Control Books、Joe Kissell が買収”参照。) それは注意深く計算された行動であった。私たちは三人とも、新しい挑戦を望みつつも、読者たちに高品質のコンテンツを届けることは止めたくなかったからだ。読者たちはそのようなコンテンツを期待するようになっていたし、何人もの著者や編集者が Take Control から決して無視できない生計の糧を得ていたからだ。Joe が Take Control を運営し続ける能力を持っていることに私たちは常に信頼を置いてきたが、今やそれが 20 周年の記念日を迎えたという事実が、彼がいかに素晴らしい仕事をしてきたかを実証している。

この記念日を祝って、Joe は2つの特別提供をしている:

Take Control of Thanksgiving Dinner

それからまた、私たちの友人 Chuck Joiner との共同作業で、Take Control についての一連の MacVoices ポッドキャストを録音している。最初のエピソードは現在聴取可能で Joe と Tonya と私が出演し、Take Control がどうやって生まれたか、当時の他の印刷本 (そして印刷出版のモデル) とどう違っていたかについて語り合った。今週中に Chuck はあと2つのエピソードを公開する予定で、これらはかき集められる限りできるだけ大勢の Take Control 著者や編集者の面々と一緒に電話会議形式で録音する予定だ。とても楽しい時を過ごせるはずだと思うが、まだやっていないことなので、議論の内容がどんな方向に向かうかは分からない。ひょっとすると、まだ聞いたこともなかった話が著者たちから飛び出すかもしれない!

Take Control が及ぼす影響

もう一つ、ここ TidBITS に書き記しておきたかった議論がある。Take Control はどのような影響を及ぼしてきたか、将来はどんな方向へ進むのかという話題だ。そのため、私は Joe をチャットに招待してこのテーマで話し合った。

Adam: Joe、私たちは長年かけて Take Control の核心についてたくさん話し合ってきたけれど、一歩退いて俯瞰的な目でこの電子ブックの全体的影響について話すことはあまりなかったと思う。「世界に及ぼした影響」と言いたいところだが、それはちょっと大袈裟なので、「読者たちに及ぼした影響」で話すことにしよう。

以前にも言ったことはあるが、私は Panorama で構築した TC Orders データベースに目を通すのが好きだった。(君はまだあのデータベースを使っているかい?) 最も忠実な読者たちがどれくらい多くのタイトルを揃えてきたかが分かるからだ。一人で 30 冊、40 冊、50 冊、あるいはそれ以上を取り揃えた人たちもいた。長年にわたってそういう人の多くが私たちにメッセージを寄せて、本の内容がどれほど役に立ったかを語ってくれた。(今でも Tonya は彼女の助力への感謝の印に自分の小馬の写真を送ってくれた読者のことを懐かしく思い出すという。)

Joe: 今も Panorama は大いに使っている。ただしそれは個々の人の注文を追跡するためではないが。それにもちろん、長年かけて 100 冊を優に超える本を購入した人たちもいるよ!

君が言ったような内容のメッセージは今も届いている。思うに、私たちの本が及ぼした一番の影響は、変わり続ける世界の中で、しっかり進んで行ける自信を届けられたことではないだろうか。君もよく知っている通り、そもそもの始めから私たちのやり方とは、十分に調べ尽くした、専門家の助言を、フレンドリーで読みやすい英語で届けることだ。その目標は常に、誰か賢い友人に来てもらって、何か複雑なことをたまたまその人がよく知っており、面倒で退屈なことにならない手法であなたの手引きをしてくれる、という体験に近いものになることだ。

Adam: その通りだね。あと、これは 2003 年時点での私たちには思いもよらなかったことだが、変化がユーザーの心の健康に影響を及ぼすこともある。多くの人にとって変化とは困難なものだ。

Joe: 確かに、「いつまでも Snow Leopard を使うつもりだ!」という読者たちも現にいる。でも、ハードウェアとソフトウェアをいつもアップデートし続けている人たちでさえ、時にはお手上げ状態になることもある。Apple にせよ他のソフトウェア開発者にせよ、気まぐれにしか見えない理由で、それまで長年変わらず動作し続けていた何かを変更したり、何かの機能を削除したり、あるいは実際人の手でテストされていないんじゃないかと思えるような何かを導入したりといった決断をするものだ。その種の変化は、ワークフローを台無しにしマッスルメモリーにフラストレーションを生むだけでなく、ユーザーの心に自分が何か間違ったことをしているんじゃないかという気を起こさせる。だから、私たちの本に繰り返し登場するメッセージは「あなたがしたことじゃなくて、開発者がしたことだ。あなたは決して悪くない。何も間違ったことはしていない。開発者が一体なぜこんなことをしたのかは私たちにも分からないが、それに対処するにはこうすればよい」というものだ。たとえ解決法が見えてこない場合にさえも、困っているのはあなただけじゃない、あなたが何か大きな間違いをした訳じゃないと読者に向けて語りかけるだけでも、心を落ち着かせ元気付ける効果があることが多いよ。

Adam: 変化が起こればテクノロジーの世界がとても腹立たしく思えることもある。一方では、何かをするためのより良い方法をエンジニアや開発者が考え続けてくれたお陰で、私たちは今の場所にいるのだとも言える。私自身、デスクトップの再構築とか、SCSI ターミネータの取り外しとか、電子メールゲートウェイの 32K 制約とかを振り返っても、ちっとも懐かしい思いはしない。でも他方では、とりわけインターフェイスに関することについては、開発者やデザイナーがただ単に“現代的”に見えるとか新鮮な感じがするとかいうだけの理由で挙動を変更したり物の位置をあちこち変えたりしているような気がしてならない。それでは変化のための変化であって、なぜそうしたかの哲学的理由、あるいは調査に基づく基盤がほとんどないのではないか。

そのことは、生産性の観点から問題があるばかりでなくて、さっき述べた心の健康の観点からも問題がある。パンデミック後の世界の私たちは、あらゆる人が心の健康の問題に対処しなければならないという意味で全く違う空間の中で生きている。多くの人にとって、テクノロジーを扱った本はより短い形のコンテンツにはできないやり方で人に自信と安心感を与えていると私は思う。

Joe: この仕事を始めた頃は、自分たちの本を雑誌に寄稿する記事を長くしたバージョンくらいに思っていて、それで私たちにも TidBITS 読者にもたぶん違和感がなかった。それから長い年月が経って、今ではその“雑誌”という言葉が広告まみれのウェブサイトを意味するようになり、ある年齢以下の人たち (言ってみれば 50 歳以下程度) は本に書いてあるさまざまの背景や詳しい情報なんかを読むよりも、Google とか YouTube とか (何と!) TikTok とかへ行って質問への手早い答を求めるようになった。情報を伝えるための形式としての本は、少なくとも私たちが専門とするタイプのテクノロジーのハウツーコンテンツに関しては、大体において人気を失ってしまった。でも、無料だが広告に支えられたサイトやビデオにはできないことを、私たちの本はできる。それは (例えば検索エンジンの最適化や、広告主やアフィリエイトプログラムへの対処とかいった) 隠れた誘因を心配することなく、一つの話題を深く探訪できるという点だ。そして本はいつでも利用できる参照資料として使える。たとえ、ネットワーク接続が切れたり、リンク切れになったり、サイトが生まれては消えたりしたとしても。

Adam: そしてもちろん、Take Control 電子ブックモデルの素晴らしさは、外の世界にある事実が変わってもそれに応じてアップデートを提供できることだ。それにより“知識の収納庫”とデジタル配信の流動性の双方の利点を享受できるものとなって欲しい。加えて、私は人々が見つけた“答”が不完全で時代遅れではっきり間違っているのを見るとうんざりさせられる。Take Control は終始一貫、正確性を目標とした上で、編集作業を通じてその正確さを検証することを重んじてきたのだから。

でも、もしも私たちより上の世代にしかテクノロジーの本の価値が感じられないのなら、そこから利益を得られないのなら、今後の私たちは何を目指せばよいのだろうか? コンテンツとビジネスモデルを作り直して、手早い答だけが欲しいと思っている人たちにも、もっと背景を知ることでこの先自分の力で前進できるようになるのだと思ってもらえるようにする方法があるのだろうか?

君にもその答は見えていない、あるいは見えていてもまだ語れる段階にないのかもしれないとは分かっているけれど、テクノロジーの世界を書き記す私たちが今よりも効果的にユーザーを援助することのできる方向性のようなものを、何か考えていないだろうか? 例えば心理療法としての技術サポートとか?

Joe: 情報を提供するための別の方法を試してみたいとは思っている。例えば無料で読める記事を Take Control サイトに置くとか、もう一度ビデオの世界に足を突っ込んでみるとかいったことを考えている。(これまで唯一やってみた Take Control ビデオはその昔の 2012 年、iPad を使いこなすというものだった! その類のことを何らかの形でまた浮上させるかもしれない。) ただ、今の時点では何か大きなことを始める前に、本のアップデート、バグ修正、機能リクエストなど処理しなければならないことがたくさん溜まっていて、先にそちらに対処する必要がある。でも、その処理も着々と進んでいるよ。

絶対したくないと思っていることが一つある。それは、(記事にせよビデオにせよ) 煩わしいサードパーティの広告を見るよう人々に強制することと引き換えに無料でコンテンツを提供することだ。このモデルこそがまさに、すべての人のオンライン体験をこれほどまでに悪いものとした元凶なのだから。ユーザー体験を悪化させたという意味でも、非常に厄介なプライバシーの問題からもそのことが言える。だから、もしも私たちが題材を別の形に作り直す時が来たならば、読者を尊重するやり方、つまり私自身が扱われたいやり方で読者たちを扱う道を、見つけ出さなければならない。たとえその結果として私たちが出すものが検索の上位に表示されず、手早い答を求める人たちの目に触れなくなったとしても。

でも心理療法としての技術サポートって、ちょっと気に入ったよ! 物事を全く違った観点から見るということだね。実際にどういう風にするのかよく分からないけれど、考えてみようと思っている。(ずっと前から私は“ひょっとすると素晴らしい、ひょっとすると最悪のアイデア”リストを作っているけれど、何年も前から載っている項目の一つは、技術的問題と飲み物を組み合わせた記事かサイトか何かというものだ。これならある意味心を癒す役に立つかもしれないね。) 「Mac を再起動しましょう。待っている間、目を閉じて、ゆっくり深い呼吸を 12 回、それから“私が悪いんじゃない”というマントラを繰り返し唱えましょう」という感じかな。

Adam: 私もハードウェアとソフトウェアを巡って心の健康に及ぼす影響についてよく考えてみたいと思っているし、これからの数年間で Take Control がどう進化するかを楽しみに見守りたいと思う。今から 20 年後も仕事を続けていると言い張るつもりはないけれど、Apple ユーザーの手助けをするための新しい、より良い方法を実験するための時間は十分にあるだろう。

Joe: その点は同感だね。人々が問題を解決するのを手助けしたり、複雑な話題を理解しやすくするための方法を見つけたりするのが私は大好きだ。20 年後に仕事を続けていることはないかもしれないが、10 年後なら十分あり得るだろう。それだけあれば、新しいことを試すには十分な時間だ。

討論に参加

TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

1Password 8.10.18 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

1Password 8.10.18

AgileBits が 1Password 8.10.18 をリリースして、家族のうちの誰がヴォールトにアクセスできるかをアプリ内で制御できるようにした。このパスワードマネージャは Watchtower ダッシュボードに Items with Duplicates 機能を追加して重複を一覧したり削除したりできるようにし、Require Password 設定に 1-day および 1-week オプションを追加し、オフラインにいる場合にデータを CSV ファイルに書き出せなかった問題を解消し、1Password コマンドラインツールで承認プロンプトをデザインし直し、LastPass からチームまたはビジネスアカウントへ読み込む際の重複削除に関係する最近の変更の一部を元に戻し、項目の自動記入挙動を編集した際に示される情報を更新し、一部の地域で言語として US English が選択されていた場合に日付のフォーマットが正しくなかったバグを修正した。(購読年額 AgileBits から $35.88、新規にアカウントをセットアップする TidBITS 会員は 6 か月間無料、無料アップデート、4.8 MB のインストーラダウンロード、リリースノート、macOS 10.15+)

1Password 8.10.18 の使用体験を話し合おう

VMware Fusion 13.5 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

VMware Fusion 13.5

VMware が仮想化パッケージ VMware Fusion をバージョン 13.5 にアップデートして、M-シリーズ Mac 上の Fusion ユーザーインターフェイスからゲストオペレーティングシステムとして Windows 11 をダウンロードしインストールする機能への対応を追加した。今回のリリースではまた、拡張されたセキュリティ暗号化スキーム (CBC の代わりに XTS) を導入して保護を改良するとともにパフォーマンスのオーバーヘッドを減らし、Open Virtualization Format (OVF) Tool を有効にした仮想 Trusted Platform Module (vTPM) デバイスで仮想マシンの読み込みや書き出しができるようにし、VMREST API を使って暗号化仮想マシンの出力操作を管理する機能への対応を追加した。(新規には無料/$149.99/$199.99、無料アップデート、722.9 MB、リリースノート、macOS 12+)

VMware Fusion 13.5 の使用体験を話し合おう

Parallels Desktop 19.1 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

Parallels Desktop 19.1

8 月になって Parallels は Parallels Desktop for Mac 仮想化ソフトウェアをバージョン 19 にアップデートして、macOS 14 Sonoma 対応を追加するとともに、ダイアログやアラートのデザインを現代化し、Windows へのサインインに Touch ID を使う機能への対応を導入するなどした。その後のバージョン 19.1 メンテナンスリリースでは、M-シリーズ Mac 上で仮想マシンを一時停止・再開する機能 (Sonoma が必要) を追加し、仮想マシンを macOS 12 Monterey から Sonoma にアップグレードした後にキーボード入力が機能しなくなった問題を解消し、Linux カーネルバージョン 6.5 への対応を追加し、OpenGL ベースのアプリケーション (BlenderAutoTRAX DEX など) でのグラフィックスに関するさまざまな問題を修正し、Windows 11 を外部ディスプレイで実行すると macOS Dock が非表示になった問題を修正した。(Standard 版 $99.99、Pro Edition は年額講読 $119.99、Business Edition は年額講読 $149.99、バージョン 19 ライセンスがあれば無料アップデート、リリースノート、macOS 10.14.6+)

Parallels Desktop 19.1 の使用体験を話し合おう

Default Folder X 6.0.1 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

Default Folder X 6.0.1

St. Clair Software が Default Folder X 6.0.1 を出した。Open/Save ダイアログを拡張するこのユーティリティに最近出されたメジャーアップグレード (2023 年 9 月 25 日の記事“Default Folder X 6.0”参照) に続く、メンテナンスリリースだ。今回のアップデートでは Quick Search ウィンドウの検索オプションのためのキーボードショートカットを変更するとともにその設定を Settings > Shortcuts で変更できるようにし、Command-下矢印で過去の Quick Search を辿れるようにし、クラウドサービスで同期されたファイルやフォルダをデフォルトで含めないようにし、メニューバーアイコンと Finder ツールバーアイコンのアピアランスを改良し、Save ダイアログで TextExpander が動作しなかったコンフリクトを修正し、macOS 12 Monterey 以前でパフォーマンスや安定性の問題が起こっていたのを解消し、Save Action の設定が Mac 同士の iCloud 経由の同期で正しく送られなかった問題に対処し、スクリーンショットを撮影する際に SnagIt でのマウス追跡が速度低下を起こしていたコンフリクトを解消した。(新規購入 $39.95、バージョン 6 ライセンスからは無料アップデート、TidBITS 会員には新規購入で $10、アップグレードで $5 の値引、Setapp からも入手可、17.2 MB、 リリースノート、macOS 10.13+)

Default Folder X 6.0.1 の使用体験を話し合おう

Mimestream 1.1.3 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

Mimestream 1.1.3

Mimestream が Gmail 用電子メールアプリのバージョン 1.1.3 をリリースして、Gmail エイリアスで受け取った招待状の Calendar バナー対応を追加した。macOS 14 Sonoma で走る場合に、Mimestream は Profiles タブ枠の下側に白い線のアーチファクトが残った問題を修正し、メッセージ作成ウィンドウに空白の署名ポップアップが登場しないようにし、Calendar バナーの予定表示に Apple の Calendar から来たイベントが表示されなかったバグを修正した。今回のアップデートではまた、Safe Mode をキャッシュリセットオプションを組み込んで改良し、Calendar バナーの RSVP ボタンに関するいくつかの問題を修正し、検索トークンメニューが誤ったスクリーンに表示されないようにし、特定のテキストを検索フィールドにペーストした際に起こったクラッシュを解消した。(年間購読 $49.99、12.1 MB、 リリースノート、macOS 12+)

Mimestream 1.1.3 の使用体験を話し合おう

Agenda 18.2 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

Agenda 18.2

Momenta がバージョン 18.2 の Agenda をリリースして、この日付に集中したノート取りアプリに少数の新機能、改良、およびバグ修正を加えた。今回のリリースでは個別のプロジェクトをタイトル・編集日・作成日で並べ替えたり、色でグループ分けしたりできるようにし、リンク短縮化をオフにするオプション (Edit > Substitutions > Smart Links) を追加し、フォーマット付きテキストやコードとしてコードをペーストする際にインデントや改行を維持するようにし、概観表示でノートのドラッグ&ドロップや並べ替えを改良し、検索を入力する際に Command-Shift-F を2度押しする必要をなくし、VoiceOver を使ったサイドバーのナビゲーションを改良し、最新の macOS アップグレードで導入されたテキストエディタのクラッシュを解消し、段落が自己重複を起こし得る状況に対処し、カレンダーピッカーのレイアウトを修正した。(無料、Premium 機能の年間購読 $34.99、一回払いの Premium 機能購入 $119.99、購読者には無料アップデート、72.9 MB、リリースノート、macOS 10.14+)

Agenda 18.2 の使用体験を話し合おう

Airfoil 5.11.7 and Piezo 1.8.1 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

Airfoil 5.11.7 と Piezo 1.8.1

Rogue Amoeba が同社の2つのオーディオユーティリティをアップデートして、macOS 14 Sonoma とフル互換にした。Airfoil 5.11.7 (ワイヤレスオーディオ放送) と Piezo 1.8.1 (シンプルなオーディオ録音) だ。いずれも Audio Capture Engine 11.9.6 を搭載してオーディオキャプチャの信頼性を高め、macOS 14.1 で期待通りに動作するようにし、Mac で設定された Sound Effects デバイスを通じてロックを外した際にお祝いのサウンド効果を正しく再生するようにした。Airfoil では Alerts ウィンドウの見た目も改良された。(Airfoil は $35、45.1 MB、リリースノート。Piezo は $25、24.5 MB、リリースノート。いずれも TidBITS 会員には 20% 割引、無料アップデート、macOS 11+)

Airfoil 5.11.7 と Piezo 1.8.1 の使用体験を話し合おう

SpamSieve 3.0.1 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

SpamSieve 3.0.1

C-Command Software が SpamSieve 3.0.1 を出した。このスパムフィルタリングユーティリティに最近出たメジャーなアップグレード (2023 年 9 月 25 日の記事“SpamSieve 3.0”参照) に続く、メンテナンスアップデートだ。今回のリリースでは "Check inboxes for new messages not sent to Mail extension" 機能を追加することで、macOS のバグにより SpamSieve の Mail 拡張が新しいメッセージを受け取れなかった場合にも自動的に新しいメッセージを見つけてフィルターできるようにした。SpamSieve 3.0.1 ではまた、Mail 拡張が問題ないメッセージの背景色を書き換えることがあった問題を解決し、トレーニングやフィルターで見つかったメッセージをゴミ箱へ移動できなかった Mail のバグを回避し、アカウントが有効なことを AppleScript がチェックする際のエラーを回避し、Mail や Outlook でトレーニングのホットキーが働かないことがあったバグを修正し、より詳細なメッセージ解析を通じてフィルターの精度を向上させた。(新規購入 $39.99、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、アップグレード $19.99、無料アップデート、47.1 MB、リリースノート、macOS 10.13+)

SpamSieve 3.0.1 の使用体験を話し合おう

Cyberduck 8.7 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

Cyberduck 8.7

Cyberduck チームがオープンソースのファイル転送アプリのバージョン 8.7 をリリースして、SMB への対応を追加することにより Windows File Shares や Samba Linux Server にアクセスできるようにした。今回のリリースではまた、OpenID Connect (OIDC) 認証プロバイダを使用した AWS S3 接続への対応を追加し、ownCloudNextcloud を経由した内部共有を作成できるようにし、アップデートを自動的にダウンロードしてインストールするオプションを追加し、Backblaze B2、Box、あるいは Google Drive でアップロードされたファイルの作成日を設定できるようにした。Cyberduck は無料だが、寄付を通じて、また Mac App Store から $23.99 で購入することを通じて支援できる。(無料、156.2 MB、リリースノート、macOS 10.12+)

Cyberduck 8.7 の使用体験を話し合おう

Mactracker 7.12.11 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

Mactracker 7.12.11

Ian Page が Mactracker 7.12.11 をリリースして、Apple の最近のハードウェアおよびオペレーティングシステムのリリース情報を盛り込んだ。今回のアップデートでは新型 iPhone 15 および iPhone 15 Pro モデル、Apple Watch Series 9 および Apple Watch Ultra 2、macOS 14 Sonoma、iOS 17、iPadOS 17、watchOS 10、および tvOS 17 に関する詳細情報を追加した。今回のリリースではまた、macOS リリースにおけるプロセッサおよびアプリケーションアーキテクチャ対応の情報を追加し、Maximum OS 情報を最新の OS リリースのシステム要件に従って更新し、Apple の最新の Vintage および Obsolete 製品に応じて Support Status を更新している。(Mactracker ウェブサイトからも Mac App Store からも無料、210.5 MB、リリースノート、macOS 10.12+)

Mactracker 7.12.11 の使用体験を話し合おう

Scrivener 3.3.6 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

Scrivener 3.3.6

Literature & Latte が Scrivener 3.3.6 をリリースして、この長文用執筆ツールでクラッシュを回避するため一時的に削除されていたいくつかの機能を復活させた。今回のアップデートでは PDF 書き出しの際の PDF/X-1a オプションを復活させるとともに Auto-Completion の設定を 3.3.3 およびそれ以前の状態に戻した。Scrivener 3.3.6 ではまた、印刷の際に各ページで最初の脚注しか含まれないというバージョン 3.3.5 で導入されたバグを修正し、スクリプト設定の Style To が正しく動作しなかった問題を解消し、Compile の際に 最近のバージョンの macOS で動作しなくなっていた PDF ファイルの Reduce File Size オプションを削除した。(新規購入 $49、無料アップデート、113.8 MB、リリースノート、macOS 10.13+)

Scrivener 3.3.6 の使用体験を話し合おう

Affinity Designer, Photo, and Publisher 2.2.1 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

Affinity Designer, Photo, Publisher 2.2.1

Serif が Affinity DesignerAffinity Photoおよび Affinity Publisherをバージョン 2.2.1 にアップデートして、これら3つの macOS 用アプリに数多くのバグ修正を施した。今回のアップデートでは Google の WebP Library における悪用を回避し、Euroscale Coated V2 カラーフォーマットに設定された書類の PDF 書き出しの際の問題を解決し、Document Setup でカラープロファイルが正しく設定できなかったバグを修正し、外部からインストールされたプロファイルが選択されている場合にも Settings > Color で施したプロファイルの変更が維持されるようにし、アップグレード後に個別に割り当てないと Backspace が機能しなかったバグを修正し、Artboard を削除して Keep Objects を選んでもレイヤーが保たれるようにした。(Affinity Designer は新規購入 $69.99、Affinity Photo は新規購入 $69.99、Affinity Publisher は新規購入 $69.99、Serif から三つのアプリをまとめて購入すれば $164.99、Mac App Store では個別に購入可能。いずれも無料アップデート、サイズはいろいろ、リリースノート、macOS 10.15+)

Affinity Designer, Photo, Publisher 2.2.1 の使用体験を話し合おう