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#1684: OS バグ修正リリース、Finder タグのアンケート結果、Messages の本人確認、Spambot をブロック、どの Apple サービスを使ってますか?

先週 Apple は多くのオペレーティングシステムをアップデートしたが、これらは主としてセキュリティ脆弱性のためではなくいくつかの重大なバグを修正するためのものだ。Glenn Fleishman が Contact Key Verification に取り組むが、これは次期バージョンの Messages アプリで登場する少々複雑な機能で、高価値の標的となり得る人が会話による攻撃の犠牲にならないようにする役に立つものだ。それから、Finder タグについてのアンケートの結果を報告するとともに、最近私たちが時間を費やすことになったいくつかのサーバ側の問題についてその背景を少しお見せする。最後に今週の Do You Use It? アンケートでは、Apple が目玉とする購読サービスのうちどれをあなたが料金を払って使っているかお尋ねする。今週注目すべき Mac アプリのリリースは Retrobatch 2.0、Keyboard Maestro 11.0.1、BusyCal 2023.4.4、GarageBand 10.4.9、Lunar 6.4.2、ChronoSync 11 と ChronoAgent 11、それに Logic Pro 10.8 だ。

Adam Engst  訳: 亀岡孝仁  

LittleBITS: メール配信問題とスパムボットアカウントの阻止

オンラインサービスを創設し維持している人達が、全ての事を正常に動作している状態に保つことがどれ程大変なことか話すことは殆ど無いが、実際には、ウェブサイトや Internet ベースのサービスにはかなりの手間をかける必要がある。我々も最近皆さんも気付かれたかも知れない事例を幾つか経験している。

TidBITS#1683 メール版の配信問題

先週のメール版の TidBITS#1683 は配信問題に遭遇したが、我々は未だそれを解決することも再現することも出来ていない。およそ 19,000 の人々に送出した後、Sendy は、これは送出するメールメッセージを我々の WordPress サーバーにあるアドレスに基づいて管理するアプリなのだが、個々のメッセージが配信のために Amazon の Simple Email Service (SES) を通っていく時に、403 ないし 503 のエラーを受け始めた。我々は Amazon SES に関しては何も不具合を見つけられず、残りの 5,500 のアドレスに関しては何も不具合は起こらなかった。その後の TidBITS 会員への個別記事やオランダ語日本語の翻訳記事の送出は問題なく完了した。その後ほぼ一週間経って、我々にはもうやってみるべきことが無くなったので、Sendy のドライブがエラーログで一杯になるのを避けるために TidBITS#1683 の残りの送出をキャンセルした。

その結末は、もし皆さんが先週のメール号を受け取っていなかったら、ご免なさいである! TidBITS#1683 は我々のウェブサイトでも見られるし、他のバックナンバーも全てそこにある。私としては TidBITS#1684 に対しては全てがうまく行くと願うだけである。と言うのも、先週号の以前に変えたものも無いし、またそれ以降も何も変えていないからである。我々は Sendy に対するアプデートを間もなくインストールする予定だが、以前に問題があった訳でもないので、先週号に対する問題の原因となった宇宙線が何であれ、それで問題が解決されると想像するのは困難である。

新しいアカウントに対するメール確認

数ヶ月前、我々は新しいアカウントに対するメール確認を行った。何年もの間、我々はスパムボットに対して勝ち目のない戦いをしてきた。このスパムボットは我々の WordPress システムの中に何千という偽のアカウントを作成した。私は何故彼らがこんなことをするのか見当もつかない。何故ならば、これ等のアカウントは大した能力も持たないからである。思うに、我々は単に WordPress サーバーを検出する放浪するスパムボットの無作為の餌食の中にあっただけなのではなかろうか。

スパムボットがこれを出来るのは、WordPress はデフォルトで、ユーザーになりそうな人にアカウントをその場で作らせてくれるからである。我々側も色々なセキュリティ対策は講じてきたが - Stop Spammers プライグイン、 標準外の URL, reCAPTCHA, 等々である - スパムボットを止められるものは何もなく、実際にその速度を鈍らせることすら出来ていない。そして明確化のために言っておくと、それは最悪であった。ピーク時には、スパムボットは日に数百ものアカウントを作った。偽物を削除している時に、紛れ込んでいる幾つかの本物のアカウントを見つけるのは困難であった。

しばらくして、我々は User Verification WordPress プラグインをインストールした。それはスパムボットがアカウントを作るのを防ぐことは出来ないが、新しいアカウントは Unverified として印がつき、ユーザーがメール確認メッセージの中にあるリンクをクリックするまでその状態が続く。スパムボットが悪用されたメールアドレスに会員登録して受け取った確認メッセージのリンクをクリックする事は可能であろうが、そんなことをするものは殆ど無い。私は、全ての我々の既存のユーザーに Verified の印を付けそして User Verification に自信が持てたら、Unverified のままある特定の時間が経ったアカウントを自動的に削除する選択肢を有効に出来るかもと願っていた。

残念ながら、そうは問屋が卸さなかった。我々にはその理由が解き明かせなかったが、私がその機能を有効にしたら、Verified の印がついて実際の人間と結びついたアカウントを 17 も削除してしまった。それが再びアカウントを削除することはないと信用する事は出来ないので、私はスパムボットアカウントを手動で削除するやり方に再び戻らざるを得なかった。

私が本当に欲しいのは、定期購読フォームに記載したメールアドレスにトークン保護されたリンクをメールするが、そのユーザーが手動でそのリンクをクリックするまでそのアカウント作成しないというシステムである。それは、WordPress プラグインの世界では見つけられていないし、我々の開発者はその様なシステムを開発する余力を今は持ち合わせていない。提言があれば大歓迎である。

どのアカウントが Unverified として印が付けられているかが見えるというのは、スパムボットアカウントを削除する作業を少しは易しくしてくれており、その作業をやる中で、私はそのスパムボットアカウントに関連する IP アドレスの間にあるある種の共通性に気付いた。(Stop Spammers は WordPress ユーザーリストにあるソースの IP アドレスを表示する。) 見ている内に、私は多くのものがロシアの ISP である Biterika Group によって制御されていることを発見した。もっとも Scamalytics は Biterika Group を現時点で低不正リスクと見做しているが、当時は、間違いなく私のサーバーを攻撃するスパムボットの責任を負っていた。特定のドメインとロシアという国を Stop Spammers を使って阻止しようという私の試みは殆ど役に立たず、私はイライラがつのりそして頭にきて、私は核兵器を手にしそして全 IP アドレス領域をブロックすることとした。それは一般論としては悪い手である。何故ならば、それはまともなユーザーにも影響し、そしてそのリストは管理するのが難しいからである。しかし、ロシアだよ、くそ食らえだ。

(余談だが、Biterika によって制御された 46,000 にものぼる IP アドレスの多くを阻止するこつは CIDR 表記である。CIDR は Classless Inter-Domain Routing の略で、IP アドレス方式の一つである。それは一つの IP アドレスに CIDR を使って沢山の固有の IP アドレスを指定させてくれる。CIDR IP アドレスは通常の IP アドレスの様に見えるが、最後にスラッシュが付き、そして IP network prefix と呼ばれる数字が続く。例を挙げると、Biterika IP アドレスの幾つかは 109.248.204.0 にまつわっていて、私の Stop Spammers 阻止リストに 109.248.204.0/23 を加えることでその IP 範囲からのスパムポッドが私のサイトで何かをするのを阻止出来た。私はこの CIDR を IPV4 計算に使って、使うべき適切な IP ネットワークプレフィックスを決定する。)

全ての Biterika IP アドレスを阻止するのがとてもうまく行ったので、私は全てのスパムボットアカウント上の IP アドレスを調べ、そしてそれ等が英語、オランダ語、或いは日本語を話す国からのもので無ければ、阻止リストに加え始めた。それが何を意味するかを私は十分認識しており、もしどの TidBITS 読者でも阻止されている人は私にメールで連絡して欲しい。問題となる IP アドレスの範囲は取り除く。

ユーザーに確認メッセージのリンクをクリックする事を求め、そしてスパムボット IP アドレスを阻止するのはとても効果的な組み合わせとなっている。時折スパムボットアカウントがすり抜けることもあるが、毎日数百というのに比べれば週に幾つかと言うのは手に負える範囲内である。

Spambot accounts in WordPress

ユーザーの観点からすると、我々はここに至るまで幾つかの支障を経験している。私は、ユーザーを助けそして予期しない出来事を解きほぐす Lauri Reinhardt の支援、そして全てのインストールと設定をする Eli Van Zoeren のテックワークにとても感謝している。我々が、メール確認選択肢を正しく構成し、CAPTCHA 認証を提供する複数のプラグインが原因の衝突を解決し、サイトの奥深くにある壊れた Register ボタンを取り除き、TidBITS と TidBITS Talk サイト間のやり取りを解明し (ログインシステムを共有している)、そして色々なエッジケースを解決するのに相応の時間を要した。今となっても、我々は User Verification にバグがあるのではないかと心配している。それはアカウントによっては手動での会員更新の後でも Unverified と印が付く原因だと思われるが、我々は未だそれを追跡し切れていない。

基本的に既存のユーザーはこれ等の変更に影響は受けないはずであるが、もし我々のサイトを使っていて如何なる問題にでも遭遇したら、[email protected] で我々に知らせて欲しい。我々は全てが正常に働いていることを望んでいる!

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Adam Engst  訳: 亀岡孝仁  

Apple、iOS 17.1.1, iPadOS 17.1.1, macOS 14.1.1, macOS 13.6.2, watchOS 10.1.1, HomePod Software 17.1.1 でバグ修正

Apple はその全オペレーティングシステムに対して (そして macOS 13 Ventura も) アップデートを出した。但し tvOS は含まれない。それ等は、アップデートする、電池寿命、そして Siri 信頼性に関する問題となる一握りのバグ修正を意図している。他にも、Apple が自分で見つけたセキュリティ脆弱性の対策をしているかも知れない - 公開された CVE 入力は無い

iOS 17.1.1 と iPadOS 17.1.1

iOS 17.1.1 は二つのバグを修正し、iPadOS 17.1.1 はそのうちの一つに便乗している。まず、Apple が言うには、Apple Pay や他の NFC 機能が iPhone 15 モデル上で、ある種の車の中でワイヤレス充電した後使えなくなることがあると言う - MacRumors によると、それは BMW だと言う。次に、Apple の技術者は Weather Lock Screen ウィジェットが雪🌨️を正しく表示しないことがある問題をタイミング良く修正している。

車内でワイヤレス充電を使いそして Apple Pay に依存していない限り、私はこれ等のアップデートのインストールを都合が良い時が来るまで待つ事をお勧めする。

macOS 13.6.2 Ventura

macOS 13.6.2 に対するリリースノートには "重要なセキュリティ修正が含まれています。すべてのユーザにこのアップデートを推奨します" とあるが、必ずしも正確な記述には見えない。Apple の Security Releases ページには macOS 13.6.2 は "MacBook Pro (2021 及びそれ以降) と iMac (2023)" にのみ適用されるとある。つまり、それは全てのユーザーに推奨されているわけではないし、事実、私の 2020 27-inch iMac にはこのアップデートは提供されてすらいない。

しかしながら、 Mr. Macintosh は、Ventura に対する Apple の Enterprise リリースノートにある、macOS 13.6.2 はまた Apple シリコンを持つ 14-inch 及び 16-inch MacBook Pro が、内蔵ディスプレイのデフォルトのリフレッシュレートが変更された後、黒い画面又は円で囲まれた感嘆符で起動する可能性のあるバグ見つけた事に対して賞賛に値する。

加えて、私は彼が何処からこの情報を得たのか知らないが、Howard Oakley は macOS 13.6.2 が二つのアップデート関連の問題に対応していると書いている:

Apple シリコンを持つ MacBook Pro を macOS 13.6.1 へアップデートする積もりか、或いは Ventura が搭載された M3 iMac を買ったばかりかで無い限り、macOS 13.6.2 をインストールするべき必要性は無い。もし私だったら、ただ単にこれを目障りにならないようにするためにインストールするであろう。

macOS 14.1.1 Sonoma

Apple は macOS 14.1.1 が "重要なバグ修正とセキュリティアップデートを提供し、全てのユーザーに推奨される" としか言っていない。Howard Oakley が M3 iMac について言っていることを考えると、macOS 14.1.1 はそれ等のユーザーに Sonoma へのアップグレードを許すのを意図としているのではと考えられる。

Craig Hockenberry はまた、macOS 14.1.1 は macOS 14.1 ウィンドウサーバーバグを修正していると報告している。そのバグは彼の xScope アプリ内のツールに影響を及ぼしている。彼のアプリの他にも - 恐らく Apple に手早い対応を促したであろうもの - Photoshop が含まれる。

このバグの影響を受けるアプリがどれ位あるかは分からないので、私はすぐにアップデートすることをお勧めする、とりわけグラフィックスアプリで尋常でない動きに気付いた場合は。

watchOS 10.1.1

殆ど全ての iOS や watchOS アップデートは、電池寿命の減少についてのユーザーからの叫び声から逃れられない。通常、それ等はオペレーティングシステムがキャッシュやインデックスのビルドを終了すれば直ぐに収まる問題ではある。時には、実際にバグがある場合もあり、今回の場合もその様なケースのように見える。と言うのも、watchOS 10.1.1 は "一部のユーザでバッテリーが早く消耗することがある問題に対応しています" とあるからである。

私はこれを直ちにインストールしようと思う。驚くことではないが、私の新しい Apple Watch Series 9 は手にして以来文句なしの電池寿命を示していたが、昨日、私の自転車乗りの後殆ど電池切れになりかけた。ひょっとすると、その前の晩に私はそれを充電器に正しく置かなかったのかも知れないが、Apple があるアップデートは不必要な電池消耗を防ぐはずだと言う度に、私は Install ボタンをためらいなく押す。

HomePod Software 17.1.1

パンデミックの最中、私は沢山の HomeKit スイッチを設置したので、初代 HomePod 上で Siri を使って家中の照明を制御するのに慣れてしまった ("HomeKit のある一年を振り返る" 17 December 2021 参照)。照明を調節する度に Siri と話す時、それがどれ程うまく働いているかの感触を得るものである。(はい、白状します。私は自分の記事の中に書くのは可能な限り避けようとしてきたが、我々は日常生活の中で Siri を完全に擬人化してしまっていて、例えば、昨晩など Tonya は腹立たしく叫んだものだ、"彼女は、今日、どうしようも無く鈍いね" と。)

その通り、我々はそれについてのはっきりしたデータは持ち合わせていないが、我々の感じからすると、通常の HomeKit コマンドを実行する Siri の信頼性は HomePod Software 17 のリリースの後落ちている。時折、Siri がコマンドを認識するまで二回、或いは三回も頼む必要がある。それは、照明スイッチの所まで歩いて行って操作するよりも、動物のように、マシだとは言えるが、私は直ちに HomePod Software 17.1.1 へとプッシュする積もりだ。とりわけ、Apple がそれは "HomePod スピーカーの応答が遅くなる、またはリクエストが実行されないことがある問題が修正されています" と言っているので。

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Adam Engst  訳: Mark Nagata   

Do You Use It? Finder タグには集中的な用途あり

数週前に、どの程度頻繁に Finder タグを使っているかと皆さんにお尋ねした。十年ほど前に OS X 10.9 Mavericks で導入されて以来、私は Finder タグをあまり好きになれなかったので、今回のアンケートで 56% の人たちが全然使わないと答えたのを見てもそれほど驚かなかった。26% の人たちが時々使うと答え、18% の人たちがいつも使っていると答えた。でもひょっとすると、使わないと答えた私たちは何か大切なことを見落としているのかもしれない。

Do You Use It Finder tags results

Finder タグの基本

そもそも Finder タグの目的は、伝統的なフォルダ階層とは別のやり方でファイルやフォルダを整理しようというものだ。一つのファイルは一つのフォルダの中にしか存在できない (ただしエイリアスを作ることはできる) が、一つのファイルに好きなだけ多くのタグを付けることが可能だし、ドライブのあちこちに散らばったファイルをタグでまとめたり、さらには一つの膨大なファイルのコレクションの中からその一部だけを選び出したりすることも可能だ。

例えば一つのフォルダの中に数百枚の画像があるとして、ウェブサイトで使うためにその中からほんの数枚だけを選び出したいとしよう。Finder ウィンドウを Gallery 表示にすれば手早く画像を見て回ることができるので、気に入った画像のみに情報パネルを使ってタグを付けるか、またはそのファイルを Control-クリックしてコンテクストメニューからタグを選ぶかする。もちろんタグを付ける方法は他にもたくさんある。

Assigning Finder tags

それが済めば、ウィンドウを List 表示にしてから Tags カラムを追加 (カラム見出しのどれかを Control-クリックして Tags を選ぶ) してそのカラムを選ぶことで、さきほどタグを付けたファイルのみに集中できるようになる。あるいは、Finder ウィンドウのサイドバーにタグを表示 (Finder > Settings > Tags で選ぶ) する方法も良い。ここでも方法は他にもたくさんある。作業が済めば、追加したのと同じ方法でタグを削除しておけばよい。

Sorting with Finder tags

タグの使い方についてもっと詳しくは、Josh Centers の包括的な記事“Mavericks の Finder におけるタグ付けのすべて”(2013 年 11 月 14 日) をご覧頂きたい。細かなことはこの十年間で少し変わったかもしれないが、書かれていることのほとんどは今も当てはまるはずだ。また、Howard Oakley も最近 Finder タグについての記事を書いているし、Jeff Carlson の本 Take Control of Managing Your Files にもタグを扱ったセクションがある。

よくあるタグ付けのやり方

アンケートに伴う議論から、ワークフローの中でタグが重要な役割を果たしているという個人やグループがいることが明らかになった。例えば Gobit はこう書いてくれた:

タブは仕事でいつも使っています。(デザインスタジオに勤めていて、大きな印刷会社のためにプリプレス作業をしています。) 個々の案件がそれぞれ独自のフォルダの中にあり、すべてのフォルダが一つのサーバ上にあって、すべてのフォルダに色とイニシャルによるタグが付けてあります。カラム表示です。作業中の案件は常時 600 以上ありますが、タグのお陰でそれぞれの案件の担当者を簡単に見分けたり検索したりグループ分けしたりできます。

また、Anton Rang はこう書いてくれた:

私の Mac には何千もの技術論文と何百もの規格文書があります。規格文書にタグ付けしておくことで、手軽に Spotlight 検索を規格文書のみに制限して、論文が出てこないようにできます。また、こちらは頻度が少ないですが特定の系統の規格文書のみに検索を絞るために使ったり、特定のベンダーが出した文書や、時には特定のプロジェクトに関する文書のみに検索を絞ったりもします。

でも、もっと気軽な目的でタグを使っている人たちの方が多かった。よくある使い方としては次のようなものがある:

議論の中には他にもタグの実際的な利用法が登場しているので、全体を読んでみることをお勧めしたい。

Finder タグの問題点

Finder タグを使ってみたけれどもいろいろ問題があって使うのを諦めた人たちもいた:

個人的な感想を言えば、私は Finder タグを使う価値のあるやり方に気付いて、あらためてありがたいと思った。でも、私がタグのヘビーユーザーになることはないだろう。なぜなら、私は Google Drive に依存して仕事をしていて、Google Drive は Mac 間でタグを維持してくれないからだ。でも、私が最近気付いたやり方は、一時的に集めておきたいファイルにタグ付けすると役に立つというものだった。今回のアンケートのお陰でタグが私の意識の第一線を占めるようになったので、これからはタグを賢く使うことで自分のワークフローがより良くなるのではないかという気持ちを持って他の面についても考えてみたいと思っている。皆さんが今後、タグが役に立つかもしれない状況に遭遇した際にタグも選択肢の一つだと思い出して頂ければ嬉しい。

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Glenn Fleishman  訳: Mark Nagata   

登場予定の Contact Key Verification 機能が iMessage でセキュアな本人確認を約束

あなたが他の人とメッセージをやり取りする際に、Apple は今やますます時代遅れになりつつあるエンド・ツー・エンドの暗号化に依存している。セキュリティとプライバシーを改善するために Apple は iMessage とその Messages アプリに修正を次々に施してきたけれども、業界の教訓と革新に追い付けるものとはならなかった。今年になって Apple はその鍵となる (駄洒落に聞こえたなら失礼) コンポーネントに変更を施すと約束し、現在入手可能な開発者向けベータ版の iOS 17.2、iPadOS 17.2、macOS 14.2、および watchOS 10.2 にオプションの機能としてそれを組み込んだ。そして 2023 年 10 月 27 日に、Apple は Security Research の中でそのプロセスとタイムラインを発表した

この機能は Contact Key Verification と呼ばれ、その名の通りに連絡相手の鍵を検証する。つまり、iMessage の会話の中に手動の検証手順を一つ追加して、相手の人物がその人のデバイスが言っている通りの人であることを確認する。(これに対して SMS での会話には信頼できる確認方法が存在していない - 緑の吹き出しを使っている友人たちには残念なことだが。) つまり iMessage においては、Apple のサーバにセキュアに保存された情報を使って Apple が相手の身元を確認することのみに頼るのでなく、あなたと相手の人とが直接に、または電話を通じて、短い認証コードをお互いに読むことによって相手の身元を確認するのだ。その会話が正当なものだとあなたが確認すれば、あなたのデバイスが信頼の鎖を維持する。その際、あなたも相手の人も、いかなるプライベートな暗号化情報をもお互いに、あるいは Apple に、送ったりしない。もしもお互いに確認した暗号化鍵が何らかの理由で変われば、Messages アプリがそれに気付いてアラートや警告を出す。

Contact Key Verification

Apple の今回の記事はセキュリティ関係者のコミュニティーに向けたものなので、数多くの複雑な暗号化の概念を用いて語られている。この Contact Key Verification 機能は、自分のコミュニケーションが潤沢な資金を持った敵意ある者たちからの攻撃を受ける可能性が大きいと思う根拠がある人たちのみを対象としているので、この記事では3段階に分けてこの機能について説明したい。まず手早く概観してから、次に詳細について語り、最後にその基盤について深く検討しよう。

誤解のないように言っておくと、メッセージングにこのレベルのセキュリティを必要とする人々の数は少ない。もしもあなたがジャーナリスト、著名人、人権活動家、政治家、有名な投資家など、つまり盗人や、政府機関や、あるいはテクノロジーに詳しいストーカーなどから標的にされやすい人であった場合には、Contact Key Verification から受けられる一段高い安全のレベルが非常にありがたいものに思えるだろう。それに該当しない多くの私たちにとっては、iMessage の会話に追加の確認手順を挟み込む面倒さと、なりすましの被害を受けるわずかの可能性とを天秤に掛けて判断すべきことだろう。

まず事実だけを概観

あなたが Messages アプリの中で初めて iMessage を使った際に、Apple はあなたのデバイスに暗号化をセットアップさせた。暗号化の公開部分は Apple と共有され、Apple があなたの代わりにそれを保存する。暗号化の公開部分をこのようにセットアップすることで、あなたが Messages アプリで青い吹き出しの友人とチャットを始める度に Apple がセキュアな接続を作成できる。

Contact Key Verification 機能を有効にすれば、なりすましを探知・予防するための追加の手順がそこに加わる。あなたと、コミュニケーション相手の人とが、Messages アプリの中でお互いに身元を確認するのだ。そのため、数字から成るコードを共有することで、手作業を通じて双方のアカウントとデバイスの間に暗号学的信頼を確立させる。

もしもこの暗号学的信頼が何らかの形で壊れれば、Messages アプリがそれに気付く。(そこに Apple の関与は一切必要ない。) すると Messages アプリはそれをあなたに、またはあなたの相手に、または双方に、理由を示したメッセージで通知する。接続が信用できないものになった以上、あなたがどんな行動をすべきかも提案する。

Contact Key Verification プロセスのハイレベル部分

Contact Key Verification 機能がどのように働くのかを、ここでもう少し詳しく見てみよう。

起こり得ることの実例を挙げれば、どこかの国の情報機関がジャーナリストや政治家やその他の人たちが人権活動家やスパイやその他の人と iMessage でコミュニケーションしていると知った場合に、その情報機関はその前者の人たちになりすまして後者の人たちの信頼を得ることで、その人たちの居所を突き止めたり、その人たちのコミュニケーション相手を知ったり、その他機密情報を知ったりしようとする。

仮に、その情報機関が Apple の key directory service に侵入して、Apple に気付かれることなく前者の人たちの公開鍵を自分の手の及ぶ鍵とすり替えることに成功したとしよう。あるいは、何らかの攻撃を通じて Messages アプリが別の公開鍵を受け入れるようにさせたとしよう。(そのようなことが起こる可能性は極めて低いけれども、中央の情報源から公開鍵を配送する部分を攻撃するのが不可能でないことは Apple も認めている。)

鍵の検証がなければ、もしもそのような攻撃が実行されたならば、情報機関が偽のアカウントを使って後者の人たちとコミュニケーションできるようになってしまい、そうなったとしても iMessage は全く気付かない。それはエンド・ツー・エンドの接続が既に新しい鍵に切り替わっているからであり、公開鍵が変われば普通に起こることなので、会話は何事もなかったかのように続くことになる。つまり、ジャーナリストや政治家にとっては自分が情報機関を相手に会話をしていたとは知る由もない。

けれども Contact Key Verification を有効にすれば、公開鍵を知らずに差し替えられることはあり得るとしても、その公開鍵に結び付いた署名を差し替えることは不可能だ。Messages アプリは公開された transparency log を使っての情報の検証を試み、今回の新しい1対1の検証手順を通じて鍵が変わったと判断して、警告を出すことができる。

舞台裏: すべては Key Directory Service にある

Contact Key Verification 機能の真の目的はオンラインのやり取りにセキュリティの土台を提供することにある。相手が自分の思うその人であると確認する作業を、Apple が手伝ってくれるのではない。すべてをあなたが確認するのだ! 相手が誰であるかを知っていて、相手の電話番号または電子メールアドレスを知っていて、場合によっては相手に関することでオンラインでは知り得ないことを知っているのは、すべてあなただ。

あなたが既に知っている人との間で Contact Key Verification 機能を使うには、単なる「私はこの人を知っている」という発言を「私はこの人を知っていて、私たちは帯域外の暗号化認証手順を通じてお互いの会話をセキュアで改ざんに抵抗できるものにしている」という発言にアップグレードする必要がある。

必要なのは、既存の会話をいったん中断して、下の図のような形で提供されたコードを、何らかの信頼できる手段を使って読むことだけだ。もしも双方のコードがマッチすれば、Mark As Verified をタップする。

Contact Key Verification numeric code

このコードのやり取りは Messages アプリ以外の方法でするのがよい。Messages アプリによるコミュニケーションはすべて in-band (帯域内) と呼ばれる。(セキュアにしようとしているものと同じ経路を使っているからだ。) だからそれとは別に、攻撃を受け得ない out-of-band (帯域外) の経路を使うべきだ。セキュリティ専門家たちは通常、やり取りを面と向かってするか、またはお互いを見ることのできるセキュアなエンド・ツー・エンドのビデオ (例えば FaceTime か、あるいはエンド・ツー・エンドのオプションをオンにした Zoom) ですることを勧める。また、セキュアではない音声通話の電話も使えるはずだが、攻撃者が AI 音声ボットを使ってなりすましている可能性を排除するために何らかの合言葉のようなものを決めておくのがよい。相手の話し方に十分馴染みがあれば、良い方法と言えるだろう。

これらの out-of-band 手法の目的は、相手の人物がその人の Apple ID とデバイスを確保し続けていると確認することだ。この確認手順により、その人がアカウントのパスワードと第二の要素とを兼ね備えているのを検証することが狙いだ。

もしも上記の手順で数字がマッチせず、それでも相手がその人であることに確信が持てるのならば、何か良くないことが起こったのだと判断できる。例えば二人の間のどこかで何らかの中間者攻撃があったとか、あるいは Apple の鍵サーバか transparency log が改ざんを受けたなどのことが考えられる。その場合は、何が起こったかを見つけ出せる権限を持つ誰かに連絡する必要があるだろう。それはあなたの雇い主かもしれないし、例えば Citizen Lab のような非政府団体の信頼できる人物や、 Apple や、あるいは FBI かもしれない。あなたと相手の人がどんな人物か、二人の間でどのようなプライベートな情報を交換したいかに応じて選ぶことになる。

しかしながらほとんどあらゆる場合において、Contact Key Verification による検証はスムーズに進むはずだ。Messages アプリや Apple の key directory service のセキュリティが破られる可能性は極めて低いからだ。Contact Key Verification 機能の存在そのものによって攻撃しても気付かれることから、より高度な攻撃を思いとどまらせる効果があるかもしれない。

また、このシステムは従来の知り合い関係と既存の iMessage 会話を基盤としているので、第三者があなたが読む認証コードを知っているふりをすることはできない。例えばあなたのコードが "1234 5678" で相手のコードがそれと違う "8765 4321" だったとして、相手が「はい、私のコードとマッチします」と嘘を言ったとしても、あなたが Mark as Verified をタップしても何も起こらない。同じ会話の中にいれば、コードは同一のはずで、それはどの手段でコードにアクセスしたかによらない。相手が同じ会話の中にいなければ、コードはマッチしないはずで、相手はあなたが読んだコードを持っているふりをしても役に立たない。実際、この認証コードは何かが 既に おかしくなっている場合にそれを識別できて、将来の変化に備えて監視の始点とすることができる。

別の見方をすれば、“公人”が認証コードをオンラインに公開してもリスクはないと Apple が述べているのもこれが理由だ。誰かが公人と iMessage 会話を始めたいと思えば、その公開要素に依存してその公人が本人だと証明できる。さらに、Apple はその人たちの公開鍵をその人の Apple ID アカウントに付随した電子メールアドレスと電話番号に対応させることができるので、たとえ誰かがその公人の Apple ID アカウントを乗っ取ったとしても、その人に連絡しようとしてコードを確認した人は詐欺師と顔を合わせることになるだけだ。

Contact Key Verification は長年指摘されてきた問題を解決することにもなる。その昔の 2016 年に、セキュリティ研究者 Matthew Green が iMessage の設計上の根本的欠陥をいくつか指摘して説明した。その中でも最悪な欠陥の一つが「iMessage は脆弱な集中型の鍵サーバに依存している」というものであった。(もう一つの欠陥として Apple が iMessage のプロトコルを公開していないという問題があり、これは今もまだ懸念のままだ。 これらの欠陥について 2016 年に私は Macworld にコラム記事を書いた。)

Apple はブログ記事の中で iMessage システムがその種の攻撃に脆弱性を持つことを率直に認めている:

Apple の Identity Directory Service (IDS) のような key directory service は鍵の漏洩に対処しているとはいうものの、これはセキュリティモデルの中の単一障害点と言えます。強力な敵対者が key directory service を破ることができれば、そのサービスは不正な鍵、つまり敵対者が掌握する秘密鍵に対応する公開鍵を返すようになるでしょう。そうなれば暗号化されたメッセージを敵対者が傍受したり消極的に監視したりすることも可能になります。

ここで key directory service つまり Apple の Identity Directory Service について少し掘り下げてみよう。iMessage の会話では、あなたのデバイスが独自に秘密暗号化鍵を生成するが、Apple がそれにアクセスすることはない。(この鍵が Apple に送信されることはない。) iMessage がセキュアなエンド・ツー・エンドの暗号化で起動されると、あなたの Apple ID アカウントを使って最初に iCloud にログインしたデバイスが、ローカルに保持される公開鍵と秘密鍵のペアを作成している。それからあなたの iCloud アカウントに新たなデバイスを追加するごとに、個々のデバイスがその iCloud セットの中の他のデバイスと鍵を交換するので、どのデバイスもメッセージを暗号化し復号化することができるようになる。

Apple がこのことについてほとんど説明していないので、鍵の交換の話で困惑された方もおられるかもしれない。あなたのデバイスの一つが iCloud で接続された 別の デバイスのパスコード/パスワードの入力が必要だと求めてきた場合、そのパスコード/パスワードは Apple に送信されないので、実は上で述べた鍵の交換が起こっている。あなたの iCloud セットにデバイスを追加すれば、その既存の iCloud セットにある他のデバイスについてあなたのみが知る秘密 (つまりそのパスコード/パスワード) を入力しなければならない。その別のデバイスはそれ独自のパスコードまたはパスワード (およびその他の情報) を使ってさまざまの重要な情報を暗号化している。

実例として、あなたの iPhone と Mac が iCloud にログインしている状態で、あなたが新たに iPad を購入したとしよう。その iPad で iCloud にログインすると、ホーム画面が表示されてから、iPhone のパスコードまたは Mac のその Apple ID に付随したアカウントのログインパスワードを入力するようにと求められるはずだ。あなたが入力すると、その新しい iPad があなたの iCloud アカウントに付随した情報を復号化できるようになって、iCloud のデータ、iCloud Keychain 情報、その他の暗号化されていた情報で Messages にアクセスできるようになる。それからその iPad は自らの独自の鍵を暗号化して、iCloud 経由でそれをあなたの他のデバイスと共有する。このようなデバイス上のみの鍵の交換プロセスを通じて、Apple の知らないところであなたのデバイスすべてが独自の鍵情報を共有できるようになる。

iMessage の会話についてはまた別のプロセスがある。Apple の Identity Directory Service が公開鍵と秘密鍵のペアのうち公開鍵の部分を保存しており、このペアが Apple のエンド・ツー・エンドの暗号化システム全体にわたって使われている 公開鍵暗号方式 と呼ばれるやり方の一部となる。この公開鍵暗号方式はインターネットやコンピュータシステムで広く使われていて、過去に関係のなかった人同士がセキュアに暗号化されたデータをやり取りできるようにしている。その理由は、秘密鍵部分を明かすことなく公開鍵部分を自由に共有することができるからだ。秘密鍵は復号化のためと、送り主の身元とデータが改ざんを受けていないことを証明するために使われる。デバイスが秘密鍵を保持して保護し、秘密鍵がそのデバイスのハードウェアの外へ出ることはない。T2 搭載の Intel Mac と、すべての iPhone、iPad、および Apple silicon 搭載の Mac では、一方通行の Secure Enclave の中にロックされている。その一方で公開鍵の方は、秘密鍵で署名されたあらゆるものの身元を確認できる。

この公開鍵暗号方式の弱点は、一つの公開鍵を誰が持っているかを第三者が検証できる手段が鍵を生成するプロトコルのいかなる部分にも存在していないことだ。そのためにこそ基盤構造が築かれる。その昔の Pretty Good Privacy (PGP) の時代には、鍵サーバがいたる所にあった。その後 Keybase がより現代的な手法を提供したが、それでも依然として信用に依存する部分が多かった。現在 Keybase は Zoom が所有しているが、大規模に採用されたことはなかった。Apple の Identity Directory Service はあらゆる暗号化ソフトウェアとデバイスハードウェアとサーバテクノロジーに Apple が制御の手を及ぼしていることを活用しているが、それでもやはり Apple はセキュリティ研究者たちの指摘が正しいことを認めている。つまり、最高レベルの保護を与えるには十分でない。Apple がそれを認めたのは、スパイウェアを通じた Messages 経由の政府機関による攻撃を Apple が数多く経験したことによる。Apple はこの件で NSO Group を相手に訴訟まで起こしている。(2021 年 11 月 24 日の記事“Apple の訴訟、スパイウェア企業 NSO Group を追う”参照。) この訴訟は数多くの裁判所を経て現在ゆっくりと進展しているところだ。

デバイスが生成した暗号化されない公開鍵を保存するディレクトリの弱点を緩和するために、Contact Key Verification は追加の鍵を使う。そのことは上で説明した通りだ。この独自の鍵はあなたの iCloud デバイスセットの中のみで共有され、あなたの iMessage 公開鍵に対して一方向のみの暗号化処理を通じて署名を生成する。この署名を偽造することはできない。認証可能な署名を作成するためにはオリジナルの鍵を持っていなければならず、そのオリジナルの鍵はあなたのデバイス上にしか存在しないからだ。(これもまた、あなたのすべてのデバイスとそのパスコード/パスワードを物理的なアクセスから保護することがこの上なく重要である理由の一つだ! ご自分の銀行アカウントへのアクセスを許せるほど信用できる人以外には決してあなたのパスコードを知られてはならないし、公衆の面前で決してパスコードを入力してはならない。これについては 2023 年 2 月 26 日の記事“iPhone のパスコードを盗まれるとデジタルライフを丸ごと奪われるかも”と 2023 年 4 月 20 日の記事“パスコード盗人は如何にして iCloud アカウントからあなたを閉め出せるか、しかも永久に”参照。

この署名が基本的に 8 桁の数字のコードへと暗号学的に凝縮される。二人の人が同じ 8 桁の数字のコードを見ることで、欠けていた部分が補われて輪が完成する。こうして二人のデバイスがその二人の iMessage アカウントのための鍵に関する信頼の源となる。ここで Apple の Identity Directory Service は使われない。もしも何かが変更を受ければ、個々のデバイスが Apple の Identity Directory Service あるいは transparency log との食い違いを検出できるに十分な情報を得ることができる。

Contact Key Verification は、セキュリティ研究者たちが Apple なら可能だと長く語り続けてきたクラス最強の堅牢性を iMessage に与えるために、大きな役割を果たす。日常的なユーザーにとってはマイナーな機能に思えるかもしれないが、コミュニケーションに不正侵入されることで生計の手段が、あるいは生命そのものが、脅かされる可能性のある人にとっては、この上なく大きな前進だと言える。

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

Retrobatch 2.0 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

Retrobatch 2.0

Flying Meat が Retrobatch 2.0 をリリースした。これは、Adam Engst が記事“私が実際に使う 46 個の Mac アプリとそれぞれの理由”(2023 年 4 月 19 日) で紹介した、画像のバルク処理をするためのユーティリティだ。今回アップグレードされたこのアプリはいくつかの新しいノードを追加した。具体的には機械学習を使って画像を最大 4 倍までスケールする Super Resolution ノード、iCloud からもダウンロードできオリジナルを Photos へ書き出せる Photos Export ノード、Get Selected Finder Images ノード (App Store 版にはない)、GPS ノードだ。

Retrobatch 2 には標準版と Pro 版があり、後者はより多くのノード (AppleScript、PDF Image Extractor、PSD Maker など) を含んでいる。Retrobatch Pro 2 では他の画像との間で色の違いを計算する Image Diff ノード、画像をスキャンしてテキストを抽出しそれをファイルに書き出す Extract Text ノード、クリップボードを監視して新たな画像がコピーされる度に自動的にワークフローを走らせる Clipboard Watcher が追加された。

また、Retrobatch のいずれの版でもプレビューウィンドウが拡張されて選択されたノードのリストが左側に表示され、右側に現在処理中の画像の大きなプレビューが表示されるようになり、Shortcuts 対応が追加され、SVG ファイル読み込みへの対応 (macOS 13 Ventura かそれ以降が必要) が追加され、Windows & Screenshots ノードでウィンドウからシャドウを除外するオプションが追加され、Border ノードで角に丸みを付けるオプションが追加された。標準版の Retrobatch 2 の価格は $29.99 で、Pro 版の価格は $49.99 だ。従来の Retrobatch Pro ライセンスからは $24.99 でバージョン 2 にアップグレードできる。(新規購入 $29.99/$49.99、TidBITS 会員には新規購入 20% 割引、無料アップデート、51.2 MB、リリースノート、macOS 12+)

Retrobatch 2.0 の使用体験を話し合おう

Keyboard Maestro 11.0.1 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

Keyboard Maestro 11.0.1

Stairways Software の Peter Lewis が Keyboard Maestro 11.0.1 をリリースして、この自動化およびクリップボード用ユーティリティの最近のメジャーアップグレード (2023 年 10 月 27 日の記事“Keyboard Maestro 11”参照) にいくつかバグ修正を施した。今回のアップデートでは Create Calendar Event アクションを使う際に Calendar に許可をリクエストするようになり、Press a Button やその他のアクションが動作に失敗してもマクロを中止できなかったバグを解消し、一部の Wireless Network トリガー名で起こることがあった問題に対処し、macOS 14 Sonoma の下でマクログループの Toggle ウィンドウがフォーカスを奪っていた問題を解消し、壊れた 1Password ブックマークがクラッシュを起こす問題を緩和し、Select Menu by Name アクションに関するいくつかの問題を修正した。2023 年 3 月 1 日以後に Stairways Software から Keyboard Maestro を購入した人には無料アップグレードだ。2023 年 12 月 15 日までの期間限定で、2023 年 3 月 1 日より前にライセンスを購入した人は $18 でバージョン 11 にアップグレードできる。(12 月 15 日を過ぎればアップグレード価格が $25 になる。) (新規購入 $36、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、アップグレード $25、37.3 MB、リリースノート、macOS 10.13+)

Keyboard Maestro 11.0.1 の使用体験を話し合おう

BusyCal 2023.4.4 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

BusyCal 2023.4.4

BusyMac が BusyCal 2023.4.4 をリリースして、Quick Entry をスペイン語、イタリア語、オランダ語の自然言語入力対応で拡張した。このカレンダーアプリはまた、タスクを変更日や作成日の順で並べられるようになり、カレンダーのソースリストにカレンダーをアルファベットに並べるコンテクストメニューオプションを追加し、自分が主催者である Google ミーティングの My Status を変更できるようになり、一部の機能対応を誤って宣伝しているカスタム CalDAV サーバとの同期を改善し、まだ開始していないイベントで移動時間の報告が止まったりリマインダーを出さなくなったりしたバグを修正した。(BusyMac からも Mac App Store からも新規購入 $49.99、無料アップデート、Setapp からも利用可、57.7 MB、リリースノート、macOS 10.15+)

BusyCal 2023.4.4 の使用体験を話し合おう

GarageBand 10.4.9 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

GarageBand 10.4.9

Apple が GarageBand 10.4.9 をリリースして、Learn to Play レッスンや Chord Trainer を開く際にアプリがクラッシュしたバグを修正した。この音楽制作およびオーディオ編集アプリは Controls View で開いた際にすべてのプラグインにアクセスできるようにし、VoiceOver を使う際の安定性を改善し、Takes を含むトラックでも Follow Mode for Drummer が動作するようにし、Logic Remote を使って楽曲を保存した際に Save ウィンドウを開き直さないようにし、Audio 出力を切り替えた際に Audio 入力デバイスも切り替わってしまうことがないようにし、今回から macOS 13.5 Ventura 以降を要するようになった。(Mac App Store から無料、無料アップデート、854.1 MB、リリースノート、macOS 13.5+)

GarageBand 10.4.9 の使用体験を話し合おう

Lunar 6.4.2 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

Lunar 6.4.2

Alin Panaitiu がバージョン 6.3 の Lunar 月初めにリリースして、このディスプレイ輝度制御ユーティリティに改良とバグ修正を施した。そのアップデートでは可能な限り Apple 外付けモニタの照度センサーの利用を試みるようにし、Auto XDR を採用する際にはセンサー照度のウィンドウ平均を使用するようにし、メニューバーアイコンのサイズを小さくし、macOS 14 Sonoma で接続されていないディスプレイの情報を取り寄せる際のディスプレイ接続のバグを回避し、Sonoma で OSD チクレットが消えた問題を修正し、クラッシュ後の再起動でディスプレイの状態を保存しようとする際に起こったハングを解消した。

Apple の Scary Fast 製品発表の後に Lunar 6.4 がリリースされて、新しい M3 MacBook Pro と M3 iMac の各モデルへの対応を追加し、スクリーンがロックされている場合に Lunar 調整を無効化するようにし、カーソルをサイドバーノブの中央に置いて位置がずれないようにした。その後のバージョン 6.4.1 で、カスタムプリセットがそれ以前に削除されたプリセットと同じ名前で保存された場合に正しく適用されていなかったバグを修正した。さらにバージョン 6.4.2 が 6.4.1 で導入されたプリセット関係のクラッシュに対処した。(新規購入 $23、無料アップデート、20.24 MB、 リリースノート、macOS 11+)

Lunar 6.4.2 の使用体験を話し合おう

ChronoSync 11 and ChronoAgent 11 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

ChronoSync 11 と ChronoAgent 11

Econ Technologies が同期およびバックアップ用ツール ChronoSyncChronoAgent のダイヤルを回して (バージョン) 11 に上げ、macOS 14 Sonoma とフル互換にするとともに、クラウド保存されたファイルの管理を改善するなどした。ChronoSync は Google Drive、OneDrive、Dropbox、Box (およびその他のクラウドサービス) 用の新しい File Provider Extensions を追加し、クラウドサービスのターゲットのサイズを Locally Mapped Cloud Storage で報告するようにし、AWS S3 および Google Cloud 接続プロファイルのデータ転送パフォーマンスを改善し、(macOS 11 Big Sur とそれ以降で) Bootable Backup アシスタントにブート可能バックアップ非推奨の警告を追加した。

ChronoAgent はクライアント報告で Full Disk Access が認められているか否かの情報を復活させ、あらゆるコピー操作でデフォルトのコピーバッファサイズを増やし、タスクから出力を読み戻す必要のある shell タスクを実行する際のパフォーマンスを改善した。いずれのアプリも今回から 10.14 Mojave かそれ以降を要する。従来の ChronoSync や ChronoAgent のライセンスを持っていれば無料でバージョン 11 にアップグレードできる。(ChronoSync は新規購入 $49.99、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、110.1 MB、リリースノート、macOS 10.14+。ChronoAgent は新規購入 $14.99、67.4 MB、リリースノート、macOS 10.14+)

ChronoSync 11 と ChronoAgent 11 の使用体験を話し合おう

Logic Pro 10.8 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

Logic Pro 10.8

Apple が Logic Pro をバージョン 10.8 にアップデートして、このプロフェッショナル向けオーディオアプリに一連の新機能を追加した。さまざまの直感的なサウンドシェーピングツールを備えた Mastering Assistant、一つのオーディオサンプルを演奏可能なサウンドへ変換できる Sample Alchemy、オーディオをリアルタイムで変形させたりシャッフルさせたりできる Beat Breaker マルチエフェクトプラグイン、また対応デバイスを使用している場合の 32-bit フロートでの録音への対応もある。

リリースノートには 200 件近くの改善や修正がリストされており、MIDI 2.0 が有効化された状態で MIDI を出力する Audio Unit を使った場合の安定性を改善し、Show/Hide Automation Groups のパフォーマンスを高速化し、Live Loops で VoiceOver によるシーンの呼び出しに対応し、領域間での領域ベースの Automation のコピーとペーストに対応するなどが挙げられている。Logic Pro 10.8 は macOS 13.5 Ventura かそれ以降を要するようになった。(Mac App Store から新規購入 $199.99、無料アップデート、1.2 GB、リリースノート、macOS 13.5+)

Logic Pro 10.8 の使用体験を話し合おう

ExtraBITS

Adam Engst  訳: Mark Nagata   

Do You Use It? Apple サービス

近年、Apple は自社の有料購読サービスに多大な努力を払うようになってきた。具体的には iCloud+Apple MusicApple TV+Apple News+Apple Fitness+Apple Arcade だが、複数個のサービスを使う人たちのために Apple は割引料金の Apple One バンドルまで作った。Apple が力を入れているのは不思議でも何でもない。この Services 部門が、今では会社の収益の4分の1近くを占めるようになっているからだ。でも、TidBITS 読者たちはどの程度これらのサービスを購読しているのだろうか? これが今週のアンケートの質問だ。あなたはどの Apple サービスに料金を払い、かつ使っているだろうか?もちろん "None" (なし) というのも選択肢の一つだ。

上の質問で「かつ」という言葉を使った理由は Apple One バンドルがあるからだ。例えば私は Apple One Premier に料金を払っているけれども、2 TB の iCloud+ ストレージと Apple Music と Apple TV+ しか使っていない。バンドルに含まれるそれ以外のサービスに興味はない。だから、Apple One を購読している場合は、Apple One 項目を選んだ上で、それに加えてあなたが実際に使っている個々のサービスの項目も必ず選んで頂きたい。それに続く質問で、Apple Music、iCloud+、Apple One についてどのプランを使っているかも示して頂きたい。

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