光のように速いデータベースはいかが?寄稿編集者の Matt Neuburg がこれまで使った汎用データベースでは最高のものと折紙をつけている ProVue Development 社の Panorama 4.0 の詳細を覗いてみよう。Mark Anbinder は Apple のよりセキュリティを強化し独自の AOL 対応を売りものにした AirMac 2.0 について報告。ニュースの部では、Mac OS X 10.1.1, Microsoft Office X, Now Up-to-Date & Contact 4.1, それに Suitcase 10.1 のリリースについて扱っている。来週は休刊です!
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次号は 03-Dec-01! -- 慣例によって、米国の Thanksgiving 祝日のため次週は休刊とします。従って次号は 03-Dec-01 となります。[ACE](カメ)
TidBITS へ投票を! -- 今 Low End Mac の Web サイトで今年の Best of the Mac の Web 投票を 11月22日まで実施中である。そこで、もし TidBITS の認知度向上に手を貸してもいいとお思いなら、TidBITS への一票を含んで投票フォームに書きこんで欲しい。但し、Low End Mac の人達は、自分になじみのあるサイトにのみ投票するよう望んでいる - それにしてもリストされているサイトの数の多さには驚かされる。[ACE](カメ)
<http://lowendmac.master.com/texis/master/search/+/form/Best+of+the+Mac+Web.html>
Mac OS X 10.1.1 アップデートリリースされる -- Apple の Mac OS X 10.1.1 アップデートが Apple の最新のオペレーティングシステムに多くの修正と改良を加えて 11月13日に Software Update 経由で使うようリリースされた。このアップデートでは多くの USB 及び FireWire デバイスに関して具体的中身は明らかでないが改良がなされ、その結果、認識されるデジタルカメラの種類が増え、CD や DVD の焼付け機能が改善された。Networking にも手が加えられて AFP, SMB, それに WebDAV プロトコルの動作にも変更がなされた(TidBITS-602「Mac OS X 10.1 で解決されたセキュリティ問題点」で取上げた iDisk/WebDAV セキュリティホールへの対策も含んでいるが、Apple はまたもや自分の Security Updates ページ上で更新をタイミング良く行うのに失敗してしまった)。Finder と Mail のアプリケーションも改善され(が中身は具体的にされていない)、そしてプリントサポートも改善された。ハードウェアの性能をフルに利用したビデオミラーリングも最新の PowerBook G4 に対して使えるようになった。このアップデートは Software Update システム機能設定パネルからのみ実行可能で 14 MB のダウンロードとなっている。Apple によれば、この最新の Mac OS X アップデートを実行するには、事前に 11月8日にやはり Software Update 用にリリースされた Installer Update 1.0 がすでにインストールされていなければならない。[JLC](カメ)
<http://www.apple.com/macosx/upgrade/softwareupdates.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06602>
<http://www.opendoor.com/macosxalert.html>
<http://www.apple.com/support/security/security_updates.html>
日本語版<http://www.apple.co.jp/ftp-info/reference/macosx_10.1.1_update.html>
Microsoft Office X 出荷 -- 本日の Microsoft Office X for Mac OS X のリリースで Mac OS X が主流となるための大きな障害の一つが越えられた。TidBITS-591 の「Microsoft Office 10 のアメとムチ」でも取上げた新機能群に加えて、Word X では Office アドレスブックをデータソースとして使える Data Merge Manager の強化を謳っており、Excel X では改善された List Manager が約束され、そして PowerPoint X では多重スライドマスタ、多重言語サポート、そして画面切り替え効果での Quicktime サポートがある。Entourage X が一番変った。まず他の Office ドキュメントからペーストする時テキストフォーマットも保持するようになった、最近使れたアドレスリストも提供する、カレンダーインターフェースも新しくなった、国際アドレスフォーマットもサポートし、Keychain とも連携する、標準時間帯の変更にも対応、スピードも早くなった、メッセージ、署名、それにノートの中でもリッチテキストをサポートするようになった。Microsoft Office X はPowerPC G3 ベースの Mac かそれ以上で最小 128 MB の RAM と 196 MB のディスクスペースがあり Mac OS X 10.1 が走っている必要がある。新しいコピーは $500 で、アプリケーション個別で買う場合は $400 である。アップグレードの値段は多少ややっこしい;Office 2001, Office 98, Word 2001 + Entourage 2001 Special Edition、あるいは Office 個別アプリケーションからのアップグレードでも $300 である。但し、2002年1月18日までは Office 2001, Word 2001 + Entourage 2001 Special Edition、あるいは Office 2001 個別アプリケーションからのアップグレードは $150 である。2001 か 98 バージョンからのどの個別 Office アプリケーションへのアップグレードの場合もやはり $150 である。Office 2001 を 2001年10月24日から 2001年12月31日までに購入した人は誰でも Office X への無償のアップグレードを Microsoft の Technology Guarantee プログラムを通して入手できる。もし Office を全く持っていないか、あるいは Office 98 より古いバージョンの持主なら、この Technology Guarantee プログラムを通せば、Mac OS 8.1 かそれ以降用の Office 2001 のコピーを Office X for Mac OS X 付きで求められる。[ACE](カメ)
<http://www.microsoft.com/mac/officex/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06514>
<http://www.microsoft.com/mac/officex/prodinfo/t_upgrade.asp>
<http://www.microsoft.com/mac/officex/prodinfo/techguarantee.asp>
日本語版<http://www.microsoft.com/japan/mac/>
Now Up-to-Date & Contact 4.1 が Mac OS X ネイティブとなる -- Power On Software は Now Up-to-Date & Contact 4.1 をリリースした。これは、同社の長く続いているカレンダーとコンタクトマネジメントプログラムの Mac OS X バージョンである。機能のほとんどは Mac OS 9 対応版の 4.0.3 バージョンと変りはないが(これが Mac OS 9 ユーザには最新版であることに変りはない;TidBITS-582 の「Now Up-to-Date & Contact 4.0 のリリース」参照)、Mac OS X の制限からの影響で、Palm 同期機能はなく、メニューバー警告もなく(警告ダイアログはある)、QuickContact に対する Hot Key もなく、自動ダイヤルサポートもなく、そして情報を手短に追加する Grab 'n Go ユーティリティもない。微小な変更としては、 Mac OS X 下にある共通イベント・コンタクトサーバに対する新しいポート番号を必要とし、Mac OS X 標準に従ったメニューの再編成が少々である。我々のテストの結果では、ベータ版は良く動いた。他の数多くの Mac OS X アプリケーションができなかった様に Palm 同期機能は付いていないが、Mac OS X と Aqua インターフェースの下での Now Up-to- Date & Contact の使用感は Mac OS 9 のものと同じ使用感を維持している。ファイル形式は同じなので、同じカレンダーとコンタクトファイルを Mac OS 9 と Mac OS X のバージョンの間で行ったり来たりして使っても問題はない。但し、重複を避けるため Mac OS X の Classic 下で QuickContact と QuickDay を走らせないように気をつけるべきである。Now Up-to-Date & Contact はダウンロード版で $120 である;箱入り版も $130 で入手できる;以前のバージョンからのアップグレードは $50 である。30日の期限付きトライアル版 (22 MB) も出されている。[ACE](カメ)
<http://www.poweronsoftware.com/products/nudc/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06449>
Extensis 社 Suitcase 10.1 をリリース -- Extensis は Suitcase 10.1 をリリースした。これで長年活躍してきたこのフォントマネージメントソフトウェアも Mac OS X 対応となった。今年早く Mac OS 9 用で出された機能に加えて(TidBITS-585の「Suitcase 10 出荷」参照)、このアップデートでは、Classic アプリケーションに対してフォントを使用可、使用不可の切替ができる Suitcase Bridge が含まれている。Suitcase 10.1 はSuitcase 10 の登録ユーザに対しては無償のアップグレードである;それ以外の人には、新しいコピーは $100 で、古いバージョンからのアップグレードは $50 である。期限付きのデモも U.S. English, German, French で 14.4 MB のダウンロードとして入手可である。[JLC] (カメ)
<http://www.extensis.com/suitcaseten/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06468>
文: Mark H. Anbinder <mha@tidbits.com>
訳:斎藤 美礼<mirei@x.age.ne.jp>
ワイヤレスネットワーキングを家庭や中小企業で手の届く存在にしてから約2 年が経ち、Apple が AirMac のワイヤレスベースステーション、カード、ソフトウェアの新しいバージョンを発表した。新しい AirMac には 128 ビットの暗号化、America Online(AOL)のサポートの機能が加えられ、内蔵のファイアウォールと、ベースステーションの 2 つ目のイーサネットポートも追加され、さらにユーザーのアクセスがベースステーション 1 台につき最大 50 まで拡張された。製品の価格は依然としてベースステーションが 300 ドル、各コンピュータに挿すカードが 100 ドルである。
<http://www.apple.com/airport/>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1210>
ネットワークの観点からすると、新しい AirMac の 2 つ目のイーサネットポートによって、ベースステーションがインターネット接続を有線のネットワーク上にある複数のコンピュータと共有し、かつ有線のネットワークを切り離しておくことができるため、安全性が高くなっている。この LAN ポートは10/100Base-T ポートで、ほとんどのApple 社製のコンピュータのポートと同じものであり、高速なネットワーキングが可能である。もう 1 つのネットワークポート(WAN)は 10Base-T ポートのままであり、DSL またはケーブル接続用に最大 10 Mbps の通信速度を提供する。
セキュリティ面では、Apple は暗号化機能を改善し、802.11b ワイヤレスネットワーキングの規格である 128 ビットのパスワード機能を最大限に利用している。(しかし、TidBITS-592 の「ワイヤレスはガラス張り」で、最近のワイヤレスネットワーキングでの主なセキュリティ問題について詳細を確認してほしい。128 ビットのパスワードは長い暗号鍵をサポートしているが、その根底にある WEP の暗号化システムはやる気のあるアタッカーに容易に解読される可能性がある。)128 ビット暗号化を使用するには最新のAirMac カードをユーザーのコンピュータに取り付けるか、サードパーティの 128 ビット機能を持つカードを刺す必要がある。古い 64 ビットの暗号化の方式も旧型のカード用にサポートされている。
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06520>(日本語)ワイヤレスはガラス張り
新しい AirMac の機能には、基本的なファイアウォールによる保護、認証されていない外部ユーザーのネットワークリソースへのアクセス防止などがある。ユーザーはインバウンドのポートマッピングを可能にすることも選択でき、外部から AirMac に接続されているマシンの特定のサービス(Web サーバなど)へのアクセスを許可できる。新しいベースステーションは複数の機器のユーザーアクセスを中央で管理する RADIUS(Remote Authentication Dial-In User Service)をサポートするので、ちょうどダイヤルアップのモデムプールなどのように、学校や企業で、中央のユーザーリストを設定し、それを 2 つ以上のベースステーションに適用することができる。AirMac クライアントソフトウェアは Cisco のアクセスポイントとの認証のためのCisco LEAP (Lightweight Extensible Authentication Protocol) に対応するようになった。
<http://www.apple.com/airport/faq/>
おそらく、最も重要なのは、AOL ユーザーがようやく AirMac の内蔵モデムを経由してワイヤレスでアカウントに接続し、インターネットにアクセスできるようになったことだ。しかし、Apple によると、複数のユーザー間で同時に接続を共有するには、複数の AOL アカウントが必要だ。同社は AOL との互換性によってサポートされるのは、アメリカ版の AOL 5.0 だけだと述べている。AOL と互換性があるアクセスポイントは今のところ他になく、Apple がほかの安価で機能も充実したワイヤレスアクセスポイントよりも有利な点となっている。
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06416>(日本語)他の AirPort へ飛ぶ
AirMac 2.0 のソフトウェアも同時にリリースされ、旧型の AirMac ベースステーションとカードをすべてサポートしている。このソフトウェアは AOLとの互換性を旧ベースステーションに追加し、旧型のカードを 128 ビット暗号化に対応するようアップグレードする。(旧型のベースステーションは依然として 40 ビットの暗号化にのみ対応となる。)現在 AirMac を所有している場合、最新のソフトウェアを Apple のソフトウェアアップデート機能によってダウンロード可能である。AirMac 2.0 のインストールと、同じく先週リリースされた Mac OS X 10.1.1へのアップグレードが、ソフトウェアアップデートを使用するとうまくいかなかったというユーザーの報告もあるので、初めに Mac OS X 10.1.1をインストールし、それから新しい AirMacソフトウェアを試してほしい。
文: Matt Neuburg <matt@tidbits.com>
訳: 倉石毅雄 <takeo.kuraishi@attglobal.net>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>
ここではっきり宣言しておこう。ProVue の Panorama は私が使ったことがあるデータベースプログラムのうちでは最高だ。
<http://www.provue.com/panorama.html>
もっとも、私は典型的なデータベースユーザではない。「企業用ソフト」を走らせているわけではない。自分の情報を安全かつアクセスしやすくしたいだけである。そのような用途では Panorama が非常に気に入ってしまったので、私は自分のデータを 全て 移し、今まで FileMaker、Helix、 HyperCard などで行っていた作業を集約してしまった。アドレス帳、蔵書本や LP の目録、日記、そしてメールのダイジェストを個別のメッセージとしてアーカイブし、話題ごとに読む自作のシステムまで、全てPanorama ファイルに変換した。さらに Panorama は外部スクリプトからの自動化が可能なので、カタログデータを保存し、それを Frontier でウェブページに変換するのに使用している。
<http://www.ojai.net/threadsofjoy/wool.html>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1168>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=05814>(日本語)復活: Helix の逆襲
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=04075>
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1134>
Panorama は 1988 から(前駆者の OverVue を数えれば、1984 年から)Mac で使用可能だった。しかし、これ以前のバージョンをここまでは気に入りはしなかっただろう。最新の Panorama 4 に含まれる多くの改善点のおかげで嬉しい熟成の域に達した。PowerPC ネイティブで、ウィンドウズとも互換性がある。最近のメンテナンスリリース 4.0.1 ではさらに機能を増やし、いくつかの重要な問題を修正した。
ハイライト -- Panorama は RAM ベースだ。開いたデータベースは完全にメモリにある。当たり前だが、データを完全に収容できるだけのメモリがなければ、Panorama は使えない。しかし、RAM は今では安く、広く手に入り、Panorama はそれを完全に活用する。Panorama に 32 MB を与えれば、50万の名前と住所のデータベースは十分に使用できる。そして RAM ベースのアプローチには三つの大きな利点がある:
速さ。データへのアクセスは瞬間的だ。並び替えや、全データから情報を抽出したり、項目に計算された変更を施すのは電光石火だ。
単純明快。この速さのおかげで索引が必要なくなる。そしてまた、値が変更されたときに二重の情報更新がなくなるため、速さがさらに増す。データベースのファイルは、表示情報などをコンパクトなバイナリ形式で含む以外は純粋にデータだけで構成される。そのため、Panorama のファイルは小さい(大抵の場合、同じ情報をFileMaker で保存した場合の半分以下)。また、安全である。自分のデータをテキストエディタで読むことができ、非常の場合にはそれで抽出できる。
可変性。FileMaker で間違えてデータを変更してしまい、既にディスクに書き込んでしまったのを発見したことが何回あったか、思い出して欲しい。Panorama は指示されるまで何もディスクに書き込まない。Panorama の速さと併せ、これは自由な実験を可能にする。何かを間違えたら、保存されたバージョンに戻れば良いだけだ。だから可変性は利点なのだ。データの可変的な操作は Panorama の標準的なテクニックだ。一度も保存することなく、フィールドを加え、データを入力し、結果に基づいて何か行い、フィールドを削除してみることが出来る。
複数の視点 -- Panorama にはデータベースを見る方法が三つある:データシート、フォーム、そしてデザインシートだ。
データシートはいわば、全てのデータを表示する格子もしくは表だ。各行がレコードであり、各列がフィールドだ。データシートは非常に便利で助かる:データを編集するのに一番楽な場所であり、データ全体の安全性の見直しのためにいつでもそこに戻れる。
フォームはユーザが作成するカスタムビューだ。アプリケーションのウィンドウと似ている。フォームにどのデータがどのように表示されるかはユーザ次第だ。フォームのデザインはグラフィックモードで行うのだが、これはある面では私が使用したことのあるほとんどの描画ソフトに優る。例えば、どんな混み合った場においても、オブジェクトを選択し高精度でその大きさを調整したり、複数のオブジェクトを同時に調整するためなどに、非常に優れた方法が提供されている。編集可能や編集不可のフィールド、ボタン、ポップアップメニュー、コンボボックス、スクロールリスト、表のようなマトリクス、スクロールバー、バルーンヘルプ、表、画像、動画、そして驚くほど機能が揃ったテキストエディターなど、非常に多くのインターフェースウィジェットが使える。
フォームはレコード一つずつから、もしくは全レコードから縦一列に並べてデータを表示する。同時に複数のフォームを開いても良い。どれかで表示、もしくは選択されているレコードは他の全てにも表示される。これは素晴らしい機能だ(特に Helix で同じことを行うためのややこしい手順を考えれば)。
デザインシートはデータベースの設計を表示する:各行がフィールドで、各列がフィールドのプロパティである。フィールドを足したり、削除してその働きを調べるのに便利な場である。ここでは特定の構造的な作業がうまく働く。目の前に情報が並べられているのは非常に役に立つ(FileMaker でダイアログを通してデータベースの構造を探索する難しさと比べてみるといい)。
Panorama は大きいが、効率的に使用し始めるために全てを学ばなければいけないということはない。働きを知るための道のりは三段階のプログラミングとして考えればよい。データをどのように扱うかはどれだけのプログラミングをする気があるかによる。この三段階を見てみよう。
プログラミングなし -- 基本的な手動の作業はデータの入力と編集だ。それを助けるために、Panorama には多くのショートカットがある。タイプするとフィールドは自動的に以下を行える:大文字や書式の変換、自動初期化、重複のチェック、軽い検証、そして既存の値に基づいてタイプ予測など。
レコードは何重にも並び替えられる。手で並び替えてコピー、貼り付け、複写、前や後への移動なども出来る。ひとつ毎にでも一度のまとめてでも削除できる。
レコードの検索は二つの方法で出来る。順番に(Finding と呼ばれている)、そして一時的に一致しないものを隠すこと(Selecting と呼ばれる)によってだ。まず複雑な検索を構築することも出来るが、そんな必要はない。その代わりに、検索を行い、その結果をさらに別の検索で絞り込んでいける。正規表現のサポートがないのは残念だが、軽いワイルドカード文字はある。
Panorama は合計、平均、回数、差などの計算を使用して、まとめや副まとめを作ることも出来る。まとめもレコードである。生のデータを表示したり隠したりして、結果を調べるのを楽に出来る。まとめの用が済んだら削除すればよい。Panorama の「可変性」思考の良い例だ。Excel のスプレッドシートみたいに具現化されている。Excel のスプレッドシート同様、クロス表作成やグラフ作成も出来る!そしてまた、Panorama の速さのおかげで、これらの機能を使用してのデータ分析もほとんど待ち時間がない。
データをさらにこねることもできる。一つの、もしくは、全てのフィールド内で検索と置換を行える。フィールド全部に順に番号付けも出来る。フィールドの値をその下のフィールドにコピーすることも出来るし(Propagate と呼ばれる)、逆に上と同じ値のフィールドを空にすることも出来る(Unpropagate と呼ばれる)。重複を検索して削除するのも容易だ。
繰り返す(レコードあたり複数の値を持つ)フィールドの扱いも上手である。それぞれの繰り返しは別のフィールドだが、フィールド名(例えば、値段 1、値段 2、など)のフォームから Panorama はそれらがひとまとまりであることを認識する。一つに構造的な変更を加えると、Panorama は全てを変更するか尋ねてくる。その結果、簡単な一対複数の状況ではデータベースはリレーショナルである必要はない。
Panorama はまたラベルやレポートを印刷でき、そのレイアウトや細部も自由に調整が効く。
ファンクションのプログラミング -- Panorama には 200 以上のデータ操作用のファンクションがある。色々な状況において、いくつかのファンクションを含んだ表現をタイプすることが出来る。タイプする助けに階層メニューがそれらを全てリストする。算術的、統計、論理、日付、テキスト操作などを行うためのファンクションがある。他の関数は、データベースについての情報を取ってきたり、クリップボードにアクセスしたり、ファイルやりソースフォークを読んだり、画像構造を変換したりする(これらはプロシージャプログラムの一部として使われることが多いはずだ)。さらに、「調べる」機能はデータベース間の情報を照らし合わせ、関連付ける。
機能的プログラミングの典型的な使い方としてはファンクション表現をフィールドに関係させるというのがある。スプレッドシート同様、ファンクションが依存する値が変化すると、新しい結果がフィールドの新しい値になる(このようなフィールドは「計算フィールド」ではない。ファンクションは値を入力するだけである。手で別の値を入れることも出来る)。数式を使用して、フィールド全体で値を生成したり、検索と置換を行ったり、複雑な検索表現を構成したりすることも出来る。
数式はフォームでも使用できる。例えば、テキスト表示ウィジェットは数式の結果を表示できる(名フィールド、空白、姓フィールドなど)。FileMaker とは対照的に、余分な計算フィールドでデータを埋める必要はない。計算は、それがあるべきフォーム内で行われる。
プロシージャのプログラミング -- Panorama の第2のプログラミング言語は、プロシージャによるもの、すなわちコマンドの連続から成るスクリプト(プロシージャ)を構成する、というものだ。この言語は Panorama に特有のものだが、言語を実際に学ばなくても自動化の手続きを定義することはできる。プロシージャ用のすべてのコマンドをリストしたメニューがあって入力が簡単にできるし、レコーディング機能もあって一連の動作をコマンドのプロシージャとして記録させることもできる。それでも、言語を学んでおけばそれだけの価値はある。なぜなら、見かけ上の荒削りな単純さにもかかわらずこの言語は非常にパワフルであり、驚くほど精妙にできているからだ。プロシージャは単なるテキストとして普通のウィンドウにタイプして入力することができる。これが FileMaker でのダイアログによるスクリプトの構成に比べてどんなに楽なことか! また、インタラクティブなデバッグのできる設備もある。
プロシージャに現われるコマンドは、データやデータベース構造を処理・変更できるばかりでなく、フォームのインターフェイス・ウィジェットを編集することさえもできる。インターフェイス・ウィジェットはカスタマイズされたダイアログを表示したり、データベースを開いたり閉じたり、ウィンドウの処理をしたり、データの読み込み・書き出しをしたり、ファイルのデータやリソースを扱ったりする。簡単に言えば、プロシージャのコマンドによって、あなたがマウスとキーボードでできるあらゆること、またさらにそれ以上のことも、何でも自由に Panorama に実行させることができるのだ。プロシージャのコマンドはまた、Panorama を外部からスクリプトで扱う際にもキーとなっていて、これはあなたの書いたプロシージャのテキストを AppleScript の“do script”コマンドによって Panorama に送ることで実現される。
プロシージャは変数を定義することができる。これらの変数は、5種類あるスコープのうちから好きなものを持つことができる。純粋に局所的かつ一時的なスコープから“永久”に有効で自動的にデータベースと共に保存されるスコープまで、いろいろの種類がある。(これと対照的に FileMaker では、変数といえばフィールドしかあり得ない。)各変数値は個別に入力するか、またはフォーム・ウィジェットによって設定することもできる。また、変数値をフォーミュラで使用することもできる。こうして、これらの変数は、情報を収集してあちこちに伝達するための重要な手段となる。例えば、ポップアップメニュー・ウィジェットがある変数の値によってメニュー項目を構成させる、ということができる。その変数の値を変更するだけで、次回にそのポップアップメニューを開いた時にはメニュー項目の内容が変わっているわけだ。
プロシージャはさまざまの方法で実行させられる。カスタマイズ可能なメニューから選べば動作するし、フォームの中のインターフェイス・ウィジェットに付随させて、例えばボタンを押せば動作するようにすることもできる。また、もっと間接的にユーザーのアクションに対応させてプロシージャを起動させることもできる。例えば、先程の例のように名のフィールド、空白、姓のフィールド、と表示するテキスト・ウィジェットを考えてみよう。ユーザーがこのテキストの編集を終えた時に自動的にプロシージャが実行されるように指定しておくことができて、例えばそのプロシージャは入力されたテキストを分割して、名のフィールドと姓のフィールドにそれぞれ正しくはめ込む、ということができる。こうして、氏名の入力も表示も、ユーザーにとっては全く自然にフルネームとして行なわれ、一方データベース内部では陰で自動的に名と姓とが別々のフィールドの内容として扱われるわけだ。
この例は、可能性のほんの“さわり”でしかない。このプロシージャ言語にフォーム・ウィジェットが加われば、すでにあなたはデータベースを背後に備えたプログラム可能なインターフェイスを操っていることになる。ちょうどHyperCard がそうだったように、だ。その可能性はまさに驚異的なもので、Panorama はさまざまのツールや実例を装備してこのことをあなたに実証してくれている。カレンダー / リマインダのツールや、電卓、ストップウォッチ、差し込みメールのツールもある。データの読み込みや書き出しの助けとなるツールや、データベースのウィンドウの再配置やサイズ調整のツール、ファンクションをテストするツール、フォーム内のインターフェイス・ウィジェットをリストするツール、プロシージャのコードを検索するツールもある。こうしたツールの多くはあまりデータベースのようには見えないが、それでもこれらはそれぞれそれ自身がひとつのデータベースなのだ。Panorama の _インストーラ_ さえもが、Panorama データベースなのだ! こうして、Panorama 環境というものは全体として、その環境自身によって作られたツールたちによって補強されたツール作成環境を成している。これもやはり、まさに HyperCard と同じだ。
プロシージャは他のプロシージャを呼び出すことができ、サブ−プロシージャを内部に含むこともできる。ファンクション言語で構成された表現をプロシージャ内の値として扱うことも可能だ。ただしここに1つの大きな不釣り合いの欠点がある。ファンクション言語がプロシージャを呼び出すことはできないのだ。私の意見では、これは Panorama の重大な、かつ非常に不自然な欠陥であると思う。
学習曲線 -- Panorama は、初めての人にも使いやすい。80% のユーザーはプログラムの能力の 20% しか使いこなせないが、その 20% だけならば誰でもすぐに身に付けられる、という種類のプログラムの典型とも言える。200 ページの PDF 形式のチュートリアルが付いているし、どことなくアマチュアっぽいけれど何時間見ても見飽きない QuickTime ムービーもあって、それだけでもスムーズにこのプログラムの実地の使用を始めるのに充分だろう。また、データベースの実例も 70 個ほど付いている。
しかしながら、このプログラムを深く理解するのは、頭脳を痺れさせる研究と、手首を痺れさせるマウスクリックの連続とを経験してはじめて得られることだろう。Panorama には 1,800 ページにわたるマニュアルと 900 ページにわたる参照表とが、どちらも PDF 形式で付属している。これらの文献は、なかなか良く書かれてはいるのだが、とにかく読みにくい。その原因は、まずはとにかく長すぎるということ、それから、記述の順序が(論理的な順序とは言えるにしても)教育的とは言えない、ということもある。例を挙げれば、内蔵のプロシージャやファンクションは参照表で説明が与えられているのだが、この言語の重要な諸相の多く、例えば出力パターンや、インターフェイス・ウィジェットに送られるコマンドの詳細などの説明は、マニュアルのあちこちに分散して書かれているだけだ。
その他さまざまの事柄についても、結局あちこちに散らばった説明ばかりになっている。このマニュアルは、その全体が前方参照の巨大な集合体と言ってもよい。これこれの事柄はいずれ後で説明すると書いてはあるがいつまで経ってもその説明にたどり着かない、ということの連続なのだ。例えば、テキストエディタ・ウィジェットの説明についても、その重要な事柄の説明はマニュアルの中で互いに大きく離れた4つの箇所に分かれて記載されている! とにかくマニュアル全体がこういう調子なのだ。これはもう、誰か教育者に頼んで構成し直してもらうしかないだろう。
結論 -- 私がこのプログラムをどうしてこんなにも素晴しいものと思うかの理由を、もう私は述べただろうか? それは、私のデータが安全で、そのチェックも容易だ、という気分を常に感じさせてくれるからだ。それは、私が何を必要としているかをあらかじめ巧みに予期していてくれるからだ。それは、私のデータベースに加えられる操作の過程を辿ることが容易だからだ。それは、本当に多種多様な実例が付いているからだ。それは、易しいことは易しく扱え、難しいことを扱うのもそれほど難しくないからだ。ちょっとした事をするにも大層な手続きを踏まなければ何もできないような他のデータベースプログラムとは好対照だ。突き詰めれば、プログラミングの可能性、私のやりたい事は何でもやらせることができるという安心感こそが、その一番の魅力だろう。その結果、私がこれまで使ってきた他のいくつかのプログラムが不要のものとなってしまった、ということもあり得るほどだ。(例えば、Panorama を使えばおそらく Boswell - テキスト保管庫 - よりも良い代用品を作ることも可能だろう。)
<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=06441>(日本語)Boswell:テキスト保管庫
それでもやはり、Panorama には欠点も目立つ。一番の問題は Panorama のコアとなるコードが Macintosh の決まり事がまだ定まりきっていない時代に書かれたものだということで、ProVue 社が後年になっても積極的にはこれを改善する気がないことも相まって、今だに古くさいところがある。例えば、File メニューには“New menu”項目が無い。Command-W はウィンドウを閉じるだけでなくデータベースそのものを閉じてしまう。フィールドに入力したデータをキャンセルするには Command-ピリオドを押さねばならず、Escape キーは効かない。(ただしこの点はバージョン 4.0.1 になって修正された。)フォーム・ウィジェットはアピアランス・マネージャに対応しておらず、ダイアログはやたらにモーダルなものが多く、その他細かな見栄え上のインターフェイスの問題点が山積みである。機能のいくつかを使うには修飾キーのどれかを押しながらメニュー項目を選択しなければならないが、そのメニュー項目は修飾キーを押しても何も変わらないのでメニューを見てのフィードバックが得られない。フォーム・ウィジェットの多くがより新しいバージョンの追加によって不要となっているのにもかかわらず古いバージョンも依然として存在していて、そればかりかデフォルトでは古いバージョンの方を使うようになっている。全般的に言って Panorama の現状は、進化を重ねた結果というよりも、次々と追加を加え続けた結果という感じがする。
もう1つの問題点は、現存のツールとの互換性のなさに多くのユーザーが二の足を踏んでしまうことだろう。現在使っているデータベースプログラムが気に入らないという人々でさえも、別のプログラムに切り替えるために大きな投資が必要、ということになれば躊躇してしまうのが当然だろう。私の友人の一人も、私が Panorama を激賞するのを聞いても、Panorama が FileMaker 互換のスクリプティング・オブジェクトモデルを持っていさえしたら切り替えるのに、と言うだけだった。残念ながら Panorama にはそれが無い。同様に、もしもあなたが SQL に精通していたとしても Panorama を使うためには何の役にも立たない。最後に、ウェブ接続性の問題もある。ProVue 社は実際 WebSTAR プラグインを作っていて、データベースを基に HTML を出力するツールも持っており、これらのテクノロジーは既に各所のウェブページで使用されていて非常に高速の動的ウェブページを実現しているのだが、これらのツールは基本パッケージには含まれておらず、ユーザーにとってはこれらが存在していることを知ることすら難しいのが現状だ。(実はこれらは“Conference CD”を購入すれば入手できるのだが、ProVue 社のウェブサイトでは“CGI”を検索しても何も見つからない。)
<http://www.provue.com/Documents/ProVUE_Conf_CD_Sets/ProVUE_Conf_CD_Sets.html>
これらの問題点はとても残念なことだ。しかし私の観点から言えば、Panorama 自体の価値に比べればどれも小さなことだ。このプログラムは、深く知れば知るほどそれに見合った収穫があり、それにつれて輝きを増していく。私はこのプログラムが大好きで、ますます頻繁に使うようになりつつある。皆さんも、どうぞこれを考慮の対象に加えてみてほしい。
Panorama は PowerPC の Macintosh と System 7.6 かそれ以降を要し、Mac OS X では Classic 環境で正常に動作する。Panorama の基本価格は $300 だが、完全な価格表は複雑なものになっている。Image Pack(PICT 以外の画像を表示するためのもの)は $15、Personal License(Panorama を2台以上のマシンで使用できるライセンス)は $30 になる。Panorama の完全版を持っていないユーザーにデータベースを配布できるための各種のオプションもある。例えば $25 で、フリーウェア版の Panorama と共にフリーウェアとして動作できるデータベースを配布できるようになる。1ユーザーあたり $125 ほど(ユーザー数が増える程に1ユーザーあたりの単価は下がる)の追加料金を払えばマルチユーザー用クライアント / サーバー版も使える。完全機能の試用版をダウンロードして試すこともできる。この試用版は未登録の状態では 250 レコード以上のサイズのデータベースを保存しようとする度に煩わしいダイアログが出現する。基本セットのダウンロードはおよそ 4 MB で、完全インストール(すべての説明書類や実例なども含む)はハードディスク上で 80 MB ほどを占有する。
<http://www.provue.com/download.html>
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, , 日本語版最終更新:2005年 12月 26日 月曜日, S. HOSOKAWA