TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1099/17-Oct-2011

先週は iPhone 4S、iCloud、iOS 5、Mac OS X 10.7.2 と、その他にも多数の小さなリリースがあって、私たちも他のすべての人たちと同様、これらたくさんのものを頭に詰め込むのに苦闘していた。まず初めに、Glenn Fleishman が iPhone 4S の記録的売り上げについて報告し、Michael Cohen は iCloud が BusyCal ユーザーにとって何を意味するかを考察する。Adam は iPhone を購入後も(しばらくの期間内であれば)AppleCare+ の購入ができることを指摘する。でも、もっと重要な記事はこれからだ。Jeff Carlson が iOS 5 に隠れた私たちのお気に入り機能で見逃されがちなものについて紹介する。それから Matt Neuburg が Mac OS X 10.7.2 におけるメジャーな変更点を手短に概観する。Matt はさらに、iOS アプリの開発者たちが iOS 5 の新機能を利用するようになれば私たちユーザーはどんなことが期待できるのかについて示唆に富んだ考察を展開する。今週注目すべきソフトウェアリリースは、iPhoto '11 9.2、Aperture 3.2、Safari 5.1.1 (Snow Leopard)、Security Update 2011-006 (Snow Leopard 用と Snow Leopard Server 用)、Lion 復旧アップデート、GraphicConverter 7.4、それに Sparrow 1.4 だ。

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Apple、400 万台の iPhone 4S を販売

  文: Glenn Fleishman <glenn@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

失敗作にしては、iPhone 4S は確かにうまくやった。Apple は今回、新しい iPhone の販売台数が発売後最初の三日間で 400 万台を突破したと発表した。この数字は、前回つまり去年の iPhone 4 発売開始後の週末に記録された数字の二倍にあたる。これほど高レベルの購入数が、前の会計四半期に iPhone 4 の売上げが増加を続けていたにもかかわらず達成された。

iPhone 4S が発表されたのを受けて広がったメディアの当初の反応は、Apple が工業デザインを改訂することもなく iPhone 5 と呼ぶに相応しく華々しい新機能を搭載することもなかったのを見て顧客たちが落胆するのではないかというものだった。長年の Apple ウォッチャーである私たちも、あまり驚きを感じられなかった。その理由の一つは、Apple が既に (iPhone 3G と 3GS で) 二年間というメジャー改訂のサイクルを設定していたこと、またもう一つの理由は世界中の iPhone オーナーの大多数が契約に縛られていて、通常その契約が二年間のものだったからだ。

二年契約があれば、既に iPhone 4 を持っている人たちには助成金付きのアップグレード資格がない可能性が高い。Apple は、今回の機種の見栄えを前回の機種と事実上同じにすることによって羨望の要因をある程度取り除いていた。たとえカメラとかアンテナとかいったものの機能が改善されたとしても大きな問題にはならないだろうということだ。こうして、既存の iPhone 4 オーナーたちも冷静でいることができ、また 2011 年 10 月 14 日に同時に発売された $99 の iPhone 4 (二年契約義務付き) の売上げも加速されるだろう。同じ理由で、iPhone 3GS も二年契約義務付きで無料入手できる。これら二つの旧モデルについて Apple は販売台数を発表していない。

販売台数がこれほど驚異的に伸びたのには、おそらくそれを強化する因子がいくつかあったのだろう。まず第一に、初代 iPhone、iPhone 3G、iPhone 3GS のオーナーたちで、ずっと今までアップグレードのサイクルをやり過ごし続けてきてそろそろアップグレードに踏み切ろうかと思い始めていた人たちもいたかもしれない。第二に、今年になって Verizon Wireless が iPhone 4 の販売を開始したけれども、そのことは当時比較的目立たないままで、Verizon は引き続き競合相手たる Android スマートフォンの方を強力に宣伝していた。今回初めて、Verizon にも参入可能な状態で人目を引く iPhone お披露目が行なわれたわけだ。第三に、AT&T と Verizon Wireless に加えて、今回のデビューは米国における iPhone 販売キャリアとして Sprint Nextel を加えることとなった。第四に、iPhone 4 のデビュー当時と比較して、今回の iPhone 4S のデビューではカナダとオーストラリアの二ヵ国が加わっている。

今回の販売開始に際してはトラブルもあった。2011 年 10 月 7 日、つまり予約注文が開始された日の真夜中に、まだサイトが開いていないにもかかわらず多数の人々が何時間も前から繰り返しデバイスを注文しようと試みた。(ちなみに私はあきらめてベッドに入った。)そして、いったん iPhone 4S が登場すると、アクティベーション作業が当初悪夢に見舞われた。報道によればトラブルが起こったのは & だったらしい。(私は Wi-Fi 経由で自分の携帯電話をアクティベートしようとして5回ほどトライを重ねなければならなかった。Tonya Engst も、また Jeff Carlson も、& ストアへ行って SIM を適切に交換してもらわなければならなくなった。)

Apple は 2,500 万人の顧客が iOS 5 にアップグレードしたと発表した。(顧客数であってデバイス数でないことに注意しよう。つまり、同社は Apple ID を使って追跡しているに違いない。)それはつまり、デバイスの数にすれば 2,500 万台よりも多く、おそらく 5,000 万台か、ひょっとすると 7,500 万台にも達するかもしれない。Apple による補足的発表で iCloud へのサインアップが 2,000 万件に達したとされているので、ちょうどそのくらいで数が合うと思う。ちょっと計算してみれば、5 GB かける 2,000 万アカウント、つまり 100 ペタバイト (PB) ものストレージ容量を Apple は割り当てなければならなかったことになる。私はあっという間に 5 GB の無料割り当て iCloud ストレージ容量を使い切って、あと 20 GB を割り当てるアップグレードをしなければならなくなった。これは驚くほどのことではないが、iCloud は金曜日にはかなり反応が鈍く、時には接続できないこともあった。その後の週末を通じて、金曜日ほどひどくはなかったがのろのろした感じだった。

使用量の集中は、Siri にもトラブルを起こしたようだ。Siri は Apple の iPhone 4S 用音声コントロールおよび口述筆記システムだが、言語分析のために Siri が Apple のサーバへの接続を必要とするのだ。非常に多くの人々が入手後すぐに Siri を試してみたり他の人に実演してみせたりしたことで、過度の初期使用の集中が起こったに違いない。Siri が iPhone 4 や、さらには 3GS でさえ動くはずであるにもかかわらず Apple が Siri を iPhone 4S のみに限定したのも、きっとこれが理由だったのではないかと思われる。現時点ではまだ比較的人数の少ない iPhone 4S ユーザーたちから、Siri の使用が実際バックエンドのサーバにどの程度のインパクトを与えているのかを Apple が十分に知ることができれば、将来は旧機種の iPhone にも Siri が開放されるようになることもあり得るのではないだろうか。

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AppleCare+ は 2011 年 11 月 14 日まで追加可能

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

iPhone 4S のリリースに伴って新たに登場したものがある。Apple はそれをAppleCare+ と呼んでいるが、これは標準的な AppleCare 保証延長サービスを一種の保険のようなものへ転化させたものだ。従来の AppleCare が製造上の欠陥のみを保証し、電話による技術サポートの期間を 90 日間から 2 年間に延長するものであったのに対し、AppleCare+ はそれらに加えて最大二件までの事故による破損をカバーする。従来の AppleCare の料金は $69 だったが、AppleCare+ の小売価格は $99 で、さらに一件の事故による破損の度に $49 のサービス料金がかかる可能性がある。[訳者注: この AppleCare+ は現在のところ米国のみにおけるサービスのようです。]

従来は、もしも iPhone を破損させてしまえば、Apple Genius Bar の人たちに泣きついて、どうか無料で修理か交換をして下さいとお願いすることはできたかもしれないが、それが聞き入れられなければ $200 かそれ以上の修理代がかかることがあった。AppleCare+ は一般的な iPhone 用 AppleCare を置き換えるもので、新しい iPhone 4S、iPhone 4、または iPhone 3GS に対して購入することができる。あなたにとって AppleCare+ がお買い得かどうかは、あなたが電子機器を持ち運ぶ際にどの程度注意深いか、そしてどの程度幸運に恵まれているかに依存する。私の場合、容易く落としてしまいがちな機器に対するこのような保険契約は一般的に言って好ましく感じられる。

Apple は当初、AppleCare+ は iPhone 4S と同時に購入しなければならないと言っていた。今もそのようにすることは可能だ。けれども、私たちが予約注文をした際に AppleCare+ のようなものの話が出たという記憶は全く無い。それに、Tonya が AT&T の技術サポートの係員と話をしながら iPhone 4S をアクティベートした際にも、その係員は該当する機器に付随したあらゆる数字を揃えられるよう彼女を助けてくれていたが、そのときは確かにたくさんのことをこなしていたけれど AppleCare+ という言葉が出た覚えはない、と Tonya は言っている。だから問題は、私たちのように、理由はどうあれ iPhone 4S は入手したけれども AppleCare+ は入手しなかったという人たちが、どうすれば事後に追加できるのか、ということだ。

そのことについて質問してみると、近所の AT&T ストアの AT&T 係員は資料を調べて、AppleCare+ を追加できるのはアクティベーション後 24 時間以内に限られると書いてある、と答えた。ただし、彼らもまだ最初の 24 時間以内にしろそれ以後にしろ誰のアカウントにもそれを試みたことはないという。残念なことに、Tonya が iPhone 4S をアクティベートしたのは土曜日の朝のことで、私たちがこの情報を知った時にはもう 24 時間の枠は過ぎていた。そこで係員たちは、Apple の 800-MY-IPHON (800-694-7466) に電話をかけてみることを勧めてくれたので、私たちはそうした。電話に出た Apple 係員は、アクティベーションの後どれだけの期間内であれば AppleCare+ が注文できるかについて何も情報を持っていなかったけれど、彼のコンピュータシステムは私たちのアカウントに AppleCare+ を追加することを許可した。ああよかった!

この記事を書くために状況をオンラインで調査し始めた私は、Apple Store の AppleCare+ ページに次のような記述を見つけた。そこには状況が明確に述べられていて、iPhone 4S または 8 GB の iPhone 4 を予約注文した人か、あるいは iPhone のどの機種でも 2011 年 10 月 14 日以後に購入した人は、誰でも 2011 年 11 月 14 日までの期間ならば AppleCare+ を購入できるという。

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というわけで、そういうことだ。買ったばかりの iPhone 4S に AppleCare+ を付けたいならば、この一ヵ月の期間内ならば追加できる。けれどもその期日が過ぎた後は、AppleCare+ は電話機と同時に購入しなければならない。あるいは、AT&T の係員が私に言ったことが正しければ、購入後 24 時間以内ならば出来るのかもしれない。

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BusyCal 1.6 と iCloud 移行

  文: Michael E. Cohen <lymond@mac.com>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

今年は Apple のカレンダーサービスを使っている人にとっては激変の年であった。最初に、Mac OS X Sync Services を使っていた前の MobileMe カレンダーから、新しい CalDAV で動く MobileMe カレンダーへの移行があった ("MobileMe Calendar に 5 May 2011 までにアップグレード" 3 March 2011 参照)。次に Mac OS X 10.7 Lion のリリースがあり、それと共に Mac OS X のデフォルトのカレンダーアプリである iCal に対する外観と感触が一新された。そして今度は 10月12日に iOS 5 と iCloud のリリースがあり、Apple ユーザーに対するカレンダーは再度変更された。

サードパーティの開発者達はこれら全ての変更に追いつくため、緊急対応に次ぐ緊急対応を余儀なくされた。人気の BusyCalカレンダーと to-do リスト管理の作者である BusyMac も他の皆と一緒にこのカレンダーに関する恐怖政治女王のレースを走り続けて来ていて、今回もこの製品を iCloud によって課せられた最新のカレンダーに関する変更に対応するための無料アップデートとして、現在の BusyCal ユーザーに BusyCal 1.6 をリリースした (もっともこのアップデートは BusyCal ユーザーに対して iCloud に昇るかどうかに拘わらず推奨されている)。

BusyMac は BusyCal 1.6 が iCloud 移行を問題なく行うために必要な全てではないことを明らかにしていて、これを受けて iCloud 移行のための情報豊かな アップグレード手引きを提供している。この手引書では、MobileMe と iCloud カレンダーの間の重要な違いを詳細に説明し、一連の移行シナリオを提供している (例えば、Google カレンダーユーザーや LAN カレンダーユーザーがどの様に移行するかを説明している)、その後で BusyCal と共に iCloud へアップグレードするための包括的な 7 段階のやり方の説明に専心している。

もしあなたが、多くの TidBITS スタッフの様に、あなたの仕事の、家庭の、そして共有のカレンダーを記録するのに BusyCal に依存しており、かつ iCloud へ跳ぼうとしているのなら、このアップデートをダウンロードそしてインストールし、それからその指示に従う前にこのアップグレード手引書を注意深く読むのにしっかり時間を費やすべきである。きっと時間をかけただけの価値はあると思う。BusyCal 1.6 は $49.99 で BusyMac Store 又は Mac App Store から買える;これは 7 MB のダウンロードである。

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一方、Lion の牧場に戻ると...

  文: Matt Neuburg <matt@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

先週の水曜日は Apple の特大リリース日であったが、その最中は部屋中の空気のほとんどが iPhone 4S と iOS 5 によって吸い取られてしまっていた。けれどもリリースされたコンポーネントはその二つだけではなかった。開発者用には、Xcode 4.2 が Snow Leopard 用と Lion 用それぞれにリリースされた。そして Lion ユーザーたちには、Mac OS X 10.7.2 がいつも通り四種類の形でリリースされた。Lion 用と Lion Server 用が、それぞれ差分アップデートと統合アップデートという二つずつの形で出されたのだ。いつもと同様、ソフトウェア・アップデートに任せて正しい差分アップデートを入手させるのが最も手軽な方法だが、何らかの理由で再インストールが必要な場合には統合アップデートが便利だろう。

初めて Lion がリリースされた時以来どれだけ時間が経ったか(2011 年 7 月 20 日の記事“Mac OS X Lion のお薦め隠し機能”参照)を考えれば、また最初のバグ修正リリース 10.7.1 が最小規模に止まっていたこと(2011 年 8 月 16 日の記事“Mac OS X 10.7.1、バグ修正は限定的”参照)を考えれば、今回の 10.7.2 を見てがっかりする人も多いかもしれない。もしもあなたが本気で Apple がオートセーブなどのメジャーな新機能をオフにできるオプションを提供するかもしれないなどと考えていたのなら、そんな望みは捨てた方がよい。自らの戦略を方針変更することは(または加減することさえ)Apple の価値観の典型的部分とは言えない。マイナーな調整でさえ過去にほとんど例がなく、あってもごくたまにしか起こらなかった。

どうやら 10.7.2 のリリースが遅れたのは、大きな変更を Apple が施せるようにするためではなくて、iCloud の登場が Mac と iOS デバイスで同時に起こるよう時期を合わせるためであったようだ。言い替えれば、iCloud こそが 10.7.2 の大きな新機能なのだ。さて、iCloud はメジャーな題材であって、私たちももちろん近日中に iCloud についてさらなるニュースや詳しい情報を記事にする予定にしている。(現時点で言えることは、iCloud に移行しようと頑張ったけれどさまざまの問題に遭遇した、という人たちが多くいることだ。だから、どうしても今すぐ新しい機能を試してみたい、というのでなければ、もう少し様子を見た方がよいのかもしれない。)そこでこの記事では、一旦 iCloud は脇に置いて、それ以外の部分の 10.7.2 について見て行きたいと思う。結論を言えば、以前の記事“Lion で微妙に苛立つこと”(2011 年 8 月 17 日) で私たちが述べた挙動のうち二件が今回実際に修正を受けている。その他にもいくつか使い勝手に関する微妙な改善点がある。以下に、10.7.2 の中で比較的目立つ変更点のいくつかを紹介して行こう。(もしも他の変更点に気付かれたら、どうぞコメントに書き込んで頂きたい。)

自動終了 -- 私が記事“Lion は Quitter”(2011 年 8 月 5 日) で論じた自動終了の挙動は、若干抑制の利いた挙動に変わったようだ。私が実験してみた限りでは、TextEdit や Preview のようなアプリケーションがウィンドウなしでバックグラウンドにまわったとたんに Command-Tab のアプリケーション切替から消えてしまうようなことはなくなったようだ。けれどもそれらは いずれは Command-Tab 切替から(また、常時表示するよう設定していない限り Dock からも)消えてしまう。つまり、消えるタイミングは変更されたかもしれないけれども、基本的な挙動そのものは変わっていない。そしてその基本的挙動はやはり間違っていると私には思える。自動終了は完全にユーザーの目に見えないところで起こるべきだ。つまり、何かが起こったかどうかをユーザーが判別できないようにすべきだ。Command-Tab のアプリケーション切替で、ついさっきそこにそのアプリケーションのアイコンがあったことをユーザーがよく知っているというのに、勝手にアイコンを削除してしまうのは、秩序を乱し混乱を起こすことでしかない。

スマートフォルダ -- スマートフォルダが、やっと、Lion でも正しく動作するようになった。私のようなタイプの人にとって、これはものすごく重大なバグ修正と言える。(でも、修正にこんなに時間がかかったのは許し難い。なぜなら、Apple は Lion が初めてリリースされた時よりも以前からこの問題を知っていたからだ。)手短に言えば、Spotlight 検索をスマートフォルダとして保存して、あとでそれをスマートフォルダの検索条件として正しく表示させることができる(変更を加えることもできる)ようになった。その結果として、やっとスマートフォルダがまともに使えるものとなった。以前のバージョンの Mac OS X での挙動が復活したわけだ。スマートフォルダの使い方についての詳しい情報は、Sharon Zardetto の本 "Take Control of Spotlight for Finding Anything on Your Mac" をご覧頂きたい。

デスクトップの順序 -- Mission Control の All Windows モードで、デスクトップスペースや、Dashboard 以外のフルスクリーンアプリケーション、それから最初のデスクトップが、ドラッグによって並べ替えられるようになった。(この変更点は Apple 自身のリリースノートにも実際明確に書かれている。)これで、複数デスクトップを手で管理するのがぐっと楽になったはずだ。特に、もしも Mission Control 環境設定パネルで "Automatically rearrange spaces based on most recent use" のチェックを外してあれば、スペースやフルスクリーンアプリケーションの並ぶ順番は完全に予期できるものとなり、すべてあなたの管理に任されるようになる。従来は、デスクトップスペースやフルスクリーンアプリケーションが作成された順序か、または自動再配置アルゴリズムがあなたのために勝手に並べ替えした順序に甘んじるしかなかった。

その上、再起動を経てもデスクトップスペースが保たれるようになった。開いたウィンドウがログアウト、再起動、あるいはシステム終了をして戻った際に再開されるように設定しておけば、再びログインして戻ると、以前の状態と同じスペースの中にそれぞれのウィンドウが再開する。

サポート外のボリューム上のバージョン機能 -- 記事“ネットワークと非 HFS+ ボリュームで Lion の「バージョン」バグに注意”(2011 年 9 月 8 日) で、Adam Engst はサーバまたは HFS+ 以外のボリューム(バージョン機能はそういうボリュームを処理できない)上にある書類ではバージョン機能に保護されていないことを知らずに作業を続けてしまうことがあるという状況について説明した。10.7.2 において、Apple は最も単純なやり方でこのバグに対処した。つまり、サポート外のボリューム上に保存されている書類を閉じようとすると警告が出るようになったのだ。読者の Joel Lingenfelter が苦情を述べたように、このやり方には一つだけ問題があって、もしも誰かがサーバ上にある書類を開いて、それを編集し、変更がオートセーブで保存されたけれどもバージョン機能は働いていない、という状態になった場合、その書類を閉じようとすると、提供される選択肢が Cancel と Close しかない。そのため、もしもオートセーブされた変更なしに書類を閉じようと思えば、そのための唯一の手段はまず Cancel をクリックし、それから Undo を繰り返し使って書類の最初の状態に戻るしかない。これでは、ただ面倒なだけでなく極めて誤りに陥りやすい。

他には何か? -- Launchpad のアイコンが、はっきりと大きくなった。それから、ごく小さいけれども決定的な変更で、私が(複数のシステムを使うユーザーとして)特にありがたいと思うのは、「起動ディスク」システム環境設定パネルで設定を変更した後で「再起動」ボタンを押した際、(従来のバージョンのシステムと同様に)Option キーを押しておくことで確認ダイアログを見ずに済むようになったことだ。それらを除いて、はっきりと目に見える変更はほとんどないように思う。けれどもリリースノートには細かな技術的修正点が非常に数多くリストされており、おそらくそれらの修正点は Lion ユーザーたちの全般的な生活の質を改善してくれるのだろう。例えば、Safari 5.1.1 ではハングやメモリ使用に関するあまりにも明らかな問題点が修正されたのだと言われている。その一方で、MacBook Pro のユーザーで Lion がクラッシュして(カーネルパニックか?)スクリーンが真っ黒になる問題を経験してきた人たちは、どうやらまだ引き続き同じ問題を経験しているらしく、これについては近日出される予定のファームウェアアップデートを Apple がリリースするまで待たねばならないらしい。

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iOS 5 の秘密

  文: Jeff Carlson <jeffc@tidbits.com>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Apple ソフトウェアのメジャーな新しいバージョンがリリースされる時は何時でも目玉の機能は大いなる注目を集める - しかし勿論のことながら、他の変更もそのアップデートには沢山取り込まれる。さて今や iOS 5 も公になったので、我々も、我々がこれはいける、見落としがちな、或いは両方と感じるものに着目してみたい。

iPad 分割キーボード -- もし iPad を両手で持って親指を使ってタイプしたい、或いはスクリーンに現れるキーボードを動かしたいのであれば、新しい Split Keyboard 機能を検討されたい。

このピクセルで出来た紅海を左右に分けたいのであれば、キーボードの右下にある Show/Hide ボタンをスクリーンへとドラッグする。そうすると、キーボードは二つに分割されて、キーは小さくなるがスクリーンの端により近くなる。このボタンをドラッグし続けると、キーボードはスクリーンの垂直方向に再配置される。

しかしながら、この分割を行うのに Show/Hide ボタンを使わなければならない訳ではない:両親指を使ってキーボードの真ん中あたりから両外側へドラッグするのでもよい。キーボードを再び一体に戻したいのであれば、個々のキーボードの上にそれぞれの親指をおいて両方を合わせるよう押してやる。

もしキーボードを分割しないでそのまま動かしたいのであれば、Show/Hide ボタンに触ったまま保持しているとキーボードを Undock 又は Split するコマンドを持ったポップオーバーが現れる。Undock をタップしそれからキーボードを上下にドラッグする。

キーボードが分割され再配置された後では、ポップオーバーの表示は Dock and Merge に変更される。これはキーボードは一体化しスクリーンの一番下に行くことを意味する。

これまでと同様、Show/Hide ボタンをタップすれば、キーボードは消え去りテキスト入力モードから解放される。

(もしこの様な動きが見られないと思える場合は、Settings > General > Keyboard で分割キーボードを生きにする。)

ショートカット -- 我々は Smile のTextExpander touch とそれが動作するアップスが好きだけれども、iOS の何処でも使える訳ではない。しかし新しい Shortcuts 機能は何処でも使える。Settings > General > Keyboard で、好みのショートカットとその展開形を作成出来るので、例えば "eml" とタイプして iOS 5 にあなたのメールアドレスに自動的に展開させると言ったことが簡単に出来る。これは TextExpander touch 程には機能が充実してはいないが - 例えば、長い文字列では改行位置は保持されない - 短い良く使うフレーズとかしょっちゅうやるタイプミスとかのためには、このテキストショートカットは役に立つ。

iPhone 上でのカレンダー週間ビュー -- これは長く待ち望まれた機能である:iPhone で Calendar アプリを開いて、そして横向きに回してやるとスクロール出来る週間ビューが現れる。

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こちらの方がこの様に小さなスクリーンではイベントを見ていくにはより便利なやり方であり、歓迎できる追加である。

新しい iPad メールボックスビュー -- iPad 上の Mail の縦位置のビューで、二本指で左から右にスワイプすると、メールボックスリストがスクリーンの横からスライドするパネルとして現れる。

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このリストが前の様にポップアップとして現れないのは何故かは私には分からない - ひょっとすると Mail は iPad の iTunes になるのかもしれない:Apple がインターフェースの実験場として使う所として。

場所に基づいたリマインダーは iPad にはない -- iOS 5 を走らせる iPhone 上では、Reminders アプリで場所に基づいた警告を発するタスクを生成できる。例えば、会社に着いたら誰かに電話をすることと言うだけでなくリマインダー警告がポップアップする様に設定できる。こうするには、新しいリマインダーを作成、詳細を見るためそれをタップ、Remind Me ボタンをタップ、そして At a Location ボタンをタップする。

残念ながら、この機能は iPhone 限定の様に見受けられる。私が同じことを私の iPad 2 でやってみたが、At a Location オプションは無かった、3G と GPS チップが組み込まれた iPad 2 であるにも拘わらずである。幸いなことは、私が iPhone 上に作成した場所警告を含んだリマインダーは、iCloud 経由で iPad に同期した後でもその情報を失わなかったことである。

iPad カレンダーでスワイプして進む -- iPad 上の以前のバージョンの iOS で、この機能が欠如していたのは私の不満の種だった。Calendar アプリは本物のデスクカレンダーの様に見えるようデザインされていて、"シート" の上端には少々の紙の破れまで含まれていたが、この仮想のページをスワイプしてめくるのは不可能であった。これをするにはカレンダーの下にある矢印をタップしなければならなかった。

これが今やカレンダービューのページをスワイプしてめくることが漸く可能になった。実際、ページをゆっくりめくるには、iBooks アプリで導入された様に、端または隅から指をゆっくりドラッグすればよい。

充電無しのワイヤレス同期 -- 私の好みの iOS 5 機能の一つはワイヤレスネットワーク上での同期である。Wi-Fi Sync オプションを生きにすると、iPad, iPhone, そして iPod touch は、電源に接続された時同期を開始する。と言うことで、例えば充電ケーブルを iPhone につなぐだけで同期が出来る、それが属するコンピュータがたとえ隣室にあってもである。

結果的には充電ケーブルすらも不要であることが分かった - これは自動同期を開始するのに便利な方法というだけである。Wi-Fi 同期が設定されている機器で手動同期を始めるには、Settings > General > iTunes Wi-Fi Sync > Sync Now に行く。或いは、iTunes でサイドバーに表示されている機器を選択し Sync ボタンをクリックする。

iPad 2 及び iPhone 4S で AirPlay ミラーリングをオンにする -- 私がこれを取り上げることにしたのは、やり方を見つけるのはそう簡単ではないからである。iPad 2 と iPhone 4S (iPhone 4 はダメ) のスクリーンを最新版のソフトウェアで走っている Apple TV を経由して AirPlay を使ってワイヤレスに HDTV にミラー出来る。

  1. マルチタスクバーを呼び出す (Home ボタンを二回押すか、或いは iPad 2 だったら四本指か、五本指で上方にスワイプする)。

  2. 左から右にスクロールし明るさと音声演奏の操作盤を出す。iPhone 4S ではこの音量スライダーと AirPlay ボタンを出すには左から右に二回スクロールしなければならない。

  3. AirPlay ボタンをタップし、そしてあなたの Apple TV の名前をタップする。

  4. Mirroring スイッチをタップしてオンにする。手元のスクリーンはあなたの HDTV 上に現れる。

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この機能はプレゼンテーションをする時には役に立つ。何かのやり方のデモをしている時に、聴衆が説明を追いやすくなる様、指タップも示すオプションがあればもっと良いだろうとは思うが。しかし、もう一つ追加の恩典がある:ミラーリングを使うと、通常の AirPlay 再生ではブロックされてしまうビデオコンテンツ、例えば ABC アプリの様な、も見られるようになる。

カメラアプリを一発で開く -- 有用な新しい写真機能は、iPhone のスクリーンがロックしたままで Camera ボタンをタップして Camera アプリに直接ジャンプする能力である。しかしながら、ただ単に Sleep/Wake 又は Home ボタンを押してもこの簡便な新機能は現れない。私はこの機能をオンにする設定がどこにあるか探し続けたが、実際にはそれはいつも私の親指の下にあったのである:スクリーンがロックされた状態で Home ボタンを 二回押す のである。これをすることで、音楽再生の操作盤も現れる (これは iOS 4 では Home を二回押すことに対する通常の反応であった)。びっくりしたのは、カメラが使える iPad 2 にはこの機能は付与されなかった - ひょっとするとこのカメラは写真を撮るにはイマイチということなのか?

ジェスチャーを使ってアップス間での切り替えをする -- iPad 2 上では、Multitasking Gestures 設定 (Settings > General) で、四本又は五本指で上方にスワイプすることでマルチタスクバーを引き出せる。また、同じ数の指で左又は右にスワイプすることでこのバー全部をバイパスして最前のアップスにアクセスすることも出来る。Home スクリーンに帰るには、五本の指で摘まむ。残念なことに、この Multitasking Gestures は iPad 2 のみで、初代の iPad では使えない。

Home ボタン無しで Siri を呼び出す -- iPhone 4S 上では、Home ボタンを押して保持することで新しい Siri 音声起動の秘書が立ち上がる。"Star Trek IV" で Scotty がネズミに話している様な感じで命令を声に出していくのは気恥ずかしいというのであれば、電話をただ耳にあててやればよい。近接センサが Siri を起動し、あなたはあたかも電話をしているかのように話せばよい。唯一気を付けなければいけないのは、この機能が働くためには最初に電話を眠りから覚ますかロックをはずしてやる必要がある。この機能を不能にするには Settings General > Siri に行き、そして Raise to Speak をオフにする。

通知センターでのアップスの順番を変える -- 一本指でスクリーンの頂上から下に向けてスワイプすると有用な新機能 Notification Center が現れる。そこに現れるアップスの順番を変えることも出来る - 例えば、スクリーンの一番上には現在の天気ではなく Calendar イベントが欲しいというように。Settings > Notifications に行き Edit ボタンをタップする。どの項目でも移動アイコン (三本のグレーバー) を使ってドラッグ出来る;変更を適用するには Done をタップする。

他にも? -- これらは iOS 5 の素晴らしい機能の一部分でしかない。他のものに行き当たったら、この記事のコメント欄に行ってあなたの経験を共有しよう。

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iPhone 4S: 非常に明白なる大ヒット

  文: Michael E. Cohen <lymond@mac.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Apple の iPhone 4S 発表イベント(2011 年 10 月 4 日の記事“新 iPhone 4S が音声認識を追加、グローバルへ移行”参照)をフォローするさまざまの学者連中が発したむにゃむにゃ言う声の波に押し出されるかのように、この携帯電話の売り上げは驚異的な数を記録し(初日のうちに 100 万台以上の予約注文が殺到し、その後 Apple は最初の週末だけで販売台数が 400 万台を突破したと発表した!)また実際に手を触れて使ってみたライターたちによるこのデバイスのレビュー記事も大量にほとばしり出た。世の中の声は、これはもともと素晴らしい製品に対する素晴らしいアップデートだ、という意見で一致した。

私たち TidBITS は Apple がリリース前に iPhone 4S をレビュー目的で提供する少数の恵まれた人々の中には入っていなかったので、ここでは現時点までに登場した初期のレビュー記事をいくつか手早くまとめて紹介することで、自らを満足させることとしたい。この記事が最初に私たちのウェブサイトに掲載されて以後私たち自身が iPhone 4S を使ってみた第一印象は、他のレビュー記事の筆者たちの意見と合致している。では、順不同で、以下にレビュー記事の内容をいくつか紹介してみよう。

まず、Macworld の Jason Snell が "iPhone 4S review: It's a sure thing" でこのデバイスを総合的に検討している。初めにあまりにもなじみ深いフォームファクター(「これは古典的な見栄えであり、今までのすべての iPhone デザインの中で私の断然一番のお気に入りだ」)に触れてから、Snell は細かい情報を説明して、4 と 4S とがどこで見分けられるかを語る。それから、さまざまの機能について新しい A5 チップが提供する高速化を調べ、処理の機敏さの点でこれに優る唯一の iOS デバイスは iPad 2 だと結論付ける。iPhone 4S が GSM と CDMA 双方のネットワークに接続できることに話が進むと、彼はこのことによって最も利益を受けるのは外国へ旅行する人たちだろうと述べ(この点に関しては Glenn Fleishman の記事“Apple の世界対応携帯電話は顧客にとってグローバルではない”(2011 年 10 月 7 日) 参照)AT&T に対して敬意を表しつつ、最初の iPhone キャリアとして多くの非難を浴びても「しかし、米国において他のキャリア各社に比べはっきりと優れているところが一つある。それは速度だ」と述べている。彼はまた新しいアンテナシステムについても語り(「文字通りこの携帯電話を絞め殺そうとでもしない限り、iPhone 4S であの“死のグリップ”を再現する方法はない」)新たに高速化されパワフルになったカメラについても「賭けてもよいが、大多数のオーナーにとって iPhone 4S は 実際に 家庭にある最高のカメラとなるだろう」と述べる。けれども彼のレビュー記事で一番長い部分は新たに搭載された音声認識機能についてのもので、iPhone 4S 専用の Siri ソフトウェアによる人工知能にどれほどパワーがあるかについても、また口述筆記のツールとして使えることにも触れている。その双方の側面について、彼はいったいなぜこの機能が iPhone 4S のみに限られているのかと思案する。これは、iPhone 4 ユーザーにも大いにありがたいものだろうからだ。全体のまとめとして、Snell は「これまで iPhone 3G や iPhone 3GS にしがみついてきた人たちは皆、もう待つ必要がなくなった。今は、一切何も躊躇することなく、アップグレードすべき時だ」と結論付けている。

New York Times のレビュー記事 "New iPhone Conceals Sheer Magic" で、David Pogue は冒頭から、学者連中が知りつつ避けていた問題を真っ向から取り上げる。「人々が本当に欲しかったのは iPhone 5 だ」と。それから、そのような現実でない期待を打ち破るために現実の改善点に触れて行く。高速化? その通り、速くなった。(ただし「別に多くの人たちが従来の iPhone の速度に不満を持っていたわけではない。」)カメラは?「この携帯電話は危険なほど $200 のコンパクトカメラに取って代わるものに近い。」ワールドフォン? 確かにその通り。音声認識?「とてつもなく素晴らしい、変幻自在な、従来の分類を再定義するような音声認識だ。」そしてやはり、Pogue のレビュー記事もその多くの部分をこの音声認識機能に割いていて、彼が Siri とやり取りしてみた体験の説明のそこここに「夢でも見ているような」「驚くべき」「信じられない」といった言葉が踊っている。結びに、彼は記事の冒頭で触れた話題、iPhone 4S と 5 との比較に立ち戻る。「問題は、名前がどうなのかではない。その携帯電話の中身がどうかということだ。その答は、ここには驚くべきテクノロジーがたくさん詰め込まれている。その中には、まるで魔法のように感じられるものがある。」

TechCrunch の MG Siegler も、記事 "The iPhone 4S: Faster, More Capable, And You Can Talk To It." で名前についての騒動から話を始めている。彼の疑問は「この 'S' は何を表わしているのか?」というもので、彼の答は「この 'S' は、使う人によっていろいろ違う意味を持つことができる。私が確かに知っていることはただ一つ、これが史上最高の iPhone だということだ。」それから彼はその賛辞の裏付けとして、さまざまの機能を概観して行く。新しい A5 チップ (「iPhone 4S は速度に関しては iPhone 4 など簡単に吹っ飛ばす」)、カメラ (「コンパクトカメラの市場がこれまでトラブルに見舞われていなかったとすれば、今こそその時だ」)、新しい iOS、特にその改善された通知システム (「これを見たらもう古いシステムに戻ることなんかできない」) と、そしてもちろん、Siri (「Siri は素晴らしい」) という具合だ。彼の結論はこうだ:「iPhone 4 は素晴らしい製品であった。史上最高のスマートフォンだった。でも今や、そのタイトルは iPhone 4S に譲り渡された。」

This Is My Next では、Joshua Topolsky が記事 "iPhone 4S Review" で実質対見た目の問題に取り組んでいる。彼は言う:「iPhone 4S は 2011 年 6 月にリリースされた携帯電話と見た目は非常に似ているが、それと同時にこれは完全に新しいものだ。」彼の要点は「ハードウェアは話の半分に過ぎない」というもので、残りの半分は、当然ながら、iOS 5 と Siri だ。Siri について、彼はこう語る:「この機能が言葉を理解し返答をするやり方はあまりにも自然で、時々不安な気持ちになるほどだ。」Topolsky は iPhone 4S における主要な改善点を一つ一つ見て行く。アンテナについては「デバイスの上の縁と下の縁を(アンテナの切り込みに沿って)両方同時にしっかりと握り締めれば」受信感度が落ちると言いつつ、「もちろん携帯電話でそんな持ち方をするのはまるきり馬鹿げている」と指摘する。他のレビュー筆者たちと同様、彼もカメラを称賛している (「コンパクトカメラの代わりに携帯電話を使ってはどうかと一度でも思ったことがあるなら、今こそその考えを真剣に口にし始めるべき時だ」) が、高速化した A5 については「ただ調整を施した程度であって、丸ごと変わったような感じはしない」と感想を述べている。彼の結論は:「これは史上最高の携帯電話だろうか? その点については議論の余地があるだろう。でもこれだけは言える。iPhone 4S は、とにかくすごくクールだ。」

Wired には Brian X. Chen の記事 "With Siri, the iPhone Finds Its Voice" が載った。Chen は "iPhone 4S" の "S" が Siri を表わしているに違いないと思っている。それ以外の iPhone 4S の改善点を「一流の機能追加だ」と形容しつつ、Chen はためらいなく「Siri こそ、人々がこの携帯電話を買うべき理由だ」と断言する。Chen はこれを「生活を変えるもの」と呼んで、Siri が前兆となって「音声コントロールは将来すごく大きなものになる」「可能性は無限だ」と熱狂的に称える。ハードウェアの改善点も無視せず「素敵だ」としているが、彼はそれらの点が「Siri の追加に比べればマイナーだ」と感じている。彼の結論は単純だ:「中身も外身も、素晴らしいスマートフォンだ。」

All Things D の Walt Mossberg は、予想通り、レビュー用の iPhone 4S を受け取った選ばれし数人のうちの一人だった。彼も Brian X. Chen と同様、「他の iPhone にはない、また私の知る限り他のどの携帯電話にもない際立った機能は、Siri だ」と考えている。それ以外の機能は、Mossberg にとって iPhone 4S を「従来の iPhone のいくつかがそうであった劇的な大変革」とするほどのものではないという。ただ、「同じ $199 という入門価格に対してはより良い iPhone となっている、競合会社のいくつかはそれぞれの旗艦スマートフォンの価格を $299 からと設定しているのだから」と指摘するのも忘れていない。彼は「iPhone 4S の提供するカメラの使用感は、他のどの携帯電話にも並ぶものがない」と言う。彼の結論は他の多くのレビュー筆者たちほど熱狂的なものではないが、それでも「スマートフォンユーザーたちにとって魅力的な新製品」であるとして、「この携帯電話を購入した人たちはきっと大満足だろう」と予想している。

最後に、The Guardian に載った Stephen Fry のレビュー記事 は、iPhone 4S と、Steve Jobs の遺したもの、ハイテク文化の現状についての歯切れの良い、一風変わった議論を展開する。これは愉快な、心に染みる、広範囲に及ぶ読み物だ。この携帯電話を初めて手にした時の反応 (「想像して頂けるとは思うが、これこそ Jobs が実際に目にした最後の完全機能の Apple 製デバイスだったということを知りつつこの携帯電話をテストし試用した私の気持ちは板挟みに揺れていた」) から、最終的な彼の評価 (「抵抗できないほど魅力的」) まで、彼は使ってみてどうだったか、またこれがものごとのより大きな枠組みの中で何を意味するかについて、ユニークな観点を披露する。これは決してあなたが他のどこで読んだものより技術的に詳細な iPhone 4S 評価であるとは言えないが、おそらく最もウィットに富んだ、最もその人らしいものと言えるだろう。

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iOS 5 は開発者に、そしてあなたに、どう影響するか

  文: Matt Neuburg <matt@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

"iOS 5" という言葉が意味するものは、人によって違う。一般の人たちにとっては、これは iOS デバイスのための全く新しい顔であり、Reminder のような新しいアプリ、Newsstand のような新しいアイコン、Notification Center や通知バナーのような新しいインターフェイス、それから Mobile Safari における Reader や Weather における一時間ごとの天気予報などの新機能、といったことを意味している。けれども開発者にとっては、iOS 5 という言葉が意味するのは iOS 5 自体と同時にリリースされた Xcode 4.2 に付属の iOS 5 SDK (software development kit) のことでもある。SDK とはすなわちツールボックス、つまりアプリが利用できるさまざまの道具を詰め込んだ内蔵の道具箱だ。

既存のアプリの大多数は、ユーザーたちが iOS 5 をそれぞれのデバイスにグイと押し込んでもおそらく大して影響を受けないだろう。例えば、私の書いたアプリは、いずれも iOS 4 の下でと全く同じに動作しているようだ。(でも、悲しい犠牲者が一つある。Stanza だ。私のデバイスの上で、これは駄目になってしまった。ただ一方では、Stanza のメーカー Lexcycle を Amazon が買収したのはそれを駄目にするのが唯一の目的だったという臆測も既に流れていたが。)それでも、多くの開発者たちは競って(あるいは、公式リリースに先立つベータ期間のうちに既に競い合って)自分たちのアプリを iOS 5 SDK を使って再コンパイルして、そのアプリを iOS 5 ネイティブにするとともに iOS 5 SDK のもたらす拡張されたツールボックスの利点を生かしたものへと作り替えようとしている。

そうした変更が、回りまわって、あなたが 自分のデバイスのスクリーン上で見ているものに影響を与えようとしている。次第に多くのアプリが iOS 5 を取り入れるようになるにつれて、iOS 5 SDK の機能はあなた自身の使用体験の一部と化してゆく。ならば、それらはどのような機能なのか、それらがあなたの毎日の使用にどのような形で現われてくるのか、考えてみようではないか。

答を探すべき主たる場所は、Apple 自身による iOS 5 のリリースノートだ。以下で述べることはすべて、あなたがご自分でその書類を詳しく調べてみれば見つけ出せることばかりだ。けれども、自分で調べなくて済むように代わりに私に調べて欲しいとおっしゃる方のために、ここに、iOS 5 SDK が多くの開発者たちに行き渡るにつれてあなたが目にすると思われる主な変更点のいくつかについて考察してみたい。

オーイ君たち、iCloud に乗ろうよ -- リリースノートの中で扱われているスペースの分量からも明らかなように、最も大きなものは iCloud だ。iCloud は開発者たちに対し、アプリの書類やその他のデータをオンラインに保存して、それをユーザーにとって便利な、いやむしろユーザーに見えないような方法で扱える、そのための機会を提供する。そうすることで、ユーザーが A デバイスである書類の作業をしてから、その後 B デバイスを手にすると、基本的に、さきほど作業をした後と全く同じ書類がさきほどと全く同じ状態で、そちらのデバイス上にも開くようになる。

iCloud は、二つの異なった目的を持つものだと考えるとよいだろう。一つはバックアップ、もう一つは同期だ。iCloud のバックアップは、従来あなたがデバイスをコンピュータに接続する度に毎回、同期をしつつバックアップしていたのと同じことを、ワイヤレステクノロジーを使って再現したものと言ってさほど間違いではないだろう。けれども iCloud の同期は、異なるデバイス上で走るアプリケーションたちの間でデータを共有するための手段なのだ。従来は、この種のことはさまざまなその場しのぎの解決法を用いて実装されてきた。(例えば Dropbox との統合や、あるいは自前のサーバを作る方法などさえあった。)けれども iCloud が約束しているのは、Lion と iOS のあらゆるアプリが比較的容易に利用できる、普遍的な解決法だ。

あなたは当初 5 GB の iCloud ストレージ容量を無料で得る。だから開発者たちも、自分のアプリのユーザーたちのうちの相当多くが iCloud 容量を持っていてそれが使えると期待してよい。その上、iCloud はサイズの小さな環境設定ファイルも保存でき、それはユーザーの iCloud ストレージ割り当て容量に勘定されない。私が思うに、そのことの結果として多くのアプリが iCloud との統合をするようになり、それが、回りまわって、ユーザーたちも自分の iOS 使用の中で iCloud 統合が当然のものと 期待する ようになる日も近いのではないだろうか。例えば、私が iPod touch で走らせている NYTimes アプリに New York Times 有料購読のユーザ名とパスワードを入力したら、iPad で NYTimes アプリを走らせた際にもう一度同じことを入力しなければならなかったとすれば私はムッとするだろう。それは、このアプリがそれ自身のインスタンスを跨いで私の環境設定を共有するために iCloud を利用できるいうことを私が十分に承知しているからに他ならない。

さらに広い立場から見直せば、iCloud の持つ書類重視の特質が、多くのアプリに対して従来なかったような方法でより書類を重視したものとなるよう働きかけようとしている、そのような意味合いを持っているのではないかとも思える。残念なことに、私の知る限りにおいて、ユーザーが書類を管理できるような統一されたインターフェイスをアプリが提供する助けになるものが iOS 5 には何もない。iOS には Finder もないので、個々のアプリがそれぞれに、その書類を表示し、ユーザーがそれらを扱う手助けができるような独自の方法を編み出さねばならない。例えば、Pages の "document manager" スクリーンと GoodReader の "manage files" パネルを比較してみるとよい。インターフェイスの観点から言えば、両者に共通するものは基本的に何もない。

ARC を築いたのは誰か -- リリースノートで次に大きく取り上げられている変更点は、ARC (automatic reference counting) だ。これはプログラマーたちのみが気に入る種類の機能であって、iOS アプリが書かれているプログラミング言語、Objective-C のレベルで働く。けれどもこれはユーザーにとってもある面において重要な変更となる。もしも物事が予定通りに行けば、ARC のお陰でアプリが以前よりずっとクラッシュしにくくなるはずだという点だ。

その理由を簡単に言えば、Objective-C があまり良い言語ではなく、特にメモリ管理の面で欠点があるからだ。従来は、プログラマーがメモリ管理を手で処理してきた。それはつまり、iOS 用のアプリを書く作業が非常に細々としていて面倒な仕事であったばかりでなく、メモリ管理自体がプログラマーにとって間違いを起こしやすい一番の可能性となっていてそのためアプリがメモリリークを起こしていずれクラッシュに結び付いたり、あるいは既に存在しなくなったオブジェクトにアクセスを試みて(お察しの通り)直ちにクラッシュを起こしたりする結果となったからだ。

残念ながら、さまざまの原因によって、Apple がとうの昔にするべきであった措置、すなわち何か他の言語を iOS のネイティブなプログラミング言語とすることは、非常に困難であった。Apple にとっては別のコンパイラ (LLVM) を採用する方が簡単で、このコンパイラがプログラマーの Objective-C コードを取り込んで、従来のコンパイラ (GCC) にはできなかったことを施すようにした。中でも、LLVM は現在、従来はプログラマーたちが手で書き込む必要のあったメモリ管理のコードを自動的に挿入できるようになっている。そのメモリ管理コードが ARC だ。

iOS プログラムにおけるメモリ管理は依然として手動でするのではあるけれども、ARC のお陰で、プログラマーの代わりにコンパイラが書き込んでくれるようになった。つまり、事実上メモリ管理のコードをプログラマーが書く必要がなく、代わりにコンパイラに書かせればよいということだ。この種の決まりきった仕事をするにはプログラマーよりもコンパイラの方が信頼できるので、メモリ管理は従来よりも正確に動作するはずだ。(そして、プログラマーたちにとっては退屈な作業が減り、プログラムに実際の仕事をさせる部分により創造性を発揮できるようになる。)

だから、iOS アプリが ARC を用いて書き換えられるようになるにつれて、特定の種類のクラッシュの頻度が減るかもしれない。もちろん、これとは全く違った種類のクラッシュもある。特に、マルチ・スレッディングは依然として難しいので、今後もトラブルの種であり続けるだろう。

私のスクリーンを構造化せよ -- iOS 5 では、アプリがそのインターフェイスを物理的にレイアウトできる方法が拡張された。例えば、あまり技術的に深入りしない説明を試みると、特に iPhone 上では従来表示の入れ替えの単位がスクリーンそのものであった。表示コントローラと呼ばれるものが舞台裏で管理している主表示がスクリーン全体を占有し、デバイスの回転その他のことがらにも反応していた。そしてプログラマーたちは、この主たる全スクリーン表示そのものを管理したいと思わない限り、表示コントローラを使ったりしないのが普通であった。そのため、フレームワークがごく少数の手段を提供して、その手段を用いて表示コントローラが他の表示コントローラを管理するようになっていた。例えばナビゲーション用インターフェイスや、タブバーのインターフェイスといったものの管理がそうだ。だからこそ、それらのインターフェイスのスタイルはいたる所で共通であったわけだ。

けれども iOS 5 ではついに、プログラマーがカスタム表示コントローラを書いてそれが他の表示コントローラを管理することができるようになった。だから、私の予想では完全に新たなインターフェイス管理のやり方が登場することが期待できる。例えば、スクリーンをいくつかのパネルに分割して、それぞれのパネルがいくつかの表示の間で独自のナビゲーションをするようにもできる。その上、iOS 5 は一つの表示が他の表示に入れ替わる際の推移アニメーションについて以前より大きなコントロール権限をプログラマーに与えている。創造性や独創性の余地が、ここにはたくさんある。

完全に新しいスタイルのアプリケーションがシステムにサポートされるようになった。ページベースの アプリケーションだ。実質的に、これによってどんなプログラマーでも iBooks と同じ見栄えを(ページをめくる際の優雅なアニメーションも含めて)実装できるようになる。その際、個々の「ページ」の内容としてはどんなものでも表示できる。例えば、私が作ったギリシャ語とラテン語の単語帳アプリはカード形式 (flashcard) の単語帳で、ユーザーは左右にスクロールして前後の「カード」に移動するようになっているが、これからはおそらくごく簡単にこれを本のメタファーを使って作り直して、ユーザーがページをめくるようにしてカードを移動するようにできるだろう。またそれに伴って、私が苦労して一から発明しなければならなかったたくさんのコード(例えばユーザーがスクロールするに先立って次のカードを準備したりするためのものなど)をすべて削除することができるようになる。そういったものはすべて、今後はページベースのアプリケーションがあらかじめ用意して私に手渡してくれるようになるからだ。

ウィジェットはもっと自由奔放に -- ユーザーが目で見て手で触れることのできるスクリーン上のウィジェットに関する変更は極めてよく目立つ。そのうちいくつかはまっとうなシステムベースの変更であって、従来はプログラマーたちが自分自身でさまざまに、時には少々怪しげな手段を使って施していたものだ。そして、それは良いことだ。フレームワークを相手に戦うのは大変な作業で、リスクが多い。だから、フレームワークがプログラマーたちに対して彼らの望む機能をより多く 与える ようになればなるほど、それは良いことだ。

あなたのスクリーンが以前よりずっとカラフルになることを覚悟しよう! 従来のバージョンの iOS では、提供されたウィジェットは単色のスキームか、またはオプションで限られた数のカラースキームのみを使っていた。どのスイッチ(ON か OFF かの状態を示すもの)も ON の時は青く、それはそう決まっていた。けれども今後はどんな色にもできる。同様のことがインターフェイスを構成する標準ウィジェットの大多数でも言える。たいていのウィジェットにカスタム画像を追加することができ、プログラマーが一つのアプリ全体にわたって統一されたカスタムカラーを適用するのも簡単にできるようになる。

さらに、数多くのウィジェットが微妙に変わった。例えば、スイッチのスライド部分は従来の長方形でなく丸くなった。警告(ボタンのある小さなダイアログ)がテキスト入力を受け付けられるようになった。完全に新しいステッパーというウィジェットで、ユーザーがタップして数値を増やしたり減らしたりできるようになった。表の表示画面がよりパワフルになった。分割表示(例えば iPad を横長に置いて TidBITS News アプリを開いた際のもの)が、回転させて縦長に置いても以前のように強制的に「主表示」をツールバーのボタンから呼び出すポップオーバーに隠してしまうことがなくなった。

ぼかしなどの描画エフェクトは従来 Mac OS X でしか利用できなかったが、今回 iOS でも提供されるようになった。アプリケーションが直接ハードウェアにアクセスしてデバイスのバックライトを暗くすることが可能になった。(従来は、Apple 自身の iBooks のみがこれをすることができた。)どんなアプリケーションも、選択された単語について辞書を引いた結果を表示することができるようになった。

結論 -- まとめてみよう。iOS 5 がプログラマーたちに授与する機能が変更されたことにより、今後より多くの iOS 5 ネイティブなアプリがオンラインに登場してくるに伴って、ユーザーたるあなたの目にはどのような変化が見えてくるのだろうか? 書類や環境設定などのデータは、クラウドに保存されて、そのため異なるデバイスの異なるインスタンスを跨いで共有されることが(オプションとして)可能となる。プログラマーたちがメモリ管理の誤りを避けることが簡単にできるようになる結果、アプリはより信頼性をもって動作するようになる。プログラマーたちがウィジェットにカラーを与えるようになるにつれて、スクリーンは以前よりも明るく、活発な感じになる。そして、あなたが部分表示をナビゲートできる手段をプログラマーたちが新たな方法で提供するようになるにつれて、インターフェイス全般がより表情豊かな、より独創的なものとなる。

iOS の素晴らしいところは、プログラマーたちが少しの努力でたくさんのことをできるようにしている点だ。内蔵のウィジェットの数が非常に少ないことは注目に値する。それでいて、それらは iPhone のちっぽけなスクリーンの中に素晴らしいパワーと使いやすさを与えるに十分なものとなっている。私の目から見れば、iOS 5 は(あくまでもプログラマーの観点から)ごく自然な発展を遂げたと言える。それは、フレームワークがプログラマーに何を許しているかの現状に対し、プログラマーたちがどの境界部分をどんな方法で押し破ろうとしてきたかを Apple 自身が観察してきた結果に基づいての発展であろう。それは進化であり、一貫した成長でもある。iOS を、これまでかくも素晴らしいアプリたちの温床としてきた従来からの慣習を引き続き尊重しつつ、プログラマーの能力の及ぶ範囲を緩やかに拡張しているからだ。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2011 年 10 月 17 日

  文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

iPhoto '11 9.2 -- iCloud に関係した膨大な数のソフトウェアアップデートの一つとして、Apple が iPhoto 9.2 をリリースした。iCloud の Photo Stream 機能との互換性を提供するとともに、iPhoto 9.2 では 1 枚表示モード時に左右のスワイプジェスチャーを使って写真間を移動できるようになり、以前に読み込んだ写真が読み込みウインドウの別セクションに表示されるようになり、ブック/カレンダーのテーマとカードのカテゴリが回転表示のポップアップメニューで選択できるようになった。修正されたバグもいくつかあって、ブックの一部のページが正しくプリントされない問題や、ライブラリを再構築したときに保存済みのスライドショーとブックが正しく保持されない問題が解決した。入手はソフトウェア・アップデートから、または Mac App Store からするのが最も手軽だ。(Mac App Store からの新規購入は $14.99、無料アップデート、357.18 MB)

iPhoto '11 9.2 へのコメントリンク:

Aperture 3.2 -- iCloud 対応の iPhoto と同様、Apple は Aperture 3.2 をリリースして iCloud の Photo Stream 機能との互換性を提供した。それ以外にもこのリリースにはマイナーな変更が数多く加えられていて、主なものとしては、左右のスワイプジェスチャーを使った写真間の移動、ピンチでズームのジェスチャーを使ってビューアで“拡大/縮小”モードを自動的に有効する機能、アプリケーションの終了時にフルスクリーンモードだった場合に再度起動すると自動的にフルスクリーンモードになる機能、写真を送信するメールアプリケーションとして Microsoft Outlook にも対応、読み込んだ写真を iOS デバイスから削除する“読み込み”ウインドウオプションなどがある。バグ修正もあって、ブラシで調整しているときにクラッシュしたバグ、ルーペの拡大率が 50 から 100 パーセントで正しく表示されなかった問題、外部編集したイメージのカラープロファイルが間違って表示された問題、“分割表示”および“ビューア”のみのモードのときに“リフトとスタンプ”ツールのカーソルが正しく表示されなかった問題などが修正された。(Mac App Store からの新規購入は $79.99、無料アップデート、635.76 MB、 リリースノート)

Aperture 3.2 へのコメントリンク:

Safari 5.1.1 (Snow Leopard) -- Lion 用の Safari 5.1.1 は 10.7.2 アップデートの一部として入手でき、Safari ブックマークと Safari Reading List を iCloud 経由であなたのデバイスへ同期する機能に対応しているが、現在のところ 10.6 Snow Leopard は iCloud と互換ではない。従って Snow Leopard 用のSafari 5.1.1 には何も新機能がないが、ただ JavaScript のパフォーマンスが改善され、また Apple はこの機会を利用して過度のメモリ消費を引き起こす問題を修正するとともに、検索中、タブのドラッグ中、機能拡張の管理操作中、および Netflix やその他のサイトで使用される Silverlight プラグインに関係した安定性の問題を修正している。修正されたその他のバグとしては、印刷の問題、Flash コンテンツを含むページに東アジアの言語の文字を入力する際の問題、履歴の項目表示が不正確となる問題、Google Safe Browsing Service の自動アップデートに関する問題などがある。Snow Leopard においては、Safari 5.1.1 は Mac OS X 10.6.8 および Security Update 2011-006 がインストールされていることを要する。(無料、47.05 MB)

Safari 5.1.1 (Snow Leopard) へのコメントリンク:

Security Update 2011-006 (Snow Leopard 用と Snow Leopard Server 用) -- Mac OS X 10.7.2 Lion におけるセキュリティの修正を 10.6 Snow Leopard にももたらすために、Apple はセキュリティアップデート 2011-006 (Snow Leopard)と(日本語)セキュリティアップデート 2011-006 Server (Snow Leopard) をリリースした。対処の施されたセキュリティ脆弱性は多数あって内容も多岐にわたり、修正を受けたコンポーネントも数多い。それに加えて、Apple は数多くの root SSL/TLS 証明書もアップデートした。今もまだ Snow Leopard を走らせている人たちすべてにこれらのアップデートをお勧めしたい。ソフトウェア・アップデートに任せて正しいバージョンをインストールさせるのが、最も手軽な方法だろう。(無料、Snow Leopard 用は 136.28 MB、Snow Leopard Server 用は 144.91 MB)

Security Update 2011-006 (Snow Leopard 用と Snow Leopard Server 用) へのコメントリンク:

Lion Recovery Update -- ダウンロードサイズは決して小さくないものだが、Apple が明言しているのはこのLion 復旧アップデートが「Lion 復元の改善」と「ファームウェアパスワードを使用する場合の“Mac を探す”または Lion Server のプロファイルマネージャの問題」の解消をするということのみだ。この Lion 復元機能を使う事態に陥りたいとは誰も思わないが、この機能はいくらかのトラブルシューティングの操作を実行するとともに、あなたのハードディスクの特別の隠しパーティションからブートして Lion を再インストールすることができる。このアップデートを入手してインストールするには、ソフトウェア・アップデートを使うのが最も手軽な方法だ。(無料、431.91 MB)

Lion Recovery Update へのコメントリンク:

GraphicConverter 7.4 -- Lemkesoft が GraphicConverter 7.4 をリリースした。この同社の画像変換および編集ユーティリティの新バージョンには多数の新機能が盛り込まれている。JPS、PNS、MPO など数多くの新しいフォーマットにも対応し、3D グラフィックスに特に焦点が置かれている。この新バージョンには新たな変換オプションも追加され、画像ブラウズおよび処理に関する新しい機能も多数加わった。多くの既存の機能、例えばカラープロファイル、ファイル管理、書き出し作業などにもマイナーな改善がなされた。また多数のバグ修正もこのアップデートで施されている。(新規購入 $39.95、無料アップデート、100 MB、リリースノート)

GraphicConverter 7.4 へのコメントリンク:

Sparrow 1.4 -- Sparrow が、社名と同名の電子メールアプリのバージョン 1.4 をリリースした。今回のアップデートは主としてパフォーマンスやユーザーインターフェイスの改善を狙っており、メール作成から同期まであらゆる機能が高速化するとともに何らかの意味で磨きをかけられた。 Sparrow 1.4には、歓迎すべき新機能もいくつか追加されている。例えば、ファイル共有サービス CloudApp との統合、pull-to-refresh 機能、会話ビューで古いものから新しいものへ正しく並べ替えできる機能への対応などがある。バグ修正もいくつかこのアップデートで施されている。Sparrow 1.4 が起動ごとにパスワードの入力を要求してくるようになってしまった場合は、Sparrow が回避方法の候補をいくつか挙げているので、バージョン 1.4.1 が登場するまでの間はそれを試してみるのがよい。(Mac App Store からの新規購入は $9.99、無料アップデート、12.0 MB、 リリースノート)

Sparrow 1.4 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2011 年 10 月 17 日

  文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

10 月の第一週に亡くなった業界の巨人は Steve Jobs だけではなかった。私たちが心に留めたいもう一人、プログラミング言語 C の父であり Unix オペレーティングシステムの共同創出者の一人でもある Dennis Ritchie の死去のニュースもあった。それから、Instapaper の開発者 Marco Arment が iOS 5 に深刻な欠陥の可能性があることを指摘した重要な記事にも注目したい。

iOS 5 では隠匿場所 (cache can) としてのキャッシュ (cache) が問題だ -- Instapaper の開発者 Marco Arment が、iOS 5 で Instapaper や他の多くのアプリがおかしくなってしまう理由を説明する。今は、アプリが大量のデータを Documents に保存しようとすると Apple にピシャリと手を叩かれてしまう。Documents は iCloud にバックアップされるかもしれないからだ。けれどもアプリが大量のデータを Caches に保存した場合、iOS 5 ではそのデータが勝手に削除されてしまうこともあるようになってしまった。つまり、データの保存場所を Documents から Caches に移したアプリは、今後いつ何時そのデータが消えてしまうか分からないという状況に直面することになる。Apple はその理由として、Caches というのは再構築可能なデータの保存場所だからと言い張る。例えば、インターネットからデータをダウンロードし直せばよいと言うのだ。けれども、もしオフラインにいる間に削除が起こったらどうするのか? Wi-Fi 専用機器を持った人が情報を溜め込んでから家を出て、道中でゆっくり読もうと思ったらデータが削除されていたとなればどうなるか? Marco が指摘する通り、データを削除するのは Apple だけれども、抗議のメールを受け取るのはアプリの開発者なのだ。

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C の父、Dennis Ritchie が 10 月 8 日に死去 -- コンピュータ業界の巨人がもう一人、先週この世を去った。有名かどうかという点では Steve Jobs にはるかに及ばないけれど、Dennis Ritchie は現代のインターネットを可能にした二つの重要なテクノロジーを創り出した人物だ。彼は C プログラミング言語を生み出し、また Ken Thompson と共に Bell Labs において Unix オペレーティングシステムを築いた。Ritchie はまた Brian Kernighan と共著で、C についての決定版の著書 "The C Programming Language" を書き、この本はプログラマーたちの間であまりにも有名になってたいてい両著者のイニシャル "K&R" という名前で呼ばれている。Wired が Ritchie の生涯を紹介する記事を出している。

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