TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1230/07-Jul-2014

Apple が新型 Mac Pro 用のセキュリティロック・アダプタをリリースしたが、標準機能であってもおかしくないものに $49 という価格は高過ぎるのではないだろうか? 少なくともこの Mac Pro 用ロックアダプタは Apple 製品用の他のあまりにも多くのアクセサリと違って、たぶん二流品ではないだろう。そこで Josh Centers が、他にも値段に見合った価値のある六つのアクセサリを紹介する。さて、iPhoto と Aperture が夕陽に向かって去って行くのを見送りつつ、Jeff Carlson が写真家たちのために次に来るべきものは何かと思案する。PC のライバルたちに比べて、MacBook Air は少々停滞気味に見えるが、はたしてこれは今でも競争力のあるマシンだろうか? Julio Ojeda-Zapata が、MacBook Air を三つの Windows ラップトップ機と比較して、戦える状態にあるのかを見る。それから Josh が最新の FunBITS 記事で、賞に輝く Blek を紹介する。これは書道をモチーフにしたパズルゲームだ。今週注目すべきソフトウェアリリースは、LaunchBar 6.0.2、ScreenFlow 4.5.2、それにセキュリティアップデート 2014-003 (Mountain Lion および Lion) だ。

記事:

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Apple、Mac Pro セキュリティロックを $49 で提供

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

新型の 2013 年代 Mac Pro をお買いになった人は、この小さな、それでいて高価なデスクトップマシンに、ろくでなしがそれを机の上から持ち去るのを防止するための標準セキュリティスロットが付いていない事に気づいて唖然とされているかもしれない。

Apple はこれに対する解を示した: $49 のクランプオン Kensington ロックアダプタである。これは殆どのコンピュータセキュリティロックに対応し、更に Mac Pro が開かれる事も阻止する。残念ながら、$49 でくるのはブラケットだけで、それに使うロックは付いてこない。後者には更に $5 から $30 を払う必要がある。

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Mac Pro は最低でも $2,999.00 もするのに、本来なら標準機能であるべきものに対して Apple が更に $49 も課するのは、少々腹立たしい。但し、見方を変えれば、この様な高価なハードウェアに多少なりとも防護を加える費用としては $49 はそれ程でもないとも言える (Mac Pro を買おうかどうかまだ悩んでいる人は、 Julio Ojeda-Zapata の "Mac Pro は一般のユーザーにも合うか?" 21 April 2014 を参照されたい)。

Apple が、同様の解を MacBook Air やより最新の MacBook Pro with Retina Display にも提供するのを願いたいものである。現行のこれらどちらにもセキュリティスロットは付いていない。

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有用な Apple アクセサリー六つ

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Apple 製品用として、果てしない程のアクセサリーが存在するが、正直言って、殆どのものはがらくたである。皆さんも、幾ばくかの時間でも Apple の世界にいた経験があるのであれば、恐らく iPhone ケース、アダプタケーブル、キーボード、スクリーン保護等々、集めたものは押し入れ一杯にもなっているではなかろうか。

私もテック著作を生業として一年以上になり、集めたがらくたも人並みからはかなり外れた量になってしまっているが、私の毎日の Apple 経験を真に改善してくれる六つの小道具があるので、紹介したい。

Skiva USBLink Duo 2-in-1 Cable -- Apple のより新しい iPhone, iPod, そして iPad に使われている Lightning ポートは良く出来ており、急速充電と無方向挿入に対応している。しかし、Apple にまつわる事の常道として、これも標準品ではない。他社からの多くの機器は、例えば Amazon の Kindle や Android 電話は、そして iPhone 電池パックや iPad キーボードケースですらも、micro USB プラグを使って充電する。

もし家中が基本的に Apple であれば、micro USB ケーブルを常時つないでおく必要性はないであろう。この様な状態こそ、独創的な USBLink Duo 2-in-1 Cable が重宝する場面である。一見したところ、これは通常の 1 メートルの Lightning ケーブルの様に見えるが、キャップを外すとその下に micro USB が現れる。この USBLink Duo 2-in-1 の 小売価格は $15.99 だが、供給は限られている。

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MagCozy -- Apple 独自のケーブルの話でいえば、昔の Apple 電源を最近の MacBook に使うための MagSafe から MagSafe 2 への変換器を持っていますか? このアダプタは小さくて、すぐに何処に行ったか分からなくなってしまう。そこが MagCozy の出番である。

前述の Skiva ケーブルのデザインと同様、この MagCozy は MagSafe 2 アダプタを手持ちの MagSafe ケーブルに、T 型か、L 型に紐付けする。アダプタの取り付け取り外しは何時でも出来るが、手持ちのケーブルから離れる事はない - そしてソファーのクッションの間に埋もれてしまうことも防いでくれる。MagCozy は 7 色あり (Glow in the Dark もある)、二個組みで $9.99 である。

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Lenmar Meridian -- 何時も使いたいものではないが、iPhone 用の電池ケースは、旅先で、或いは緊急時には欲しいものである。

私は Macworld/iWorld 2014 に出発する前に、 Lenmar Meridian iPhone 5 Power Case (定価 $89; Amazon では $65) を買った。これは The Wirecutter で推奨されていたものである。人気の Mophie Juice Pack Plus のおよそ半値であり、より容量の大きい電池が付いている - こちらが 2,300 mAh であるのに対して Juice Pack は 2,100 mAh である。

私がこれを使わねばならなかったのは何回もないが、Lenmar Meridian は十分に役目を果たし、フルに再充電すること無しに 24 時間の電池寿命を与えてくれ、それに過度に邪魔くさくもなかった。残念ながら、これは iPhone 5c には使えない。

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iSlip Lite -- Cooper Product からの iSlip Lite を私が最初に見た時、"一体全体、これは何者なのか?" と自問せざるを得なかった。それは片面にマイクロファイバーが付いたゴムバンドである。いつもは iPad のケースの周りに装着しておいて、使う時に取り外してスクリーンをきれいにしようと言うものである。

私には余り良いやり方には思えず、もっと良い使い方を考え出した。iPad の Smart Cover の真ん中辺まで iSlip Lite を移動させ、ゴム面は外側のままで、それから Smart Cover を三角形に折るのである。これで三角形の平らな面は清掃面になり、Smart Cover 自体が iPad 用の大きな指紋拭きとなる。 iSlip Lite の値段は $5.99 で、各種の色と柄が用意されている。もし興味があればの話だが。

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Magnetic Organization System -- 自分の MacBook を通常机の上に置いて使っているならば、私もそうだが、MacBook を取り外すと、ケーブルが机の後ろに落ちてしまうという厄介さを恐らく経験しているであろう。

Magnetic Organization System (MOS) は、机に吸盤で (或いは、壁になら付属の接着剤付き円盤で) 止められる賢い小物である。内部には磁石が付いており、これが USB や DisplayPort ケーブルの端を保持し、床に落ちてしまうのを防いでいる。Ethernet ケーブルの様な、非磁性のケーブルのためには、MOS には磁性体のケーブル結束具が三個付いてきており、これをケーブルに取り付ける事で保持できるようになる。

MOS の値段は、プラスチック製が $19.95 で、そしてアルミ製だと $39.95 となる。更に、追加の三個組みのケーブル補足具は $5.00 で別に買える。

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Nimblstand -- 机の上で iPad や iPhone の置き場を見つけるのに苦労していませんか? この Nimblstand は革新的な解である。これは Apple Wireless Keyboard に取り付けられるプラスチックのスタンドで、iPad を横位置に、或いは iPad と iPhone を一緒に縦位置に保持出来るスロットを有している。

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Nimblstand のもう一つの興味ある使い方は、iPad 上に絵を描くための一種の画架としてである。Nimblstand をキーボードが背面となる様に位置させれば、iPad は絵を描くための理想的な角度に保持される。この使い方用として、Nimblstand には、スタイラス用のスロットと、スタイラスを上向きに保持するための穴が設けられている。

私はこれが好きではあるが、Nimblstand には些細な事ながら二つの文句がある。最初は、プラスチックではなくアルミ製であって欲しかった。プラスチックは安っぽく感じ、そしてキーボードの美的感覚ともそぐわない。第二に、Nimblstand には、より細身になった iPad Air にも使える様に、スロットの内側に張るための粘着性の発泡ブロックが二個付いてくる。小さな発泡ブロックをスタンドに貼るなんて、その場しのぎの感じがする。

Nimblstand は単体で $39.99 だが、$56.99 出せば、Wacom Bamboo スタイラスをバンドルしたものが買える。

もし皆さんの中で毎日使うお気に入りの Apple アクセサリーがあるという方は、コメント経由で知らせて欲しい!

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Aperture のゴールデンアワー

  文: Jeff Carlson: [email protected], @jeffcarlson
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

写真の世界では「ゴールデンアワー」(金色の時間帯)とは日没直前・直後のほんのわずかの間、太陽が空低く、銅色を帯びた光がドラマチックに見える時間のことだ。一日のうちで写真撮影に最も適した時間の一つだが、素晴らしい光はあっという間に闇に飲み込まれてしまう。

Apple のプロフェッショナル向け写真管理用アプリケーション Aperture は、長引くゴールデンアワーを享受してきた。Adobe Photoshop Lightroom ははるか昔に市場を独占していたが、Aperture は開発が中途半端なままの状態で放り出されていた。つまり、使う人にとってはちゃんと動作した(ただし私の経験ではもたもたした状態で)けれども、意味あるアップデートを受けたことがなかった。そして今や、その光は消えようとしている。Apple が先週、同社が間もなく Aperture の開発を中止すると発表したからだ。

Aperture の代わりとなる(そして iPhoto の代わりともなる)のが、これから登場予定の OS X 用 Photos アプリケーションだ。Apple は、この 6 月の Worldwide Developer Conference (WWDC) でその短い実演をして見せた。この Photos は、iOS にある Photos アプリのアップデート版に倣ったものとして作られる。

もしもあなたが Lightroom への移行をふと頭に浮かべたことがあるのなら、今こそそれを真剣に考慮し始めるべき時だ。けれども、今すぐ急いで何かする必要はない。Apple は Aperture を OS X Yosemite に対応するようにアップデートする予定で、それはつまり Aperture は少なくともあともう一年間は使えるということだからだ。

Apple では往々にして言えることだが、Aperture についても、そこから離脱することに関する情報はほとんど出されていない。同社は数人のプロの写真家たちや報道機関などに連絡を取り、次のような短い声明によってニュースを広めさせようとした。(私はThe Loop で初めてこれを読んだ。)

「新しい Photos アプリと iCloud Photo Library が導入されることにより、写真はすべて iCloud の中に安全に保存できどこからでもアクセスできるようになるので、Aperture において新たな開発を続ける必要がなくなった。来年 OS X 用の Photos が出荷されれば、ユーザーは既存の Aperture ライブラリを OS X 用 Photos へ移行できるようになる。」

Aperture は現在のところ既存の iCloud Photo Stream 機能に対応しているが、これは備え付けの固定機能なので私が想像するところたいていの写真家たちは、プロであろうとアマチュアであろうと、無視するか大して使わないかのどちらかだろう。一方 WWDC で発表された iCloud Photo Library は、すべての写真を Apple のサーバに保存し、 iOS と OS X 上の Photos アプリからアクセスできるようにする。(2014 年 6 月 2 日の記事“Apple、WWDC にて iOS 8 と OS X Yosemite をお披露目”参照。)

そしてそここそが、私たちが現在、消え行く光の中で雑草の間を歩き回っているところだ。Apple でよく見られるのは、次世代の解決法を見据える際、少なくとも外面的には現在を見据えたりしないという姿勢だ。けれども写真だけは特殊なケースとなる。

写真データの問題 -- 私たちは、写真を単に他のデータと同じようなものと考えるのが好きだ。写真はそれぞれ個別のファイルであって、いくつかのプログラムが読み取れるフォーマットで保存され、一つまたはそれ以上のハードディスクに置かれている。見方によれば、写真も Microsoft Word ファイルも大して変わらない。Finder の中で写真や書類を選択してスペースバーを押せば、大きなサイズの Quick Look プレビューが見られる。けれども写真は、他のものと違う二つの特徴を持っている。

第一に、写真は多数の他の情報、すなわちメタデータを含んでいて、基本的な画像キャプチャデータ以外のさまざまの様相をこれが記述する。Aperture などのアプリケーションは、キーワードや位置情報など、画像ファイルには書き込まれていないかもしれない情報も追跡する。(あらゆる写真の中で最も多く使われている JPEG ファイルはそれらのデータもファイル自体の中に保存するが、写真を raw フォーマットでキャプチャしそれをフィルムのネガのように扱うやり方を選んだプログラマーたちも多い。そのような場合、メタデータは写真アプリケーションによって別途追跡されたり、あるいは元の画像に付随する「サイドカー」ファイルの中に存在したりする。)

Aperture (と iPhoto) は、画像を編集するためのツールも多数提供する。写真家たちは撮影した元の写真を恒久的に変更してしまうことを望まないので、このアプリケーションは写真に施された変更も追跡し、レタッチされていない状態のものにいつでも復帰できるようにしている。

このことが、写真の持つ第二の特徴に結び付く。私たちは通常、個別の画像にでなく多数の画像の集まりを相手にやり取りするものだ。カメラから、あるいは iPhone から、一度に数十枚、さらには数百枚の画像を読み込み、それらを全体として検討することにより最終的に一枚の写真に対する作業へと落ち着く。

そこで、新しい Photos アプリケーションについても、Apple はただ単にアプリケーションを更新するだけでなく、すべての人の画像ライブラリも 更新しようとしている。このソフトウェアがリリースされる際、おそらくあなたは新たに空っぽの Photos ライブラリから始めるのではないだろう。あなたがこれまでに撮影し、iPhoto、Aperture、またはその他のソフトウェアの中に保存しておいた写真もすべて(あるいはほとんど)新しいソフトウェアに持ち込もうとするだろう。

このような状況を、Apple が最近に書き直した他のアプリケーションにおける状況と比較してみよう。

Keynote が書き直されバージョン 6.0 としてリリースされた際、Keynote '09 に存在した機能の一部はサポートされなかった。もちろんそれは苛立たしいことではあったが、たいていの場合人々は古いプレゼンテーションを開く必要などない。普通の人たちは、最新バージョンを使って新しいプレゼンテーションを構築するか、あるいは古いファイルを一つ二つ変換し、制約は何とか回避することでやって行けるだろう。どこかで線を引いて、それより古いファイルの大多数にはアクセスする必要がないということもよくある。

Apple には、このやり方で古いソフトウェアをすっぱりと切り捨てて新しいものに道を開いてきた悪評高い歴史がある。例えば iMovie は、iMovie '08 において新しいアプローチを取り入れたが、それまでのバージョンにあった機能に追い付くまでに二度のバージョン改訂を要した。また、Final Cut Pro ユーザーの多くは、Final Cut Pro X の導入から三年経った今でもまだ古い編集システムにしがみついている。つまり、切り替えを賢く果たした人たちは、古いバージョンを使ってそれまでのプロジェクトを完成させ、Final Cut Pro X は新規のプロジェクトのためのみに使っている。

しかしながら、写真においては古い写真を単純に無視して新しい写真のみで前に進む訳にはいかない。もちろん、すべてをきっぱりと切り落として古いライブラリにアクセスできなくなっても構わないと言い切れるのならば話は別だが。普通は、写真ライブラリを持っている理由の一つはそこに手を伸ばせば古い画像が見つけられるからだ。こうして、Aperture ほどに成熟したアプリケーションであって、ユーザーたちがおそらく何千何万という写真を管理しているようなものを捨て去るのは、非常に複雑なこととなる。

(私の本 "Take Control of Your Digital Photos" では写真の管理について詳しく解説している。Lightroom を主に扱っているが、Aperture や iPhoto での作業に関する情報も含めてある。)

そうそう、危うく忘れるところだったが、第三の特徴にも触れておこう。写真は、極めて個人的に作成されたもので、私たちの心の奥深くにある思い出を表現している。だから、アプリケーションからアプリケーションへ、またバージョンからバージョンへの変換の際に写真が失われてしまったり、必要以上に複製されたりすれば、人々は もの凄く 感情的になるものだ。(皆さん、バックアップ、バックアップですよ!)

Photos アプリに期待されるもの -- 幸いにも、Apple はそうしたことをすべて承知している。もう一度 Apple の声明に目をやると、「ユーザーは既存の Aperture ライブラリを OS X 用 Photos へ移行できるようになる」と書かれている。

Aperture と iPhoto は同一のデータベースフォーマットを使っているので、現在は iPhoto ライブラリを Aperture で開いてもその逆をしても、メタデータやいろいろな修正が失われることはない。iPhoto は、自らが理解できないものはすべて無視する。二年前に起こったこの互換ライブラリへの転換は、明らかに OS X 用 Photos への移行の前触れであったのだろう。

では、機能の面で Photos はどんなものを提供するのだろうか? 満たされる必要のあるものとして、期待される点がたくさん直ちに頭に浮かぶ:

たぶん、Apple が Aperture と iPhoto を無視して深いアプリケーションを築くことだけにすべての時間を費やしているのでもない限り、OS X 用 Photos はこうした分野のいくつかにちゃんと入り込むことになるだろう。(もちろん私が誤ったとなれば喜んで受け入れるが。)けれども、これまで Apple がアプリケーションを設計し直して(包括的な機能性でなく)核心的な機能性のみを付けてリリースしてきた実績を考えれば、私も楽観的にはなれない。旧バージョンにあった機能も、新しいバージョンの中で当初のバグに対処が施され数回のリリースを経た後でなければ登場しないということもあり得る。

iPhoto ユーザーにとっては、何も懸念すべきことはない。けれども Aperture ユーザーたちは、何か別のものに移行してから、Apple が将来彼らを呼び戻したい気になるのかどうか見守ることになるかもしれない。

写真アシスタント -- でも考えてみれば、ひょっとすると Apple は Photos をこれまでと違った、モジュラーな方向に持って行こうとしているのかもしれない。 Ars Technica の記事によれば、Apple はサードパーティの拡張を許すようになるという。おそらくそれは iOS 8 に登場予定の機能に似たものになるのではあるまいか。Photos が提供するものより高度な白黒への変換機能が欲しければ、Nik コレクションの Silver Efex Pro モジュールをロードすればよい、といった具合だろうか。

あるいは(ここは完全なる私の臆測になるが)Apple が raw 画像の処理から手を引いて、顧客たちが Adobe Camera Rawを使って画像を処理できるようにすることで Adobe に仕事を引き受けてもらうようになることも考えられる。そういうやり方は写真に関するユーザーの体験をすべて自社の傘の下に置きたいという Apple の気質には反するけれども、ひょっとするとその代わりに核心的な機能性のみに焦点を合わせることで満足できるというのかもしれない。

朝の光が -- 日没時だけでなく、日の出の光を活用したい写真家は、早起きをする。時として、眺めの良い場所を目指してまだ暗いうちに車を運転したり野山を歩いたりしている間、日の出の光と空の様子がはたしてドラマチックなものになるのか、それとも雲に邪魔されて台無しになるのか、予想がつかないこともある。そういう時、写真家はとにかくカメラをセットアップし、朝の空気を胸一杯に吸い込み、最善の結果を期待する。そう、OS X 用 Photos は、Apple にとっても写真家たちにとっても、新しい一日となりそうだ。

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MacBook Air を最新の Ultrabook や Surface と比較するとどうか?

  文: Julio Ojeda-Zapata: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Apple の古参のノートブック機 MacBook Air に対して今年の 4 月に行なわれたアップグレードは、ハッと息を飲むようなものとはとうてい言えなかった。プロセッサのパワーがほんの少々向上し、価格がほんの少し下がったけれども、それ以外の点ではそれ以前のマシンとほとんど同一のものだった。

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もっと劇的な改善、例えば Retina ディスプレイの追加とか、新しいフォームファクター(昔を思わせる 12 インチも噂されていた)とかを望んでいた人たちは、落胆した。もはや更新を終えたので、当分の間 MacBook Air のさらなるアップデートは望み薄だ。

他方、Windows の世界はモバイルコンピュータの大きな変化を迎えつつある。そこで、新しいハードウェアのみを理由に Windows に乗り換えたいとは思わない(し皆さんにもお勧めはしない)私たちも、やはりフェンスの向こう側で何が起こっているかについてはいつも目を配っていたいものだと思う。

現在、Microsoft は第三世代の、根本からデザイン改訂された Surface PC である Surface Pro 3 を提供中で、これを MacBook Air の直接の競合相手と位置付けている。ただしそこにはタブレットの機能もあるので、iPad シリーズとも争う位置にいることになる。

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数年前には MacBook Air と競合すると思われていた軽量ラップトップ機の Ultrabook も、ますます良くなりつつある。機種によっては、Apple ファンでさえ立ち止まって手に取らざるを得ないほどの魅力を備えている。

だから、Mac ユーザーとしては、Windows の世界ではこれほど速い進化が進んでいるというのに、どうして Apple のこの超軽量ラップトップ機はこのところハードウェアの最前線で足止めを食らっているのだろうかと思ってしまう。はたして MacBook Air は、今でも勝者の立場にいるのか、少なくともしっかりした競争力を備えているのか? それとも、今ではもはや... ひょっとしてほんのちょっぴり恥ずかしい思いをすべき時期に来ているのだろうか?

最近の私は多種多様なラップトップ機を借り受けていろいろと調べて回ったりしながら、その疑問をずっと思い巡らせていた。私が試したマシンは、11.6 インチモデルと 13.3 インチモデルの MacBook Air と、Surface Pro 3、それから Acer の Aspire S7 や Lenovo の ThinkPad X1 Carbon Touch といった人気の Windows ノートブック機だ。いずれも、それぞれ独自の意味で素晴らしいマシンだ。

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Mac と PC の比較というのは、ことわざに言う Apple と orange の比較と同じく、とても難しい。なぜなら、片方にある機能に直接相当するものが、もう片方には全くないことがよくあるからだ。また、小さく首尾一貫した形にまとまった Mac のエコシステムに比べて、Windows ノートブックの世界は広大で、あまりにも多様なものたちから成っている。

PC メーカー各社は、忠実な Apple ファンたちに対して Mac の側にはあまり見当たらない付属機能をいろいろと見せびらかしながら彼らの気を引こうとしている。とりわけ Microsoft は、Mac をこの Redmond の巨人のリテール店へ下取りに出した人たちに気前良くいろいろのオマケを差し出すことで Apple からの転向者を取り込もうと躍起になっている。古く飽き飽きしたものはそろそろ捨てて、新しく活気あるものに乗り換えませんか、と Microsoft は言う。

長年の Mac ユーザーならばそう言われてもただ笑うだけかもしれないが、少なくとも MacBook Air には少々問題があるのではなかろうか? そこでこの記事では、最も重要ないくつかの機能分野について考えつつ、Apple のこの製品シリーズが競合相手と比較してどういう位置にあるのかを見てみよう。

Retina ディスプレイ -- おそらく MacBook Air シリーズに対する最も大きな不満は、Retina ディスプレイがないという非常に目立つ欠落だろう。どの MacBook Pro ノートブックにも、また iMac を除いたすべてのスクリーン内蔵 Apple デバイスにも、今は Retina ディスプレイが搭載されているというのに。これは大きな問題だ。そうでしょう?

ここで、私がこの数週間 Windows ベースのモバイルハードウェアをいろいろとテストしながらびっくりしたことを報告しておこう。私が借りた PC のディスプレイは、どれも素晴らしい。私が試したモデルはすべて 2,160 × 1,440 ピクセルの解像度を持ち、物理的なディスプレイのサイズは Surface Pro 3 の 12 インチから Aspire S7 の 13.3 インチ、ThinkPad X1 Carbon Touch の 14 インチまでさまざまだった。これらのディスプレイの持つ 3,110,400 という総ピクセル数は Apple の定義による "Retina" の範疇(MacBook Pro ノートブックはそれよりもっと高いピクセル密度を提供する)には含まれないが、それでもかなり良いものではある。

数字に興味ある人たちのために付け加えると、13.3 インチ MacBook Air が持つのは 1,440 × 900 ピクセル (総ピクセル数 1,296,000) で、11.6 インチモデルは 1,366 × 768 ピクセル (総ピクセル数 1,049,088) だ。これらは Windows Ultrabook の持つ総ピクセル数のおよそ 40 パーセントで、あまり聞こえは良くない感じだ。状況によっては、そのようなスペックでは深刻な問題が起こることもある。例えば、私が Apple のもはや先が長くない Aperture アプリ(2014 年 6 月 27 日の記事“iPhoto と Aperture にサヨナラを”参照)を使ってズームインされたデジタル写真に微細な変更を施していた際には、ピクセル密度が低いことが痛いほど気になった。

けれどもそのような特殊な状況は、私にとっても、大多数の平均的ユーザーたちにとっても、どちらかと言えば稀にしか起こらない。一方プロの写真家たちはプロ用のハードウェア、つまり MacBook Pro を購入するだろう。それならば 13 インチモデルで解像度 2,560 × 1,600 (総ピクセル数 4,096,000)、または 15 インチモデルで解像度 2,880 × 1,800 (総ピクセル数 5,184,000) となる。普通の Apple ユーザーはそれほどピクセル数を気にするような人たちではなく、MacBook Air で比較的ピクセルが粗くても大した問題にはならない。私自身、普通はそんなことを気にしない。

だから私の結論はこうだ。私が Windows マシンを横に置いて、MacBook Air に戻り、15 分間ほど自分自身を再調整する時間をおけば、私は幸せなユーザーに戻れる。確かに、Retina 搭載の MacBook Air がついに登場したとなれば私としても大歓迎だけれども、ディスプレイの品質のみを理由に MacBook Air を購入しないよう人に勧める気にはならない。

ちなみに、MacBook Air がいずれ Retina 搭載となるのか否かというのは議論の的となるべき問題だろう。これはプロ向けの機能であって主流向けの性格の強い Air モデルには当分組み込まれないだろうと考える人たちもいる。それに、バッテリの負荷が大き過ぎるのだとすれば依然として実現困難なものなのかもしれない。

ラップトップとしての使い勝手 -- ラップトップ機という名前にはちゃんとした理由がある。状況によりラップ(ひざ)の上に乗せて使えるようにデザインされたマシンなのだ。最近私は St. Paul の市議会を取材する機会があった。(そう、テクノロジーの側面から意味があったからだ。)そこで私は自然な動作として、鞄から MacBook Air を取り出し、リッドを開き、教会の会衆席のような座席の上でコンピュータを私のラップ(ひざ)の上に乗せて、タイプし始めた。

それは、改善を求めて叫び出したい状況でもなければ、中断を余儀なくされるようなことでもない。でも、Microsoft に向けてそれを言うことはできない。鳴り物入りで宣伝されている Microsoft の Surface PC では、"lapability" (これは Microsoft の用語であって私が作った言葉ではない) に対する違ったアプローチが用いられている。それは、Microsoft の主張によれば、とてつもなく素晴らしいものだ。

Surface PC の背面にはカチッと開くスタンドが付いていて、カバーとしても機能する薄いキーボードが必要に応じて前面に磁石で取り付けられる。この Surface PC をラップ(ひざ)の上に乗せて使うということは、スタンドを開いた状態で PC がラップ(ひざ)の上にバランス良く乗るように工夫し、さらにそこにカバー式のキーボードを取り付ければやっとフルの ひざ ワークステーションになる。

それはちょっと具合が悪いと聞こえただろうか? まさにその通り。たいていのカバー式キーボードは曲がりやすい傾向にある(補助的 Surface バッテリを組み込んだ分厚いものは例外だが)ので、タイプするのにしっかりした手応えのある台にはならない。その上、ラップトップ機の底面を水平にしっかりとラップ(ひざ)の上に置くのとは違って、スタンドを開いた Surface をバランス良く乗せるというのはどうにもうまく安定しない。

Microsoft はこうした問題をすべて承知しているが、最新のモデル、つまり Surface Pro 3 ではこの問題が解消済みだと主張する。このモデルの背面のスタンドは以前のモデルに比べてはるかに調節可能度が大きく、フルに摩擦によるデザインにしたことによって最大 150 度までの好きな角度でコンピュータを傾けることができる。カバー式キーボードも以前よりずっと固く本体に取り付けられるので安定性が増した。それに、新しいトラックパッドは以前のものに比べて 68 パーセント大きくなり、摩擦も 78 パーセント減った。

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Microsoft は新しいビデオまで出している。(ご推察の通り) "Surface Pro - Lapability" というタイトルだ。

これで "lapability" の問題はすべて解消されたのだろうか? まあ、良くなったことは確かだが、もう何の問題もないと言い切る気にはなれない。私はショートパンツをはいているときに Surface Pro 3 を使うのは嫌だ。金属製のスタンドの薄い縁が、まるでナイフのように私の裸の脚に食い込むからだ。その上、キーボードが曲がってしまう問題も依然として残っている。トラックパッドも Air のものに比べればまだ小さく、Air のものほどエレガントで使いやすくはない。その差は大きい。

なので、この分野では私は Air を選びたい。ただし、この分野では Acer や Lenovo のマシンも Microsoft のハイブリッド機に勝っている。時には、伝統的なものを打ち負かすのが不可能なこともあるのだ。

スタイル -- Apple 評論家の中には、MacBook Air の工業デザインが少々時代遅れだと言う人たちもいる。そういう意見を言うのはご自由だが、私はそんな人たちはどうかしていると思う。

競合する Windows ノートブック機には、確かに素敵なものが多い。白っぽい Aspire S7 の外観はアルミニウムと Gorilla Glass 2 が新鮮な感じに組み合わされて素晴らしい見栄えだが、ちょっと汚れが付きやすい。X1 Carbon Touch は古典的な Lenovo の黒くてソフトな触感の外面で、ウェッジ形で角が丸いところが MacBook Air と似ていて、平らな板の感じの Aspire S7 とは違う。

Microsoft は Surface Pro 3 で独自のスタイルを主張する。従来のモデルより薄く軽くなり、メーカーの主張によれば現存する Intel Core クラスのモバイルコンピュータの中で最も薄い。明るいグレイの金属は威厳を持ちつつも控え目な印象を与え、手に持った感触が素晴らしい。(ただしベッドの中で片手で持って読書をするには大き過ぎるが。)

それはとても良いことだが、Apple の古典的なつや消しアルミニウムに比べて優れているか、より現代的かと問われれば、そう言い切ることもできない。

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ここでもまた、Apple はいったん新たな製品のお披露目ともなれば退場しつつある製品が古びて見えるように独自のやり方を発揮するだろうと思われるので、そうなればきっと私は自分の発言を取り下げることになるに違いない。

タッチ機能 -- MacBook Air を使いながら、厄介な習慣が私に取り付いた。無意識に私は、手を伸ばしてスクリーンをタップしたりスワイプしたりしてしまうのだ。その理由の一つは、ラップトップ機のレビュー記事を書く者として、私がタッチディスプレイ搭載の Windows ノートブック機をいろいろテストしているからだ。けれども、Apple 製品しか使わない人たちの間にもこの現象は見られる。なぜなら、iPad や iPhone ではタッチを使った意思疎通をしているので、ついその習慣が Mac ラップトップ機を使っている際にも出てしまい、たいていは滑稽な結果に終わるからだ。

そこで次のような疑問が生まれる。MacBook Air ラップトップ機は(ひいては MacBook Pro モデルは)タッチスクリーンを搭載していないことで、Windows 機に後れを取っていると言えるのだろうか? そろそろ Apple もタッチ機能を追加すべき潮時なのか?

正直言って、私は Windows ラップトップ機のタッチ機能が大好きだ。その大きな理由は、依然として支配的なコンピュータオペレーティングシステムの現行バージョン、Windows 8.1 だ。これはその種の意思疎通手段を大いに念頭に置いてデザインされている。この Windows OS の一部分となっているのが、大きくて鮮やかな色のタイルだ。これらのタイルはさまざまの理由でタッチして使うために作られている。例えばフルスクリーンアプリを起動させることができ、そのフルスクリーンアプリもまた、タッチ中心のインターフェイスを持つ。この意味で、タッチフレンドリーなハードウェアとソフトウェアは手に手を取って働く。(記事“Microsoft Surface: 二つのコンピュータの物語”参照。)

Acer と Lenovo のラップトップ機は、180 度折り返して仕事机の上に平らに置き、スクリーン共有をしたり、タッチを共有したりして使うことができる。これは MacBook Air には真似のできない技だ。

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Surface Pro 3 には巧妙なスタイラスペンが付いていて、一押しするだけで Microsoft の OneNote アプリが起動される便利なボタンもあり、このスタイラスペンを使って精密なスケッチや製図その他の作業ができる。Mac ユーザーたちには、外付けのグラフィックスタブレット(あるいは iPad に別途スタイラスペンを付けたもの)を使わなければできない芸当だ。

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Mac OS X は、Apple のタッチ中心の iOS を色濃く反映したその最新バージョンにおいてさえ、全く違った代物だ。指先にフレンドリーなものではなくて、トラックパッドやマウスを使って操作するように作られている。これは決して欠陥ではない。これは、1980 年代以来ずっと Apple でうまく働いてきたやり方であり、近年になってトラックパッドのお陰でより洗練されたものだ。モバイルコンピューティングの業界にはトラックパッドに相当するものがない。

実際のところ、私が Windows ラップトップ機でタッチスクリーンを使うのは、そのやり方が大好きだからではなくて、そこにあるパッとしないトラックパッドが使いにくいからであることが多い。Aspire S7 や ThinkPad X1 Carbon Touch に搭載されたトラックパッドは素敵だが、Apple の素晴らしいものには及ばない。それに、Apple ユーザーとしての私は、MacBook Air のスクリーンがタッチで動かすように作られていないことで困ったことなどまずない。別に不可欠の要素でもないのだから、なければないで私は構わない。

スペック -- Windows ベースの Air のライバルたちすべてを盛り込んだスペックの完璧な比較など、この市場がどれほど大きく多種多様になったかを考えればとうてい無理だと分かる。MacBook Air より優れたラップトップ機種もあれば、劣った機種もある。より安価な機種もある。ずっと高価な機種もある。Ultrabook が高度に設定可能であるという事実も、多くの場合にその比較をどうしようもないほど複雑なものにしている。

そこで、いくらか緩い話に切り替えて、ここでは比較の対象を私自身が現在持っている Windows PC のみに限ることにしたい。これらは、Windows の世界における Apple ノートブック機の代替機として最もよく知られ最も評価の高いものばかりなのだから。これは対象を狭めた、けれどもその中では公正な、比較と言えるだろう。

スペックの数字をたくさん並べたてて皆さんの目をクラクラさせるのは本意ではないので、詳細は Surface Pro 3 と、 Aspire S7 と、X1 Carbonシリーズと、MacBook Air、それぞれのスペックのページを参照して頂きたい。

ライバルのコンピュータたちを公平に比較するために、「$999 前後の予算でどれだけのものが手に入るか?」という質問を基準としてみた。まずは入門レベルの 13.3 インチの Air がその価格で手に入ることを確かめた上で、他のものたちと比較した。

上に挙げたそれぞれのスペックページを目が疲れるまで見つめたあげく、私はいくつかのことに気付いた:

  1. ストレージ (128 ギガバイト SSD)、メモリ (4 ギガバイト)、プロセッサ (Intel Core i5、ただしクロック速度はいろいろ)、グラフィックス (いずれもほぼ同等の Intel の統合型 HD グラフィックカードを使っている) などの主要なカテゴリーについては、どのコンピュータもほぼ同等であった。

  2. 13.3 インチスクリーンが最適の選択肢のようだ。X1 Carbon は 14 インチで少し大きく、Surface Pro 3 は 12 インチで少し窮屈な感じがする。

  3. Air に Retina がないことは、思ったほど大きな問題ではない。予算の範囲に収めるためには Acer も Lenovo も解像度を抑えたモデル (1,920 × 1,080 ピクセルと 1,600 × 900 ピクセル) にせざるを得ないからだ。

  4. タッチ機能についても、少なくとも Lenovo については同じことが言える。低予算に合わせたモデルにはタッチ機能がなく、それでも $1,186.55 とまだ予算を超えている。他方、Aspire S7 は $899 のモデルが十分予算の範囲内に収まる上に、タッチ機能も付いている。($999 のモデルも選べる。)

  5. Surface Pro 3 で価格とスペックをライバルと同等にしようと思えばカバー式キーボードが付かなくなってしまう。(付ければ $130 余分にかかる。)その点は我慢してコンピュータに取り付けることのできない USB か Bluetooth のキーボードを使うか、あるいはカバー式キーボードを付ける代わりにスペックを落として Intel Core i3 プロセッサと 64 ギガバイト SSD しか持たない Surface モデルにするかしかない。(しかもその構成は 8 月にならないと出荷されない。)

  6. 驚いたことに MacBook Air が最も重くて 2.96 ポンドあるが、差はそれほど大きくない。X1 Carbon と Aspire A7 はどちらも 2.8 ポンドをほんの少し超える程度だ。Surface Pro 3 は 1.76 ポンドだが、これはフルの Intel Core コンピュータとしては驚くべき数字だ。

これらすべてを考え合わせれば、MacBook Air は、少々重いとか、ディスプレイの解像度が低いとか、タッチ機能がないなどの欠点はあるとしても、明らかにライバルたちと比べて十分競争力があると分かる。私にとっては、それらの欠点のいずれも決定的な因子になるとは思えない。

ソフトウェア -- この記事は主としてハードウェアに関する話だけれども、ソフトウェアの視点を完全に無視するのもやはり不可能だ。そしてこの分野での Mac は素晴らしい。Windows を買う人たちは、新しい Mac を買ったオーナーには Apple の素敵な iWork アプリに加えて iMovie、iPhoto、GarageBand、その他が一体となって、買ったその日から素晴らしいパワーを与えてくれる、そのようなものに見合うだけの一連のソフトウェアを備えたラップトップ機を見つけるのには苦労するだろう。(iPhoto がもうじきこの世界から消え去るという話はお聞き及びかもしれないが、Apple はちゃんとそれに代わるものを用意している。2014 年 6 月 2 日の記事“Apple、WWDC にて iOS 8 と OS X Yosemite をお披露目”参照。)

その話をもう一歩進めよう。私がいつもテストしている Windows PC に絶えず付きまとう不満は、私が普段 Mac で使っているいくつかのプログラムに相当するアプリがこのプラットフォームには存在していないことだ。例えば、パワフルなポッドキャストクライアントの Instacast for Mac、人気のブックマーキングサービスにアクセスするために使う Mac ネイティブかつ機能豊富なアプリ Pocket for Mac、Gmail や Google Calendar にアクセスするために使うネイティブアプリとウェブアプリのハイブリッド Mailplane、最近改訂されたばかりの RSS リーダー Reeder、その他いろいろだ。

確かに、これらの重要な Mac 用アプリには Windows 上でそれに近いものもいくつかある。でも、私はそれらはとうてい比較にもならないと思う。もちろん、場合によっては私に同意して下さらない方もおられるだろうし、この種のことはある意味主観的なことだと分かっている。けれども基本的に私の論拠は妥当なものだと思う。Mac ユーザーたちは、凄いソフトウェアを持っている。これも、私が今でも Mac の非常に忠実なユーザーである理由の一つだ。PC を使っている間、私は自分がソフトウェアに恵まれていない気がする。

結論 -- こうしていろいろと分析してきて、その結論が明らかと思っておられない方のためにはっきり言葉にしておくと、結論: MacBook Air のユーザーたちは、恥ずかしい思いをすることなど何もない。

Air の代替機となれるものの中で私が一番気に入っているのは Surface Pro 3 だ。その主たる理由は、持ち運びやすいこと、高解像度のディスプレイ、それとキーボードを取り外して純粋なタブレット機としても使えることだ。また、角度を自由に調節できるキックスタンドもなかなか良い。

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でも、もしも Surface Pro 3 と MacBook Air のうちどちらか一つを選べと言われれば、私は迷わず後者を選ぶ。そこに何の疑問もない。

Mac ユーザーの中には Retina ディスプレイになるまで我慢しようと考える人もいるだろう。でも、緊急にアップグレードしたいという人ならば、自信を持って Air を買えばよい。PC にタッチスクリーン機能があればそれはそれで意味あることだけれども、Mac にはその機能がないのだから、そんなことは気にしなければよいだけだ。Air は、とても格好良くて、とても魅力たっぷりで、とても lappable だ。(うむ、こんな単語は今後二度と使わないと誓う!)そしてスペックについて言えば、ほぼ同等の価格帯にある一流の Windows ラップトップ機のどれと比べても、完璧ではないにせよ、十分肩を並べられるレベルにある。

だから、Apple ファンの皆さん、堂々と出て行って、誇りを持って買い物しようではないか。

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FunBITS: Blek は iPhone と iPad 用の曲線の難問

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

ここアメリカ合衆国では独立記念日が過ぎたばかりだが、少なくとも私の住まいの近所では、一ヵ月間にもわたって毎晩のように花火大会が続いている。でも私のように、静かにゆったりと、リラックスできる素敵な時間を過ごしたいと思う人もいるだろう。そういう向きには、Apple Design Award を受賞した Blek はいかがだろうか。開発者 Denis Mikan による、書道をモチーフにしたゲームだ。Blek は $2.99、App Store から入手できる。(28 MB)

書道をモチーフにしたゲームって何だ? それはつまり、色の付いた風船を、線を描くことによって破裂させるのだ。何だかつまらないものに聞こえるかもしれないが、Blek が素晴らしいのは、あなたが線を描いた後も、まるでインクの蛇のように、その線が進み続けるところだ。真っ直ぐな線を描けば、そのまま真っ直ぐ突き進んで行く。弧を描けば、その弧を描いて進んで行き、スクリーンの下の端に消える。でも、弧を描いてから最後に反対向きに撥ね上げるようにすれば、曲線はまるで波の形のように、上がったり下がったりしながらスクリーンを横切って進む。どんな仕組みになっているかの感覚を掴むには、 公式の予告ビデオをご覧頂きたい。

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その仕組みをきちんと見つけ出すことは、黒い点が出現してからは不可欠となる。なぜなら、これらの黒い点はまるでブラックホールのように、あなたの線を吸い込み消し去ってしまうからだ。だから、ここでの要点は、黒い点を避けつつ色付きの点に当たるように、線を描くことだ。どのレベルも試行錯誤の繰り返しでフラストレーションが溜まるかもしれないが、幸いなことに、一つのやり方がうまく行かなければ、ただ単にもう一度初めから別のやり方を試してみればよいだけだ。

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このゲームのもう一つの要点は、あなたの線がスクリーンの左右の端では跳ね返るけれども上下の端では吸い込まれて消えることだ。多くのレベルで、このことが重要な鍵となる。うまい角度に線を描いて、動いて行くその線がブラックホールを避け、色付きの点に当たり、それからサイド側で跳ね返ってまた別の色付きの点に当たるが、その間決して上下の縁を横切らないようにする、という具合だ。このゲームで成功するには綿密な思考が必要となる。

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Blek はただそれだけのゲームだ。とてもシンプルで、禅を思わせる体験ができる。けれども 60 以上のレベルがあるので、結構長い間をかけて難問に取り組める。The New Yorker は Blek を 2013 年の最もエレガントな iPhone 用ゲームのリストに含めているし、Kotaku の Mike Fahey は Blek を「私がこの一年間にプレイした中で最も輝かしいゲーム」と呼んでいる。Blek は、モバイルゲーミングの真髄を最も純粋な形で引き出すものとなっていて、タッチベースのゲームとして従来型のゲームコンソールでプレイするには単純過ぎる種類のものだが、それにもかかわらずとても充実した体験をさせてくれる。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2014 年 7 月 7 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

LaunchBar 6.0.2 -- Objective Development が LaunchBar 6.0.2 をほんの僅かの新機能、改善、修正を加えてリリースした。このキーボードベースのランチャー兼ショートカットユーティリティには、来たるべき OS X Yosemite における Safari の履歴索引付けへの対応が追加され、Option-Escape を使ってサブ検索を項目リストを閉じることなく終了させられるようになり、文字列変換アクションに Encode to Base64 と Decode as Base64 が追加された。また、著述家 Eric Meyer の娘 Rebecca Meyer を追悼して Enter Color アクションに彼女の大好きだった紫色 rebeccapurple を使えるようにした。このアップデートから Enter/Edit Text の中で大文字と小文字の混じった変換をさらに各種提案するようになり、大文字・小文字の変換のタイトルを改善し、自動的に ~/Downloads フォルダを Date Added 順に並べ替えるようにし、デフォルトの Desktop 索引付けルールが勝手にサブフォルダを索引付けしないようにし、アルバムの Random Order 再生の問題点を修正した。(新規購入 $29、 TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、10 MB、リリースノート、10.9+)

LaunchBar 6.0.2 へのコメントリンク:

ScreenFlow 4.5.2 -- Telestream が ScreenFlow 4.5.2をリリースした。前回のメンテナンスリリース(“ScreenFlow 4.5.1”(2014 年 5 月 28 日) 参照)で導入されてしまった、書き出しファイル名のデフォルトが書類の名前にマッチしなくなっていたバグを修正している。このスクリーンショット録画アプリは大きなズーム倍率の書類を開く際に起こったハングを修正し、タイムラインがズームアップされ数多くのオーディオ波形付きクリップを含む書類を開く際のパフォーマンスを改善し、オーディオ波形付きクリップの速度を変更することに関係したメモリリークを修正している。新機能の詳細な一覧は Telestream のサポートページにある PDF のリリースノートで読める。ただしこの記事の執筆時点で Mac App Store 版の ScreenFlow はまだバージョン 4.5 のままだ。(Telestream ウェブサイトから新規購入 $99、Mac App Store から新規購入 $99.99、39.1 MB、10.7+)

ScreenFlow 4.5.2 へのコメントリンク:

セキュリティアップデート 2014-003 (Mountain Lion、Lion) -- Apple がセキュリティアップデート 2014-003 を 10.8 Mountain Lion、10.7 Lion、および 10.7 Lion Server 用にリリースして、最近リリースされた OS X 10.9.4 Mavericks (2014 年 6 月 30 日の記事“OS X 10.9.4 で Wi-Fi、スリープからの目覚めを修正”参照) において施されたものと同じセキュリティ修正の多くをこれらのオペレーティングシステムにも施した。三つのリリースのいずれも、認証信任規約に対するアップデートのほか、悪意を持って作られた ZIP ファイルでの脆弱性、cURL が NTLM 接続を再利用する問題、Dock がアプリケーションからのメッセージを処理する際の問題などを修正している。Mountain Lion 用のセキュリティアップデートではグラフィックドライバに関するカーネルメモリに関係した脆弱性と、OpenCL API コールの処理における検証の問題点、および IOAcceleratorFamily におけるアレイの索引付けにパッチを当てている。(パッチされた脆弱性のリストもある。)(すべてのアップデートが無料、10.8 Mountain Lion 用 139.3 MB、10.7 Lion 用 134 MB、10.7 Lion Server 用 184.3 MB)

Security Update 2014-003 (Mountain Lion、Lion) へのコメントリンク:


ExtraBITS、2014 年 7 月 7 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の ExtraBITS では、Apple が CarPlay を拡張し、Back to School 宣伝販売を復活させ、AppleCare+ の購入期間を 60 日間に拡大した。iOS 8 における 1Password がどうなるかについても垣間見る。

1Password は iOS 8 で素晴らしくなるかもしれない -- フランスのウェブサイト iGen.fr に Anthony Nelzin が二つの短いビデオを投稿して、iOS 8 ではパスワード管理ユーティリティ 1Password に何ができるようになるかを示した。一つ目のビデオは Extensions のお陰で 1Password を使って Safari でウェブサイトにログインできる様子と、Touch ID を使ってパスワードヴォールトのロックを外すところを実演する。二つ目のビデオは Touch ID を使ってアプリのロックを外す様子に焦点を当てる。もちろん、これらの機能はまだテスト中であり、1Password が公式の iOS 8 用アップデートをリリースした際にはこのビデオに示されたものとは違っているかもしれない。

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さらに九社の自動車ブランドが CarPlay に契約 -- Apple が新たに九社の自動車ブランドとの間で同社の自動車内統合システム CarPlay の契約を結んだ。Abarth、Alfa Romeo、Audi、Chrysler、Dodge、Fiat、Jeep、Mazda、Ram の九社だ。これで Apple は全部で 29 社の CarPlay パートナーを持ったことになるが、今年のうちに CarPlay 互換な自動車を発売するのはそのうち 4 社に過ぎない。

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Apple、Back to School 宣伝販売を復活 -- またことしもその季節がやって来た。あなたが大学生であるか、この秋に入学することが決まったか、大学生の子供を持つ親であるか、または学校で働いているなら、Mac を購入した際には $100 分、iPad または iPhone を購入した際には $50 分の Apple Store ギフトカードが貰える。資格のある購入者は Apple の教育関係者用割引を受けることもでき、それを今回の宣伝販売と組み合わせることもできる。

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AppleCare+ 購入期間を 60 日間に拡大 -- Apple は日本以外のすべての地域において、iPhone と iPad の AppleCare+ 保証拡大プログラムの購入期間を 30 日間から 60 日間に拡大している。Apple はまた、iPhone と iPad の安価な方の AppleCare プランを打ち切った。(Mac を購入する人は心配無用、Mac の AppleCare プランは変わっていない。)保証拡大の価格は二年間保証で $99、通常通りの保証期間拡大に加えて、事故による破損を料金 $79 で最大 2 回までカバーする。デバイスの購入と同時に AppleCare+ を注文しなかった場合は、Apple Genius のカウンターを訪れて直接サービスを購入しなければならないことに注意しよう。

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TidBITS ISSN 1090-7017©Copyright 2014 TidBITS: 再使用はCreative Commons ライセンスによります。

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