TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1225/02-Jun-2014

Memorial Day (戦没者追悼記念日) の休暇明けの私たちから、TidBITS の特大号をお届けする。Apple が今日の WWDC キーノートで、次に来たるべき OS X と iOS の進む道筋を描き出した。その中で Apple は新しいデザインの OS X Yosemite と iOS 8 を発表したが、いずれにもユーザー向けの機能や開発者向けの機能が満載だ。でもそれだけではない。Apple は先週 30 億ドル以上の巨費を投じて Beats を買収した。ここは Beats Music ストリーミングサービスと、人気ある一連の高級ヘッドフォンのメーカーだ。その他のニュースとしては、Apple が iWork for iCloud をアップデートし、Microsoft が新型のタブレット Surface 3 をリリースして今度はうまく行くようにと期待し、私たちは来たる 11 月の 2014 MacTech Conference を楽しみにし、TidBITS 会員は Charles Edge の "Take Control of OS X Server" の最新の章が読める。また今週の FunBITS 記事では Josh Centers が Hearthstone を検討する。Mac と iPad 用の、オンラインのトレーディングカードゲームだ。過去二週間に出た注目すべきソフトウェアリリースは、TextExpander 4.3.1、Microsoft Office 2011 14.4.2、ScreenFlow 4.5.1、iFlicks 2.0.3、iTunes 11.2.2、Mellel 3.3.3、Postbox 3.0.10、Audio Hijack Pro 2.10.10 と Nicecast 1.10.10、KeyCue 7.2、DEVONthink/DEVONnote 2.7.6、Yojimbo 4.0.3、Pixelmator 3.2、Safari 7.0.4 と 6.1.4、OS X Server 3.1.2、それに NoteBook 4.0.1 だ。 

記事:

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Apple、Beats を $3 Billion で買収

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

憶測が何週間か続いたが、ようやく正式になった:Apple は Beats Music ストリーミングサービスと、極めて人気の高い高級ヘッドフォンのメーカーである Beats Electronics を買収する。Apple はこの買収手続きを、総額 $3 billion で Q4 2014 に完了するとしている - 金額は元々噂されていた $3.2 billion よりも少し少ないものとなっている ("なぜ Apple は 32 億ドルも費やして Beats を買収しようとするのか?" 9 May 2014 参照)。

Apple のプレスリリースでは、この買収は全て音楽のためであることを強調している。"音楽は私たちの生活すべてのとても重要な部分であり、Appleでは音楽は私たちの心の中に特別な場所を持っています" と Apple CEO Tim Cook は言っている。Beats の共同創始者である Jimmy Iovine は次の様に言っている、"自分の心の中ではいつも Beats は Apple と一緒にあると思っていました。" 我々には、このプレスリリースには小さなハートマークが一杯散りばめられているのではないかとさえ思えた。

興味を引くのは、Beats は Apple のものとは別に、自分固有のブランドを残すであろうことがこのプレスリリースから伺えることで、これは Apple 買収劇ではめったに見られないことである。"Beats が加わることで、iTunes Radio での無料の音楽ストリーミングから Beats での世界クラスの会員制サービス、そしてもちろん、何年にもわたりお客様に愛されてきた iTunes Store での音楽ダウンロードに至るまで、私たちの音楽ラインナップはさらに素晴らしいものになるでしょう" と Apple のインターネットソフトウェア及びサービス担当の上級副社長 Eddy Cue は言っている。

Beats Music はそのまま存続するだけでなく、 その iOS アプリもこの買収が発表されたその日にバージョン 2.1.0 へとアップデートされ、そして無料の試行期間は倍の 14 日に延長され、かつ年間購読料も $119.88 から $99.99 へと減額された。従業員向けの社内メモで、Tim Cook はこの買収における Beats Music の重要性を強調し、次の様に言っている、"Beats Music はアーティストとファンの両方に対する深い尊敬の念を抱いて設立された。我々は、これは購読サービスというものを正しく実現した最初のものだと思っている。" (我々も、Beats の買収前の記事の中で、この様な感情を "FunBITS: Beats Music は何が違うのか" 16 May 2014 の中で予言していた。)

音楽業界の伝説的人物の一人である Jimmy Iovine は、Interscope Records の会長の地位から退き、Apple の常勤となる。そして Beats 共同創始者 Dr. Dre は、音楽の制作は続けながら Apple のために "必要最大限" のことはするつもりだと言っている。The Wall Street Journalでの引用を借りれば、二人のタイトルは単に "Jimmy と Dre" だと Iovine は言っているという。

Apple が Dr. Dre に関して無視しているものは? -- Jimmy Iovine と Dr. Dre は、何十年にも及ぶ音楽業界での経験と人脈、そして相応の格好良さももたらす。しかし、テック業界における性差別はこの頃では激論の種になる恐れのある話題でもあることを考えると、Dre の過去における暴力と女性蔑視の歴史に触れない訳にはいかないであろう。

Pando Daily の James Robinson は、1991 年のナイトクラブでの Dre (本名は Andre Young) とテレビタレント Dee Barnes の間での暴力沙汰について詳述している。Dre は後日、暴行罪に対しては "不抗争" とし、$22 million の訴訟で Barnes と法廷外で和解した。Dre は 1990 年代初めに暴行容疑に関連して数多くの問題に直面していたし、彼には女性蔑視の歌詞を持つ曲も数多くある。しかしながら、Dre は 1996 年に Nicole Threatt と結婚して以来、一貫して品行方正を保っている様に見える。

この様な行動はずっと昔のことであるかも知れないが、困った問題であることに変わりはない。Robinson が Pando Daily の記事で書いている様に、"有名人の犯罪に関してダブルスタンダードが存在することは、我々皆が知っている。'普通の' 人間だったら経歴の幕引きとなりそうな行動でも、著名人の生き方の本質的部分としてどういう訳か受け入れられてしまう、とりわけ音楽業界では。また、Young の犯罪が起こったのはもう十年以上も前のことだと主張する連中も出てくることであろう。まるで、自分のボディガードが群衆を押し留めている間に、女性を殴るのを誇らしく思うことに関しては時効があるかのように。"

もし他の男性 Apple 経営陣の過去に暴力の歴史があると分かったとしたら、どんな反応が出るであろうか? そしてこれはテック業界の女性に対してどの様なメッセージを送るであろうか? 女性蔑視の歌詞や実際の暴行は、 トレードショーでのモデル や、 カンファレンスには十分な数の女性スピーカーがいるかと言ったテック業界の通常の心配事とは明らかに異なっている。"ただのビジネスですから" と訴えることで、その様な心配事は吹き飛ばせるかもしれないが、もしそうでなければ、Apple は経験のないそして恐らく厄介な世界に足を踏み入れていることになる。

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iWork for iCloud、再度アップデート

  文: Michael E. Cohen: [email protected], @lymond
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Apple は、再度 Web ブラウザホスト型の iWork for iCloud アプリの新しいバージョンを出した。去年の 10 月に完全に一新した、iCloud 親和性の高い iWork を最初にリリースして以来、これ迄も同様のアップデートが何回かなされている ("無料の新 iLife、iWork アプリはデバイスとプラットフォームを横断" 22 October 2013 参照)。最新のアップデートは iWork for iCloud アプリの全てに影響するが、このブラウザアプリに対する以前のアップデートとは異なり、適合性を保つためにアップデートされたバージョンの Mac や iOS iWork アプリを必要とはしない。

全てのアプリに関係する変更:

個々の iWork for iCloud アプリに関係する変更の例:

これらの変更に加えて、アプリのユーザーインターフェースにも多少の手直しが加えられた。例えば、Pages for iCloud 書類での Help コマンドは、以前には書類ツールバーから Tools メニューへと統合されていたが、最新版では書類ツールバーへと戻された。

皆さんは間違いなくその他の変更にも遭遇されるであろうから、習慣や慣れでの操作には十分注意されたい。しかしながら、何かが変わっている時には少なくとも何らかの警告は出るであろう:変更されたアプリの一つを最初に開く時には、変更のリストが載ったページが出てくる。すぐに作業を始めたいのでそんなページに時間を費やしたくない場合でも、心配はいらない:Apple は新機能ページをPages, Numbers, そして Keynote について設けており、iCloud, iOS, そしてMac 用のアプリに対する全ての変更を要約している - ここには初期リリース以来になされた全ての変更が載せられている。

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WWDC は飛ばして MacTech Conference 2014 の準備だ

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

我々は、Apple の開発者に焦点を当てた Worldwide Developer Conference に今年は参加しない、何故ならばセッションは純粋にプログラマーのためのもので、そして、一般向けにストリームされるキーノートを除けば、全ては NDA の対象となっている。しかし、我々はもう 11 月初旬に Los Angeles で開かれる MacTech Conference 2014 への旅の計画作りをしている。我々は今年も参加者の技術知識と全般的なおたく度をテストするため、Take Control Tech Up を開催するつもりである ("MacTech Conference 2013、つながりと楽しさが満杯" 11 November 2013 参照)。(人気のあった TrailBlazer モデムシリーズを作っていた会社を、Google の助け無しには、誰も思い出せないなんて信じられますか?) 今年は Tonya も話をする計画であるが、これは滅多に無いことである。

MacTech Conference 2014 は今や 5 回目で、毎年新しい要素も取り入れるが、うまく行っているものに焦点を当てるのが伝統である。今年の新しい試みは未だベールに包まれているが、カンファレンスには、実績のある November 5th から 7th 迄の三日間のスケジュールが含まれ、これには新しいスピーカー、より多くのセッション、より多くのラボ、 November 4th のカンファレンス前のワークショップApple 及び Microsoft認定試験も含まれる。

これ迄と同様、MacTech Conference は一般向けカンファレンスではない;対象は Apple 開発者と IT 専門家で、それぞれの聴衆に焦点を当てた二つのトラックが設けられる。個々のセッション題目はまだ発表されていないが、スピーカーのリストは覗いてみる価値はある。今年の特別行事の詳細を引き出す事は未だ出来ていないが、これ迄のカンファレンスでは、高度な技術講話と沢山の楽しみがうまく混ぜ合わされていた。例を挙げれば、Tesla Model S テストドライブ、Enterprise-D の艦橋、Space Shuttle Endeavour の下でのレセプション、そして Disney Animation Studios の舞台裏探索などがある。

MacTech Conference 2014 はオンサイト登録だと $1,499 もかかるが、 15 June 2014 よりも早く登録すれば $899 で済む。全日のワークショップも早く登録すれば同様の割引が適用される。カンファレンスは再度 Manhattan Beach Marriott で開催され、可能であればここに滞在するのが望ましい。朝と夕方の催しもののことを考えれば尚更である (LA の交通渋滞は申すに及ばず)。部屋の料金は、週日の夜は一泊 $189 だが、週末の夜には $149 に下がる。

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Microsoft の Surface Pro 3、MacBook Air/iPad ユーザーに照準

  文: Julio Ojeda-Zapata: [email protected]
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Microsoft は、新しい Surface ブランドの Windows ハードウェアを公開した。その発表会場では、Surface Pro 3 を MacBook Air ノートブックと iPad タブレットの両方を持ち運ぶ人に対しての理にかなった一体化した交代要員と位置づけ、Apple に直接の狙いを定めた。同社は Apple のラップトップで仕事しているテック記者をからかう事すらした (使わない iPad は横に置いて、ラップトップでメモを取っている様に見えた)。

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よく噂に上っていた "Surface Mini" は現れず、むしろ実際には Microsoft は反対方向に行き、Surface Pro 3 に、以前のモデルの 10.6-inch とは決別して 12-inch ディスプレイを与えた ("Microsoft Surface: 二つのコンピュータの物語" 11 March 2014 参照)。

このより大型のマルチタッチ Surface スクリーンは、伝統的な小型ラップトップと同等の生産性を生み出す事を狙いとしている。また、画面の縦横比も、以前の Surface モデルに使われていたぎこちない 16:9 から別離して、居心地のよい 3:2 の方を選んだ。

しかし、印象的な工業デザインを作り出す事が出来る会社は Apple だけではないことを示す様に、スクリーンが大きくなったからと言って、Surface Pro 3 が前のモデルよりもより厚く、或いはより重くなった訳ではない。Microsoft によると Surface Pro 3 は現在出ている Intel Core ベースのコンピュータでは一番薄いものであり、重量も 1.76 ポンド (0.80 kg) で、Surface Pro 2 の 2.0 ポンド (0.90 kg) よりも軽く、13-inch MacBook Air の 2.96 ポンド (1.34 kg) より遙かに軽い。

Microsoft はまた $799 の入門レベル Surface Pro 3 を MacBook Air よりも安いと位置づけたが、これには Surface Pro 3 を、機能するラップトップ同等品とするために必要なオプションの $130 の Type Cover キーボードが含まれていない。同じ土俵で比較出来る様にすると $929 となり、Surface Pro 3 はどういうわけか 11-inch MacBook Air と $999 の 13-inch MacBook Air の間にぴったりはまる。

更に言うと、柔軟なキーボードカバーを付けた Surface 機器を、膝の上に載せて使うのは何時もやりにくかった。Microsoft はこの問題を発表の場でも採りあげ、Surface Pro 3 はずっと "膝の上で使い易く" なっていると言い、次の二つの改良点を挙げた:一つは Type Cover の改良で、磁石でよりしっかりと固定され、そしてキックスタンドも改善され、ほぼ垂直からほぼ水平までのより広範囲な姿勢がとれるようになっている。

他の改良点には、Type Cover 上のより大型でより反応の早いトラックパッド、アップグレードされた Surface Pen (マルチタッチスクリーン上での手書き入力用) とデスクトップドックが含まれる。Surface には Thunderbolt ポートが無く、付いているのは外部ディスプレイ接続用の Mini DisplayPort が一つと、フルサイズ USB 3.0 ポート、microSD カードリーダー、そしてヘッドフォンジャックだけである。802.11ac Wi-Fi と Bluetooth 4.0 は標準である。

色々なバージョンの Surface Pro 3 が今年の 6 月から 8 月にかけてリリースされる。プロセッサは Intel Core i3, i5, そして i7;RAM は 4 または 8 GB;そして内部ストレージのオプションは 64, 128, 256, そして 512 GB となっている。

もし Surface Pro 3 を iPad Air や MacBook Air と較べたらどうなるか興味があるのであれば、以下に仕様を纏めてある。

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"Take Control of OS X Server" の Chapter 3、入手可に

  文: Adam C. Engst: [email protected], @adamengst
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

サーバーハードウェアの選択方法を習得する Charles Edge の助言の後は、彼の執筆中の "Take Control of OS X Server" の中でも最も重要な章へと進む番である。Chapter 3, "Preparation and Installation" で、Charles は、読者が OS X Server をインストールするためのきれいな環境を作成、そしてインストール、それから基本的な用途のために設定する手順を踏んでいく手助けをする。

これらの手順の中には極めて簡単なものもあるし (サーバーがスリープしないよう Energy Saver を設定する)、少々複雑なものもある (DNS をオンにする)。設定時には、最も楽な道を行きたい誘惑に駆られがちだが、事前に余分の努力を払う事で後の重大な頭痛の種を避ける事が出来る時もある - そしてこれもその様な時の一つである。ここが OS X Server と共に長年に亘って働いてきた Charles の苦労して築いた経験が生きるところでもある。

Chapter 1, "Introducing OS X Server" と Chapter 2, "Choosing Server Hardware" はこの本の行く先を見て貰うために誰にでも見て貰えるが、この章は TidBITS 会員限定である - もし既に TidBITS 会員であるならば、参加した時のメールアドレスを使って TidBITS にログインして欲しい。"Take Control of OS X Server" 電子本の完成版は、完了時点に PDF, EPUB, そして Mobipocket (Kindle) フォーマットで一般向けに売り出される。

この本を執筆進行に合わせてその全容を TidBITS 会員に対して出版していくのは、我々が TidBITS 会員に対して彼らの支援に対して感謝の意を表す一つの方法に過ぎない。我々はまた TidBITS を長年無料で読んでこられた方々に対しても、これがきっかけで、毎週読み慣れた専門的に書かれそして編集された記事を引き続きお届け出来る手助けをする気になって頂けたらと願っている。会員プログラムが我々にとっては何を意味するかの更なる詳細については、"2013 年も TidBITS に皆さんの援助を: あなたも TidBITS 会員に" (17 December 2012) を読んで欲しい。

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Apple、WWDC にて iOS 8 と OS X Yosemite をお披露目

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Apple CEO の Tim Cook と Senior Vice President of Software Engineering の Craig Federighi が壇上に立った 90 分間にわたる Worldwide Developer Conference キーノート (基調講演) の中で、Apple は次期バージョンの iOS と OS X の双方を覆っていたカーテンをサッと引いてみせた。

当然ながら iOS は iOS 8 となるが、OS X についてはカリフォルニアのどの地名から名前を取るかが大問題であった。そこのところを Federighi はもったいぶって語り、Apple の製品マーケティングチームが Volkswagen Microbus に乗って州内のいたる所を回りつつ OS X Oxnard、OS X Rancho Cucamonga、OS X Weed といった名前がどう聞こえるか試して、結局 OS X Yosemite という名前に決めたと述べた。OS X Weed という名前も面白いが[訳者注: weed は雑草という意味の単語]Yosemite 国立公園の名前と結び付けるのは素晴らしい選択だと思える。壮大な風景を連想させるとともに、歴史的および科学的にも重要な意味を持つ場所だからだ。

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Yosemite と iOS 8 の双方とも開発者たちは現在既に入手でき、最終的なリリースは「今年の秋」になされるという。つまり今年の 9 月から 11 月までのどこかの時点ということだが、過去の事例を参考にすれば 10 月の中旬か下旬というのが妥当な推測ではなかろうか。従来のリリースの伝統を受け継いでいずれも無料となるが、伝統と違うのは Apple が OS X Beta Program の一環として事前に一般の人たちが Yosemite のプレリリース版を入手できるようにするということだ。Ars Technica の記事に Yosemite と iOS 8 の双方について 対応デバイス のフルリストが載っているが、要約して言えば 2007 年以降の大多数の Mac、iPhone 4s およびそれ以降、iPad 2 およびそれ以降が対応する。

キーノートで大きく抜けていたのは、ハードウェアの発表が何もなかったことだ。新型 Mac mini もなければ、新型 Apple TV もなく、iWatch もなかった。けれども、だからと言ってこれら二つの新しいオペレーティングシステムとそれぞれの主要アプリに注目すべきピカピカの新機能が全然なかったなどということにはならない。これらの発表が何を意味するかについては、今後の記事で掘り下げて行きたいと思っているが、今日のところは、Apple が何を述べたかについてだけ順々に見て行こう。

OS X のビジュアルなデザイン変更 -- OS X Yosemite で到来する最大の変更点は、 その新しい見栄えだ。そこには iOS 7 から触発されたところが多く見られる。Mac OS X の最も初期の時代からシステムフォントであった Lucida Grande に代わり、iOS 7 のシステムフォントである Helvetica Neue に似て見えるフォントが採用された。

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もちろん、変更点はそれだけではない。Yosemite では白とパステル調の色が主流となり、アプリのアイコンも iOS 7 風にデザインし直された。ただしそれらのアイコンも「Mac 風味」を完全に失った訳ではない。例えば Contacts、Calendars、Notes の各アイコンは依然として角度が付いて傾いており、iOS の中のように直立してはいない。

使い勝手の面から見ておそらく最大の変更となるのは、Apple の主要アプリの多くでツールバーとタイトルバーが統合され、より少ないスペースの中にコントロールを詰め込むことによってコンテンツに多くの場所が割けるようにしたことだ。おそらく独立の開発者たちもこれに続くことだろう。

もう一つ、ショッキングに思える可能性のある変更は、ウィンドウの赤・黄・緑の「信号」コントロールの動作方法だ。これらは完全にフラットな見栄えとなって、従来のように飴玉に見えることはない。けれどももっと重要なのは、緑のボタンがもはやウィンドウを「ズーム」するのではないことだ。以前から挙動に予測不可能なところのあった「ズーム」でなく、これは「フルスクリーン」ボタンとなる。現在ウィンドウの右上の端にあるフルスクリーンボタンは Yosemite ではなくなる。

Dock の動作は従来と同じだが、これも「フラット化」された。アイコンが並ぶ背景の 3D 効果はなくなり、その代わりにシンプルな、半透明の 2D 背景となって、動作中のアプリを示す点表示も見やすくなる。

半透明と言えば、Federighi は新しい半透明効果を大きく取り上げた。少々奇妙なことに、彼は Yosemite におけるこの効果、サイドバーやタイトルバーの裏が透けて見える半透明性を "material" (材質) と形容した。iOS 7 と同様、その効果はかすかなもので、ガラス窓のように裏が完全に透けて見えるのではなくてむしろ裏に何があるかの気配が見えるという程度だ。正直言って、この機能はただ見せびらかすためだけのもののように思える。コンピュータにとっては困難なことであったかもしれないが、機能的には意味がない。それに、きれいなスクリーンショットを撮るのがなおさら難しくなる。

連続性により Mac と iOS が連携 -- まとめて Continuity (連続性) と呼ばれる一連の機能により、Apple は Mac と iOS の使用体験を以前にもましてシームレスなものにしようとしている。まず第一に、AirDrop がついに Mac と iOS の間で動作するようになったので、デバイスとデバイスの間で写真や書類を電子メールや iMessage に頼ることなくやり取りできるようになる。

それ自体も歓迎すべきことだが、Continuity はさらにそのずっと先まで進む。OS X と iOS の双方で最も印象的な Apple 機能の一つが、Handoff だ。一つのデバイス、例えば iPad 上で書類の編集を始めてから、Mac の前に移動し、Dock 上にあるアイコンをクリックするだけで Mac で編集が続けられる。この機能は iPhone、iPad、Mac の間でシームレスに働く。

もう一つの歓迎すべき機能は、Yosemite では、あなたの Mac が iPhone とリンクして、SMS メッセージや電話の通話を送受信できることだ。(Federighi が言うところの)「緑色の吹き出しの友人」(可哀想に!) から届いた SMS メッセージを Mac 上の Messages が表示すると、あなたは Mac 上で、Mac をスピーカーフォンとして使って、電話に出ることができる。さらに Yosemite はあなたの電話が鳴った際に相手の Caller ID 情報を表示することもできる。また、Safari の中でウェブページから電話番号を呼び出すこともでき、この機能は iPhone や iPad との間でも使えるので、iPad から電話をかけたり受けたりもできる。

最後にもう一つ、Apple は Instant Hotspot 機能もお披露目した。これを使えばかつてないほど手軽に iPhone ホットスポットに接続できる。もはやパスワードを入力したり電話機をいじり回したりする必要はなく、ただ Wi-Fi ネットワークのリストの中からその iPhone を選ぶだけでよい。あなたの iPhone が部屋の向こう側にあっても構わない。この機能は iPad でも Mac でも働く。

Continuity に関して触れられなかったのは、通知においてロケーションベースの認識機能が盛り込まれたかどうかという点だ。Joe Kissell はもう数年以上前からこの機能を求めて太鼓を打ち鳴らしている。(2012 年 5 月 13 日の記事“警告の警戒すべき過剰さ”参照。)私たちとしては、どのデバイスが主要なのかについて Apple が少なくともある程度の認識機能を追加して、テキストメッセージやリマインダーが同時にすべてのデバイスで警告を鳴らし出す事態を避けられるようにしてくれることを願いたい。

iCloud Drive -- Apple が Dropbox を買収すべきだという臆測が飛び交っていたのを覚えておられるだろうか?(私たちも、去年のエイプリルフール特別号で冗談記事“Dropbox が iOS のファイルシステムになるというのは本当か?”(2013 年 4 月 1 日) を書いた。)けれども買収は必要なかった。なぜなら Apple は、iOS 8 と Yosemite (または Windows 8 の走るすべての PC) に iCloud Drive を導入しようとしているからだ。iCloud Drive は、Mac のデスクトップ上に他のすべてのドライブと同様に現われ、また iOS のすべての iCloud 対応アプリで使えるようになる。

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現在既にある iCloud の Documents in the Cloud 機能に似たものに聞こえるかもしれないが、iCloud Drive はそれよりもっと先まで踏み込む。上記のようなどのデバイスからでも iCloud Drive 内にあるファイルにアクセスできるようになるので、Dropbox やその他の (Apple が使い始めている言い回しによれば) "document provider service" が現時点で提供しているのと似たものになる。どのデバイス上で編集をしても、それが自動的に他のすべてのデバイス上にも現われ、この点も Dropbox とそっくりだ。そこから、重要な二つの予測ができる。まず第一に、iCloud の書類はもはや一つのアプリに制限されないのではないか、そして第二に、iOS アプリは今やファイルをアプリ同士の間で共有できるのではないか、という予測だ。従来 iOS アプリ同士がファイルを共有することはできず、そのためアプリからアプリへと不格好にファイルをコピーしたりしなければならなかった。

キーノートでも、ウェブ上の iCloud Drive の説明の中でも、Apple が何も言わなかったのは、別の人との間で、あるいは自分自身の Apple デバイス上の異なるアプリの間で、iCloud Drive 上のファイルやフォルダを共有できるのかどうかという点だ。iCloud Drive は、孤立したユーザーにとっては便利なものになるかもしれないが、同僚たちとの間でより広くファイルを共有する必要のある人にとってはそうでもないということになるのかもしれない。

Photos -- これまで iOS で最も痛みを感じる点の一つは写真の管理であった。iPhone のカメラが進化するにつれて、撮影された画像のサイズも大きくなり、貴重なストレージ容量の多くを占めるようになった。一時しのぎの対策として iCloud の My Photo Stream などがあったけれども、込み入った制限がいろいろとあったので、結局混乱を増すばかりだった。さらに悪いことに、デバイス上で写真を編集したり整理したりはできるものの、その努力の結果を他のデバイスから利用できるための集中化された保管場所と言えるものがどこにも存在していなかった。

けれどもこれからは違う。あなたの写真はすべて iCloud に保存されるようになり、どのデバイスからでもアクセスできる。iOS 8 の Photos アプリの中で、あなたの写真ライブラリの内容すべてを検索でき、何を探すべきかのスマート提案機能もある。

iOS 8 では強力な編集ツールも提供される。写真を自動的にトリミングしたり歪みを取ったり、あるいは「スマート調節」によって露出、明度、コントラストその他を自動的に調整したりできる。

では、Mac 上ではどうか? 新しい Mac 用の Photos アプリが 2015 年初めごろに出ると約束されていて、これを使って iCloud 上の写真ライブラリ全体にアクセスでき、おそらくは iOS 版と同等の機能も提供されるだろうという。その結果として iPhoto や Aperture に何が起こるかはまだ分からないが、少なくとも iPhoto は余命いくばくもないのではないかと思わざるを得ない。

残念なことに、無料の iCloud ストレージ容量はたったの 5 GB のままだが、Apple は有料プランを以前より気前良く提供すると発表した。20 GB は月額 $0.99、200 GB は月額 $3.99 だ。最大 1 TB までのプランが利用できるとのことだが、Apple はその価格を明かさなかった。

Spotlight -- 初めに、LaunchBar があった。その起源は NeXTSTEP の時代に遡り、Mac OS X に到来したのは 2001 年のことだった。けれども 2005 年に、Apple は 10.4 Tiger の一部として検索テクノロジー Spotlight を導入した。どうやらこれは、キーボードベースのランチャーとしての LaunchBar の役割に挑もうとするもののようであった。でも現実には、Spotlight が本格的な好敵手となることは一度もなかった。LaunchBar の持つ、例えば MSW とタイプするだけで Microsoft Word を起動してくれるような、適応力ある略語検索アルゴリズムが Spotlight には欠けていたからだ。

Yosemite で、Spotlight は大幅なアップグレードを受けることになる。依然として LaunchBar の適応力ある略語検索アルゴリズムには及ばないけれども、新機能のお陰であなたの使用法の中に中心的な位置を占めるようになるかもしれない。そう、新しい Spotlight は、文字通り「中心的」であって、スクリーンの右上隅でなく真ん中に入力フィールドが現われる。そして最も興味深いのは Spotlight がもはやローカルなデータの検索のみに限られていないことで、Wikipedia、Bing、Maps、Yelp その他にも検索範囲を広げるようになる。

Spotlight の検索結果もまた、大きく便利さを増すことを狙っている。単に結果へのリンクを示すのでなく、あなたが望む実際の情報を提供する。例えば連絡先を Spotlight で検索すれば、いちいち Contacts アプリに切り替えずともその人の電話番号、電子メールアドレス、あるいはその人の仕事場への地図が見られる。Messages や Mail で最近交わした会話もやはりその種の検索に統合され、すべてがあなたの眼前に魅力的なレイアウトで表示される。ウェブベースの情報についても同じことが言えて、さまざまの情報源から取り寄せたデータがきちんとフォーマットされて素早く読み取れるようになる。

キーノートの中では Mac 上の Spotlight に主たる注目が置かれたけれども、それはたぶん iOS 版の Spotlight が既にかなり以前からウェブや Wikipedia を検索できているからだろう。新バージョンの Spotlight は iOS 8 にもきちんと組み込まれる。これを使ってウェブ、Wikipedia、最新のニュース、近所の見所情報、Apple の各種オンラインストア、映画の上映時間、その他を検索できる。

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Safari -- 新しいオペレーティングシステムは Apple のウェブブラウザにも大幅なインターフェイス変更をもたらした。Yosemite の Safari ではツールバーが簡素化されたが、Mavericks 版のタブバーやお気に入りバーで使えた機能のほとんどすべてがこのツールバーに組み込まれた。例えばブックマークは、検索バーをクリックしても、検索結果の中にも現われる。また、検索バーから実行した検索はその一番上に Spotlight による提案や Wikipedia リンクも提供する。

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RSS フィードが復活する。共有リンクのリストの中に登場するようになる。Mavericks の Safari では、このリストはサイドバーに表示されている。

リンクを共有している場合、Yosemite の Safari はあなたが最近共有したものを受け取った人たちを表示するので、可愛いカワウソの写真で友だちを驚かせる(悩ませる)といったことが、いちいち Mail を使わずとも手軽にできる。新しいタブ表示では、開いているブラウザタブのすべてを一覧したり、サイトごとにスタックにまとめたりできる。Safari の Private Browsing をウィンドウごとや、タブごとに有効にすることもできる。この点は Google Chrome の Incognito ウィンドウと同様だ。

iOS 8 でも、Safari は Mac 版の機能を取り込んでいる。Yosemite の Safari のタブ表示が iOS 8 の Safari でも使えるし、iOS 版にも Mac 版と同様のブックマーク、リーディングリスト、共有リンクのサイドバーが付く。

Yosemite の Safari での内部的改善としては、WebGL、SPDY、HTML5 ビデオ再生 (例えば Netflix 購読では必須) をプラグインの必要なしに組み込み、パフォーマンスとバッテリ寿命の双方を改善している。JavaScript も調整を受けてさらに高速かつ省エネルギーとなり、ユーザーが複雑なウェブアプリを使う際の体感が良くなるはずだ。

Mail -- Mail は iOS と Mac の双方ともリクエストの多かった改善をいくつか施している。(TidBITS スタッフの何人かが願っていた改善点でそこに含まれていないものもあるが。)Yosemite では、Mail アプリ自体の中で書類に注釈を付けたりフォームに記入したりできる Preview 風の機能が追加された。また Mail は大きな添付ファイルを共有する作業を単純化して、添付ファイルを iCloud にアップロードしてからそのリンクをメッセージ自体の内部で提供するようになる。最大 5 GB までの添付ファイルが扱える。

iOS 用の Mail には OS X 用のものよりもっと多くの新たに改訂された機能が付いた。メールのリストでのスワイプが、その方向によって意味が変わる。リストの中で左へスワイプすれば今まで通りメッセージをゴミ箱に入れたりフラグを立てたりできるが、右へスワイプすればメッセージが未読とマークされる。Mail はメッセージのコンテンツについても賢くなり、メッセージ内にあるアドレスや電話番号などの項目はスクリーン上部の通知を呼び出す。アドレスや電話番号の通知を Contacts に追加することもでき、メッセージ内の日付や時刻から Calendar に項目を追加するための通知も提供される、といった具合だ。最後にもう一つ、とてつもなく嬉しい新機能だが、書いている最中のメッセージをスクリーンの下の方へ一時的に退避させられるので、その間に何かの事実を確認したければ他のメッセージを調べたり、あるいは何かの情報や URL などをコピーしてきて作成中のメッセージに貼り付けたりもできる。

Mail -- Mail は iOS と Mac の双方ともリクエストの多かった改善をいくつか施している。(TidBITS スタッフの何人かが願っていた改善点でそこに含まれていないものもあるが。)Yosemite では、 Mailアプリ自体の中で書類に注釈を付けたりフォームに記入したりできる Preview 風の機能が追加された。また Mail は大きな添付ファイルを共有する作業を単純化して、添付ファイルを iCloud にアップロードしてからそのリンクをメッセージ自体の内部で提供するようになる。最大 5 GB までの添付ファイルが扱える。

iOS 用の Mail には OS X 用のものよりもっと多くの新たに改訂された機能が付いた。メールのリストでのスワイプが、その方向によって意味が変わる。リストの中で左へスワイプすれば今まで通りメッセージをゴミ箱に入れたりフラグを立てたりできるが、右へスワイプすればメッセージが未読とマークされる。Mail はメッセージのコンテンツについても賢くなり、メッセージ内にあるアドレスや電話番号などの項目はスクリーン上部の通知を呼び出す。アドレスや電話番号の通知を Contacts に追加することもでき、メッセージ内の日付や時刻から Calendar に項目を追加するための通知も提供される、といった具合だ。最後にもう一つ、とてつもなく嬉しい新機能だが、書いている最中のメッセージをスクリーンの下の方へ一時的に退避させられるので、その間に何かの事実を確認したければ他のメッセージを調べたり、あるいは何かの情報や URL などをコピーしてきて作成中のメッセージに貼り付けたりもできる。

Notification Center -- Notification Center (通知センター) が Yosemite と iOS 8 の双方で大きく変わったのは、他のアプリから来るウィジェットに関する点だ。Mac の Notification Center は今回からウィジェットに対応し、双方のプラットフォームともカスタムウィジェットが追加可能になった。そこで当然予想されるのが、長らく軽視され続けてきた Dashboard が、消え去るかもしれないということだ。

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Mac の Notification Center には iOS 7 風の Calendar プレビューが付き、そこには Today ビューに、天気、株価、世界時計、電卓、リマインダーなども表示される。iOS 8 におけるサードパーティ製ウィジェットの一例として、Federighi は ESPN ウィジェットを Notification Center に追加してみせた。

もう一つの歓迎すべき機能が、インタラクティブな通知だ。iOS 8 では通知から直接 Message、電子メール、カレンダーの招待に返信ができ、これはロック画面からでも、またデバイスの使用中にスクリーンの最上部からでもできる。また、これは Facebook などサードパーティのアプリの中からでも使えるので、Facebook 投稿に対して like したりコメントを書いたりもできる。

Messages -- Messages の iOS 8 と Yosemite 双方での目玉機能は音声メッセージだ。新しいマイクロフォンアイコンをクリックまたはタップして、あなたの声のメッセージを録音し、上へスワイプすれば送信される。iPhone 上では、電話機を耳に当てるだけでメッセージが聴ける。Snapchat からヒントを得たのだろうか、メッセージは、あなたが保存するよう指示しない限り、聴いてから二分後に消える。

また、iOS 8 では、Messages の中から直接に、ビデオを撮影して送信できるようになる。音声メッセージと同じく、ビデオも保存するよう指示しない限り二分後に消える。

私たちが喉から手が出るほど欲しかった新機能が、グループメッセージのより良い管理だ。グループの会話に人々を追加したり削除したり、スレッドに名前を付けたり、グループ会話から去ったりできるようになる。間違ってタイプして別の会話に入ってしまうというよくある問題が減ると期待できるし、進行中のグループメッセージングにも Messages がより良く挙動できるようになるだろう。また、個々のスレッドごとに Do Not Disturb 設定をして、具合の悪いタイミングで多くのメッセージが届くスレッドを回避することもできる。

さらに興味深いことに、あなたの現在位置を Messages から共有できるようになる。言わば、その場限りの Find My Friends 機能のようなものだ。だから、もしも誰かが「あなたは今どこにいるのか?」と尋ねてきたら、その人に位置を示しつつ説明することができる。現在位置は、一時間のみ、その日の終わりまで、または無期限で共有できる。

もう一つの歓迎すべき改良が、一つの会話の中のすべての添付ファイルを一覧できることで、写真やその他のものをあちこち探し回る必要がなくなる。この一覧表示から添付ファイルを削除できるようになっていることを願いたい。Messages の中のスレッドは往々にしてストレージ容量を食うものだからだ。

その他の iOS 新機能 -- Apple は他にも数々の素晴らしい機能を iOS 8 に追加しているので、その結果としてあなたがデバイスを使うやり方が劇的に変化するかもしれない。

プログラミング言語 Swift -- この概観記事の結びとして、いつもとは少し違った毛色のものを紹介しておこう。新しいプログラミング言語だ。Apple がそのようなものを導入してからもう長い年月が経つが、Cupertino から次世代の HyperTalk/Dylan/ScriptX が飛び出すのを長年待ち続けてきたという人は、 Swiftを見てみるべきなのかもしれない。Apple によれば、これは「Cocoa と Cocoa Touch のための革新的な新しいプログラミング言語」だという。開発者プロジェクトの中で C および Objective-C 双方のコードとシームレスに共存できるようにデザインされたこの言語 Swift は、Mac 用と iOS 用双方のアプリをビルドするために使うプログラミングフレームワークのために最適化されている。

Swift にはまた Playground も付属する。これを使って開発者はコードをリアルタイムで試してみることができ、コードが走るのに合わせてアニメーションをライブで表示したり、変数の状態を示すタイムラインを表示したりもできる。

Swift は大多数の Mac と iOS のユーザーたちには興味ないものかもしれないが、例えば中学校や高等学校のコンピュータの授業や、App Camp for Girls のようなプロジェクト(2014 年 4 月 11 日の記事“App Camp for Girls が Macworld/iWorld を揺すぶる”参照)においては深い意味を持つ。Swift の教科書 The Swift Programming Language が、現在既に iBooks Store から無料でダウンロードできる。

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FunBITS: Hearthstone で Mac と iPad 上にカードの対戦を

  文: Josh Centers: [email protected], @jcenters
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

やみつきになる World of Warcraft の優れた品質と、同じくらいやみつきになる Magic: The Gathering の優れた品質を組み合わせるなど、悪魔的な天才でもなければできないことだ。ところが Blizzard Entertainment が Mac と iPad 用の Hearthstone: Heroes of Warcraft で成し遂げたのはまさにそれであった。Mac 版は Mac OS X 10.7 Lion かそれ以降を要し、iPad 版は iOS 5.0 の走る iPad 2 かそれ以降を要する。いずれも無料ではあるが、アプリ内購入がある。

Hearthstone は collectible card game (トレーディングカードゲーム) だ。従来から、このジャンルのゲームは初心者を寄せ付けないと言っても過言でないほどであった。けれども Blizzard にはギーク的なジャンルのゲームを大衆向けに届ける才覚があった。そのことは、World of Warcraft のとてつもなく大規模な多人数同時参加型オンラインゲームや、 Warcraft および Starcraft シリーズのリアルタイム戦略ゲームなどを見れば分かるだろう。Blizzard は今回、それと同じことをトレーディングカードゲームで実現してみせた。それが、この Hearthstone だ。詳細なチュートリアルを提供し、現実世界で対戦相手を探さずに済むようにゲームをオンラインへ持ち込み、入門の際の障害を取り除いた。

Hearthstone で、あなたは 30 枚のカードから成るデッキを作る。カードはすべてヒーロークラスに基づいている。World of Warcraft やそれと類似のロールプレイングゲームをプレイしたことがある人はクラスというものにお馴染みだろう。例えば神父は自らをもその子分たちをも癒すことができ、戦士は武器や甲冑を使って対戦相手にダメージを与えることができる。また個々のクラスには特殊なヒーロー機能もあって、これはカードなしにプレイできる。

プレイヤーたちはそれぞれ順番にデッキからカードを引いてプレイする。カードは、ダメージを与えたり、仲間を癒したり、パワーアップを提供したりする単純な呪文のこともある。また、あなたのヒーローを助けて戦う子分となることもできるし、あなたのヒーローに使われて対戦相手またはその子分に直接ダメージを与える武器となることもできる。それぞれのカードには、それをプレイするために必要となる特定の量の「マナ」が定められている。双方のプレイヤーはそれぞれマナ 1 ポイントから始め、それぞれの番ごとに 1 ポイントずつ、最大 10 ポイントになるまで追加のマナを得、マナは番ごとに補充される。つまり、最もパワフルなカードや子分たちは、それぞれ相当の量のマナを必要とするので、最初のうちはまだ使えないということだ。

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個々の番はカードを一枚引くことから始まり、そのカードはあなたの手札に加えられる。(先手は 3 枚のカードから、後手は 4 枚のカードから始める。)あなたの番の間に、マナが足りている限り、好きなだけの枚数のカードをプレイできる。また、相手のプレイヤーまたはその子分をあなたの子分または武器を使って攻撃することもできる。一つのキャラクターは番ごとに一度ずつしか攻撃できないので、ボード上に多くの子分がいればいるほど攻撃のチャンスが増える。また、たいていの子分たちはボードに置かれた直後の番にはまだ攻撃できないので、次の番が来るまで待たなければならない。(一部のものはすぐに攻撃できるし、ボードに置かれている間に特殊な能力が活性化されるものもある。)

個々の子分には攻撃と健康度の数字が付いている。あなたかあなたの子分が敵の子分を攻撃すれば、あなたがダメージを軽減できる何かを持っていない限り、その相手の子分の攻撃数に応じてあなたの健康度が下がる。けれども、敵のプレイヤーを攻撃しても通常あなたの健康度には影響しない。ただしそのプレイヤーが武器を持っていれば別だ。

個々のプレイヤーは当初健康度 30 から始まる。ゲームの目的は敵のプレイヤーの健康度を 0 に減らすことだ。もちろん、話はそれほど単純ではない。生き残りのための良いヒントを集めたビデオを Polygon が出している。

ちょっと分かりにくいと思われただろうか? だからと言って Hearthstone を試すのを止めないで頂きたい。このゲームは基本的なことをあなたに教えるために詳細な説明を提供しているので、誰でも手頃に使ってみることができる。

Hearthstone のオンラインプレイを面白くしている要素の一つは、あなたが友人を相手にしているのでない限り、相手とチャットすることができない点だ。その代わりに、このゲームで "emote" (感情表現) と呼ばれている出来合いの言葉、例えば "Greetings" (こんにちは) とか "Well played" (なかなかいい手ですね) といったもののみが使える。窮屈だと思うかもしれないが、そのお陰でお互いに暴言を吐くことが避けられる。人種差別だの同性愛嫌悪だのといった種類の悪口に一切近寄ることなく人気のオンラインゲームを無料で楽しめるというのは、なかなか新鮮だ。威嚇的な emote で見知らぬ相手を怒らせようとしても、唯一の方法は個々のクラスごとに決まっている当たり障りのない言葉だ。例えば warlock (魔法使い) の威嚇語は "Your soul shall suffer" (汝の魂は苦しむであろう) で、paladin (勇士) の威嚇語は "Justice demands retribution!" (正義は報復を求む!) というさらに恐ろしさの少ないものだ。どちらも、そこらにありふれているオンラインの言い争いに比べてずっと紳士的だろう。

これは collectible (カード収集) のゲームなので、戦略の多くの部分が試合の外で起こる。つまり、あなたは新たなカードを収集してより良い、よりパワフルなデッキを構築しようとするのだ。無料でカードを獲得するための最も簡単な方法は、9 人いるヒーローの一人一人をレベル 10 まで進ませることだ。レベル 1 から 10 まで、個々のレベルごとに数枚のカードが無料で手に入るからだ。あなたがプレイしているクラスは個々の試合ごとに何らかの量の経験値を獲得し、それが十分溜まればそのクラスがレベルを獲得できる。今のところレベルの上限値は 60 となっているが、レベル 10 を超えると新たなカードの獲得はなくなる。このようにして初期のうちにカードを獲得した後は、今のところ経験値やレベルはゲームの中であまり重要な意味を持たない。主たる目的はあなたにすべてのクラスを試してもらい、それらすべてに慣れ親しんでもらうことなのだ。なぜなら、たとえそのクラスをあなたがプレイしていなくても、どのクラスが何をするかを理解していることはゲームを極めるために重要な意味を持つからだ。

また、quest (探求) を完成させればカードやゴールドが得られる。(ゴールドは Hearthstone のゲーム内通貨だ。)例えばそのクラスで特定の数の試合に勝ち抜けば quest が完成したことになる。また、このゴールドを使って、あるいは本物のお金を使って、カードのパックを購入することもできる。このパックにはランダムに選ばれた 5 枚のカードが入っている。パック 1 個の価格は 100 ゴールドで、パック 2 個の価格は $2.99、最高では 40 パックで $49.99 となる。その通り、あなたは読み違ってなどいない。ややこしいことに、Blizzard はゲーム内の通貨と本物のお金とを混合させている。おそらくそれは、プレイヤーたちがもっと早くカードを欲しいと思えばお金を出さざるを得ないようにするためなのだろう。

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欲しいカードが手に入らなければ、カードの魔法を解いて神秘の粉に変え、それを使って新たなカードを作り上げることもできる。作ろうとしているカードがどれほど強力なものかに応じて、必要な神秘の粉の量も違ってくる。けれども、無料で手に入れたカードの魔法を解くことはできない。

カードを購入してデッキを構築できるという事実は、Hearthstone が「お金を払えば勝てる」ゲームではないかという批判を呼んだ。Polygon はこの件に関して このゲームの経済学を詳細に検討し、気軽にプレイする人でも十分な時間をかければ素晴らしいデッキを構築できるけれども、ランキングの最上位に登り詰めたいと思うならばいくらかお金を出さざるを得ないという結論を得た。そうだとしても、スターターデッキを購入しなければ始めることすらできない従来型のトレーディングカードゲームに比べれば、Hearthstone はずっと経済的負担が少ない。

個々の勝利とか、新たなカードを収集する楽しみとか以外に目標が欲しいと思うなら、毎月の「ランキングはしご」というものもある。まずはランク 25 から始めて、他のプレイヤーを負かす度にランクが上がる。このシステムは、あなたよりも遥かに強い相手とは戦わずに済むようになっている。

私はどう見ても気軽にプレイする人なので、一銭も支払わずに Hearthstone で楽しく遊ぶことができている。私は iPad でプレイする方が Mac でするよりずっと好きだ。これは、ソファやベッドの上でゆったりしつつ遊ぶのに向いているからだ。けれども、iPad 版の方では不意に接続が切れたりすることが頻繁にある。とりわけ iPad のスクリーンをロックさせている間にそうなることが多い。接続が切れれば強制的に試合が終わってしまい、敗北として記録されてしまうので、これはとても困る。

Hearthstone は、信じられないほど複雑なゲームだが、試してみるのが簡単なゲームでもある。もしもあなたが卓上ゲームのファンなら、ぜひ試してみてはいかがだろうか。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2014 年 6 月 2 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

TextExpander 4.3.1 -- Smile が TextExpander 4.3 をリリースし、検索のパフォーマンスとカーソルの位置撮りの正確度を改善した。今回のアップデートではまた、Return がデリミターとして働かなくなっていた問題点を修正し、拡張が無効化されているアプリケーションにおいてもスニペット作成のホットキーが対応するようにし、アクセント付き文字に関係する自動頭文字化エラーを解消し、Mail のアドレスフィールドにおける短縮語の位置撮りを改善し、またリストの中でタイプしてスニペットを選択できるようになった。バージョン 4.3 のリリース後間もなく、Smile は TextExpander をバージョン 4.3.1 にアップデートして、設定が存在しない状態で TextExpander を起動した際のハングを修正した。(新規購入 $34.95、 TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、10.2 MB、リリースノート、10.7+)

TextExpander 4.3.1 へのコメントリンク:

Microsoft Office 2011 14.4.2 -- Microsoft が Office 2011 をバージョン 14.4.2 にアップデートし、ほんの少数の改善を加えた。今回のリリースでは、Fusion Drive の付いた Mac を再起動すると製品のアクティベーションが毎回要求されるという、なかなか直らなかったバグが修正された。(ただし今回のアップデートをインストールした後にももう一回だけアクティベーション情報を入力しなければならないかもしれない。)また、PowerPoint 関係の修正点も二件あって、一つはプレゼンテーションをローカルなドライブに保存した後に Undo ボタンが消えてしまった問題、もう一つはプレゼンテーションの保存後に YouTube リンクのデータが消えてしまった問題の修正だ。(Microsoft Download Center から、または Microsoft AutoUpdate 経由で無料アップデート、114 MB、 リリースノート10.5+)

Microsoft Office 2011 14.4.2 へのコメントリンク:

ScreenFlow 4.5.1 -- Telestream が ScreenFlow 4.5.1 をリリースした。多くの修正を気前良く盛り込んだ、メンテナンスリリースだ。このスクリーンキャスト録画アプリはオーディオ波形のレンダリングを改善し、サイズの非常に大きな MPEG-4 ファイルの最適化に関する問題を修正し、タイムラインの中のレイヤーの一貫性を保つようにし、Dropbox にサインインした後 Facebook にサインインする際のバグを修正し、名前に空白文字を含むファイルをアップロードする際の Dropbox 関係のバグをつぶし、複数モニタを使っている場合のプレビューの問題点を修正している。新機能の詳細な一覧は Telestream のサポートページにある PDF のリリースノートで読める。ただしこの記事の執筆時点で Mac App Store 版の ScreenFlow はまだバージョン version 4.5 のままだ。(Telestream ウェブページから新規購入 $99、Mac App Store から新規購入 $99.99、39.1 MB、10.7+)

ScreenFlow 4.5.1 へのコメントリンク:

iFlicks 2.0.3 -- Jendrik Bertram がビデオエンコーディングおよびメタデータ管理アプリ iFlicks のバージョン 2.0.3 をリリースした。(2013 年 1 月 10 日の記事“iFlicks、iTunes インポートを改善”参照。)今回のメンテナンスリリースでは(エピソード説明に加えて)シーズン説明のフィールドを追加し、ルールとチャプター双方の読み込みおよび書き出し対応を追加し、ムービーに対する AppleScript サポートと検索結果を改善し、元のオーディオトラックを保持できるようにし、一部のオーディオトラックのエンコーディングの問題点をいくつか修正し、絶対的エピソード番号への対応を追加している。(Mac App Store から新規購入 $24.99、無料アップデート、11.3 MB、リリースノート、10.7.3+)

iFlicks 2.0.3 へのコメントリンク:

iTunes 11.2.2 -- Apple が iTunes 11.2.2 をリリースした。先週出されたリリース(2014 年 5 月 19 日の記事“iTunes 11.2.1、/Users フォルダバグを修正、Podcasts ライブラリを改善”参照)に、Podcasts のユーザーインターフェイスの調整を加えた、手早いフォローアップのリリースだ。今回のアップデートでは、前回のバージョンにアップグレードした後でポッドキャストのエピソードの予期せぬダウンロードが起こっていた問題が修正され、また Apple がいつも通りに詳細を明かさない「安定性の改善」もある。iTunes 11.2.2 は Apple の iTunes ウェブページからの直接ダウンロードで、または Software Update 経由で入手できる。(無料、224 MB、10.6.8+)

iTunes 11.2.2 へのコメントリンク:

Mellel 3.3.3 -- RedleX が Mellel 3.3.3 をリリースし、ユーザーからのリクエストによる拡張やバグ修正を多数盛り込んだ。このワードプロセッサアプリは Font メニュー (Character パレットにある) に最近使ったフォントを表示するようになり、RTF に書き出す際に変換後のベクター画像の解像度を制御するオプションを追加し、Auto タイトルの表示を改善し、文献スタイルマッピングウィンドウの高さを縮小して小さなスクリーンにもうまく収まるようにし、テキスト中の参照要素が見つかりにくくなっていた問題を修正し、サイズの大きな PDF または PICT 画像を含んだ書類を RTF ファイルに書き出す際にハングを起こしていたバグを解消した。(RedleX からも Mac App Store からも新規購入 $39、無料アップデート、101 MB、 リリースノート、10.6+)

Mellel 3.3.3 へのコメントリンク:

Postbox 3.0.10 -- Postbox が、同名の電子メールクライアントのバージョン 3.0.10 をリリースして、Retina ディスプレイ対応を盛り込んだ。今回のアップデートではまた画像をメッセージ枠ウィンドウに収まるよう自動的にリサイズするようになり、リモート画像がロードされるようドメイン全体をホワイトリストに入れられる機能を追加し、Yahoo IMAP サーバでのスローダウンの問題を修正し、一部の設定が保存されなかった問題を修正し、Address Book のメモがオーバーフローしないようにし、さらにフランス語、イタリア語、ドイツ語のローカライズ版に改善を加えている。(新規購入 $9.95、無料アップデート、22.9 MB、リリースノート、10.6+)

Postbox 3.0.10 へのコメントリンク:

Audio Hijack Pro 2.10.10 と Nicecast 1.10.10 -- Rogue Amoeba が Audio Hijack Pro 2.10.10Nicecast 1.10.10 をリリースした。改善点や修正点の多くは両者に共通のものだ。これら二つのオーディオユーティリティでは Instant On コンポーネントをバージョン 7.2 にアップデートして時間待ちを改善し、Application Source セレクタによるキャプチャ可能なアプリの表示を改善し、英語以外のシステムで起こった Safari のオーディオキャプチャのバグを修正し、Citrix GoToMeeting VoIP アプリからのオーディオキャプチャを改善している。オーディオ放送用アプリ Nicecast では放送が Off Air の場合にトラックタイトルが送信されないようになり、NSURLConnection ログが不必要に Console を ping しないようになった。また Audio Hijack Pro ではサイズの大きな作品ファイルを AIFF や WAV ファイルとして保存する際にクラッシュが起こらないようにしている。 TidBITS 会員は Audio Hijack Pro と Nicecast の双方とも 20 パーセント引で購入できる。(Airfoil、Fission、Intermission、Piezo など他の Rogue Amoeba 製品も同様。) (Audio Hijack Pro は $32、無料アップデート、9.0 MB、リリースノート、10.7+。Nicecast は $59、無料アップデート、7.9 MB、 リリースノート、10.7+)

Audio Hijack Pro 2.10.10 と Nicecast 1.10.10 へのコメントリンク:

KeyCue 7.2 -- Ergonis が KeyCue 7.2 をリリースして、一つのアプリケーションについてすべての利用可能なショートカットが手軽に見つかる新機能を追加した。このキーボードショートカットユーティリティは今回から、現在のアプリケーションで収集した目に見えるキーボードショートカットと、KeyCue 内蔵のカスタムショートカット記述とを統合して、見出しが合致する場合には一つのブロック表示にまとめるようになった。(従来はこれら二つのショートカットセットが別々のブロックに表示されていた。)今回のアップデートではまた、メニューショートカット、システムワイドのショートカット、マクロホットキーのそれぞれをキーボードで呼び出す対象から除外できるオプションを追加し、Digital Performer のショートカットを KeyCue が表示できなくなっていたバグを解消し、FileMaker Pro 13 の一部のショートカットが表示されなかった問題を修正している。(新規購入 19.99 ユーロ、 TidBITS 会員には 25 パーセント割引、無料アップデート、3.5 MB、リリースノート、10.5.8+)

KeyCue 7.2 へのコメントリンク:

DEVONthink/DEVONnote 2.7.6 -- DEVONtechnologies が DEVONthink の三つの版 (Personal、Pro および Pro Office) すべてと DEVONnote をバージョン 2.7.6 にアップデートして、書類をウェブサイトとして共有する機能を改善した。DEVONthink と DEVONnote のすべての版は今回から目次と索引の書類をウェブ書き出し用に作成できるようになり、また Send by Email コマンドが見つけやすくなった。さらに、DEVONthink のウェブブラウザ拡張とブックマークレットが Markdown に対応し、データを Safari からデータベースへドラッグする操作の信頼性が増した。DEVONthink のプレビュー枠では見つからないファイルのサムネイルを表示するようになり、情報マネージャでは VoiceOver 対応が改善され、リッチテキスト書類の HTML やフォーマット付きノートへの変換が高速化し、Google SketchUp ファイルがテキストファイルとして読み込まれてしまったバグも修正している。(いずれもアップデートは無料。DEVONthink Pro Office は新規購入 $149.95、リリースノート。DEVONthink Professional は新規購入 $79.95、 リリースノート。DEVONthink Personal は新規購入 $49.95、リリースノート。DEVONnote は新規購入 $24.95、リリースノートTidBITS 会員 には DEVONnote もいずれの版の DEVONthink もそれぞれ 25 パーセント割引。10.6.8+)

DEVONthink/DEVONnote 2.7.6 へのコメントリンク:

Yojimbo 4.0.3 -- Bare Bones Software が Yojimbo 4.0.3 をリリースした。報告が寄せられた問題点を修正した、メンテナンスリリースだ。この情報オーガナイザへの変更点の大多数は同期の信頼性改善に関係したもので、同期アカウントのパスワード変更後に同期が止まってしまった問題を修正し、内部的な同期のハンドシェイキングのバグにより項目のアップロードが完了したように見えてしまった(けれども実際には完了していなかった)問題を解消している。今回のリリースではまた、同期アカウントのサインアップパネル上にはっきりと iPad 用 Yojimbo に同期するためにはアカウントへのサインアップは不要(複数の Mac の間でデータを共有したい場合のみに必要)という点を明記し、ウェブアーカイブ項目を内部的に表示する際に Flash などのプラグインや JavaScript の実行を許さないことで WebKit のハングを回避している。(新規購入 $30、無料アップデート、7.9 MB、リリースノート,、10.8.2+)

Yojimbo 4.0.3 へのコメントリンク:

Pixelmator 3.2 -- The Pixelmator Team が、同名の 画像編集アプリ Pixelmator のバージョン 3.2 (ニックネームは Sandstone) をリリースし、改訂版の Repair Tool を組み込んで、画像の中で手軽に欠陥を修正したり不要なオブジェクトを除去したりできるようにした。(Pixelmator がアップロードした Repair Tool の 実行例のサンプルビデオがある。) 同社のブログ記事によれば、新しい Repair Tool は三つの修正アルゴリズム (Quick、Standard、Advanced) を持ち、従来のバージョンに比べて四分の一のメモリしか使用しないという。Pixelmator 3.2 ではまた、チャンネルあたり 16 bit への対応を追加し、レイヤーをロックする機能を加え、Shape 機能に Convert Selection コマンドを追加している。加えて今回のリリースには数え切れないほど多くの修正や改善が施されており、Color Depth ダイアログが画像の変換をチャンネルあたり 16 bit または 8 bit でできるようになり、画像を前回のバージョンに復帰させた後で Info Bar がきちんと更新されるよう修正が加えられ、また Stroke および Fill のレイヤースタイルのパフォーマンスが改善された。Pixelmator 3.2 から、OS X 10.9.1 Mavericks かそれ以降を要するようになった。(Mac App Store から新規購入 $29.99、無料アップデート、35.7 MB、リリースノート、10.9.1+)

Pixelmator 3.2 へのコメントリンク:

Safari 7.0.4 および 6.1.4 -- Apple が Safari 7.0.4 を OS X 10.9 Mavericks ユーザー向けに、Safari 6.1.4 を 10.8 Mountain Lion と 10.7 Lion のユーザー向けに、それぞれリリースした。いずれも、WebKit に関係した複数個の重大な脆弱性を修正している。これらのアップデートに関するセキュリティノートによれば、いずれのバージョンの Safari もレンダリングエンジン内部のメモリ破損に関係する一連の問題を修正しており、それらの問題により悪意を持って作られたウェブサイトを訪れた後に任意のコードが実行される危険が存在していた。また、URL に含まれる Unicode 文字の処理に関する問題により悪意を持って作られた URL が不正な postMessage 起点を送信する可能性があった点にも対処がなされている。いずれのアップデートも Software Update 経由でのみ入手可能だ。(無料、10.9+/10.7-10.8)

Safari 7.0.4 および 6.1.4 へのコメントリンク:

OS X Server 3.1.2 -- Apple が OS X Server 3.1.2 をリリースして、Calendar Server の読み込み、参加依頼、グループスケジュールを改善した。OS X Server は OS X 10.9 Mavericks の上にインストールするようになっているが、今回チャットルーム使用時のメッセージサーバの安定性も改善された。さらに、Profile Manager におけるいくつかの問題点に対処し、説明的な長い名前を持つ Device Enrollment Program システムの管理に関するバグを修正し、Volume Purchase Program の参加依頼を送信するやり方を改善し、コード署名が有効になっている状態で変数を含むプロファイルを配備する際の問題を修正している。(新規購入 $19.99、無料アップデート、179 MB、10.9.3+)

TidBITS 会員には Charles Edge の "Take Control of OS X Server" の各章が "chapticle" としてストリーミングされている(2014 年 5 月 12 日の記事“"Take Control of OS X Server" を TidBITS でストリーミング”参照)ので、それを読めば OS X Server について詳しいことが分かる。制作進行中のこの本の最初の二つの章、"Take Control of OS X Server, Chapter 1: Introducing OS X Server" と "Take Control of OS X Server, Chapter 2: Choosing Server Hardware" は(TidBITS 会員に限らず)誰でも読める。また、TidBITS 会員は今後のリリース前 chapticle にもフルにアクセスできるのに加えて、フィードバックを提供したり、質問をしたりもできる。これを機会に TidBITS 会員プログラムへの加入を考慮して頂ければと思う。会員になればすべての Take Control ブックが 30 パーセント割引で購入できるほか、一流の Mac アプリの割引購入、フルテキストの RSS フィード、バナー無しバージョンの TidBITS ウェブサイトなど数々の特典が受けられる。

OS X Server 3.1.2 へのコメントリンク:

NoteBook 4.0.1 -- Circus Ponies が NoteBook 4.0 をリリースした。このノート取りおよびテキスト収集ユーティリティに、最新のユーザーインターフェイスを組み込み、64-bit プロセッサと Retina ディスプレイへの対応を加えた、メジャーなアップデートだ。今回のリリースでは、ダイアグラムの構築を図形からの Option-ドラッグによる新規の行作成などいろいろなショートカットを追加して改善し、Clip および Annotate の各パネル(ページへクリップする前に選択域をあらかじめ編集したり、手早くメモを追加したりするのに便利)を復活させた。NoteBook 4 ではフルスクリーン表示と、ズームレベルを変更したりタブからタブへとスクロールしたりするためのジェスチャーにも対応した。また、Mac の AVAudioRecorder を利用して音声注釈のオーディオを録音できるようになったので、iPad 用の NoteBook 4 で録音したものとも互換になった。(ただし、 Mac App Store 版の NoteBook 4 が音声注釈機能に対応していないことに注意しよう。)iPad 用 NoteBook 4 の話のついでに言えば、Circus Ponies はこれが前回の 3.1 リリースとほとんど変わっておらず、iOS 7 に対応しインターフェイスを大きく作り直したアップデートを今後リリースすると約束している。NoteBook 4 に組み込まれた 100 件以上の変更点や改善点のフルリスト をぜひ読んでおこう。

NoteBook 4.0 をお披露目してから間もなく、Circus Ponies は数多くの修正を施したバージョン 4.0.1 をリリースした。とりわけ、英語以外のバージョンにおける NoteBook ウィンドウのツールバー表示の問題点を解消している。NoteBook 4 の価格は Circus Ponies ウェブサイトからは $49.95 (Mac App Store からは $59.99) で、30 日間は無料で試用できる。2013 年 5 月 6 日またはそれ以降に NoteBook 3 のライセンスを購入した人は、無料でアップグレードを受けられる。その日より前に購入した場合は、Circus Ponies から直接に $19.95 で NoteBook 4 にアップグレードできる。(新規購入 $49.99、無料アップデート、18.3 MB、10.6.8+)

NoteBook 4.0.1 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2014 年 6 月 2 日

  文: TidBITS Staff: [email protected]
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Apple から大量の WWDC 発表があっただけではまだ足りない人のために、今週は Google が自動運転自動車の試作品を作るとともに、ルービックキューブをウェブに持ち込んだ。決して日の目を見ることのなかった Apple 製品を見ることができ、Joe Kissell は Nisus Writer Pro が他のどのワードプロセッサよりも好きなのかの理由を語り、eBay で大規模なセキュリティ漏洩があったのでパスワードの変更が必要となり、Apple は iPhone からあえて巣立った人たちが遭遇した iMessage の問題を解決しようと苦闘中だ。

Google、自動運転自動車をお披露目 -- Google は今やある種の自動車メーカーとなったようだ。同社が長らくあたためてきた、自動運転自動車の試作品を発表した。見た目は Volkswagen Beetle と Smart Fortwo を混ぜたような感じだが、この自動車には手動のコントロールが一切無く、そのため予防措置として速度が時速 25 マイル (40 km) までに制限されている。Google は多くの人たちによるテストドライブの様子を示したビデオを作ったが、その中には盲目の人もいる。

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日の目を見ることのなかった Apple 製品: Frogdesign のプロトタイブ -- その昔の 1980 年代に、Apple は製品を自社内でデザインする代わりに Frog という会社(その後 Frogdesign に改名された)に委託した。Frog の創設者 Hartmut Esslinger が今回新たに "Keep it Simple" という本を出版し、既に忘れ去られたその時代の Apple 試作品の写真を数多く載せた。The Verge の記事が Esslinger の写真をいくつか公開しているが、その中には携帯電話、タブレット機、ラップトップ機のプロトタイブもあり、ひどく馬鹿げたものも、また驚くほど先見の明のあるものもある。

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eBay のパスワードを変更しよう -- eBay が、今年の 2 月末から 3 月初めにかけてデータベースの漏洩があり、顧客の名前、暗号化されたパスワード、電子メールアドレス、住所、電話番号、生年月日が漏洩した可能性がある(ただし「財務情報やその他機密の個人情報」は漏洩していないという)と発表した。eBay の子会社 PayPal は今回の漏洩の影響を受けていない。eBay はユーザーたちに通知をしているけれども特に素早くしているようにも見えないので、もしもあなたがまだ変更していないのなら、今すぐあなたの eBay パスワードを変更しよう。いつもと同様、他のサイトでも同じパスワードを使っているのならばパスワードを変更しておくことがとりわけ重要だ。

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Apple、iMessage の罠の修正作業中 -- 以前にもお伝えした通り、iPhone から他へ乗り換えたユーザーたちが、自分の電話番号が iMessage に結び付けられたままとなってしまうために他の iPhone ユーザーからの SMS テキストメッセージが届かなくなる問題に見舞われている。Re/code のインタビューに答えて、Apple はこの問題に特に大きな役割を果たしたサーバ側のバグは既に修正済みであるが、より完全にこの問題に対処するためのソフトウェアアップデートについては現在開発作業中だと述べた。

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Joe Kissell、Nisus Writer が大好きな理由を語る -- 今の世の中には多数のワードプロセッサが出回っている。Apple の Pages はすべての新しい Mac に付属しているし、Microsoft Word は以前からずっとプロフェッショナル向けの標準だ。けれども Joe Kissell は、彼の数多くの本の執筆にあたって、Nisus Writer Pro を選んだ。彼はこれを使いたいがために 1991 年に Mac に転向したくらいだ。Macworld 記事の中で、Joe は Nisus Writer がなぜそれほど素晴らしいのかを語る。

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Google、ルービックキューブをデジタル化 -- Google が、HTML5 と JavaScript を利用して、あの有名なルービックキューブパズルのウェブ版を作成した。このキューブは教育者の Erno Rubik が 1970 年代に空間幾何学を生徒たちに教えるために作り出したものだが、1980 年代に商業的成功を収めた。Google の仮想のキューブは自由に回転させたり操作したりでき、多くのキーボードショートカットまである。

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TidBITS ISSN 1090-7017©Copyright 2014 TidBITS: 再使用はCreative Commons ライセンスによります。

Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2014年 6月 6日 金曜日, S. HOSOKAWA