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#1465: Apple の OS アップデート、DNDWD で自動車事故は減るか、Reeder 4 レビュー、Spotify の住所狂想曲

WWDC がほんの数週間先に迫っているが、Apple はそのすべてのオペレーティングシステムにアップデートをリリースして、主として新しい Apple TV アプリを世に送り出し、AirPlay 2 対応スマートテレビへの対応を組み込んだ。今週号ではまた、iOS 11 でデビューした Do Not Disturb While Driving (運転中の通知を停止) 機能が実際に人の命を救っているのかどうかを問いつつ、Adam Engst が統計数字に切り込む。Amazon Echo と Google Home スマートスピーカーを混ぜて使っている Josh Centers は、最近になって Spotify から Apple Music に切り替えた。Spotify の住所登録に関する要求が、あまりにもユーザーに非友好的だからだ。それから、RSS リーダーを使ってニュースを読んでいる人のために、Julio Ojeda-Zapata が新しい Reeder 4 (Mac 用、iOS 用) をレビューする。今週注目すべき Mac アプリのリリースは、ScreenFlow 8.2.3、Piezo 1.6.0、Tinderbox 8.0.1、それに Little Snitch 4.3.2 だ。

Josh Centers  訳: Mark Nagata   

Apple から iOS 12.3、macOS 10.14.5、watchOS 5.2.1、tvOS 12.3、新 Apple TV アプリ登場

ほんの数週間先に Worldwide Developers Conference の開催を控えた今、Apple が iOS 12.3、tvOS 12.3、macOS 10.14.5、watchOS 5.2.1 をリリースした。

ここでの主たる呼び物は iOS 12.3 と tvOS 12.3 に加わった新しい Apple TV アプリで、これが従来の TV アプリを置き換える。年内にこのアプリは Apple の新しい Apple TV+ サービスにも対応するが、現時点でのその主たる新機能はチャンネルへの対応だ。これにより、HBO や Showtime などのケーブルサービスを購読できる。Apple TV アプリを通じてサインアップすることの利点は、その購読をあなたの Family Sharing で共有でき、コンテンツをダウンロードしてオフラインでも視聴できることだ。Apple は、グランド・フィナーレに近付こうとしている HBO の人気ドラマ Game of Thrones を HBO 購読者が合法的にダウンロードできる場所は Apple TV アプリだけだと宣伝するのを忘れなかった。(米国以外の視聴者には他の選択肢がある。)

そして Game of Thrones の脚本家 David Benioff と D. B. Weiss さえも思い付けないほど衝撃的な一捻りとして、Apple は第三世代 Apple TV をアップデートして、そこにも新しい Apple TV アプリを据えた。つまり、長年にわたっていったいいつになったら Apple は 2012 年から 2015 年まで販売した第三世代 Apple TV をアップデートしてくれるのかと言い続けてきた読者諸氏にとって、おめでとう、皆さんの忠誠が報いられたのだ! (このアップデートには 3 件のセキュリティ修正も含まれている。)

iOS 12.3 と macOS 10.14.5 におけるもう一つの大ニュースは、AirPlay 2 で Samsung のテレビにコンテンツを送る機能に対応したことだ。これは今年の初めに発表されていた。(2019 年 1 月 9 日の記事“Apple、テレビのライバル社に iTunes Video と AirPlay を開放”参照。) LG、Sony、Vizio の一部のテレビにも今年中に AirPlay 2 対応が付く。

では、他にどんなことが今回のアップデートで提供されたかを順に見て行こう。

iOS 12.3

Samsung TV での AirPlay 2 対応以外にも、iOS 12.3 では Siri Suggestions からコンテンツを AirPlay できるようになった。(ただし私たちはまだ映画やテレビ番組のための Siri Suggestion を見たことがない。) 加えて、リリースノートには「ワンタップで再生すると最後に再生したテレビ番組や映画が時間と場所に応じて自動的に再生」と書いてある。それがどんな風に動作するのか、私たちにはよく分からない。

iOS 12.3 release notes

iOS 12.3 にはサービス関係の改善点が2つある。Apple News+ の雑誌をカタログブラウズ表示からフォローできるようになったことと、Apple Music の For You タブが1日に複数回更新されるようになったことだ。この後者の改善点で、記事“Apple Music を Apple が改善できる四つの方法”(2019 年 3 月 11 日) で私たちが提案した点に応えている訳ではないが、For You の提案がこれまでより役に立つものになるはずだ。

iOS 12.3 ではいくつかのバグも修正された:

iOS 12.3 は 23 件のセキュリティ修正も提供する。アップデートのサイズは iPhone X で 464.3 MB、10.5 インチ iPad Pro 上で 394 MB、入手は Settings > General > Software Update から、または iTunes 経由でもインストールできる。

iOS 12.3 は HomePod 用にも入手でき、固有の資格情報が要求される一部の種類のエンタープライズネットワークへの接続サポートが追加される。デフォルト設定では HomePod が自動的に iOS 12.3 をインストールするはずだが、自動アップデートを無効にして手動でインストールすることも可能だ。iPhone 上の Home アプリで、左上隅の家の形のボタンをタップしてから、Speakers の下のところにある Software Update をタップすればよい。

macOS 10.14.5

意外でも何でもないが、macOS Mojave 10.14.5 アップデートも iOS 12.3 に倣って、メディアコンテンツを Mac から AirPlay 2 対応のスマートテレビに共有する機能に対応し、Apple News+ のカタログブラウズ表示から雑誌をフォローできるようにした。

macOS Mojave 10.14.5 release notes

それ以外には 5 件のバグ修正があるが、それぞれかなり個別的ではあるけれども、Mac を使う人々の中の特定の層には非常に歓迎すべきことだろう。

macOS 10.14.5 には 26 件のセキュリティ修正も含まれている。アップデートのサイズは 2.48 GB で、システム環境設定の Software Update 枠からインストールできる。独立動作の差分アップデート (2.5 GB) と Combo アップデート (2.62 GB) も入手可能となった。

マイナーなアップグレードの後の最初の再起動でトラブルを経験した人は、まず動作中のアプリをすべて終了させてからするか、またはクリーンな管理者アカウントにログインしてからするかを試してみるとよい。詳しくは TidBITS Talk での議論をご覧頂きたい。

いつも言っていることだが、あなたがオーディオのプロフェッショナルであるか、あるいは修正を待ちに待っていた OmniOutliner や OmniPlan のユーザーであるかでない限り、macOS 10.14.5 のインストールには用心を怠らないことをお勧めしたい。1週間ほど待って、Mac コミュニティーからアップデートの際の問題についての議論が起こっていないことを確かめてからインストールするのが賢明だろう。

そうそう、言うべきことがもう一つある。macOS 10.14.5 と並んで出したアップデートで、Apple は iTunes Device Support Update をリリースした。ダウンロードサイズは 108.3 MB で、これにより「iTunes for Mac を使用して適切に iOS デバイスのアップデートおよび復元ができるようになる」という。iTunes を使って iOS デバイスを管理している人には、これをインストールする価値があるだろう。

watchOS 5.2.1

watchOS 5.2.1 はアップデートすべき意味合いはあまり大きいとは言えないが、ただしクロアチア、チェコ共和国、アイスランド、ポーランド、スロバキアに住んでいる人は別だ。それらの国に住む Apple Watch ユーザーには、watchOS 5.2.1 が不規則な心拍の通知機能を有効にし、またそれらの国で Apple Watch Series 4 を持っている人が ECG (心電図) アプリを使えるようにする。

watchOS 5.2.1 release notes

それ以外の変更点は一つだけで、一部のユーザーで Explorer 文字盤に数字が表示されないバグが修正された。また、18 件のセキュリティ修正が含まれているが、この記事の執筆時点で Apple はまだ詳細を発表していない。

126 MB の watchOS 5.2.1 アップデートは、iPhone の Watch アプリを使ってインストールできる。(Watch > General > Software Update)

tvOS 12.3

Apple はまだ tvOS リリースノートを更新していないが、ここでの大きな変更点は新しい Apple TV アプリだ。また、16 件のセキュリティ修正も含まれている。自動アップデートがオンになっていない場合は、第四世代 Apple TV または Apple TV 4K については Settings > System > Software Updates に行ってインストールできる。第三世代 Apple TV には Settings > General > Software Updates へ行けばよい。

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Josh Centers  訳: 亀岡孝仁  

住所にまつわる狂気:私は何故 Spotify から Apple Music に乗換えたか

私は HomePod の価格を正当化出来ないが、妻と私は Amazon Echo と Google Home スピーカーを混ぜこぜで家の中に置いている。音楽ストリーミングサービスに対する明白な選択肢は、どちらのプラットフォームでも働く Spotify のように思えた。いや、少なくとも Spotify が自宅の住所を扱う不可解でユーザーに非友好的なやり方に直面する迄は。(私は、Adam Engst が彼のアカウントに対する不可解なトラック制限を経験した後では、この様なことは何かしら起こり得ると思うべきであった - "10,000 曲の制限:私が Spotify から Apple Music に乗換えた理由">" 30 August 2017 参照。)

家族プランに申し込むのでなければ、何も自宅の住所を Spotify に与える必要はない。自分のプランに参加するよう他の誰かを招待すると、その人は自分の住所を入力するよう言われる。今回の場合、妻に設定を頼んでおいて、その後、私が住所を入力したら、私はこの胸騒ぎのする警告を受け取った:

Spotify's eery address warning

私の技術者の端くれとしての警報が鳴り響いた。明らかに、Spotify は全ての家族の構成員は同じ世帯にいることを確かめるために、住所の確認を必要とし、従って、想像するに、これらの住所は同じ様に入力される必要があるのであろう。妻は、我々の住所の中の "bypass" を全部スペルしたのであろうか、それとも、省略形を使ったのであろうか? 彼女は、我々のボックス番号を、最初の行に入れたのであろうか、それとも二行目だったのであろうか? 私は間違いを避けるために、妻に彼女のアカウント上の住所がどの様な形式になっているか調べてくれるよう頼んだ。

数分後、彼女は見つからないと言ってきた。最初、私は彼女が見過ごしただけだと思った。そこで、私がやってみた。彼女は間違っていなかった。入力した住所を見る方法は存在しなかったのだ。実際、つい最近まで、自分のアカウントに属する住所を変更する唯一の方法は、そのアカウントを削除し、それから新しいものを作ることであった。今は、購読を解約すればいいだけで、その後アカウントが無料のレベルに戻るのを待って、再購読すればよい。それでもまだユーザーに非友好的であることには変わりはないが、庭の花の間に地雷を埋めておくよりは、まだ "不法侵入者は告訴されます" の看板を立てる方に近いと言える。

住所を隠すことで、加入者は色々な頭痛のタネに悩まされることとなった。

Complaints from irate Spotify subscribers

私が心の底から思うに、これは音楽業界を幸せにする一つの仕組みなのであろうが、ユーザーに非友好的であり、そして世帯の間で家族プランを共有するのを防ぐには何の役にも立たない。良い面を上げれば、それは前に考えられたものよりは良いかもしれないことである - Spotify は家族アカウントに厚かましくも GPS 認証を検討していたが、反感に直面することとなった。Apple はレコードレーベルとの交渉でより強い交渉力を持っていたに違いない。何故ならば、場所は Apple Music にとっては問題ではないからである。加えて、Apple Music は今や Alexa でも働く ("Apple Music が Alexa に登場" 17 December 2018 参照)。

もし Spotify を使いたいと思い、かつ家族プランにも是非入りたいというのであれば、何処かで入力する住所を正確に書き留めておくことを強くお勧めする。さもなくば、私がしたのと同じことをして Apple Music に乗換えることも出来る。私はこの様な馬鹿馬鹿しいゲームをするのは断固として拒否する。

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Adam Engst  訳: 亀岡孝仁  

Do Not Disturb While Driving は車の事故を減らしているか?

不注意運転は致命的な結果となり得る。そして、その最も現代的な形は携帯電話で注意を逸らされることである。入信する Messages 通知や他のデジタル雑音に抗しきれない人のために、Apple は Do Not Disturb While Driving (運転中の通知を停止) 機能を iOS 11 に付け加えた ("iOS 11 で Do Not Disturb While Driving 登場" 21 August 2017 参照)。当時、我々は次の様に書いた:

米国 National Highway Traffic Safety Administration は、日中に運転しながら携帯電話を使っている人は 660,000 人に達すると見ている。2015 年だけで、不注意運転で 391,000 人が負傷し、3477 人が死亡した。スマートフォン市場での iPhone の 30 から 40 パーセントに及ぶシェアを考慮すると、議論の余地はあるであろうが、その年だけで 100,000 人以上の負傷と 1000 人の死亡の原因は部分的に iPhone にあると言えなくもない。

(余談ではあるが、この記事は iPhone の責任の可能性を過大に評価している。と言うのは、我々は間違って全ての不注意運転を携帯電話の使用のせいにしていたからである。実際には、2015 年の 453 人の死亡のみが携帯電話がらみの事故に起因している。これらから類推すると、iPhone の責任は 135 から 180 人の死者になる。)

死者数は 2016 年にもほぼ同じ水準を保ち、不注意運転による死者は 3450 人で、そのうち携帯電話の使用によるとされたのは 453 人であった。Apple は September 2017 に DNDWD を発表した - それは死者数を減らすことに寄与してきているであろうか? 一人でも死者を減らせていれば、間違いなく、それは価値があったと言えるが、判断に寄与する統計が出てくるのは時間がかかっている。

最初の間接的な兆候は、我々がかなり過剰に熱狂して "Apple の "Do Not Disturb While Driving" 設定で不注意運転が実際に減少" (18 April 2018) と題して報じた様に、良いものであった。しかし、運転中の iPhone 使用が 8% 減ったと言う数字は、安全運転を推進するアプリを作成する会社から出たものであり、それに、我々もつい最近になる迄、事故数を更新していなかった。

National Highway Traffic Safety Administration からの新しい詳細情報のお陰で、我々は 2017 年の完全な統計数字と、2018 年の最初の 9 ヶ月の暫定的な死者数に手が届くようになった。これにより、DNDWD が September 2017 に入手可となって以来、ほぼ1年間の数字が見えてきた。

運転中の携帯電話の使用

まず、DNDWD の登場以来、運転中の携帯電話の使用は減少したであろうか? 2017 年には僅かではあるが減少が見られたが、国内全ての地域でという訳ではなかった。(2018 年の詳細は、未発表である。)

National Occupant Protection Use Survey (全国乗員保護使用調査) によると、携帯電話を耳にかざして話す運転者の割合は、2016 年の 3.3% から 2017 年の 2.9% に減少した。これは統計的にも有意な下落である。しかしながら、明らかにヘッドセットを使用している運転者の割合は 0.5% から 0.4% に減っただけであり、そして明らかに電話を操作している運転者の割合は 2.1% から 2.0% に減っただけである - これらどちらの下落も統計的に有意とは言えない。これらの数字は、典型的な日中の全国的な運転者の割合だと解釈されるべきものである。(全てのグラフや表は、リンクされた National Highway Traffic Safety Administration 出版物からのものである。)

Graph of cell phone use by drivers 2006-2017

運転中の携帯電話の使用率は、男性よりも女性の方が高い。そして、一番高いのは 16-24 才の年齢グループである。驚くには当たらないであろうが、この 16-24 才のグループは、運転中に携帯を操作する割合でも一番高い。

Graph of cell phone use by gender 2006-2017

Graph of cell phone use by age 2006-2017

たとえ統計学的には有意と言えない下落でも歓迎には値するが、最も気になる統計は、Northeast (北東部) では、電話を操作している運転者の割合が 2016 年の 1.1% から 2017 年の 2.8% に増加していることである。北東部の人たちよ、電話を下に置いて!

不注意運転による死者数

運転中に電話を使う人たちの多くは、安全運転には支障がないと間違いなく思っているであろう。しかし、間違った場合の結果は重大である。National Highway Traffic Safety Administration の 2017 年の統計によると、52,274 人の運転者が 34,247 件の死亡事故に関係しており、その結果 37,133 人の命が失われた。これらの事故の 9% が不注意運転に関係しており、結果として 2935 の衝突事故と、3166 人の死に至っている。これらの数字は、2016 年よりは下がっており、その年には、3197 件の不注意運転事故と 3450 の死亡が記録されている。

Chart of fatality data 2017

前にも書いた様に、電話がこれらの死亡全てに、或いは大多数に、責任がある訳ではない - 車の中で注意を逸らされる事柄は沢山ある。(これが自動運転車を歓迎する大きな理由の一つである - それらは気をとられたりしない... リスになど!)

NHTSA の数字によれば、2017 年には、携帯電話は不注意運転事故の 14% に関与し、401 件の死亡事故と 434 人の死につながった。これらは、2016 年の 453 件の死亡事故と 457 人の死からは下がっている。

しかしながら、不注意運転事故と携帯電話の使用に関係する事故の数そのものは減少しているが、死亡事故全体の数も僅かに減少しているので、割合そのものは変化していない。

Chart of fatal crashes by year, 2013-2017

繰り返しになるが、どんな下落でも良い知らせではあるが、2016 年は過去5年間で最大の死亡事故数を記録した (そして、歩行者、二輪車、そして自転車の死者数も大幅に増加した )。2017 年は 2016 年よりも良かったかもしれないが、全死亡事故統計は以前の年よりも悪くなっているし、携帯電話使用の不注意運転に占める割合も、しばらくの間 14% で変わっていない。

2018 年の最初の9ヶ月の統計からは、自動車交通全般の死者数は下落傾向が見られ、2017 年の最初の9ヶ月に比べれば 2.0% 減少している。NHTSA はこれら死亡事故の原因の内訳は未だ公表していないので、携帯電話の利用形態が変わったかどうかは推し量れない。

では DNDWD は機能しているか?

ここで口にするのも何だが、DNDWD が登場してから 18 ヶ月経つが、単純に DNDWD が変化を起こしているのかどうかは我々には分からない。このデータを集め、分析し、そして編集するのには、明らかに時間がかかるのは理解出来るが、今や 2019 年も半ばに達しようとしているのに、NHTSA は 2018 年全体の数字すら未だ明らかにしてはいない。

2017 年統計は - DNDWD の登場から 3 ヶ月をカバーする - とりあえず良い傾向を示しており、死者数そのものは少し減少している。もっとも、割合そのものは変わっていない。そして、2017 年の携帯電話使用数も少し減少している。暫定的な 2018 年の数字は、全死者数で 2.0% の下落を示しているので、携帯電話の使用と携帯電話に関係する不注意運転に起因する死者数もまた下がると期待出来る。

勿論、不注意運転に起因する間違いの大部分は死亡事故にはつながらない。2015 年には、これは NHTSA がより深刻でない事故に関する統計を発表した最後の年の様に見えるが、怪我に至った事故が 1,715,000 件あり、そして物損だけで終わったものが 4,548,000 件あった。これらの事故のそれぞれおよそ 1.2% (21,000) と 1.0% (48,000) が、携帯電話の使用に関係していた。これらの数字は、DNDWD の登場より前の数字ではあるが、何故 DNDWD の様な技術が死亡、怪我、そして物損の割合に実質的な違いをもたらせられるかに多少の現実味をもたらす。

Chart of crashes by year 2012-2016

最後に、これらの事故の多くは、間違いの事故申告に依存していること、そして、人々は自分が間違ったことをしたと認めることに関してはどうしようもなくダメなことを認識しておく必要がある。この話題に関する他の研究ノートで、NHTSA は次の様に言っている:

不注意運転には過小評価の含みがある - とりわけ、事故に関連して。調査研究では、悪い結果を招く行動の自己申告は実際起こっているよりも少ないことが示されている。取締機関に対する不注意運転の自己申告はこれに当てはまらないと信じられる理由はない。結論は、報告された事故時の運転者の不注意は、実際に起こったよりも少ないということである。

言い換えれば、携帯電話の使用による事故は NHTSA の数字が示すよりも多いであろうことはまず間違いがない。ため息。

私は Apple PR に、同社が他に共有できる統計、例えば DNDWD を有効にしている iPhone ユーザーの割合とか、DNDWD を前向きに捉えた内部研究とか、を持っていないか尋ねるために接触してみたが、Apple からは誰も答えてくれていない。もしあれば、この記事をアップデートするか、或いはコメントに更なる詳細を付け加えるつもりである。

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Julio Ojeda-Zapata  訳: Mark Nagata   

Reeder 4 に待ちに待った徹底改良

自分が取り憑かれたかのように興味を感じている分野の最新の展開を少しでも早く知りたいと願うニュース狂や情報狂の人たちにとって、ニュースリーダー (ニュースアグリゲーターあるいは RSS リーダーという名前でも知られている) に勝るものはない。この種のアプリでは、自分が監視したいウェブサイトをユーザーが選び、それらの情報源から集まった RSS フィードを連続的に更新しつつ一つの場所に集約して、便利に読めるようにする。

多くの Apple ユーザーたちにとって、ニュースリーダーの代表格といえば Reeder だ。iOS 用と macOS 用の双方があり、Reeder はエレガントで楽しい体験を通じてニュースを読めるようにする。けれどもバージョン 3 は年月を感じさせるところがだんだん目立ってきていて、例えば最新の iPad Pro モデルのネイティブなスクリーン解像度に対応できないなどの問題があった。

幸いにも、開発者の Silvio Rizzi はつい最近になって Reeder 4 をリリースしてくれた。App StoreMac App Store で、それぞれ $4.99 と $9.99 で入手できる。ただし、Apple の App Store で販売されている多くのアプリと違ってアップグレード割引はない。iOS 版と Mac 版は見栄えも機能もほとんど同一だが、それは偶然でも何でもなくて、ビルドし直されたこれらのアプリは今回同じコードベースを共有して使うようになっているので、これからはアップデートが楽になりもっと頻繁に出るようになることを願いたい。

Reeder の生い立ち

Reeder の新機能に取り掛かる前に、まずは少しその歴史をお話ししたい。

Reeder は長い歴史を持つ。ずっと昔の 2011 年には、ウェブベースの Google Reader のフロントエンドとして働いていた。Google は 2013 年に大いに議論を呼びつつ Google Reader を廃止したが、Reeder は生き残り、Google Reader の代わりとなるべきさまざまのウェブベースの代替製品と共に、分散化された RSS 領域に適応して行った。(2013 年 3 月 18 日の記事“Google Reader の代替を探る”と 2013 年 6 月 27 日の記事“Google Reader 代替製品の現況”を参照。)

この観点から、Reeder はただ単に個々のサイトからのフィードを取り込むのみならず、他のニュースリーダーからもフィードのデータを集めることのできる、言わば超ニュースリーダーとでも言える立ち位置を見出した。つまり、Feedly、Feedbin、Feed Wrangler、FeedHQ、NewsBlur といったものたちからもデータを集約できる。言い換えれば、Reeder はさまざまのウェブベースのニュースリーダーたちのための、洗練された、iOS にも Mac にもネイティブな、クライアントなのだ。

年月を経て、Reeder は効率的に RSS フィードを処理しつつ、オプションとして不快なものやけばけばしいものを除去することもできる、最小主義的なツールという定評を保ち続けてきた。並外れて魅力的で機敏なアプリで豊かなテーマ構成を備え、多数のキーボードショートカットを持ち、Mac の Magic トラックパッドや iOS デバイスのタッチスクリーンではいろいろなジェスチャーを使ってニュースを掻き分けて進むことができる。

Reeder 4 のルック&フィール

長年の愛好家には嬉しいことだろうが、新バージョンの Reeder は大体においてこれまでと変わっていない。

iOS 上でも Mac 上でも、ナビゲーションは同じだ。カラムで構成されていて、左から右へ順に、次のようなカラムが並ぶ:

Reeder 4 on macOS

記事の見出しをクリックすれば、それに対応するフルのウェブページが開き、見出しカラム以外のすべてが折り畳まれて読書領域が広がる。また、外部のウェブブラウザで記事を開くようにすることもできる。

Reeder 4 article thumbnails.

見栄え上の変更点が一つあり、これはすぐに分かるだろう。今回から Reeder は記事のサムネイル画像を見出しカラムの中に表示するようになったので、記事内容のビジュアルな手掛かりとして役立つ。従来の Reeder ではその種の装飾的インターフェイスを極力控えていて、記事の出典を示すファビコンのみがビジュアルな手掛かりであった。サムネイルのサイズは三種類の中から選べ、また伝統主義者のためにサムネイルを見えなくすることも可能だ。さらにもっと最小主義を目指す人のために、ファビコンをカラーからグレイスケールに切り替えることもできる。明らかに Silvio Rizzi は、あらゆる人を満足させるための努力を惜しまないようだ。

Reeder 4 には他にも、マイナーだが歓迎すべきインターフェイスの変更点があって、使い勝手が増している。例えば、フィードのカラムや見出しのカラムでもっと読みやすい大きなテキストを使うオプションもある。大きなスクリーンで読む人や、私たちのようにもはや若いとは言えない目を持っている人にはありがたいだろう。

テーマの選択も少し単純化されて、今回から Mojave の Dark モードにも対応した。また、OLED ディスプレイを持つ最近の iPhone のためにデザインされた黒一色のオプションもある。

その他の Reeder 4 機能

Reeder 4 には他にもいくつか新機能があって、それらは決して革新的とは言えないけれどもこのアプリをより多才でユーザー・フレンドリーなものにしている。

Bionic Reading モード

このオプションは、単語の一部を太字にすることで少なくとも一部の人にとっては文章に素早く目を走らせて内容を読み取るのが簡単になるというものだ。この Bionic Reading テクノロジーは Reeder が始めたものではないし、また ChromeFirefox 用の拡張機能としても入手できるのでブラウザ内の文章を読むためにも使える。Bionic Reading 機能のオン・オフはツールバー上のボタンを使って切り替えられ、Reeder の環境設定の中でスライダーを使って見栄えを調整することもできる。("fixation" とか "saccade" とかの調整が何を意味するのかさっぱり分からないが。)

Bionic reading

あとで読む機能への対応

記事を保存しておいてあとで読みたい人のために、今回 Reeder はネイティブな Read Later モードを装備して、iCloud を経由した同期を使い、保存済みの記事に Mac 版と iOS 版のアプリからアクセスできるようにした。このモードをそれ自身独自のアカウントとして設定しておき、通常通りの RSS サービスと共に指定しておけば、あとはそのまま使える。

Reeder 4's Read Later feature

また、Reeder はあとで読むサービスの Instapaperや、Safari の Reading List 機能を好む人にも配慮している。どの記事でも Control-クリックしてからそれら二つのオプションのいずれかを選べば (または Reeder 独自の Read Later サービスを選べば) その記事が保存されてあとで読めるようになる。Instapaper を使っている場合には、Reeder を離れる必要なしに、そちらのサービス上で作成したフォルダの中へ記事を移動させることもできるが、このアプリはフォルダのことを "tag" と呼んでいるので少々まごついてしまう。

Instapaper tagging in Reeder 4

人気のあるあとで読むサービス Pocket に Reeder が対応していないのは残念なことだ。それでも、Mac や iOS の標準的な共有シートを使って記事を Pocket に保存することはできる。ただ、そのコンテンツが Reeder アプリに統合されることはないというだけだ。

自動レイアウト

Mac と iPad の上の Reeder 4 には、とても見事な伸縮性がある。あらゆるサイズや縦横比のスクリーンに合わせたレイアウトの選択ができるからだ。(その点、iPhone ではたった一つのレイアウトしかない。) 記事のリストのみがある「シングル」のレイアウトから、あらゆるインターフェイス要素が表示される「フル」のオプションに切り替えることができ、その中間に二種類、別の選択肢もある。

Reeder 4 layouts

Reeder 3 はそれほど多才ではなくて「フル」と「最小化」のレイアウトのみを提供していた。

何よりも素晴らしいのは Reeder 4 の自動レイアウト機能で、これを選んでおけば、このアプリがウィンドウの大きさや形に応じて自動的にその場でレイアウトの調整をしてくれる。

リーダーモードの改善

ちょっと混乱してしまうかもしれないが、何が起こっているかを理解しさえすれば便利に思えるだろう。Reeder 4 は Reader 表示を提供する。ツールバーにあるボタンを使ってこの表示に切り替えれば、記事がクリーンアップされて読みやすくなる。ただ、もともと記事はあなたがリストから選んだ時点で既にクリーンアップされた形で提供されているので、既に合理化された表示をさらに合理化して何の意味があるのかと戸惑うかもしれない。

実は、Reeder のデフォルト表示は、対応する RSS フィードがどのようにセットアップされているかに基づいている。そこには記事のテキストがフルに含まれていることもあるが、多くの場合には単にテキスト断片が含まれているに過ぎない。

Reader 表示が便利なのは、合理化の処理を実行する前にいつでもまずその記事のフルテキストを取り込んで、その上で読みやすさを追求するからだ。それでもやはり、(フィード表示か Reader Mode かの) どちらの方が表示が読みやすくて目に優しいかは運任せということもある。だから、どうぞご自分で実験してみて頂きたい。

もちろん、その記事本来のフルにフォーマットされたウェブページにアクセスするオプションを選ぶことは常にできる。その方が好みならば、テキスト簡略化など一切施さない状態で読むこともできる。

あれれ、共有シートはどこへ行った?

いろいろの追加機能や改善点はあるが、削除された機能も一つある。Reeder を長年使ってきた人は、このアプリに長年ネイティブに備わっていた共有シート (macOS や iOS の標準的な共有シートとは違うもの) がなくなっていることに気付く (そしてたぶんそれを嘆く) だろう。私は Silvio Rizzi のカスタム共有シートを気に入っていた。その見栄えと使い勝手がこのアプリの他の部分を反映するものだったからだ。Apple の汎用の共有シートでは見栄えが無骨過ぎて、Reeder の首尾一貫した最小主義の流儀に似合わない。

Mac 用の Reeder 4 はアプリのウィンドウの上辺に沿って伸びるツールバーにサービスアイコンを追加するオプションを引き続き提供しているが、ここでもやはり、そういうものはこの開発者の流儀に合わず、ちょっと場違いな感じがする。

Reeder 4 で読む

Reeder 4 はしっかりしたアップグレードだが、既存の Reeder 3 ユーザーがどうしても使いたくなるほどではない。Rizzi によれば、旧バージョンでも当分の間は問題なく動作するはずだという。それに、もっと一般的に言って、もしも既に何かウェブベースのニュースリーダーサービスを気に入って使っているのならば、必ずしも Reeder は必需品という訳でもない。私はよく、Feedly を直接にそのウェブベースのインターフェイスで、また iOS アプリでも使っている。Feedly は注目すべき Google Reader 代替品として登場した時代に比べれば大きな進歩を遂げている。

でも、長年 Reeder を使ってきた人なら、バージョン 4 がとても魅力的だと思うだろう。その目玉機能を別にしても (私は Bionic Reading モードが便利だとは思わないし、私は Pocket ユーザーなので Reeder の新しいあとで読む機能は使えない)、インターフェイスの調整のお陰でアプリが以前より使いやすく、使って楽しいものになっている。見出しカラムのサムネイル画像だけでも、記事の出典を見分けやすくしたいと思う人にとっては料金を払うだけの価値があるだろう。それに、Mac 用や iOS 用の一流のアプリを購入して可能な限り最高のニュースリーダー体験ができるのなら、数ドル払う価値は十分にあると私は思う。

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata   

ScreenFlow 8.2.3

ScreenFlow 8.2.3

Telestream がスクリーンキャスト録画およびビデオ編集アプリ ScreenFlow のバージョン 8.2.3 をリリースした。今回はバグ修正のみのメンテナンス・アップデートだ。このリリースでは Align コマンドが正しく働くようにし、テンプレートから録画した場合にマーカーが保存されなかった問題を解消し、MP4 ファイルを読み込む際にオーディオ波形が完結するのを待って回転ビーチボールが長時間出続けた問題を終わらせ、マウスカーソルが通常の2倍のサイズで表示されたバグを修正し、ハードウェア加速の付いたエンコーディングを使う場合に 4K 以上の解像度での書き出しに失敗した問題に対処している。(Telestream ウェブサイトからも Mac App Store からも新規購入 $129、アップグレード価格あり、54.3 MB、リリースノート、macOS 10.12+)

ScreenFlow 8.2.3 の使用体験を話し合おう

Piezo 1.6.0

Piezo 1.6.0

Rogue Amoeba が Piezo 1.6.0 をリリースして、重いロード下でのオーディオ録音の信頼性を改善した。このシンプルなオーディオ録音アプリはまた、Piezo の Source セレクタを改善し、バックエンドの Audio Capture Engine をバージョン 10.0.1 に更新して信頼性を高め、macOS 10.14 Mojave の下で Piezo のポップオーバーが複数個のコネクタを表示してしまった問題を修正し、ウィンドウを揺すると Settings ポップオーバーが誤った位置に置かれてしまうという「馬鹿げたほど」稀なバグを修正している。(新規購入 $19、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、8.8 MB、 リリースノート、macOS 10.11+)

Piezo 1.6.0 の使用体験を話し合おう

Tinderbox 8.0.1

Tinderbox 8.0.1

Eastgate Systems が Tinderbox 8.0.1 をリリースした。最近アップグレードされたこのノート取りアシスタントおよび情報マネージャの、メンテナンス・アップデートだ。(2019 年 4 月 15 日の記事“Tinderbox 8.0”参照。) 今回のリリースでは macOS 10.14 Mojave の下でこのアプリの Dark モードでの挙動を変更し、Hyperbolic View を更新してテキスト枠でノートの名前に施した変更を反映するようにし、Scrivener からの大サイズのノート読み込みを改善し、大サイズの書類に関係して時々起こるクラッシュの頻度を減らし、テキストリンクを含んだテキストをカットした際に Mojave で例外エラーを起こしていたバグを修正し、地図表示を改善した。

Tinderbox の価格は $249 で、一年間は無料アップデートが受けられ、それが過ぎればアップグレードが $98 となる。また、年額 $83 の Tinderbox 購読もあり、こちらは無料アップデート年間が過ぎる前に自動更新される。(新規購入 $249、TidBITS 会員には 25 パーセント割引、34.5 MB、リリースノート、macOS 10.10+)

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Little Snitch 4.3.2

Little Snitch 4.3.2

Objective Development が Little Snitch 4.3.2 をリリースして、このネットワークトラフィック管理ユーティリティにさまざまの改善とバグ修正を施した。今回のアップデートでは "combine rules" が有効な状態の下での Little Snitch Configuration のパフォーマンスを改善し、Touch ID 対応を追加してルールやプロファイルの編集機能の有効/無効を切り替えられるようにし、ルールグループ購読エディタのレイアウトを更新し、ルールグループ購読に共有オプションを追加し、Little Snitch がすべてのプログラムで DNS lookup を止めてしまうことがあったバグを修正し、ask-rule の問題点により接続アラートが元の ask-rule より具体性の乏しいルールを作成していた問題を解消し、Network Monitor の問題点によりトラフィックのキャプチャが完結していなかった問題を解決し、またメニューバー上のネットワークトラフィックメーターに関するいくつかの問題点を解消している。(新規購入 $45、無料アップデート、39.0 MB、リリースノート、macOS 10.11+)

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ExtraBITS

訳: Mark Nagata   

Apple’s First iPhone Game Since 2008 Is about… Warren Buffett?

Apple の 2008 年以来最初の iPhone 用ゲームは... Warren Buffett ゲーム

Warren Buffett の会社 Berkshire Hathaway は Apple の最大の投資家の一つだが、Apple はその恩に報いるためだろうか、彼を称えてゲームを作った。その名も Warren Buffet’s Paper Wizard だ。これは 2008 年に出てその後長らく使われていない Texas Hold'em 以後に Apple が出した最初のゲームだ。MacRumors 記事によれば、Apple がこのゲームをリリースしたのは Berkshire Hathaway 株主総会の壇上での冗談の一部としてであって、Apple CEO の Tim Cook がサプライズ登場してのことだったという。Buffett がその職歴を新聞配達少年として始めたことは有名で、Berkshire Hathaway では新聞投げコンテストさえ長年開催している。

Warren Buffett's Paper Wizard のプレイは Atari が 1985 年に出したアーケードゲーム Paperboy の 3D 版と思えばよいだろう。動きは自動的に起こる。スクリーンの一番下に新聞が見え、それを指で弾いて家やビルの方へ飛ばし、鳥や自動車にぶつからずに的に命中させることを目指す。このゲームには Apple の新しい「宇宙船」風の本社さえ登場する。

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How the Apple Store Lost Its Groove

Apple Store はいかにしてビートを失ったか

近年 Apple Store が下降気味だと感じている Apple ユーザーは多い。従業員はかつてほどには知識豊富でなく、顧客を無視して店内を歩き回っているだけだ。Angela Ahrendts が Apple リテール部門の責任者から退任することを Apple が発表した際に読者から寄せられたアンケートにも、それを指摘する声があった。(2019 年 2 月 13 日の記事“Ahrendts 時代の Apple Store に対する TidBITS 読者の考え”参照。)

Bloomberg の Mark Gurman と Matthew Townsend が、Apple Store のリテール事業の現状について、現在および過去の従業員たちと語り合いつつ批判的な検討をした。その従業員たちも匿名で同様の気持ちを述べた。要点を言えば、今はブランド戦略こそが店舗の要点であり、顧客の役に立つことは最重要課題でなくなった。Apple Store の規模が拡大するのに伴い、従業員たちの質も落ちた。Ahrendts が Genius Bar を廃止してオンライン購入を促進したことで、店舗内の体験はさらにフラストレーションの溜まるものとなった。彼女は店内に客が行列を作ることはなくしたけれども、その代わりに人々の不満が殺到するようになった。Apple が新しくリテール主任にした Deirdre O'Brien は、Genius Bar を復活させ店舗を元来設計された通りに分割化するために力を尽くすだろうと広く予想されている。

Apple Store を取り巻く数々の問題点を Ahrendts のせいにすることは簡単だけれども、Apple Store を構想した Ron Johnson が Apple を去って JCPenney に移った際に、Tim Cook は後任に John Browett を指名するという誤りを犯した。Browett はたった 10ヶ月間しかその任に留まらず、その辞任後 2 年近くもその地位は空席のまま、それは Ahrendts が招かれるまで続いた。彼女が雇用されたのはちょうど Apple が自らをファッション会社として確立しようと努めていた時期に当たり、それまで高級ファッションブランド Burberry で経験を積んでいた Ahrendts が適任だと考えられたのであった。ここでの救いは O'Brien が Apple Store の初期の成功の時期に舞台裏で重要な役割を果たしたと伝えられていることで、部内の関係者たちは彼女の新しい役割に楽観的な気持ちでいるという。


[2018 年 10 月に、Bloomberg は "The Big Hack" と題した記事を発表して、中国の諜報機関がアメリカのテクノロジー供給チェーンに手を伸ばし、大企業のデータセンターで使われているサーバに悪意あるチップを埋め込んでいるのではないかという疑惑を伝えた。Apple も Amazon もきっぱりとこの疑惑を否定したし、他の報道機関でそこに書かれた内容の一部でも確認できたところは一つもない。Bloomberg は批判に応えたり訂正を出したり記事を取り下げたりといったことをしておらず、そのこともまた今回のように匿名の情報源を使った記事の信憑生に疑問を投げかける。詳しくは 2018 年 10 月 8 日の記事“Apple、Businessweek の中国ハックの報道記事をきっぱりと否定”参照。]

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How to Work with and Restore APFS Snapshots

APFS スナップショットで作業しリストアする方法

私たちがカンファレンスでよく会う友人 Rich Trouton が、APFS でスナップショットを作成し、管理し、使用することについて詳細なブログ記事を書いた。Time Machine がどのように APFS に依存しているか、コマンドラインツール tmutil を使ってどのようにスナップショットの作業をするかについて、細かな説明がたっぷりと記されている。スナップショットからコマンドラインツールを使ってファイルやディレクトリをリストアするステップ・バイ・ステップの手順も書かれており、Recovery 環境の中でスナップショットを使ってフルシステムのリストアをするやり方の情報もある。これらはパワーユーザーのテクニックではあるが、もしも必要になったならば、この記事を見れば分かる。

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Supreme Court Rules Apple Antitrust Case Can Continue

最高裁、Apple 独占禁止法訴訟の継続を裁定

連邦最高裁判所が Apple に不利な裁定をしたというニュース見出しをご覧になった方もおられるかもしれないが、これは思うほど深刻なことではない。The Verge の記事にある通り、最高裁はただ単に Apple に対する独占禁止法訴訟を継続できると表明しただけで、iOS ユーザーは (Apple からでなく) 開発者からアプリを購入するのであるから「間接的購入者」であって独占禁止法の訴訟を起こす資格がないとした Apple の主張を退けたに過ぎない。この独占禁止法訴訟の次の段階の方がずっと興味深く、そこでは Apple が 30% の手数料という形で強制的に料金を課しているので App Store は違法な独占事業であるという主張が議論される。もしも Apple がこの訴訟に敗れれば、「過請求」されたユーザーへの返金、または iOS アプリを購入するための別途の手段を強制されることになるかもしれない。Apple やこれに似たアプリストアを運営している他のテクノロジー会社にとってもっと懸念されるのは、テクノロジー会社はあまりにも大きな力を持ち過ぎたので分割すべきだという考え方が政界の中にあることだ。(2019 年 3 月 12 日の記事“上院議員 Elizabeth Warren、テクノロジー巨大会社に独占禁止法の注文を付ける”参照。)

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