Apple は私の母の日を良いものにしてくれた。と言うのも、アップデートされ近代的な仕様となった iPad mini をリリースしたからだ。母の iPad mini 2 は、最早彼女の望むアプリ全部を走らせられなくなっているが、だからと言って、September 2015 以降全くアップデートされていない iPad mini 4 を買う気にもなれないでいた。Apple はまた、新しい 10.5-inch iPad Air も発表したが、これはもう廃版となっている 10.5-inch iPad Pro と気味が悪くなるほどよく似ている。違いは、カメラの能力が落とされていることと価格が安いことである。
同社は、これらの発表を報道発表で行なったが、特別イベントに値する程のニュース性はないと見做し、そして噂で持ちきりの Apple のビデオ購読サービスに焦点を当てると予想されている来るべき特別イベントに集中するのを妨げたくなかったのであろう ("Apple Music を Apple が改善できる四つの方法" 11 March 2019 参照)。現実的に言って、これらの発表を最小限に留めたのは正しい判断であった - 新型 iPad mini はとても歓迎出来るものだが、単に遅れを取り戻すだけのものだし、新しい iPad Air は昔の 10.5-inch iPad Pro の仕様を iPad 製品群により適する様に手を入れただけのものである。
ただ一つ小さな欠点がある? iPad mini と iPad Air の名前に何もつけずにそのまま使うことで、昨年の第六世代 iPad の時と同様、Apple は、所持しているものは、或いは話題にしているものはどの iPad モデルなのか把握するのを更に難しくした。そして、Apple Pencil のことも言うまでもない。しかし、これは何も目新しい話ではない - Apple の製品名称付けが意味を成したことなどこれまで殆どない。これらは正式には、第五世代 iPad mini と第三世代 iPad Air となる。
第五世代 iPad mini、A12 Bionic チップと Apple Pencil サポートを得る
iPad mini 4 の上に3年以上座ったままの後、Apple はようやく、iPad mini ファンが何年もの間待ち焦がれてきたことを現実のものとした - 同社は、この小型の iPad を近代的仕様水準にしながら、同じフォームファクターと工業デザインを保ち、Home ボタンと Touch ID は残された。Apple はまた Apple Pencil サポートも追加し、この機能は全ての iPad 製品群に拡張された。
この第五世代 iPad mini は、その核に最新の A12 Bionic チップを搭載しており、Apple によると、それは iPad mini 4 の A8 チップよりも3倍速く、そして9倍高速のグラフィックスを提供するという。2018 年の第六世代 iPad の様に、この新型 iPad mini はまた $99 の第一世代 Apple Pencil をサポートするが、第二世代のモデルには対応せず、こちらは 2018 年の iPad Pro モデルとしか働かない。
Apple はまた、iPad mini の 7.9-inch Retina ディスプレイの解像度は以前のモデルと同じ 2048 by 1536 だが、25% 明るいと言っている。それは今や広色域ディスプレイ (P3) となり、Apple の True Tone 技術もサポートする。この技術は、周辺の光に対応してディスプレイが色温度を調整することを可能にする。
セルラーモデルの iPad mini は今や、追加の LTE バンドを使ってギガビット級の LTE 接続をサポートする。小さな混乱が一つある:仕様ページには "Nano-SIM (Apple SIM をサポートしている)" と "eSIM" の両方を挙げているが、Apple は、別のチャートでは iPad mini は eSIM しかサポートしないと言っている - 我々は Apple から確認を得ようと試みている。新型 iPad mini はまた Bluetooth 5.0 をサポートする。iPad mini 4 は Bluetooth 4.2 であった。
iPad mini のカメラは以前と同じ基本性能のままだが - 背面カメラは 8 megapixel で、正面の FaceTime HD カメラは 7 megapixel である - どちらもビデオを 1080p、毎秒 30 フレームで撮れる。以前の FaceTime HD カメラは 720p ビデオに限定されていた。
第三世代 iPad Air は興味深い獣である。もしこれを以前の iPad Air の製品群と比べるならば、画面の大きさと性能の両面で能力が大幅に増大している。しかしながら、これは Apple が少しだけ近代化し、かつカメラとスピーカーシステムの性能を落として値段を下げた 10.5-inch iPad Pro と考えた方がわかり易い。フォームファクターと工業デザインは 10.5-inch iPad Pro のままで、Home ボタンと Touch ID も残っており、更に $159 の初代 Smart Keyboard が使える Smart Connector までもが残っている。この iPad Air はまた第一世代 Apple Pencil に対するサポートも保持している。
新型 iPad mini と同様、この新しい iPad Air は、A12 Bionic チップ、ギガビット級 LTE、eSIM、そして Bluetooth 5.0 を搭載している。
しかしながら、Apple は、新しい iPad Air ではカメラの能力を大幅に格下げし、iPad Pro の背面カメラを、6枚構成レンズ、12-megapixel (絞り f/1.8) から、5枚構成レンズ、8-megapixel (絞り f/2.4) に取り替えた。Apple はまた、最高品質のビデオキャプチャーを 1080p に下げ (4K から格下げ)、パノラマを最大 63 megapixel から 43 megapixel へと縮小し、そして iPad Pro の光学式画像安定化、True Tone フラッシュ、Focus Pixels 等々を削除した。正面の FaceTime HD カメラは、全体的には似た様なものに見えるが、Apple はもはや、身体と顔の検出、或いは自動画像安定化を宣伝していない。加えて、新型 iPad Air はステレオスピーカーしか持っていないが、10.5-inch iPad Pro は4つのスピーカーを持っていた。
iPad mini と同様、新型 iPad Air は2つのストレージオプションしか提供しない:64 GB は $499 で、256 GB は $649 である。セルラー接続は通常の $130 の追加を要し、64 GB 価格は $629 に、256 GB は $779 となる。色は同じシルバー、スペースグレイ、そしてゴールドが用意されている。オンラインでは iPad Air を今日注文出来、Apple の小売店には来週から登場する。
意味のある iPad ラインナップ
Apple はようやく、その製品群の中の他の品種よりも遥かにそうだと言えるレベルで、ユーザーが欲する価格、大きさ、そして能力を提供するモデルを選ぶことを可能にする意味のある iPad ラインナップを持つこととなった。
モデル
画面サイズ
最小価格
iPad mini (第五世代)
7.9 inch
$399
iPad (第六世代)
9.7 inch
$329
iPad Air (第三世代)
10.5 inch
$499
iPad Pro 11-inch
11 inch
$799
iPad Pro 12.9-inch (第三世代)
12.9 inch
$999
価格は画面サイズと直接連動してはいないが、実際にそれは理にも適っている、何故ならば、第六世代 iPad は旧式のチップであり (A10 Fusion)、32 GB と 128 GB のストレージオプションしか提供せず、そしてディスプレイも洗練されていない (全面ラミネートでない、反射防止膜もない、広色域ディスプレイもない、True Tone もない)。更に、Apple は iPad mini のスリムサイズに少々のプレミアムを課している - 大きいことが常に良いわけではない。
最後に、これらの iPad 発表を邪魔する気はないが、もし Apple が iPad mini フォームファクターがその報道発表で言っている様に "愛されているデザイン" なのであれば、iPhone のラインナップでも同じことをするのが賢明なのではなかろうか? ユーザー達はより小型のモデルを求めて声を上げている。先週末、我々は今だに iPhone 4S を使っている友人と夕食を共にした。iPhone 4S の四角い角を残した側面と小型のサイズは、手にするのにもポケットに入れるのにも驚くほど心地良い。言うだけ言わせて貰おう - iPhone mini の登場余地は十分にある、Apple は iPhone nano 迄は行かないとしても ("Palm の極小スマートフォンはお粗末だが、iPhone nano ならどうか?" 4 March 2019 参照)。
CorelDRAW は macOS 10.14 Mojave の Dark モードに最適化され、MacBook Pro の Touch Bar にも対応し、またニューラル・ネットワークで駆動されるドロー機能 LiveSketch をデビューさせている。これは人工知能を利用して手描きの筆遣いを解釈・調整・結合し、高精度のベクター曲線に転化させるものだ。さらにクラウドベースの CorelDRAW.app を使って外出先でも好きなデバイス上でグラフィックデザインのプロジェクトにアクセスでき、既存ファイルの中のデザイン要素を開いて編集したり、新規にプロジェクトを開始したりもできる。
CorelDRAW Graphics Suite 2019 for Mac の価格は終身ライセンスの購入ならば $499、講読での利用ならば年額 $198 だ。CorelDRAW Graphics Suite 2019 は最低限 10.12 Sierra を必要とし、15 日間有効の無料試用版をダウンロードして利用できる。ただし、フル・インストールで 2 GB 以上もあることに注意しよう。独立動作版の CorelDRAW アプリ (Graphics Suite にある他の追加のものは含まれない) は Mac App Store から入手でき、最初の 2 週間の無料試用期間が過ぎれば月額 $19.99 または年額 $199.99 の講読で使える。
CorelDRAW Graphics Suite 2019 が Adobe の Creative Cloud に対してある程度の競争をはるかに安い価格で提供しているのは素敵なことだ。講読料金が一月あたり $16.50 という計算になり、Creative Cloud の月額は $52.99 だからだ。その上、Corel は講読が嫌いな人のために終身ライセンスも提供している。そうは言ってもやはり安い買い物ではないので、Mac の世界で既に定着している代替製品、例えば Affinity Designer と Affinity Photo (それぞれ $49.99) や Pixelmator Pro ($59.99、2019 年 2 月 13 日の記事“Pixelmator Pro レビュー: Photoshop CC と比較するとどうか?”参照) と比較してみるのも面白いだろう。
カナダの会社である Corel (プライベート・エクイティ・グループの Vector Capital が所有している) は、会社の発足当時以来 (WordPerfect や WinZip を買収したことも含めて) 主として Windows 側でのソフトウェア開発に力を注いできたが、同社は再び Mac にも以前より多くの注意を向けるようになってきたようだ。CorelDRAW の復活に加えて、Corel は 2018 年 12 月に仮想化ソフトウェア会社 Parallels を買収したし、今年に入ってからは作図および 3D モデリング用アプリ CorelCAD
のメジャーな macOS 用アップグレードをリリースしている。
2017 年に事業を Joe Kissell に売却して以来私は Take Control ブック関係のことをほとんどしてこなかったが (2017 年 5 月 1 日の記事“Take Control Books、Joe Kissell が買収”参照)、最近になって私は Take Control of Preview をアップデートする作業に取り掛かった。この本は Josh Centers と私が共同で執筆したものだが、2016 年 7 月の執筆当時に対象としたのは macOS 10.11 El Capitan と共に出荷されたバージョンの Preview アプリで、その後も私はこのアプリを毎日使い続けてはいるものの、10.12 Sierra や 10.13 High Sierra においてもこの Preview アプリは大して変わっていないように見えていた。しかしながら 10.14 Mojave がやって来ると、Continuity Camera やスクリーンショットなどの新機能が Preview に直接の影響を与えるようになったので、私はそろそろ本腰を入れて Preview を深く調べ尽くし、他にどんなことが変わったのか見極める時期が来たと決断した。
残念なことに、調べてみた結果はあまり嬉しいものではなかった。Preview の新機能は大して新たな価値を生むものでなく、とりわけ悪い変更点が一つあり、しかも Apple はいくつかのバグを導入しさえしている。
誤解しないで頂きたい。今でも私は Preview がとても素敵なアプリであって、多くの人々が気付くよりももっと多くの便利な機能を持ち、その上私はこのアプリを私の Mac の上にある他のどんな Apple 製のアプリよりも多く使っていると思う。(私は Safari より Chrome の方が好きだし、Mail より Mailplane の方が好きだからだ。) Preview は驚くほどパワフルなグラフィックス・エディタであり、非常に有能な PDF 用のビューワー兼ユーティリティだ。もちろん Photoshop や Acrobat には (さらには Pixelmator や PDFpen にも) 及ばないが、大多数の人たちが必要とする大多数の用途には、Preview で十分使える。
Take Control of Preview のバージョン 1.1 は既に出版済みなので、まだお持ちでない方には (バージョン 1.0 を購入した方には無料アップデートだ) ぜひこれを読んで Preview にできることのすべてを知って頂きたいと思う。
善玉
[訳者注: The Good, the Bad and the Ugly (善玉、悪玉、卑劣漢) は 1966 年のマカロニ・ウェスタン映画で、映画の邦題は「続・夕陽のガンマン」です。]
Mojave バージョンの Preview での主要な変更点は、Continuity Camera に関係したものだ。中でも特記すべきは、iPhone で写真を撮影してそれを直接 Mac 上の Preview の中へ読み込んだり、書類を iPhone でスキャンしてそのまま Preview で開いたりできるようになったことだ。本の中では "Importing from an iPhone or iPad" というセクションを新設して Continuity Camera 機能について説明してある。
Take Control of Preview を新バージョンにアップデートする作業が厄介なのは、Preview アプリにはちょっとした風変わりな機能やインターフェイスの微妙な仕掛けがたくさんあるからだ。いや、少なくとも従来はそういうものがたくさんあった。でも、今回本の隅々まで調べて、以前の私が議論を引き起こしそうにないと思っていた機能をテストしてみると、それが以前と同じやり方では機能しないと気付くことがあった。いやむしろ、テストしてみた結果その機能が全く働かなくなっていると気付く方が多かったかもしれない。
そのような変更点を、私ならばバグに分類する。話は単純明快だ。それらが存在することだけすらも、また以前には完璧に動作していたコードを Apple にいる誰かが壊してしまったことも、酷い話だと思う。私にできる最良の推測は、Apple が Preview の基盤コードを将来の 64-bit 環境や、その他 macOS の内部的変更に備えて調整している最中なのだろうということだ。残念なことに、どうやら Apple はその種の更新の作業を経験の浅いプログラマーたちに割り当てた上に、新しいコードに対して十分なテストを施さなかったのだろう。
より良いオブジェクト位置揃え: 画像または PDF の中でオブジェクトを動かす際に、Preview は黄色い線を表示して、そのオブジェクトの中心を垂直方向または水平方向に揃える手助けになるようにする。でも、できればオブジェクトの中心だけでなくオブジェクトの縁でも揃えられるように、さらにはオブジェクト同士の間隔も一定にできるようになって欲しい。
PDF の中でテキスト編集: Preview が機能面で PDFpen や Acrobat その他と競合できるようになるべきだなどとは思っていないが、少なくともテキストの追加・変更・削除については、より機能豊富なプログラムが持っている程度にできるようになってくれれば便利なのにと思う。
もちろん、もっと別の機能を必要としている人も多いだろう。皆さんは Apple に将来どんな風に Preview を強化して欲しいと思っておられるだろうか? ぜひコメントに書き込んで頂きたい。
Apple は長年にわたって音楽ストリーミングサービス Spotify に手荒い扱いをしてきたが、Spotify がとうとう怒りを露にした。Time to Play Fair と名付けた新しいウェブサイトで、Spotify は同社と Apple とのやり取りをタイムライン形式で示し、App Store における Apple の利己的なやり方が Spotify を Apple Music よりも不利な立場へ追い込んだ様子を説明する。Spotify によれば、Apple は Spotify が Apple のアプリ内購入システム (講読料金の 30% を Apple が取り分として徴収するシステム) を使うのを止めて以後、何度も Spotify の iOS アプリのアップデートを拒絶した。そこでスウェーデンの会社である Spotify は、European Commission (欧州委員会) に対して「公平な競争の場」の保障を訴えた。