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#1446: iPad Pro レビュー、iOS 12.1.2 アップデート、Google と Facebook が Portrait モード写真を利用、TidBITS ホリデー休暇

これが 2018 年最後の電子メール号となるが、まずはあまり重要でないと思われる iOS 12.1.2 アップデートについて触れる。新型 iPad Pro が欲しいなあと思っていた人たちのために、Julio Ojeda-Zapata がその素晴らしいハードウェアと制約のあるソフトウェアについて詳しくレビューする。Julio はまた Facebook や Google Photos を使っている人たちのためにその中で Apple の Portrait モード写真を利用する方法を解説する。今週注目すべき Mac アプリのリリースは、Microsoft Office for Mac 16.20、BBEdit 12.5.2、DEVONthink/DEVONnote 2.11、ChronoSync 4.9.1 と ChronoAgent 1.9.1、Agenda 4.0、Carbon Copy Cloner 5.1.7、TextExpander 6.2.8、Lightroom Classic CC 8.1 だ。それでは皆さん、また 2019 年にお目にかかりましょう!

Adam Engst  訳: Mark Nagata   

Apple、iOS 12.1.2 をリリース、おそらく Qualcomm 特許への対処のため

今回はしばらくの間放置しておいてもかまわないアップデートのようだが、Apple が iOS 12.1.2 をリリースして、たった2件のみのバグ修正を施した。2件とも、iPhone XR, XS, XS Max のみに関係するものだ。一つは eSIM アクティベーションに関するバグを修正するもので、もう一つはトルコ国内でのモバイルデータ通信に影響する可能性のある問題への対処だ。

iOS 12.1.2 release notes

Apple はセキュリティページの中で iOS 12.1.2 が iPhone 5s 以降、iPad Air 以降、第六世代 iPod touch に適用されると記しているが、これは書き間違いかもしれない。私たちの iPad には何も表示されないからだ。[訳者注: 現在は「iPhone 5s 以降」のみの記述に修正されています。]古い iPhone モデルについては、Qualcomm 特許の侵害申し立てにより中国での販売が禁止された問題を回避するためのアップデートが施されているのではないかと考えられる。セキュリティ修正として CVE の公開エントリは一つも挙げられておらず、Apple は詳細を発表していない。

eSIM をアクティベートしたい人や、トルコ国内での接続性が必要な人は、Settings > General > Software から、または iTunes 経由でアップデートするとよい。それ以外の人は、ホリデー期間中アップデートせずに放置しても何の問題もないと私たちは思う。今回のアップデートは Apple が中国で iPhone を販売し続けるために必要なものかもしれないが、他の多くのユーザーにとってそれほど意味があるものとは思えない。

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Adam Engst  訳: Mark Nagata   

TidBITS 2018 ホリデー休暇: 休んで (Rest) 回復し (Recover) 再充電 (Recharge)

これが 2018 年最後の TidBITS 電子メール号となる。これから数日間は私たちもいつも通り業界の出来事に注意を払いつつ、皆さんの注目に値すると思われることがらを記事にしてゆくが、その後はゆるゆると元日までホリデーのお休みを頂きたい。どうか皆さんも私たちと同じように、この時期に一緒に過ごして楽しい人たちと共に皆さんの思い思いのやり方で時を過ごされますようにと、心から願っている。次号の電子メール版 TidBITS は 2019 年 1 月 7 日発行の予定だ。

休暇期間中、私たちは十分に休息し、初心を取り戻し、再充電したい。Josh Centers と彼の妻 Hannah は数週間前に子供が生まれたばかりなので、間違いなく睡眠時間の確保を必要としているだろう。(Jeremiah Stone Centers は生まれてすぐにはいくらか治療を要したが、今はもうすっかり元気だ。) その上、私自身も 12 月の第一週にトロントの Shouldice 病院でヘルニアの手術を受けたばかりなので、回復のためにも休養を取れるのがありがたい。(手術はうまく行き、私は日々良くなっている。ヘルニアの治療を必要としているすべての人に、Shouldice 病院をお薦めしたい。この病院はヘルニア手術を専門としていて、1945 年以来 380,000 件という驚くべき手術数の実績がある。) 私たちはまた、電子メールの発送システムを現在の SendGrid から Sendy および Amazon SES へと切り替える作業もしているところだ。この移行が終われば、毎月およそ $180 の節約になる。

年末のこの時期は、私たちがどんなことをしていて、それはなぜなのか、少し時間を取って考え直してみるべき時だ。そして、私たち TidBITS の活動を可能として下さっている多くの人々への、感謝の思いを新たにする時でもある:

ありがとう、皆さん、そして、お一人お一人の願いがすべて叶いますように。また 2019 年にお目にかかりましょう!

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Adam Engst  訳: Mark Nagata   

古い TidBITS 会員自動更新は今回のみ手動更新が必要

もしかしてあなたは、2018 年 4 月よりも前に TidBITS 会員資格を自動更新する設定にして下さった多くの方々の中のお一人ではないだろうか? もしそうなら、お手数をかけて大変申し訳ないことだが、私たちの会員システムから電子メールのリマインダーが届いた際に、今年は手動で更新をして頂く必要がある。このメッセージに気付かずそのままの方々も相当数おられ、また多くの方々から手動更新が必要と聞いて驚いたというお便りが届いた。そこで、事情を説明させて頂きたい。

先々週の記事“2019 年も TidBITS に皆さんの援助を!”(2018 年 12 月 3 日) にも書いたが、会費支払いに関する詳細情報を旧システムから転送することが不可能だったので、過去に設定されていた自動更新の設定はすべて無効となり、皆さんには今回だけ手動で更新して頂かなければならなくなった。一度だけご不便をおかけすることになるけれども、新システムへの切り替えは良い判断だったと思っている。なぜなら、旧システムで使っていた eSellerate は 2019 年のうちにサービス終了する予定なので、いずれにしても切り替えは不可避であったからだ。

私たちのシステムからの電子メールで更新のリマインダーが届いたら、更新のためにあなたの TidBITS アカウントにログインして頂く必要がある。(リマインダーが届いたかどうか確信がなくても、いつでもログインして下されば会員資格の状況を確認して頂ける。) 私たちが 4 月に新しいサーバに移行して以来一度もログインしておられない場合は、パスワードのリセットが必要になるかもしれない。ログインが済めば、ページの右上にある Account リンクをクリックして、Membership Details の下に表示された Renew リンクをクリックするか、あるいは別の会員レベルを選んで頂くこともできる。

Membership details for a current member

まだ一ヵ月以上会員期間が残っている場合には Renew リンクは表示されないので、どうぞ期限が近づくまでお待ち頂きたい。既に会員期間が期限切れになっている場合は、あなたの Account に Renew リンクは存在しないので、どうぞ Join TidBITS をクリックして会員期間を再開して頂きたい。

Membership details for an expired member

数人の方々から会員資格とは別に一度限りの寄付をする方法はないのかという質問を頂いたので、Membership Levels ページにそのようなボタンを組み込むことができるかどうか現在検討中だ。当面の間は、PayPal を使った送金をいつでも組むことができる。どうぞ [email protected] あての電子メールで Lauri Reinhardt に連絡して頂ければ、その種のことも、またそれ以外にアカウント関係や会員関係のどんなことでも、Lauri がお手伝いさせて頂く。

皆さんからの援助に、もう一度感謝を述べておきたい! 年中くどくどと同じことを繰り返し述べることはしないが、会員プログラムからの資金は私たちが毎週 TidBITS を皆さんにお届けできるために本当に必要な財源となっている。今日のようにほとんど無限にコンテンツが溢れているこの世界の中で、私たちが書くものに対してお金を払ってもよいと皆さんが評価して下さることこそ、私たちにとってとても大きな意味がある。

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Julio Ojeda-Zapata  訳: 亀岡孝仁  

Google と Facebook、iPhone の Portrait モードを使って楽しさ効果を

Apple は Portrait モードでヒットを作り出した。Camera アプリは、前景の被写体に焦点を当てながら背景をぼかす計算写真学を使う機能を有している - この効果はしばしば "ボケ" と呼ばれる。初期には、Portrait モードは Apple のデュアルカメラを必要としたが、同社は今年の A12 Bionic チップの処理速度を生かして、この機能を単一カメラの iPhone XR にも拡張することが出来た。

Portrait モードは、2016 年の導入当初から人気を博したので、Google と Samsung もそれを自社の電話に取り込んだ。

Apple は、この間、サードパーティに Portrait モードを彼ら自身の iOS アプリに統合することを許してきた。Facebook や Google も最近これに加わり、ここ数週間の間に、この技術を彼ら自身のアプリに取り込み、ユーザーにとても興味のある新しい能力を提供することとなった。

Portrait モードとは?

Portrait モードは、可能な最大限の広さの絞りを使って背景をボケさせる DSLR (デジタル一眼レフ) カメラレンズを模している。DSLR はこの効果を光学的に作り出しているが、iPhone はソフトウェアに依存してこの効果を実現している。写真学の純粋派はこれを"フェイクボケ" として鼻であしらうかもしれないが、意図した様に働いた時には、それは驚愕ものである。

Apple はこの機能を 2016 年に iPhone 7 Plus に最初に導入し、そして後に iPhone 8 Plus, iPhone X, iPhone XS, そして iPhone XS Max へと組み込んだ。これらの電話には背面にデュアルカメラが付いていて、それが Portrait モードのための必要条件であったが、それも Apple の新しい iPhone XR の出現で変わった。このより低コストの iPhone XR は単一の背面カメラしか持っていないが、それでも Portrait モードに対応する。しかし、それはより制限の多いものである - それは人物でしか働かない、ペットや無生物では働かない。

全ての Portrait モードの写真には、深度と焦点のデータが埋め込まれており、ボケはそれらのデータから算出される。このデータは種々のアルゴリズム的な手法で使え、その様な画像は極めて可撓性に富むものとなる。

例えば、 Apple は最近 Portrait モードの背景のボケを調整可能にした。この Depth Control 機能は、新型の iPhone XR, XS, そして XS Max の電話で使え、ユーザーは被写界深度を調整して、背景のボケを好きなだけ多く、或いは少なくすることが出来る。

しかし、埋め込まれた深度と焦点のデータを利用しているのは何も Apple だけではない。

Google の深度制御

Google は今や、Apple のものと似た深度制御機能を Google Photos アプリに入れており、iPhone ユーザーに被写界深度調整機能を使うもう一つの方法を提供する。

そして、これにはもう一捻りある:Google Photos はこの能力を iPhone XR, XS, そして XS Max のユーザーだけでなく、より旧型の Portrait モードカメラを持つ iPhone モデルにも提供している - iPhone 7 Plus, 8 Plus, そして X も含まれる。

Portrait 写真を Google Photos で編集する時、Depth スライダーが Light と Color スライダーの下に現れる。この Depth スライダーを左右に動かすとボケが増えたり減ったりする。

Adjusting a Portrait mode photo in Google Photos.

また、焦点の位置も、写真に重なって現れる小さな白い輪の周りをスライドすることで変えられる。こうすることで、写真のどの部分に焦点を当てて背景のボケを強調するかの制御が出来るようになる。.

Google Photos を使う厄介な部分は、編集する Portrait モードの写真を探し出すことである。Apple の Photos アプリは、これらの写真全部を Portraits アルバムに集めてくれているので探すのは簡単であるが、Google Photos は自分で探さなければならない。(勿論、Apple の Portraits アルバムを参考にすることは可能である。)

Facebook の 3D Photos

ソーシャルネットワークの一つとして、Facebook は、皆さんが写真を編集することは余り気にしておらず、むしろ、皆さんの写真を皆で共有するための人を惹きつける素材とする手助けに重きを置いている。つまるところ、クリック数の世界なのだ。

Facebook の 3D Photos は、ボケは変えられないが、巧妙な3次元の "視差" 運動を組み込んでいて、それは Portrait 写真の埋め込まれた深度と焦点のデータから作られる。皆さんも、以前に iPhone 用の新しい壁紙を選ぶ時に iOS の Perspective 機能を有効にしていたならば、この効果を見ていたはずである。

どんな最新のスマートフォン上でもその様な写真を Facebook アプリで見る時、電話を傾けると焦点の合った背景がボケた背景に対して動く効果が見られる。それらの写真を Mac 上で見る時には、マウスを動かしたり、或いは Facebook フィードをスクロールしたりすると、この視差運動が見られる。

どの Facebook ユーザーでも 3D Photos は見られる、電話のモデルやプラットフォームを問わずに。しかしながら、全てのブラウザがそれに対応しているわけではない - Chrome と Safari は対応しているが、Firefox はしていない。そして、Portrait モード対応の iPhone のユーザーだけが、これを作成出来る。やり方は次の通り:

  1. Facebook iOS アプリで、新しい投稿を始める。
  2. 下部にある選択肢のスクロールリストの中から、3D Photo を選び iPhone 上にある全ての Portrait モード写真を表示させる。
  3. 欲しいものを一つタップして選択すると Facebook は 3D 変換を行う。
  4. 底部にある Next ボタンをタップして、自分の投稿を見る。
  5. 好みの説明文を入力する。
  6. Share をタップする。

Uploading a 3D Photo in the Facebook app.

すぐに、新たな問題に気づくことになる。3D 写真の中には、視差移動の間に見苦しい汚れに悩まされるものもある。私と自転車仲間との写真の一枚では、私の iPhone をいろいろ傾けると、ヘルメットが奇妙な具合にずれてしまう。(そして、いいえ、我々は埋め込んだ写真に何故中国文字があるのか分からない。)

When Facebook 3D Photos go very, very wrong.(日本語版では表示不能。クリックしてオリジナル参照)

他の奇妙なことも起こり得る - しかし私の Portrait 写真は 3D Photos として素晴らしく見える。

Playing with Facebook 3D Photos.(日本語版では表示不能。クリックしてオリジナル参照)

Playing with Facebook 3D Photos.(日本語版では表示不能。クリックしてオリジナル参照)

これらの問題の幾つかを避けるためには、良い 3D Photos を作成するやり方に関する Facebook の詳細な助言に従うこと。そこには、質感のある被写体を探す、色、或いは複数の深度の層をを対比させる、等が含まれる。

Portrait モードは進化する

前述した様に、Apple は自社の Portrait-モード能力をサードパーティ写真アプリ開発者と共有することに寛大であった。Apple の開発者サイトを掘り起こせば、深度がどの様に iPhone 写真術に組み込まれ得るかについての驚愕の記事ビデオと出会える。

そして、これらの能力は進化し続ける。iOS 12 で Apple は、コンピュータ生成の効果をより正確で現実的にすることで、人物写真 (つまり、ポートレート写真) がどの様に見えるかについて更なる磨きをかけている。これは、主として、Portrait Effects Matte 或いは PEM と呼ばれる新しい能力によって実現される。

アプリ開発者は、例えば人気の Halide アプリの創作者の様な、PEM にかなり入れ込んでいる。それが、iPhone XR の単一背面カメラで秀悦な人物焦点の Portrait 写真を作り出せる理由でもある。Halide ブログ 投稿や SlashGear 投稿も PEM を掘り下げていて、それがどの様に使えるかのヒントにもなっている。例えば、Halide は PEM によって検出された人物の輪郭をエクスポート出来、そして Portrait モードを iPhone XR 上の非人物の被写体にも適用出来る。そして SlashGear 投稿は、PEM でグリーンバックのクロマキー合成も可能であることを示唆している - 背景を丸ごと置き換える機能である。

と言うことで、iPhone 写真アプリの新しい Portrait モード関連の効果や能力にご注目を。Google と Facebook は最もよく知られたこれを使いこなしている開発者ではあるが、決して彼らだけでない。

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Julio Ojeda-Zapata  訳: Mark Nagata   

新型 iPad Pro: パワーと生産性は素晴らしいが、高価

2015 年に、Apple は大衆向けコンシューマグレードの iPad に対するハイエンド版として iPad Pro をデビューさせた。(2015 年 9 月 9 日の記事“iPad Pro、Smart Keyboard と Apple Pencil と共に発表される”参照。) キーボードとスタイラスペンを組み合わせることで、iPad Pro は外出中の人が使う生産性コンピュータとして、Microsoft の Surface Pro PC やそれと同種のものたちを相手に競合する役割を担わされていた。

それから 3 年が経ち、Apple は今回 iPad Pro シリーズのイメージを一新しつつ、iPad Pro がデスクトップやノートブックのコンピュータの単なる補助のためではなくそれ自体で独立したコンピュータとして使うものであるというメッセージを再び届けようとしている。Apple が言わんとしているのは、今回の新しい iPad Pro こそあなたが本当に必要としているただ一つのコンピュータかもしれないということのようだ。

価格が高いことを考えれば、ぜひそうあって欲しいものだ。何しろ、最低価格でも 11 インチモデルが $799 から、12.9 インチモデルが $999 からとなっていて、いろいろ追加すればそれよりずっと高いものになるのだから。一台の iPad に $2000 以上払うことにもなり得るので、最安値の iPad が $329 で売られているのと比較すれば、その振り幅はあまりにも広い。価格についてそれ以上言うべきことはあまりないが、ただ Apple のラップトップ機シリーズとほぼ同等の価格になってしまっていることだけは言っておきたい。だから、iPad Pro に買うだけの価値がある否かを議論する際には MacBook との比較を考慮することも忘れないようにすべきだろう。

難点はいろいろあったとしても、実際素晴らしいハードウェアが手に入ることは否定しようがない。この新型 iPad Pro はあらゆる面で物理的に良くなっており、内部で働く馬力はほとんどのノートブック機を凌駕し、最小主義を掲げたデザインは Home ボタンをなくし、Smart Keyboard Folio と Apple Pencil は大幅に進化し、次世代の雰囲気をかもし出す。

けれどもソフトウェアは次世代ではない。他の iPad が使うのと同じ iOS 12 であって、同じアプリが走る。それが伝統的な Mac ソフトウェアと同等に本格的な生産性を得るために十分なものであるか否かは、あなたが生活のためにどんな仕事をしているのかに依存する。これで十分に問題ないというユーザーもいるだろうし、その一方で多くの面で制約の多いコンピューティング環境に苦しみを味わう人たちも多いだろう。

これらのことを念頭に置きつつ、私はここ数週間にわたって 12.9 インチ iPad Pro を使ってみたが、大きな感銘を受けた。従来の iPad で私を悩ませていた点はほとんどすべて、ハードウェアに関しては、見事に消え去っている。しかしながら iOS によって課された制約と、機能に制約のあるアプリとによって、私の生産性の目標をすべて達成するのは簡単でなかった。

新しいルック&フィール

流行の行く末を定めるタブレット機デザインを徹底的に改訂した初めてのモデルとして、Apple は iPad Pro の外見を大幅に変更した。それは大体において良い方向への変更だ。

Home ボタンをなくしたことにより、Apple はディスプレイのベゼルを四辺全部で同じ幅にすることができ、その幅も従来よりずっと狭くなった。物理的な側面はかつては丸められていたが、今回は完全に角ばって iPhone 4 や 5 といったクラシックを思わせる。

A side profile of the iPad Pro.

この iPad Pro はもはや横置きと縦置きのどちらかを標準とすることはないので、最初は全体に少し違和感を覚えてしまう。結局のところ、どちらの向きでもよいのだ。その結果として物理的デバイスに気を取られることなくスクリーン内容のみに集中できるので、以前よりも没頭できることが分かった。iOS 12 の iPad 用ジェスチャーが iPhone X シリーズ用のジェスチャーとほとんど同じであることもそのために役立った。iPhone X かそれ以降を持っている人は、すぐに iPad Pro のジェスチャーに馴染めるだろう。

The iPad in rotation.

このタブレット機は全体的な印象がはっきりと従来より小さくて軽い。とりわけ、大きい方の 12.9 インチモデルの iPad Pro で従来との違いが際立った。従来のモデルはまるでカフェテリアのトレイかと思えるほどにかさ張る感じがして具合が悪かったが (2016 年 7 月 28 日の記事“二つの iPad Pro で、テクノロジーと目に見えない部分を比較”参照)、今回のモデルにそういう印象はない。新モデルではディスプレイそのものの大きさが同じだが、スクリーン周囲のハードウェアを縮めることで Apple はこれを快適に持ち運び使いこなせるものとすることに成功している。

Both sizes of the new iPad Pro.

持ち運びのしやすさは小さい方の iPad Pro では大した問題でなかったので、Apple はこちらには違うやり方の改訂を施した。つまり、全体の物理的な縦横の長さを変えずに、スクリーンの寸法を (対角線で) 10.5 インチから 11 インチへと増やし、その分ベゼル幅を縮めて Home ボタンをなくしたのだ。

これらの新型 iPad Pro には iPhone X、XS、XS Max に搭載されている次世代の OLED スクリーンテクノロジーは搭載されていない。iPad Pro のスクリーンはまだ LCD であるが、Apple はこれを "Liquid Retina" (iPhone XR が搭載するのと同じもの) と呼んでいる。けれども OLED と並べて見比べない限り、両者の見た目はそれほど変わらない。

ビジュアルな改訂で前世代との違いが際立つのは、高いフレームレートでスムーズなスクロールを可能にする ProMotion や、周囲の明るさに基づいて色温度を調節する True Tone といったテクノロジーだ。また、iPhone X シリーズと同じ Tap to Wake テクノロジーも今回初めて iPad に搭載された。

すべての iPad ディスプレイはインチあたり 264 ピクセルに固定されているので、それはつまり iPad Pro のスクリーンが大きければそれだけ多くのピクセルが使えるということだ。なので Gmail のようなアプリでは文字が小さ過ぎるように感じられるかもしれないが、iPhone でするのと同じように iOS の Display Zoom 機能を使えばその点は補える。

最後にもう一つ、新型 iPad Pro の LCD 画面には一見見落としがちな微妙な点で手が加えられている。それは、四隅が丸められていることだ。サブピクセル・アンチエイリアスという処理を施すことで、Apple は個々のピクセルに調整を加えて歪みのない滑らかな四隅を実現することができた。どうやらこの効果は OLED ディスプレイでする方が容易なようで、その点は iPhone XS でも同じことだ。素晴らしい! どうでもいいことかもしれないが、素晴らしい。

雷鳴と USB-C

この iPad Pro で最も注目すべき新機能の一つに、充電と同期のために使うポートがある。これは、従来の Lightning ポートではなくて、USB-C ポートだ。Apple の iPhone は依然として Lightning (稲妻) ポートを使っており、現代的な Mac は Thunderbolt (雷電) 3 ポートに依存するので (Thunderbolt 3 ポートは USB-C コネクタを使っているので大体においては USB-C の上位セットだ)、Apple のポート哲学はますます混迷の度を深めているように見えるが、iPhone もいずれ USB-C に切り替わるということはあるのかもしれない。

iPad の USB-C は Lightning ほど単純なものではなく、そのことはこの詳細な Apple サポート記事を見ても分かる。このポートを使ってできるさまざまなことを、以下に簡単にまとめておこう:

その他のハードウェア機能

以上述べてきた USB-C ポート以外にも、Apple はいくつかの方面でこの新型 iPad Pro に重要なアップグレードを施した:

Apple Pencil 第二幕

Apple が初めて出したスタイラスペンである Apple Pencil は、アーティストやその他ペン風入力デバイスを使った高度な作業を必要とする人たちにとって、革新的な道具となった。これは最初の2世代の iPad Pro と共に、また最近には第六世代の iPad と共にも使えた。

けれどもその Apple Pencil にも問題がない訳ではなかった。まず、充電するのが厄介だった。先のところにある Lightning 突起を使って充電するので、その間は iPad の Lightning ポートから不格好に突き出した状態になった。使わない時には突起にキャップを被せるのだが、これをすぐになくしてしまうのが常だった。Apple Pencil 自体も、使わない間 iPad に取り付けておく場所も方法もなかったので、どこかに置き忘れてしまいがちだった。その上、ペン本体の断面が完全に丸いデザインだったので、すぐに転がって机から落ちてしまった。Apple Pencil は Bluetooth 経由で iPad にペアリングされるのだが、私の経験では接続が切れてしまうことが多かった。

けれどもリリースされたばかりの第二世代 Apple Pencil では、こちらは新型 iPad Pro でしか動作しないのだが、上で述べた欠点のほとんどが解消されている。ただし、価格は従来の $99 から $129 へとかなり大幅な値上がりだ。

新しい Apple Pencil は磁力で iPad Pro の上面にくっつけておくようになっている。このようにくっつければ最初にペアリングがなされ、その後は必要に応じて充電がされる。Apple Pencil の側面の一部が平らになっているので、転がらずにそのまま置いておけるし、見た目も素敵な感じのデザインだ。また、Apple Pencil をくっつけると iPad のスクリーン上に充電状況を示した小さなウィンドウが一時的に表示されるのも素敵だ。

The 2018 iPad Pro with the Apple Pencil 2.

一つだけ警告しておくことがある。iPad を鞄の中に押し込んだりした際に、Apple Pencil がしっかりくっついたままでいることを当てにしてはいけない。接続する力はそれほど強くないし、何となくデリケートに見えるこのスタイラスペンがちゃんと保護されていないのもちょっと心配だ。

私の経験では、今のところ新しい Apple Pencil との間の Bluetooth ペアリングはかなり信頼性が高いようだ。また、iPad Pro の ProMotion 機能のお陰で、図を書いたりスケッチを描いたりする際にも遅延はほとんど気にならない。

新型の Apple Pencil は古い Apple Pencil と同じ交換用ペン先を使っているが、Apple は交換用ペン先を無料で提供することを止めてしまった。新旧の両バージョンはそれ以外の点で一目で見分けがつく。新型の方が短く、旧型の表面がつやつやしていたのとは対照的に新型は表面がつや消し仕上げで、側面に平らな部分がある。その上、Lightning 突起がないので先端に被せるキャップもない。わざわざ "Pencil" という単語を刻まずとも明らかにそれと分かる。

この新型 Apple Pencil には一つとても素敵なトリックが内蔵されている。手に持っている状態で、側面の平らな部分を人指し指でダブルタップすれば、違うことが起こる。つまり、現在使っているドローアプリやペイントアプリで、選択可能な次のツールや消しゴムに切り替わったり、現在のツールと前回のツールが入れ替わったり、またはカラーパレットが表示されたりする。このショートカット機能はとてもクールで、私が Apple の Notes アプリで試してみたところうまく働いたが、サードパーティのアプリはそのメーカーが明示的にこの機能に対応する必要があって、例えば The Iconfactory は最近になってこの機能を同社の Linea Sketch アプリに組み込んでいる。

Smart Keyboard Folio

iPad 用キーボードとして最初の試みであった Apple の初代の Smart Keyboard は、Microsoft が Surface PC 用に出した Keyboard Covers への反応として出されたものだったが、この Smart Keyboard にもいくつか問題点があった。

運ぶために折り畳むと、初代の Smart Keyboard は iPad の正面側しか保護せず、またキーボードを収納するために見苦しく膨れてしまった。その上、広げてタイプ用に使おうとしても、たった一つの視角に固定されていたため、使い勝手の悪い、膝の上に乗せても安定しないコンピュータとなった。チクレット (チューインガム) 風の、布地で覆われたキーは、段々好きになったという人もいたが、それまで Apple のバタフライ方式キーの MacBook Pro キーボードを嫌っていた人たちの多くもこれなら驚くほど快適だと思ったものだった。全体として、この初代の Smart Keyboard は少しばかり貧弱な感じで、折り紙のように折り畳む必要があった。

今回 Apple がデザインを新たにした iPad Pro 用キーボードは Smart Keyboard Folio と呼ばれ、大体において上記の問題点を修正している。これもまた従来より値上げされ、11 インチモデル用が $179、12.9 インチモデル用が $199 だ。

The iPad Pro with the Smart Keyboard Folio.

全体的に従来よりしっかりした造りになって、持ち運ぶために折り畳めば iPad Pro の前面と背面の両方をカバーし (ただし三方の側面は露出したままだが) 膨れるようなこともない。作業セッションのために広げると、二つの溝のどちらにでも iPad Pro の下辺を磁力でしっかり収容できるので、二種類の視角のうち好きな方を使える。この溝とキーボードは前面カバーの中に組み込まれており、作業面が硬い板になっているので膝の上でも安定して快適に使える。

The iPad Pro folding out from the folio.

この Smart Keyboard Folio は依然として奇妙なチクレット風のキーを使っているが、私はこれに慣れてしまった。けれども、カバー全体を反転して裏返すとキーがカバーの外側に来てしまい、iPad Pro を持ち運ぶのが少々不快になるところだけが私は好きになれない。もしも Smart Keyboard Folio があなたの好みに合わなければ (ぜひともまず一度現物を手に持って試してみよう)、今後サードパーティからいろいろなキーボードが出てくるのは間違いないのでそれまで待つのが賢明だろう。

初代の Smart Keyboard と同様に、新しい Smart Keyboard Folio も独自仕様の Smart Connector 経由で iPad Pro に接続する。つまり、従来と同様、iPad から電力が供給されるのでキーボードを再充電する必要はない。けれども新型 iPad Pro モデルでは、Smart Connector が底部の側面でなく背面に設置されているので、接続のために iPad Pro が Smart Keyboard Folio の背面カバー部の中へスライドして嵌め込まれ、そこに磁力で固定されるようになっている。こうすることで iPad Pro の背面がカバー上のピンに接触するようになる。これはきちんと動作するけれども、グッと押したり捻ったりすると iPad Pro が思ったより早く Smart Keyboard Folio から切り離されてしまうことがあるのに私は気付いた。正しい向きに揃えてキーボードにしっかりくっつけるために Apple が 100 個近くもの磁石を iPad Pro の背面に設置したことを考えれば、これは少々意外だった。

ソフトウェアがネックとなる

Apple の新型 iPad Pro のハードウェアは、一流品だ。けれどもこれを使って仕事をしようとしているユーザーにとって本当に問題となるのは、ソフトウェアだ。これは繰り返し言われることだ。iOS は確かにエレガントで使いやすいけれども、往々にして柔軟性に欠けるところがあるし、本気で仕事をする必要がある人たちの邪魔をすることが頻繁にある。

それがあなたにとってどの程度問題かは、あなたが何をする必要があるかに大きく依存するので、広く当てはまる結論を述べることは不可能だ。ひょっとするとあなたは一日中 iPad で仕事をしていても何のトラブルも感じないかもしれない。とりわけ、グラフィックス関係の職業で、Apple Pencil が役に立つ作業をしているタイプの人にはそれが該当するだろう。けれども他のタイプの仕事をする人にとっては、iPad では困難あるいは不可能という状況に陥るかもしれない。これとは対照的に、Mac ではその種の自己分析の必要がほとんど起こらない。Mac ならば、あなたがしたいことがどんなタイプの仕事であっても、きっとうまく使えるだろう。現時点では、iPad についてそのようなことは到底言えない。

例として私の場合を考えてみよう。私はレビュー用ユニットとして手にした 12.9 インチ iPad Pro を自分の主たるワークステーションとして使えるという期待にワクワクしていた。普段は Windows PC と Mac mini を仕事に使っているのだが。でも、そんな私の期待は数々の問題点によって妨げられた。

電子メール、ワードプロセッシング、スプレッドシート、その他の生産性タスクのために、私は Gmail や Google Docs など各種の Google ツールを使う必要がある。でも残念ながら、Mac や PC で使うウェブアプリ版のその種のツールは、iPad 上のブラウザで使うことを意図して作られてはおらず、実際あまりうまく働かない。Google が出している iPad 用のアプリならば問題点の数は減るが、こちらはウェブアプリに比べてパワーが劣るし使い勝手も悪い。

私の日々の職業は新聞社のウェブ編集者なので、他にもさまざまのウェブツールを使わなければならない。例えば私たちの会社の WordPress コンテンツ管理システムは、マウスを使ってインターフェイス要素をあちこち動かす作業を必要とする。iOS では、同じことを指先でしようとしてもかなり困難なのだが、この iPad Pro で Apple Pencil を使うとその点はうまく行った。

けれども、もう一つ別のウェブツールで私は障害に行き当たった。Associated Press (AP 通信) の AP Newsroom サイトでは、ニュース編集者が記事のファイルをそれに関係する写真とまとめて Zip アーカイブとしてダウンロードできるようになっているのだが、iPad Pro では何度試みてもそのダウンロードが失敗に終わるのだ。

もっと一般的には、私は Mac のスクリーン上で2つの Chrome ウィンドウを横に並べて、片方を執筆用に、もう片方を参照用に使うのが気に入っているのだが、残念なことに iPad 版の Chrome ではそれができない。Safari ならば2ウィンドウのモードがあるけれども、これは私の好みのブラウザではないし、そのためだけに使用を強要されるのは気に入らない。こういう状況はよくあることで、iPad 版の Chrome でさえ Apple の WebKit レンダリングエンジンを使わざるを得ないのだ。

iPad 上の画像エディタは、一般的に言って私が日々しているニュース写真の編集作業のためには十分以上の能力を備えている。でも、私は記者やカメラマンから届いた未加工の映像を処理するために Mac mini 上で Final Cut Pro を使っているのだが、iPad 用のビデオエディタでそれに相当する能力を持つものはまだ存在していない。iMovie は悪くはないが、私が必要とする各種の処理をやり遂げることはできない。

外付けのストレージボリュームを USB-C ポートを通して接続しても、その上のファイルに (写真ファイル以外は) iPad Pro からそのままアクセスすることができない点も、私をいつも苛立たせた。私は PDF やその他のファイルを入れたフラッシュドライブを手渡されることがよくあるからだ。

問題点は他にもあって一つ一つ挙げて行けば切りがないが、感じは分かって頂けるだろう。私はこの iPad を仕事に使いたかった。本当に心からそういう気持ちだった。でも、iOS はほとんどいつも、どうしてもそれを私にさせてくれない。私は別に特異な作業をしている訳ではない。ただテキストと、画像と、ビデオの作業をしたいだけなのに。

皮肉にも、いくつかの特異な状況の下ではこの iPad Pro を最も効果的に使いこなせるようだ。それは、開発者がその気になって特定の目的のためのアプリを作り上げ、iOS のマルチタッチのインターフェイスや、あるいはまた Apple Pencil も活用して、Mac でするよりもっと滑らかなワークフローを iPad Pro 上に実現している場合だ。もしもあなたが iPad Pro の購入を検討中なら、ぜひ Apple が出しているこのビデオを見ておくべきだ。きっと、iPad Pro があなたの目的に適しているか否かを考える役に立つだろう。

それにまた、iOS 12 に到来した Shortcuts が、iPad ユーザーがワークフローを自動化し合理化するための役に立ち、ずっと以前から Mac 上で可能であった自動化機能に匹敵する便利さを提供できるようになることも考えられる。この方面では Josh Ginter が The Sweet Setup の記事で興味深い事例を紹介している。

iPad Pro の結論

私はこの新型 iPad Pro を使いこなして行くにつれて、どんどん嬉しい驚きに満たされるようになった。これはまさに、私のSF的な空想にいつも登場するコンピューティングデバイスそのものだ。Star Trek: The Next Generation の Captain Picard は、きっとこれを一台自分の部屋に備えているに違いない。

でも、iOS 12 と、今日存在しているアプリとが、たちまち私を 24 世紀から現在へと連れ戻す。iPad Pro のハードウェアは従来のノートブックコンピュータの大多数と競争できるパワーを発揮するかもしれないが、オペレーティングシステムがしばしばそれを邪魔するし、Mac 上にあるものの能力には及ばないアプリが足枷となる。私の場合、iPad Pro を主たるワークステーションとして使おうと試みた結果として、そのさまざまの制約に痛いほど気付かされることとなった。もちろん皆さんの中にはそんな痛みを感じずに済む人たちもいるだろうけれども。

要約すればこの iPad Pro は、すごくパワーアップしたマシンだけれど、どこへも行けないことが多いということだ。

でも、その状況はいずれ変わるように思える。Apple は例えば Adobe のようなソフトウェア出版会社と協力して働いていて、それらの会社のアプリのプロフェッショナルレベルのバージョンを iPad Pro にももたらすことを目指している。その際には、iPad ならではの機能を十分に活用するようになるはずだ。

けれどもそれが実現されるまでにはまだ何年もかかるかもしれない。現時点では、購入を検討している人たちは自らが何を成し遂げたいのかを慎重に分析した上で、この iPad Pro がそのために適したマシンであるかどうかをよく考えるべきだ。とりわけ、価格のことを考えに入れればなおさらだ。

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata   

Microsoft Office for Mac 16.20

Microsoft Office for Mac 16.20

Microsoft が Office for Mac のバージョン 16.20 をリリースした。独立動作版リリースは公式に Office 2019 for Mac と呼ばれている。(講読版は引き続き Office 365 と呼ばれる。) Word、Excel、PowerPoint、Outlook が macOS 10.14 Mojave の Dark モードに対応した。また、Word ではフォントを埋め込むことによりテキストがどのコンピュータでも同じ見栄えになるようにすることが可能となり、PowerPoint は Mojave の Continuity Camera 機能への対応を追加して、iOS デバイスで撮影した写真をスライドに取り込むことが可能となった。

Outlook は他の Outlook ユーザーとの間でカレンダーを共有する機能に対応し、ミーティング用の転送をオフにするオプションを追加し、カレンダーに複数個のタイムゾーンを追加できるようにし、また Microsoft Teams を通じてオンラインミーティングを計画し加入できるようにしている。(一回限りの購入ならば $149.99、年払い講読オプションは $99.99/$69.99、Microsoft AutoUpdate 経由で無料アップデート、リリースノート、macOS 10.10+)

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BBEdit 12.5.2

BBEdit 12.5.2

Bare Bones Software が BBEdit 12.5.2 をリリースした。祝祭の季節のために修正をたっぷり盛り込んだ、メンテナンス・リリースだ。この古参のテキストエディタへの今回のアップデートは、OS のメモリが逼迫している状況下で git-ignore チェックが前触れなく止まってしまう問題を解消し、macOS 10.14 Mojave の下で FTP/SFTP ブラウザウィンドウから複数個の項目をドラッグできなかったバグを修正し、行番号バーの描画の不具合を直し、マルチファイル検索結果ウィンドウを更新すると階層構造が失われてしまったバグを修正した。(新規購入 $49.99、無料アップデート、13.5 MB、リリースノート、macOS 10.12.6+)

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DEVONthink/DEVONnote 2.11

DEVONthink/DEVONnote 2.11

DEVONtechnologies が DEVONthink の三つの版 (Personal、Pro、Pro Office) と DEVONnote をバージョン 2.11 にアップデートして、同期の push 通知を追加した。Mac またはモバイルの上でデータベースに変更を加える度に、このアプリはあなたが同期をしている他のすべてのデバイスに通知を送るようになり、変更がダウンロードされるまでにかかる時間を短縮している。この新しい通知システムは iOS デバイス上の DEVONthink To Go 2.7 も目覚めさせてバックグラウンドで新しいデータを取り込ませる。

三つの版の DEVONthink はいずれも、暗号化鍵を変更した後に同期の蓄えを空にする警告を追加し、フォーマット付けられたノートやウェブアーカイブでカスタムアイコンが保持されるようにし、macOS 10.14 Mojave の下で Spotlight 取り込みを使う際の信頼性を改善した。Pro 版と Pro Office 版では JSON RSS フィードへの対応を追加した。

また、DEVONnote と三つの版の DEVONthink はいずれも、ユーザーインターフェイスに見栄え上の改良を施し、読み込んだファイルの URL フィールドに変更を加えてそのファイルのメタデータから読み込まれたダウンロード可能 URL のみを使うようにし、View > as Split View が不必要なコンソールメッセージを出していたバグを修正している。(いずれもアップデートは無料。DEVONthink Pro Office 新規購入 $149.95、リリースノート。DEVONthink Professional 新規購入 $79.95、リリースノート。DEVONthink Personal 新規購入 $49.95、リリースノート。DEVONnote 新規購入 $24.95、リリースノートTidBITS 会員にはそれぞれ 25 パーセント割引。macOS 10.10+)

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ChronoSync 4.9.1 and ChronoAgent 1.9.1

ChronoSync 4.9.1 と ChronoAgent 1.9.1

Econ Technologies が ChronoSync 4.9.1 をリリースした。この同期およびバックアップ用アプリのメンテナンス・リリースで、ChronoAgent ヘルパーユーティリティとの接続を改善し、InterConneX 共有スペースとの動作を改良し、"Don't create empty folders" 設定に関する Chronosync のアシスタントの中のバグを修正している。この ChronoSync 4.9.1 もアップデートされた ChronoAgent 1.9.1 も、ファイルに付けられた Finder タグが Finder Tags ルールに理解できるフォーマットでデコードされなかった問題を解消し、また HFS ファイルシステムからマウントされた APFS フォーマットのディスク上でフォルダ数え上げエラーが起こったバグを修正している。(ChronoSync は新規購入 $49.99、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、66.7 MB、リリースノート、macOS 10.11+。ChronoAgent は新規購入 $14.99、25.4 MB、リリースノート、macOS 10.10+)

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Agenda 4.0

Agenda 4.0

Momenta が、世に言う魔法の数字 3 を飛び越えて、ノート取りおよびタスク管理用アプリ Agenda (2018 年 5 月 8 日の記事“Agenda、ノート取りとタスク管理に新しい取り組み”参照) のバージョン 4.0 をリリースした。Agenda 4.0 では (ユーザーからの要望が最も多かった) ノートにファイルや画像を添付する機能に対応してドラッグ&ドロップへの対応もそれに含め、プレゼンテーションのスタイル (インライン、サムネイル、タイトル付きサムネイル、および Premium ステータスを購入すればフルサイズも) を選択できるようにし、また Mojave の Continuity Camera 機能に対応して iOS デバイスで撮影した画像を挿入できるようにした。

今回のリリースではまた、編集またはアクション選択が可能なタグまたは人物をクリックするとポップオーバーを表示するようにし、リンクを追加したり削除したりする際の問題を解消し、Add New Note After Selected Note という新しいメニューコマンドを追加し、新規ノートのタイトルが消えてしまうことがあったバグを修正し、委託カレンダーが正しく動作するようにした。(無料、プレミアム機能の新規アプリ内購入は $24.99、無料アップデート、31.1 MB、macOS 10.12+)

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Carbon Copy Cloner 5.1.7

Carbon Copy Cloner 5.1.7

Bombich Software が Carbon Copy Cloner 5.1.7 をリリースして、セキュリティチップ T2 を備えた Mac (2018 年モデルの Mac mini、MacBook Air、MacBook Pro) においてブート不可能な結果が生じる可能性のある構成についてあらかじめ警告を出すようにした。このドライブクローン作成およびバックアップ用ユーティリティはまた、macOS 10.14 Mojave の動作する遠隔の Mac が CCC のファイルコピーツールのコード署名を認証できなくなった問題に対処し、VeraCrypt ボリュームとの互換性を改善し、暗号化されたボリュームと FileVault が有効となっているボリュームとを区別できるようになり、バックアップのパフォーマンスに悪影響を与えていた Apple のキャッシュファイルを除外するようにしている。(新規購入 $39.99、無料アップデート、16.4 MB、リリースノート、macOS 10.10+)

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TextExpander 6.2.8

TextExpander 6.2.8

Smile が TextExpander 6.2.8 をリリースして、macOS 10.14 Mojave の Dark モードに対応させた。アップデートされたこのテキスト展開ユーティリティはまた、Google Chrome 69 やそれ以降の omnibar におけるテキスト展開を修正し、pasteboard の遅延処理を改良し、アウトラインカテゴリーの描画をシンプルなものにし、スニペットのリストで水平方向の伸縮をなくし、コンピュータが目覚める際のセキュア入力通知を削除した。(購読料金年額 $40、6.5 MB、リリースノート、macOS 10.10+)

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Lightroom Classic CC 8.1

Lightroom Classic CC 8.1

Adobe が Lightroom Classic CC 8.1 をリリースして、このデスクトップ中心の写真カタログ・編集アプリケーションにいくつかの新機能と拡張を加えた。今回のアップデートでは Develop パネルの並び順をカスタマイズできるようにし、自動読み込みの設定に Add to Collection オプションを追加し、Book レイアウトに Grid Snap ガイドを追加している。また、このリリースでは Develop モジュールの Loupe 表示に部分的に互換なプリセットも表示するようにし、同期の信頼性と安定性を高め、オフラインのフォルダにカラーラベルへの対応を追加し、読み込み・プレビュー生成・DNG 変換、書き出しのバッチ処理をしている最中のパフォーマンスを上げた。

Lightroom Classic CC はこれ単独で月額 $9.99 (1 TB のクラウドストレージ付き) の講読でも、また Creative Cloud Photography プラン (これは Lightroom CC と Adobe Photoshop CC も含む) の一部としても入手できる。後者のプランの価格はストレージ容量 20 GB で月額 $9.99、1 TB で月額 $19.99 だ。(プラン価格の比較表もある。) (月額 $9.99/19.99 の Creative Cloud 購読、無料アップデート、リリースノート、macOS 10.12+)

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ExtraBITS

訳: Mark Nagata   

Bare Bones Software Marks BBEdit’s 25th Anniversary

Bare Bones Software が BBEdit の 25 周年を祝う

1993 年に、Bare Bones SoftwareBBEdit の販売を始めた。それは、彼らがこの製品に、自信を持って "It doesn't suck" (ムカついたりしない) と言えたからだ。その当時はアプリのリリースと同等に T-シャツのリリースも重要という時代だったので、"It doesn't suck" と堂々と書かれた T-シャツは多くの Mac 開発者たちにとって大のお気に入りの服装となったものだった。それから 25 年が経って、かつて Apple で主任エヴァンジェリストとして働いていた Guy Kawasaki は BBEdit の長年にわたる活躍を「嬉しいことだけど決して驚くには当たらない」と評したが、私たちも彼と同意見だ。このアプリは今より単純だったその昔の香りも保ちつつ、今日のプログラマー、ウェブのコード書き、またあらゆるライターたちの要請にもきちんと応えている。BBEdit の 25 周年を記念して Bare Bones はオンラインストアを開店し 、再制作したあのクラシックな "It doesn't suck" T-シャツや、限定版の判じ絵 T-シャツ、その他さまざまの衣類 (フリース、パーカ、スウェットもある) を販売して、BBEdit ファンたちが大好きなテキストエディタを衣服で誇示できるようにしてくれた。もっと他の Apple 関係の T-シャツで素敵なものをお持ちなら、どうぞコメントに写真を投稿して頂きたい!

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Apple Music Arrives on Alexa

Apple Music が Alexa に登場

Apple Music を講読しているけれどそのためだけに Apple の HomePod スマートスピーカーを買う気にはなれない、なぜなら Alexa で動くデバイスを既に持っているから (あるいはそちらの方が好みだから) という人たちに、良い知らせがある。Apple と Amazon が、最近好転しつつある両社の関係を生かして、Apple Music が Amazon の Alexa 音声アシスタントでも使えるようにしたのだ。これは Amazon の Echo スマートスピーカーでも、その他のデバイスでも使える。使うためには、有料の Apple Music アカウントを持っている必要があり、また Apple Music スキルをインストールしなければならない。Alexa iOS アプリでそれをする方法を Apple のサポート記事が説明している。いったんセットアップが終われば、例えば "Alexa, play Bruce Springsteen on Apple Music" と語りかけるだけで Alexa デバイス上で Apple Music の楽曲が演奏される。Alexa に命じて楽曲、アーティスト、アルバム、プレイリスト、あるいはジャンルを指定することもできる。ただし残念ながら、これは米国のみでしか利用できない。

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Apple Discontinues Apple Music Connect

Apple、Apple Music Connect を廃止

Apple がアーティストとファンのソーシャルネットワークを構築しようとする二度目の試みとして Apple Music Connect を開始した時 (2015 年 6 月 8 日の記事“Apple が Apple Music サービスを発表”参照)、Apple のソーシャルメディアへの努力を追い続けていた私たちはきっとこれも最初からつまずくだろう、Apple の以前の試みであった Ping と同じ運命を辿るだろう (2010 年 9 月 27 日の記事“iTunes 10.0.1、Ping を統合”参照) と思った。そして今、Connect の終わる日がやって来た。Apple は既に Connect を廃止している。アーティストはもはや投稿できず、既存の投稿もなくなった。Connect では、ファンたちがお気に入りのアーティストをフォローして、アーティストがその人たち専用にサウンドクリップや写真、ビデオなどを投稿することができたが、Facebook、Instagram、SoundCloud、Twitter、その他数限りない他のソーシャルネットワークが存在している今日、Connect はもはやほとんど意味を成さず、ほとんど何の注目を得ることもできなかった。

Apple's note about Connect's death.

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