TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#823/01-Apr-06

Apple は Intel ベースの iMac、MacBook Pro、それに Mac mini を予想より何ヵ月も早く出荷し始めたが、ハイエンドの Xserve までもが同じことになったのには驚いた。しかも、プロセッサは Intel のライバルである AMD 製だ。Geoff Duncan がその仕様を説明し分析する。また、この特別号では、Jeff Carlson が FedEx と UPS による新しいマーケティング・キャンペーンに触れ、Glenn Fleishman は Mac mini 用のスーパーアクセサリー miniPLUS についてと、Intel チップ上で Classic を走らせる方法について報告する。Adam はあまり世に知られていない AJRP についてその詳細を掘り起こし、Joe Kissell は“Take Control of Your Daily Life”について発表する。最後に、この号から新しい画期的な配付オプションがスタートしたことを発表するとともに、TidBITS ビデオポッドキャストのお目見えと、Joe が TidBITS を卒業するという衝撃のニュースについてもお知らせする。

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MailBITS/01-Apr-06

TidBITS 事前配付サービス -- 皆さんはどうやって今日 TidBITS を受け取れたのか、ご存じだろうか? 私たちは、読者の皆さんが Macintosh 関連情報を少しでも早く知りたいと思っていらっしゃることを知っている。そこで今回、私たちは最新情報を皆さんにお届けする画期的な方法の開発に成功した。今号以降は、皆さんは TidBITS の本編を、私たちが文章を書き上げて全体の編集が出来上がるよりも丸一日 _前_ に受け取ることができるようになる。完成に先立って完成後の文章を皆さんの手許にお届けできる、この画期的なテクノロジーの全貌をここでご説明できないのは残念だが、これは Web Crossing の上に FileMaker Pro を組み合わせ、ほんの少し HyperCard も取り入れつつ、すべてを私たちの古い Mac SE/30(アナログボードが焼き切れてしまっているが、System 7 のお陰でセキュリティには何の問題もない!)を Timbuktu Pro でコントロールして走らせることによって実現されている。ただし、これ以上の詳細に踏み込むためには、私たちはまずいくつかの特許に関する訴訟の問題を解決しておかねばならない。関連する特許は Research in Motion 社と、Microsoft 社のもの、それに映画“バック・トゥ・ザ・フューチャー”を書いた人々の了解も取りつける必要がある。いずれにしても、ご安心を。皆さんのお手許にはきっと間違いなくいつもと変わらぬ高品質のコンテンツが、私たちがまだ書き上げないうちにお届けできることになるはずだ。[ACE](永田)

Joe Kissell、TidBITS を離任 --常任編集者 Joe Kissell は、記録的に短い在職期間をもって、TidBITS を離任することを明らかにした。伝えられるところでは、より多くの時間を家族と過ごすためだという。本日の記者会見で、Kissell が、涙にくれる妻 Morgen Jahnke を伴い、熱烈なファンに対し語ったことといえば、先週 Apple の経営幹部 Avie Tevanian と Jon Rubinsteinが辞任したことは、今回のタイミングと全く関係がないということだけだった。Kissell は、彼が執筆していると噂されている "Take Control of Apple Computer, Inc." 電子ブックがリークされたことについて尋ねられると、そのような計画があることを激しく否定し、「私は将来の製品やサービスについてコメントを控えることにしている」と付け加えた。Kissell は、今晩、Chuck Joiner の MacVoices ポッドキャスト特別版に出演するので、その場でこの突然の辞任について詳しく語ってくれるかもしれないが、Take Control 電子ブックに関する仕事は継続すると明言している。[ACE](羽鳥)

<http://www.sfgate.com/cgi-bin/blogs/sfgate/detail?blogid=19&entry_id=3821>
<http://www.apple.com/pr/library/2005/oct/14cook.html>
<http://www.macvoices.com/>

TidBITS Video Podcast 発表 --私たちは完全デジタル出版を採用しているが、その効用の1つとして、紙の出版では手の届かないような新技術を活用することができる。TidBITS は、結局のところデジタルビットの集積にほかならず、それゆえ様々なメディアに載せることができる。私たちはついに、幾多の試行錯誤の末、新しい TidBITS Video Podcast を発表できることとなった。

ビデオポッドキャストを発刊するというのは、決して簡単な仕事ではない。プロデューサは様々な問題に直面することになる。ライブビデオ映像とアニメーションや写真のスライドショーとの割合はどの程度にすればよいか、どのようなセットを背景として使えばよいか、ライトを追加する必要はないだろうか。音声も問題だ。高品質な録音のためにはどんな機材を使えばよいか、BGM を使うべきか、使うとしたら、どうやって調達するか(そして、適切なライセンスを得ているか)。そしてなにより、どうすればポッドキャストで TidBITS の精神を体現することができるだろうか。幸いなことに、TidBITS のスタッフには才能ある人たちが集まっているので、私のビデオ編集についての知識や、Geoff のプロ音楽家としての経験、そしてほかの全てのスタッフの熟練の編集技術を活用することで、きっと楽しんでいただける、情報満載のポッドキャストを作り上げることができた。TidBITS Video Podcast はもちろん無料で、下記 URL からご覧いただける。iTunes や Safari などの RSS 対応アプリケーションからの購読もしていただけるよう、準備中だ。[JLC](羽鳥)

<http://www.tidbits.com/resources/823/TbVideoPodcast2.mov>


Apple、Xserve を PowerPC から AMD に転換

文: Geoff Duncan <geoff@tidbits.com>
訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

2005 年 6 月、Apple が Macintosh コンピュータを Intel ベースのプロセッサに移行するという発表に、Apple コミュニティ全体が仰天した。PowerPC から離れるということは、同社と同社の主力製品たるコンピュータにとって、歴史的な大転換だと言われたものだ。しかし、Macintosh コミュニティのごく一部は、全く別の理由で仰天していた。「Intel プロセッサだって? どうしてAMD じゃないのか?!」そう考えた彼らは、本日 Mountain View で行われた記者会見で、その答えを見出すこととなった。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=08125> (日本語)Apple が Intel プロセッサに移行

Apple Computer は、同社のハイエンド製品であるラックマウントサーバ・データ処理コンピュータ Xserve を、大幅に改定すると発表した。新しいXserve は、従来のユニットと同様、とてつもないメモリとストレージの能力や、複数の高速ネットワークインタフェース、電光石火の内部アーキテクチャを備えている。これは、ハイエンドの科学技術計算や映像レンダリング、あるいは大規模なインターネットサーバアプリケーションのために作られたマシンだ。そして、Apple が最近発売した iMac、Mac mini、MacBook Pro 製品と同様、新しい Xserve には PowerPC プロセッサが搭載されなくなった。ただし、最近の製品が Intel の Core Solo や Core Duo プロセッサを中心に作られているのとは異なり、新しい Xserve は、最大 2.8 GHz で動くデュアルコア AMD Opteron プロセッサを最大2基搭載する。Apple によれば、この製品は今月の終わりに、驚くほどの低価格で発売される。

<http://www.apple.com/xserve/>(日本語)アップル - Xserve G5
<http://www.amd.com/us-en/Processors/ProductInformation/0,,30_118_8825,00.html>

スペックをチェック -- 新しい Xserve AMD の技術仕様は、陶酔するような読み物になるし、ユニットには3種類の基本的な構成があって、さらに様々なカスタマイズが可能だから、少しのあいだ辛抱して、私に耳を傾けていただきたい。

Xserve AMD ユニットの核となるのは、1基ないし2基のデュアルコア AMD Opteron プロセッサだ。構成とクロック速度により、Opteron CPU の モデル275、モデル 280、モデル 285 SE のいずれかが搭載され、1つのコアごとに1 MB のプロセッサキャッシュが備わる。最低でも 1GB の 400 MHz(128bit+ECC)メモリが搭載され、最大 16 GB のオンボード RAM に対応する。ストレージのオプションとしては、4基の独立したシリアル ATA ドライブベイに、着脱可能な Apple Drive Module を装着すれば、最大 2 テラバイトのストレージを実現する。このシステムにはスロットローディングのDVD-ROM/CD-RW ドライブも搭載され、オプションで DVD-R SuperDrive も用意されている。拡張機能については、ロープロファイル 64 ビット PCI-X 拡張スロット2基(100 MHz と 133 MHz が1基ずつ)、FireWire 800 ポート2基、FireWire 400 ポート1基、USB 2.0 ポート2基、DB-9(RS-232)シリアルポート1基を備えている。従来の Xserve モデルと同様、Xserve AMD には2基の独立したギガビット Ethernet インタフェースが搭載され、PCI-X 拡張カードを使って、さらにギガビット Ethernet を追加することもできる。

Xserve AMD では、オプションの PCI-X Fibre Channel カードを使って、Xserve RAID ドライブに接続することができ、最大 7 テラバイトの追加ストレージに 2 GB/秒でアクセスできる。PCI-X 拡張カード(別売り)を追加すれば、ハードウェア RAID アレイや SCSI 機器、VGA モニタに接続できる。Xserve AMD は、ラックマウントサーバユニットなので、ビデオ出力は内蔵されていない。しかし、Apple の Xserve 製品では初めて、Xserve AMD にはホットスワップ可能なデュアル冗長電源が搭載された。

<http://www.apple.com/xserve/raid/>(日本語)アップル - Xserve RAID

Xserve AMD には、3種類の基本的な構成が用意される。シングルプロセッサXserve AMD は、デュアルコア 2.2 GHz Opteron プロセッサ1基、1 GB のRAM、400 GB Apple Drive Module 1基の構成となる。ハイスピード Xserve AMD は 2.8 GHz デュアルコア Opteron プロセッサが2基、そしてわずかに機能が削られたクラスタノード Xserve AMD は、2.8 GHz デュアルコア AMD プロセッサ2基は同じだが、512 MB の RAM と 240 GB のストレージとなり、10クライアント版の Mac OS X Tiger Server が付属する。ほかの Xserve AMDユニットには Unlimited クライアント版の Tiger Server が付属する。

ここからが驚くべきところだ。従来の PowerPC ベース G5 システムの価格は3,000 ドルからであったが、Xserve AMD の基本構成はたったの 1,800 ドルから、デュアルコア Opteron プロセッサ2基の構成で 2,600 ドルからとなる。もちろん、追加のメモリやストレージの容量、ホスティングなどの費用を方程式に加えれば、Xserve AMD はやはり高価なシステムとなるが、ラックマウントサーバの世界で、Apple の競争力が突然跳ね上がることは確かだ。

消え去るのはまだ早い -- Apple は、iMac と Mac mini を移行したときとは異なり、PowerPC ベースの Xserve をすぐに捨て去ることは計画していない。しばらくのあいだ、Apple は両方の Xserve を販売し続けることになる。Apple の広報担当 Said Al Atztru が語ったところでは、既存の Xserve ユーザの多くが Apple の Xserve を使って重要なアプリケーションやスーパーコンピューティングクラスタを構築しており、同社としては彼らを困難な状況に置き去りにするつもりはないという。「私たちは、そのようなアプリケーションを新しいアーキテクチャに変換するにはかなりの時間とリソースが必要であることを理解しており、これまでずっと Xserve の顧客に尽くしてきたように、今回の移行ができるだけスムーズになるよう、ユーザの支援を惜しまないつもりだ。」

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=07542>(日本語)スーパーコンピュータの速度でお手軽にノスタルジーを

同社のハイエンドサーバに Intel ベースのチップではなく AMD プロセッサを採用したことについて尋ねられると、Al Atztru は、驚くほど饒舌にこう語った。「Apple は Macintosh 製品を Intel ベースのチップに移行すると発表し、実際にそれを実行している。コンシューマ向けまたはプロフェッショナル向け Macintosh システムに AMD プロセッサを搭載する予定はない。とは言え、衒学的に聞こえるかもしれないが、Xserve は特別な目的のための特別な製品だ。箱のどこにも "Macintosh" と書かれていない。祖母がインターネットを使えるようにという目的で Xserve を購入する人などいない。あるいは、少なくとも私たちは、そのような人がいないことを願っている。この製品はそのような目的のために存在しているのではない。したがって、私たちが AMDプロセッサを搭載した Xserve を製造し、同時に Macintosh を Intel プロセッサに移行していると言ったとしても、何の矛盾もないと思う。」

Al Atztru は続けた。「技術的な観点から言えば、AMD はサーバ市場において魅力的なプロセッサを製造している。Intel の Core Solo および Core Duoプロセッサは、優れたワット当たりの性能を誇っているから、将来 Intelベースの Xserve システムが登場する可能性は排除しないが、Intel プロセッサ製品のそのような利点も、サーバシステム用については、まだ十分に活かされていない。AMD のプロセッサを採用することで、Intel の Xeon プロセッサと比べ、性能がおよそ 50 パーセント向上する一方、消費電力はおよそ3分の1となる。」

さて、実際の製品を待つことにしよう。Apple Xserve AMD は 4 月末に発売の予定だ。予約注文の受付は今週後半に始まる。


FrankenClassic は生きている!

文: Glenn Fleishman <glenn@tidbits.com>
訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@bellsouth.net>

過去を忘れた者はエミュレートするしかない。昨年の Apple の PowerPC ベースの Macintosh はもう売らないという発表は、Mac OS 9 の細々と続いてきた面影である Classic 対応環境の終焉をも意味していた。

この Classic 環境は、あるパラメータの中でだけプログラムが動くように規制された小さな牢獄で Mac OS 9 を走らせるために PowerPC プロセッサを必要としていた。我々は、デュアルブートの Macintosh - Mac OS 9 か Mac OS X のどちらかをコールドスタートから起動できる - を必要としている人、更新されたことないレガシーのプログラムを未だ持っていてしかも Classic モードで問題なく動いていると言う人が沢山いるのを知っている。

Apple が PowerPC エミュレーションの下で Classic を動作できるように出来なかったことに多くの人が腹を立てた。Mac OS X for Intel には、ユニバーサル(PowerPC/Intel)バイナリや Intel-only バイナリにリコンパイルされていない Mac OS X プログラムのために、on-the-fly Rosetta エミュレーションが備わっているというのに。

こんな時に一つの会社がこの問題の解決のために立ち上がると決意したことは大いに意義のあることである。Dublin, Ireland に拠点を置く Stoic Form というちょっと変わった名前の会社が、TidBITS に最近語ったところによると、同社は Stoic Form Classic を開発した。これは Windows XP Service Pack 2 (SP2) 下で動く独自に開発された Classic バージョンである。彼らの推奨するのは Intel Core Duo プロセッサを持った PC である - Classic アプリケーションを使い続けたいという Mac ユーザーは Windows にスイッチせざるを得ないというのはまことにもって皮相と言わざるを得ない。Stoic の言によると、その仮想化コードは Lismore Systems からライセンスを受けたという。同社のエミュレーションソフトウェアは Microsoft Virtual PC for Mac OS X に似ている。

<http://www.lismoresystems.com/en/>

Stoic Form は更に、Rosetta における Apple の on-the-fly コードの翻訳を手助けする Transitive テクノロジーもライセンスできたと話している。Rosetta は、ユニバーサルバイナリ (PowerPC と Intel のコードを一つのパッケージにしたもの) に書き換えられていない多くのソフトウェアのために PowerPC コードを Intel インストラクションに変換する。同社によれば、必要なことは Mac OS 9 を持っていてそしてそれをインストールしなければいけない;同社は、Apple の知的所有権の侵害になりそうなことには一切拘わりたくない。現状では Windows XP SP2 が必須だが、Stoic は Intel ベースの Mac の Mac OS X 上でも動くバージョンに取りかかっていると言っているが、そのリリース時期については頑としてコメントを拒絶している。

Windows XP SP2 上で Classic を走らせるには、Stoic Form の Web サイトから 25 MB のファイル - 今は非公開のベータだが、もうすぐ公開となる - をダウンロードしてインストールする。Virtual PC やその他のエミュレータに馴染んでいる人にとっては、感じは同じ様なものであろう。Stoic Form Classic を起動すると点滅するディスクアイコンが現れる。 Mac OS 9 の installation CD を挿入した後は、通常の通りと思っていよい。事実、Virtual PC for Mac and Windows が示しているように、全く標準のハードウェアであると装っているソフトウェアエミュレータを持つということは、構成のまちまちな PC へのインストールよりも、インスタレーションはずっと簡単である。

Classic モードは、元々最速の G5 上でも速さが感じられなかった。Stoic Form のエミュレータは違う:中速の G4 プロセッサ並みには Mac OS 9 を走らせられる。実際のところ、大抵の Mac OS 9 プログラムは、今だ Mac OS 9 をネイティブにブートできるどの Mac 上よりも速く走るであろう。

Stoic Form は自社について多くの情報を明らかにしようとしていないし、2006年の第二四半期に出荷が始まる時には Stoic Form Classic をたったの $40 で売り出そうとしている理由についても多くを語ろうとしていない。TidBITS の想像するところでは、Stoic Form は Microsoft のアナグラム なのではないかと思える節がある。この会社の本拠地は Dublin にあり、ここには Microsoft のヨーロッパ向けの大きなオペレーションがある。彼らがライセンスを受けたもう一つの会社である Lismore も元々は Dublin を拠点としていた。彼らは今は Moscow に移っているが - ということは一つの会社から他の会社へと移った従業員がいてもおかしくない。

Stoic Form Classic は Microsoft の独自の Switcher キャンペーンなのだろうか?Mac OS 9 を走らせたり Classic を必要としている何百万人もの Mac 所有者を惹きつけ、かっこいい新しい Intel ベースの Windows XP 機を - そして後からは Vistaを買わせる試み?どう見たって、Microsoft にとってはこれは些細なことにしか見えないので、ここは単純に Classic が Windows のお陰で寿命が更に延びたという皮肉で満足するべきなのであろう。


FedEx と UPS、配送車にジングル

文: Jeff Carlson <jeffc@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

懐かしく耳に残った夏の日の思い出、これを狙ったマーケティングに出たのだろう。FedEx は現在 Apple 製品の翌日配達を担う配送業者の最大手だが、今回記者会見で、本日以降 FedEx 社の配送用自動車のすべてで、配送作業中ははっきりそれとわかる音楽ジングルを鳴らすことにしたと発表した。同社マーケティング担当副社長の G. Hume Mann 氏は、「よく目立つ紫・オレンジ・白の三色スキームは、わが社のイメージとして定着し多大な成功を収めました。そこで私たちは、新たにわが社らしい音楽を採用することで、私たちのブランドに新次元を切り開こうと思ったのです。」と語った。

<http://www.fedex.com/us/traveltone/>

子供のころ、アイスクリーム・トラックが近所に来たのを聞きつけて心沸き立った思い出を誰もが持っているように、この FedEx トラックの音楽は顧客たちが小包が近くまで届いているのを知ることができるために役立つ、と言いたいのだろう。ヒューム・マン氏はさらに続けて、この発案が単にブランド力を高めるためだけのものでなく、実用的な効果も期待できると述べた。「私たちのトラック配車センターでは、それぞれのタイムゾーンごとに午前 10 時から午後 3 時までのピーク時間帯には信じられないほどの量の問い合わせが殺到し、荷物の受取人の方々にも整理番号をコンピュータで入力して頂くという大きな手間の負担をおかけしています。もしもトラックが近所に来たことが音楽によって受取人の皆様の耳に情報として届くようになれば、皆様の方から外に出て来て頂いて、トラックに合図して頂くこともできるでしょう。このアイデアの採用によって、私たちは情報問い合わせの帯域幅がおよそ 6% 節約できると予想しています。また、運転手たちが届け先を見つけるために階段を昇り降りして探し回ることが減るためにおよそ 8% の時間節約が実現するとも予想しています。それに、率直に申し上げて、ハイテク一辺倒の顧客の皆様にとりましても、時にはちょっと外に出て日光を浴びるのも健康に良いのではないでしょうか。」というのがヒューマン氏の弁だ。

この音楽は四声のハーモニーから成っていて、伝説的な作曲家 John Williams(Star Wars や Harry Potter などの映画や、あの有名な NBC Nightly News のテーマ曲なども手掛けている人物)との提携によって制作された。誰の耳にもユニークに聞こえ、かつ何度繰り返して聞いても郷愁を誘われるように作られている。この曲を早く多くの人に親しんでもらえるようにと、FedEx ではその MP3 バージョンを作って同社のウェブサイトでダウンロードできるようにしている。また、Apple とも合意を取り決めてこの曲が iTunes Music Store で無料で入手できるようにしている。

<http://imdb.com/name/nm0002354/>
<http://phobos.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewAlbum?playlistId=74088&s=143441&i=74048>

FedEx 社からこの発表があってから間もなく、United Parcel Service (UPS) も記者会見を開いて、UPS でも数カ月前から同様のプログラムを試験的に実施しており、今後数週間以内には全国的に実施の運びとなると述べた。UPS の方のジングルがどんなものになるかはまだ固い秘密のベールの中だが、この水曜日には公式に曲が発表されるという。ただ、FedEx のものに比べて UPS のジングルの方がもっと「茶色っぽい」というのが、もっぱらの噂だ。

<http://www.ups.com/>


Mac mini 用のレトロファッション

文: Glenn Fleishman <glenn@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

デビューの時以来、Mac mini はその洒落たシンプルさとコンパクトなサイズのお陰で、史上最もスタイリッシュな Macintosh だという定評を得てきた。いわば、Cube の完成版だ。しかし、完成版といえどもさらに改良の余地はあるものだ。LaCie や Other World Computing をはじめいくつもの会社が Mac mini と同じ図体を持つハードドライブ・USB/FireWire ハブのコンボを出しているが、The Plasticsmith 社からはこの製品とマッチするスタンドやスカートが出ている。

<http://www.lacie.com/products/product.htm?pid=10476>
<http://eshop.macsales.com/shop/ministack/>
<http://www.plasticsmith.com/miniskirt>

けれども、最新の Mac mini 用アドオンは「頭なし」コンピュータという概念を取り上げて、それを、何と、コンピュータの頭の上に付けてしまったのだ。MacStalgia から出ている miniPLUS は、Mac mini(PowerPC および Intel Core 双方のモデルに対応)の上部にはめ込むケースの一部が小さなカラー液晶画面となって、それをディスプレイとして使おうというものだ。追加の送風ファンを必要としないために、パッシブな熱環流を使っている。

<http://www.macstalgia.com/>

この液晶画面は対角線サイズでたった 9 インチ、これは驚くにはあたらない。この miniPLUS は外からの見た目には Macintosh Plus とよく似ており、それが Mac mini の磨き上げアルミニウム風に現代化されている。また 1.44 MB フロッピーディスクに対応しているのもある意味 Macintosh Plus と通じるところがある。この 9 インチの液晶画面は非常に高い解像度を誇っており、最大 1280 * 960 ピクセルで美しい 24 ビットカラーの画像を提供できる。

その通り、フロッピーだ。聞き間違いではない。フロッピードライブ機構そのものは驚くほど安価なので、このドライブは単純にノスタルジアを一味加えようというだけの意図で装備されているのだ。最も古いフォーマットのうちいくつかにも対応しているので、これまでどこでも読み取り不可能となっていたフロッピーディスクからデータが読み取れるようになったことも嬉しい。ドライブの横にあるボタンを押せばドライブが脇に退き、そこに 8-in-1 のフラッシュメモリリーダーが現われるので、Compact Flash、SD、その他のフォーマットも読める。

この MacStalgia 社の人たちは、細かいところの仕上げにも気を配っている。例えば、初代の Mac 流の大きな電源スイッチが背面の便利なところに付いており、SCSI、LocalTalk、シリアル、それに ADB のコネクタまで完備している。ここでも、そういうパーツそのものは安価なので、追加することで重厚な印象を与えるのも簡単なことだった。SCSI、シリアル、ADB は Mac OS X 10.2.9 以降では内蔵のドライバによって USB 2.0 に変換され、LocalTalk は Ethernet または Wi-Fi にブリッジされる。

MacStalgia は、深く Apple に根ざすものを持っている。創設者は既に引退した Mac ハードウェアの天才、Burrell Smith だ。彼は、従来物理的に不可能とされてきたものをポンと創り出せるという点にかけては Apple 社内で賢さにおいて Woz に次いで二位、として知られてきた人物だ。Smith は、共同創設者としてもう二十年も前に設立したモニタおよびストレージ機器のメーカー、Radius 社を去って以後、もはや公職には就いていない。

<http://www.folklore.org/ProjectView.py?name=Macintosh&characters=Burrell%20Smith>

MacStalgia 社の次のプランは、この種の懐古・近未来コンボ製品がどの程度市場に受け入れられるものなのかを見極めた上で、今度は Front Row の真似をするソフトウェアを開発することだ。一部のユーザーにとっては、このような組み合わせこそが Mac mini を単なるスイッチャー用製品からメディアキャビネットの中心となるものへと押し上げてくれるのだ。


あなたの毎日の生活を Take Control

文: Joe Kissell <jk@alt.cc>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

二年半の間に九冊目となる Take Control 電子ブックを出したばかりの私は、ついに私の生産性のパワーが落ち始めていると告白しなければならないことになった。人によってはこれで十分生産的だと思われるかもしれないが、私自身はもっと高い基準を掲げている。例えば私の Interesting Thing of the Day サイトでは、2004-2005 のシーズン中私は毎日欠かさず 1500 語にも達する記事を書き続けてきた。(もちろん、それと同時に電子ブックを書いたり雑誌の記事を書いたりもしながらだ。)また、私は 11 月いっぱいかけて小説を丸々一つ書き上げている。だから、あれだけ間隔をあけて電子ブックを出すというのは、きっと非能率性が頭をもたげている証拠だと思う。昼食を食べるとか、コンピュータの前からコーヒーマシンの前へと歩くとかいったような、無駄な 活動に時間を浪費しているのが悪いことなのは明らかだろう。

<http://itotd.com/>
<http://www.nanowrimo.org/>

そのことに気が付けば、すぐに解決法が浮かぶ。私の日々の活動の一つ一つの要素をどうやってコントロールするか、私はきちんと分析すべきなのだ。そして、その分析の結果を、新シリーズのミニ電子ブックという形にまとめ、毎日一冊ずつ順々にリリースするのだ。こうして生まれた新シリーズ“Take Control of Your Daily Life”が、今日のうちにスタートすることとなった。

<http://www.takecontrolbooks.com/>(日本語)Take Control Ebooks: あなたの知りたいことがすぐわかる

月曜から金曜まで毎日、あなたは日々の活動のどれかについてコントロール法を学べることになる。第一週のタイトルとしては“健康法を Take Control”“洗濯を Take Control”“ペットの世話を Take Control”“掃除機を Take Control”(Roomba やその他のロボット掃除機についての特別付録つき)“朝食を Take Control”といったものが並ぶ。さらに将来のタイトルはいろいろな分野に発展し、課外活動の交通手段を段取りしたり、おしゃべり好きの親戚との電話を何とかしたり、結婚相手や恋人と共に過ごす時間を最も効果的に生かしたり、といった題材も扱ってゆきたい。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbart=08169>(日本語)Roomba: ロボットが足許に

私がこのシリーズについて初めて編集長の Tonya Engst に相談を持ちかけた時の彼女の反応は、面白いという気持ちと恐怖におののく気持ち、それに信じられないという気持ちの混じったものだったようだ。いつも通りの編集と技術的チェックの作業(それだけでも数週間以上もかかることがある)に加えて、出版前の最後の仕上げの作業だけでも一日以上かかることが多い、と彼女は指摘してくれた。つまり、毎日一冊ずつ新しい電子ブックを出すなどということは論理的にも考えられないように見えたのだ。

しかしながら、相当に濃密な議論と、ブレインストーミング、それに強靱な魂の力のお陰で、私たちはこれらのことをすべてこなせるだけのシステムを開発することに成功した。まず第一に、日刊となったこの電子ブックはこれまでに比べてずっと短いものになる。平均しておよそ 10 ページぐらいだ。それでも、雑誌の特集記事のようなものの倍ほどの長さがある。エクストリーム・プログラミングの方法論を借用して、この新しい電子ブックの著述、編集、チェックの作業はすべて SubEthaEdit を使った同時進行の作業となる。それから最後の PDF 作成およびリリースの作業は、インドのある小さなプログラミング会社がたった $99 にグリーンカード(米国永住権)一枚を付けるという条件で私たちのために請け負って開発してくれたカスタムソフトウェアで自動化されている。

<http://en.wikipedia.org/wiki/Extreme_programming>(日本語)エクストリーム・プログラミング - Wikipedia
<http://www.codingmonkeys.de/subethaedit/>

従来からの私たちの印刷出版パートナー、Peachpit 社は原則的に既存テクノロジーの枠の外に踏み出すことはしないので、私たちは他の出版社でこの生活改善領域に首を突っ込んでくれそうなところを探した。その結果、ここに Rodale Books 社との新しい提携関係を発表できることを喜びとしたい。この会社は“南海岸のダイエット・クックブック”や“Bicycling Magazine の自転車ツーリングブック”、それに“Martha 万歳”(この本を読めば、刑務所の中で白黒の縞の服とオレンジ色のジャンプスーツのどちらかを選べと言われた時に、余程太っていない限り縞の服の方を選ぶ方が良い理由がわかる!)といった傑作を次々に世に送り出している出版社だ。Rodale 社は私たちの日刊電子ブックの最初の半年分をペーパーバックにまとめて“Take Control of Everything, Volume 1”と題して出版することに同意した。およそ 1,000 ページほどになる予定の挿し絵入りのこの本は、9 月のはじめ頃には書店の店頭に並び、標準小売価格は $55 となる予定だ。その後も印刷版が出るかどうかは、この第一版の売れ行き次第で決まる。

<http://www.rodale.com/1,6597,2-104,00.html>

しかしながら、オンライン販売については、この Take Control of Your Daily Life 電子ブックが一冊 $2 という超破格値で売り出される。また、これは初めての試みなのだが、今回私たちは電子ブックの定期購読も実施することにした。これは以前から要望の多かった機能だ。このシリーズの年間購読料(電子ブック 200 冊分)がたったの $300 で、これは個々の電子ブックを購入するよりも 25% も割引になる。従来と同じく、購入して頂いた方はすべて無料でアップデートが入手できるようになるので、最新の歯ブラシのテクノロジーとか、読者から寄せられた画期的な洗濯物のたたみ方とか、お使いに出かけた時にどうすれば交差点を右折しなくても済むかとか、最新の知識が常にあなたの手許に届けられることになる。

<http://video.google.com/videoplay?docid=4776825453418327083&q=shirt+fold>


AJRP の正体を暴露する

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

前回の San Francisco での Macworld Expo の準備期間中に、私たちジャーナリストの多くがメディアパスを申請したのに IDG World Expo から発行を拒否されるという事態に遭遇した。IDG World Expo の代表者はこの問題に関して声明を発表し、新しいポリシーの下ではメディア各局ごとに一人ずつの代表者のみしかキーノートにアクセスを許さないことになった、と述べた。この発表に対しては怒りの声が次々と挙がった。なぜなら、多くの出版者は、これは TidBITS についても言えることだが、キーノートも、その他のショーにおける行事も、どちらもカバーできるようにと複数人の代表者を Macworld Expo に送り込んでいるからだ。IDG World Expo の主張によればこの新しいポリシーはキーノートの会場が狭いために必要だったのだという。幸いにも、私たちの場合実際の影響はなかった。なぜなら Tonya、Jeff Carlson、それに私の三人はそれぞれショーの会場で講演をすることになっており、講演者については無条件でキーノートへの出席が認められていたからだ。それだけでなく、IDG World Expo は私たちにキーノート以外のショーの会場へのプレスパスも喜んで提供してくれた。

当日の火曜日の朝、私たちは他の講演者たちとともに列をなして並び、そこへ Apple 社員がやって来て私たちを広いホールの中の一ケ所に連れて行き、そこからキーノートの会場である舞踏室へと向かうことになった。例年と同じく、まず VIP 連中が会場の中に導かれ、その間に一般の観衆でキーノート会場に入場を許された人たちは一方の側にまとめて動かされた。でも、周りを見渡してもメディア関係の私の友人の姿が一人も見当たらなかった。去年の場合は、私たちはプレス関係の他の人たちと一緒に Moscone Center の奥の方へと押しやられ、一部の人たちだけがメインホールに案内されたかと思えば、残りの人たちは後ろの方に居残って「オーバーフロー室」なる所でスクリーンに映写されたキーノートを見る羽目になったものだ。だから今回も、周りにプレス関係の連中の姿が見えなくてもそれほど気にもならなかった。きっとみんな私たちの後ろの方にいるのだろう、くらいに思っていたのだ。

けれどもその時、私は何年も前に MacHack の会場で会ったことのある Apple 社員の友人の姿を見つけ、彼に手を振った。彼も私に気付いて群集の頭越しに手を振ってくれ、とても大袈裟な安堵の表情を浮かべた。まさにその時、私たち講演者のグループは会場の中へと導かれ、そこで Steve Jobs が iLife '06 と、Intel ベースの iMac、それに MacBook Pro を披露したわけだ。終わった後、私は出口のところでまた先ほどの友人と出会った。彼は私に、いったいどうやってキーノートに入れたのかと尋ねた。私はちょっぴりいら立ちを見せつつ、プレスパスでは入れなかったので代わりに講演者バッジを使わなければならなかった一部始終を語った。「でも結局大したことなかったね。座れたのはずっと後ろの方で、ずっとキーノートが大スクリーンに映ってるのを見ていただけだったから。ステージは遠すぎたからね。」と私は結んだ。それから私は冗談気分でこう付け加えた。「実際、これはかえって良かったのかもしれない。だって、遠すぎたお陰で、例の Jobs の現実歪曲オーラ (Reality Distortion Field) の直撃を受けずに済んだからさ。結局プレス用のオーバーフロー室で見てるのと変わらなかったってことだ。」

すると突然彼はきょろきょろと周りを見回して、誰も聞き耳をたてていないのを確かめてから、こう囁いた。「君があそこへ連れて行かれなくて良かったよ。噂では、もう AJRP の第三段階に入っているらしいからね。」

「何の第三段階だって?」私はわけがわからず聞き返した。

「ここじゃあ話せないよ。」と彼は答えた。「でも、後で電子メールでちょっと転送してやるよ。君の公開 PGP 鍵の認証キーを教えておいてくれ。」そこで私たちはお互いに PGP 認証キーを交換し、私は依然としてわけがわからないまま、ショーの報道の仕事へと歩みだした。

言うまでもなく、私はすぐにあの友人の奇妙な言動のことは忘れ去ってしまった。それに、ショーにいる間に電子メールをきちんとフォローするのは事実上不可能なので、私が彼からの電子メールに気付いたのは結局家に帰る飛行機の機上でのことだった。そのメッセージの暗号を解いてみると、それは次のようなごく短い電子メールの会話の記録だった。それも五年以上前のもので、人の名前は消してあった。

Subject: AJRP phase 2
AJRP 第二段階につき SJ の許可が出た。第一段階の被験者たちに RDF 
移植への拒否反応の徴候なし。まず実行すべきは第二段階に参加させる
者の人選だ。手始めに試みるべきは DRW, TYN, TSC, EMT, JSW, GB.

Subject: Re: AJRP phase 2
> 手始めに試みるべき者は DRW, TYN, TSC, EMT, JSW, GB.
じゃあ、まず EMT, JSW, TYN を揺さぶってやろうぜ。

Subject: Re: AJRP phase 2
>> 手始めに試みるべきは DRW, TYN, TSC, EMT, JSW, GB.
> じゃあ、まず EMT, JSW, TYN を揺さぶってやろうぜ。
同感だ。ブリーフィングの日程を PR と相談して決めてくれ。

はじめのうちは、この簡潔なメッセージのやり取りは私にはほとんど意味をなさなかった。けれども、この大文字の羅列を眺めながらしばらく考えているうちに、少なくともこれらの一部は出版社の名前を意味しているのではないかという気がしてきた。それも、順番が前後逆になっているのだ。JSW を逆にすると WSJ、これは Wall Street Journal だ。TYN の逆は NYT、New York Times だ。それから EMT だが、TME はすぐにはピンと来なかったが、そのうち母音を足せばよいのだと気付いた。これは Time Magazine だ。では、「RDF 移植」というのはいったい何のことだろう?

しばらく腰を据えてウェブを検索し、インターネットアーカイブを探し回った結果、これら三つの出版社が 1999 年以降に Apple について書いた記事をかなり完璧に収集することができた。私は、この AJRP なるものが実施されたという 2001 年ごろより後に何か大きな変化が起こったかどうかを調べてみたかったのだ。実際、その期間にこれらの出版社では何人もの筆者たちが Apple について記事を書いていたにもかかわらず、三人の記事だけが明らかに目立って肯定的な論調だった。Wall Street Journal の Walter Mossberg、New York Times の David Pogue、それに Time Magazine の Josh Quittner の三人だ。ちょっと、その一部を見てみよう:

まず、Josh Quittner が iMac G4 について書いた有名な記事がある。これは iMac が初めて 2002 年の Macworld Expo で公表された時よりも前に誤って Time Canada に掲載されてしまったという曰く付きの記事だ。「人気の iMac をあえてオーバーホールすることによって、Apple はまたもやデザインの大傑作を世に出したことになる。」この勇み足の失敗を取り上げた New York Times の記事では、この記事の残りの部分もすべて「熱に浮かされたように肯定一色」の論調だと評している。

<http://www.udel.edu/communication/COMM418/begleite/readings/timeapple.html>

David Pogue が最新型の iPod を大好きなのは明白だ。曰く、「最も小型で、最もシンプル、そして見栄えも最高のポケットビデオプレイヤーだ。」

<http://www.nytimes.com/2005/10/18/technology/circuits/19web-pogue.html>

でも、一番強烈なのが Wall Street Journal の Walter Mossberg だ。曰く、「私の見るところ、現時点においては、メインストリームの消費者たちが主にする作業、つまり電子メールやウェブサーフィン、ワープロやプレゼンなどのオフィス作業、写真の整理や編集、音楽の演奏や収集、ホームビデオの編集などをするためには、Apple こそが最高のコンピュータと最高のオペレーティングシステムを作っていると断言できる。」と。

<http://ptech.wsj.com/archive/report-200511.html>

これらの記事を読み進むうち、私ははたと気付いた。「RDF 移植」の意味にだ。何らかの方法で、彼らは Steve Jobs のあの有名な現実歪曲オーラ (Reality Distortion Field) の驚くべき力を植え付けられたのだ。RDF なんて信じないとおっしゃる方に一言。これは本当に凄い。Tonya と私が初めて彼のオーラを目の当たりに体験したのは私たちが Cornell 大学の最上級生だった年、つまり 1988-89 年度の間だった。この時、Cornell 大学初の公開 NeXT 計算機室のこけら落とし行事のテープカットに Jobs が来たのだ。私たちは二人とも学生ながらコンピュータ室の管理を任されていて、Upson Hall にあったこの計算機室も私たちが管理していたものの一つだった。そういうわけで、部屋のオープンに際して Jobs がテープカットの前に短いスピーチをした時、私たちは最前列に立っていた。今でも、Tonya はあの時 Jobs が履いていた靴が凄かったとぶつぶつ言うだけだが、でも私は自分が Jobs の RDF に完璧に巻き込まれてしまっていたのを今でもありありと思い出す。NeXT 機と、その光学ドライブと 400 dpi のレーザープリンタが、きっと間違いなく世界を変えてしまうだろうと私は信じた。もちろん、彼が立ち去った後にはその RDF の効果も少しずつ薄れたし、それから一週間も経たないうちに、私たちはそのドライブに悪態をついたり(ドライブは使いにくいことこの上なくしょっちゅう故障した)バージョン 0.8 のオペレーティングシステムをひっきりなしに再起動させたり、結局私たちの仕事が山ほど増えたことへの八つ当たりのために Display PostScript をいじくり回したりしていたものだ。

でも、残る疑問は、AJRP とはいったいどういう意味かということだ。先ほどのように前後を逆にすると PRJA になるが、それでもさっぱりわからない。そうこうするうちにあの友人が iChat でオンラインでいるのに気が付いたので、私は彼とチャットを開始した。iChat の表示で私たちが二人とも .Mac 会員だとわかったので、チャットは暗号化してやり取りした。そこで「AJRP っていったい何の略なんだ?」と私は尋ねた。彼の答は簡潔だった。「Apple ジャーナリスト再教育プログラム (Apple Journalist Reeducation Program) さ。」

その途端、すべてが明らかになった。第一段階というのはきっと RDF 移植の初期テストだったのだろう。たぶん、どこかの Apple Store で、どの Mac を買うべきかと助言を求めに Genius Bar に立ち寄った人たち数人を「個人相談」とでも称して奥の部屋に連れ込み、RDF 移植を施してから帰らせて、Apple の伝道者の働きをさせたのだろう。第二段階はぐっと大胆になり、トップレベルのジャーナリストたちを会社の費用で個人的なブリーフィングに誘うことが、Apple として Mossberg、Pogue、Quittner といった人たちに近づくためのチャンスとなったのだろうし、その結果があのように影響力の強い出版社から非常に好意的な記事が出るという保証につながったのだろう。そして、第三段階はどうかというと、実は最近 Apple が非難の集中砲火を浴びるという事態が起こっていないので、現実にどれくらいの数のジャーナリストが既に AJRP に組み込まれているのかを知る有効な手立てはない。それでも、Macworld Expo のメディアルームが混雑していたという事実は何か意味ありげだ。一方 Apple が「全取り」を避けたのも間違いない。だからこそ、メディア各局ごとに一人ずつの代表者というポリシーが採用されたのだ。そうすれば、第三段階の後にもまだ反対意見が残ることが保証されるからだ。少なくとも、暫くの間は...

だから、皆さんにもぜひお勧めしておきたい。この時世、Apple について書かれたものを読む時にはいつもしっかり注意して、その筆者が AJRP に染まっていないかどうかを考えてみることだ。例えば Macworld Expo のような大きなカンファレンスでは、TidBITS スタッフのチームはいつもしっかりと団結してお互いに守り合おうと心に決めている。また、Apple の手が私たちにまで伸びて来た場合に備えて、あらかじめ書きおいたメッセージを ExtraBITS に自動的にポストするシステムも作ってある。どうか、私たちのホームページをよく見張っていて頂ければと思う。もしもそこに「iPod と iTunes Music Store の売上げ記録更新!」という見出しが踊っていたら、残念ながら私たちも毒牙にかかったのだということになる。どうか私たちに幸運をと祈りつつ、私たちの背中を見張ることも、引き続きお願いしたい。

[訳注: お楽しみいただけましたか? 念のため申し添えますが、この号、TidBITS#823/01-Apr-06 の _すべての_ 記事は、あくまでもエイプリルフールの日のみ、4月1日の、一日限りの内容となっておりますので、あしからず!]


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