Google Drive のファイルリストで、あるはずの書類が見当たらなくて困ったことはないだろうか? Adam Engst は最近この問題に遭遇してフラストレーションで一杯になったが、しばらくして解決法が見つかった。Jeff Porten は今年の CES 報告の最終回をお届けして、RAID ドライブ、幾何学模様の照明パネル、さらにはワイヤレス電源も紹介する。それからもう一つ、Glenn Fleishman は最近 _Take Control of Home Security Cameras_ を執筆したが、今回寄稿記事として家庭用防犯カメラを持つべき理由を考察し、いくつかの仕様について助言する。今週注目すべき Mac アプリのリリースは Keyboard Maestro 9.0.5、HoudahGeo 6.0、Lightroom Classic CC 9.2、Audio Hijack 3.6.4 と Piezo 1.6.4、Delicious Library 3.9、Quicken 2019 5.15、Fantastical 3.0.7 だ。
私は違うブラウザを試したり、別の Mac で試したり、いったん Google Drive をログアウトしてからログインし直したりしてみたが、全然ダメだった。何をしても、新規の記事は現われなかった。そうこうするうちにある日、私は TidBITS Articles フォルダをずうっと一番下までスクロールしてみたところ、突然すべてが明らかとなった。
Google Drive では、フォルダの内容のリストを名前順でも最終変更日の順でも、それぞれ降順でも昇順でも並べ替えることができる。けれども、私たちが Mac 上で慣れ親しんだものにもう一ひねり加えて、最終変更日の順というのは Last Modified メニューに並ぶ 3 つの選択肢のうちから選ぶことができる。この Last Modified はちょっと気付きにくいところにある。メニューの存在を示す下向き矢印が、ポインタをその場所に持ってこなければ見えるようにならないからだ。(Google よ、これも発見可能性の不足から来る欠点の一つだ。)
選べる 3 つの選択肢とは次のものだ:
Last Modified: このデフォルトのオプションは、大多数の人にとって、大多数の場合に、最も意味を成す選択肢だ。これは単純に、あらゆるファイルに対してそれぞれの最終変更日を調べて、その順序に並べる。どのファイルを誰が変更したかは関係ない。
Last Modified By Me: このオプションは少し分かりにくいが、フォルダを他の人たちと共有しているけれども自分自身が編集する書類にしか興味がない場合に適している。これは、自分が最後に変更を加えた日付の順に並べる。
Last Opened By Me: 最後のオプションは前のオプションと同様だが、ただしファイルをただ単に開いただけでそれが "touch" されたものと考え、たとえ何も変更を加えなくても開いたことを考慮した順序で並べる。
私が遭遇した問題は、私の並び順が、私が望む Last Modified ではなくて、なぜかは分からないが Last Modified By Me になっていたという事実に起因するものであった。私の混乱はそのことから来ていた。なぜなら、並び順の設定が Last Modified By Me または Last Opened By Me になっていれば、まだ編集してもいないし開いてもいない新しいファイルはすべて、ファイルリストの一番下のところに並べられてしまうからだ。もちろん昇順になっていればの話だが、私はそう設定している。見えていなけりゃ、気付かない。
もちろん、このような並び順にはちゃんとした意味がある。まだ編集してもいないし開いてもいないファイルには、並べる基準にすべき「最終」変更日など存在しないからだ。でも、私のように Google Drive フォルダの一番上のところにすべてがきちんと出現することに慣れ切っている者にとっては、とりわけそのフォルダにかなり多数のファイルがある場合には、一番下までスクロールすることなどなかなか思い付かないではないか。
私は CES での最終日を Venetian ホテルの Sands Expo Center で過ごした。この会場は巨大で、通常2倍の時間を要するが - これでも Las Vegas Convention Center の3分の2しかない。今年、私は Las Vegas Convention Center の方は完全に飛ばさざるを得なかった。しかし、この Sands と分科展示会場は、報告したい興味のある項目に関しては最大の信号雑音比を提供してくれ、今年の展示物には盛り沢山の新しいガジェットが溢れていた。
Other World Computing RAID ソフトウェアとドライブドック
Other World Computing は、どの CES でも必見の会社である。何故ならば、同社は常に拡張に対応する Mac (そして、対応しないものも) に対する革新的なガジェットや拡張オプションを提示してきているからである。今年のリリース品は "プロシューマー" 層に焦点を当てている:家庭ユーザーの手の届く範囲にありながらかなり本格的な 力 を有する技術である。以下で特記がないもの以外は全て March 2020 迄には入手可となる。
ソフトウェアから始めよう。OWC は SoftRAID Lite と SoftRAID の来るべきバージョン (と名前の変更) を発表した。これらは今後 SoftRAID Standard と SoftRAID Pro と呼ばれる。これらのユーティリティは、幾つかの結合したドライブから超高速で信頼性のあるディスクボリュームを作成させてくれ、複数の物理的ディスクが一つのボリュームとして表示される。Apple の Disk Utility も RAID を作らせてくれるが、問題が起こった時のトラブルシューティングでは、柔軟性と透明性においてとても貧弱である。SoftRAID は元々は Tim Standing によって開発されたものである。彼は現在 OWC の Vice-President of Engineering であるが、私は彼の Apple ディスクフォーマットと物理ドライブアーキテクチャーに関する知識の深さには度肝を抜かれた。SoftRAID は幾つかの RAID フォーマットを提供するが (自分に一番合っている物は何かを深く勉強するには Jeff Carlson の Take Control of Digital Storage を参考にされたい)、それには費用が伴う:ストライピングとミラーリングのための基本 RAID フォーマット (0 と 1) は $49.99 の SoftRAID Standard に含まれるが、有用な RAID 5 と新しく追加された RAID 6 フォーマットに対しては (どちらも、速度と故障からの回復力を兼ね備えている)、$179.99 の SoftRAID Pro が必要となる。追記すると、OWC のマルチドライブベイ筐体の中には SoftRAID のコピーを含むものもある。
Smart Mimic は、その Mimic Go 旅行セキュリティ機器に幾つかの興味ある進化をもたらした。その Bluetooth 追跡機の場所認識に盗難警報のセキュリティ機能を組み合わせたのである。その大きさは一辺が 1.7 インチの立方体の奥行きを半分にしたもので (44 mm by 44 mm by 25 mm)、Day-Glo オレンジ色のプラスチック製で真ん中にゴルフボール大の照明が付いている。
それをバッグや部屋のドアに取り付ければ (或いは内蔵の磁石でどんな金属板へでも)、盗まれたり動かされたりすると 120 dB の警報音が鳴り響く。もっと良いことがある:それには LoRa ネットワーク経由の常時オンの Internet 接続が付いており、月額料金なしで、最大一回の充電で3ヶ月間その場所を登録する。これは、盗難に遭ったバッグが何処に行くかを見つけるのに他の追跡機とのメッシュネットワークを必要とする Bluetooth 追跡機からは大幅な改善である。私が理解に苦しむのは:警報音が鳴って盗人にバッグには追跡機が入っているぞと知らせたら、大きい音を出せば盗人はバッグを放り出すであろうとどうして思うのか? 私なら、警報には音を出させず静かにさせておき、場所を追跡させておく。何故ならば、盗人が追跡機に気づかず捨ててしまう迄の時間が長ければ長いほど、自分の持ち物を回収出来る機会は多くなると思われるからである。April 2020 に $69.99 で出荷される - そして、もし期待にそぐわなければ、無期限全額返金を約束している。
Nuheara IQbuds2 Max 聴覚支援イヤバッド
Nuheara は、2018 年にイヤバッドの形で聴覚支援技術を提供する私が見た最初の会社の一つであり、私もそれ以来同社の製品について書いてきたが ("CES 2019: CES Unveiled は今年も恒例のガジェット祭り" 8 January 2019 参照)、実際に現物で試験してみる機会には未だ遭遇していない。もし最新のモデルである IQbuds2 Max がその謳い文句の通りなら、本当に素晴らしいものだと思う。
今では殆ど標準となっているノイズキャンセル、聴取周波数調整、そして調節可能な周囲音の透過度に加えて、Nuheara は "雑音制御付き会話" を約束している。これは、具体的には会話を背景雑音から分離し、かつ対面方向から発せられる音を鮮明にする方位焦点も有している。勿論、IQbuds2 Max はまた通常のイヤバッドとしても働き、通話にも対応し、そして Siri 制御も一回の充電で 20 時間出来る (これにはキャリングケース内での充電も含まれると思われる)。値段は $399 で、以前のモデルの発売価格よりも安く、現在予約注文受付中で (出荷は April) 値引きが適用され $359 で買える。もし試してみたいのであれば、30 日間の返品保証がある。
最近になって私は Take Control Books の新刊書 Take Control of Home Security Cameras の執筆を終えた。執筆のための調査の中で、多くの人たちがいろいろの重複した理由からビデオカメラを設置していることが分かった。いわゆる「玄関先盗難」の被害に遭ったことがあって玄関先から荷物を勝手に持って行く連中にうんざりしている人たちもいるだろう。あるいは、裏手のベランダで蜜を吸っているハチドリを観察したい人もいるかもしれない。その両方ともが望みだという人もいれば、ただ単に家の周りの人の行き来を知りたいというだけの人もいるだろう。
暗視能力: たいていのカメラモデルは赤外光 LED を搭載していて屋内と屋外を照らす。けれども、犯罪は多くの場合光量が非常に低いか皆無の状態で起こるので、バッテリーでなく電源を要してより強力な赤外光 LED でより感度の高い画像センサーが使えるようにするのがよいかもしれない。(赤外光 LED はガラスで反射されてしまうので窓越しに外を見る状態では使えない。)
Apple の新しい HomeKit Secure Video ストレージについてもっと知りたい人のために説明させて頂くと、これは開発者レベルのオプションで、カメラのメーカーが自社の製品に Apple の HomeKit ホームオートメーションシステムとの統合を組み込むことで使えるようになる。慎重に扱うべき内容のビデオが悪人の手に渡ることを防ぐために、HomeKit Secure Video はすべての映像をあなたのデバイスから終端間で暗号化し、iCloud サーバ上に暗号化した形で (iCloud Keychain と同じように) 保存するので、あなた以外の誰もそのビデオを観ることができない。私は著書 Take Control of Home Security Cameras, の中で HomeKit Secure Video についても解説しているが、もっと詳しいことが知りたいという方がおられれば、コメントにそう書き込んで頂きたい。その場合にはその機能について、それに対応して初めて登場したカメラの一つと共にどのように働くかを、記事にしてみたいと思っている。
Flexibits が Fantastical 3.0.7 をリリースして、最近アップグレードされたこのカレンダーアプリにさらなる改良を加えた。今回のアップデートでは、解析ツールでカレンダーを自動補完する際に隠れたカレンダーをより明確にマーク付けするようにし、複数個のイベントを一度に削除する際の反応性を改善し、Zoom のオプションを更新する際により素早く Zoom 電話会議のノートも更新するようにし、Sign In With Apple や Sign In With Google を使う際に Flexibits アカウントへのログインに失敗した場合の処理を改善し、丸一日続くタスクがその締切日に既に期限が切れたと表示されたバグを修正している。(Flexibits からも Mac App Store からも購読年額 $39.99、バージョン 3 からは無料アップデート、21.8 MB、リリースノート、macOS 10.13.2+)
新型 Mac Pro の構成を考えながら、28 コアのプロセッサ、384 GB の RAM、デュアル AMD Radeon Pro Vega II Duo グラフィックカードで構成すれば $32,000 近くになるものをいったい誰が必要とするのかと思ったことはないだろうか? それを実際に試してみたのが、Hunter Research & Technology の Craig Hunter だ。Apple が彼にその構成のマシンを貸与してくれたので、彼はそのマシンで LINPACK (もともとスーパーコンピュータのために作られた線形代数ソフトウェアのライブラリ) と NASA のコンピュータによる流体力学ソルバー USM3D を使って性能を試してみた。
Hunter が知ったのは、この Mac Pro が彼の iMac Pro に比べて 42% 高速だというだけでなく、スーパーコンピュータを使ったならば何千ドルもかかるような計算を、やり遂げることができたという事実だった。28 個のコアを 100% の能力で 42 分間ぶっ続けに走らせたにもかかわらず、このマシンはやかましくもならなかったし熱くもならなかった。Hunter は言う。「2 万ドルや 3 万ドルもするような Mac Pro は、非常に多くのコンピュータユーザーにとって意味を成さないものだが、エンジニアリング会社ならばこのマシンに払っただけのものをすぐに取り返せるだろう。」
自らの製品が可能な限り都合よく呈示されるように映画製作会社に圧力をかけるという Apple のやり方は、別に珍しいことではない。実際、US Department of Defense (国防総省) や Central Intelligence Agency (CIA, 中央情報局) が 1950 年代後半にハリウッドに対して行使した並外れた影響力に比較すれば、Apple の干渉などかすんで見える。