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#1504: あなたの Mac で COVID-19 と戦う、うるう日で Apple に苦しむ、Strava が日付順フィードを再開、iPhone 下取りプログラム

地球外生命体を探索するために皆さんが Mac で余った CPU サイクルを寄贈する分散コンピューティングプロジェクト SETI@home は間もなく休止状態に入るが、皆さんはその代わりに COVID-19 と戦う意思を示して Folding@home プロジェクトに参加することもできる。Apple は時間の変化をうまく処理できないことで悪名高いが、今回は Glenn Fleishman がうるう日のせいで Genius Bar で直面したフラストレーションを物語る。Adam Engst はアスリートのために良い知らせをお伝えする。ワークアウト関連のソーシャルネットワーク Strava が、ユーザーの要望に応えて日付順のタイムラインを復活させてくれたのだ。それから、新しい TidBITS 寄稿者 Jenna Tsui が、調べてみる価値がある iPhone 下取りプログラムを 3 つ紹介する。今週注目すべき Mac アプリのリリースは CleanMyMac X、BBEdit 13.0.5、SpamSieve 2.9.39、OmniFocus 3.6、Default Folder X 5.4.3、GraphicConverter 11.1.3、Retrospect 17 だ。

Josh Centers  訳: 亀岡孝仁  

あなたの Mac は宇宙人の声をもう聞けないが、COVID-19 の治療に役立つかも

SETI@home のボランティアの部分は冬眠に入る。SETI@home は世界で最初の大規模な分散コンピューティングプロジェクトで、CPU サイクルに余裕のある人になら誰でも、Berkeley Search for Extraterrestrial Intelligence Research Center が宇宙からの通信信号の形跡を探す手助けをさせてくれるものであった。このプロジェクトはおよそ 21 年前に立ち上げられたのだが ("SETI が家庭の Mac に情報空間の探索をもたらす" 24 May 1999 参照)、長い間、多くのオンライン集団がチームを結成して、最大の作業貢献点を競うという Internet 上の一大イベントでもあった。TidBITS も SETI@home チームを Mac クライアントの立ち上げ時から持っていたことがあり、獲得した点数は 303 百万点を超え、上位 5% のチームに入っていた。現在でも 活動しているメンバーは 23 人おり、最も目につくのは Bob Lauterbach で、103 百万点を超える貢献をしている!

SETI@home が冬眠に入る理由は、必要とするデータは全て集めたからである。このプロジェクトの天文学者達は、データをこれ以上集めても見返りは減少する点に到達したと言っており、今後は結果の舞台裏での分析に費やす時間であり、その結果は科学雑誌に発表される予定である。あらゆる点で、SETI@home は満足のいく成功であり、宇宙からの通信信号を見つけられたかどうかは余り重要ではない。

もし参加可能な新たな分散コンピューティングのプロジェクトを探しているのであれば (Bob Lauterbach によれば)、20 歳になる Folding@home プロジェクトはまだ活発に活動中である。Folding@home は "タンパク質の折り畳み、タンパク質の誤った折り畳みや凝集に起因する病気、そして新薬一般を開発する革新的な計算手法を理解すること" に捧げられている。

癌、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病に加えて、Folding@home は、最近見出しを独占している病気に取り組もうとしている:新型コロナウィルス COVID-19 である。あなたの貢献は、研究者達が治療法を見つける手助けになるかもしれない。Folding@home を始めるのは簡単である:

  1. Folding@home インストーラーをダウンロードし、走らせる。
  2. Folding@home がインストールされると、Web ページが開いて Mac クライアントに接続しようとする。だが、今はそれは働かないので無視する。
  3. Finder で、/Applications/Folding@home を開き、FAHControl を立ち上げる。それは Windows 95 アプリケーションの様に見えるかもしれないが、気にしないこと。

警告が提示され - 少々時間がかかるかもしれない - そのクライアントには ID が与えられていないと言われる。 Fold Anonymously をクリックして直ぐに始める選択肢もあるし、或いは、自分の Mac の CPU サイクルに貢献点数を貰いたければ、Configure Identify をクリックしてユーザー名を入力する。TidBITS チームに参加することも可能で、その場合チーム番号に 236284 を入力する。

The Folding@home client

Folding@home は多くの CPU サイクルを消費するので、Mac ラップトップが電池で動いている場合、デフォルトではこのクライアントは動作を停止する。この設定は、Configure > Advanced > Power で入り切り出来る。

自分の Mac が何をしているか知りたい? Viewer ボタンをクリックして FAHViewer を開き、あなたが貢献している分子の 1990 年代風の作画を楽しんで欲しい。

The Folding@home visualizer

もっと目に優しいインターフェースを希望するのであれば、https://client.foldingathome.org/ の Web クライアントにアクセスする。"I support research fighting" 設定が Any Disease に設定されている限り、COVID-19 計算にも使えるはずである。

The Folding@home Web interface

あなたの Mac が COVID-19 を阻止する鍵となることだって無いとは言えない!

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Glenn Fleishman  訳: Mark Nagata   

春に前進、しくじって後退: Apple は未だに時間が分かってない

うるう年は、紀元前 45 年にユリウス暦が実施されて以来ずっと定着している。けれども最近顧客サービスに障害があったことで、Apple が今になってもまだこの概念をきちんと分かっていないことが露わとなった。

その始まりはごく普通のことのように見えた。私の息子が持っているお下がりの iPhone 8 Plus の背面カメラとフラッシュ光が、突然動作しなくなった。そこで私は次の日に Apple Store の予約を取った。店に着くと、一人の Apple 従業員がすぐに問題を確認して、部品の在庫があるのでおよそ一時間で修理が終わるだろうと言った。

ただ一つの問題は? Apple の社内システムが、その iPhone の保証期間がその 2 日前つまり 2020 年 2 月 29 日に期限切れになっていると表示したのだ。

けれども、期限切れになっているはずはなかった。私はその当日、AppleCare+ の月ごとの継続延長で $8.80 が課金されたのを目にしたばかりだったからだ。Apple は去年の末ごろ、AppleCare の無期限延長 (2019 年 9 月 19 日の記事“あなたの AppleCare+ は期限切れ間近? 更新する方法はある”参照) を提供し始めていた。私はこの iPhone 8 Plus に AppleCare+ を購入していたし、研究目的で (「そうだよ、父さん、研究目的だよ...」) 私が iPhone 11 Pro にアップグレードした際に継続中の保証を付けて iPhone 8 Plus を息子に譲ったのだ。

その Apple Store の係員に私のクレジットカードアプリを見せたところ、この課金は "保留中" と表示され、AppleCare+ は言及されず、ただ Apple とだけ示されていた。彼は領収書を持っているかと尋ねたが、私は電子メールをサーバに保存せずすべてダウンロードするようにしているので、私の iPhone 上に出して見せることができなかった。でも、間違いなく Apple は私の AppleCare+ 延長について知っているはずではないか。Apple Store の従業員なら、それをチェックできるはずだよね?

彼は相談のために店の奥に行き、戻って来た。駄目だ。彼の手でアクセスできる記録の中にその保証が有効であることが示されておらず、私が領収書を持ち合わせていない限り、私は修理費用を払うか後日出直すかどちらかにしなければならないと彼は告げた。

私はうるう日を疑った。あとで Apple Support に 20 分間の電話をして、私の疑念は裏付けられた。請求書担当のその係員は、私の保証が有効であることを確認した上で、課金は保留中であって拒絶された訳ではないと認めた。彼によれば Apple Store はこの保証を認めるべきであったし、私と同じ問題を訴える電話がその日殺到しているとのことだった。明らかにそれは、うるう日によって引き起こされた請求のエラーであった。

Apple はずっと以前から、日付の処理にトラブルを抱えていた。最近のほんの数年間だけでも、2016 年の初めに出現した 1970 年の日付のバグで iOS デバイスが文鎮化したし、iOS の再起動ループのバグは 2017 年 12 月の日付に関係していると思われた。Mac は High Sierra で誤ったタイムゾーンのバグに見舞われたし、今年の初めには Mac OS 8 の Y2K20 バグがそのバージョンの走るコンピュータを永遠に過去に閉じ込めようとした。これらは単に、最近になって起こった Apple の日付関係の大失敗を集めただけだ。

今回私が遭遇したこの特定の問題は、どうやら Apple のバックエンドのコンピュータシステムの欠陥ではないかと思われる。あらゆることがあまりにも脆弱で融通が利かないところを見れば、私としては Apple が疲れ切ったハムスターたちによって書かれた大昔の WebObjects コードに未だに依存しているのではないかという疑惑がぬぐい切れない。どういうわけか、Apple Store の従業員たちは Apple Support の電話対応担当者には見ることのできるシステムを見ることができず、また顧客たる私に送付済みの領収書を読み出すこともできない。Apple 自身のシステムが生成した領収書を見せてくれと Apple 従業員が私に頼むなど、奇妙としか言いようがないではないか。

でも本当の問題点は、模範的な顧客サービスを提供できる権限が従業員に与えられていないことだ。「そうですね、これは明らかに間違っていますので、今回の修理は私たちの権限でさせて頂きます。もし何か問題が起これば、私たちがそれをお引き受けします。私たちはお客様を信用致しておりますし、何しろお客様は私たちに [34 年間も Apple 製品を購入し続けているのだから総額は $100,000 を超えているはずだ] もお支払いくださっていらっしゃるのですから。おそらくシステムの誤作動ですので、お客様にはご心配をおかけ致しません。うるう年って、何てことでしょう!」と言わせられるだけの権限を与えるほどには Apple は Apple Store の従業員を信頼していないのだ。

ほんの数日前、妻と私は United Airlines で、マイレージサービスで貯めたマイル数で国際線の予約をしようとしてどうも壊れているように見えるシステムの問題に行き当たり、フラストレーションに見舞われたが、一時間ほど費やして電話した相手が、世界一素晴らしい顧客サービス担当者であった。私たちの問題の話を聞くと、彼は直ちにチケット 1 枚あたり $25 の電話サポート料金を適用除外にしてくれた上で、私たちが遭遇した問題の再現に取り掛かった。オンライン予約を完了できなかった原因が United の側にあると分かったので、彼はサイト上では見えていたのに予約できなかった元のルートと似た経路だけれどもはるかに長いマイル数 (およそ 60% 増し) が加算されるフライトに私たちを乗せてくれた。それなのに余分のマイル数を「課金」されたり追加料金を取られたりといったことはなかった。

United 航空はこの電話サポート担当者を信頼している。Apple が Apple Store の従業員を信頼する度合いとは大違いだ。そしてもちろん、私たちは United のこの担当者の名前と詳細を教えてもらい、称賛の言葉に満ちた感謝の電子メールを書き、彼の上司が手ずから書いた返信をもらった。

Apple の技術サポートはいつも業界でトップ近くの評価を受けている。問題を解決するやり方が評価されているからだ。もしも Apple がその信頼と支援をすべての従業員にまで拡張して、どの部門でも問題がきちんと解決されるようになり、私や他の多くの人たちのようにうるう日のバグに巻き込まれて憂鬱な気持ちのまま放り出される事態がなくなったならば、どんなに素敵だろうか。

予約したのに修理してもらえないまま帰宅すると、私はコンピュータに保存してあったメールをチェックした。思った通り、2020 年 3 月 30 日までの分の料金が支払い済みであることを示した領収書があった。

AppleCare receipt
Apple は私にこの領収書を送ったのだが、Apple Store にはそれを確認する方法がなかった。

それからまた、私はあの Apple Store 従業員が私に調べさせることを思い付かなかったもう一つの場所があることに気付いた。息子のではなく、私自身のアカウントの、Settings > あなたの名前 > Subscriptions 画面だ。保証の料金を支払っているのは私だからだ。この画面にも正しい有効期限が表示されていた。

次の日、妻は再び Apple Store へ行き、修理を必要とする他の 2 台のスマートフォンと、印刷した領収書、それに購読がアクティブであることを示した私からのテキストメッセージを一緒に持って行った。それでもまだ妻が担当者を納得させるまでに 10 分以上かかり、私がスピーカーフォンで会話に参加することさえ必要だった。最終的には彼らも折れて、問題の iPhone 8 Plus を AppleCare+ で修理することに同意した。一番愉快だったのは何かって? それは、技術者の一人が彼自身の iPhone を調べてみたところ、その iPhone も保証期限切れだと表示された。彼もまた、クレジットカードの課金が "保留中" と表示されていたのだった!

いったいなぜ iPhone が保証の有効性を認識しているにもかかわらず Apple Store のデータベースがそのことを認識していないのか、その理由は Apple の古色蒼然たるコードの奥深き内奥まで踏み込まなければ分からないのだろう。ただ、今回の経験ではっきりしたのは、Apple のコードとこの会社の顧客サービス方針の両方ともに、バグが存在しているという事実だ。

[訳者注: この記事の元タイトル "Spring Forward, Fail Back" は、英語の慣用句に掛けた洒落です。"Spring Forward, Fall Back" という英語の慣用句があって、これは「春に進めて、秋に戻す」つまり夏時間と冬時間の切り替えのことを言っていますが、その一方で前に (forward) ジャンプ (spring) してから後ずさり (fall back) という「一進一退」という意味の掛け言葉にもなっています。この記事の著者はそれを前提に、わざと fall (秋/下がる) を fail (失敗する) で置き換えて『春なのに時間でしくじった』というニュアンスを出そうとしました。日本語への翻訳は完璧に不可能ですので、あえて説明させていただきました。]

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Adam Engst  訳: Mark Nagata   

Strava、(ようやく) ユーザーの声を聞いて日付順フィードを再開

Strava announcement

ワークアウト記録サービス・ソーシャルネットワークの Strava が、つい最近になって 3 つの新機能を発表した。その中には、もう何年にもわたってユーザーたちが (声高に) リクエストし続けてきたものもある。具体的には、アクティビティのフィードに日付順の並べ方を復活させたことと、ワークアウトを止めるのを忘れて自動車で走り去った場合に自動フラグを立てる機能、それと Apple Watch の Workouts アプリとの統合だ。Strava を使っている人たちにとってこれらはいずれも歓迎すべきものだが、使っていない人たちにとってもテクノロジー会社がユーザーの声に耳を傾けなかったらどんなことになるかを窺い知れる良い教訓となることだろう。

簡潔に要約すれば、Strava は多数のアプリを提供して数限りない GPS ベースのスマートウォッチと共に働き、ランニング、サイクリング、水泳のワークアウト、その他数多くのスポーツの追跡をする。自分のワークアウトをこのサービスにアップロードすれば、そのデータがあなたをフォローしている友人たちすべてにフィードされる。ワークアウトは公開にもプライベートにも設定でき、あなたをフォローすることを許されるのが誰かをあなたが制御できる。

記事“FunBITS: Strava でエクササイズがソーシャルに、しかも仮想競争に”(2014 年 7 月 27 日) で、私はアスリートのためのより良いネットワークとして Strava に代わり得るものがあるかどうか思案したが、少なくとも私の住むアスリートの世界においては、今もまだ Strava が王座にいる。たとえ私たち大衆が必ずしもそれに満足していないとしても。

日付順のアクティビティ・フィードと通知

2017 年の末ごろ、Strava は「Strava フィードを体験する新しい方法」なるものをリリースした。この会社が意味していたのは、あなたがフォローしている人たちを並べる際に日付順とは違う方法を使うということであった。Strava はこれを次のように説明した:

あなたがフィードをリフレッシュすると、あなたがまだ見ていないコンテンツがフィードの一番上に、あなたが既に見た他のすべてのアクティビティよりも上に来ます。その新しい項目の間の順序は、あなたの過去の挙動を利用した学習アルゴリズムに基づいて、あなたが興味を持てるコンテンツであるかどうかを判断して決められます。あなたのお姉さんのアクティビティにたくさんコメントすれば、彼女の項目が高いランクの扱いを受けます。あなたの友人がつい最近 10K レースで自己最高を記録したら、それも上の方に来ます。このアルゴリズムはあなたの使い方を学習して、時間が経つに応じて進化を続けます。私たちはアクティビティを隠したりはしません。すべてがフィードの中にあるのですが、ただこれまではと違う順序に並んで、あなたにとって重要なものをあなたが見逃さないようにするのです。

Strava の発表についてのこの説明文の最初の一文こそ、コミュニティーの感情を端的に要約するものであった。Justin Kremer は「まさにこれこそ私がそうならないで欲しいと言い続けてきたことだ」と述べた。サイト上の投票で、Strava の発表は驚くべき累積スコア -728 を獲得した。つまり、これを嫌だと思った人の数が、気に入った人の数より 728 人多かったのだ。

それから 2 年以上が経って、Strava はようやく自らの誤りを認め、日付順のフィード並び順をオプションとして復活させた。もちろん、ランダムな性格を持つこのアルゴリズムが気に入っている人はそのままそれを使い続けることができる。ランダムさの結果としてワークアウトやレースが予測不可能な順序で並び、その多くを見逃しがちになってしまうようなものであったとしても。

けれどももしあなたが、他の大多数の人たちと同じに、イベントを時系列で整列させて考える方を好むならば、並び順を Last Updated に戻せばよい。ウェブ上の Strava で、右上隅のあなたのアバターをクリックしてから Settings > Display Preferences > Feed Ordering へ行き、Latest Uploads を選ぶ。

Changing to Strava's chronological feed

Strava の主張は、アクティビティのフィードをアルゴリズムによる並び順にすることは役に立つ、なぜなら人は友人たちのワークアウトの多くを見ていないからだ、というものであった。それは真実だったかもしれないが、見たいものをすべて見たか否かを判断するためにユーザーが持ち合わせている唯一のヒント (つまり時間) を取り去ることで、Strava は確定的なリスト様式をどうしようもなく予測不可能なものへと変えてしまった。おそらくその原因はただアルゴリズムが不出来だったというだけのことかもしれないが、当時それに対する苦情が私のグループの話題の多くを占めていた。でもそれはすべて不必要なことであった。Strava は、このアルゴリズムを導入した時点でそれをオプションとして提供しさえばよかったのだ。それならば誰もが幸せであった。

アクティビティのフィードにトラフィックが多過ぎれば、誰でも思い付く解決策は入力を減らすこと、つまりフォローする人数を減らすことだ。ただ、自分がフォローしている人たちのリストから最も関心のある人たちだけを選り抜くというのは、多くの人たちにとって簡単なことではなかったかもしれないし、サービスの中でネットワークの規模を小さくするのを奨励しようというのが Strava の望みであったとは思えない。だから、集中すべきはアルゴリズムであって忠告ではない。

人々がフォローする相手のリストを精選するのを止めさせようと、Strava は今回またもう一つ新たな機能を追加した。他のアスリートをお気に入りに指定することができるようになって、そうするとその人のアクティビティがフィードの並び順がアルゴリズムであるか日付順であるかに関係なくフィードの一番上近くに来る。Latest Uploads 順序を壊すことになった場合には少々混乱を招くかもしれないが、重要な人のワークアウトを見逃さないようにする役には立つことだろう。

これとは別に、特定のアスリートのアクティビティについて push 通知を受け取るようにすることもでき、最も近しい友人たちや親戚たちに使えば素敵な追加機能となるかもしれない。アスリートをお気に入りに指定したり通知をセットしたりするのはアプリの中でしかできないが、これはある意味筋が通っている。(もしもあなたのアプリの中で Following ボタンが下のスクリーンショットのように見えていなければ、Strava アプリのアップデートをダウンロードする必要がある。)

Favoriting a user in Strava

不的確なワークアウトの自動フラグ

リーダーボードは、競争を意識した Strava の側面の一つだ。誰でも、セグメント、つまり自分がランニングしたり自転車で走ったりしたルートの全部または一部分を指定することができ、そうすると Strava が舞台裏で膨大なデータの計算をして、そのセグメントを誰が早く走り抜けたかを順位で示すリーダーボードを作成する。

Cropping routes in Strava

このリーダーボードで生じる問題は、不正確なアクティビティがトップ近くの多くを占めてしまうことだ。たいていの場合それは悪気があってしたのではなく、途中でワークアウトをやめて、計時を止めるのを忘れたまま自動車に乗って走り去ったような場合に起こる。その種のワークアウトに不正確というフラグを立てるのはずっと以前からできていたが、Strava によれば今回そういうことが起こった場所に Strava が自動的にフラグを立てるとともに、アスリートに通知して余分の距離を切り取ることができるようにしたという。

つい最近になるまで、この切り取り機能は Strava のウェブアプリのみに存在していたが、それほど前でない時点でこの機能が Strava の iPhone アプリにも追加された。アクティビティ画面で ... ボタンをタップして、Crop をタップし、それから始点と終点それぞれのスライダーを使ってルートの中の正しくない部分を削除できる。

Apple Watch の Workouts アプリから Health アプリ経由で読み込み

もう結構前から Strava は Apple Watch 用のアプリを作っていて、これはかなりうまく働き、Strava の iPhone 用アプリと同期できる。ユーザー体験を言えば私が使っている Garmin Forerunner 620 のような専用の GPS ランニングウォッチには劣る。それでも、かなり良くなっているので例えば私がランニングに出かけた際に Garmin を忘れたと気付けばその代わりに Apple Watch で Strava を使ってもそれほど困ることはない。その上、気にする人のために言い添えれば、Strava アプリから届いたデータはそのまま Apple の Health アプリに取り込まれる。

この新機能のお陰で、Apple Watch の Workouts アプリに記録されたワークアウトを Strava に読み込むことが可能となった。手動での読み込みではあるが、読み込めるワークアウトがあれば Strava が通知してくれるはずだ。Strava の iPhone アプリの中で、Profile > Settings (歯車アイコン) > Applications, Services, and Devices > Health へナビゲートする。初めてこれをする際にはあらかじめ Strava を Health に接続しておかなければならないが、いったん接続されれば Workouts のところにアクティビティがそれぞれ Import リンク付きで見え始める。その一つをタップすれば、ワークアウトが Health から Strava へ読み込まれる。

Connecting Strava and Workouts

いったいなぜネイティブな Strava アプリで Workouts を使いたいと思うのだろうか? それは、こちらの方がインターフェイスが好みだからという点もあるかもしれないが、私が見るところ大きな利点はワークアウトを開始すると Workouts アプリが自動的にそれを探知してワークアウトの記録を始めてよいかと尋ねて来るところだ。(Strava のこの新機能が登場するより以前、私は無料の RunGap アプリが Workouts と Strava の間にこれと同種の接続を提供してくれることを知ったばかりだった。)

それに、これからは Workouts アプリをもっと頻繁に使いたいと私が思っている理由がもう一つある。つい最近知ったことだが、このアプリは VO2 max (最大酸素摂取量) も記録してくれるのだ。これは、心肺フィットネスの大切な測定値の一つだ。通常、VO2 を測定するにはシュノーケルを通して呼吸しながらランニングマシンの上でクタクタになるまで走り、定期的に走るのを中断して指に針を刺して血液テストをする必要がある。私は過去に 2 回したことがあるが、決して楽しい体験ではない。けれども Workouts アプリを使って Health に取り込んだいくつかのデータの数字を見る限り、比較的正確な数値が出ているようなので、また本格的にトレーニングを始めるようになればもっと注意して使いこなしてみたいと思っている。

Strava が聞く耳を持ち始めたのは嬉しい

ここで強調しておきたい点が 2 つある。まず第一に、会社として、そのユーザーたちが全く気に入らない何らかの行動をする場合には、例えばこのアルゴリズムによるフィード順を導入するような場合には、我々の方がユーザーたちより物事がよく分かっているという態度を取らないことだ。そのような態度こそ、私や他の多くの人たちが Strava のプレミアムサービスを一度も購読したことがない理由だ。そもそも顧客の意見を全く気にかけようともしない会社を、いったいどうして支援しようという気持ちになるだろうか?

そして第二に、機械学習のシステムさえあれば私たちについて、私たちが気付きもしないような情報を明らかにできると思い込んでいるテクノロジー会社があまりにも多過ぎると私は思う。分野によっては正しいのかもしれないが、人間の体験にはある種の自明の理というものがあって、それに勝ることは困難だ。日付順の並べ方もその一つで、私たちは皆、無意識のうちにこのイベントは他のイベントより前に起こったことだと理解する。これと並んでもう一つあるのがアルファベット順だ。iOS の Settings アプリが必要以上に使いにくいのは、Apple がそこにある項目を何か未知の、明らかに見分けられるものでないやり方で並べているからだ。(2018 年 2 月 21 日の記事“Bad Apple #2: iOS の設定をアルファベット順にする”参照。)

ユーザーが日付順のフィードを選択できるようにしたことだけが Strava が最近になって施した変更ではない。2 月の末ごろに、Strava はさまざまの個所で移動時間を表示すべきか経過時間を表示すべきかという、同社がユーザーたちを相手に長年続けてきた論争をようやく取り下げた。この点が重要なのは、スマートウォッチが往々にして GPS のロックを失い、そのため短時間だが移動の記録が途絶えることがあるからだ。Strava は時間が一時停止したことを認識するので、結果として「移動時間」が実際のトータルな「経過時間」とかなり違うことがあり得る。私はあるトラックレースでこの問題に遭遇したが、Strava は私の記録をかなり間違えていた。レースの最初の 2 秒間、スマートウォッチが GPS ロックを失っていたからだ。

さて、あと私が望むのは、私が 5 年越しに言い続けてきた提案 (162 件のコメントと投票スコア 224 を得ているが、皆さんも投票を積み重ねて下さるのならどうぞ!) に、Strava が反応してくれることだ。それは、トレーニングのログの Multi-Sport 表示に、ランニングとサイクリング以外のスポーツのデータも表示してほしいという要望だ。もしそれが実現されたら、即座にプレミアムサービスを購読することをお約束しよう。

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Jenna Tsui  訳: Mark Nagata   

調べてみる価値がある 3 つの iPhone 買い戻しプログラム

Apple は毎年新しい iPhone をリリースしている。私たちにとって Apple の最新のテクノロジーに触れられる機会なのでそれは素晴らしいことだが、見方を変えればまだまだ良い状態で十分に使えるものを持っているにもかかわらず新しいモデルにアップグレードせざるを得ない気持ちにさせられるということでもあり得る。金銭的な判断として最も分別あるのは今持っている iPhone を可能な限り長く使い続けることだが、やはり最新最高のものが欲しいという人は、買い戻しプログラムを使えば新しいモデルに支払うお金を節約できる。

この記事では iPhone の買い戻しプログラムのみに議論を絞っていることにご注意頂きたいが、ここで取り上げる会社はいずれも、他の Apple 製品、つまり iPad、MacBook、その他も取り扱っている。

スマートフォンの下取りプログラムはどのように働くのか?

一般的に、手続きはまずあなたのスマートフォンについての情報をウェブフォームに書き込むところから始まる。すると、そのモデル、年式、状態に応じた見積価格が分かる。それからあなたはスマートフォンをその会社に発送し、その会社がそのデバイスがきちんと動作することと、あなたが申告した状態にあることを確認した上で、あなたは指定された金額を現金で受け取るか、または新しいデバイスの購入に際してその金額を値引きされるかする。

買い戻しプログラムを利用することで、オークションサイトに出したり個人で売り買いしたりする手間が省ける。eBay や Craigslist のようなところに出せばどんな値が付くか予想もできないが、買い戻しプログラムならばたいていの場合明確で具体的な言葉で過程の説明が示される。その情報をもとに、どの程度の価格が期待できるかが判断できる。例えば、買い戻し会社によってはあなたがスマートフォンを発送する際の梱包方法を具体的に指定してくるところもあるし、あなたに示した見積価格が特定の期間内のみ有効だと明記してくるところもある。

調べてみるべき買い戻しプログラム

iPhone を売りたい場合、あまりにもたくさんの選択肢があって圧倒されてしまうことがあるかもしれない。そんな際の選択の参考になればと思い、私は主として Apple ユーザーを対象としたいろいろのプログラムを検討してみた。その結果、見積価格を知りたいスマートフォンオーナーに対して十分な透明性が提供されるかどうか、Apple 製品を十分熟知しているかどうか、顧客あるいは顧客となる可能性のある人たちに対して十分に役立つ、手軽にアクセスできる情報が提供されるかどうかという観点から、3 つのプログラムが傑出していることが分かった。

Apple Trade In プログラム

古い iPhone を下取りに出して新しい iPhone を購入したい場合、たぶんこれが最も分かりやすいやり方だと言えるだろう。Apple Trade In プログラムは、どうやら実際の運営は Phobio というサードパーティの会社が担っているようだ。このやり方を選んだ場合には、近所の Apple Store に持ち込むこともできるし、送料無料の下取りキットを使って iPhone を送付することもできる。

Apple によれば、iPhone のモデルと状態に応じて $100 から $600 までくらいの下取り額がつくという。奇妙なことに、Apple Trade-In Program サイトのメインページには iPhone 8 Plus が最大 $250 と書かれているが、良い状態のそのモデルについて実際に査定のページを通してみるとその結果はたったの $215 と出た。それでもまだ、この記事で取り上げる他のどの会社の見積価格よりも断然高い。Apple はまた、下取りの対象にならないものもあると言っており、その場合には Apple が無料でリサイクルしてくれる。

注意しておきたいのは、iPhone を Apple に下取りに出せば、下取り額はギフトカードとして受け取るか、または店頭での購入価格からの即時値引きとしてしか受け取るかしかないことだ。もちろん、新しい iPhone なり他の Apple 製品なりを購入しようとしているのならば何の問題もないし、その点こそが Apple が他の会社よりも高い見積価格を出せる理由となっているのだろうが、もしもあなたが新しいスマートフォンを別のところで買おうとしているのならば、あるいは単純に現金が欲しいのならば、このプログラムでは具合が悪いかもしれない。

他のいくつかのサイトとは違って、Apple はあなたが iPhone を下取りに出す前にその iPhone 上のデータをクリアする方法を説明したサポート記事を出している。データのクリアは、どんな場合にでも必ずやっておくべきことだ。

Cult of Mac の買い戻しプログラム

Cult of Mac をテクノロジー系のニュースサイトだと思っている Apple ユーザーも多いが、少数の人たちはここが Apple 製の機器を買い取ってくれるところだと思っている。けれども 2015 年に、このサイトは Cult of Mac Buy-Back Program を開始して、他の、取扱対象を絞っていない Gazelle のようなところよりも高い金額を Apple 製品に支払えると主張した。Cult of Mac の出版者 Leander Kahney が手を下して古い iPhone を調べたりする心配はない。なぜならアーカンソー州に本拠を置くリサイクル業者 MyPhones Unlimited がこのプログラムをホワイトラベル化しているからだ。

Cult of Mac は、ボタンが壊れたり、水没してしまったりしたものなど、もはや動作しなくなった iPhone さえ取り扱っている。このプログラムは買い取り価格を小切手で支払っており、たいていの人は自分のスマートフォンを郵送してから一週間以内に支払いを受けている。このプログラムを利用する際には送料を負担する必要がない。サイトで示された見積価格をあなたが了承すれば、あなたのところに小包が届き、その中にスマートフォンを発送するための送料支払い済み郵送ラベルが入っている。

見積価格の有効期間は 2 週間なので、あなたが発送する小包には期限が切れる前の消印が押されていなければならない。そうでない場合には、発送が遅れた日数に応じて減額された価格が支払われるかもしれない。

Cult of Mac のプログラムには、届いたスマートフォンの状態に応じて支払われる価格が変わることもあると明記されている。例えば、さきほど例に挙げた良好な状態の 64 GB iPhone 8 Plus からは $120 が手に入るかもしれないが、同じモデルでも全く動作しなければたった $10 の小切手にしかならないかもしれない。

Simply Mac の Simple Trade プログラム

Simply Mac は独立の Apple 小売業者で、米国各地に店舗を持っている。この会社の Simple Trade プログラムも、iPhone を店舗に持ち込んで下取りに出したいけれども近所に Apple Store がないという人たちとっての選択肢だ。このプログラムでは、店頭でデバイスを手にした Simply Mac がそれを調べて、あなたに買い戻し額を告げる。残念ながら、下取りは Simply Mac の店頭でしか受け付けていない

けれども、オンラインで下取り予想額を得るのは簡単にでき、ほんの一・二分で済む。私の 64 GB iPhone 8 Plus に示された下取り予想額は $108 だった。しかしながら、Apple と同様、Simply Mac では現金や小切手での支払いはしておらず、下取りは店頭購入価格からの値引きとしてしか利用できない。

下取りに出したスマートフォンはどうなる?

Apple's Daisy recycling robot
Apple のリサイクルロボット "Daisy"

では、買い戻しプログラムに参加した人々が持ち込んだ iPhone はその後どこへ行くのだろうか? 一般的に言って、古い iPhone が辿る運命はその状態に依存する。比較的新しくてきちんと動作するものは再販売されるが、古いモデルだったりうまく機能しなかったりするものは専門の工場に送られてそれぞれの部品や素材ごとにリサイクルされる。上で説明した買い戻しあるいは下取りのプログラムを利用した場合、あなたの iPhone がどうなるのか考えてみよう。

2016 年以来、Apple は社内用のリサイクルロボットを導入して、下取りプログラムで届いたけれども整備品に回すには適していないものから素材を回収するために使っている。その同じ年に、Apple が自社のウェブサイトで整備済製品の iPhone を販売し始めたことを 9to5Mac の記事が伝えた。ただし、どの程度の数が他のところへ回されたかは明らかでない。そうなる以前の Apple は、下取りした iPhone をサードパーティの小売業者に与えたり、修理に持ち込まれた他の iPhone のために部品を提供したりまたは丸ごと交換したりするために取り置いたりしていた。

2018 年に、Apple は 8 百万台近くの自社のデバイスを修理して整備品とし、48,000 トン以上の電気・電子機器廃棄物をゴミ廃棄に回すことなく回収するようにした。最新の Apple のリサイクルロボットには擬人化した Daisy という名前が付けられているが、これは一時間あたり 200 台の iPhone を分解しでき、それはつまり理論的には一年間に 1,700 万台以上ということになる。(2018 年 4 月 23 日の記事“Apple、新しい iPhone 分解ロボットとリサイクルプログラムを導入”参照。)

けれどもすべての iPhone が Daisy に供される訳ではない。Apple は、Daisy が同社の下取りプログラムから来たうちの一部の中古 iPhone と、米国の Best Buy とオランダの KPN ストアでのリサイクルの取り組みから調達されたもののみを扱うと明言している。

リサイクル工場向けの iPhone をもしも Apple 自身が扱わなければ、同社のグローバルネットワークに属する提携会社のどれかが扱うことになる。Apple は、参加する国に住む人たちがリサイクルについてもっと詳しく知ることができるようにリンクを提供しているが、たいていの場合その仕事を担当するのが誰かについては明かしていない。

Apple が完全な情報公開に必ずしも前向きでないと感じられるとするなら、残りの 2 つの会社は古いスマートフォンの扱いについてさらにもっと口をつぐんでいる。Cult of Mac と Simply Mac のいずれも可能な場合には整備品の iPhone を販売しているけれども、いずれもどこで販売するかは明かさない。両社とも、リサイクル工場がどこにあるかは語ろうとしない。

けれども、テネシー州 Mountain Home に本拠を置く電子機器リサイクル業者 The Whiz Cells の CEO でありオーナーである Travis May が、この業界がどのように稼働しているかについてもう少し明確な展望を与えてくれた。誰かがもう要らないと言って手放した iPhone を再生して整備品とすることの可能性について、彼は「それはモデルにもよりますし、どこが悪いかにもよります。モデルが新しければ、整備品として販売できる可能性が高くなります。まだ十分にライフサイクルが残っているからです」と説明した。

ならば新しいモデルでない iPhone についてはどうかというと、May は「古い iPhone は一般的に部品を取るために販売され利用されます。例えばスクリーンが割れている比較的新しいモデルならば、スクリーンを修理して再販売されます」と述べた。

The Whiz Cells では利用可能な部品のためにしかスマートフォンのリサイクルをしていないが、May は他の会社では不要なデバイスから原料を調達しているところもあると説明した。「プラスチックは溶けてしまいますが、金属は抽出できます。今は金属の筐体を持ったスマートフォンが多いです」と May は述べた。

スマートフォンのバッテリーをリサイクルするのは特に困難だが、改良によって少しずつ容易になりつつある。「多くのリサイクル会社がバッテリーに苦労し、そのリサイクルのために苦闘していますが、そのためのテクノロジーが本当にやって来ようしています」と May は述べた。

別の会社に目を向ければ、Tech SI は英国の会社で整備品の電子機器を世界中に流通させており、その大多数は Apple と Samsung の製品だ。ここは等級評価のシステムを使っていて、届いた電子機器をそのシステムにかけることでそれがどこへ行くかを決めている。最も高い等級は“新品同様”で、それに続いて A、B、C の等級が並ぶ。

最高等級のスマートフォンは通常、保険会社へ行く。保険会社はそれを、保険請求をして交換品のデバイスを必要としている顧客に送る。B 等級や C 等級のデバイスは通常卸売販売業者に届けられる。

別の言葉で言えば、私の古い iPhone は結局どこへ行くのかという疑問に単純な答は存在しない。けれども、たとえ全く機能しなくなった iPhone であっても、ゴミ箱に捨ててしまうよりは、リサイクルのために Apple に送る方が、たとえ引き換えにびた一文受け取れなかったとしても良い選択肢だと言える。そして、まだまだ動く比較的新しいモデルならば、その会社が結構な額で買い取ってくれて、新しい iPhone に払う費用がかなり抑えられるのも十分あり得ることだ。


Jenna Tsui はテクノロジーと消費者動向のライターで、MakeTechEasier、Technology Networks、TriplePundit、その他に記事を書いている。Jenna が書いたものをもっと読みたければ、TheByteBeatサイトを訪れるか、あるいは Twitter で彼女をフォローしよう。

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata   

BBEdit 13.0.5

BBEdit 13.0.5

Bare Bones Software が BBEdit 13.0.5 を出した。この古参のテキストエディタでいくつかの細かなバグを修正した、メンテナンス・リリースだ。今回のアップデートでは Swift 言語の問題点によって Swift 5 の拡張文字列デリミタのカラーリングが混乱していたのを解消し、非 ASCII 文字を含む Git ブランチ名がナビゲーションバー上で正しく表示されなかったバグを修正し、text factory の Replace All シートの Grep パターンメニューが編集フィールドのフォントでなくシステムフォントになってしまった問題に対処し、BBEdit 自体が開いたファイルの "date last used" 属性を更新してそのファイルが Finder の Recents リストに現われるようにし、マルチディスプレイのシステムでウィンドウをズームした際に別のディスプレイに移動してしまうことがないようにした。(新規購入 $49.99、無料アップデート、13.9 MB、リリースノート、macOS 10.14.2+)

BBEdit 13.0.5 の使用体験を話し合おう

GraphicConverter 11.1.3

GraphicConverter 11.1.3

Lemkesoft が GraphicConverter 11.1.3 をリリースして、このグラフィックスプログラム Swiss Army ナイフに非常に多数の機能更新、改善、バグ修正を盛り込んだ。今回のリリースではヘルパーアプリを使わずに 64-bit PCD (Kodak Photo CD 画像) をネイティブに読み込む機能に対応し、ビデオの日付をコピー先フォルダのマッチするビデオにコピーできるようにし、マージンをパーセンテージで追加・削除するバッチアクションを追加し、アイコンセットの書き出しを新しい iOS サイズに対応させ、Exif 書き出しを改良し、Find Duplicates 機能に Delete Both ボタンを追加し、JPEG2000 をカラープロファイル付きで保存する際に起こり得たエラーを修正し、テキストのプレビューの問題点を解消し、macOS 10.15.2 Catalina かそれ以降で iPhone からダウンロードできなくなったバグに対処している。(Lemkesoft からも Mac App Store からも新規購入 $39.95、無料アップデート、155 MB、リリースノート、macOS 10.9+)

GraphicConverter 11.1.3 の使用体験を話し合おう

SpamSieve 2.9.39

SpamSieve 2.9.39

C-Command Software が SpamSieve 2.9.39 をリリースして、このベイズ推定に基づくスパム電子メールフィルタリングツールの正確度を向上させるとともに Apple の Mail におけるスパムメッセージの表示をさまざまなハイライト色を使って改善した。今回のアップデートではまた、登場予定の macOS 10.15.4 Catalina における変更点によって Mail が SpamSieve のプラグインをロードできなくなる問題を回避し、スパムとマークされたスパムメッセージが Spam メールボックスに移動しないことがある Mail のバグに対処し、処理済みのメッセージのコピーをバックアップ用に保存する実験的機能を新たに追加し、IMAP または Exchange メールボックスに移動すべきメッセージが削除されてしまうことがある Catalina の稀なバグを修正し、Mail および Postbox のプラグインを macOS の新しい公証要件に合わせて改訂している。(新規購入 $30、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、15.6 MB、リリースノート、macOS 10.7+)

SpamSieve 2.9.39 の使用体験を話し合おう

Default Folder X 5.4.3

Default Folder X 5.4.3

St. Clair Software が Default Folder X 5.4.3 をリリースして、Finder、Path FinderForkLift でフォルダを開くパフォーマンスを改善した。この Open/Save ダイアログを拡張するユーティリティはまた、メニューや Finder ドロワに表示されるプレビューが非常に大きなサイズに拡大されてしまうのを防止し、速度の遅いネットワークドライブに保存する際に Save As ダイアログの反応が非常に遅くなった問題を解消し、iCloud Drive フォルダを Default Folder X が正しく表示できなかったバグを修正し、現在の Space にない Finder ウィンドウを Default Folder X が見つける機能を修正し、メニューコマンド "Forget Recent xxx" が Option キーを押していれば "Forget All Recent Data" に変わるようにし、Default Folder X が Pro Tools で動作しなかった問題に対処している。(新規購入 $34.95、TidBITS 会員には新規購入で $10、アップグレードで $5 の値引、8.4 MB、 リリースノート、macOS 10.10+)

Default Folder X 5.4.3 の使用体験を話し合おう

CleanMyMac X 4.6

CleanMyMac X 4.6

MacPaw が CleanMyMac X 4.6 をリリースして、あなたの個人的データをもっと制御できるようにする新機能を Privacy モジュールに導入した。macOS 10.15 Catalina のみで利用できる Application Permissions 管理機能は、どのアプリがあなたのカメラ、マイク、ファイル、フォルダにアクセスできるかをチェックでき、たった数回のクリックでそれらのアクセス権を管理できるようにする。また、Privacy モジュールは今回から検索した後も Chrome ブラウザの中に残る検索クエリーを削除できるようにし、また Chrome 同期がオンの場合に Chrome ブラウザ項目の削除を改善している。この汎用クリーニング・メンテナンスアプリはまた、CleanMyMac の特権的運用のセキュリティを拡張し、システム起動時に起動される悪意を持った実行可能ファイルの探知を改善し、数多くのクラッシュを解消している。(新規購入は $89.95 の一回払いまたは $34.95 の年間講読、月額 $9.99 の Setapp Mac アプリ購読サービスの一部としても入手可、無料アップデート、49 MB、 リリースノート、macOS 10.10+)

CleanMyMac X 4.6 の使用体験を話し合おう

OmniFocus 3.6

OmniFocus 3.6

The Omni Group が OmniFocus 3.6 をリリースして、"floating" タイムゾーンへの対応を追加することによりあなたが世界中のどこにいても同じローカル時間で項目の期限が来たり利用可能になったりするようにした。古い挙動、つまり旅行中にはローカルな期限を変更して延期するようにしたい項目については Dates Inspector で "Use floating time zone" のチェックを外せばよい。あなたのすべてのデバイスでバージョン 3.6 へのアップデートが完了して同期が実行されれば、floating タイムゾーンに対応した新しいデータベースのフォーマットに移行するかどうか尋ねてくる。

このタスク管理アプリはまた、Columns レイアウトで一部のカラムが重なることがあった問題を解消し、"Resurrection Error" メッセージが出ていたいくつかの問題に対処し、ウェブ版 OmniFocus を使っている際にデータベースの移行が終了できなくなったバグを修正し、データベース移行のフローを改良し、変更をサーバに送る際に複数の編集を待機しないようにしている。(Omni Group ウェブサイトでの新規購入は Standard 版が $39.99、Pro 版が $79.99、Mac App Store では Standard 版が $39.99、アプリ内購入で Pro 版にアップグレード可、65 MB、リリースノート、macOS 10.14+)

OmniFocus 3.6 の使用体験を話し合おう

Retrospect 17

Retrospect 17

StorCentric が Retrospect 17 をリリースした。この Mac 用バックアップおよび復旧ソフトウェアのメジャーな新リリースだ。(StorCentric は DroboNexsan の親会社で、2019 年 6 月に Retrospect を引き続き独立の、しかし完全所有する子会社とするために買収した。) 今回のアップデートでは Retrospect の Management Console を拡張してバックアップエンジンのダッシュボード状況表示を改良するとともに Retrospect Backup エンジンを自動的に取り込むようにし、ProactiveAI スケジュールエンジンを最適化してストレージプロファイルの異なる多くのソースも処理できるようにするとともに動作速度を最大 10 倍高速化し、再構築されている最中のストレージグループへのバックアップでの問題点を解消し、Dropbox のパフォーマンスを改善し、またログ記録に関係したタイムゾーンと Daylight Saving Time のバグを修正している。

Retrospect 17 は現行の年間サポートおよびメンテナンス契約をしている顧客には無料で、同社は新規およびアップグレードの購入についてさまざまの価格設定オプションを提供している。サーバではない 1 台のコンピュータとその外付けハードドライブを保護するには、Retrospect Solo が一回限りの購入ならば $49 (従来のライセンスからのアップグレードは $29) または購読ならば月額 $3.99 (年額ならば $39.99) だ。サーバではない 1 台の Mac に加えてあと 5 台までの Windows、Mac、Linux コンピュータのバックアップには、Retrospect Desktop が $119 (アップグレードは $69) または月額 $9.99 (年額ならば $99) だ。Solo 版と Desktop 版のいずれにも、Management Console を追加 (Solo および Desktop) またはスマートフォン対応を追加 (Solo) した Premium オプションがある。無料でフル機能の 45 日間有効試用版もある。(新規購入は Retrospect Solo が $49、Retrospect Desktop が $119、アップグレード価格あり、195 MB、 リリースノート、macOS 10.8.5+)

Retrospect 17 の使用体験を話し合おう

ExtraBITS

訳: Mark Nagata   

クラウド・コンピューティングは思っていたよりエネルギー効率が良い

データセンターの電力消費は 2000 年から 2005 年で倍増し、2005 年から 2010 年でまた 56% 増加した。2010 年代初頭にクラウド・コンピューティングへ移行したことにより、データセンターの電力消費量が急増するのではないかと危惧する人たちは多かった。けれども雑誌 Science が公表New York Times が報道した調査によれば、研究者たちは 2010 年から 2018 年までの間でコンピューティング出力が 6 倍になったにもかかわらずデータセンターの電力消費量はたった 6% しか増えなかったことを見出した。

Apple's Iowa datacenter

効率が上がった理由の一つは、小規模な会社が非効率なサーバを放棄して Amazon や Google のような大手のプロバイダに切り替えるようになったことだろう。大きな会社ならば、自社のデータセンターであらゆる細々としたところに目を配って効率を上げて行けるだけのリソースと動機を持っているからだ。大規模なテクノロジー会社ならばカスタマイズしたチップ、高密度のストレージ、カスタマイズした冷却システム、そして仮想化などのテクニックを駆使して電力消費を抑えることができる。そして、Apple のニュースに注意を払ってきた人ならとうにご存知だろうが、Apple は以前からこの分野に努力を傾けていて、同社によれば 43 か国に展開しているそのオフィス、リテール店、そしてデータセンターのすべてが現在再生可能なエネルギーで運営されており、その大部分が Apple 独自のプロジェクトによって発電されているという。しかしながら、Bitcoin は引き続き問題だ

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夜には HomePod を静かにさせる

HomePod をお持ちならば、どれだけ大音量を出せるかはご存知だろう。毎晩、私はベッドに入る前に、HomePod に向かって家中の HomeKit 照明を消灯せよと命じる。とても便利なのだがただ一つ、音量が大き過ぎると困る。そんな時私は縮みあがって、Siri の大声の返事が二人の幼い子供たちを起こしませんようにと心に願うのだ。ありがたいことに、Matthew Cassinelli が Home アプリの中で HomePod を自動化できることを利用した解決策を見つけてくれた。毎日特定の時刻に HomePod の音量を下げるオートメーションを、彼はていねいに手順を踏んで説明する。また、彼の説明に少々変更を加えるだけで、毎朝 HomePod の音量を上げるもう一つのオートメーションを作ることもできる。最近アップデートを出版したばかりの Take Control of Apple Home Automation を執筆する際にこのアイデアを思い付けていたらなあと思えてならない。

HomePod

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The Verge、メディア制作用に $16,599 の Mac Pro をレビュー

エンジニア兼開発者の Craig Hunter が $31,199 の Mac Pro をレビューした記事を、最近の記事 (2020 年 2 月 28 日の記事“$31,199 の Mac Pro の性能を試す”参照) で紹介した。今回 The Verge が、$16,599 のモデルを親会社 Vox Media でレビューした。(税込価格は $18,072.16 だ。) こちらの Mac Pro は 3.2 GHz 16 コア Intel Xeon W、96 GB の RAM、1 TB SSD、2 基の Radeon Pro Vega II グラフィックカード、加えてビデオ加速用に $2000 の Afterburner カードという構成だ。そうして The Verge は Vox Media 社内で何人かのビデオ制作者やポッドキャスト制作者にこのマシンを使ってもらった。

良い点を言えば、このマシンのデザインは素晴らしく、とてつもなく速い Mac であることが分かった。けれども残念ながら、Vox 社のメディア制作者たちがすぐに気付いたのは、彼らが依存して使っている Adobe のツールが、既に使っている iMac で動かした場合と比べて大して違いを生まないことだった。その理由は、After Effects、Photoshop、Premiere Pro といったアプリがいずれも Mac Pro のパワーを活用できるように最適化されていないからだ。けれども、Cinema 4D を使ったレンダリングでは大幅なパフォーマンスの進歩がみられたし、Final Cut Pro で使っている Apple の Afterburner カードはずっと高速で動作した。Adobe によれば、Mac Pro 用の最適化は将来出す予定だが期日は言えないとのことであった。

比較のために、The Verge は 3.7 GHz 32 コア AMD Ryzen Threadripper 3970X プロセッサ、128 GB の RAM、2 TB SSD、デュアル Nvidia GeForce RTX 2080 Ti グラフィックカードを搭載した PC を $14,247 (税込) で注文してテストしてみた。この PC は図体が醜くて騒音も大きかったが、パフォーマンスのテストでは Mac Pro を完全に打ち負かした。

ここでの結論は何か? もしあなたがメディア制作をしているなら、あなたが Final Cut Pro など Apple のアプリを使っていれば Mac Pro は直ちにその価値を発揮できる。Apple は既にそれらのアプリを自社のハードウェアのために最適化しているからだ。けれどももしあなたが (大多数のメディアのプロフェッショナルたちと同じく) Adobe のツールを使っているなら、Windows PC の方がより良い総合的選択と言える。それに、大多数の Mac 使いのプロフェッショナルたちにとって、27 インチ iMac を負かすことは難しい。ここ TidBITS でも 27 インチ iMac を使っているし、皆さんにもお薦めしている。

あなたの会社で Mac Pro を使うことを検討しているなら、Apple が出している Mac ProPro Display XDR のハードウェアガイドを必ず読んでおこう。ここに、詳細なハードウェア仕様と構成への助言が載っている。

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