SETI@home のボランティアの部分は冬眠に入る。SETI@home は世界で最初の大規模な分散コンピューティングプロジェクトで、CPU サイクルに余裕のある人になら誰でも、Berkeley Search for Extraterrestrial Intelligence Research Center が宇宙からの通信信号の形跡を探す手助けをさせてくれるものであった。このプロジェクトはおよそ 21 年前に立ち上げられたのだが ("SETI が家庭の Mac に情報空間の探索をもたらす" 24 May 1999 参照)、長い間、多くのオンライン集団がチームを結成して、最大の作業貢献点を競うという Internet 上の一大イベントでもあった。TidBITS も SETI@home チームを Mac クライアントの立ち上げ時から持っていたことがあり、獲得した点数は 303 百万点を超え、上位 5% のチームに入っていた。現在でも 活動しているメンバーは 23 人おり、最も目につくのは Bob Lauterbach で、103 百万点を超える貢献をしている!
Folding@home がインストールされると、Web ページが開いて Mac クライアントに接続しようとする。だが、今はそれは働かないので無視する。
Finder で、/Applications/Folding@home を開き、FAHControl を立ち上げる。それは Windows 95 アプリケーションの様に見えるかもしれないが、気にしないこと。
警告が提示され - 少々時間がかかるかもしれない - そのクライアントには ID が与えられていないと言われる。 Fold Anonymously をクリックして直ぐに始める選択肢もあるし、或いは、自分の Mac の CPU サイクルに貢献点数を貰いたければ、Configure Identify をクリックしてユーザー名を入力する。TidBITS チームに参加することも可能で、その場合チーム番号に 236284 を入力する。
Folding@home は多くの CPU サイクルを消費するので、Mac ラップトップが電池で動いている場合、デフォルトではこのクライアントは動作を停止する。この設定は、Configure > Advanced > Power で入り切り出来る。
自分の Mac が何をしているか知りたい? Viewer ボタンをクリックして FAHViewer を開き、あなたが貢献している分子の 1990 年代風の作画を楽しんで欲しい。
もっと目に優しいインターフェースを希望するのであれば、https://client.foldingathome.org/ の Web クライアントにアクセスする。"I support research fighting" 設定が Any Disease に設定されている限り、COVID-19 計算にも使えるはずである。
その始まりはごく普通のことのように見えた。私の息子が持っているお下がりの iPhone 8 Plus の背面カメラとフラッシュ光が、突然動作しなくなった。そこで私は次の日に Apple Store の予約を取った。店に着くと、一人の Apple 従業員がすぐに問題を確認して、部品の在庫があるのでおよそ一時間で修理が終わるだろうと言った。
その Apple Store の係員に私のクレジットカードアプリを見せたところ、この課金は "保留中" と表示され、AppleCare+ は言及されず、ただ Apple とだけ示されていた。彼は領収書を持っているかと尋ねたが、私は電子メールをサーバに保存せずすべてダウンロードするようにしているので、私の iPhone 上に出して見せることができなかった。でも、間違いなく Apple は私の AppleCare+ 延長について知っているはずではないか。Apple Store の従業員なら、それをチェックできるはずだよね?
私はうるう日を疑った。あとで Apple Support に 20 分間の電話をして、私の疑念は裏付けられた。請求書担当のその係員は、私の保証が有効であることを確認した上で、課金は保留中であって拒絶された訳ではないと認めた。彼によれば Apple Store はこの保証を認めるべきであったし、私と同じ問題を訴える電話がその日殺到しているとのことだった。明らかにそれは、うるう日によって引き起こされた請求のエラーであった。
今回私が遭遇したこの特定の問題は、どうやら Apple のバックエンドのコンピュータシステムの欠陥ではないかと思われる。あらゆることがあまりにも脆弱で融通が利かないところを見れば、私としては Apple が疲れ切ったハムスターたちによって書かれた大昔の WebObjects コードに未だに依存しているのではないかという疑惑がぬぐい切れない。どういうわけか、Apple Store の従業員たちは Apple Support の電話対応担当者には見ることのできるシステムを見ることができず、また顧客たる私に送付済みの領収書を読み出すこともできない。Apple 自身のシステムが生成した領収書を見せてくれと Apple 従業員が私に頼むなど、奇妙としか言いようがないではないか。
でも本当の問題点は、模範的な顧客サービスを提供できる権限が従業員に与えられていないことだ。「そうですね、これは明らかに間違っていますので、今回の修理は私たちの権限でさせて頂きます。もし何か問題が起これば、私たちがそれをお引き受けします。私たちはお客様を信用致しておりますし、何しろお客様は私たちに [34 年間も Apple 製品を購入し続けているのだから総額は $100,000 を超えているはずだ] もお支払いくださっていらっしゃるのですから。おそらくシステムの誤作動ですので、お客様にはご心配をおかけ致しません。うるう年って、何てことでしょう!」と言わせられるだけの権限を与えるほどには Apple は Apple Store の従業員を信頼していないのだ。
ほんの数日前、妻と私は United Airlines で、マイレージサービスで貯めたマイル数で国際線の予約をしようとしてどうも壊れているように見えるシステムの問題に行き当たり、フラストレーションに見舞われたが、一時間ほど費やして電話した相手が、世界一素晴らしい顧客サービス担当者であった。私たちの問題の話を聞くと、彼は直ちにチケット 1 枚あたり $25 の電話サポート料金を適用除外にしてくれた上で、私たちが遭遇した問題の再現に取り掛かった。オンライン予約を完了できなかった原因が United の側にあると分かったので、彼はサイト上では見えていたのに予約できなかった元のルートと似た経路だけれどもはるかに長いマイル数 (およそ 60% 増し) が加算されるフライトに私たちを乗せてくれた。それなのに余分のマイル数を「課金」されたり追加料金を取られたりといったことはなかった。
United 航空はこの電話サポート担当者を信頼している。Apple が Apple Store の従業員を信頼する度合いとは大違いだ。そしてもちろん、私たちは United のこの担当者の名前と詳細を教えてもらい、称賛の言葉に満ちた感謝の電子メールを書き、彼の上司が手ずから書いた返信をもらった。
Apple の技術サポートはいつも業界でトップ近くの評価を受けている。問題を解決するやり方が評価されているからだ。もしも Apple がその信頼と支援をすべての従業員にまで拡張して、どの部門でも問題がきちんと解決されるようになり、私や他の多くの人たちのようにうるう日のバグに巻き込まれて憂鬱な気持ちのまま放り出される事態がなくなったならば、どんなに素敵だろうか。
それからまた、私はあの Apple Store 従業員が私に調べさせることを思い付かなかったもう一つの場所があることに気付いた。息子のではなく、私自身のアカウントの、Settings > あなたの名前 > Subscriptions 画面だ。保証の料金を支払っているのは私だからだ。この画面にも正しい有効期限が表示されていた。
次の日、妻は再び Apple Store へ行き、修理を必要とする他の 2 台のスマートフォンと、印刷した領収書、それに購読がアクティブであることを示した私からのテキストメッセージを一緒に持って行った。それでもまだ妻が担当者を納得させるまでに 10 分以上かかり、私がスピーカーフォンで会話に参加することさえ必要だった。最終的には彼らも折れて、問題の iPhone 8 Plus を AppleCare+ で修理することに同意した。一番愉快だったのは何かって? それは、技術者の一人が彼自身の iPhone を調べてみたところ、その iPhone も保証期限切れだと表示された。彼もまた、クレジットカードの課金が "保留中" と表示されていたのだった!
いったいなぜ iPhone が保証の有効性を認識しているにもかかわらず Apple Store のデータベースがそのことを認識していないのか、その理由は Apple の古色蒼然たるコードの奥深き内奥まで踏み込まなければ分からないのだろう。ただ、今回の経験ではっきりしたのは、Apple のコードとこの会社の顧客サービス方針の両方ともに、バグが存在しているという事実だ。
Apple は毎年新しい iPhone をリリースしている。私たちにとって Apple の最新のテクノロジーに触れられる機会なのでそれは素晴らしいことだが、見方を変えればまだまだ良い状態で十分に使えるものを持っているにもかかわらず新しいモデルにアップグレードせざるを得ない気持ちにさせられるということでもあり得る。金銭的な判断として最も分別あるのは今持っている iPhone を可能な限り長く使い続けることだが、やはり最新最高のものが欲しいという人は、買い戻しプログラムを使えば新しいモデルに支払うお金を節約できる。
この記事では iPhone の買い戻しプログラムのみに議論を絞っていることにご注意頂きたいが、ここで取り上げる会社はいずれも、他の Apple 製品、つまり iPad、MacBook、その他も取り扱っている。
iPhone を売りたい場合、あまりにもたくさんの選択肢があって圧倒されてしまうことがあるかもしれない。そんな際の選択の参考になればと思い、私は主として Apple ユーザーを対象としたいろいろのプログラムを検討してみた。その結果、見積価格を知りたいスマートフォンオーナーに対して十分な透明性が提供されるかどうか、Apple 製品を十分熟知しているかどうか、顧客あるいは顧客となる可能性のある人たちに対して十分に役立つ、手軽にアクセスできる情報が提供されるかどうかという観点から、3 つのプログラムが傑出していることが分かった。
Apple Trade In プログラム
古い iPhone を下取りに出して新しい iPhone を購入したい場合、たぶんこれが最も分かりやすいやり方だと言えるだろう。Apple Trade In プログラムは、どうやら実際の運営は Phobio というサードパーティの会社が担っているようだ。このやり方を選んだ場合には、近所の Apple Store に持ち込むこともできるし、送料無料の下取りキットを使って iPhone を送付することもできる。
Apple によれば、iPhone のモデルと状態に応じて $100 から $600 までくらいの下取り額がつくという。奇妙なことに、Apple Trade-In Program サイトのメインページには iPhone 8 Plus が最大 $250 と書かれているが、良い状態のそのモデルについて実際に査定のページを通してみるとその結果はたったの $215 と出た。それでもまだ、この記事で取り上げる他のどの会社の見積価格よりも断然高い。Apple はまた、下取りの対象にならないものもあると言っており、その場合には Apple が無料でリサイクルしてくれる。
注意しておきたいのは、iPhone を Apple に下取りに出せば、下取り額はギフトカードとして受け取るか、または店頭での購入価格からの即時値引きとしてしか受け取るかしかないことだ。もちろん、新しい iPhone なり他の Apple 製品なりを購入しようとしているのならば何の問題もないし、その点こそが Apple が他の会社よりも高い見積価格を出せる理由となっているのだろうが、もしもあなたが新しいスマートフォンを別のところで買おうとしているのならば、あるいは単純に現金が欲しいのならば、このプログラムでは具合が悪いかもしれない。
Cult of Mac をテクノロジー系のニュースサイトだと思っている Apple ユーザーも多いが、少数の人たちはここが Apple 製の機器を買い取ってくれるところだと思っている。けれども 2015 年に、このサイトは Cult of Mac Buy-Back Program を開始して、他の、取扱対象を絞っていない Gazelle のようなところよりも高い金額を Apple 製品に支払えると主張した。Cult of Mac の出版者 Leander Kahney が手を下して古い iPhone を調べたりする心配はない。なぜならアーカンソー州に本拠を置くリサイクル業者 MyPhones Unlimited がこのプログラムをホワイトラベル化しているからだ。
Cult of Mac は、ボタンが壊れたり、水没してしまったりしたものなど、もはや動作しなくなった iPhone さえ取り扱っている。このプログラムは買い取り価格を小切手で支払っており、たいていの人は自分のスマートフォンを郵送してから一週間以内に支払いを受けている。このプログラムを利用する際には送料を負担する必要がない。サイトで示された見積価格をあなたが了承すれば、あなたのところに小包が届き、その中にスマートフォンを発送するための送料支払い済み郵送ラベルが入っている。
Cult of Mac のプログラムには、届いたスマートフォンの状態に応じて支払われる価格が変わることもあると明記されている。例えば、さきほど例に挙げた良好な状態の 64 GB iPhone 8 Plus からは $120 が手に入るかもしれないが、同じモデルでも全く動作しなければたった $10 の小切手にしかならないかもしれない。
Simply Mac の Simple Trade プログラム
Simply Mac は独立の Apple 小売業者で、米国各地に店舗を持っている。この会社の Simple Trade プログラムも、iPhone を店舗に持ち込んで下取りに出したいけれども近所に Apple Store がないという人たちとっての選択肢だ。このプログラムでは、店頭でデバイスを手にした Simply Mac がそれを調べて、あなたに買い戻し額を告げる。残念ながら、下取りは Simply Mac の店頭でしか受け付けていない。
けれども、オンラインで下取り予想額を得るのは簡単にでき、ほんの一・二分で済む。私の 64 GB iPhone 8 Plus に示された下取り予想額は $108 だった。しかしながら、Apple と同様、Simply Mac では現金や小切手での支払いはしておらず、下取りは店頭購入価格からの値引きとしてしか利用できない。
Apple が完全な情報公開に必ずしも前向きでないと感じられるとするなら、残りの 2 つの会社は古いスマートフォンの扱いについてさらにもっと口をつぐんでいる。Cult of Mac と Simply Mac のいずれも可能な場合には整備品の iPhone を販売しているけれども、いずれもどこで販売するかは明かさない。両社とも、リサイクル工場がどこにあるかは語ろうとしない。
けれども、テネシー州 Mountain Home に本拠を置く電子機器リサイクル業者 The Whiz Cells の CEO でありオーナーである Travis May が、この業界がどのように稼働しているかについてもう少し明確な展望を与えてくれた。誰かがもう要らないと言って手放した iPhone を再生して整備品とすることの可能性について、彼は「それはモデルにもよりますし、どこが悪いかにもよります。モデルが新しければ、整備品として販売できる可能性が高くなります。まだ十分にライフサイクルが残っているからです」と説明した。
The Whiz Cells では利用可能な部品のためにしかスマートフォンのリサイクルをしていないが、May は他の会社では不要なデバイスから原料を調達しているところもあると説明した。「プラスチックは溶けてしまいますが、金属は抽出できます。今は金属の筐体を持ったスマートフォンが多いです」と May は述べた。
スマートフォンのバッテリーをリサイクルするのは特に困難だが、改良によって少しずつ容易になりつつある。「多くのリサイクル会社がバッテリーに苦労し、そのリサイクルのために苦闘していますが、そのためのテクノロジーが本当にやって来ようしています」と May は述べた。
別の会社に目を向ければ、Tech SI は英国の会社で整備品の電子機器を世界中に流通させており、その大多数は Apple と Samsung の製品だ。ここは等級評価のシステムを使っていて、届いた電子機器をそのシステムにかけることでそれがどこへ行くかを決めている。最も高い等級は“新品同様”で、それに続いて A、B、C の等級が並ぶ。
最高等級のスマートフォンは通常、保険会社へ行く。保険会社はそれを、保険請求をして交換品のデバイスを必要としている顧客に送る。B 等級や C 等級のデバイスは通常卸売販売業者に届けられる。
別の言葉で言えば、私の古い iPhone は結局どこへ行くのかという疑問に単純な答は存在しない。けれども、たとえ全く機能しなくなった iPhone であっても、ゴミ箱に捨ててしまうよりは、リサイクルのために Apple に送る方が、たとえ引き換えにびた一文受け取れなかったとしても良い選択肢だと言える。そして、まだまだ動く比較的新しいモデルならば、その会社が結構な額で買い取ってくれて、新しい iPhone に払う費用がかなり抑えられるのも十分あり得ることだ。
St. Clair Software が Default Folder X 5.4.3 をリリースして、Finder、Path Finder、ForkLift でフォルダを開くパフォーマンスを改善した。この Open/Save ダイアログを拡張するユーティリティはまた、メニューや Finder ドロワに表示されるプレビューが非常に大きなサイズに拡大されてしまうのを防止し、速度の遅いネットワークドライブに保存する際に Save As ダイアログの反応が非常に遅くなった問題を解消し、iCloud Drive フォルダを Default Folder X が正しく表示できなかったバグを修正し、現在の Space にない Finder ウィンドウを Default Folder X が見つける機能を修正し、メニューコマンド "Forget Recent xxx" が Option キーを押していれば "Forget All Recent Data" に変わるようにし、Default Folder X が Pro Tools で動作しなかった問題に対処している。(新規購入 $34.95、TidBITS 会員には新規購入で $10、アップグレードで $5 の値引、8.4 MB、 リリースノート、macOS 10.10+)
The Omni Group が OmniFocus 3.6 をリリースして、"floating" タイムゾーンへの対応を追加することによりあなたが世界中のどこにいても同じローカル時間で項目の期限が来たり利用可能になったりするようにした。古い挙動、つまり旅行中にはローカルな期限を変更して延期するようにしたい項目については Dates Inspector で "Use floating time zone" のチェックを外せばよい。あなたのすべてのデバイスでバージョン 3.6 へのアップデートが完了して同期が実行されれば、floating タイムゾーンに対応した新しいデータベースのフォーマットに移行するかどうか尋ねてくる。
このタスク管理アプリはまた、Columns レイアウトで一部のカラムが重なることがあった問題を解消し、"Resurrection Error" メッセージが出ていたいくつかの問題に対処し、ウェブ版 OmniFocus を使っている際にデータベースの移行が終了できなくなったバグを修正し、データベース移行のフローを改良し、変更をサーバに送る際に複数の編集を待機しないようにしている。(Omni Group ウェブサイトでの新規購入は Standard 版が $39.99、Pro 版が $79.99、Mac App Store では Standard 版が $39.99、アプリ内購入で Pro 版にアップグレード可、65 MB、リリースノート、macOS 10.14+)
HomePod をお持ちならば、どれだけ大音量を出せるかはご存知だろう。毎晩、私はベッドに入る前に、HomePod に向かって家中の HomeKit 照明を消灯せよと命じる。とても便利なのだがただ一つ、音量が大き過ぎると困る。そんな時私は縮みあがって、Siri の大声の返事が二人の幼い子供たちを起こしませんようにと心に願うのだ。ありがたいことに、Matthew Cassinelli が Home アプリの中で HomePod を自動化できることを利用した解決策を見つけてくれた。毎日特定の時刻に HomePod の音量を下げるオートメーションを、彼はていねいに手順を踏んで説明する。また、彼の説明に少々変更を加えるだけで、毎朝 HomePod の音量を上げるもう一つのオートメーションを作ることもできる。最近アップデートを出版したばかりの Take Control of Apple Home Automation を執筆する際にこのアイデアを思い付けていたらなあと思えてならない。
エンジニア兼開発者の Craig Hunter が $31,199 の Mac Pro をレビューした記事を、最近の記事 (2020 年 2 月 28 日の記事“$31,199 の Mac Pro の性能を試す”参照) で紹介した。今回 The Verge が、$16,599 のモデルを親会社 Vox Media でレビューした。(税込価格は $18,072.16 だ。) こちらの Mac Pro は 3.2 GHz 16 コア Intel Xeon W、96 GB の RAM、1 TB SSD、2 基の Radeon Pro Vega II グラフィックカード、加えてビデオ加速用に $2000 の Afterburner カードという構成だ。そうして The Verge は Vox Media 社内で何人かのビデオ制作者やポッドキャスト制作者にこのマシンを使ってもらった。
良い点を言えば、このマシンのデザインは素晴らしく、とてつもなく速い Mac であることが分かった。けれども残念ながら、Vox 社のメディア制作者たちがすぐに気付いたのは、彼らが依存して使っている Adobe のツールが、既に使っている iMac で動かした場合と比べて大して違いを生まないことだった。その理由は、After Effects、Photoshop、Premiere Pro といったアプリがいずれも Mac Pro のパワーを活用できるように最適化されていないからだ。けれども、Cinema 4D を使ったレンダリングでは大幅なパフォーマンスの進歩がみられたし、Final Cut Pro で使っている Apple の Afterburner カードはずっと高速で動作した。Adobe によれば、Mac Pro 用の最適化は将来出す予定だが期日は言えないとのことであった。
比較のために、The Verge は 3.7 GHz 32 コア AMD Ryzen Threadripper 3970X プロセッサ、128 GB の RAM、2 TB SSD、デュアル Nvidia GeForce RTX 2080 Ti グラフィックカードを搭載した PC を $14,247 (税込) で注文してテストしてみた。この PC は図体が醜くて騒音も大きかったが、パフォーマンスのテストでは Mac Pro を完全に打ち負かした。
ここでの結論は何か? もしあなたがメディア制作をしているなら、あなたが Final Cut Pro など Apple のアプリを使っていれば Mac Pro は直ちにその価値を発揮できる。Apple は既にそれらのアプリを自社のハードウェアのために最適化しているからだ。けれどももしあなたが (大多数のメディアのプロフェッショナルたちと同じく) Adobe のツールを使っているなら、Windows PC の方がより良い総合的選択と言える。それに、大多数の Mac 使いのプロフェッショナルたちにとって、27 インチ iMac を負かすことは難しい。ここ TidBITS でも 27 インチ iMac を使っているし、皆さんにもお薦めしている。
あなたの会社で Mac Pro を使うことを検討しているなら、Apple が出している Mac Pro と Pro Display XDR のハードウェアガイドを必ず読んでおこう。ここに、詳細なハードウェア仕様と構成への助言が載っている。