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#1531: Apple のイベント、iOS 14 App Library の FAQ、図書館で電子本を借り出し、Adam が Biden に投票する理由

Apple は明日 (9 月 15 日) オンラインイベントを開催する。すべての人が招待されている! このイベントではおそらく Apple Watch と iPad の新モデルが発表されると思われる。iOS 14 で登場する App Library 機能が Home 画面のレイアウトをめちゃくちゃにしてしまうのではないかと心配な方々のために、Take Control of iOS 14 and iPadOS 14 の著者 Josh Centers がよくある質問に答え、皆さんの不安を和らげる。COVID-19 パンデミックの中では公共図書館へ行くのも困難または不可能かもしれないので、Julio Ojeda-Zapata が皆さんの近所の図書館が提供しているかもしれない無料のオンライン貸出しの選択肢をいくつか概観する。それからもう一つ、TidBITS 出版者の Adam Engst が、米国大統領選挙で Joe Biden に投票したいと思う個人的かつ職業上の理由を述べる。今週注目すべき Mac アプリのリリースは StopTheMadness 16.1 と Cardhop 1.3.5 だ。

Josh Centers  訳: 亀岡孝仁  

Apple の September 2020 Event、Apple Watch と iPad Air か

Apple は我々全てを次の大きな仮想イベントに招待している。それは 15 September 2020 の 10 AM PDT に始まる。忘れないよう、カレンダーに付け加えておくことが出来る。

その Web ページからは何が取り上げられるのか殆ど分からないが、少なくとも何人かが受け取ったメールでの招待にはヒントがあった:その題名には "Time flies" とあり、恐らく Apple Watch の発表を暗示しているのであろう。

同様に、噂によれば、このイベントでは新しい iPhone は期待されていない。代わりに、焦点は更新された Apple Watch モデルと、最近の iPad Pro モデルのデザインに似せた新しい iPad Air に当てられると言う。何時も信頼の置ける Bloomberg の Mark Gurman は言う

同社は、新しい高級機と低価格機の Apple Watch を用意している。また再設計された iPad Air は縁から縁までの画面となる。また、より小型の HomePod や Apple ブランドでは初となる耳覆い型のヘッドフォンも今年後半に向けて準備されている。

Apple は既に iPhone は9月にはリリースされないと警告していた ("世界が燃えさかる中 Apple Q3 2020 業績は最高を記録、次期 iPhone は粋な遅刻" 30 July 2020 参照)。理由は恐らく COVID-19 パンデミック絡みのサプライチェーンの問題であろう。.

Apple の新しいマーケティングの責任者 Greg Joswiak は今や Twitter に登場しており、彼の最初のツイートはこのイベントでの拡張現実 (AR) における何らかの進展のヒントなのかも知れない (そのアニメーションを見るには上記のリンクをクリック)。

Joz's first tweet

全ては数日の内に分かる! 皆さんも Apple が何を準備しているのか SlackBITS グループの #events チャネルに参加することで我々と一緒に見られる。このグループに参加するには、 slackbits.herokuapp.com に行き、メールアドレスを入力、そして行動規範に同意する。そうすれば、折り返し招待のメールを受け取れる。

討論に参加

Josh Centers   訳: Mark Nagata   

iOS 14 の App Library についてよくある質問

iOS の本を毎年書いていて私が楽しみにしているのは、新バージョンについて私が持つ主な懸念と、読者が実際に何に懸念を感じるようになるかを比較することだ。たいてい私の推察は当たっているのだが、iOS 14 では一つだけすっかり見落としていたことがあった。Take Control of iOS 14 and iPadOS 14 をリリースして以後、iOS 14 の新しい App Library 機能のせいで注意深くデザインしてある Home 画面のフォルダとアプリアイコンのレイアウトが崩れてしまうのではないかという質問が多数届いたのだ。Chuck Joiner は彼の MacVoices ポッドキャストに私を招いてまさにこの質問を尋ねてくれた

簡潔に言ってしまえば、答はノーだ。App Library はあなたのお馴染みの Home 画面をいかなる意味でも勝手に再配列したりはしない。今まで通り、アプリをどこに置くかについて完全なコントロールができる。この新機能は、より一貫した、自分用のやり方でアプリを一覧できるための助けになろうとする。では、App Library とは何か、どのように機能するか、どんなことはしないかについて、順々に見て行こう。

App Library とは何か?

App Library は iOS 14 で登場する機能で、持っているすべてのアプリの中央保管所として働く。Apple が App Library を発表した時点で私は気付けなかったが、これは iOS の中でのアプリの保管方法を根底から見直すものとなる。

iPhone が初めてリリースされて以来 iOS 13 に至るまで、あなたが iPhone にインストールしたアプリはすべて、あなたの Home 画面のどこかにあった。(だからと言って実際にどこにあるか分かるとは限らなかったが、そこのところを解決するのが App Library だ。) Mac 上では、おそらくほとんどのアプリが Applications フォルダの中にあって、最も頻繁に使うアプリは Dock 上、または Desktop にエイリアスを置くことができる。iOS の最も直接の競争相手である Android は、最初から Mac に似た枠組みを使っていて、すべてのアプリがアプリのドロワの中にあり、アプリのショートカットをホーム画面に置けるようになっている。

iOS 14 より前の iOS には、エイリアスとかショートカットとかいう概念がなかった。ユーザーの視点からは Home 画面上のアイコンが“本物”であった。アプリはたった一つの場所、すなわち Home 画面のみに存在していた。Home 画面にないアプリはその iPhone 上には存在していなかった。欲しいアプリが一つの Home 画面で見つからなければ、検索のみが頼みの綱となった。

けれども App Library がそのすべてを変える。すべてのアプリが App Library の中にあって、それらのアプリが Home 画面に登場することもできる。つまり、インストールはしておきたいけれども滅多に使わないアプリを Home 画面に散らかしておく必要がなくなる。そういうアプリはすべて隠しておき、よく使うアプリだけを Home 画面に置くようにできる。要するに、インストールされたすべてのアプリについて App Library にあるものが“本物”となるのだ。

App Library はどのように機能するのか?

右から左へスワイプして一番右の Home 画面に行かなければ App Library の存在にすら気付かないかもしれないが、App Library はそこにある。いや、この App Library は、決してあなたの既存の Home 画面を置き換える存在ではなくて、あなたの既存の最後の Home 画面の次に追加される画面だ。それは、あなたの既存の最初の Home 画面の左側に Today View が追加されているのと同じことだ。

App Library はあなたのすべてのアプリを一つの画面上に、作り付けのフォルダの中に自動的に整理して示す。一番上に見える2つのフォルダは常に Suggestions と Recently Added だ。それらを別にすれば、App Library はアプリのアイコンを Social、Utilities、Entertainment といったフォルダの中に分けて入れるが、これらは App Store のカテゴリー分けに対応している。また、Apple Arcade のゲームや Testflight アプリといった特殊なフォルダもあり得る。ユーザーがフォルダの配置換えや改名をすることはできない。

一番上の Suggestions フォルダには 4 個のアプリアイコンが並ぶ。iOS がどのようにこれらを選ぶのかはよく分からないし、Home 画面を下へスワイプした際に出る Siri Suggestions の内容とは違うこともある。これを除いた他のフォルダはそれぞれ 3 個の大きなアプリアイコンと、4 個の小さなアプリアイコンを含む。大きなアプリアイコンのどれかをタップすれば直接そのアプリが開く。4 個の小さなアイコンが集まっているところをタップすればそのフォルダが開いて、他の内容物がアルファベット順でグリッド表示される。フォルダの中に 4 個までしかアプリがない場合は、4 個とも大きなアプリアイコンで示される。

Opening an App Library folder
App Library はアプリを作り付けのフォルダの中に入れて呈示する。アプリ4つがセットとなっているところをタップすれば、そのフォルダが開く。

特定のアプリがどのフォルダに属するのか探す代わりにすべてのアプリのリストを見たい場合には、画面の一番上にある検索フィールドをタップするか、または App Library 画面の上で下へスワイプする。もちろん普通に検索することもできるが、検索フィールドにまだ何も入力しない段階で、App Library がすべてをアルファベット順に並べていることに注意しよう。iOS の Spotlight 検索を使わずに App Library を使うことに理由はあるのか? それは、App Library で検索すれば見つかったものを Home 画面へドラッグできるからだ。この点についてはあとで触れる。

Searching for an app in App Library
App Library の検索画面はアプリをアルファベット順に表示し、アプリの検索もできる。

デモを見たい人のために、App Library の基本を示した簡潔なビデオを作っておいた。

新しいアプリはどこへ行くのか?

新たにダウンロードされたアプリは App Library のみへ行き、Home 画面には現われ ない。結果として、App Library は実際あなたが注意深くデザインした Home 画面の勝手な場所に新しいアプリを放り込んだりせず、Home 画面をそれまでのままの状態に保つ。自分がたった今ダウンロードしたばかりのアプリを見つけるために Home 画面から Home 画面へとスワイプして探し続けるなんて、私は大嫌いだ。

あるいは、もしもすべての新しいアプリをデフォルトで Home 画面に入れたいのならば、Settings > Home Screen へ行って Add to Home Screen をオンにしておけばよい。

どうやってアプリを App Library から Home 画面へコピーするのか?

基本的な方法が2つある:

いずれの場合でも、ドラッグを続ければ Home 画面から次の Home 画面へと切り替えられるし、フォルダの上でドラッグをしばらく止めればそのフォルダが開く。望みの画面の上、または望みのフォルダの中に達したら指を離せばよい。

ここでも、簡単なデモを見たい人のために、Home 画面へアプリをコピーして、そこからアプリを削除するやり方を示した短いビデオを作っておいた。

Home 画面へ移したアプリは App Library の中にも残るのか?

その通り。App Library はいつでもあなたのアプリのすべてを含んでいる。覚えておくべきは、どのアプリがその iPhone にインストールされているかに関しては、App Library こそが“本物”だということだ。

実際にアプリを削除せずに Home 画面から取り除けるのか?

確かにその通り。Home 画面からアプリを取り除こうとし始めると、そのアプリをデバイスから完全に削除するのか、それともそれをただ単に App Library へ“移動”するだけなのかの選択肢が示される。(思い出して頂きたいが、アプリは常に App Library の中に存在しているので、本当は 移動 するのでなくてただ単に Home 画面から 取り除く だけだ。) 具体的には次のようにする:

  1. Home 画面上の空いている場所をタッチして押さえ続けることで揺れるモードに入る。
  2. アプリのアイコンの上のマイナス印をタップする。
  3. するとダイアログが開いて、Delete App なのか Move to App Library なのかが選べる。

Move to App Library をタップすれば、そのアプリは Home 画面から消えるが、App Library には残る。

App Library から直接アプリを削除できるか?

できる。実際、そのための方法が2つある。複数個のアプリを手早く削除したい場合は最初の方法を使うとよい。アプリを一つだけ削除したい場合は第二の方法が楽だろう:

Deleting an app from App Library

App Library は Home 画面を整理する役に立つか?

App Library がすべてのアプリへのアクセスを提供するので、頻繁に使うアプリとのやり取りを劇的に単純化することができる。例えば複数個の Home 画面を持っていたとして、そこにいろいろなアプリがバラバラに集まっていたとしよう。私と考え方の似た人ならば、きっと最初の1つか2つの Home 画面だけは注意深く整理しているけれども、それより後の Home 画面の整理は諦めてしまっているのではないだろうか。iOS でアプリを整理する作業は (未だに!) あまりにも面倒だからだ。iOS 14 ではそうした寄せ集めの Home 画面を隠すことができるのだが、その方法を自力で発見するのは難しいかもしれない。それは次のようにする:

  1. Home 画面上の空いている場所をタッチして押さえ続けることで揺れるモードに入る。
  2. Dock のすぐ上にある、あなたが今どの Home 画面にいるかを示す点々をタップする。
  3. すると新しい Edit Pages 画面が開いて、あなたのすべての Home 画面をサムネイル表示し、それぞれの下にチェックマークを示す。
  4. 隠したいページのチェックマークをタップして選択から外す。
  5. 作業が済めば Done をタップする。

Hiding Home screen pages

Home 画面を隠すこの機能は iOS 14 で私のお気に入りになるのではないかと思う。これまで手に負えなかった Home 画面のごちゃごちゃが、あっという間にすっきりするからだ。目で見ないと覚えられない方々のために、3 番目の簡潔なビデオで Home 画面を隠す手順を示しておいた

注意して頂きたいのは、Home 画面を隠しても、その画面やそこにあるアプリが削除される訳ではないことだ。いつでも上の手順に戻って画面を再び見えるようにできる。一連のアプリを一緒に使うけれどもそれほど頻繁には使わないという場合 (例えば旅行に関係したアプリなど)、それらを一つの Home 画面に集めておいて普段は隠しておけば理想的だろう。

難点を言えば、Home 画面でお手上げだと感じて丸ごと削除したいと思っても、そのためには依然としてアプリを一つ一つ別々に、手作業で削除する以外に方法がない。

App Library は iPadOS 14 にもあるのか?

残念ながら答はノーだ。iPadOS 14 に App Library は含まれていない。Apple がなぜ App Library を iPhone と iPod touch 用の iOS 14 のみに限定したのかの理由は分からないし、将来この機能が iPad にも実現されるのか否かについてのいかなるヒントも Apple は述べていない。

iPad は画面が大きいので同時に多数のアイコンを表示することができ、従ってユーザーが小さなスクリーンの iOS デバイスで感じるような空間的混乱を感じることはないだろうと Apple が考えたことは十分あり得るだろう。これが他の会社ならば、App Library を iPadOS に移す前にまず iOS でテストしている最中だとか、縦置きでも横置きでも通用するインターフェイスの調整が済むまで iPadOS で出すのを控えているとかいう説も想像できるけれど、どちらの説も Apple に当てはまるとは考えにくい。

それはそれとして、この App Library はすべての iOS 14 ユーザーが嬉しいと思えるものだろう。そして、もしもこれがあなたの iOS 体験の不可欠な要素となったならば、Apple にフィードバックを提出して iPadOS にも装備して欲しいと頼もうではないか。

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Julio Ojeda-Zapata  訳: Mark Nagata   

図書館まで行かずとも、自宅で電子ブックその他を借りよう

かつての私は近所の公共図書館に立ち寄ってはその数時間も後にハードカバー、ペーパーバック、CD、DVD など大量に抱えて図書館から出るのが大好きだった。

言うまでもなく、今の私はそれをしない。COVID-19 パンデミックのせいで公共の室内空間に用心する気持ちが高まり、今では書店、カフェ、映画館、ジム、レストランといったところからも足が遠のいてしまった。それらの代用として仕方なく受け入れているのが、Amazon での書籍購入、自分で淹れたコーヒー、Hulu、固定自転車のサドル (2020 年 7 月 1 日の記事“Zwift、室内自転車の運動を共有の仮想体験へと転化”参照)、それに街頭のテイクアウトだ。

それと同じように、今は公共図書館からも足が遠のいて (公共図書館の多くは今もまだパンデミックのため閉館中だ)、その代わりにデジタル書籍貸出しサービスを利用するようになった。そのために必要なのは Mac または iOS デバイスと、インターネット接続のみだ。利用可能な電子的コンテンツとしては電子ブック、オーディオブック、雑誌、漫画、音楽ダウンロードなどがあって、そのすべてが自宅にいながらにしてすぐ手の届くところにある。ストリーミングビデオを提供している図書館もあるが、私の図書館では提供していない。

近所の図書館でその種のデジタルリソースを利用したことがないという人は、今こそ利用してみる絶好の機会ではないだろうか。便利さと安全が同時に得られるからだ。米国では事実上すべての公共図書館がその種の貸出しを提供しているが、細かな点はシステムによって異なる。図書館がその種のデジタル資源を提供することができるのは、サードパーティのサービスを図書館が購読して、そのコンテンツを無料で配布できるライセンスを受けているからだ。ここではあなたが支払った税金が使われているのだから、あなたもそれを利用しない手はない。

あなたが住んでいる州の中にある大きな図書館に行けば、図書館カードの申請ができることが多い。その図書館の近所に住んでいなくても構わない。少数の図書館では他の州に住んでいる人や、さらには外国在住の人の登録を受け付けているところもあるので、それが好都合な人たちもいるだろう。

この記事では、最も広く使われているいくつかの公共図書館用デジタルサービスを取り上げて調べてみたい。米国内の図書館のみに話を絞っているけれども、ここで紹介するサービスの中には米国以外の図書館でも使えるものもいくつかある。私が見落としたサービスもきっとあるに違いない。その場合は、どうぞ記事へのコメントで指摘して頂きたい。

以下では、まず始めに私が使ったことのあるサービスのいくつかについて詳しく説明を書いた後に、私が直接経験していないサービスもいくつか簡潔に紹介しよう。それらのサービスについてもっと詳しいことをご存知の方は、どうぞ経験されたことをコメントに書き込んで頂きたい。

OverDrive

公共図書館向けのデジタルサービスでトップに君臨しているのは、どうやら OverDrive のようだ。OverDrive は Cleveland に本拠を置く会社で、電子ブック、オーディオブック、雑誌、漫画、ストリーミングビデオのコンテンツ出版者からデジタル配布のための権利を買い取っている。そうしてこの会社はそのカタログを公共図書館にライセンス供与し、図書館がコンテンツを利用者に提供できるようにする。

個々の図書館システムは、どれだけ大きなカタログを使うか、どのタイトルをカタログに入れるか、個々のタイトルを同時にいくつ貸し出せるかを決めることができる。その結果として、システムによってコンテンツの利用可能性はそれぞれ異なっている。そのことは、複数の図書館システムで借り出しの権利を持っている人にはもうお馴染みの事実だろう。

The OverDrive Web site

OverDrive を把握しようとすると頭痛の種となることもある。なぜならこれは膨大な、整理されていないエコシステムで、複数のアプリがあり、幅広いデバイスと互換で、ウェブブラウザ機能拡張さえあるものだからだ。そこで、隅から隅まで細かく分析することはせずに、私から見て最も苦痛の少ない道を選んで、そこをガイドしてみたいと思う。

OverDrive のアプリには、古くなりつつある OverDrive と、新しくかなり改善された Libby、それに学校のシステムを意図して作られた Sora がある。人気ある Amazon の Kindle アプリもここに含まれる。OverDrive で借り出した本を Kindle アプリで読めるオプションがあるからだ。

ここでは Libby に話を限ることにしよう。iPhone と iPad (それに Android) 用のバージョンはずっと以前からあったが、今はデスクトップのウェブブラウザでも働くようになった。あなたの iPhone または iPad 上の Libby にあなたの家族全員の図書館カードを入力すれば、一か所ですべての借り出しを管理できる。

Libby on iPhone

Mac も使っている場合は、iOS アプリの右上隅にある Libby アイコンをタッチしてホールドすると数字によるコードが表示されるので、それをデスクトップのブラウザにペーストすればすべての図書館カードとそれぞれのデータが同期される。

Libby on the Web

Libby では複数の図書館システムのカードを追加できるので、私は St. Paul 市にある St. Paul Public Library と、Minneapolis にある近所の Hennepin County Public Library の両方から借り出しができる。必ずしもすべての図書館システムが Libby のコンテンツ全部を提供している訳ではない (私の場合、電子ブックとオーディオブックはあるが、雑誌、音楽、ビデオはない) ので、まずはその図書館で調べて何が利用できるかを確認しておくのがよい。Libby はビデオには対応しておらず、それには OverDrive アプリが必要になる。厄介なことに Libby は複数の図書館システムにわたって検索を走らせることが自動的にはできないが、一つの図書館システムであなたが読んだことのある本のリストを表示しながら同時に別の図書館システムを検索することができる。

電子ブック、オーディオブック、雑誌については、Libby でタイトルを検索したり、その図書館のカタログをブラウズしたりできる。時には、探しているものが全く見つからないこともある。たいていは探しているものが見つかるのだが、見つかったものを即座に借り出すことはできないこともよくある。それぞれの図書館は個々のタイトルごとにあらかじめ決められた数のコピーしか同時に貸し出すことができない。タイトルが貸し出しできない場合は保留となり、貸し出しが可能となれば Libby があなたにアラートを出して知らせる。必ず、Libby があなたの iPhone や iPad に通知を出せる設定にしておこう。

本を借り出す際には、Libby と Kindle のどちらでその本を読むかを決めなければならない。Libby で読む場合は、タップしてその本を Libby の中で開く。Kindle で読む場合は、タップして Amazon ページに転送することにより貸し出しをオーソライズする。すると、あなたが Kindle 電子ブックを読むあらゆる場所で読めるようになる。Kindle エコシステムにどっぷり浸かっている人以外は、Libby で読むほうが手軽だろう。

Libby in the Kindle app

オーディオブックについては、Libby が素晴らしい体験を提供する。再生速度を増したり、スリープタイマーをセットして自動的に再生を止めたり、ブックマークをセットしたり、ボタンをタップするだけで 15 秒間早送りや巻戻しをしたり、チャプター単位で、またはスクラバーで簡単にナビゲーションできたりする。本の表紙をタップすると朗読時間と予想日数などの情報が表示されるので、借り出しを計画するのに役に立つ。

Listening to an audiobook in Libby

特に漫画本のファンへのお薦めがある。多くの図書館が OverDrive カタログにコミック本を含めている。TidBITS 出版者 Adam Engst に勧められて、私は Invincible を読み通してみたが、このスーパーヒーローシリーズは、iPad 上での見栄えがまさしくスーパーだ。

Invincible on the iPad

OverDrive アプリの方も使えるが、Libby の方が魅力的で、使いやすい。Mac 用の OverDrive アプリも存在するが、どうやら今はもうアップデートされておらず、Catalina や Big Sur では動作しない

Google Chrome、Microsoft Edge、Brave、Vivaldi のような Chromium ベースのブラウザを使っている場合には、特定の読書関係サイトを訪れると自動的に OverDrive 検索ができるようになる機能拡張が使える。例えば Amazon で本のリストを開くと、 Available ReadsLibrary Extension も、いずれもあなたが指定した図書館において OverDrive で何が利用できるかの情報を表示する。Available Reads は Goodreads ソーシャルネットワークのリストについても同じことをする。Library Extension も多くの図書館の物理的な本のカタログを検索できる。

Cloud Library

時として OverDrive では見つからない本があるので、別の手段も確保しておけばありがたく思える。そんな場合、私はいつも Cloud Library を試す。これは Bibliotheca というヨーロッパの会社の所有だが、開発は私の家のすぐ近く、ミネソタ州 Oakdale で進められている。私の二つの図書館はいずれも Cloud Library を通じて電子ブック、漫画、オーディオブックを提供しているが、Cloud Library は雑誌、音楽、ビデオを全く扱わない。

操作上は、Cloud Library は OverDrive とかなりよく似ている。ただ、見栄えも感触も洗練の度が特に Libby と比較すれば劣るし、イライラさせられる制約や奇妙な点もある。

Cloud Library の iOS 用アプリは iPhone と iPad 双方の上でネイティブに走る。Libby と同様、借り出しの一括管理のために異なる図書館システムの図書館カード番号を入力することができる。このアプリには、例えばカードを色分けや風変わりなアイコンを使ってカスタマイズできるなどいくつか良い感じの工夫もある。

Cloud Library iOS app

一貫して魅力的な見栄えを提供する Libby や Kindle のアプリとは違って、Cloud Library による電子ブック表示は歴史的に言って文字の仕上がりや全般的な表示方法に気まぐれなところがある。このサービスは最近になって後れを取らないための進歩を見せはしたが、まだまだすべきことが残っている。また、アプリのパフォーマンスも問題で、スクリーンの描画を長時間待つ羽目になったりするし、時にはロードしないことさえある。

Cloud Library のネイティブな Mac 用アプリは少々古臭い見栄えだが、反応性は良く、使いやすく、使っていて楽しい。とりわけ、書名の見出しでタイトルをブラウズできるところが便利だ。興味のあるジャンルを指定しておいて、それ以外のジャンルを除外した組み合わせ検索をすることができる。

Cloud Library Mac app

Cloud Library はデスクトップのウェブブラウザでは働かない。このサービスは ChromeOS 用のアプリも出しているが、これは Chromebook でしか動作せず、Mac 上の Chrome ブラウザでは働かない。また、Cloud Library から Kindle へ本を転送することもできない。ただし Android ベースの Kindle Fire タブレットに Android 用の Cloud Library アプリを走らせた場合は転送できる。私の知る限り、公共図書館用のデジタルサービスで Kindle にフル対応しているのは OverDrive のみだ。

RBdigital

OverDrive と Cloud Library は電子ブック中心のものだが、RBdigital はむしろ雑誌、オーディオブック、漫画、新聞に特化している。雑誌を読むために、私は近所の図書館とそこの RBdigital カタログでこれを使っている。

RBdigital アプリは iPhone と iPad の両方で働くが、特にスマートフォン用に作られた一部のタイトルを別にすれば、ほとんどの雑誌は小さな iPhone 画面では読めないに等しい。コミック本と同様、デジタル雑誌も iPad 上での見栄えが素晴らしい。RBdigital はデスクトップのウェブブラウザでも動作する。

RBdigital の使い方は分かりやすい。雑誌については、その図書館の雑誌カタログに対応するタイトルが何列かのグリッド状に並べて表示される。ジャンルや言語によって雑誌を検索することもできる。一つを選んでタップすれば、その雑誌の現在と過去の号が見られる。号をタップすればチェックアウト画面が開くので、そこからダウンロードしてオフラインで利用できる。

RBdigital

オーディオブックについては、いくつかのカテゴリーに分けてぐるりと並んだタイトルを一気に見て回ることもできるし、ジャンル、利用可能性、対象年齢層によってタイトルを検索することもできる。タイトルをタップすればチェックアウトまたは予約ができる。オーディオブックの再生はアプリの中でそのままできる。

月額 $9.99 の Apple News+ (2019 年 4 月 9 日の記事“Apple News+ にお金を払うべきか? 警告:懸念あり”参照) と比較すれば RBdigital は少々荒削りで (とりわけウェブ上では) 古臭い印象もある。また、あなたの図書館で利用できるカタログの内容は Apple が提供するものに比べれば見劣りすることだろう。さらに、Apple のサービスでは一流の雑誌の多くを iPhone 画面に合わせて再フォーマットしてくれるという利点もある。それでも、私が気に入っている雑誌のほとんどが図書館のシステムから無料で利用できるので、多少使い勝手に難があってもわざわざ料金を払って Apple News+ に乗り換える気にはなれない。

Freegal

公共図書館の利用者で Apple Music など商用の音楽ストリーミングサービスの代替となる無料の方法を探している人は、きっと Freegal を気に入るだろう。これは、魅力的だが少しバグのある iOS 用アプリでも、デスクトップのブラウザでも働く。

Freegal には何百ものジャンルと、何千人ものアーティスト、何万ものアルバム、多くのレーベルの何百万もの楽曲が揃っている。Sony Music Entertainment のレーベルもある。また、Freegal は何千ものミュージックビデオを提供する。大物の名前もある。Itzhak Perlman や Mariah Carey の音楽、Miley Cyrus や Pentatonix のミュージックビデオ、George Carlin や Jim Gaffigan のオーディオブックもある。Freegal のコンテンツは何十か国にも及んでいる。

Freegal

そうは言っても、制約があることは覚悟しなければならない。まず第一に、手当たり次第にダウンロードすることはできない。ユーザーは月ごとにほんの少しのクレジット枠しか与えられず、オーディオファイルを 1 つダウンロードするごとにクレジット枠が 1 つ消え、ミュージックビデオを 1 つダウンロードするごとにクレジット枠が 2 つ消える。それに加えて、ストリーミングは 1 日あたりの時間の上限が定められている。ただし、この上限はそれぞれの図書館システムごとに違い、ストリーミング時間に上限を定めていないところもあるようだ。楽曲は必ずしもオリジナルのままで提供されるとは限らず、その楽曲のカバーや、DJ リミックスその他の形で提供されることも多い。正直言ってちょっと奇妙だ。

でも、このサービスの MP3 オーディオと MP4 ビデオはすべてデジタル著作権管理 (DRM) の保護の付かないものをダウンロードできるので、著作権による制約の範囲内で好きなように使うことができる。

Kanopy

これらのサービスのうちでおそらく最も洗練されたものと言える Kanopy は、ビデオストリーミングに特化している。30,000 ものタイトルを揃えた拡張高いビデオライブラリに、クラシックな映画、最近の長編映画、ドキュメンタリーなどが並ぶ。Netflix や Hulu とは比べ物にもならないが、それでも観るべき素晴らしいものがたくさんある。

Kanopy in the browser

Oscar 作品賞を受賞した Moonlight、Oscar にノミネートされた Lady Bird、ニュージーランド映画 Boy、ダークコメディー My Friend Dahmer、PBS のドキュメンタリー The Central Park Five、さらには 1954 年の日本映画の傑作 Seven Samurai もある。Kanopy には 2 歳から 8 歳までの子どもたちを対象にした Kanopy Kids コレクションもある。

Kanopy on iPad

Hoopla と同様、Kanopy も Apple に友好的だ。 iPad ネイティブな iOS 用アプリに加えて、このサービスは Apple TV 用アプリも提供する。好きなブラウザを使って Mac にストリーミングすることもできる。

Hoopla

Hoopla も、電子ブック、オーディオブック、漫画、音楽、ビデオを提供するフルサービスのコンテンツプロバイダで、映画やテレビ番組も提供する。他のサービスと比較すると、 Hoopla にははっきりした利点と難点の両方がある。

利点を言えば、Hoopla は他のほとんどと比べて、ずっと Apple に友好的だ。ちゃんとした iOS 用アプリと、デスクトップのウェブブラウザを使ったアクセスに加えて、Apple TV 用アプリでビデオとオーディオが楽しめる。また、Hoopla は iOS デバイスから Apple TV への AirPlay ミラーリングにも対応していて、これは図書館用の iOS アプリではあまり他に見られない機能だ。

Hoopla

難点を言えば、Hoopla で利用できるコンテンツの範囲は OverDrive や Cloud Library に比べれば制約が多いように思える。Hoopla は月ごとにクレジット枠を割り当てている。私の図書館は Hoopla に対応していないが、Adam Engst がニューヨーク州で使っている Finger Lakes Library System はコンテンツのタイプにかかわらず月ごとに 4 件のチェックアウトに制限しており、使わずに残った分を翌月に持ち越すこともできなかった。(彼の図書館システムはその後、コストの問題により Hoopla を取りやめた。) 他方、OverDrive と Cloud Library のアカウントは図書館システムごとに同時に数十回のチェックアウトを許し繰り越しもできるコンテンツ貸出しを続けている。

Hoopla のビデオ貸出期間は出版者に応じて 2 日間か 3 日間だ。音楽の貸出期間は通常 1 週間、漫画やオーディオブックを含む本の貸出期間は 3 週間だ。

図書館の物理的および OverDrive コレクションに Amazon や Goodreads のタイトルが存在すれば示される Chrome ベースの Library Extension を覚えておられるだろうか? これは Hoopla で利用できるかどうかもチェックできる。

SimplyE

ニューヨーク公共図書館が開発した SimplyE は無料でオープンソースの読書アプリで、(OverDrive と Cloud Library を含む) 複数のベンダーの電子ブック、およびパブリックドメインの電子ブックをブラウズし、借り出し、読むことを一か所にまとめたインターフェイスを提供することを狙っている。SimplyE は現在米国の何十もの他の図書館で使われている。

SimplyE

たとえあなたの近所の公共図書館が SimplyE に対応していなくてもまだ全く望みがない訳ではない。このアプリの内部に無料で誰でも使える SimplyE Collection があって、Project Gutenberg によって集められた古典的な本に加えて現代の作品も含まれ、Mueller Report のような公式報告書や、Ken Liu の有名なSFショートストーリー "The Paper Menagerie" のような近年の小説もある。

このアプリには簡易的な検索機能しか備わっていないため SimplyE Collection のコンテンツを発掘するにはある程度時間がかかるかもしれないが、その苦労に値するものはきっと得られるだろう。

Axis 360

出版社 Baker & Taylor が自社独自のデジタル図書館サービスを作り上げて、それを Axis 360と呼んだ。これもまた電子ブックとオーディオブックの貸出しサービスで、成人向け、ティーン向け、子ども向けに何千ものタイトルを揃えている。他のサービスと同様、Axis 360 アプリでもデスクトップのウェブブラウザでも使える。

私は Axis 360 をテストできていない。使っている図書館がこれに対応していないからだ。けれども Adam Engst はニューヨーク公共図書館経由でこれを試すことができた。彼によれば、アプリが遅くて荒削りだし、最近アップデートを経たにもかかわらず iPhone 11 Pro のスクリーン全体を使いさえしていない。読書の体験も酷い。Axis 360 のコレクションは数値化も難しいが、ブラウズしてみた体験 (Biography & Autobiography に 66 タイトル) から言えば他のサービスに比べてかなり小さいようだという。

Axis 360

払った程度のものが手に入る (それで気を悪くしてはいけない)

私はもう何年も公共図書館のデジタルサービスを使ってきたので、現代のインターネットに歩調を合わせてそれが進化して行くのを目にしながらワクワクした気持ちでいる。家を出る必要なしに膨大な量のコンテンツがすぐ手の届くところにあるというのは、いつの時代でも嬉しいことだ。

でも、何となく不満を感じるところもある。使っているうちに、図書館による選択に従わざるを得ないことを実感するようになった。私の 2 つの図書館システムはどちらも電子ブック、オーディオブック、それに雑誌は提供してくれるけれども、ストリーミングビデオはない。理由はおそらくコストだろう。Hennepin County Library の方は音楽を (St. Paul Public Library の方では打ち切ってしまった Freegal で) 提供するとともに、なかなか良いコミック本のカタログを備えているが、St. Paul library にはない。この記事のための準備をしながら、私は Kanopy や Hoopla のようなビデオの選択肢が欲しいものだと強く思うようになった。

自分が使っている図書館で得られるデジタルなコンテンツの選択肢を眺めるのは、図書館の書棚に並ぶ現物の本のコレクションを眺めるのと同じことだと見るのが健全な考え方というものだろう。図書館の中へ歩いて入って、その書棚にありとあらゆる本、雑誌、オーディオブック、アルバム、映画、テレビ番組が揃っているなどと、普通は期待したりしない。少なくとも、自分が欲しい本を誰か他の人が読んでいるということはあるだろう。その本にこだわる代わりに、数分かけて書棚を眺めれば、両手に抱えきれないほどの資料を持って帰宅することもたぶん問題なくできるだろう。

デジタルな世界には良い面も悪い面もある。小さな図書館でも、資金さえあれば、物理的なコレクションでは到底実現できないほどの膨大なコンテンツを持つデジタルサービスを購読することができる。でも、それらのデジタルサービスにもやはり制約はある。評価の高いニューヨーク公共図書館でさえ、ここは (米国議会図書館に次いで) 全米で2番目、(英国図書館に次いで) 世界で3番目に大きな公共図書館ではあるけれども、それでもデジタルコレクションに大きな欠落がある。また、すべては OverDrive や Cloud Library や Kanopy といったものが提供できる範囲内のみに限定されているのであって、5,300 万冊を揃えるニューヨーク公共図書館の蔵書コレクションの足元にも及ばない。

いずれにしても、あなたの公共図書館が選んだものは、あなたが借りたかった希望に合うかもしれないし、合わないかもしれない。今の私は何が欠けているかを前より理解できるようになったので、今後は図書館の提供物にもっと多くのサービスを加えるようにと図書館に対して働きかけるつもりだ。このことは、図書館の用語で言えば、延滞の状況だ。とりわけパンデミックが進行中の今だからなおさらだ。もちろん、図書館は慢性的に資金不足でもあるし、これらのサービスは利用者にとっては無料だけれども、図書館の取得予算の大きな部分を占めているのが現状だ。だから、図書館への働きかけと併行して地元の議員たちにもロビー活動をして、図書館予算を増やすように働きかけようとも思う。さきほど言ったように、これは私たちが支払った税金の話なのだから。

討論に参加

Adam Engst  訳: 亀岡孝仁  

私が大統領選で Biden に投票する理由

私は、この記事が Apple と技術という TidBITS の通常の焦点からは劇的に逸脱していることは自認している。しかしながら、前例がないわけでもなく、そして、私が望むものならどんなものでも出版出来るという権利も留保したい。"イラク戦争についての個人的声明書">" (24 February 2003) の時と同じく、私の良心は、私の言葉が変化をもたらすことの出来ると思える場所で発信をしないでいることを許さない。

11 月に、米国の人は投票に行く - 物理的に投票所に行くかどうかに拘わらず - 大統領選挙に。私は、米国の選挙権を持つ全ての TidBITS 読者に投票するよう強く促したい - Vote.org を訪れると、選挙登録をしたり、自分の登録を確認したり、不在者投票を請求したり、COVID-19 の地元の投票への影響を調べたりと言った色々なことが出来る。

Vote.org home page

私は、私の不在者投票が届き次第、大統領として Joe Biden に投票する積もりである。その一番の理由は、私の観点からすると、Donald Trump 大統領によるこれ迄の4年間は、私の個人的そして職業的価値に対して真っ向から対立するからである。

一企業の CEO として、非営利ボードの前そして現代表として、そして成人運動家とチームのコーチとして、私は Trump の驚くべきリーダーシップの欠如に憤慨してきた。私は、リーダーシップとは問題を解決し、そして皆のためのより良き未来と言うビジョンの下に人々を結束させることだと信じている。Trump の仕事のやり方は、反対で、飽くなき自画自賛であり、そして、責任を逃れ、政敵を非難し、そして一般大衆の間で対立を引き起こすことに終始している。一人の管理職として Trump の実績は見るも無惨である - 大統領府内の最も影響力のある地位の離職率は 91% である。彼の失敗は閣僚に迄及び、ここでの離職率も最近のどの政府のものよりも遙かに悪い。COVID-19 パンデミックを通して、私は遙かに優れたリーダーシップを New York 州知事 Andrew Cuomo Cornell University 学長 Martha Pollack から見てきた。

Apple 技術という極めて狭い世界においてある程度の専門知識を有する者の一人として、私は、専門知識を思想や忠誠心の下に置こうとする Trump の執拗な態度に辟易している。この世は、誰かが想像出来るよりも遙かに複雑であり、理解出来る望みも遙かに少なく、そして恐らく、この世の仕事の中で米国大統領の仕事ほどその複雑さにさらされるものは無いであろう。それにも拘わらず、繰り返し繰り返し、Trump は、科学者の仕事を無視或いは葬り去り外部諮問委員会を削除し法執行機関の当局者を軽んじでっち上げの "闇の国家" に関わったとしてキャリア公務員を非難し、そして、ハリケーンの進路について気象学者と論争までする。教育のある、思慮深い人の証は、自分が知っていることは如何に限られたものであるか、特に自分の専門外では、を理解し、そして、専門家からの入力、忠言、そして意見を歓迎することである。

30 年以上に亘るジャーナリストとして、私は Trump の変わることのないメディア軽視、そして彼が同意しない如何なる報道も "フェイクニュース" だとする果てしない口癖には身がすくんでしまう。メディアは独自の問題を抱えており、そして、捏造された虚構がニュースとしてまかり通ってしまうことに対する正当な懸念もある。しかし、メディアの世界で私が知る多くの人は、読者、聞き手、そして視聴者が彼らを取り巻くこの世界をより良く理解する手助けをすることに例外なく献身している。我々の仕事は、我々が知ることが出来る最も正確な情報を使って、自分に出来る最善の方法で、情報を提供しそして説明することである。メディアにいる多くの人は、比較的安い賃金で長時間働いており、自らの仕事は世の中を良くすることに貢献していると見ている。彼らは - そして私も - 現職大統領によって侮辱されそして馬鹿にされるに値しない。

彼が何を言い、そして彼の言葉が他の人に及ぼす影響について注意深く考える一人の職業作家として、私は果てしなく続く Trump の公の身繕いのための言い訳や敵に対する切れ目のない侮辱にすぎないツイートの集中砲火に腹が立つ。それから、4人の民主党下院議員についてのあの扇動的で違法の可能性すらあるコメントがあり、他にも他の連邦政府の従業員なら首になるであろう数多くの人種差別主義者のコメントがある。そして、些細なことであることは自覚するが、彼の大文字と句読点の使い方は趣味が悪い。私の観点からすると、大統領は - 或いは、如何なる指導者でも - 前向きな行動に対するお手本として行動すべきである。

そして最後に、皆さんの多くの様に、3月以来主として家に閉じこもっていた一人の人間として、Trump の COVID-19 パンデミックに対する政治色の強い対応には吐き気を催す。世界が経験する恐らく 1918 年のインフルエンザパンデミック以来で最大の命に関わるそして経済的打撃も大きい健康危機の最中に、Trump の度重なる失敗の連続は、米国においてもうすぐ 200,000 人に達する死者と、国の借金に更なる $5 trillion を付け加えることをもたらしてきた。それは World War I と Vietnam War での死者を合わせたものよりも多く、そして物事が好転しなければ、それは数週間で American Civil War での戦闘犠牲者である 215,000 人をも超すことになる。そして、この $5 trillion は、この国が World War II を戦うために使った額をも超えることになる。

私が Trump に投票しない理由は他にも沢山ある。例えば、彼の身内びいきと親友びいき、 彼の独裁的指導者への憧れ、彼の確定申告の公開拒否Greenland を買うと言う様な時たまの正気とは思えない提案、彼の NATOWHO と言った国際グループへの蔑視、彼の米国選挙への外国政府による妨害の勧誘、そして、彼に対する数多くの訴訟がある。しかし、これらは、広く報道されている以上には私の知識が及ばない事態についての個人的信念に帰着する。

これ迄挙げた例は Trump に反対して投票する理由にはなるが、Biden に投票することにはならないことは自覚している。それならそれで良いではないか - Biden の長きに亘る公職の履歴からは、過去4年に亘る Trump の公的活動の裏付けのある毒性と能力不足に匹敵する様なものは何も出てこない。Biden が異なる状況にどう反応するかについてはただ推測するしかない;我々はどう Trump が振る舞ったかは知っているし、彼が変わるだろうと期待する理由は何もない。

私は、皆さんが投票に行く気なることを望みながら、ここで言ったことについて考え、書き、そして記録することに多くの時間をかけて来た。私の意見は、私固有の背景と経験に根ざしているので、皆さんにどの様に投票するかを言う積もりはない - それは、皆さんと皆さんの良心の問題である。

しかし、より多くの命が文字通り懸けられておりそして毎日の生活が私の記憶の中でもより不確かな時に、Biden と彼の首脳部の方がこの国を本来の方向に戻してくれるチャンスは遙かに大きいと思っている。COVID-19 パンデミックに関する国内問題、それによる米国と世界の経済に対する損害、そして短期的には COVID-19 への対応と長期的には気候変動に対処するための国際的な協力が必要なことを考えれば、私の人生の中で、今回の選挙程重要に思えるものはない。

最後に一言。私は TidBITS Talk で政治的な論争はやらないという方針を持っている。従って、この記事のコメント機能は働かないようにした。もし、この記事について私と話がしたいのであれば - 私が私の投稿者全員に払う礼儀である、礼儀を守った建設的なやり方での - 私宛に直接メールを送って欲しい。私からは、ふさわしいと思えた時には返事をします。

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata   

StopTheMadness 16.1

StopTheMadness 16.1

開発者 Jeff Johnson がブラウザ機能拡張 StopTheMadness のバージョン 16.1 をリリースした。これは、ブラウザのページの中でテキストや画像のコピーをできなくしたり、Control-クリックしてもコンテクストメニューが出ないようにしたり、画像をページの外へドラッグできなくしたりといったウェブサイトの厄介なやり口を回避できるようにするためのものだ。(2020 年 2 月 17 日の記事“標準のブラウザ制御を阻むサイトに嫌になったら、StopTheMadness を!”参照。) StopTheMadness 16.1 の Privacy オプション (デフォルトでオンになっている) が、今回から Facebook が data-lynx-uri アトリビュートを使って https://l.facebook.com/l.php 追跡 URL を隠すことができないようにした。StopTheMadness は Safari、Firefox、Google Chrome、および Microsoft Edge の各ブラウザと互換だが、Chrome、Edge、Brave では Extensions ウィンドウの中で Developer Mode をオンにしておく必要がある。(Mac App Store から新規購入 $8.99、無料アップデート、704.3 KB、リリースノート、macOS 10.12+)

StopTheMadness 16.1 の使用体験を話し合おう

Cardhop 1.3.5

Cardhop 1.3.5

Flexibits が連絡先マネージャ Cardhop のバージョン 1.3.5 をリリースした。構文解析ツールに重複した情報を入力した際の処理を改善した、小さなメンテナンス・アップデートだ。今回のアップデートではまた、印刷プレビューが表示されないことがあった問題を解消し、構文解析ツールに入力されたテキストがずれて表示されることがあったバグを修正している。(Flexibits からも Mac App Store からも新規購入 $19.99、無料アップデート、12.4 MB、リリースノート、macOS 10.11+)

Cardhop 1.3.5 の使用体験を話し合おう

ExtraBITS

訳: Mark Nagata   

CNN の調査が AmazonBasics 製品の危険性を指摘

AmazonBasics ブランドで販売されている電子機器を使っている人は多い。これは Amazon の自社ブランドで、電池や充電ケーブルから、炭火焼きグリルや電子レンジまで、さまざまの製品がある。私の本 Take Control of Apple TV の中でも AmazonBasics HDMI ケーブルをお薦めしている。ただ、この種の製品を購入する際には気を付けた方がよいようだ。CNN がこのブランドを調査して、びっくり仰天の調査結果を公表した。AmazonBasics 製品が引き起こした火災や爆発の事例が数多くあるというのだ。CNN は Amazon 自体のサイトの中を検索して、この種の懸念を記したレビューを 1500 件以上見つけた。いくつか例を挙げれば:

  • サージ保護装置から炎が吹き出す
  • バッテリーの液漏れや爆発
  • USB ケーブルが突然燃え上がる
  • 文書シュレッダーが爆発
  • 電子レンジが燃え出す

当然ながら Amazon は、その昔に Dan Aykroyd が Saturday Night Live で演じたキャラクター Irwin Mainway, のごとくに、何も問題はないと主張する。ただ、もう何十年も前から Amazon は品質問題に苦闘を続けている。私たちも 2016 年に偽造の Apple アクセサリーが販売されていることをお伝えした。(2016 年 10 月 24 日の記事“Apple アクセサリーを Amazon で買う時には気をつけられたし”参照。)

Amazon がいくら否定しているといっても、もっと詳細が明らかになるまでの間は AmazonBasics 製品の購入に際してはこれまでより一段高いレベルの用心をすることをお勧めしたい。さて、それでは私はちょっと失礼して、仕事机の隣に不穏な様子で控えているずんぐりした AmazonBasics シュレッダーに恐る恐る目をやろうかと思う。

AmazonBasics shredder

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