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#1641: LastPass 漏洩、Live Text でレシピ入力、MobileDeviceUpdater のインストール不具合を修正

2023 年にようこそ! 今年最初の号ではパスワード管理サービス LastPass で起こった深刻なセキュリティ漏洩を取り上げて、何が起こったのか、ユーザーはどう対応すべきかを説明する。Adam Engst は MobileDeviceUpdater で起こり得るインストールの不具合に対してある TidBITS 読者が見つけた意外な修正方法を伝える。これは、USB 接続された iPhone や iPad に Mac からやり取りできるようにするためのソフトウェアだ。Adam はまた、iOS の Live Text 機能を使って料理本や雑誌に載っているレシピをスキャンしてレシピ管理アプリ Paprika に取り込むテクニックを紹介する。 今週注目すべき Mac アプリのリリースは Affinity Designer, Photo, Publisher 2.0.3、SuperDuper 3.7.2、Airfoil 5.11.4、Audio Hijack 4.0.7、Piezo 1.7.12、SoundSource 5.5.7、Quicken 6.11.1、BusyCal 2022.4.7、Pixelmator Pro 3.2.3、Default Folder X 5.7.3、Zoom 5.13、Mimestream 0.40.2、Alfred 5.0.6、それに Lunar 5.9.1 だ。

Adam Engst  訳: Mark Nagata   

MobileDeviceUpdater の "インストール失敗" エラーを修正する

macOS の内部で Apple が管理するあらゆるプロセスの中で、MobileDeviceUpdater ほど謎めいたものはあまりない。macOS が USB 接続された iPhone または iPad に接続しようとしてドライバのアップデートが必要となった場合にこのソフトウェア・エージェントがインストーラを起動するのだが、それは macOS の他のどんな活動とも違って見える。

MobileDeviceUpdater install dialog

MobileDeviceUpdater のアラートを見てこれはマルウェアかフィッシング攻撃ではないかと危惧する人たちはいるけれども、実はこれは本物かつ必要なアップデートであって、インストールしないとその Mac は iPhone や iPad とやり取りできない。デバイスごとに異なるスケジュールを使ってシステムをアップデートしているかもしれないので、macOS のバージョンが古くて新しいバージョンの iOS や iPadOS とやり取りできないという状況は大いにあり得る。

iPhone や iPad を Mac に繋いだらこのアラートが出たという場合には、Install ボタンをクリックする。すると、ダウンロード中およびインストール中という進行状況ウィンドウが開くはずだ。それが終了すれば、万事オーケーだ。少なくとも、オーケーなはずだ!

MobileDeviceUpdater download dialog

でも、インストールに失敗することがあり得る。そんな場合はどうすればよいのか? インストールの終わりにそのダイアログが出ても、Apple は何の助言も提供してくれない。

MobileDeviceUpdater installation failed dialog

私はそれまでこの問題を経験したことはなかったが、一月ほど前に iPad Pro を macOS 12 Monterey の走る 2020 年型 27 インチ iMac に接続しようとしてこれに遭遇した。私は同期しようとしていた訳でさえなくて、ただ単に充電したかっただけだ。iPad や iPhone を USB 経由で同期することはないので、インストールに同意しておけば同じアラートに悩まされることはなくなるだろうと気軽に考えた。なので、私が走らせたいとさえ考えていなかったそのインストーラがインストールに失敗したというダイアログを見た時の私の苛立ちを想像して頂けるだろうか? まず iPad を、その次に Mac を再起動してみたが、状況は変わらなかった。

全くの偶然で、その数日後に TidBITS 読者の James Weil が問題の解決方法を TidBITS Talk に投稿してくれた。それは私にとって幸運の一日であり、もしかすると今日が皆さんにとっての幸運の一日かもしれない。次の手順を辿ればよい:

  1. macOS 13 Ventura より前のバージョンの macOS では System Preferences > Sharing を開く。Ventura では System Settings > General > Sharing を開く。
  2. 有効になっているすべてのサービスのチェックを外す。私の場合は Media Sharing と Content Caching と AirPlay Receiver にチェックが付いていた。
    Sharing preference pane with services enabled
    macOS 12 Monterey のバージョンの System Preferences が示されているが、Ventura でもやることは同じだ。
  3. いったん iPhone や iPad へのケーブルを抜いてから、もう一度差し直す。
  4. 再び MobileDeviceUpdater からそのプロンプトが出たら、Install をクリックする。今度はソフトウェアアップデートが正しくダウンロードされインストールされるはずだ。興味深いことに、失敗した時に比べてダウンロードにかなり長い時間がかかり、進行状況バーを数分間にわたって眺め続けることになった。つまりあれはダウンロードに関係する問題だったということだろう。
    MobileDeviceUpdater download dialog
  5. それから再び Sharing 画面を開いて、さきほどオフにしたサービスを有効に戻す。

こうして私は 12 月に問題に遭遇し、James の投稿を見て、この手順を辿ってアップデートに成功したのだったが、ついさっきまた同じエラーが出現したのを見てちょっとびっくりした。どうやらこのエラーは再現することがあるらしく、Mac と iPhone や iPad との間にずれが生じて新たなソフトウェアアップデートが必要となる度に同じ手順を繰り返さなければならないらしい。

ややこしいことに、どうやら問題はどのサービスが有効になっているかには無関係のようだ。有効になっていた3つのサービスのうちから1つずつオフにしたり、それを再有効化して次をオフにしてみたりいろいろ試した。当初、私は Media Sharing や AirPlay Receiver が原因になるとは思えず、きっとこれは MobileDeviceUpdater と Content Caching の間の問題だろうと想像していた。でも、そうではなかった。どのサービスでも走っていると MobileDeviceUpdater が止まってしまう。すべての共有サービスを無効化した場合にのみ、問題なくダウンロードとインストールが完了した。James が言った通りだ。

この解決法にはとてもとても不満足だ。まるで、その昔のデスクトップの再構築とか PRAM のザッピングとかいったものと同等の呪術的修正方法に思える。何がこの問題を起こしているかについてアイデアをお聞かせ願いたいと思っているところだが、何らかの説明を聞くまでの間は、上記の手順が本当に解決になると保証することはできない。でもまあ、少なくとも試してみるのは簡単だ。(もしもこの手順でうまくいかなかったならば、ぜひコメントでお知らせ願いたい。とりわけ、別の解決法があれば教えて頂きたい。)

Apple にはちゃんと時間をかけてこの問題をきっちりと修正してほしいものだ。

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Adam Engst  訳: 亀岡孝仁  

料理本をデジタイズするのに Live Text を使おう

私は料理本が好きだ。ページをめくりながら、レシピはどれ程難しいだろうか、そしてどんな味がするのだろうかと想像してみるのが好きでたまらない。J. Kenji López-AltDeb Perelman の様な著者はとりわけ楽しいし、料理本には常に自分で盛ったよりもより美しい綺麗な写真が載っていることが多い。

しかし、私の最早秘密でも何でもない恥は、最初は夢中になった料理本でも、書棚に収まってしまうケースが多く、時折幾つかの限られたレシピのために引っ張り出されるだけとなってしまうことである。これ等の好みのレシピは付箋紙やしおりで目印とされることもある;もっと多くの場合、索引に頼ることとなる。Eat Your Books の検索可能なレシピ索引サイトの便利さは認めるが、それを習慣にまで持って行けたためしがなく ("料理用 Web サイト Eat Your Books" 17 March 2022 参照)、作るレシピを見付けるために、料理本をめくっていく作業を繰り返すこととなってしまう。

数年前、Tristan が大学で自炊を始め、自分が食べて育ったレシピを欲しがった時、我々は全面的に Paprika に頼った。それは素晴らしいレシピアプリで、iPhone, iPad, そして Mac のみならず Android や Windows でも使える (我々が最初に取り上げた記事 "FunBITS: iPhone、iPad、および Mac 用 Paprika Recipe Manager" 14 March 2014 を参照されたい)。当時、バンドルとしての提供があったかどうか覚えていないが - このアプリは個別に売られている - 我々にとっては Family Sharing はぴったりである。と言うのも Tonya, Tristan, そして私の全員が手近にあるどんな機器からも我々の家庭のレシピにアクセス出来るからである。

Paprika に関わる障害は - そしてアナログの料理本に代わるどんなデジタル選択肢でもそうだが - レシピをインポートすることである。システム全体の共有拡張を使ってウェブサイトから、或いは Paprika 内蔵の Web ブラウザの中でサイトを見ながらレシピをインポートするのは全く問題がない。しかし、多くの料理本は姉妹となるウェブサイトを持たないし、Cook's Illustrated の様な料理雑誌は紙の上で読めるレシピにデジタルでアクセスするのに対して腹立たしい余分な料金を課してくることすらある。

レシピを料理本や雑誌から Paprika へ転送するやり方を手早く行うのに使った私の最初のやり方は Voice Control の口述を使う事であった。それは今でも iOS/iPadOS 16 キーボードで提供されている改善された口述よりも能力で勝っている ("iOS と macOS の口述が Voice Control の口述から学べること" 31 August 2020 参照)。レシピをはっきり読めば転写はそう難しくはないが、句読点記号や改行を口に出す時には注意深くやる必要があることは言うまでもない。Web インポートと口述した Paprika 上のレシピの数は、今や 200 を超えるが、料理本からレシピを探す必要性は無くなっていない。

AI-駆動の画像スキャンの登場もあり、私は最近 Paprika が、私にレシピを写真撮らせてくれ、テキストを OCR し、そしてレイアウトを認識して、説明、材料、作り方、そしてメモと分けてくれはしないかと思ったりもした。悲しいことに、その答えはノーであったが、その様な機能は他のレシピアプリには存在しているものもある。例を挙げると、CookBook, 読者推薦Mela,そして Recipe Keeper があるが、その機能のためだけで Paprika から離れたくはない。

しかしながら、スキャンする流れで考えてみた時、Apple が iOS 15 で導入した Live Text 機能はカメラのファインダーの中で検出されたテキストを挿入出来ることに気付いた。Live Text は疑いなくクールだが、これ迄、私はその意味ある使用法を思い付かなかった。しかし Paprika と一緒に使えば、料理本からレシピをインポートするのは数分間しかからず、口述するより遙かに少ない時間で出来る。

Live Text を使って "Marinated Kale Salad with Chickpeas and Sumac Onions (ひよこ豆と赤タマネギ入りケールのマリネサラダ)" レシピを J. Kenji Lopez-Alt の The Food Lab からスキャンしたやり方を紹介したいと思う。手書きしたメモも含まれる。

Marinated Kale Salad recipe from The Food Lab

まず最初に Paprika で新しいレシピを作る。それから以下の手順を踏むのだが、その様子は下記のスクリーンショットでも見られる:

  1. Name テキストフィールドをあたかもタイプ入力するが如くタップする。
  2. 出てきた Scan Text ボタンをタップ。Live Text カメラファインダーが画面の下部にあるキーボードに置き換わる。
  3. スキャンしたいテキストをファインダーの中に入るように位置決めする。黄色の印で囲まれていることを確認する。
  4. 青色の挿入ボタンをタップ。(そして、いいえ、Apple が何故「挿入」の表示を小文字にしたのか私には分からない。)
  5. レシピの残りのフィールドも同じ様に繰り返す:説明、材料、作り方、等々。

Scanning text with Live Text in Paprika

コメントとスクリーンショットに触発されたヒントを幾つか。

当然ながら、レシピのテキストをスキャンすることにまつわる特別なことと言えば、多くの人がレシピの大きなコレクションを紙で持っていることである。Live Text はデジタイズしたいどんなアナログテキストに対してもその魔法の効果を発揮するであろう、相手が Paprika の様な専用アプリであろうが或いはテキスト入力を受け入れる如何なるアプリであっても。

皆さんはテキストをスキャンするのに Live Text をどの様に利用したことがありますか?

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Adam Engst  訳: Mark Nagata   

LastPass がセキュリティ侵害の詳細を公表

LastPass CEO の Karim Toubba が、このパスワード管理会社が先月セキュリティ侵害を被り、暗号化されていない顧客アカウントデータと、暗号化されたユーザ名とパスワードを含む顧客ヴォールトを攻撃者が盗み出したと発表した。

これは LastPass にとっては悪夢のような状況かもしれないが、大多数のユーザーはそれほど大きなリスクには瀕していないはずだ。なぜなら、この会社の Zero Knowledge セキュリティ・アーキテクチャがユーザーのマスターパスワードへのアクセスを防ぎ、それを知られないようにしているからだ。つまり、盗まれたデータにマスターパスワードは含まれていない。この安全対策によって、盗まれたユーザ名とパスワードの暗号を攻撃者が解くことが防がれる。

LastPass はこの漏洩に関して以前からある程度透明性を提供し、漏洩が起こった時点でそれを公表するとともに今週になって詳細を追加公表した。LastPass の自社運用プロダクション環境は漏洩していないけれども、攻撃者は 2022 年 8 月にある開発者のアカウントに侵入して入手した情報を利用して別の従業員のアカウントを標的とし、LastPass がバックアップとして使っているクラウドベースのストレージからデータを盗み出したという。(議論の余地はあるが、これらの出来事はすべて一つのセキュリティ侵害の要素であると見なされる。)

このインシデントはセキュリティに対する LastPass のアプローチの弱点を際立たせる。盗まれたデータの中には顧客の暗号化されていないアカウント情報 (名前、アドレス、電話番号、ただしクレジットカード情報は含まれない) と、暗号化された顧客のヴォールトデータが含まれていた。LastPass はユーザ名、パスワード、セキュアメモ、フォームデータなどを 256-bit AES 暗号化で保護しており、それを復号化できるのはユーザーのマスターパスワードから得られる唯一の暗号鍵によってのみだ。しかしながらユーザーのヴォールトの内部にはパスワード項目に付随したウェブサイト URL が暗号化されずに含まれていて、その点は問題だ。

さらに深刻なことに、LastPass はユーザーが選んだマスターパスワードのみに依存して暗号化データを保護している。この会社はパスワードを設定する際の最低要件を引き上げてきたけれども、ユーザーが弱いマスターパスワードを選んだ結果としてクラッキング攻撃を通じてマスターパスワードが推測されてしまう可能性が残る。Apple の iCloud Keychain も、1Password のクラウドベースのストレージも、他のいくつかのソリューションも、デバイスベースの鍵とマスターパスワードあるいはアカウントログインを混ぜて使うことで抵抗力を増すようにしている。攻撃者がヴォールトやアカウントパスワードを破ることに加えて、デバイスを入手してロックを外すことが必要となるからだ。

LastPass ユーザーはどう対応すべきか?

あなたが LastPass のマスターパスワードを LastPass だけで使っていて他で併用しておらず、この会社のデフォルトの設定を使っている限り、現時点で何もする必要はないと LastPass は提言する。(デフォルトの設定では最低 12 文字以上のパスワードを要件とし、パスワード強化アルゴリズム PBKDF2 で反復数を非常に大きく 100,100 としている。)

もしも攻撃を受けたことのある別のサイトであなたがマスターパスワードを再利用していたり、12 文字より少ないパスワードにしたり (決してそんなことをしてはいけない!)、あるいはパスワード強化設定を下げたりしていたならば、ブルートフォース攻撃によって暗号が破られてしまうかもしれない。(長年のユーザーの中にも、PBKDF2 アルゴリズムの設定をずっと低く、500 とか 5000 とかにしていた人たちがいた。チェックする方法の説明はこちら。) もしあなたがそのどれかに該当していたなら、今すぐマスターパスワードを変更して、複数要素の認証をオンにしておこう。(LastPass Authenticator アプリを使うとよい。説明を読みたければ、LastPass サポートポータルページで Features & Tools をクリックしてから Multifactor Authentication をクリックする。)

ヴォールトが盗まれたので、その中のデータは既に盗人の手にあって、あなたがそれを保護することはもはやできない。LastPass は、マスターパスワードをクラックされるリスクを持つ人は保存してあるウェブサイトのパスワードを変更するのがよいと勧めている。まず、あなたに成りすますために使われる可能性のある重要なアカウント、例えば電子メール、携帯電話、ソーシャルメディアなど、それに加えて財務データを含むところから始めよう。心配ならばさらにもっと広範囲にパスワードを変更しよう。(通常ならば、他で使っていない強力なパスワードは一切変更する必要はないのだが、今回はたとえ暗号化された状態であるとしてもあなたの核心的秘密が盗まれたのだから懸念はある。)

弱いマスターパスワードを使っていた人は、まずそれを変更してから、LastPass アカウントで複数要素の認証をオンにしておこう。たとえ馬が小屋から逃げてしまっても、新しい馬を手に入れて小屋のドアをしっかり閉めておくことはできる。あなたのヴォールトの中に保存されたパスワードを更新してからそれを新しい、強力で、他で使っていないパスワードを使って保護しておけば、たとえ将来また漏洩が起こったとしてもあなたがその影響を受ける可能性は低い。

マスターパスワードが強いか弱いかにかかわらず、今後すべての LastPass ユーザーは対象を定めたフィッシング攻撃に特に警戒する必要がある。今回盗まれた LastPass ヴォールトのバックアップではウェブサイト URL が暗号化されていなかったので、フィッシング攻撃者がその暗号化されていないアカウント情報から電子メールアドレスを取り出して攻撃に使うことは容易だからだ。

もしあなたに電子メールかテキストメッセージが届いて、それが何らかのログインページへのリンクを含んでおり、それが正当なものか否かにほんの少しでも疑問があったなら、まずブラウザを使ってそのウェブサイトに直接ナビゲートして、そのサイト上にあるリンクを使ってログインしよう。URL プレビューを信用してはいけない。ページがほとんど見分けがつかないようにドメイン名を偽造するのはあまりにも簡単なことだからだ。クレジットカード関係の警告や、配達追跡の通知のようなものには特に注意しよう。そういうものは普段からフィッシングでよく使われるやり口だし、とりわけホリデーシーズンの間はユーザーを簡単に騙せてしまうものだから。

疑問と懸念

明らかに LastPass は誤りを犯した。それでも、少なくともこの会社は何が起こったかについて透明性を提供している。LastPass がセキュリティについて特別に思慮に欠けていたという感じはしない。今回のことは、何か月もかけて入念に準備された、極めて精緻な多面的攻撃のように思える。まず始めに一人の従業員に絞って攻撃し、それから別の従業員を標的とすることで最終的に膨大なデータが漏洩したという今回の攻撃の仕組みを、あらゆる団体は価値ある教訓として受け取るべきだろう。それでもなお、今回の結末はいくつかの疑問と懸念を提起する。

LastPass ユーザーは別のパスワード管理ソリューションへの乗り換えを考慮すべきか?

その通りだ。理由は二つある。第一に、マスターパスワードに秘密鍵を絡ませることでこの種の盗難に対する保護を提供するというやり方を LastPass が採用していなかったのは問題だ。第二に、今回の攻撃者が盗み出した情報を利用して将来また LastPass のシステムを攻撃するということもあり得るかもしれない。LastPass は一人の従業員のアカウントに侵入された 8 月の漏洩への対応としてシステムの強化を実施したのだったが、11 月の二人目の従業員への攻撃を防ぐことはできなかった。

反対に、私たちの知る限り、LastPass の Zero Knowledge アーキテクチャは今もまだセキュアであるので、もしあなたが自分のマスターパスワードが強力であることに自信があって、かつ LastPass の全体的なアーキテクチャが信頼できると思うならば、心配せずにそのまま使い続けてよいはずだ。

長年 LastPass を主たるソリューションとして使い続けてきた者として (Tonya は 1Password を使っており、私たちはファミリーヴォールトを Tristan と共有している) 私は今回の漏洩だけを理由に他に乗り換えるつもりはない。けれども、私は他の厄介事で LastPass に苛立ちを感じている。複数要素の認証が Apple Watch で使えないこと、生成されるパスワードが記号を含み 20 文字から成るという設定を記憶してくれないこと、それからその Chrome 拡張が頻繁に壊れてしまうこと (2021 年 8 月 24 日の記事“Chrome 拡張が消える? ならば Repair をクリックしよう”参照) もある。だから、私は時間の余裕が見つかれば 1Password に乗り換えることに決めた。

今回の漏洩はクラウドベースのパスワード管理サービスという考え方そのものへの批判なのか?

この質問にイエスと答える人がいることは間違いないだろう。パスワードをローカルに管理していればどこかの会社に対する攻撃によって影響を受けることはないから、というのがその論拠だ。ただ、ここでの問題点はむしろクラウド上のデータがどのように保護されているかというところにある。LastPass はあなたのデータのための暗号化鍵を保持していないけれども、問題はその暗号化方法が十分には強力でないことだ。暗号の力のすべてがたった一つのマスターパスワードに依存していて、どこにでも入力できるようになっている。複数個のコンポーネントを要求しそれらを別々の場所に保持するようにはしていない。

クラウドベースのストレージを拒否してパスワードをローカルに管理するというやり方は、特定の対象を狙わずランダムに選んだ相手に仕掛けるフィッシングやその他の攻撃の犠牲にならないという前提の上に成り立っている。LastPass の漏洩は特定の従業員を標的とした直接の攻撃であったのだが、相手を定めない手当たり次第の攻撃は自動化されたり、あるいはマルウェアを使って広く配布されたりする。そのような場合、攻撃者は誰が犠牲者なのか知らないし、そんなことを気にも留めない。

その上、クラウドベースのシステムは二つの魅力的な機能を提供する。複数のデバイスやプラットフォームに跨って同期できることと、特定のパスワードを同じシステム上の他のユーザーと共有できることだ。iCloud、Dropbox その他を使えば同期は比較的簡単だが、パスワードを他の人と共有するためには共有アカウントが必要となる。

他のパスワードマネージャもやはり同種の攻撃を受ける恐れがあるのか?

私にはそうは思えない。LastPass での侵害は過去に盗まれた情報に依存していた。個々の従業員を標的とした攻撃で盗み出した認証情報やその他の情報によって補助的なバックアップストレージへのアクセスが提供されてしまったのだ。これはカスタマイズされた攻撃であって、他の会社に対してそのまま使われることはない。それに加えて、LastPass がたった一つのマスターパスワードに依存していたことがユーザーのデータを特別のリスクに晒した。

そうは言っても、あらゆるパスワード管理サービスはほぼ常時攻撃に晒されつつあると考えておかなければならない。なぜなら、有名な銀行強盗 Willie Sutton の言葉を借りれば、そこにパスワードがあるからだ。それらの会社はそのような攻撃をいつものことだと考えるかもしれないが、ひょっとすると LastPass のインシデントから学んで自らのセキュリティ慣行を見直し、何か見落としがないかを調べているところかもしれない。LastPass は、おそらく 2022 年 8 月より以前には見落としがあるとは考えていなかったのだろう。

いつになったらパスキーがこの種の問題を一挙に取り去ってくれるのか?

確かなことは分からないが、すぐに移行が起こる訳ではない。記事“パスキーがパスワードよりシンプルかつセキュアなものになる理由”(2022 年 6 月 27 日) を参照。

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata   

Affinity Designer, Photo, and Publisher 2.0.3

Affinity Designer, Photo, Publisher 2.0.3

Serif が Affinity DesignerAffinity Photo、および Affinity Publisher への大きなバグ修正アップデートを出した。(2022 年 12 月 5 日の記事“Creative Cloud から Affinity V2 へ乗り換えてはいかが”参照。) これら三つのアプリのバージョン 2.0.3 では Custom Document Preset の順序をセッション間で維持するようになり、macOS 13 Ventura で外付けドライブに正しく保存できるようにし、HEIF 読み込みツールを更新し、Colour Panel で CMYK 書類の設定を記憶するようにした。グラフィックデザインアプリ Affinity Designer では、新規作成した領域の内部で開いた曲線を削除するオプションを Shape Builder ツールに追加し、Warp Group 編集で Shift キーを使ってノードの編集を 8-axis グリッドに限定できるようにした。写真編集アプリ Affinity Photo では、Develop Persona の Lens Correction を改良して Raw 以外のファイルでも Lens Profile が適用されれば働くようにした。デスクトップ出版アプリ Affinity Publisher では新規ブック機能でのバグ修正が多数施され、特に書き出された PDF のプレビュー、多くの章を同時に開く際の問題、書類ファイルの掲載などが改善された。Serif は 40% 割引のセール販売を 2023 年 1 月 25 日まで延長していて、その期間内は個々のアプリがどれでも一つ $40.99、三つのアプリをすべてのプラットフォームで使えるバンドル購入が $99.99 となっている。(Affinity Designer は新規購入 $69.99、811 MB、リリースノート。Affinity Photo は新規購入 $69.99、905 MB、リリースノート。Affinity Publisher は新規購入 $69.99、807 MB、リリースノート。三つのアプリをまとめて購入すれば $169.99、いずれも無料アップデートで、macOS 10.15+ が必要)

Affinity Designer, Photo, Publisher 2.0.3 の使用体験を話し合おう

SuperDuper 3.7.2

SuperDuper 3.7.2

Shirt Pocket が SuperDuper 3.7.2 を素早くリリースして、バージョン 3.7.1 で出ていた誤ったエラーメッセージを取り除いた。そのことは同時に、macOS 13 Ventura に関係したいくつかの厄介な問題.も解決することになった。新バージョンにアップデートすれば、このバックアップユーティリティが Ventura でコピーをした後に保存先ボリュームをマウントできなくなることがあった問題が解消され、また SuperDuper アップデータが Apple silicon 搭載の Mac で走る際に Rosetta 2 を使うよう要求することもなくなるはずだ。さらに、起動項目のインストール中という通知が Ventura から出る際に (SuperDuper はスケジュールされた時刻に走るため起動項目を必要とする)、SuperDuper の名前を表示するようになった。これまでは代表開発者の名前が表示されていて、誰なのか分かりにくかったからだ。(基本的機能は無料、追加機能は $27.95、無料アップデート、9.2 MB、リリースノート、macOS 10.10+)

SuperDuper 3.7.2 の使用体験を話し合おう

Airfoil 5.11.4, Audio Hijack 4.0.7, Piezo 1.7.12, SoundSource 5.5.7

Airfoil 5.11.4, Audio Hijack 4.0.7, Piezo 1.7.12, SoundSource 5.5.7

Rogue Amoeba が同社の四つのオーディオユーティリティをアップデートして、リリースされたばかりの macOS 13.1 Ventura にフル対応させた。共有される Audio Capture Engine がバージョン 11.9.2 にアップデートされている。今回出たのは Airfoil 5.11.4 (ワイヤレスオーディオ放送)、Audio Hijack 4.0.7 (フル機能のオーディオ録音)、Piezo 1.7.12 (シンプルなオーディオ録音)、および SoundSource 5.5.7(オーディオ入力/出力コントロール) だ。また、SoundSource はログイン時の起動の際に稀に起こったクラッシュを除去し、キーボードを使った音量調整を macOS による調整とより良くマッチさせた。TidBITS 会員はこれらのアプリをすべて 20% 割引で購入できる。(Airfoil は $35、43.2 MB、リリースノート。Audio Hijack は新規購入 $64、34.1 MB、リリースノート。Piezo は新規購入 $25、23.3 MB、リリースノート。SoundSource は新規購入 28.0 MB、 リリースノート。いずれも無料アップデートで macOS 10.15+ を要する)

Airfoil 5.11.4, Audio Hijack 4.0.7, Piezo 1.7.12, SoundSource 5.5.7 の使用体験を話し合おう

Quicken 6.11.1

Quicken 6.11.1

Quicken Inc. が Quicken for Mac のバージョン 6.11 をリリースして、請求書の支払い、確定申告、投資、アカウントなどに対する改良をこの財務管理用アプリに施した。今回のリリースでは投資に新しいチャート機能を追加し、ポートフォリオを表示する際にセント額を隠せるようにし、アカウントの接続状況ウィンドウのデザインを新たにし、Direct Connect アカウントを追加する際の流れを改善し、個人の税スケジュールを Quicken Mac Deluxe および Premier のユーザーにも使えるようにした。また、今回のアップデートでは請求書の支払いにもいくつかの改良が施され、QuickPay や Check Pay で支払う際に取引を分割できるようにし、QuickPay や Check Pay で請求者ごとに前回支払いに使ったアカウントを記憶しているようにし、接続されたアカウントでの請求書についてそれを探知してユーザーに通知するようにした。このリリースの後間もなくバージョン 6.11.1 が出されて、アカウントの更新中に起こることがあったクラッシュを修正した。(講読年額 $34.99/$51.99/$77.99、購読者は無料アップデート、 リリースノート、macOS 10.13+)

Quicken 6.11.1 の使用体験を話し合おう

BusyCal 2022.4.7

BusyCal 2022.4.7

BusyMac が BusyCal 2022.4.7 をリリースして、タイムゾーンに関係する多数の機能をこのカレンダーアプリに追加した。今回から Preferences > Advanced > Time Zones で好みのタイムゾーンを追加してそれぞれの名前もカスタマイズできるようになり、好みのタイムゾーンが最近使ったタイムゾーンと並べて示されるようになった。Info Panel にはイベントに対するタイムゾーンの変換を表示するオプションが付き、好きなタイムゾーンでのローカルタイムを直接 Info Panel で見られるようになった。また、Info Panel に新設された Time Zones カードからスケジュールされた時間をコピーすることもできる。それから、今回 BusyCal は位置情報を Google Maps で開く機能に対応するとともに、未来の日付のイベントを新規作成する際に一時的に重複して表示されることがあったバグを修正している。(BusyMac からも Mac App Store からも新規購入 $49.99、無料アップデート、Setapp からも利用可、56.9 MB、リリースノート、macOS 10.13+)

BusyCal 2022.4.7 の使用体験を話し合おう

Pixelmator Pro 3.2.3

Pixelmator Pro 3.2.3

The Pixelmator Team が Pixelmator Pro 3.2.3 をリリースして、機械学習で駆動された Deband 機能を導入し、画像からカラーバンディングと圧縮アーチファクトを除去できるようにした。16-bit 色深度の画像で最高のデバンディング結果が得られるので、Pixelmator Team は 8-bit 画像に Deband を適用する前にまず 16-bit へ変換 (Image > Color Depth > 16 Bits/Channel) するよう推奨している。また、この Deband 機能は AppleScript を使って画像から自動的にカラーバンディングを取り除くやり方にも対応している。

また、この画像エディタは (加えて 今はビデオも扱える) ホリデーおよび年鑑のテンプレートも追加してカード、ポスター、ソーシャルメディアへの投稿、ストーリーを作成できるようにし、機械学習で駆動される機能 Denoise、Super Resolution、および Match Colors の名称から "ML" を削除し、インターネットからダウンロードした SVG ファイルが開けなかったバグを修正し、アスペクト比が正方形でないビデオが引き伸ばされて表示された問題を解消した。Pixelmator Pro は期間限定で 50% 割引の $19.99 で販売されている。(Pixelmator からも Mac App Store からも新規購入 $39.99、無料アップデート、550 MB、リリースノート、macOS 11+)

Pixelmator Pro 3.2.3 の使用体験を話し合おう

Default Folder X 5.7.3

Default Folder X 5.7.3

St. Clair Software が Default Folder X 5.7.3 をリリースして、macOS 13 Ventura のバグに対処するとともに、Open/Save ダイアログを拡張するこのユーティリティが Finder ツールバーに置くボタンのデフォルト位置を調整して幅の狭いウィンドウで隠れてしまうことがないようにした。今回のアップデートでは Default Folder X が Open/Save ダイアログに表示される場所を変更するとマウスカーソルが消えてしまうという Ventura のバグの影響を最小化し、ファイルダイアログで現在選択されている項目に関する情報を取得するとクラッシュすることがある Ventura のバグを回避した。バージョン 5.7.3 ではまた Default Folder X の AppleScript 辞書のコマンド説明を改善した。(新規購入 $34.95、TidBITS 会員には新規購入で $10、アップグレードで $5 の値引、Setapp からも入手可、13.7 MB、 リリースノート、macOS 10.13+)

Default Folder X 5.7.3 の使用体験を話し合おう

Zoom 5.13

Zoom 5.13

Zoom が Zoom ビデオ会議アプリをバージョン 5.13 にアップデートして、ミーティング、ウェビナー、チームチャットその他に関する幅広い改善やバグ修正を施した。今回のアップデートでは共有コンテンツ画面の左下隅に新たなトグルを追加して注釈ツールバーにアクセスしやすくし、Q&A のサポートを追加するとともにミーティングで直接投票を作成できるようにし、Team Chat から直接にチャットチャンネルのメンバーとのミーティングをスケジュールできるようにし、Team Chat の中でアニメーション GIF を一時停止/再生するオプションを追加し、インポートした連絡先から電話を受けた際に連絡先の名前が正しく表示されなかった問題を解消し、自動サインアウト設定が一貫性を持って適用されなかったバグを修正し、埋め込まれたリンクをコピー/貼り付けする際の問題に対処した。(無料、87.5 MB、リリースノート、macOS 10.10+)

Zoom 5.13 の使用体験を話し合おう

Mimestream 0.40.2

Mimestream 0.40.2

Mimestream が同社の Gmail 用ネイティブ macOS クライアントのベータ版 0.40.2 をリリースして、Mentions 補完メニューのパフォーマンスを改善した。今回のアップデートではまた、macOS 13 Ventura で発生した 2 件のバグ (連絡先カードのポップオーバーが空のままで開いた問題と、連絡先にアクセスする際のクラッシュ) を修正し、展開された親レベルで未読カウントが表示されなかった問題を解消し、独立のウィンドウを開いてから環境設定ウィンドウを閉じると起こったメモリリークをパッチし、コピーした Gmail URL が Messages で重複しないようにし、空白の領域をクリックするとアカウントリストが消えてしまったバグを修正した。(ベータ期間中は無料、11.8 MB、 リリースノート、macOS 11+)

Mimestream 0.40.2 の使用体験を話し合おう

Alfred 5.0.6

Alfred 5.0.6

Running with Crayons が Alfred 5.0.6 をリリースして、Alfred Gallery プラットフォームへの初期アクセスを追加した。このプラットフォームには Alfred コミュニティーから寄せられた幅広い内容のワークフローがダウンロードできるように用意されている。現在はまだ 100 個程度のワークフローがあるのみだが、他に何百個ものワークフローが審査中で、これからギャラリーに加わるはずだ。ギャラリーの Install in Alfred ボタンを使ってワークフローを直接アプリにインストールでき、Alfred の Preferences を使って最新バージョンに自動的にアップデートされるよう設定しておくこともできる。

また、このキーボード駆動ランチャーは macOS Reindexing シートおよびその基盤となるフレームワークを一から書き直し、Contacts Viewer に VoiceOver アクセシビリティを追加し、ワークフローの構成をアップデートしたり削除したりするための AppleScript の挙動を改良し、古くなった Workflow アイコンのいくつかを更新し、クリップボード履歴で Universal Clipboard ファイルリストを無視するオプションを追加した。(基本的機能は無料、Powerpack は 34 ポンド、6.4 MB、リリースノート、macOS 10.14+)

Alfred 5.0.6 の使用体験を話し合おう

Lunar 5.9.1

Lunar 5.9.1

Alin Panaitiu がバージョン 5.9 の Lunar をリリースして、Sync/Sensor/Location など順応モードの中で自動的に sub-zero 減光を使う機能に対応させた。(2021 年 8 月 5 日の記事“Mac の皆既蝕:Lunar がサードパーティディスプレイを制御”参照。) Lunar の自動学習アルゴリズムは今回から sub-zero の輝度値も学習できるようになり、現在の周囲光や太陽の位置に基づいてそれを適用できる。このディスプレイ輝度制御ユーティリティは Shortcuts 対応を追加して、スクリーンの輝度を調整したり、Lunar の順応モードを変更したり、モニタを入れ替えたりその他ができるようになった。今回のアップデートではまた、Apple silicon 搭載の新型 Mac に内蔵された HDMI ポートとも互換になり、コマンドラインから周囲光センサーのホスト名を変更できるようにし、プロジェクターや仮想ディスプレイの探知を改良した。そのリリースの後間もなく、バージョン 5.9.1 が出されていくつかのモデルのモニタで Display Data Channel (DDC) が反応しなくなった問題が修正された。(新規購入 $23、無料アップデート、21.6 MB、 リリースノート、macOS 11+)

Lunar 5.9.1 の使用体験を話し合おう

ExtraBITS

訳: Mark Nagata   

Apple の "The Greatest" ビデオ、アクセシビリティ機能が生活の質を高める用例を示す

Apple の YouTube チャンネルにこんな文章が載った:

Apple にいる私たちは、アクセシビリティは人権だと考えています。Door Detection、Sound Recognition、Voice Control その他の革新的な機能は、あなたが自分に最も適したやり方でデバイスを使えるようにデザインされています。

多くの人たちにとって、Apple デバイスのアクセシビリティ機能の使い道はせいぜい老眼になったらテキストサイズを大きくしたり、Back Tap でショートカットを呼び出したり (2020 年 9 月 24 日の記事“iOS 14 の Back Tap 機能が操作のショートカットを提供”参照) といったことに限られるかもしれない。けれどもこの短いビデオの中で、Apple は人々が iPhone や Mac や Apple Watch のアクセシビリティ機能を利用してもっとはるかに大きな意味で生活の質を高めている用例を示す。アクセシビリティは十分に高度なテクノロジーであると同時にまさに魔法だとも言える。

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PCalc の 30 年間を振り返る

PCalc の開発者 James Thomson がこの電卓アプリの 30 周年に際してこう記した:

私は自分の新しい Mac で正しくプログラミングするやり方を学ぶために何か小さなプロジェクトをと探していて、ふと以前コントロールパネル用に作ったグラフィックスを思い出し、これを電卓としても使えるんじゃないかと思いました。「何々をするためだけの小さなプロジェクト」という表現にご注目ください。この表現はこの物語の中に何度も登場するでしょう。

当時 Mac OS に内蔵されていた電卓は非常にシンプルなものだったので、私は binary と hex もできる電卓を書けば自分のプログラミングの役に立つだろうと心を決めました。こうして PCalc のアイデアは生まれたのです。

その電卓がその後 30 年間も生きながらえて、Mac のチップのアーキテクチャ変更や Apple オペレーティングシステムの変更を複数回乗り越えつつ進化し、イースターエッグと、アプリ内のゲームと、さらにはスピンオフまで生み出すことになるなど、当時の誰が思っていただろうか。それらすべても、PCalc がどのようにして Douglas Adams の The Hitchhiker’s Guide to the Galaxy に結び付いていたかも、その他魅力的ないろいろの話も、彼の記事に満載だ。

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大型 Retina モニタが Samsung や Dell から登場予定

CES からの報告記事で、Dan Seifert が The Verge にこう書いている

Samsung と Dell のいずれも、明らかに Mac ユーザーの心に訴える新しいモニタを発表した。これらの新しいスクリーンは決して 4K パネルに USB-C ポートと白いプラスチックを取り付けただけのありふれたものではない。実際に高解像度のピクセル密度を持ち、macOS でうまく働いて、シャープさの点でも Apple のディスプレイと肩を並べる。また、Apple が Studio Display で販売しているのと同じく統合されたウェブカメラ、マイクロフォン、スピーカーの“ひとまとめパッケージ”を提供して、たった一本のケーブルを通じてデスク上に欠けのないセットアップを提供する。

Samsung の新しい ViewFinity S9 は格好の良い 27 インチ 5K ディスプレイで、Apple の Studio Display と直接競合するもののように見える。一方 Dell の UltraSharp 32 は四角張った 6K ディスプレイで、Apple の Pro Display XDR に照準を合わせる。いずれの会社もまだ価格を発表していないが、目から涙ほとばしる Apple の価格に比べればもっと手頃な価格になると予想できるだろう。願わくは、これらのスクリーンがきちんとした Retina 品質の代替製品であって手の届く値段で売り出されてほしいものだ。私が記事“5K ディスプレイに何が起こったのか?”(2018 年 11 月 16 日) を書いて以来、Mac ユーザーのためのディスプレイの世界はほとんど何も変わっていないのだから。

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