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#1507: iPadOS 13.4、iOS 13.4、macOS 10.15.4 Catalina、watchOS 6.2、COVID-19 スクリーニングツール、O'Reilly の対面カンファレンス廃止、オンライン注文

今週の大きなニュースは、Apple がトラックパッドに対応した iPadOS 13.4 をリリースしてトラックパッド搭載 Magic Keyboard の 5 月発売を発表したことだ。また、ずっと以前から約束されていた iCloud Drive フォルダ共有が macOS 10.15.4 Catalina、iOS 13.4、PadOS 13.4 で実現した。それらに比べればずっと小さなアップデートだが、watchOS 6.2、tvOS 13.4、HomePod 用 iOS 13.4 も出た。私たちの世界と交わる SARS-CoV-2 関係のニュースとしては、Apple が COVID-19 Screening Tool アプリおよびウェブサイトを公開し、メディア会社 O'Reilly が人々を実際の会場に集めるカンファレンスの事業から完全に撤退すると発表した。それからもう一つ、今の時期にテクノロジー関係の機器を入手する必要のある人たちのために、Josh Centers が製品を注文する際の注意と、荷物が到着した際に除菌するやり方について助言する。今週注目すべき Mac アプリのリリースは Ulysses 18.6、セキュリティアップデート 2020-002 (Mojave と High Sierra)、Safari 13.1、それに Cyberduck 7.3 だ。

Adam Engst Josh Centers  訳: Mark Nagata   

iOS 13.4 と iPadOS 13.4: トラックパッド対応、iCloud Drive フォルダ共有、その他

Apple が iOS 13.4iPadOS 13.4 をリリースしたが、今回はサイクル半ばのリリースにもかかわらず通常 Apple が織り込むレベルを超えた大きな機能が組み込まれた。iPhone 11 Pro では 983.7 MB、10.5 インチ iPad Pro では 3.13 GB というサイズの今回のアップデートは、Settings > General > Software Update から、または macOS 10.15 Catalina では Finder を使って、それ以前のバージョンの macOS では iTunes を使ってもインストールできる。その新機能を見てみよう。

iPadOS でマウスとトラックパッド対応を拡張

iPadOS 13.4 の (iOS 13.4 にはない) 看板機能は、マウスとトラックパッドへの対応の拡張だ。(詳細は 2020 年 3 月 28 日の記事“The iPad Gets Full Trackpad and Mouse Support”参照。) Apple は、この機能が Magic Mouse、Magic Mouse 2、Magic Trackpad、Magic Trackpad 2 で働くと述べている。私たちは初代の Magic Trackpad と the Magic Trackpad 2 でテストしたが、初代の Magic Trackpad は iPadOS 13.4 で動作はするけれどもジェスチャーやタップでクリックには対応していない。iPad Pro 用に間もなく登場する Magic Keyboard はフルに対応するのだろうと思われる。(2020 年 3 月 18 日の記事“世界が覆る: Apple の新型 iPad Pro がトラックパッドに対応”参照。)

Magic Trackpad 2 があれば、iPad Pro の Magic Keyboard のトラックパッドを使うのがどんな感じかが掴めるだろう。まず、Magic Trackpad 2 と Mac とのペアリングを解除しなければならない。System Preferences > Bluetooth へ行って、Magic Trackpad の隣にある X 印をクリックする。

次に iPad 上で Settings > Bluetooth へ行き、Other Devices の下にあるトラックパッドをタップする。トラックパッドの項目が見えていなければ、いったん Magic Trackpad 2 の電源を切ってから入れ直してみよう。プロンプトが出れば Pair をタップする。

アクティブになったら、トラックパッドの上で指を動かしてみよう。すると、小さなグレイの円形が動くのが分かるだろう。これがポインタの働きをする。クリック可能なオブジェクト (ただし Safari の中のクリック可能オブジェクトには適用されない) の上に来ると、ポインタが消えて、そのオブジェクトにライトグレイの背景が見え、それが選択されたことを示す。トラックパッドを指で押すと、それを指でタップした場合と同じ働きをする。

トラックパッドの設定を変えたければ、Settings > General > Trackpad へ行き、ナチュラルなスクロール、タップでクリック、2本指で副クリックの各項目を切り替えたり、トラックパッドの速さを調節したりできる。(Settings で "trackpad" を検索してもこの画面が出ないのはどう見てもおかしい。Settings アプリの中に存在するあらゆるテキストが検索可能であるべきだ。Bad Apple!)

iPadOS trackpad settings

iPadOS では iPad の標準的なスクリーン上でのジェスチャーをトラックパッド上でもできるだけでなく、標準的な macOS のジェスチャーに基づいた他のいくつかのジェスチャーにも対応している。人によって iPad スクリーンでのジェスチャーに慣れていることも、Mac のトラックパッドのジェスチャーに慣れていることもあるのだから、ある程度の重複があってもおそらくそれは良いことだろう。ここでも、記事““The iPad Gets Full Trackpad and Mouse Support”(2020 年 3 月 28 日) がすべてのジェスチャーを解説している。

iPadOS でキーボードの改良

macOS からヒントを得て、iPadOS 13.4 では Settings > General > Keyboard > Hardware Keyboard > Modifier Keys でハードウェアキーボードのキーを割り当て直すことができる。(Caps Lock よさらば!)

iPadOS modifier key settings

また、Settings > Accessibility > Keyboards に新しく Full Keyboard Access 機能が提供され、スクリーンやトラックパッドの上でスワイプしたりせずもっと簡単にキーを押すだけでハードウェアキーボードによる iPad のコントロールができるようになった。

iCloud Drive フォルダ共有

Apple は当初 iOS 13.0 と iPadOS 13.0 に iCloud Drive フォルダ共有を盛り込むと約束していたが、ベータテスト期間中にデータ破損のバグが判明して実装を遅らせることを余儀なくされた。そして今回、ようやくこの機能がこれら双方のオペレーティングシステムに実装された。データ破損の問題がもはや起こらないことを願いたい。Dropbox とよく似ているこの機能は、他の iCloud ユーザーとの間でフォルダを共有して、その共有グループにいるすべての人がそのフォルダの中でファイルを追加・削除・編集・閲覧できるようにする。私たちの初期テストで見る限り、この機能は Apple エコシステムの内部でしか動作しないようだ。

iCloud Drive フォルダを使ってみるには、Files アプリを開いて、一つのフォルダを指で押さえ続けてコンテクストメニューが出るまで待つ。そこで Share をタップし、アクティビティシートから Add People をタップする。Share Options のところで、誰とそのフォルダを共有するか、その人々に何が許されるかを指定する。

The steps to share a folder in iOS 13.4

最後に共有方法、例えば Messages か Copy Link をタップする。そうしてリンクを受け取った人はそのリンクをタップすることでその共有フォルダに参加でき、あなたが指定した設定に応じてその中のファイルを閲覧できたり編集できたりするようになる。受け取る側の人も、iOS 13.4 または iPadOS 13.4 または macOS 10.15.4 Catalina を走らせていなければならない。(2020 年 3 月 24 日の記事“Apple、macOS 10.15.4 Catalina、watchOS 6.2、tvOS 13.4、HomePod 用 iOS 13.4 をリリース”参照。)

また、iOS 13.4 ではログインしていなくても iWork アプリの中で iCloud Drive が利用できるように表示されていたバグに対処が施された。

Mail の改良

iOS 13 で最も頭痛の種となったのは、Apple が iOS 12 の Mail のツールバーボタンの多くをそれまで返信アイコンが表示されていた場所の裏側に隠してしまったことだ。結果として、返信をするつもりでその場所をタップしたのにそのメッセージが削除されたりアーカイブされたりしてしまう事態が多発していた。そこで今回、スレッドビューでメッセージの削除、移動、返信、作成のコントロールを常に表示するオプションができた。これを組み込むためにいったいなぜこんなに長い時間がかかったのかは謎だ。(奇妙なことに、iPadOS 版の Mail は Delete、Move、Compose の各ボタンを一番上に並べ、More Actions の曲がった矢印を 一番下に置いている。iPadOS 13.4 でもこれは変わっていない。)

iOS 13 Mail toolbar before and after iOS 13.4
iOS 13 でのツールバー (左)、iOS 13.4 でのツールバー (右)

加えて、今回から Mail は S/MIME が設定されている場合に暗号化メールへの返信を自動的に暗号化する。また、iOS 13.4 と iPadOS 13.4 では Mail のバグが多数修正された:

ユニバーサル購入

リリースノートの目立たないところに隠されているが、これは App Store における非常に重大な変更だ。開発者が、アプリのユニバーサル購入を提供できるようになる。少なくとも理論的には、一度購入するだけで同じアプリとそのアプリ内購入物を iPhone、iPad、Mac、Apple TV のすべてで使用できるようになる。多くの開発者たちがこの機能を利用するようになるかどうかは時が経たないと分からない。なぜなら、簡単にできるようになったといくら Apple が主張したとしても、数多くある Apple のプラットフォームのすべてへアプリを移植するためにはかなりの労力が必要で、この機能がその労力に見合うものであるかどうかは開発者次第だからだ。それでも、もしも実現されれば消費者の立場からは混乱が大幅に解消されることだろう。

その他の修正や改良

iOS 13.4 と iPadOS 13.4 にはそれ以外に次のような改善点がある:

アップデートすべきタイミング

では、アップデートはいつすべきだろうか? iOS 13.4 については、今すぐ iCloud Drive フォルダ同期を試してみたい人以外にとっては、歓迎すべきものではあるが直ちに必要不可欠というほどではないというのが私たちの見解だ。うむ、確かに、Mail にまともなツールバーが復活したのも魅力的とは言えるだろうが。でも、そうは言っても、もしもあなたが現在 iOS 13 のどれかを走らせているのならば、新機能とセキュリティアップデートの恩恵を受けるためにも、今後一週間程度のうちにはアップデートするのが正しいことだと思う。

iPadOS については話が別だ。トラックパッドの付いた Magic Keyboard はまだ一か月以上先にならないと手に入らないが、現行の Apple のトラックパッドで、あるいは他社製のトラックパッドで、新しいトラックパッド対応を試してみたいと思うなら、今すぐアップデートするのがよい。加えて iCloud Drive フォルダ共有や Mail の改善、それにまた Smart Keyboard で Caps Lock キーを無効化できるようになったことも、とてもありがたい。だから、数日間だけ待って、Apple が慌てて重要なバグ修正を出してくるような事態になっていないことを見極めたら、アップデートするのが賢明だろう。もちろん、そういう新機能を別にどうでもいいと思うなら、インストールの前にゆっくり一・二週間待っても何の問題もないだろう。

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Adam Engst  訳: Mark Nagata   

Apple、macOS 10.15.4 Catalina、watchOS 6.2、tvOS 13.4、HomePod 用 iOS 13.4 をリリース

今の時代、Apple から出るオペレーションシステムのアップデートといえば、一つはみんなのため、みんなは一つのためだ。今回のアップデートでは Apple のモバイルオペレーティングシステム (とりわけ iPadOS 13.4) が最も注目を浴びたが (2020 年 3 月 24 日の記事“iOS 13.4 と iPadOS 13.4: トラックパッド対応、iCloud Drive フォルダ共有、その他”参照)、Apple は同社の他のオペレーティングシステムもすべてアップデートした。その中では macOS 10.15.4 Catalina が最も注目すべきだが、残りの 3 つも早いうちにインストールするのがよいだろう。

macOS Catalina 10.15.4

macOS 10.15.4 Catalina アップデートのサイズは Software Update 経由ならば 2.97 GB だが、4.73 GB の統合アップデートをダウンロードすることもできる。その主たる新機能は iCloud Drive フォルダ同期のためのエコシステム対応だが、それ以外にもいくつか役に立つ変更点がある。

残念な点を言えば、10.15.4 のリリースノートには Mail でのデータ消失について一言も触れられていない。(2019 年 10 月 11 日の記事“Catalina でのメールデータ消失に注意”参照。) だからと言って Apple がそれらのバグを修正しなかったということにはならないが、この点についてはコミュニティーによるテストを待たなければならない。

iCloud Drive フォルダ共有

Catalina へのアップグレードをせずに待ちたいと思う他の要因が既に解消されたという前提の下に、例えばもはや起動しなくなる 32-bit アプリの問題に回避策を見つけたとか、使っている重要なアプリにアップグレードが出たとか、そういった問題が解決済みという前提があれば、iCloud Drive フォルダ同期こそがジャンプを果たすべき理由となり得るかもしれない。

その一つの理由は、月額 $9.99 を支払わずに Dropbox を使い続けるのがますます困難になっているからだ。一年前に Dropbox は無料アカウントで使える機器を 3 台までに制限した。(2019 年 3 月 14 日の記事“Dropbox、無料のアカウントを3台までに制限”参照。) はたして iCloud Drive フォルダ共有は、少なくとも Apple 中心のユーザーにとって、Dropbox に取って代われるものとなるだろうか? 私たちはその点をしっかり試してみようと思っている。

iCloud Drive フォルダを 10.15.4 で共有するには、Finder の中でそのフォルダを Control-クリックして、Share > Add People を選ぶ。すると macOS から奇妙なモーダルダイアログが開いて、誰がそのフォルダにアクセスできるか (招待状によって、またはリンクを使って誰でも)、その人たちがどんなアクセス権を持つか (閲覧のみか、変更もできるか) を設定できる。一番上のところで共有の方法を選び、共有したい相手の名前を入力し、Share をクリックすれば設定完了だ。

Sharing an iCloud Drive folder in Catalina

皆さんがこの機能をどんな感じで使えたか、どうぞお知らせ願いたい。

その他の機能や修正点

10.15.4 での他の変更点に特に魅力的なものは何もないが、いくつかは歓迎すべきものかもしれない。

マイナーな調整とバグ修正

もちろん、多くのユーザーが気付きにくい、またはありがたいとも思わないような、バグ修正や調整も常に存在する。

レガシーのシステム機能拡張を警告

とても大事なことを書き添えると、Adam が 10.15.4 にアップデートした際に、レガシーのシステム機能拡張に関する 2 通の通知が出た。Apple は Catalina がレガシーのシステム機能拡張に対応する最後のバージョンの macOS となると発表しているので、かつて 32-bit アプリに関する警告を出したのと同様に、今回もあらかじめユーザーたちに警告を出し始めているのだ。

The 10.15.4 legacy system extension warning.

残念ながら、この警告ダイアログには開発者の名前しか示されておらず、該当するアプリの名前は示されないので、ユーザーたる私にとっては誰に連絡すればよいのか知るのが困難だ。Google 検索をした結果 Ludovic Leger というのは TripMode の開発主任だと分かった。TripMode は高速ネットワークが利用できない環境下でバンド幅の使用を管理するために私がいつもお奨めしている便利なユーティリティだ。(2015 年 7 月 22 日の記事“TripMode、テザー接続した Mac で不要なインターネットデータ使用を阻止”参照。) Steven Yan が誰なのか、彼のどんなアプリを私が使っているのかについては、私にはまだ分からない。現時点では問題にならないが、数か月後に Catalina の次の macOS バージョンが登場した際には大問題となるかもしれない。

アップデートの決断

えっ、それだけで終わり? 今回の macOS 10.15.4 は、10.14 Mojave からそろそろアップグレードしようかと思う人たちが待ち焦がれていたリリースなのか? その答を確実に知るにはまだ時期尚早だが、実際に数日間使ってみて通常の使用では特に目障りな難点が見つからなかったので、個人的な感触として私は自分のメインの Mac をアップグレードしようかと思っている。

多くの人たちほどには心配せずそれができるのは、私が Mail アプリをほとんど使わないからだ。Mail アプリを使っている人は引き続き手控える方が良い。Michael Tsai をフォローしている人たちの中に、ドラッグしたメッセージが消える問題がまだ起こると報告する人たちがいるからだ。でも、その問題さえ除けば、どうやら Catalina は十分に成熟してきているように思える。今後もマイナーなバグやセキュリティの問題を修正するために一つか二つのアップデートが出るかもしれないが、それ以上はもう出ないだろう。6 月になって WWDC がやって来れば、Apple は間違いなく次期バージョンの macOS について大々的に語り始めるだろう。そうなれば私たちはまた同じ列車に乗ることになる。

watchOS 6.2

いったん iPhone を iOS 13.4 にアップデートし終えたならば、Watch > General > Software Update へ行って watchOS 6.2 を入手できる。このアップデートでは Apple Watch 用アプリのアプリ内課金に対応し、Wi-Fi から Bluetooth 接続に切り替えると音楽の再生が一時停止することがあったバグを修正している。watchOS のアップデートを延期すべき理由は滅多にない。

チリ、ニュージーランド、およびトルコ在住の Apple Watch ユーザーは Apple Watch Series 4 以降で ECG (心電図) アプリを使用できる。また、それらの国ですべての watchOS 6 ユーザーが不規則な心拍についての通知を受けられる。

watchOS 6.2 には 15 件のセキュリティ修正が含まれている。

tvOS 13.4

いつも通りに tvOS 13.4 アップデートノートにはほとんど何も書かれておらず、ただ「パフォーマンスと安定性が全体的に向上」としか書かれていない。このアップデートには 18 件のセキュリティ修正が含まれており、大体において他のオペレーティングシステムと共通した修正だ。

もしも自動アップデートがオンになっていないのならば、Settings > System > Software Updates へ行けば Apple TV HD や Apple TV 4K をアップデートできる。私たちの場合は自動アップデートをオンにして、Apple TV がその気になった時に勝手にアップデートさせるようにしている。何か変更点に気付かれたら、どうぞお知らせ願いたい。

HomePod 用 iOS 13.4

1.63 GB の HomePod 用 iOS 13.4 アップデートは、ダウンロードサイズが大きいにもかかわらずリリースノートは最小限で「安定性と品質が全体的に向上」としか書かれていない。

HomePod を手動でアップデートするには (近いうちに自動的にアップデートするはずだが)、Home アプリを開き、HomePod のタイルにタッチしてそのまま押さえ続け、歯車アイコンをタップして HomePod 設定を開き、それから Install をタップする。アップデートをすぐにインストールしない理由は思い付けない。

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Adam Engst Josh Centers  訳: 亀岡孝仁  

Apple、COVID-19 Screening Tool を提供

Apple は COVID-19 Screening Tool を Web サイト無料の iOS アプリの形で提供し始めた。このツールは、Centers for Disease Control (CDC) と連携して作成されたもので、COVID-19 に関する信頼性のある情報を提供し、そして感染したのではと思う人達が症状を調べそしてどの様な対応をすれば良いかを学ぶ手助けをすることを目的としている。

Apple's COVID-19 app

このサイトとアプリの見た目はほぼ同一だが、アプリは米国でのみ出されている。恐らく、他の国の保健機関の感情を害することがないよう配慮したのであろう。その一番顕著な機能は COVID-19 スクリーニングツールであり、あなたの症状、行動、そして全般的な健康状態について質問する。Apple は、あなたの回答は Apple とも或いは如何なる外部パートナーとも共有されないことを明言しているが、アプリは後での参照のために結果を保存する。

Josh はこのスクリーニングツールを試してみて、それは安全側に傾いていると判断した。彼は、喉の痛みを唯一の症状とし (恐らく、季節的なアレルギーと外での汚れる仕事のせい) 他には危険因子はないと答えたら、このアプリは、彼自身を自分の部屋と浴室に7日間隔離することを勧めてきた。咳が唯一の症状としても、同様の結果となった。危険因子を加えていくと、やがて、自分の医師、職場の診療所、或いは自分の長期医療看護施設の介護チームに見て貰うよう勧める点にまで到達する。

このスクリーニングツールの他に、このサイトとアプリは入念にチェックされた情報を提供することに焦点を当てている:

COVID-19 アプリには追加の機能があり、それは COVID-19 News オプションである。これをタップすると、COVID-19 についての Apple News 特別セクションに連れて行ってくれる ("COVID-19 に対応して Apple は中国以外の全ての店舗を休業" 14 March 2020 参照)。

このアプリの情報に新しいもの、或いは珍しいものは何も無い - それは、CDC がしばらく前から言っていることと同じである。しかしながら、それは悪いことではない。 Internet 上には、この世界的な感染爆発についての明快で信頼性のある情報は沢山あるが、自分の "ニュース" をソーシャルメディアから得ていたり、基本的な Internet 検索技術を持ち合わせていなかったり、或いは信頼出来る報道メディアを追わない人達は、危険な誤った情報の犠牲となる危険に直面している。もし Apple からのツールが、これらの人々が安全でいられ、そして公共の保健行動を支援する手助けとなるのであれば、誰にとっても尚更良い話である。

このアプリ - 或いは、その将来バージョン - は、単なる決定ツリーや基本的な FAQ を超えてもっと突っ込んだものとなりうる余地があると思える。ユーザーがコロナウィルスに感染した世界をより安全に切り抜ける手助けを個人のプライバシーを守りながらやれる会社があるとしたら、それは Apple であろう。

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Adam Engst

O'Reilly による対面カンファレンスの廃止は来たるべき変化の前兆か?

COVID-19 によってさまざまのカンファレンスが次から次へとキャンセルされているが、さらにもっと注目すべきニュースは O'Reilly Media の発表だ。O'Reilly Media 社が、人々を実際の会場に集めるカンファレンスの事業から完全に撤退すると発表したのだ。

O'Reill banner

O'Reilly の社長 Laura Baldwin は次のように書いた:

本日、私たちは将来の O'Reilly の対面カンファレンスをすべてキャンセルし、その事業部門を閉鎖するという非常に困難な決断をしたことをお知らせします。この全世界的な公衆衛生の緊急事態がいつ終わるかを理解することなしに、このビジネスの計画を立てることも実行することもできませんし、ビジネスはこの危機の結果として果てしなく変化するでしょう。大規模なテクノロジー業者が次々とそれぞれのイベントを完全にオンラインに移行させている現状を見つつ、私たちも対面カンファレンスについては新しい常態へと前進すべき舞台が整ったと考えています。

O'Reilly は先見の明のあるビジネスであり、コロナウイルス後の世界が過去に私たち皆が経験してきた世界とは大きく違って見えるだろうということを受け入れたこのような企業声明は、私が知る限りこれが最初のものだ。インターネットの優位は多くのカンファレンスの凋落を生んだ。愛されつつも消え去った Macworld がその良い実例だ。その Macworld も、オンラインで拾い集められる以上のものをそれほどには提供することができなかった。そして今、コロナウイルスによって引き起こされた仮想イベントが増えるに伴い、さらにもっと多くのカンファレンスが消滅したり、新たな形へと変貌を遂げたりすることになるのかもしれない。

カンファレンス以外に目を向けても、数限りない人々、そしてその雇用主たちが、在宅勤務には多くの点でより良い側面があり得ることを発見しつつある。(それが自発的な意思によるものであり、かつ配偶者や手に負えない子供たちとスペースを共有することがない場合に特にそれが言える。この件についてはまた別の記事で論じたい。) 対人的なやり取りは常に重要だけれども、それほど多くの人たちに囲まれたりしなくても人生を進めることが可能だと実際に示される結果として、通勤に時間を浪費することもなく、恐ろしい自動車事故の心配もなく、大気汚染の一因となる飛行機旅行も要らないようになるかもしれないのだから。

物事がどうあるべきかについて、私たちが当たり前と思ってきたことのうちどの部分がただ単にずっとしてきた習慣に過ぎず、むしろもっと良いやり方があるのだという展望をこれから目の当たりにできるのか、興味津々で見守りたいと思う。個人にとっても、社会にとっても、またこの地球にとっても。

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Josh Centers  訳: 亀岡孝仁  

コロナウィルス世界的感染爆発の中での買い物

皆さんは、恐らく慣れ親しんだよりもずっと多く家にいることになっていることであろう。ひょっとすると、我々の様に、ホームオフィスから働いておられるのかも知れない。一般的な助言に関しては、Glenn Fleishman の無料の Take Control of Working from Home Temporarily を見て欲しい。これについては Adam Engst が "Take Control of Working from Home Temporarily" を無料で入手しよう (16 March 2020) で紹介した。

しかし、私はこの本で取り上げられていない事を書きたいと思う - 具体的には、必要なハードウェアや家具を手に入れることである。急にホームオフィスを設定しなければならないのは、最も恵まれた時期にあっても大変な事だと思われるが、世界中で在宅命令が出ており、供給ラインは逼迫し、そして街中の小売店は休業している中では、それはこれ迄以上に複雑な仕事となる。この様な不確実な状況下で必要なものを揃えるためのヒントや情報を以下に記す。

配達される箱には注意を

自宅に縛り付けられた状況下で、物を買うことに対する選択肢はほぼオンラインで買い物をすることに限定されてしまうが、配達される箱と共にウィルスという客人が来ないようにしたいと思われるであろう。知っておくべきことは二つある:

従って、私はどんな箱に対しても、或いは配達に対しても、ある程度の疑いを持って接するよう忠告したい。最低でも、以下の用心は必要である:

箱の消毒に関する更なる詳細や忠告に関しては、 私が The Prepared に寄稿したこの記事を見て欲しい。

Amazon は目一杯だ

オンラインでの買い物と言えば、我々の多くはまず Amazon でと思うが、同社は現在圧倒され、悲鳴を上げている。あなたの欲しいものは無いかも知れないし、納期も通常よりもずっと長くなっている。Amazon は今や必需品に焦点を当てており、最早外部販売者からの品物を自らの倉庫に受け入れていない。イタリーやフランスでは、Amazon は在庫の有無に関係なく必需品しか出荷していない。そして、米国での感染爆発が進行すると、同社は当地でも同じ様なやり方を取らざるを得なくなるであろう。

Amazon 自らも問題を抱えていて、倉庫の労働者が COVID-19 に対して陽性となっている。同社は 100,000 の新しい労働者を雇い入れ、ストレスを軽減しようと賃上げを提示してるが、健康な労働力を構築し維持していく上で同社が直面している課題は山積している。

とは言え、私はこれ迄の所 Amazon からの買い物では極めて幸運であった。勿論、キャンセルとなったものも幾つかあるし、遅れたものもある。Amazon Prime を使ってでも、最速で手元に届くのに4日はかかっているが、Amazon も良くやっており、品物は当初の見込みよりも約1日早く届いている。

A nearly month-long Amazon shipping delay for printer toner

でも、買い物は何も Amazon に限定することはない。Amazon には無い物を eBay で見つけられたこともある、通常手頃な値段で。オンラインの販売店は他にも沢山あり、探し回る価値はある。Wirecutter は Amazon の代替選択肢のリストを出している。私はここから Staples に行き着いて、上記の写真にあるトナーカートリッジを無料の2日配達で買えた。加えて、その iOS アプリ は Apple Pay にも対応している

Best Buy も対応強化

多くの人は情報機器や他の必需品のために地元の Best Buy 店に依存している。現在の状況に対応するため Best Buy は内部店舗を閉め、そして無接触の購入システムを取り入れた。勿論、今でもオンラインで注文し自宅に届けてもらうことは出来るが、同社はまたカーブサイドピックアップにも対応している。 品物を Best Buy Web サイトで注文し、店まで車で行き、到着したことを店員に告げ、車のトランク或いはハッチを開けて待つと、彼らが品物を載せてくれる。もしこのサービスを試したことがあるのであれば、感想を寄せて欲しい。

顧客へのメールで、Best Buy は、事前に注文していなくとも、店外の従業員は注文を受け、車に乗ったままで支払いも済ませられると言っている。同社はまた、返品の期限も延長した

An email from Best Buy announcing curbside service.

オンラインで品物を注文するのに難儀していますか? 家にいることを余儀なくされている中で必要な物をまとめ買いする創造的な新しい方法を見つけましたか? 或いは、そんなことは気にせず、開いている街中の店に買い物に出かけていますか? コメントを通じて教えて欲しい。

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata   

Ulysses 18.6

Ulysses 18.6

Ulysses が会社名と同名の Mac および iOS 用の執筆アプリ Ulysses のバージョン 18.6 をリリースして、大きなシートをロードする際のパフォーマンスを上げるとともにいくつかのバグを修正した。今回のアップデートではシートの作成日付が正しく表示されなかった問題を解消し、いくつかのクラッシュを除去し、読み込む必要なしに Transmit からファイルを開けるようにし、アプリケーションのウィンドウの状態と位置が信頼性をもって再現されるようにし、またシートが第二のエディタに開かれてしまうことがあったバグを修正した。(Mac App Store から購読年額 $39.99、月額 $9.99 の Mac アプリ購読サービス Setapp の一部としても利用可、無料アップデート、18.9 MB、リリースノート、macOS 10.13+)

Ulysses 18.6 の使用体験を話し合おう

Security Update 2020-002 (Mojave and High Sierra)

セキュリティアップデート 2020-002 (Mojave と High Sierra)

Apple が macOS 10.14 Mojave 用と 10.13 High Sierra 用にセキュリティアップデート 2020-002 をリリースして、これらの古いオペレーティングシステムにあったさまざまのセキュリティ脆弱性をパッチした。今回のアップデートは Bluetooth や AppleGraphicsControl に関係した複数個のメモリ破損の脆弱性によりカーネル権限を持って任意のコードを実行される可能性があった問題に対処し、アプリケーションに権限を昇格される可能性があった "use after free" 問題をパッチし、アプリケーションが制限されたメモリを読み取れる可能性があった Bluetooth 検証の問題を解消するため入力のサニタイズ処理を強化した。(無料、10.14 Mojave 用は 1.63 GB、10.13 High Sierra 用 は 2.12 GB、セキュリティコンテンツリリースノート)

セキュリティアップデート 2020-002 (Mojave と High Sierra) の使用体験を話し合おう

Safari 13.1

Safari 13.1

Apple が macOS 10.14 Mojave と 10.13 High Sierra 用に Safari 13.1 をリリースして、 悪意ある IFRAME が別のウェブサイトのダウンロード設定を使用する可能性があったロジックの脆弱性を解消した。今回のアップデートではさまざまの WebKit 関係の問題にも対処が施され、悪意を持って作成されたウェブコンテンツを処理すると任意のコードを実行される可能性があったメモリ破損の脆弱性、アプリが制限されたメモリを読み取れる可能性があった稀な状況、クロスサイトスクリプティング攻撃につながるおそれがあった入力検証の問題などが解決された。Safari 13.1 は Software Update からのみ入手できる。(無料、macOS 10.13.6 および 10.14.6)

Safari 13.1 の使用体験を話し合おう

Cyberduck 7.3

Cyberduck 7.3

Cyberduck チームがオープンソースのファイル転送アプリのバージョン 7.3 をリリースして、ブックマークに異なる色でラベル付けしたりメニュー上でブックマークをラベルによってグループ分けしたりできるようにした。今回のアップデートではまた、Cryptomator Vault Format 7 への対応を追加し、名前に空白文字を含んだ Google Storage ファイルをダウンロードできなかった問題を解消し、Shared With Me で Google Drive 書類にアクセスできなくなったバグを修正し、異なる Backblaze B2 バケツの中へファイルをコピーする機能を追加し、Google Drive 上で共有されているファイルに公開読み出しアクセス権を適用するようにした。Cyberduck は無料だが、寄付を通じて、また Mac App Store から $23.99 で購入することを通じて支援できる。(無料、101 MB、リリースノート)

Cyberduck 7.3 の使用体験を話し合おう

ExtraBITS

訳: Mark Nagata   

今日の監視社会におけるコロナウイルス追跡

この SARS-CoV-2 パンデミックの中でビッグデータはどうなっているのかとお思いだろうか? New York Times が、コロナウイルスの蔓延を解析したり政府のロックダウン命令が守られているかを調べたりする目的で各国がどのように位置情報追跡、顔認証、あるいはアプリによる追跡を使っているかについて概観した記事を出した。私たちがどれほど深く資本主義下の監視社会に住んでいるかを、そしてその大部分が政府の管理の外にあることを、知れば知るほど背筋が寒くなる。(2019 年 12 月 19 日の記事“New York Times、我々の全ての動きがどれ程完全に追跡されるかを暴露”参照。) けれどもこのデータが既に私たちの知らないところで私たちの明示的な許可なしに使われているのだとすれば、それが公衆衛生の利益のために使われるのなら小成に安んずるしかないであろう。このデータがコロナウイルス危機の中で役立ったことで、将来には個人のプライバシーをいかにして保護すべきかの議論が促進されることを、なすがまま個人データが危険な下り坂を転がり落ちる誘因となってますます保護が薄くなりデータの商品化が進むような事態にならないことを、願うばかりだ。

New York Times coronavirus article headline

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