Mac にとって先週はとてつもなく大きな週であった。macOS 11 Big Sur がリリースされ、Apple silicon を搭載した Mac の第一波が登場した。MacBook Air と 13 インチ MacBook Pro、それに Mac mini、いずれも Apple の新しい M1 チップで駆動される。ただ、Mac 関係の悪いニュースもあった。Big Sur がリリースされたまさにその日、Apple の側でのネットワーク不具合の結果として、世界中の何百万台もの Mac が奇妙な挙動やアプリの起動不良などを起こしてほとんど使い物にならなくなった。Adam Engst が、この騒ぎがどのように起こったのか、Mac のプライバシーとセキュリティにおいてこれが何を意味するのか、そして Apple はどのように対応したのかを解説する。それからもう一つ、TidBITS ではオランダ語版と日本語版の新しいボランティアの翻訳者を探している。どうぞ、TidBITS を世界中の読者に届けるために力を貸して頂きたい。さて、今週は重要な Mac アプリのリリースがあまりにもたくさんあって、すべてをこの電子メールテンプレートに載せることができなかった。私たちのサイトには全部を掲載しているが、この号に載せることができたのは Timing 2020.10、ChronoSync 4.9.12、Audio Hijack 3.7.7、Piezo 1.6.10、Airfoil 5.9.5、SoundSource 5.1.2、GraphicConverter 11.3.1、BBEdit 13.5.2、GarageBand 10.4.1、Pages 10.3.5、Numbers 10.3.5、Keynote 10.3.5、Logic Pro X 10.6、Final Cut Pro X 10.5、Compressor 4.5、Motion 5.5、OmniFocus 3.10、OmniOutliner Essentials および Pro 5.8、Fantastical 3.3、Merlin Project 7.0、それに Microsoft Office for Mac 16.43 だ。
Apple が約束した通り、macOS 11 Big Sur が 2020 年 11 月 12 日にスタートした。実際にリリースされたのはバージョン 11.0.1 であって、11.0 は完全に飛ばされた。Apple の新しい M1 装備の Mac 各機種が 11.0 と 11.0.1 のどちらを載せて出荷されるのか、注目して待ちたい。
ダウンロードサイズは 12.18 GB という途方もなく巨大なものだ。macOS 10.14 Mojave または macOS 10.15 Catalina からは直接 System Preferences > Software Update からアップデートできる。また、Mac App Store から Big Sur をインストールすることもでき、こちらの方法はクリーンインストールのため、または何度もダウンロードすることなく複数の Mac にインストールするために USB サムドライブにインストーラを置いておきたい場合に必要となる。
仕事用の Mac はまだアップグレードしないでおこう
今のところは仕事用の Mac についてはアップグレードしないで待つことを、すべての人に対してお勧めしたい。私たちはいつも、メジャーな macOS アップグレードで Apple が初期の問題点に対処を終えるまで延期することをお勧めしているけれども、特に今回の Big Sur にはいくつかの大きな内部的変更が施されていて、通常よりも多くの頭痛の種となっているからだ。
その上、Big Sur をインストールしたとたんに問題が起こったという初期報告が数限りなく出ている。例えばインストールが途中で止まったとか、ダウンロードが異常に遅いとかいったものだ。新しいバージョンの macOS では Apple のサーバに膨大な負荷が押し寄せるので、その種の問題は決して珍しいことではない。運さえ良ければ、それらの問題の多くの主因と思われるネットワークの問題を既に Apple が解決しているかもしれない。
現時点で報告されているうちで最も懸念すべき問題点は、Big Sur へのアップデートによって多くの late-2013 モデルと mid-2014 モデルの 13 インチ MacBook Pro が“文鎮化”され使えなくなってしまうことだ。ユーザーたちの報告によればアップデート後にスクリーンが真っ黒なままで、典型的な解決方法、例えば SMC や NVRAM のリセットとか、Safe モードや Recovery モードでの起動といったことを試みても解決しないという。Apple はこの問題を自社のエンジニアリングチームに担当させ、現在ユーザーたちに MacBook Pro を修理のために持ち込んでほしいと言っている。
もう一つの懸念すべき問題は、これは大多数の人にとっては心配する必要がないものだろうが、Native Instruments というプロフェッショナル向けオーディオデバイスのメーカーからの警告で、Big Sur がハードウェアに物理的なダメージを与えることがあるという。
Big Sur にはビッグなバックアップの問題がある
10.15 Catalina において、Apple は macOS 起動ドライブを System および Data という異なるボリュームに分割した。System ボリュームはオペレーティングシステムのファイルを保持し、通常は読み出し専用だ。Big Sur ではさらにもっと System ボリュームをセキュアにするため、その上にあるあらゆるファイルに暗号学的ハッシュを適用した。これについては Howard Oakley が解説している。結果として攻撃者が Big Sur インストールを乗っ取ることが極めて困難になるのだが、それと同時に多くのアプリに頭痛の種をもたらした。とりわけ、ブート可能なバックアップを作成 (および復元) するアプリに問題が起こった。
良い知らせはある。Carbon Copy Cloner の開発者 Mike Bombich がこの問題の解決のために Apple と協力して働いて、Carbon Copy Cloner 5.1.23-b1 に Big Sur でブート可能なバックアップを作成する機能へのフル対応を組み込んだ。しかしながら、私たちとしてはまだオペレーティングシステムのアップグレードをお勧めすることはできない。ベータ版リリースのソフトウェアに依存しなければブート可能な複製を作れないのだから。
同じようにクローン作成ユーティリティ SuperDuper の開発者 Dave Nanian も、SuperDuper が Big Sur で動作するまでには「まだかなり時間がかかる」と述べた。アップグレードせずに待つか、または Time Machine を使うことを彼は勧めているが、Time Machine バックアップはブート可能バックアップとは違う目的のものだ。
Econ Technologies は ChronoSync でブート可能バックアップを作成するためのテクニックを開発したが、これはかなり面倒な手順だ。簡単に言えば、まずバックアップドライブの上に Big Sur をインストールしてから、その後で Data ボリュームの内容をそこへコピーするというものだ。(2020 年 11 月 13 日の記事“ChronoSync 4.9.12”参照。)
オランダ語翻訳チーム と 日本語翻訳チームの詳細については、それぞれ説明のページがあるのでお読みください。どんな形ででもご協力頂ける方をお待ちしています。ご協力へのささやかな感謝として、引き続き Joe Kissell が親切にも翻訳者がすべての Take Control 電子ブックを無料で受け取れるようにしています。
12 November 2020 の 3:25 PM Eastern Standard Time 辺りに、macOS 10.15.7 Catalina を走らせている私の 27-inch iMac が奇妙に振る舞い始め、通常なら電光石火である動作を実行しようとしている最中に、あのおぞましい "死の回転ピザ" の待ちカーソルを表示し始めた。私は、再起動させることに決めた、他の人でも同じだと思われるが。興味深いことに、Josh Centers も彼の iMac を再起動している所だと言ったばかりであった。TidBITS Slack で彼は言った、"Mojave が少々おかしくなった" と。
再起動で何も良くならなかったばかりでなく、物事は実際にもっと悪くなった。何故ならば、我々は Mac 上で如何なる non-Apple アプリも立ち上げられなくなったからである。Mail と Safari は問題なく起動したが、他のアプリはダメであった。Dock でアプリをクリックしても、我々の Mac は非友好的な "ディング" 音を立てる以外のことは何もしなかった。
この時点で、我々は未だ相互の Mac 問題を話し合っておらず、そして Josh は彼の iMac の SSD に何か問題が起こったのではないかと確信するに至っていた。そこで、彼は Recovery Mode に入って、診断を始めた。それから、彼は MacBook Pro に切り替えて見たが、そちらもアプリを立ち上げられないことに気付いた。
Josh の以下のメッセージは Slack (彼の iPhone から) からのものである:
これは本当に奇妙だ。どちらの Mac からも Slack や Firefox を起動出来ない。他の人で、この様なことを見ている人はいますか?
これに対する私の答え (私の iPhone から):
私の iMac も少々おかしかったので、再起動したばかり。でも、ログイン項目は何も起動しない。App Store アプリは起動出来て、幾つかのアップデートがダウンロード中だ。Preview は開くが、Firefox も Slack のどちらもダメ。
Josh は Twitter をチェックしてみて、開発者 Jeff Johnson からのポストを見つけた。彼は、StopTheMadness (これは Web ブラウザの経験を改善する), Link Unshortener (これは短縮表示リンクの宛先を明らかにする), そして Underpass (P2P ファイル転送と終端間暗号化のチャットのため) の背後にいる人間である。Johnson のツイートは、ネット上でも広がったが、何が起こっていたのかを説明していた:macOS の trustd process が ocsp.apple.com と呼ばれるサーバーに接続しようと試みているのだが接続出来ないでいる。
Non-Apple アプリは実際には起動していたが、ocsp.apple.com への接続試行が時間切れとなった以降でしか開かなかった。ocsp.apple.com への接続の成功はアプリが起動するための必要条件ではないので、それがオフラインでもアプリを起動出来る理由である。それが、ocsp.apple.com が Little Snitch や他のファイアウォールを使うのを阻止するか、或いはアプリを起動したい時に単に Internet から切り離す事を Johnson が提案した理由である。
では、何が起きていたのであろうか? 私が理解する限り、アプリの起動に際して、Apple の GateKeeper 技術は、開発者が自らのコードに署名するために彼らに与える証明書を調べる。ここで問題なっている Apple サーバーの名前 - ocsp.apple.com - は、Apple が OCSP (Online Certificate Status Protocol) を使用してアプリの証明書が無効になっていないかを調べる事を示している。そうであれば、macOS はそのアプリが起動することを阻止する - それが、悪意のあることが分かったアプリが更に害を及ぼすことを阻止することを保証する Apple のやり方である。(皆さんは、HP が、一つの証明書をうっかり無効にしてしまった後に、自ら招いた問題に見舞われた事例を覚えておられるかもしれない - "コード署名のゴタゴタが多くの HP プリンタを止める" 26 October 2020 参照のこと。)
何が ocsp.apple.com を応答出来なくしたのか? Apple がその詳細を明かすことはまずないと私は思うし、何人かの首はもう既にとんでいるかも知れないが、私の理解する所では、macOS 11 Big Sur のリリースによる巨大な負荷が CDN - a content delivery network - の障害につながったようだ。Apple は、その様な状況に対処するためにこれを使っている (今回のものは、Akamai Technologies によって運用されているらしく見えるが、特別なことではない)。Big Sur の大きさは 12 GB にのぼり、これに対して Catalina は 8 GB、負荷は遙かに高かったであろう事は容易に想像出来る。加えて、Apple はこの一年で数百万台もの Mac を追加で売っている。
この理論に対する裏付けは、同じ日に他の Apple サービスも落ちていたという事実からも得られる。Apple の System Status ページは、問題が見られたのは Apple Card, Apple Pay, iMessage, macOS Software Update (これらの Big Sur ダウンロード), そして Maps であることを示している。
Apple が膨大な時間の浪費の原因であった
この問題が Mac の世界に及ぼした影響を誇張して言いたくはないが、Josh と私は、我々の iMac を比較的早く正しく動くように出来たが、我々の残りの午後は、何が起こったのかを解き明かそうとしている内に消えてしまった。MacAdmins Slack では、IT 管理者やコンサルタント達も同じ事をしていた。それはただ自分の Mac のせいだけではなく、彼らのユーザーや顧客からの電話、メールメッセージ、そして故障チケットが殺到したからでもあった。開発者達は修正を求めるバグ報告を受け、そしてこの問題はその時間に進行中であった多くのオンラインプレゼンテーション、会議、そしてカンファレンスを混乱させた。この問題に関する Hacker News スレッドは、1150 を超えるコメントを集めた。その中には、Josh の様に、原因追及に多大な時間を費やし、ハードウェア故障が起きたのではないかと心配した Mac ユーザーからのものも含まれる。
Apple は世界中の Mac を全てオフラインにしてしまったわけではないかも知れないが、このネットワーク障害は、数百万には及ぶと思われる Mac ユーザーの数時間を無駄にしてしまったことに変わりはない。(この時間にアプリを立ち上げようと試みなかった人は気づきもしなかったであろう。) その時間を我々に返してくれるものは何もないが、事実を認めそして謝罪するのは歓迎されるであろう。
この大失態はまた、macOS に内在する弱点とも思えるものにスポットライトを当てた。Apple は Mac がオフラインの時には trustd は静かにそして奥ゆかしく失敗するべく意図していることは明らかだが、ネットワーク障害の場合に、あの様に長いタイムアウトがある理由は何なのであろうか? エラー状態でユーザー経験を害する可能性を持つ通常の使用中に同じ様な照合をする他の要素が macOS にはあるのであろうか?
ocsp.apple.com を完全に止めてしまうため、Pi-hole の様なものを使うことを提唱している人達もいる。(Big Sur 以前の macOS パージョンでは、同じ事をするために Little Snitch を使うことも出来たが、セキュリティ研究者 Patrick Wardle が指摘したように、trustd は Little Snitch が最早阻止出来ない Apple アプリの一つである - "Apple、Big Sur で一部の自社アプリのトラフィックを隠す" 22 October 2020 参照。) ocsp.apple.com を阻止することは良くない考えのように思える。何故ならば、Apple が発見しその開発者証明書を無効にすることで対処したマルウェアに対して脆弱になるからである。Apple は、現代の Mac が特定の動作に対して特定の時間に接触出来なければならない多くのホストを走らせている。
結局の所、Mac への信頼が少し減じられたと感じるのを避けるのは難しい。私は、これは Apple のネットワーク運用スタッフ側での希な過誤であったと本当に信じており、我々が再度それを経験する事はまずないであろう。また、Apple は同様な事態が将来再発することを防止し、そしてこの事態が招いた懸念に対応するために macOS 内でも手を打つであろう事を私は期待する。
Gatekeeper は、アプリが既知のマルウェアを含んでいるかとその開発者の署名証明書が無効にされていないかを確認するためオンラインの照合を行う。我々は、これらの照合からのデータと Apple ユーザー及びその機器に付いての情報を組み合わせたことはない。我々は、これらの照合からのデータを、個々のユーザーがその機器上で何を起動し或いは走らせているかを知るために使うことはしない。
これらのセキュリティ照合に、ユーザーの Apple ID や機器の身元が含められたことはない。プライバシー保護を更に進めるために、我々は Developer ID 証明書照合に関連した IP アドレスをログに記録する事は止めている。そして、我々は如何なる集められた IP アドレスもログから削除されることを保証する。
いずれにしろ、一つの Apple の過ちが Mac 全般を殆ど使い物にならなくさせることが出来るという事実は、我々の現代生活が Apple の様な企業とどれ程密接に関わっているかを示している。起こりそうだと言うわけでもないし、現実的な代替肢があるわけでもないが、万が一 Apple が消え去るようなことがあれば、我々の機器はまず間違いなくその全能力を持って動き続けられなくなるであろう。
いよいよ登場だ。ライブ・ストリーミングによる "One More Thing" イベントで、Apple が M1 を発表した。Mac 製品を駆動する初めての Apple silicon チップだ。(Apple が既にその文字を使ったことがあると思われた方は鋭い。その通り、M シリーズのモーション・コプロセッサがあった。) 息つく間もなく続く緊迫した 45 分間のプレゼンテーションの中で、Tim Cook とその他の人々がこのチップを利用する Mac の最初の 3 つのモデルを披露した。MacBook Air と、13 インチ MacBook Pro と、Mac mini だ。
注目すべきは、これらの 3 機種の Mac で従来と違っているのは M1 と、それによる大幅なパフォーマンスおよび電力効率の利点のみであることだ。今回の Apple silicon への移行に際して新しい工業デザインやその他のハードウェアの変更を披露することもできたはずなのに、Apple は M1 チップに関して「とにかく良くなった」というたった一つのメッセージを押し出すことに決めたようだ。3 つの Mac のいずれも従来と同じ筐体を使い続けることで、そのメッセージから注意を逸らすものは何一つない。
この記事では大体において M1 に関するチップレベルの詳細に踏み入ることはしない。ユーザーにとって興味あるのはそれが Mac の中でどのように動作するかであって、パーソナルコンピュータで初めてのシステムオンチップ (SoC) であるとか、5 ナノメートルプロセスを使っているとか、160 億個のトランジスタを搭載しているとかいったことはどうでもよいだろう。もしもそういったことについて Apple がどう語るかを知りたければ、Apple の M1 ページを読まれるとよい。業界をリードするワット当たりパフォーマンスとかその他の利点について詳しく書かれている。
また、Intel ベースの MacBook Air が製品シリーズから消えた一方で、Intel チップ版の 13 インチ MacBook Pro も Mac mini も異なる構成と一段高い価格で販売が続くことにも注目したい。つまり Apple はまだ当面の間は顧客に選択の余地を残しているということで、これはそれ自体かなり興味深い事実だ。メモリの制約が関係しているのかもしれない。M1 Mac はすべて、最大 16 GB の RAM しか搭載できないからだ。もちろん macOS との互換性も役割を果たしているだろう。これらの新型 Mac は macOS 11 Big Sur を必要とし、10.15 Catalina では動作しない。もう一つ考えられる理由は、特定のタスク、例えば仮想マシンの中で Windows を走らせるといったことが、しばらくの間は実現できないかもしれないことだ。より一般的に言えば、翻訳環境の Rosetta 2 があってさえも、最初の一年間程度は互換性の問題がいくつか起こることを Apple が予測しているとも考えられる。あるいはひょっとして、Apple は顧客の一部がしばらくの間は Apple silicon Mac を信頼する気になれないことを認識しているのかもしれない。
最後に付け加えると、現在これら 3 機種の Mac はすべて注文受付中だ。それではここから個々の機種を検討して、皆さんが近い将来にそのどれかを使うかどうか、決断する参考にして頂きたいと思う。(一つだけ言っておきたい。たとえあなたが MacBook Air に興味がなくても、その部分は飛ばさずにお読み頂きたい。その後の MacBook Pro や Mac mini の説明は MacBook Air の説明に基づいて書いているのだから。)
M1 MacBook Air
MacBook Air は Apple の最も人気の高い Mac で、Apple はこれが世界で最も多く販売されている 13 インチのノートブックだと主張する。驚くには当たらない。MacBook Air は長年にわたってまずまずのパフォーマンスと、エレガントな工業デザイン、それに手頃な価格という見事な組み合わせを提供してきたからだ。何年かの間はバタフライ型スイッチのキーボードの難点に苦しんでいたが、Apple は今年になってその問題に対処した。(2020 年 3 月 18 日の記事“新型 MacBook Air、Magic Keyboard を搭載し、値下げ”参照。) その時点で私は 2012 年型 MacBook Air を買い換える気になっていたけれども、パンデミックのせいで旅行がすべて取りやめになり、買う必要がなくなった。そして今、私は待っていて良かったと思っている。なぜなら M1 MacBook Air は従来の Intel ベースのモデルを軽々と吹っ飛ばすだろうし、ここで無理にこじつけて言えば、ファンなど使わずに吹っ飛ばすことだろう。
普通ならばそれほどのパフォーマンス向上にはプロセッサの温度上昇の問題が伴うので、高度な冷却設計と、ほぼ例外なしにファンが必要となる。皆さんのことはどうか知らないが、私はファンが大嫌いだ。私の 2012 年型 MacBook Air はもう壊れかけた状態だが、問題の一つはよくスクリーンを閉じた状態で勝手にスリープから目覚めることで、そんな時はオーバーヒートして、ファンが大きな音で回り始める。だから、M1 チップのお陰で Apple がファンなしに大幅なパフォーマンス向上を提供してくれるという事実だけでも非常に魅力的だ。
もう一つのパフォーマンス向上は、Apple がチップ上の“ユニファイドメモリ”を使っていることから来る。これによりメモリが CPU、GPU、そして Neural Engine のコアに、より高速にアクセスできるようになる。MacBook Air では (また、下で述べるように 13 インチ MacBook Pro でも) メモリの構成は従来と同じで標準が 8 GB、追加料金 $200 で 16 GB に変更可能だ。けれどもここには不都合な側面もある。Apple は M1 チップを 8 GB と 16 GB のみで構成可能となるように作ったので、M1 Mac をそれより多くのメモリで構成する方法は一切ない。この点が MacBook Pro や Mac mini で M1 モデルか Intel モデルかを決断しようとする人にとって重大な問題になるかもしれない。
M1 MacBook Air では最大限界パフォーマンスの話に目が向きがちだが、Apple がファンのない設計にできた理由の一つは M1 の 8 コアデザインが 4 つの高性能コアと 4 つの高効率コアから成っていることだ。Apple がハードウェア (つまり M1) とソフトウェア (macOS 11 Big Sur) の双方をコントロールしていることにより、どのコアを使うかをいつでも MacBook Air が調整できる。プロセッサのパワーを必要とするアプリには高性能コアを使い、ユーザーがパフォーマンスの違いに気付かないような作業には高効率コアを使って電力消費を抑えるのだ。
これらすべてを組み合わせることで M1 MacBook Air は過去のどの MacBook Air にも見られなかった長時間のバッテリー寿命を実現する。Apple はこれについて最大 15 時間の「ワイヤレスインターネット」と最大 18 時間の「Apple TV アプリのムービー再生」と述べている。数字そのものはいつも通りに無意味だが、従来のモデルでそれぞれ 11 時間と 12 時間となっていたのに比べれば大幅な進歩だ。双方とも、同じ毎時 49.9 ワットのバッテリーを使っている。現実世界での利用に目を向ければ、Apple は新型 MacBook Air がビデオ会議での使用で最大 2 倍長いバッテリー駆動時間をもたらすと言っており、これは多くの人たちにとって重要な点だろう。
仕様一覧表を読み進めると、この M1 MacBook Air にはかなり多くの細かな改善点もあると分かる。
M1 のあの奇妙な 7 コア GPU モデルを無視するとすれば、この M1 の 8 コア CPU/GPU モデルは MacBook Air と MacBook Pro の間で違いはないと見てよいだろう。では、MacBook Pro のパフォーマンスが MacBook Air より優れているとすれば、その差はどうやって達成されるのだろうか? その答はサーマル・スロットリングだ。MacBook Air にファンがないことはユーザーにとっては素晴らしいけれども、Apple が MacBook Pro の“アクティブクーリングシステム”について述べた内容をもとに推測すれば、クーリングシステムを装備することによって M1 チップがオーバーヒートを恐れずより高速で動作できるようになるのだろう。
高性能コアを使っていない間は、M1 MacBook Pro が最大 17 時間の「ワイヤレスインターネット」と最大 20 時間の「Apple TV アプリのムービー再生」を提供すると Apple は述べ、それを“圧倒的”と形容している。(思うに、ビデオを 20 時間ぶっ続けに観ようという人は、とりわけバッテリーだけでそんなことをしようという人は、頭を検査してもらうべきではないか。) 報道によればこれは Mac 史上最長のバッテリー寿命だという。それを支えるのは従来のモデルに搭載されているものと同じ毎時 58.2 ワットのバッテリーだ。
スクリーン、キーボード、Touch Bar、それに Bluetooth 5.0 は変わっていないが、ここでもまた仕様一覧表を読み進めるといくつか改善点があると分かる。
Apple によれば M1 MacBook Pro には“指向性ビームフォーミングを持つ、スタジオ品質の 3 マイクアレイ”が付き、それに対して従来のモデルでは単に“指向性ビームフォーミングを持つ 3 マイクアレイ”となっていた。だから、まあ、良くなったのだろう。
MacBook Air と同様、M1 MacBook Pro もユニファイドメモリを提供し、8 GB が標準、追加料金 $200 で 16 GB に変更可能だ。これは従来あったローエンドの 13 インチ MacBook Pro と同じだけれども、ハイエンドの Intel モデルは 16 GB が標準であり追加料金 $400 で最大 32 GB に変更可能であることに注意しよう。
MacBook Air と同様、MacBook Pro にも依然として 720p の FaceTime HD カメラしかないが、M1 の画像信号プロセッサによって映像の品質は良くなるはずだ。
これも MacBook Air と同様、スリープ解除が一瞬でできるはずだ。
私たちが気になった疑問点は、新しい M1 モデルの 13 インチ MacBook Pro が、より安価な M1 MacBook Air と比べて、またより高価な Intel モデルの MacBook Pro に比べてどうなのかということだ。MacBook Pro は同等に構成された MacBook Air より $250 も高いが、その違いは Touch Bar と、おそらくある程度のパフォーマンスの差によるものだろう。私の感覚では、それだけでは厳しいと思う。私なら MacBook Air を選ぶ。
そうそう、あともう一つあった。もし Apple の宣伝用ビデオを信用してよいのならば、Mac の起動時のチャイム音が復活した!
M1 Mac mini
最後に、Apple は新しく値下げした M1 駆動バージョンの Mac mini
をリリースしつつ、従来のハイエンドの Intel ベースモデルも販売を続ける。従来、ローエンドの Mac mini の価格は $799 から、ハイエンドモデルは $1099 からであった。
新しい M1 Mac mini の価格はたった $699 からで、間違いなく残っている Intel モデルよりも優れたパフォーマンスを出すことだろう。私がそう言えるのは Apple が M1 の 8 コア CPU は先代のモデルに比べて最大 3 倍高速のパフォーマンスを提供し、8 コア GPU はグラフィックパフォーマンスを最大 6 倍にし、16 コア Neural Engine は最大 15 倍速い機械学習の作業をこなすと言っているからだ。それだけの違いがあるとすれば、販売継続されるハイエンドの Intel Mac mini をもパフォーマンスで上回るのではないだろうか。
では、他に何か違いがあるだろうか? あまり多くの違いはないが、必ずしも M1 Mac mini の方が勝っているとは限らない。だからこそ価格が $100 下がったのかもしれない。
M1 チップがユニファイドメモリを使っていて 8 GB と 16 GB の構成しかないのと比較して、Intel Mac mini は 16 GB、32 GB、64 GB の構成もあるという利点を持つ。
Intel Mac mini は Apple の 6K Pro Display XDR にフル解像度では対応していないが、M1 Mac mini は対応する。しかしながら、Intel Mac mini が最大 3 台のディスプレイを (2 台の 4K ディスプレイを Thunderbolt 3 で、もう 1 台の 4K ディスプレイを HDMI 2.0 経由で) 駆動できるのに対して、M1 Mac mini はたった 2 台 (1 台の最大 6K のディスプレイを Thunderbolt 3 で、もう 1 台の 4K ディスプレイを HDMI 2.0 経由で) しか駆動できない。
Intel Mac mini は 4 基の Thunderbolt 3 ポートと 2 基の USB-A ポートを持つが、M1 Mac mini はたった 2 基の Thunderbolt 3 ポートと 2 基の USB-A ポートしか持たない。しかしながら M1 Mac mini のポートは新しい Thunderbolt/USB 4 だ。
Intel Mac mini にはデフォルトで 1 基の Gigabit Ethernet ポートが付くが、$100 の追加料金でそれを 10 Gigabit Ethernet にすることができる。一方 M1 Mac mini にはそのようなオプションはなく Gigabit Ethernet のみだ。
他の M1 Mac と同様、Mac mini も 802.11ax Wi-Fi 6 を提供するが、Intel モデルは 802.11ac Wi-Fi 5 だ。
登場しなかったもの
最初に触れた通り、今回の M1 Mac はいずれもその先代にあたる Intel Mac と極めてよく似ていて、変化したのは M1 自体に関係する点ばかりだ。そのことで Apple にとってはチップの利点を強調する役に立つけれども、同時にそれは Apple が Mac 体験の他の側面をすべて先送りにしたということをも意味する。
いったいなぜ Face ID が未だに Mac に搭載されないのか? 少なくともローエンドの iPad のものに匹敵する程度のカメラさえ搭載されないのか? Touch Bar の代わりにタッチスクリーンを装備しては、さらには Apple Pencil に対応してはどうだろうか? Apple は iPad のようにセルラー接続対応を追加する気はないのか? ついでに言ってしまえば、11 インチ MacBook Air とか 12 インチ MacBook とかいった線での極小型 Mac ノートブック機はどうか?
Apple はこれから 2 年かけて Apple silicon を他の Mac 製品シリーズにももたらして行くと言っているので、2021 年にはまた新しい M チップが登場することだろう。おそらくその新しいチップが iMac と 16 インチ MacBook Pro を駆動することになるのではないか。iMac Pro と Mac Pro はさらにその先にあるのかもしれない。そのクラスのマシンならば最大の電力効率はあまり重要でなく、生のパフォーマンスそのものが重要だからだ。いずれにしても、Apple はこれらすべての製品においてユニファイドメモリが意味を成すか否かを見極める必要があり、もしそうならば M ファミリーのチップの将来のバージョンの中にどうやってそれだけ多くのメモリを押し込むのかを見いだす必要もある。
Daniel Alm が Timing 2020.10 をリリースして、macOS 11 Big Sur とのフル互換性を追加するとともに、ユーザーインターフェイスを Apple の新しいオペレーティングシステムに合わせて更新した。この時間と生産性追跡アプリはまた、新しいアプリアイコンを導入し、アプリの動作中は Dock の中でそのアイコンが現在の時刻を表示するようにした。今回のアップデートではまた、アプリの起動時に前回使ったタブを覚えているようにし、長いタイトルを入力する際にはタイトルフィールドを複数行に拡大するようにし、アイドル状態に入る際にタスクを停止するオプションを追加し、Task Stopped 通知からタスクの再開ができるようにし、Review 画面の Paths カードで YouTube ビデオの探知を改良し、WhatsApp 会話の追跡への対応を更新し、起動時に Timing ウィンドウが開かないことがあった問題に対処している。
Econ Technologies が ChronoSync 4.9.12 をリリースして、macOS 11 Big Sur に対応するための数多くの調整や追加を施した。ブート可能なバックアップの挙動が Big Sur で変更されたことによる問題を回避するため、この同期およびバックアップ用ツールは Data Volume-Only backup 機能を導入してすべてのユーザーの Home フォルダが安全にバックアップされるようにする。Econ Technologies は新しい Tech Note を公開して、新しい Big Sur のブート可能バックアップを作成し維持する手順を説明している。
今回のアップデートはまた、さまざまのターゲット選択ダイアログに変更を加えて選択を処理する前にファイルセレクタダイアログをフルに閉じられるようにし、同期ツールを初めて走らせた際に複数回ハードリンクされたファイルがすべて強制的に同期されてしまったバグを修正し、Big Sur で System ボリュームを識別する際のいくつかの問題に対処し、Big Sur における数多くの見栄え上の不具合を正し、Mac システム名がアンパサンド文字を含んでいた場合に push 通知が設定できなくなっていた問題を解消している。(新規購入 $49.99、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、67.3 MB、リリースノート、macOS 10.11+)
Lemkesoft が GraphicConverter 11.3.1 をリリースした。このグラフィックスプログラム Swiss Army ナイフを macOS Universal アプリに変えて Apple の M1 チップを搭載した Mac と Intel ベース Mac の双方でネイティブに走れるようにした、メンテナンス・アップデートだ。今回のアップデートではまた、照明効果を追加し、赤目修正の伴わない自動補正を導入し、テキストパレットで背景と枠に使う色の選択を改良し、テキストツールに自動番号付けのオプションを提供し、FaceSDK をアップグレードした。(Lemkesoft からも Mac App Store からも新規購入 $39.95、無料アップデート、234 MB、リリースノート、macOS 10.9+)
Apple が GarageBand 10.4.1 をリリースして、macOS 11 Big Sur のためのインターフェイスの変更と、Apple の M1 チップを搭載した Mac のためのパフォーマンスと効率の向上を盛り込んだ。この音楽制作およびオーディオ編集アプリは今回、トラックの中で領域の色をカスタマイズできるようにし、Smart Controls 表示の上辺をドラッグした際に時々反応しなくなることがあった問題を解消し、GarageBand が補助ディスプレイの上にある場合にフルスクリーンモードからの復帰でアプリが直ちに見えるようにし、Voice Memos で作成された CAF ファイルが Finder や Mail に共有されていても正しく開くようにし、また VoiceOver に数多くの改良を施している。さらに、さまざまのジャンル (Hip-Hop、Chill Rap、Future Bass、New Disco、Bass House その他) にわたる 1800 個の Apple Loop、190 以上の音源パッチ、50 のビンテージおよびモダン・ドラム・キットを追加している。
App Store アプリは GarageBand 10.4.1 を 10.15 Catalina を走らせているユーザーにも入手可能にしつつ Big Sur が必要であると記しているけれども、Apple サポート担当者によればこれはアップデートパッケージの欠陥によるもので近日中に修正されるという。(Mac App Store から無料、無料アップデート、797.5 MB、リリースノート、macOS 10.13.6+)
Apple が Final Cut Pro X 10.5、Compressor 4.5、Motion 5.5 をリリースして、Apple の M1 チップを搭載した Mac でのパフォーマンスと効率を向上させ、Dolby Vision 8.4 メタデータを持つ HLG 高ダイナミックレンジ・プロジェクトの書き出しができるようにした。いずれのアプリも Avid DNxHR および Avid DNxHD のデコードと再生への対応を内蔵した。
Final Cut Pro はまた、最適化またはプロキシ・クリップで LUT が利用できなかった問題を修正し、ブラウザとタイムラインで HDR サムネイルの見栄えを改善し、共有するとチャプターマーカーが利用できなくなったバグを修正し、読み込みの際に安定化とカラーバランスを適用する際の安定性を改善し、ライブラリ間で静止画像をコピーするとファイルが重複した問題を解消している。
Compressor はクリップのフレームレートを変更するとオーディオの同期がずれていたバグを修正し、DV-PAL ソースからの Blu-ray ディスク作成に失敗していた問題を解消した。Motion は Mac Pro 上で空白のキャンバスの中をクリックしたり、複数のパラメータにわたって選択されたキーフレームのグループを処理したり、HUD の中でストロークタイプを選択して Stroke フィルターを使ったり、マーカーを削除した後にレイヤーを消去したりする際の安定性を改善した。(いずれも無料アップデート。Final Cut Pro X 新規購入 $299.99、2.9 GB、リリースノート、10.15.6 +。Compressor 新規購入 $49.99、314.7 MB、リリースノート、10.15.6 +。Motion 新規購入 $49.99、2.4 GB、リリースノート、macOS 10.15.6+)
The Omni Group が OmniFocus 3.10 をリリースして、このタスク管理アプリに macOS 11 Big Sur 対応を導入した。今回のリリースではまた、Big Sur 用にアプリのアイコンを更新し、URL の後に入力したテキストがプレインテキストとして追加されずにハイパーリンクの中に追加されてしまったバグを修正し、Forecast タグへのアップデートが即座に Forecast アウトラインに表示されるようにし、また Pro ユーザーのために Omni Automation を改良している。OmniFocus 3.10 は macOS Universal アプリ、つまり Apple の M1 チップを搭載した Mac と Intel ベース Mac の双方でネイティブに走る。(Omni Group ウェブサイトでの新規購入は Standard 版が $39.99、Pro 版が $79.99、Mac App Store では Standard 版が $39.99、アプリ内購入で Pro 版にアップグレード可、69.6 MB、リリースノート、macOS 10.14+)
The Omni Group が OmniOutliner Essentials と OmniOutliner Pro のバージョン 5.8 をリリースして、これらのアウトライン作成および情報整理アプリに macOS 11 Big Sur 互換性をもたらした。今回のリリースではまた、アプリのアイコンを更新して Big Sur に馴染むようにするとともに、Pro ユーザーのためには Omni Automation のセキュリティと外部スクリプトに対するスクリプトごとの承認を改良している。また、バージョン 5.8 は macOS Universal アプリとなって、Apple の M1 チップを搭載した Mac と Intel ベース Mac の双方でネイティブに走る。(Essentials の新規購入 $9.99、Pro の新規購入 $59.99、40.1 MB、リリースノート、macOS 10.14+)
ProjectWizards が Merlin Project 7.0 をリリースした。このパワフルなプロジェクト管理アプリへのメジャーなアップグレードで、macOS 11 Big Sur 対応を追加し、新しい共同作業機能を導入する。ユーザーが活動、割当、リソース、添付ファイルにコメントできるようになり、コメントはインスペクタの最後のタブに会話スレッドとして表示される。今回のアップデートではまた、コメント用に新しいアウトライン列を追加し、行の中にコメントがあることを示すバブル・シンボル (未読のコメントがあればオレンジ色のバブル) を表示し、Warnings ウィンドウの名前を Notifications に改めてそこに未読コメントの数を表示するようになった。
また、Merlin Project 7 では書き出しの際に自動出版をスケジュール化できるようになり、ツールバーのデザインを Big Sur 用に更新し、XML ファイルやテンプレートから作成されたプロジェクトでリストの値を調整できなくなったバグを修正し、新規インストールでは Merlin Server に関係する機能をデフォルトで表示しなくなった。(表示させるには Preferences で Show Merlin Server Features チェックボックスを選択する。)
軽量版の Merlin Project Express は家庭用およびセミプロのユーザーを対象としており、こちらもバージョン 7.0 にアップデートされて Big Sur 対応となったが、フル版の Merlin Project にあるコメント機能は備えていない。いずれの版の Merlin Project も、今回から 10.13 High Sierra かそれ以降を要するようになった。
Microsoft が Office for Mac のバージョン 16.43 を出して、PowerPoint の検索速度を向上させるとともに Excel でセキュリティ機能迂回の脆弱性をパッチした。先月のリリース (バージョン 16.42 で、私たちはうっかり見逃していた) の方が大きなアップデートで、Word 書類や PowerPoint プレゼンテーションや Excel ワークブックで使える著作権使用料無料の画像、アイコン、シールを何千も含むライブラリを追加した。また、Excel では Power Query クエリを Microsoft SQL Server から更新する機能を追加し、LET 関数を使ってパフォーマンス、読みやすさ、構成性を向上させ、ワークシートのデータからフローチャートや組織図などの Visio 図面を作成する機能に対応した。
また、Microsoft Office 16.42 では新しい Outlook for Mac が導入されてパフォーマンス、シンプルさを改善し、カスタマイズ可能なツールバー、より良い結果と提案を出す強化された検索、ミーティングでの RSVP の改善、新たな作文ウィンドウを開かずにメッセージに返信できる機能などが盛り込まれた。この更新された電子メールクライアントにアクセスするには Outlook ウィンドウの一番上にある New Outlook スイッチをオンにする必要がある。Microsoft Office は今回から macOS 10.14 Mojave かそれ以降を要し、新しい Outlook は Office 365、Outlook.com、および Google アカウントに対応する。(一回限りの購入は $149.99、年払い講読オプションは $99.99/$69.99、Microsoft AutoUpdate 経由で無料アップデート、リリース ノート、macOS 10.14+)