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#1567: Apple の新しいプライバシー保護、2021 年版 OS システム要件、iOS 12.5.4 セキュリティアップデート、Mailplane の終了発表、MagSafe アクセサリー

来週は電子メール号を休刊にさせて頂く。編集長 Josh Centers に初めての娘が誕生するからだ。どうぞウェブ上で記事をお読みになるとともに、2021 年 6 月 28 日の次号をお待ち頂きたい。さて、Apple はいくつかのセキュリティ脆弱性修正のため意外な 12.5.4 アップデートを出した。悲しい知らせだが、Mailplane が新規ライセンスの販売を中止して最近購入した人には返金を申し出た。すべては Gmail に新たに設けられたセキュリティ規制の結果だ。MagSafe アクセサリーの世界の現状に興味ある人たちのために、Julio Ojeda-Zapata があなたのテクノロジー生活を改善することを目指す MagSafe アクセサリーを 7 つレビューする。Apple は止むことなくプライバシーの太鼓を鳴らし続けているが、Apple の約束するプライバシー保護について Glenn Fleishman が概観する。それからもう一つ、今週号では Apple がもうじき出す予定のオペレーティングシステムにおけるシステム要件を詳しく調べて、単なる一般論ではなく特定の新機能に対する具体的な要件にまで踏み込む。今週注目すべき Mac アプリのリリースは、Cardhop 2.0.3、MoneyWell 3.1.2、Bookends 13.5.5、RAW Power 3.3.2、それに GraphicConverter 11.5 だ。

Josh Centers  訳: Mark Nagata   

2021 年 6 月 21 日は新人研修のため電子メール号は休刊

私たちは例年 5 月 31 日前後の週に、米国の Memorial Day (戦没者追悼記念日) の祝日のため TidBITS の電子メール号を休刊にしている。家族と共に過ごしつつ、命を国に捧げた人たちに敬意を払うためだ。けれども今年は、滅多にない Memorial Day 記念号を出版したことにお気付きの方もおられたかもしれない。

それには理由がある。私の家族に新たな一員、Elizabeth "Betsy" Anne Centers が、2021 年 6 月 17 日に誕生する予定なのだ。Adam は親切にも私のために TidBITS の出版スケジュールを調節して、この週と週明けの月曜日に私が休みを取れるようにしてくれた。週明けまでには全てが落ち着くことを願いたいが、でも何が起こるかは分からない。私たちの最初の息子 James Harrison は結局緊急の帝王切開で誕生することとなった。(2013 年 8 月 23 日の記事“Canon EOS M、低価格で品質と簡便さを提供”参照。) 二番目の息子 Jeremiah Stone は誕生直後に黄疸と戦うため紫外線照射を受けながら病院で数日間を過ごすことになった。決して楽しい時間ではなかったが、この子は私がそれまでに見た中で最もクールな新生児であった。

Baby Stone under a UV light

去年は一年間の大部分を自宅の中で過ごしたので、どれほど子供たちに恵まれているかを実感させられた。この状況に苦しんでいた親たちが大勢いたことは残念だけれど、うちの息子たちはいつも喜びと楽しみの源となってくれた。この子たちがいなかったなら、きっとたちまち絶望に陥っていたことだろう。

いつも言っていることだが、これまで 8 年間 (!) にもわたって私に給料を支払い、子供たちと共に自宅で仕事を続けさせて下さった TidBITS 会員の皆様に御礼申し上げたい。この期間中に Apple 世界を去って行った多くの素晴らしいライターたちやエディターたちを私は知っているし、あまりにも多くの Apple 関係出版が廃刊や衰退に追い込まれた。皆様からのサポートを得ることができた私は、信じられないほど幸せだ。Take Control の著者として、また The Prepared の編集者としての私の他の仕事もあって、妻の Hannah は子供たちと一緒に家に留まることができた。Apple プレッパーという、メディアの中ではこの上なく奇妙なニッチの立ち位置にいる私かもしれないが、どういうわけか私は自分の趣味を家族のため生計を立てるものへと変えることができた。

これから 2 週間の間も新しい記事の出版は続けるし、TidBITS の電子メール号は 2021 年 6 月 28 日に再開する。次号は、今年の WWDC の余波をさらにもっと調べつつ、Apple の来たるべきオペレーティングシステムを見据えるものとなるだろう。

それまでの間、TidBITS 会員の皆様はいつも通りに出版されたばかりの記事を電子メールで読むことも、また RSS 経由で記事のフルテキストを読むこともできる。会員でない皆様は、私たちのウェブサイト で、 Apple News 経由で、TidBITS News iOS アプリで、Google News で、または Flipboard を使って新しい記事をお読み頂ける。(2018 年 10 月 5 日の記事“TidBITS News アプリ、Apple News、Google News、Flipboard で TidBITS を読もう”参照。)

休刊の週を利用して過去の号で読み損ねていたものを読んでおきたいとお思いの方には、すべてのバックナンバーが取り揃えてある

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Josh Centers  訳: 亀岡孝仁  

Apple、iOS 12.5.4 を旧型 iOS 機器のセキュリティ脆弱性阻止のためリリース

iOS 14 にアップデート出来ない iOS 機器に対するサポートの継続を誇示する一環として、Apple は iOS 12.5.4 をより古い iPhone や iPad に対してリリースした。対象となるのは、iPhone 5s, iPhone 6, iPhone 6 Plus, iPad Air, iPad mini 2, iPad mini 3, そして iPod touch (第六世代) である。

我々は早急にアップデートする事をお勧めする。と言うのも、そこには重要なセキュリティアップデートが含まれており、Apple が現在頻繁に悪用されていると言っている二つの WebKit 脆弱性を修正しているからである。iOS 12.5.4 アップデートはSettings > General > Software Update でインストール出来る。

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Adam Engst  訳: 亀岡孝仁  

Mailplane、ライセンス販売を停止

Mailplane About box

長年の間、メールを読む私の好みの方法は Gmail 固有のクライアント Mailplane を通してであった。それは、Gmail の Web インターフェースをネイティブの Mac アプリに包み込んだもので、追加の機能と Mac ネイティブの細やかさを提供する。私は最近 Mimestream のベータ版を使っているが、Mimestream では今の所出来ない事をやる必要がある時には、Mailplane に戻っている。

不幸な事に、Google は、ユーザーを中間者攻撃から守る努力の一環として、埋め込みブラウザでのログインページを使えなくした。過去6ヶ月の間、Mailplane 開発者の Lars Steiger と Ruben Bakker は、Google との間での公式な解を見つけ出そうとしてきたが、叶わなかった。回避策はあり、彼らは Mailplane を既存の顧客に対して可能な限り長く走らせられる努力をしているが、それがどれ位長く続くかは誰にも分からない。

このため、彼らは Mailplane に対するライセンス販売を停止したこと、過去 60 日間に Mailplane を購入した人には、連絡を貰えば返金すると発表した 。それはとてもつらい決断だったに違いないし、適切な事をしている事に賛辞を贈りたい。私は、これ迄も Lars と Ruben とのやり取りを楽しんできたし、彼らは常に、顧客サービスシステムの Replies の助けとも相俟って、とても対応が良かった。

Mailplane ユーザーは、このアプリを働き続ける限り使い続けられるが、Web ブラウザ内の Gmail には何時でも戻れるし、他の選択肢も有るかもしれない。私は直接の経験はないが、Mailplane の様に働く Gmail 固有のメールクライアントは他にも幾つかあり、例を挙げれば、BoxysuiteKiwi for Gmail がある。それらの開発者は、Google 認証問題について触れた事はないので、ひょっとすると、アプリは公式の解を可能にする何らかの方法に沿って作られているのかもしれない。或いは、彼らは単に非公式の回避策破りを心配していないだけなのかもしれない。個人的には、今の所 Mimestream を続ける積もりである。Julio Ojeda-Zapata はこれを昨年 "Mimestream、Mac の電子メールアプリに Gmail 機能をもたらす" (25 September 2020) でレビューしたが、これはその間大幅に改善された事を記しておきたい。私にはその理由が分かる - Mimestream の開発者 Neil Jhaveri は、些細なユーザー体験変更についての私の進言にもよく反応してくれていた。

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Josh Centers  訳: Mark Nagata   

Apple の 2021 年版オペレーティングシステムにおける本当のシステム要件

私たちは皆首を長くして iOS 15、iPadOS 15、macOS 12 Monterey、watchOS 8 の登場を待っているところだが、はたしてこれらはあなたが今お持ちのデバイスで動作するのだろうか? Apple はこれからも古いデバイスに対応することにかけては素晴らしい仕事を続けるけれども、そうは言っても iPhone や iPad の機能の多くは少なくとも A12 Bionic チップ以上を必要とする。Mac の側でも、新機能のいくつかは M1 プロセッサを必要とする。

全体的に見て、古いデバイスへのサポートを維持しつつ特定の新機能についてはより能力の高い最新モデルに限定するというのは良い戦略だ。そうすることで、参加するためだけに新しいハードウェアの購入を余儀なくされる人々の数を少なくできる一方で、新機能を利用したいと思う人々にはハードウェアのアップグレードを促すこともできる。

では、詳しい情報を調べてみよう。まずは iOS 15 と iPadOS 15 から始め、それから macOS 12 Monterey に移って、Mac 上の Universal Control と AirPlay に寄り道してから、最後に watchOS 8 を調べよう。

iOS 15 と iPadOS 15

iOS 15 と iPadOS 15 とはあまりにも重なり合うところが多いので、一緒に扱うことにしよう。いずれも驚くほど広い範囲のハードウェアに対応しており、iOS 15 は iOS 14 をそのまま引き継いで 2015 年に出た iPhone 6s でも動作する。

デバイス 導入年 チップ
iPhone 12/mini/Pro/Pro Max 2020 A14 Bionic
iPhone SE (第2世代) 2020 A13 Bionic
iPhone 11/Pro/Pro Max 2019 A13 Bionic
iPhone XR/XS/XS Max 2018 A12 Bionic
iPhone X 2017 A11 Bionic
iPhone 8/8 Plus 2017 A11 Bionic
iPhone 7/7Plus 2016 A10 Fusion
iPhone 6s/6s Plus 2015 A9
iPhone SE (第1世代) 2016 A9
iPod touch (第7世代) 2019 A10 Fusion

そして iPadOS 15 は、何と 2014 年に出た A8X 駆動の iPad Air 2 や、また 2015 年に出た A8 駆動の iPad mini 4 でさえ動作する。

デバイス 導入年 チップ
iPad Pro 12.9 インチ (第1–第5世代) 2015, 2017, 2018, 2020, 2021 A9X, A10X Fusion, A12X Bionic, A12Z Bionic, M1
iPad Pro 11 インチ (第1–第3世代) 2018, 2020, 2021 A12X Bionic, A12Z Bionic, M1
iPad Pro 10.5 インチ 2017 A10X Fusion
iPad Pro 9.7 インチ 2016 A9X
iPad Air (第2, 第3–第4世代) 2014, 2019, 2020 A8X, A12 Bionic, A14 Bionic
iPad (第5–第8世代) 2017, 2018, 2019, 2020 A9, A10 Fusion, A10 Fusion, A12 Bionic
iPad mini (第4, 第5世代) 2015, 2019 A8, A12 Bionic

ただし、少数の iOS 15 および iPadOS 15 機能は A12 Bionic またはそれ以降のプロセッサを要するので、それを備えたモデルが必要となる。つまり:

A12 Bionic またはそれ以降を要する機能には次のようなものがある:

その他個別にシステム要件がある機能として次のようなものがある:

macOS 12 Monterey

macOS 12 Monterey では状況がもっと複雑になる。対応するモデルでも分かれるし、また Apple silicon Mac のみで利用できる機能もあるからだ。以下の Mac は少なくとも基本レベルでは Monterey を走らせることができる (モデルの識別方法についてはそれぞれのリンクを使って頂きたい):

Apple silicon プロセッサを必要とする機能には次のようなものがある:

その他個別にシステム要件がある機能が少数だがある:

Universal Control

Universal Control は Monterey と iPadOS 15 の機能で、一つのキーボードとポインティングデバイスで数台の Mac や iPad を使えるというものだが、これを利用するには以下のどれかの Mac が必要だ:

また、Universal Control が使える iPad は以下のもののみだ。これを iPadOS 15 の要件のところでなくここでリストするのは、まず Mac 上で Universal Control を開始しなければならないからだ:

Mac への AirPlay

新しい AirPlay to Mac 機能は、別の Apple デバイスから Mac へオーディオやビデオを送信できるものだが、これにもまた個別のシステム要件がある。まず、コンテンツを受信できる Mac は次のものに限られる:

Apple によれば、フル解像度でコンテンツを送信できるのは、上記の対応 Mac か、または以下に挙げるデバイスのどれかに限られるという:

そうは言っても、Apple によればもっと旧型の iPhone や iPad や Mac モデルであっても System Preferences > Sharing で "Allow AirPlay for" を "Everyone" または "Anyone on the same network" に設定してあればコンテンツを低解像度で共有することはできる可能性があるという。

watchOS 8

最後に、watchOS 8 は下記のデバイスで動作する。これは watchOS 7 に対応するもののリストと同じだ:

Apple はどの機能がどのウォッチで動作するのかの詳細を述べておらず、「利用できる機能はデバイスによって異なります」と述べているだけだ。ここでの制約の大部分は当然ながら必要なハードウェアの欠落に関係しているはずで、例えば血中酸素センサーは Apple Watch Series 6 にしか搭載されていない。

Apple Watch Series 3 シリーズで watchOS 7 へのアップデートがうまくできない問題があったが (2021 年 4 月 12 日の記事“Apple Watch Series 3 アップデートの際の回避策”参照)、watchOS 8 ではその問題が解決されていることを願いたい。

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Glenn Fleishman  訳: Mark Nagata   

Apple、壁に囲まれた庭を出て行くトラフィックでプライバシー保護を拡張

Apple の Worldwide Developer Conference キーノートの基調を成していたメッセージの中で、プライバシーはかなり上位に置かれていた。それは、ソフトウェア主任 Craig Federighi が最大級の宣伝をしていたことからも見て取れる。Apple は従来にも増した努力を注いで、あなたの個人的、財政的、並びに機密的な情報がプライベートに保たれるようにした。Apple はまた、電子メールでの追跡をブロックし、より匿名性の高いウェブブラウジングを提供し、広告主やマーケティング会社、その他あなたの知らないところであなたの許可を得ずあなたの挙動を追跡しようとする者たちをさらにもっと強い力で押し戻すために提供できるものを拡大した。

New privacy features

iOS 15、iPadOS 15、および macOS 12 Monterey で、Apple は Safari 内部でサードパーティに提供される追跡データへの制限をさらに強め、電子メールメッセージに埋め込まれた画像を見えないところで追跡するメカニズムに対するブロックを追加した。iCloud+ は iCloud サービスの有料レベルに付けられた新しい名前だが、Apple のサーバが管理する匿名アドレスから電子メールを送信したり、Safari でプロキシサービスを使って暗号化とリダイレクトの組み合わせを通じ追跡に打ち勝てるようにしたりできる。

概念上、匿名性とプライバシーとセキュリティの間には複雑な関係がある:

Apple はここ数年間にわたり、自らの全プラットフォームにわたって、とりわけ Safari の中で、個人データの保護を強めるための努力を続けてきた。一部の広告システムは追跡や監視を防ごうとする私たちの要望や、設定や、テクノロジー的方策を尊重しているけれども、他の広告テクノロジーは Apple を相手に絶え間なくいたちごっこを続けて、保護対策を回避しては Apple にさらなる保護の拡張を施させるということを繰り返してきた。広告テクノロジー会社はこの種の反社会的行動を積極的に繰り出し、マーケティング情報の詰まった調査記録をまとめ上げてそれを販売したり、さらには一般的な広告よりも高値で販売できるターゲット化された広告を作ったりしている。

ユーザーの意図を覆そうとするこのような止むことなき圧力の結果として、合意に基づく Do Not Track 設定は既に死に絶えた。そのことはまた、Apple にほぼ毎年のように Safari に変更を施させ、サードパーティ (つまり広告ネットワークやその他のトラッキング会社) が広告を表示するウェブサイトのコード、クッキー、または埋め込まれたメディアを通じて、あるいは訪問者の統計情報を入手することによって、どの情報を推測または抽出できるかに対しての制限を加えざるを得ないようにした。(紛らわしいことに、そしてこれはおそらく歴史的理由によるものだろうが、そのやり取りの中ではウェブサイトが ファースト パーティ、あなた自身が セカンド パーティと見なされる。)

2021 年第3四半期に予定されているオペレーティングシステムのアップデートで追加される詳細は、多くの未解決事項を処理するものとなる。けれどもそれらはまた、匿名性とプライバシーとの間の境界を曖昧にすることにもなる。TidBITS ライターでありセキュリティ専門家である SecurosisRich Mogull はこう言い切った。「オンライン追跡の正気とは思えないほどの侵害性の結果として、プライバシーを保つための唯一の方法が匿名性を使うことになってしまった。広告主たちと彼らを支える基盤構造が、これを余儀無くした。彼らが選択肢を奪い去ったのであり、だからして匿名性が唯一可能な対応となった。」

今年の後半になれば登場すると予想される事柄をまとめておこう:

Apple はこれらのプライバシー保護の増設や匿名性の拡張を何の目的もなく開発しようと決断した訳ではない。これらはすべて、世界最大の会社の一つである Facebook から、闇の中にうごめく広告テクノロジー会社まで、ユーザーがオンラインにいるありとあらゆる瞬間を収益化しようとする者たちの絶え間ない企てから、ユーザーを保護したいという願いに由来したことなのだ。

無料の機能と有料の機能の双方を追加することで (iCloud+ の料金は月額 $0.99 からで、これで 50 GB のストレージと他にいろいろな利得が付く)、Apple は Amazon、Google、Microsoft といった会社に対してもプライバシー保護を高めるようにという圧力を強めている。Apple が高い利鞘を保ち、予測の難しいハードウェア販売の外での収益を増すための道としてこれらのサービスへの集中を続けているので、プライバシーを第一に掲げたこれらの動きは他より Apple プラットフォームの製品を買いたいと思う顧客を呼び込む働きをするかもしれない。これはユーザー・フレンドリーであると同時に Apple の収益を増す力ともなり、しかも他の会社に対しては Apple の水準に近付く努力を余儀なくさせる働きをも生む。あるいは、その努力をせずあなたのデータに関する意図について嘘をつく会社もあるのだろうか。

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Julio Ojeda-Zapata  訳: 亀岡孝仁  

MagSafe の可能性を示す7つのサードパーティアクセサリ

昨年 Apple は、そのワイヤレス電話充電体験を改善する事を目指し MagSafe を発表した。それは、最新の iPhone と対応するアクセサリに組み込まれた磁石に依存して文字通りスナップで位置出しを可能にしたものである。しかし、Apple の MagSafe アクセサリは玉石混淆であった ("MagSafe はクールだが、一新するだけの価値はあるか?" 6 November 2020 参照)。

しかしながら、Apple のアクセサリを批判する事は余り意味がないように思える。何故ならば、それらの欠陥は必然的にサードパーティ製品によって対応されて、機能性は改善しデザインも強化され、そして多くの場合値段も安くなる。私は、色々な MagSafe 製品を試してきたが、とりわけ上記の問題を解決するものに焦点を当ててきた。以下に傑出したもの7つを挙げてみる。

Nomad の MagSafe Mount

Nomad からの形の良い頑丈な MagSafe Mount は MagSafe 充電パッドではなく、Apple の MagSafe Charger 用のホルダーである。何で、わざわざ? このステンレス製の MagSafe Mount は、iPhone を少しの腕の捻りを加えて掴んだ時に、充電器が持ち上がらずに机の上に留まるに必要十分なだけの重量を付け加える。この組合せは MagSafe の位置合わせ機能は保持するので、iPhone を正常な位置に簡単に置ける。

Nomad MagSafe Mount

MagSafe Mount の仕上げは非の打ち所がなく、MagSafe Charger がぴったり嵌まる穴が空いていて (取り外そうとは思わない方が良い)、底はパッド張りで、こすれや引っ掻き傷から家具を保護し、そしてクールな曲線美を提供している。

オンラインの店頭には MagSafe Charger ホルダーが溢れているが、多くはシリコーンの様な軽量材料で出来ており、固定するために接着剤に依存するものもある。

それに比べると、この $79.95 の MagSafe Mount は、高価ではあるが、一流品である。現在は品不足で、少なくとも7月迄待たなければならない。

Twelve South の iPhone 用 Forté

時として、充電中にも iPhone を使いたい場合がある。それ用には、角度の付いた MagSafe マウントが理想的である。

Twelve South の $39 の Forté はその一つである。それは、角度の付いた金属アームに装着された受けを持っており、金属アームはがっしりした金属ベースにネジ止めされている。

Twelve South Forté

Apple の MagSafe Charger パックはこの受けにぴったり収まるが、ケーブルは後ろ向きに折れ曲がって出て、アームの溝に収まる。ケーブルが MagSafe のディスクから不器用に下向きに飛び出しているのは、とても優雅とは言えないが、避けるのは不可能である。

iPhone を充電器に載せた後は、必要に応じて回転して、向きを縦位置から横位置へと変えられる。

更に良い事に、受けの背面にあるヒンジのお陰で、iPhone の角度を机の表面に対してほぼ直角から水平にまで調整出来る。MagSafe の表面を AirPods Pro の充電器として使いたい場合にはこの水平の位置が役に立つ。この Forté の調節機能が、私がオンラインで見た他の固定角の MagSafe スタンドからこれを際だったものにしている。

Ston'r

Twelve South はまた $39.99 の Ston’r も提供する。それは MagSafe Charger 用の重りとなるベースで、本店の店に間もなく登場する。それは基本的には Nomad の MagSafe Mount と同じだが、違いは大理石製で、値段は半分である。私はまだ試した事はないが、目的はきちんと果たすように見受けられる。

Belkin の Boost Charge Pro 3-in-1 Wireless Charger

Boost Charge Pro 3-in-1 Wireless Charger Stand は、恐らく市場で一番おしゃれな MagSafe 充電器であろう。それは、MagSafe と Apple Watch の両方の充電パックを高くしたアーム上に持ち、そしてまた Qi 表面をその円形のベースに組み込んでおり、AirPods ケースや他の Qi 対応の電話の受電に使える。

Belkin Boost Charge Pro

この Boost Charge Pro 3-in-1 は公式に認定された "Made for MagSafe" アックセサリで、iPhone 12 を 15 ワットで充電出来る。これに対して、その他の多くの "MagSafe 対応" 充電器は 7.5 ワットしか扱えない。加えて、同梱された電源アダプタに付いているケーブルはとても長く、Apple の MagSafe Charger の短すぎるコードよりも遙かに大きい自由度を提供する。

多少細かい事を言えば、Apple Watch は、どう調整しても、その高くなったパック上で傾いてしまいがちである。更に、Boost Charge Pro 3-in-1 は高価で $149.99 もする。もし Apple Watch 充電器は必要でなければ、$99 の Boost Charge Pro 2-in-1 Wireless Charging Stand を選ぶ事も出来、こちらは、時計パックを除外して、上部の MagSafe パックとベースに組み込まれた Qi パッドを有する。もし値段は問題でなければ、どちらの製品を選んでも間違いはない。何故ならば、より高速の充電が可能で、仕上げも第一級だからである。色は黒と白がある。

もし MagSafe アクセサリに興味があるのであれば、Belkin に注目して欲しい。と言うのも、同社は製品を猛烈なスピードでリリースし続けているからである。これ迄に発表されたものには、MagSafe モバイル電池可搬型充電パッド運動機器に取り付けて使うためのマウント顔を追跡する電話マウント、等々がある。全ては Made for MagSafe である。

ESR の HaloLock Magnetic Wireless Car Charger Mount

MagSafe は、カーマウント用には理想的に見える。しかし、この分野で私が見た事のあるアクセサリの多くは、iPhone を磁力で保持はするが、充電用には Lightning ケーブルをつながなければならず、目的に反しているように見える。

ESR の $39.99 の HaloLock Magnetic Wireless Car Charger Mount は独自の給電系を持っている。ケーブルはあるが - 電力は何処かから来なければならない- ケーブルは iPhone にではなくマウントに差し込まれ、もう一方は車の USB ポートに行く。これらの自動車ポートは強力ではないので急速充電は出来ないであろうが、少なくとも、便利さは失われていない。これは、車の通気口に取り付けられる。

ESR HaloLock Magnetic Mount

HaloLock Magnetic Wireless Car Charger Mount はプラスチック製だが、頑丈な感じで、iPhone をしっかり保持する。私の実験では、道路のかなりひどい段差にでもぶつからない限り動く事はなく、通常の衝撃で外れる事はなかった。磁石の保持力を最大化させるため、Apple や他のメーカーからの MagSafe iPhone ケースを間違いなく使うべきである;MagSafe 非対応のケースで、ただ iPhone の磁力を使うだけだと、保持力は不十分である。

ESR はまた、$45.99 の HaloLock Dashboard Wireless Car Charger も出している。iPhone を保持するこの製品の前部は同じだが、後部のマウントはダッシュボードかフロントガラスに取り付くよう設計されている。

私は、MagSafe とは無関係だが、この製品は通気口マウント程には好きでない:それはダッシュボード或いはフロントガラスにしっかり取り付くレバー付きの真空吸着パッド形式ではなく、接着マウントを使っている。そして、それは幾つもの動作点を含むより長さの長い製品なので、車が動き始めると結構大きく揺れる。また、それを何処に取り付けようが、ある程度、運転者の視界の妨げとなる;通気口マウントはそうならない。

HaloLock Dashboard

これらの製品のどちらも Made for Magsafe ではない。私が知っている唯一の Made for MagSafe カーマウントは、Belkin の $39.99 の Car Vent Mount PRO with MagSafe だが、それは電話を保持するだけで充電はしない。

iPhone を充電出来るカーマウントで Made for Magsafe であるものが欠如している事を嘆く声を聞くが、有るとしたら、どんなものであろうか? USB ポートを使い細々と充電し、MagSafe の 15 ワットには遙かに及ばない MagSafe マウントを Apple は認証するのであろうか? それとも、私は何かを見落としているのであろうか?

MagSafe は豊富にある

MagSafe アクセサリのエコシステムは、Apple がその技術を昨年末に発表して以来、充実して来ている。サードパーティの製造業者は、MagSafe パック、スタンド、電池、カーマウント、財布、等々を我先に出そうと競い合っている。"MagSafe" を Amazon で検索してみると、10,000 を超える選択肢が出てくる。多くは、名前を聞いた事もないような会社からのもので、怪しげに見える。避けた方が良い。

しかしながら、よく名の通ったブランドに絞っても、選択肢は十分に有る。例えば、PopSockets のファンは、MagSafe 対応の PopGrip や PopWallet アクセサリが今や入手可である事を歓迎するであろう。Nomad, Twelve South, Belkin, そして ESR からの上記の MagSafe 製品もまた間違いないであろう。

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata   

Cardhop 2.0.3

Cardhop 2.0.3

Flexibits が Cardhop 2.0.2 をリリースして、最近アップグレードされたこの連絡先マネージャに修正や改良を加えた。(Cardhop 2 での新機能については 2021 年 5 月 27 日の記事“Cardhop 2.0 と Fantastical が Flexibits Premium バンドルに”参照。) 今回のアップデートでは Notification Center に Birthday ウィジェットを追加し、親を共有する子供たちの関係性の表示で正確さを改善し、Quick Look プレビューを閉じることなく別の添付画像を選択できるようにし、特定の状況下で関係ある名前を検索した際や Google ディレクトリの並べ替えの際に起こったクラッシュを修正している。このリリースの後間もなく、Flexibits はバージョン 2.0.3 を出して macOS 10.13 High Sierra、10.14 Mojave、10.15 Catalina で起こったクラッシュに対処した。Cardhop は現在 Flexibits のカレンダーアプリ Fantastical と共にバンドルされて Flexibits Premium 購読に組み入れられており、料金はシングルライセンスが年額 $39.96 (月あたり $3.33)、最大 5 人のユーザーで使えるファミリープランが年額 $64.9 (月あたり $5.42) だ。(Flexibits からも Mac App Store からも購読年額 $39.96、バージョン 2 からは無料アップデート、29.6 MB、リリースノート、macOS 10.13.2+)

Cardhop 2.0.3 の使用体験を話し合おう

MoneyWell 3.1.2

MoneyWell 3.1.2

Diligent Robot が個人財務およびエンベロープベースの予算編成 アプリ MoneyWell のバージョン 3.1.2 をリリースして、USAA の新しい Direct Connect メソッドへの対応を提供した。今回のアップデートではまた Spending Plan の Events にメモ用フィールドを追加し、CSV 読み込みに空白のカラムを無視するオプションを追加し、最終更新日を誤ったやり方で利用している組織 (Citi, USAA) のために Direct Connect の日付を実際より前の日付にずらす可視的オプションを追加し、小切手の取引を読み込む際の CSV 読み込みのバグを修正している。(新規購入 $60、無料アップデート、13.9 MB、リリースノート、macOS 10.11+)

MoneyWell 3.1.2 の使用体験を話し合おう

Bookends 13.5.5

Bookends 13.5.5

Sonny Software が Bookends 13.5.5 をリリースして、ScienceDirect を使う出版社から PDF を直接ダウンロードする機能を復活させた。この文献参照管理ツールはまた、置き去りになった添付物リストからファイルをドラッグする機能への対応を追加し、選択した参照文献に複数個のファイルを添付する手順を能率化し、PDF の目次からタイトルを付けたノートカードを作成できるようにし、Bookends Browser ブックマークに medRxiv を追加し、参照文献をタブ区切りファイルへ書き出す際のバグを修正し、選択した参照文献をフォーマット付きで書き出す際に進行状況ウィンドウが表示されなかった問題を解消している。(新規購入 $59.99、TidBITS 会員には 25 パーセント割引、97.8 MB、リリースノート、macOS 10.13+)

Bookends 13.5.5 の使用体験を話し合おう

RAW Power 3.3.2

RAW Power 3.3.2

Gentlemen Coders が最近 RAW Power 3.3 をリリースして、Apple の RAW エンジンが提供する範囲を超えたカメラ、例えば圧縮された Fujifilm RAW 画像、Go Pro、Olympus その他への対応を追加している新しい Extended RAW 機能を装備させた。このアップデートではまた、スプリットトーニング、レンズ補正、色縁除去など新しいツールを導入し、Photos ライブラリへの書き出しを拡張し、ポップアップからフォルダを選ぶことで LUT を隠せるようにした。このリリースの後間もなく、Gentlemen Coders はバージョン 3.3.2 を出して詳細不明の変更を施した。(Mac App Store から新規購入 $39.99、無料アップグレード、53.7 MB、macOS 10.14+)

RAW Power 3.3.2 の使用体験を話し合おう

GraphicConverter 11.5

GraphicConverter 11.5

Lemkesoft が GraphicConverter 11.5 をリリースして、このグラフィックスプログラム Swiss Army ナイフに改良とバグ修正を施した。今回のアップデートでは GPX 地理トラックを地図上に置けるようにし、行き先フォルダの中のマッチするファイルにすべてのメタデータをコピーする機能を追加し、特定の寸法の矩形選択を作成するための項目をメニューとツールバーの双方に追加し、Exif データを他のファイルからコピーできるようにし、サイズチェック付きでファイルを JPEG または HEIC として保存し直すバッチアクションを追加した。(Lemkesoft からも Mac App Store からも新規購入 $39.95、無料アップデート、260 MB、リリースノート、macOS 10.9+)

GraphicConverter 11.5 の使用体験を話し合おう

ExtraBITS

訳: Mark Nagata   

Craig Federighi が Apple の新しいプライバシー機能を議論

Michael Grothaus が Fast Company の記事で Apple の Craig Federighi にインタビューし、Apple が WWDC キーノートで発表した新しいプライバシー機能について議論した。具体的には、iCloud Private Relay、デバイス上での Siri 音声処理、Mail の Privacy Protection、App Privacy Reports、それから Safari の Intelligent Tracking Prevention 改良などだ。(2021 年 6 月 7 日の記事“WWDC 2021 で登場したクールな新機能 10 個”参照。)

記事の大部分は Apple から登場予定のオペレーティングシステムの新機能についてのもので、そのことだけでも十分に読む価値がある。けれども Federighi はそれ以外の点についても興味深いコメントをいくつか述べた:

  • Apple は App Tracking Transparency の成功をユーザーに選択肢を与えることを基準に判断しており、オプトインの比率を心配してはいない。
  • 政府レベルでのより強力なプライバシー保護を彼は支持するけれども、常に Apple のような会社の方が素早く行動できると考えている。
  • Apple によるプライバシー重視の動きがテクノロジー業界全体のために良き手本となることを彼は願っている。

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Steven Aquino、登場予定の Apple 機能のアクセシビリティを検討

Forbes の記事で Steve Aquino が、Apple から登場予定のオペレーティングシステムのリリース、すなわち iOS 15、iPadOS 15、macOS 12 Monterey、watchOS 8、tvOS 15 における看板機能のいくつかが現実のアクセシビリティ機能を提供し、それはすべての人にとってありがたいものとなるだろうと説明する。とりわけ、Aquino は Live Text、Conversation Boost、デジタルキー、tvOS の生体認証ログイン、それに Apple Music の空間オーディオを挙げる。ものによってはアクセシビリティとの結び付きが明白なものもあるけれども、自ら障害を持って生きる Aquino の個人的体験から、一見アクセシビリティとは無関係に見えるような機能の中に彼はその意味を識別することができる。

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TikTok、プライバシー方針を変更して生体識別子および情報の収集を許容

TikTok icon

TechCrunch の記事で Sarah Perez が伝えたところによれば、ソーシャルビデオ会社 TikTok がユーザーが生成したコンテンツから「生体識別子および生体情報」を収集できるように 米国におけるプライバシー方針を拡張したという。改定後のプライバシー方針には次のように明記されている:

米国の法律の下で規定された生体識別子および生体情報、例えば顔の情報や音声の情報などを User Content から収集することができる。法律に基づく要請があれば、その種の収集に先立って必要な許諾をあらかじめ求める。

Perez が指摘した通り、この簡潔な声明には数多くの詳細が欠落しており、そもそも TikTok がなぜそのデータを必要とするのかも述べられていない。米国の州で生体情報に関するプライバシー法を定めているところはごく少数で、カリフォルニア、イリノイ、ニューヨーク、テキサス、ワシントンなどのみだ。今回の変更は、TikTok がイリノイ州の Biometric Information Privacy Act に違反したとして訴えられ 9 千 2 百万ドルの和解に至った訴訟の後に実施された。

要するに TikTok はコンテンツの巨大なデータベースを構築していて将来それをディープフェイクのビデオで利用しようとしているのではないかという気がするのは考え過ぎだろうか? 今週初めに Biden 政権は Trump 時代の TikTok (および WeChat) 禁止令を取り消して、外国製のアプリによる国家安全保障上のリスクを検討する枠組みを打ち出した。おそらくそのことが TikTok その他の企業により大きな圧力をかけたのだろう。そのような枠組みの方が、訴訟に耐える可能性が高いと思われるからだ。

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Apple Design Award の受賞者を発表

Apple が今年も Apple Design Award の受賞者を発表した。Apple のページで、個々の受賞者と受賞理由をご覧頂きたい。今年、Apple は受賞者たちを 6 つのカテゴリーに分けた:

受賞者の皆さん、おめでとう!

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