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#1683: 新しい M3 チップを搭載した MacBook Pro および iMac、Apple Q4 は売上減少だが記録的純利益、27 インチ iMac は登場せず

今週の大きなニュースとして、Apple が M3、M3 Pro、および M3 Max チップを搭載した新型の 14 インチおよび 16 インチ MacBook Pro モデルをリリースするとともに、24 インチ iMac も M3 チップで速度向上させた。Adam Engst がこれらすべてを詳しく紹介するとともに、13 インチ MacBook Pro が販売終了となったことも伝える。今回の新型 Mac は Apple の Q4 業績発表に影響を与えるには間に合わなかったが、Apple はおよそ 1% の売上高減少にもかかわらず 230 億ドルという過去最高の純利益を達成した。それから悲しい Mac のニュースとして、Apple が Apple Silicon 版の 27 インチ iMac を製造することはないと明言した。今週注目すべき Mac アプリのリリースは Audio Hijack 4.3、Mimestream 1.1.5、Fantastical 3.8.7、それに Lightroom Classic 13 だ。

Adam Engst  訳: Mark Nagata   

M3 チップファミリーで MacBook Pro と 24 インチ iMac のパフォーマンスが向上

不気味なハロウィーン風のエフェクトとともに夜の暗い部屋を舞台として、あらかじめ録画してあった Apple の Scary Fast 製品発表ビデオが、最新の Apple silicon である M3、M3 Pro、M3 Max と、それらのチップを搭載した初めての Mac である 14 インチおよび 16 インチ MacBook Pro と 24 インチ iMac をお披露目した。Apple はカレンダーイベントを 2 時間と設定していたが、プレゼンテーションはたった 30 分間しか続かなかった。実際にニュースと言える内容はと言えば「より高速になった Apple チップがほんの少しだけアップデートされた Mac を駆動する」とごく短くまとめることができる。

Tim Cook emerging from the shadows

新型の Mac はすべて現在注文受付中で出荷日は 2023 年 11 月 7 日からとなっているが、M3 Max 搭載モデルの MacBook Pro だけは例外で 11 月後半に出荷が始まる。

iPhone で撮影

プレゼンテーション自体は大体において明快なものであった。セットの飾り付けとして骸骨や髑髏がいくつか置かれていたかもしれないが。残念ながら Apple のプレゼンターたちの誰もハロウィーンっぽい衣装を着ていなかった。それっぽく感じられたのは、Apple の Hardware Technologies 担当 SVP の Johny Srouji が暗闇から登場して、訛りのある英語で "Welcome to my lab" と語り始めたところ、それと Hardware Engineering 担当 VP の Kate Bergeron が M3 Max を「完全なモンスター」と形容したところくらいだった。

この Scary Fast 映像を締めくくるクレジット部分に、Apple は「iPhone で撮影し、Mac で編集しました」と記した。当初私はそれに気付いたけれども特に気にはしなかった。それが私の心に響いたのは、Apple が撮影の舞台裏を紹介した記事を公開して、$20,000 もするビデオカメラを使わずすべてを一台の iPhone 15 Pro Max で撮影したと説明したのを見てからだった。(奇妙なことに、Apple は当初この記事で触れていた $20,000 という記述をアップデート後の記事で削除してしまった。)[訳者注: Apple の日本語記事では最初から金額に一切触れていません。]

Apple は iPhone のカメラが素晴らしいのでこのようなプロフェッショナルの状況でも使えると語っているが、私はその点で考えを決めかねている。一方では、コンシューマレベルのスマートフォンが $20,000 もするカメラの代わりに使えるという点は信じられないほど素晴らしいことだし、映像を見ても誰もその違いに気付かないだろうと思う。iPhone 15 Pro Max の画質は、このような暗い照明条件の下でさえもその種の高価なカメラに対抗できるのだろう。

けれどもその一方で、舞台裏記事を読めば Apple が制作したレベルの画質を得るためには受賞歴のあるディレクターと、ハリウッドの第一線で活躍している社内専門家たちと、大人数のスタッフたちと、クレーンや台車やドローンや、カスタム SpaceCam リグと呼ばれていたものなど、さまざまの装備も必要になることは明白だ。その上それは、ビデオ映像が撮影後編集を専門とする会社へ送られる前の話だ。もちろん Apple はそんなことを口に出さないが、事情通の友人に聞いたところではこれらすべてに7桁の下の方の (百万ドルを超える) 予算がかかっただろうとのことだ。Apple ならそのくらいは出せるのだろうが、その他の私たちにとって iPhone 一台だけでそれに匹敵する品質のものを作るのは、当然、無理だ。

だって、私が iPhone 15 Pro を手に持って目の前を高速で走っているランナーを撮ろうとしても、鮮明な写真を撮ることさえできないのだから。

M3、M3 Pro、および M3 Max

Johny Srouji は 30 分のうち 8 分を与えられて新しい M3 ファミリーのチップを紹介した。これらはパーソナルコンピュータ用のチップとしては初めて、新しい 3 ナノメートルプロセスを使って作られている。(iPhone 15 Pro を駆動する A17 Pro も 3 ナノメートルチップだ。) 数が小さくなった (これまでの M シリーズチップは 5 ナノメートルプロセスを使っていた) のは微細化と速度向上と消費電力低減とを示すけれども、この数字は基本的にブランド名に過ぎず、合意の下に何かを測定した値ではない。

M3, M3 Pro, M3 Max

M3 ファミリーのチップは 3 ナノメートルプロセス以外にも、Dynamic Caching という新しいテクニックを使う新世代の GPU を搭載しており、GPU がタスクの中の最も集約的な部分が要求する量のメモリをあらかじめ確保する代わりに、Dynamic Caching がいつでもその瞬間に必要とする量のメモリのみを使うようになる。この新しい GPU はまた、ハードウェア加速されたレイトレーシング (よりリアルな陰影と反射を提供する) と、ハードウェア加速されたメッシュシェーディング (ジオメトリ処理を改良してよりリアルなシーンを表現できる) も備えている。Apple によればレンダリング速度が M2 ファミリーのチップに比べて 1.8 倍、M1 ファミリーに比べて 2.5 倍になったという。

CPU も高速化された。Apple silicon がプロセッサ負荷の高いタスクに使う高性能コアと、電力の節約の方が重要な状況で使う高効率コアを使い分けていることを思い出そう。M3 の高性能コアは M2 に比べて 15%、M1 に比べて 30% 高速となり、M3 の高効率コアは M2 に比べて 30%、M1 に比べて 50% 高速となった。実際、M3 の CPU と GPU はいずれも M1 の CPU と GPU と同程度のパフォーマンスを半分の電力消費で実現できる。M3 の Neural Engine は M2 に比べて 15%、M1 に比べて 60% 高速で機械学習のタスクを実行できる。

GIF showing M3 family performance graphs

チップごとの比較をすると:

GIF showing M3, M3 Pro, and M3 Max details

これらの違いを見れば、M2 Pro との実際の違いがあまりパッとしない理由も納得できるかもしれない。3つの世代の 16 インチ MacBook Pro でチップを比較した下のスクリーンショットをご覧頂きたい:

MX Pro family comparison

M3 を M2 と比較するとその種の奇妙なところはないが、M3 Max を M2 Max と比較すると一つだけ奇妙なところがある。下のスクリーンショットでご覧の通り、メモリバンド幅が「最大 400 GB/秒」となっているのだ。そこで MacBook Pro の仕様ページを見てみると、廉価版の M3 Max が 14 コアの CPU と 30 コアの GPU でメモリバンド幅がたった 300 GB/秒となっていた。

MX family comparison MX Max family comparison

どうやらここでの教訓は、既に M2 搭載の Mac を持っている人たち、とりわけ M2 Pro モデルを持っている人たちは、M3 モデルにアップグレードしてもあまり大きなパフォーマンスの向上を得られないかもしれないということのようだ。M1 チップとの間にはそれよりもっと大幅な進歩がある。

Apple は噂されている M3 Ultra については何も語らなかったが、これは来年になって最上級機種の Mac Studio と Mac Pro に搭載されて登場すると推測できるだろう。実際のベンチマークが届くまでの間は M3 Max と M2 Ultra の間にどれくらいの違いがあるのかを語ることはできないが、思い切って予想を述べれば M2 Ultra は CPU コア (16 を 24 へ) と GPU コア (40 から 76 へ) を増やしメモリを (400 GB/秒から 800 GB/秒へ) 高速化することでパフォーマンスの王座を維持するのではなかろうか。

14 インチおよび 16 インチ MacBook Pro

M3 ファミリーを利用する最初の Mac が 14 インチと 16 インチの MacBook Pro だ。M3 チップを搭載していることを別にすれば、他の変更点はたった3つだ:

M3 MacBook Pro specs card

Apple は 14 インチ MacBook Pro のオプションを拡張しており、3つの構成のうちから選べるようになった。CPU と GPU のオプションは対になっていてメモリの選択肢もそれに制約されるが、ストレージ容量とは結び付いていない。

16 インチ MacBook Pro には M3 Pro と M3 Max の構成しかない:

ストレージは M3 14 インチモデルでのみ 512 GB から、それ以外のモデルでは 1 TB からで、2 TB、4 TB、8 TB のオプションもある。

ある意味最も興味深い新モデルは M3 14 インチ MacBook Pro だろう。これは長年シリーズの中で意味を成さない存在であり続けた従来の Touch Bar 搭載 M2 13 インチ MacBook Pro を置き換えるものという位置付けだ。この 13 インチ MacBook Pro の問題点は、それと同程度のパフォーマンスを 13 インチ MacBook Air がより安い価格とより軽量のパッケージで提供してきたところにあった。

しかしながらこの M3 14 インチ MacBook Pro は、M3 Pro や M3 Max のモデルと比較すると2つの重大な難点を持つ。M1 や M2 チップ搭載モデルと同様、この M3 モデルはたった 2 基の Thunderbolt/USB 4 ポートしか持たない。(ただし 14 インチ MacBook Pro は MagSafe ポートを持つので 2 基のいずれも電源に使う必要はない。) これに対して Pro や Max の MacBook Pro にはすべて 3 基のポートが付く。それから、M3 14 インチ MacBook Pro は外付けディスプレイを 1 台しか駆動できないが、M3 Pro モデルは 1 台または 2 台、M3 Max モデルは最大 4 台を駆動できる。

すべてを考え合わせると、M2 MacBook Air よりも強力なパワーを望む人にとっての選択肢は2つだ。M3 14 インチ MacBook Pro (8 コア CPU、10 コア GPU) に 16 GB メモリ (本気で言うが、8 GB では使い物にならない) のモデルを $1799 で購入するか、あるいは入門モデルの M3 Pro 14 インチ MacBook Pro (11 コア CPU、14 コア GPU) に標準搭載の 18 GB メモリのモデルを $1999 で購入するかだ。たった $200 余分に出すだけで、パフォーマンスとメモリに余裕が生まれ、Thunderbolt/USB 4 ポートも 1 基増え、2 台の外付けディスプレイに対応するようになる。あるいは、素早く行動できさえすれば、極めて同等に近いと言える M2 Pro 14 インチ MacBook Pro を今なら品切れになる前に値引き価格で手に入れられるかもしれない。

これらの MacBook Pro モデルのプレスリリースの中で、Apple はさまざまな観点からこれらのモデルと Intel ベースの MacBook Pro モデルとの間の比較もしてみせた。当然のことだが、Intel ベースのモデルはローエンドの M3 14 インチ MacBook Pro に比べてさえ結果は芳しくなく、M3 Pro や M3 Max のモデルとは雲泥の差があった。私の印象では、Apple は Intel ベースの Mac を使っている人たちにアップグレードを促すことで、おそらく 2025 年には到来すると思われる Intel ベース Mac で走る macOS の開発を Apple が終了する日に不満を感じる人の数を少しでも減らしておこうとしているのではないかという気がする。

24 インチ iMac

新型の M3 24 インチ iMac について語るべきことはあまりない。従来のモデルとの違いは M3 チップのみであり、引き続き 8 コア CPU を搭載するが今回は GPU が 8 コアと 10 コアで選べるようになった。10 コア GPU にすることでゲーミングやビデオの作業に多少は違いが生まれるかもしれない。メモリは引き続き 8 GB が標準だが、16 GB (良い選択) または 24 GB (たいていの人にとっておそらく不要) にアップグレードできる。ストレージ容量も引き続き 256 GB からで、今どき (とりわけ写真やビデオをたくさん撮影する人には) このままでは十分でないだろうから、構成により 512 GB、1 TB、または 2 TB にアップグレードできる。また、M3 モデルには Wi-Fi 6E と Bluetooth 5.3、つまり M1 モデルより少し新しいバージョンのワイヤレス機能が付く。

それ以外のことはすべて従来通りであり、価格も $1299 からで従来と変わらない。Thunderbolt/USB 4 ポート 2 基しかないモデルとそれに USB 3 ポート 2 基が追加されるモデルの2つしか選択肢がないという奇妙な状況も、2 ポートモデルでは色の選択肢が減る (イエロー、オレンジ、パープルが選べなくなる) ことも、2 ポートモデルでは Touch ID 非対応のキーボードしか付属しないことも、何も変わっていない。私としては $50 余分に出して Touch ID キーボードを入手することをお勧めしたい。

M3 24-inch iMac specs card

発表で一切触れられなかったのは Magic Keyboard、Magic Trackpad、および Magic Mouse の USB-C 版が出るのか否かという点だ。これらのアクセサリーは引き続き Lightning コネクタを使っており、充電用に USB-C to Lightning ケーブルが同梱される。これらはいずれ USB-C にアップデートされるのだろうとは思うが、ひょっとするとそれは次に Mac mini か Mac Studio がリリースされるタイミングに合わせて出るのかもしれない。

言うまでもなく、Apple は Mac Studio と 27 インチ Studio Display の組み合わせで置き換えられた後も人気を保っている 27 インチ iMac の後継機種を考慮しているのか否かについて何も暗示すらしなかった。私は新しい 24 インチ iMac の 4.5K Retina ディスプレイを見事な出来栄えだと思ったが (2022 年 11 月 11 日の記事“Apple Store を訪れる: 直接見て触って感じる印象の値打ち”参照)、これもやはり中途半端なサイズのスクリーンなので第二のディスプレイとマッチさせるのが困難だろう。32 インチの iMac Pro が出るのではないかという憶測もあるけれども、32 インチ Pro Display XDR がディスプレイのみで $4999 という価格であることを考えれば、たとえ M2 Pro Mac mini レベルのものを内蔵したとしても手頃な価格には到底なり得ない。だから、ここでは複数の Mac を長生きさせるため外付けディスプレイとして使うことの有用さを再認識すべきなのかもしれない。もしも私の 27 インチ iMac を外付けディスプレイとして使えるようになったなら嬉しいのにとは思うが、そのためにハードウェアいじり回す羽目になるのはやはり気が進まない。

個人的に、私はこのままもう少し自分の M1 13 インチ MacBook Air と 2020 年型 27 インチ iMac を使い続けようと思っている。どちらにもパフォーマンスの問題を感じてはいないからだ。いずれは私も何か Apple silicon 駆動の Mac で複数モニタのセットアップを実現する方法を決断しなければならなくなるだろう。おそらくは、M3 Pro 14 インチ MacBook Pro か、あるいは将来出るであろう M3 Mac mini に、2 台の Studio Display を接続することになるのかもしれない。でもそれは将来どこかの時点で決断すればよいことだ。皆さんはどう思われただろうか? 今回の新型 Mac が、今お使いのものをアップグレードすることについての皆さんの考えに、何か影響を及ぼしただろうか?

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Michael E. Cohen  訳: 亀岡孝仁  

Apple、Q4 2023 で 1% の減収にも拘わらず史上最高益を報告

2023 会計年度第四四半期の業績報告で、Apple は史上最高益となる $23 billion (希薄化後一株当り $1.46) と売上げ $89.5 billion を発表した。売上げは前年同期に比べ 1% の減収となった ("Apple、Q4 2022 に嵐の海を乗り切る" 27 October 2022 参照)。売上げこそついてこれていないが、Apple は利益を前年の9月四半期に比べ途方もない 13% も伸ばした。

この四半期の売上げの星は iPhone と Services であった。iPhone は9月四半期としては最高で、そして Services は史上最高記録となった。この二つで四半期売上げの 75% 近くを占めた。残りの製品群は全て減収で、とりわけ Mac は不振で、そして iPad は二年続けての減収となっている。Wearables も少し下がったが、Apple の全売上げに占める割合は Mac を上回った。

Q4 2023 category revenue pie chart

iPhone

Apple の9月四半期の特徴とも言えるが、新しいリリースが iPhone 売上げ増の助けとなっており、前年同期比で 3% の増収をもたらした。もっとも、重要な Greater China 地域での Apple の iPhone の売上げは微減となったが、Apple はそれでも同地域での最高額を稼ぐ電話に4つも入っている - iPhone トータルでの減収には外国為替レートが効いている。

Q4 2023 iPhone revenue chart

Mac

Mac の販売は前年の第四四半期から途方もない 34% も下落したが、前年のこの四半期は異常点とも言えるものであった。と言うのも、前年の Mac 売上げは、Apple がそれ以前の工場閉鎖に伴う供給停止からの需要に追い付いたため不釣り合いに高くなったからである。また、M2 13-inch MacBook Air は 2022 年の第四四半期に発売となったのに対して、M2 15-inch MacBook Air は 2023 年の第三四半期に発売となっている ("Apple Q3 2023 業績、為替相場の影響で 1% 減収 4 August 2023 参照)。Apple は Mac の販売は 12 月四半期には回復すると見ている。それは最近リリースされた M3 MacBook Pro と iMac モデルのお陰である。24-inch iMac に対してそうなる可能性はあると思われるが、こちらは May 2021 以来 M1 チップに放置されたままであった、14-inch と 16-inch MacBook Pro モデルに対してはその可能性は少ないと思われる。こちらについては、January 2023 に M2 Pro と M2 Max にアップグレードされたばかりだからである。

Q4 2023 Mac revenue chart

iPad

Apple は iPad の売上げが何故 10% も減ったのかについての詳細をあまり提供しなかったが、新モデルの欠如に関係しているのは明らかなように見える。第十世代 iPad と最近の iPad Pro モデルの多くは October 2022 にリリースされ、第五世代 iPad Air は March 2022 に、そして第六世代 iPad mini は September 2021 にリリースされた。Mac とは対照的に、Apple は iPad の売上げが 12 月四半期には落ち込むだろうと言っているが、その理由は昨年の第十世代 iPad と iPad Pro モデルのリリースとの比較となるからだとしている。それはまた、年内に iPad アップデートは無いであろうことを示唆している。

Q4 2023 iPad revenue chart

Wearables

Wearables 部門は、そこには AirPods, Apple Watch, Apple TV, 等々が含まれるが、この四半期に 3% の減収となった。その多くはこの四半期の終盤になされた余り興味をかき立てない製品リリースのせいである ("2023 Apple Watch モデルにダブルタップジェスチャが加わる" 13 September 2023, と "Apple、AirPods Pro を USB-C ケースと防塵性能向上でアップデート" 15 September 2023 参照)。Apple Watch Series 9 そして Apple Watch Ultra 2 のどちらも大幅な変更を提供しておらず、アップデートとしては評価出来るが、どちらも Apple Watch 所有者にまずまずきちんと動いているより以前のモデルの買い換えを促すようには見えない。Apple Watch 及び AirPods 製品群が安定しそして成熟するのに伴い、Apple は次の大物の開発に焦点を当てているように見える;Vision Pro ヘッドセットで、2024 年内のリリースが予定されている。Apple は Wearables についても 12 月四半期での減収を見込んでいる。何故ならば、昨年の同じ四半期には Apple Watch SE, Apple Watch Ultra, そして第二世代 AirPods Pro のリリースがあったからである。

Q4 2023 Wearables revenue chart

Services

この四半期で最大の増収を見たのは再び Services で、前年同期比で 16% 伸びた。その一部は Apple が引き続きその設置基盤の大きさを拡大していることによる - Apple の顧客が増えれば増えるほど、より多くの Services 関連の収入を Apple が取り込む可能性が高くなる。一人のアナリストが Apple サービスのどれが収入の大部分を稼ぎ出しているのか質問したが、Apple はその詳細を共有するのを渋った。ただ、同社は App Store, 広告, AppleCare, iCloud, 支払いサービス、そしてビデオは歴代最高に達し、そして Apple Music は四半期売上げの記録を達成したとは言った。幾つかのサービスでの値上げに伴い ("Apple TV+、Apple Arcade、Apple News+、Apple One の値上げ" 25 October 2023 参照)、Services 売上げの今後の成長も保証されているように見える。

Q4 2023 Services revenue chart

地域別業績

Apple はこの9月四半期を通して事業を展開する全ての地域で最後までやり抜いた。Americas での売上げは上昇し歴代最高となったが、それは 1% 以下であり、他の地域での業績は微減となった。Europe での売上げは 1.5% 下落、Japan での売上げも 3% 下落、そして Greater China は 2.5% の減収となった。Apple は一般的に成長の不振を外国為替での向かい風のせいにしている。興味深いのは、Asia Pacific 地域は前年比でほぼ横ばいであったが、その一部である India では、これ迄 Apple は低市場シェアに甘んじていたが、二桁の成長が見られ、India が将来の Apple の収入源としてより重要な役割を果たす可能性を示す印なのかも知れない。

Q4 2023 Region revenue chart

Apple の Q4 2023 売上げの数字は昨年の第四四半期と比べて好ましいものでは無かったが、その減収の大部分が好ましくない為替レートのせいであった時に、批判するのは困難である。(もっとも、これ迄には、Apple のより好業績の四半期のいずれかでは好ましい為替レートのせいであったのでは?と思った時もある。) 何れにしろ、Apple は売上げが 1% 減っても、利益を 13% も伸ばしており、事業展開はしっかりしている事を示している。

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

Audio Hijack 4.3 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

Audio Hijack 4.3

Rogue Amoeba が Audio Hijack 4.3 をリリースして、このオーディオ録音ワークフローアプリに大きな一つの新機能、トランスクリプション (文字起こし) を追加した。新設された Transcribe Block を使えば、マイクロフォン、アプリ、ファイルなどあらゆるオーディオソースから話し言葉をテキストに変換できる。ポッドキャスターにとりわけ便利なこの Transcribe 機能は複数人のホストを処理することができ、文字起こしの中に誰が話したかを正しく区別できるラベルが付く。Rogue Amoeba はこの新機能 Transcribe Block をベータ版と位置付けており 「まだ私たちが計画したほどには洗練されておりませんので、制作システムの中で使用する際には注意が必要です」と述べている。

今回のアップデートではまた、Mixer ブロックの入力リストがブロックのニックネームも表示するように改良され、System Audio ブロックの Advanced 設定が macOS 14 Sonoma で正しく表示されるようにし、アプリ全体にわたってツールチップに修正を加えた。(新規購入 $64、TidBITS 会員には 20% 割引、無料アップデート、37.2 MB、リリースノート、macOS 10.15+)

Audio Hijack 4.3 の使用体験を話し合おう

Mimestream 1.1.5 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

Mimestream 1.1.5

Mimestream が Gmail 用電子メールアプリのバージョン 1.1.5 をリリースして、Gmail エイリアスで受け取った招待を Calendar バナーに表示する際に複数日にわたるイベントへの対応を追加した。macOS 14 Sonoma の下で走る場合、Mimestream はメッセージ作成ウィンドウに空の署名ポップアップが出た問題に対処し、Calendar バナーの予定表に Apple の Calendar から来たイベントが表示されなかったバグを修正し、Agenda 表示からカレンダーの選択を外した際に起こったクラッシュを解消した。今回のアップデートではまた、Calendar バナーの RSVP ボタンの挙動を改善し、Label へのグレイの色指定が正しく動作するようにし、検索フィールドに特定のテキストをペーストした際のクラッシュを解消し、Filter Actions インターフェイスを改良してスクロールしやすくした。(年間購読 $49.99、12.1 MB、 リリースノート、macOS 12+)

Mimestream 1.1.5 の使用体験を話し合おう

Fantastical 3.8.7 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

Fantastical 3.8.7

Flexibits は先月 Fantastical 3.8.6 をリリースして、2か月カレンダーウィジェットの輝かしい帰還を果たした。このカレンダーアプリは macOS 14 Sonoma で招待客がスクリーン外に表示されることがあった問題を解決し、Sonoma でサイドバーが隠されている場合のタイムゾーン優先ボタンの位置を修正し、ミニウィンドウが経過時間を表示しなかったバグを修正し、カスタムアラートを追加する際のキーボードナビゲーションに一貫性がなかった問題に対処し、複数個のイベントをリサイズするためにドラッグ&ドロップした際に起こったバグを修正し、Sign in with Apple と Sign in with Google の動作に信頼性が欠けていた問題を解決した。

その後出された 3.8.7 リリースにより、Openings テンプレートを複製できるようになるとともに、WhatsApp 通話リンクへの対応が追加された。また、見栄えや使い勝手に関するいくつかのバグが修正され、時刻指定の付いたイベントをドラッグして全日イベントに変換する際に起こることがあったクラッシュを解消した。(Flexibits からも Mac App Store からも購読年額 $56.99、無料アップデート、70.5 MB、リリースノート、macOS 11+)

Fantastical 3.8.7 の使用体験を話し合おう

Lightroom Classic 13 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

Lightroom Classic 13

10 月に、Adobe は Lightroom Classic 13 をリリースしてこのデスクトップ中心の写真カタログ・編集アプリケーションにさまざまの新機能を追加した。このアップデートでは Lens Blur 機能 (ぼかし(レンズ)) を導入して、Adobe Sensei AI を活用して画像の背景または前景をぼかすことができるようにし、HDR 画像のすべての要素を編集してからそれを複数のファイル形式に書き出すことができるようにし、Point カラーを使って画像の他の領域に影響を与えずに精密なカラー補正ができるようにし、DNG への画像変換を高速化し、Presets パネルの名前に基づいて Presets や Preset グループをフィルタリングできるようにし、また iPhone 15 のカメラへの対応を追加した。Lightroom Classic は今回から macOS 12 Monterey またはそれ以降を要するようになった。(月額 $9.99/$19.99/$52.99 の Creative Cloud 購読、購読者には無料アップデート、リリースノート、macOS macOS 12+)

Lightroom Classic 13 の使用体験を話し合おう

ExtraBITS

Adam Engst  訳: Mark Nagata   

Apple、27 インチ iMac は登場しないと言明

Mac Studio を登場させて 27 インチ iMac を製造中止にして以来、Apple は人気あるオール・イン・ワンの iMac に Apple silicon 版を出すことはないと暗に示唆してきた。(2022 年 3 月 8 日の記事“新しい Mac Studio と Studio Display が Mac 購買の計算式を変える”参照。) それと合わせてそれが登場しないことを示す“裏情報”まであった。そして今回、決定的な情報が The Verge の記事に載った:

2022 年に製造中止にした Intel 搭載モデルに代わる Apple Silicon 版の 27 インチ iMac を Apple が製造することはない。その代わりに Apple は今後の iMac シリーズを Apple Silicon 版 24 インチモデルに集中させている。最初のモデルは 2021 年前半にリリースされ、今秋になって新しい M3 プロセッサを搭載してアップデートされた

Apple PR 担当者 Starlayne Meza が The Verge とのインタビューで Apple の会社としてのプランを言明した。もっと大きな画面の iMac を期待している人たちに対して、Apple は Studio Display に Mac Studio または Mac Mini を組み合わせることを勧めている。つまり、iMac のオール・イン・ワンのデザインの代わりに、27 インチ 5K スクリーンを独立のコンピュータと組み合わせるのだ。

現在完璧に機能している 27 インチ iMac を見限る理由は何もないけれども、いずれ時が来て新しいものに替えるとなれば、他の Mac を探さなければならないということだ。その可能性を掘り下げて検討した私の記事“あなたの 27 インチ iMac の後継とすべきはどの Mac か?”(2022 年 3 月 12 日) の内容はもはや最新情報とは言えないが、それでもあなたが考察する際の手掛かりにはなるだろう。

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