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#1671: Apple の Q3 2023 業績報告、新しい Beats ヘッドフォンとイヤーバッド、Stage Manager の採用率、あなたは Spotlight を使ってますか?

今週は Julio Ojeda-Zapata による特集記事が、Apple の子会社 Beats が新しく出した Studio Pro ヘッドフォンと Studio Buds+ イヤーバッドをレビューする。Michael Cohen も寄稿記事で、Apple の Q3 2023 業績報告を分析する。為替レートとスマートフォンの売れ行き落ち込みにより、収益は前年比で 1% 減少した。Adam Engst は先週始めた最初の Do You Use It? アンケートで Mac と iPad 上の Stage Manager について寄せられた意見とアンケート結果を報告するとともに、新たな Do You Use It? アンケートとして Spotlight の使用について尋ねる。今週注目すべき Mac アプリのリリースは Zoom 5.15.5、Firefox 116、Alfred 5.1.2、Ulysses 31、それに URL Manager Pro 6.3 だ。

Adam Engst  訳: Mark Nagata   

Do You Use It? Stage Manager の採用率は低い

記事“"Do You Use It?" 調査を紹介する”(2023 年 7 月 28 日) の中で、Stage Manager についてのアンケートを始めた。これは、去年 Apple が macOS 13 Ventura と iPadOS 16 で導入した、新しいウィンドウ管理システムだ。(2022 年 7 月 18 日の記事“Stage Manager の第一印象: iPad と Mac で”参照。)

この機能が登場したとき、私は慎重ながらも楽観的な見方をしていた。つまり、本格的な仕事を iPad でする人たちにとっては iPad 用の Stage Manager が役に立つだろうと思っていた。ただ、私の場合はサポート対象外の 10.5 インチ iPad Pro 以外の iPad を使う機会があまりなかったので、自分で確かめることができなかった。(Stage Manager が動作するには第5世代 iPad Air、11 インチ iPad Pro、または第3世代以降の 12.9 インチ iPad Pro が必要だ。) Mac 用の Stage Manager ならば使うことができるけれども、私の場合は 2020 年型 iMac に補助画面として 27 インチ Thunderbolt Display を取り付けたものと M1 MacBook Air の組み合わせ (M1 MacBook Air は単独でも使うし、もう一台の 27 インチ Thunderbolt Display を取り付けて使うこともある) で既にしっかりした仕事のパターンが染み付いていたので、Stage Manager をオンにしてどんな具合か見てみることはしたけれども、その後すぐにオフにしていつもの作業のやり方に戻ってしまった。

そういうわけで、アンケートを始める前の時点での私の予想は、Stage Manager が TidBITS 読者の間ではそれほど広く使われていないだろうというものだった。その予想は正しかったのだが、iPad ユーザーより Mac ユーザーの方が使っている度合いが少ないだろうという考えは少々外れていた。アンケートの結果、Mac 側では 12% の人たちが使っていると答え、iPad を使っている人たちの中ではたった 8% の人たちだけが使っていると答えた

Do You Use It? poll results for Stage Manager
合計が 99% なのは何らかの丸めの問題だろうと思われる。

指摘しておきたい点が二つある。第一に、iPad ユーザーが Stage Manager をあまり使っていない原因として、Stage Manager のシステム要件が厳しいことがあるかもしれない。第二に、iPad の投票総数があまりにも少ないことが気になった。その説明としてまず頭に浮かぶのは、Mac を持っているけれども iPad は持っていない TidBITS 読者が多いのではないかというものだ。iPad を持っていなければ、そもそもこちらのアンケートに答える意味もない。

どちらのアンケートにも多数のコメントが寄せられたが、最も頻繁に述べられた反応は困惑であった。Apple が Stage Manager で何を成し遂げようとしているのか理解できないとか、全然魅力的に思えないとかいう声が多かった。多く寄せられたもう一つの反応は、小さなスクリーンで Stage Manager は使い物にならないというものだった。ラップトップの Mac や、12.9 インチ iPad Pro 以外の iPad を使っている人は、利用可能なスクリーン面積を最大にするためにも Stage Manager は使いたくないと思いがちだ。

Mac 側のアンケートでは、Mission Control でデスクトップのスペースを管理する方が好みだという意見もあった一方で、Mission Control は分かりにくいのでその代わりに Stage Manager を使うことにしたという意見もあった。代替策として仮想デスクトップマネージャ TotalSpaces を推す人たちも何人かいた。

Stage Manager が役に立つという人たちがいるのは喜ばしいことだと思う一方で、このようなメジャーな機能の採用率がたった 10% 程度しかないという状況は Apple にとって決して成功とは言えないだろう。ひょっとすると初めて Apple のプラットフォームにやって来たという人ならば、Stage Manager をデフォルトの作業方法と見ることができる可能性が高いのかもしれない。あるいは、私たちとしては Stage Manager をあたかもサードパーティのユーティリティであるかのように見なすべきなのかもしれない。サードパーティの開発者なら、自分の製品が Apple ユーザーの 10% を呼び込むことができれば御の字だろうから。

さて、他のアンケートに目を向ければ、“Do You Use It? Launchpad on the Mac”アンケートはまだ回答募集中だ。それから新しいアンケート“Do You Use It? Mac の Spotlight”(2023 年 8 月 7 日の記事“Do You Use It? Mac の Spotlight”参照) もお忘れなく、

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Michael E. Cohen Adam Engst  訳: 亀岡孝仁  

Apple Q3 2023 業績、為替相場の影響で 1% 減収

30 June 2023 に終了した第三会計四半期の業績を報告して、Apple は利益 $19.9 billion (希薄化後一株当り $1.26) と売上げ $81.8 billion を計上した。同社の売上げは前年同期比で 1% の減少となったが、大部分は外国為替相場のせいで、売上げを 4% 押し下げる効果があった。利益は 2022 年の四半期からほんの少し上昇した ("Apple、苦難の道でも Q3 2022 予測を上回る" 28 July 2022 参照)。

販売の減少は iPhone, Mac, そして iPad 部門で起こったが、Apple は Wearables, Home, and Accessories 部門で 2.5% という小さな増収を、Services では 8.2% の大幅な増収を見た。事実、Services は、この四半期を通して Apple の収入の四分の一以上を稼ぎ出した、これは我々の知る限り初めてのことである。Apple は幾つかの部門での初めての購入者の割合を評価し、そして 96-98% と言うとてつもない顧客満足度を強調した。もっとも、これ等の数字は信じがたいとする報告もある。

Apple Q3 2023 Category Revenue chart

iPhone

全体として、iPhone 販売は昨年同期に比べ 2% 下落したが、Apple CFO Luca Maestri は "恒常通貨ベース" では iPhone 販売は上がっているので、"下落" は相対的な表現だとした。何れにしろ、CEO Tim Cook は、iPhone 販売を増やすことは、とりわけ Americas では、"難しい" ことを認めた。より前向きだったのは、新興市場における iPhone の第三四半期記録となる販売で、そこには China, India, Latin America, そして Middle East が含まれる。

Apple Q3 2023 iPhone Revenue chart

Mac

Apple は Mac の Apple シリコンへの移行が今や完了したと喜ばしく言及したが ("三つの新型 Mac で Apple シリコンへの移行を完了" 5 June 2023 参照)、それ等のリリースをもってしても、Mac 販売が前年同期比で 7% 下落することを防げなかった。また Apple も、マクロ経済環境の現況を考えると、次の四半期で Mac の販売状況が大幅に好転するとは見ていない。更に、次の四半期の Mac 販売を一年前の同じ四半期と比べるのは難しい。何故ならば、Q4 2022 の数字は Apple が昨年の工場閉鎖から回復して、繰り延べ需要を満たすことで潤ったものだからである。肯定的な面として、Apple は Mac 購入者のほぼ半分はこのプラットフォームに対して初めての人であったと言った。

Apple Q3 2023 Mac Revenue chart

iPad

iPad の売上げは 20% 下落した。新型モデルの欠如も一因であった。一方で、昨年の同四半期には更新された iPad Air があった。また、Apple は iPad の販売が次の四半期で回復するとも見ていない。Mac の場合と同様、次の四半期の結果を前の年のものと比べるのは容易ではない。と言うのも、昨年の Q4 iPad 販売は、Apple がようやく繰り延べ需要を満足させるに十分な在庫を用意出来た時に、加速されたものだからである。何れにしろ、iPad は引き続き新しいユーザーを引き寄せ続けており、この四半期の iPad 購入者の半分以上が初めての人であった。

Apple Q3 2023 iPad Revenue chart

Wearables

Wearables 製品部門は前年同期比で 2% を超える増収を計上したが。それは主として Apple Watch のお陰であった。Apple は引き続き新規顧客を強調し、この四半期の Apple Watch 購入者の三分の二はこの製品の新規購入者だと言った。

Apple Q3 2023 Wearables Revenue chart

Services

Apple の四半期売上げのスターはその Services 部門で、"予想以上に良い" 8.2% の増収であった。この部門は、売上げで $20 billion を初めて超えただけでなく、加入者数も 10 億人を超えた。Services 部門での粗利率 (70.5%) は、ハードウェア製品部門で Apple が達成した数字 (35.4%) の倍に達しており、この販売部門での増収は、最終利益にとりわけ貢献する。と言う訳で、もし Apple がサービス購読を引き続き奨励している様に見えるとしたら、皆さんにもその理由は明白ですよね。

Apple Q3 2023 Services Revenue chart

地域別

Apple の地域別収入の絵はまだら模様であった。減収だったのは Americas (-5.6%), Asia Pacific (-8.5%), そして Japan (-11.5%) でだが、Apple は増収を Europe (4.8%) と Greater China (7.9%) で計上した。Cook は India の様な新興市場での Apple の成長をとりわけ喜び、それ等の市場での成長が今後も続くと見ている。

Apple Q3 2023 Region Revenue chart

将来

Apple は、新製品も準備中で、営業経費を抑え (前の四半期よりも減らしさえしている)、そして全般的に上手く経営されているように見える。しかしながら、会計四半期と必ずしも上手くリンクしない新製品リリース計画とパンデミックから派生した効果との間で、何故 Tim Cook と Luca Maestri が "比べるのは困難" と言い続けるのかは明白である。そして、売上げを増やしても為替相場がその増収分を消し去ってしまう状況は Apple にとっては苛立たしいに違いないが、これ迄の四半期の中には為替相場が逆方向に動いて良い結果となったこともあったに違いない。

何人かが Vision Pro に言及したが、それが近い将来 Apple の売上げに大きく貢献するとは誰も思っていない様に見える。アナリストの Sidney Ho が Tim Cook にそれについて質問した時、Cook は Vision Pro を毎日使っていると言ったが、その売上げを予測することは断った。

Cook は、Apple TV+ がこれ迄 1500 を超える Emmy ノミネーションと 370 の受賞を得たと言う事実に言及したが、Services エンジンへの給油の一助となる新しい Apple TV+ コンテンツを Apple が得ることに対する現在進行中の Writers Guild of America俳優組合 SAG-AFTRA のストライキによる影響の質問は回避した。更なる情報を求めようするアナリストはいなかったが、そうしたとしても答えは得られなかったであろう。

これ等の質問はさておいて、Cook は次の様に言う前に、アクセシビリティ、プライバシー、環境、そして教育に対する Apple のコミットメントを強調して彼の挨拶を締めくくった:

今後も、我々は長期的な視点に立って経営し、常に何が可能かの限界に挑戦、そして常にお客様を我々がなす全ての事の中心に据えることを継続していく。.

特定の決定や方向付けに難癖をつけることは可能だが、Apple は明らかに理性があり思いやりのある大人が経営を担っている。それはテック企業の間ではもはや当たり前ではなくなっている。

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Julio Ojeda-Zapata  訳: Mark Nagata   

Beats は続く: Apple 子会社が Studio Pro ヘッドフォンと Studio Buds+ イヤーバッドをリリース

Apple のワイヤレスイヤーバッドかヘッドフォンを買おうと思っている人たちの大多数は、名前に "AirPods" の付いた製品だけを探すだろう。ただ、この会社のワイヤレスオーディオ製品は値段が高い。なので良い品物を探す作業はより複雑になるのだが、嬉しい結果が見つかることもある。それが望めるのは、Apple の子会社 Beats by Dre の製品を考慮の対象に入れたならばということだ。(2021 年 7 月 19 日の記事“Apple/Beats オーディオ機器を選ぶ究極のガイド”参照。)

最近になってこの方面に2つ、新しい発展があったのでここで報告したい。

5 月に、Beats は $169.99 の Studio Buds+ をリリースした。2021 年 6 月に登場した $149.99 の Studio Buds をアップグレードしたものだ。この Studio Buds+ が魅力的なのは、第3世代 AirPods と同等の価格でありながら、$249 の第2世代 AirPods Pro の持つ先進的な機能も備えているからだ。(2022 年 9 月 7 日の記事“第2世代 AirPods Pro が H2 チップ、タッチコントロール、機能充実のケースを追加”参照。) 見た目の変更点、つまり半透明のカラーオプションが加わったことも、売り上げ向上に寄与するかもしれない。

もっと大ぶりの Beats 方面のニュースとしては、2017 年 10 月からある旗艦製品のヘッドフォン Studio3 Wireless へのアップグレードだ。先月リリースされた新しい Studio Pro ヘッドフォンは、一見したところでは他の Beats ヘッドフォンとよく似ているけれども、USB-C 経由でのワイヤード再生などの機能で新しい分野を切り開くものとなる。価格は $349.99 で、Apple が $549 で出している AirPods Max に比べたならば断然安い。(2021 年 3 月 15 日の記事Apple の AirPods Max ヘッドフォンは高価だが良い”参照。)

この記事では Studio Pro と Studio Buds+ の機能を概観しつつ、AirPods 以外の製品を探している人が検討する際の役に立つような情報にも注目したい。

仕様の細々とした点に踏み込むことはしない。それを知りたい方は、機能ごとのグリッド表示で Beats と AirPods 各製品を詳しく比較した私の特大スプレッドシート (最新の製品の情報を入れて更新済み) をご覧頂きたい。

Apple/Beats audio product comparison spreadsheet

Studio Pro と Studio Buds+ の両方があるお陰で、AirPods でなく Beats を選びたい人にもかなり良い選択肢が提供されていると言えるだろう。少なくとも、そう思える人たちはかなりいることだろう。

Studio Pro オーバーイヤー・ヘッドフォン

Studio3 Wireless ヘッドフォンを使ったことは一度もないが、私は (2019 年にリリースされ 2021 年に廃止となった) Beats Solo Pro ヘッドフォンを使っていて馴染んでいる。それに比較して Studio Pro になっても Beats の設計言語がほとんど変わっていない点は特筆に値すると思う。2000 年代末頃の Beats デバイスとあまり変わらず、今回の新しいヘッドフォンも折り畳み式の、金属とプラスチックで作られた少し古臭い感じの構造で、左右のイヤーカップ上に特徴的な小文字のロゴ "b" が見える。最先端の工業デザインをヘッドフォンに求めたい人ならば、AirPods Max の方が好みに合うだろう。

Beats Studio Pro

Beats はその製品を Apple テクノロジーと緊密に統合されていると宣伝している。(Android とも統合されているが、これは Apple 世界の外にいて AirPods が良い候補とはならない人たちに向けた機能だ。) その点は Studio Pro ヘッドフォンも例外でない。

対応している機能としては、ワンタッチのペアリング、iCloud 同期、ハンズフリーの Siri、Find My 機能対応などがある。ダイナミックヘッドトラッキング付き空間オーディオもある。アクティブノイズキャンセリング (外部の音を電子的に聞こえにくくして音楽やポッドキャストの再生に集中できるようにする) や、外部音取り込みモード (外部の音を取り込んで周囲の音が聞こえることを優先する) もある。

このアクティブノイズキャンセリングや外部音取り込みモードは素晴らしくよく働くが、別に革命的と言えるほどではない。交通量の多い場所や飛行機の機内では、もっとしっかり外部音を消し去れる程度に進化したアクティブノイズキャンセリングが欲しいものだと私は願い続けているのだが、その実現はまだまだ先のようだ。私の感想を言えば、たった $69.99 で買える Beats Flex イヤーバッドのパッシブノイズキャンセリングの方が、外耳道にピッタリ嵌まるシリコン製のイヤーチップのお陰で、外部音を抑えるためには今もまだ最も有効に働くと思っている。

Studio Pro ヘッドフォンに欠落している Apple 機能もあることに注目しておこう。たとえばオーディオ共有、耳装着自動探知、デバイス自動切替 (Beats に言われて知ったのだが、この最後の機能は Android でならば使えるとのことだ) などはない。このヘッドフォンは専用の Beats チップ ("proprietary (2nd gen)" という謎めいた名前がある) で駆動される。Apple の H2 や H1 は搭載しない。そのことが、Apple 専用のいくつかの機能を持たない一方で Android 互換性は持っている理由なのだろう。

Studio Pro ヘッドフォンが新分野を切り開いているところもある。付属する USB-C ケーブルを使ってワイヤード再生する機能に対応しているのは Apple の製品一覧に載っているものの中でこれだけだ。これは、付属の 3.5mm ケーブルを使った通常のワイヤード再生機能 (こちらは AirPods Max が持つ機能だが、AirPods Max にはそのようなケーブルが付属しない) に加えて、それとは別に提供されている。

理由はよく分からないが、USB-C ケーブルを差し込むとアクティブノイズキャンセリングと外部音取り込みモードが動作しなくなる。けれどもその代わりに他のオーディオ機能が利用できるようになって、ロスレスおよびハイレゾのオーディオがワイヤード接続上でサポートされる。Apple Music や Tidal その他のロスレスライブラリを備えたサービスのユーザーにとっては嬉しいニュースだろう。

右のイヤーカップのボタンを2度押しすることで、3つある“プロフィール”の間で切り替える。音色バランスの取れた音楽の再生に向いた Signature、ゲーミングや映画に向いた Entertainment、ポッドキャストや電話の通話など均一なオーディオに向いた Conversation の3つだ。私はポッドキャストと NPR が大好きなので Conversation モードを使っている。

Studio Pro のこれらの機能のお陰で、見た目はパッとしないけれどもなかなか充実した機能を提供するヘッドフォンだと言える。とてつもないお金を払って AirPods Max を手に入れる必要はない。

Studio Buds+ イヤーバッド

私は Apple が Studio Buds と Studio Buds+ につけた価格に困惑している。前者の定価は $149.99 で、これは 2 年前に初めてリリースされた時点での価格と同じ、新しく発売された $169.99 の Studio Buds+ に比べてたった $20 安いだけだ。そうは言っても、Apple 以外の小売業者を探せば Studio Buds が $100 以下で手に入ることもある。

追加の費用を払って Studio Buds+ を手に入れる価値は?

何よりもカラーだ。これだけで躊躇いなくこちらを選ぶという人もいるだろう。ブラックとアイボリーの2色に加えて、Studio Buds+ にはトランスペアレント(半透明)のデザインもあり、Apple のその昔のゼリー色 iMac を思い起こさせる。イヤーバッドとバッテリーケースの両方が半透明のグレイだ。ケース前面中央に黒い "b" ロゴがどっしりと置かれ、その下にバッテリーが透けて見える。ゴールド色のネジやシルバーがかった充電端子など細かな点がちょっとしたアクセントとなる。

Beats Studio Buds+

それ以外の変更点は大したことはない。表面的には、この Studio Buds+ は従来モデルと同じ工業デザインで、外向きに突き出たメカニカルボタン (AirPods ではタップして捻ることでコントロールする) と、交換可能なシリコン製イヤーチップ (外耳道を密閉できるようカスタマイズするため色々のサイズのものがあるが、AirPods でこれと同等のものを提供しているのは AirPods Pro のみ) を使っている。

けれども Beats は Studio Buds+ の部品の 95% が新しいものだと宣伝する。ケースのバッテリーの容量が 50% 増え、イヤーバッド内部のバッテリーも容量が 16% 増している。

マイクロフォンは従来の3倍大きくなり、従って感度も良くなった。アクティブノイズキャンセリングと外部音取り込みモードも改良された。Beats によれば、イヤーバッドが外部音を聞こえにくくする性能が 1.6 倍に向上したとのことだが、それを実際に測定するのは困難だろう。

従来の Studio Buds と同様に、この Studio Buds+ モデルも瞬時に iPhone とペアリングし、ハンズフリーの "Hey Siri" 対応を提供し、ソファや自動車の座席の下で見失なえば Find My 機能でビープ音を鳴らすことができる。

けれども、オーディオ共有、耳装着探知、デバイス自動切替、ダイナミックヘッドトラッキング付き空間オーディオなどの機能はない。これは、Studio Pro ヘッドフォンと同じく独自仕様のチップに依存している結果だ。

Studio Buds+ には画期的な新機能はないので、おそらく Beats は半透明のデザインに期待をかけているのだろう。Studio Buds と価格の違いがたった $20 だけというのも、それなら上位モデルのイヤーバッドにしようと思わせる要因になるかもしれない。でも、予算に制約のある購入者たちのために従来モデルの販売が続けられる点が私には嬉しい。

Beats 対 AirPods

これらの製品をしっかり比べてみよう。今回の2つの Beats 製品は、AirPods 側の製品と比較すればどうなのか? Beats と AirPods の間で購入決断をしたい人たちのために、考えるべき他の要因をいくつか挙げてみよう。

結論

Studio Pro ヘッドフォンと Studio Buds+ イヤーバッドのいずれも、私には向かなかった。私は眼鏡をかけているので、Studio Pro のイヤーカップが頭の両側から常に圧力をかけている状態だとすぐに頭が痛くなる。これが理由で私はオンイヤーやオーバーイヤーのヘッドフォンを使わないようにしている。もちろん AirPods Max もそうだ。

その一方で、Studio Buds や Studio Buds+ は私の外耳道の形に合っていないのでうまく使えない。AirPods の方が感触が良いが、すぐに落ちてしまいがちなので、なくさないかと気になってしまう。

だから、私は以前と変わらず安価な Beats Flex イヤーバッドを気に入って使っている。私の外耳道の奥までしっかりと押し込むことができて、しっかりフィットすると同時に、遮音効果も素晴らしいからだ。左右のイヤーバッドがネックストラップで繋がっているので、なくすことはまずない。スカーフのようにして着用できるからだ。オーディオの音質も悪くない。

でもそれは私の事情であって、人によって事情は大きく異なる。

Apple の機能を備えた高機能のヘッドフォンを欲しいけれども AirPods Max は値札を見ただけで唖然としてしまうという人もいる。Beats には厚いユーザー層があり、古くなりつつある Studio3 モデルに代わるべき旗艦製品のヘッドフォンを待ち焦がれていた人たちも多いだろう。そして今、Studio Pro ヘッドフォンが登場して、USB-C ワイヤード再生のオプションまで提供できる。

金額に比べてできるだけ多くの機能セットを備えたイヤーバッドが欲しいという人たちもいるだろう。中レベルの価格帯でアクティブノイズキャンセリングや外部音取り込みモードのような機能を装備している製品は Beats 側にしかない。一方で見栄えを気にする人たちもいるだろう。そんな人なら、半透明の Studio Buds+ を手に入れれば退屈なホワイトの AirPods に代わる新鮮な変化を味わえるだろう。

だからこそ、Beats という会社の存在がありがたい。そのお陰で Apple のオーディオデバイスの製品一覧がますます豊かなものとなり、どんな人にもその人に向いた製品が見つかるようになる。そう、Android ユーザーでさえも。

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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

訳: Mark Nagata   

Zoom 5.15.5 Agen Schmitz

Zoom 5.15.5

Zoom が Zoom ビデオ会議アプリをバージョン 5.15.5 にアップデートして、改良やバグ修正を加えた。今回のリリースではデスクトップクライアントのユーザーがクライアント設定の Statistics タブで現在の Wi-Fi 接続統計情報を見られるようにし、ゲスト参加者が共有中に別の参加者の画面を遠隔コントロールする機能をアカウント管理者が制限できるようにし、コンテクストメニューのアクションに翻訳機能の強化を追加し、Office 365 の電子メールを Zoom Mail に読み込めるようにし、イベントをスケジュールする際にすべての参加者の空き状況に基づいて利用可能な時間帯を自動的に推奨するようにし、通話が予期せずマージされる可能性に関係する一部のユーザーでの問題を解決し、オペレーティングシステムをアップデートした後にクライアント設定が失われたバグを修正した。(無料、101.8 MB、リリースノート、macOS 10.10+)

Zoom 5.15.5 の使用体験を話し合おう

Firefox 116 Agen Schmitz

Firefox 116

Mozilla が Firefox 116 をリリースして、この古参のウェブブラウザにいくつかの新機能と改良を加えた。今回のアップデートでは Sidebar スイッチャーを改良して Bookmarks、History、Synced Tabs の各パネルにキーボードで手軽にアクセスできるようにし、オペレーティングシステムから任意のファイルをコピーして Firefox へペーストできるようにし、Picture-in-Picture の中で音量スライダーを利用できるようにし、また HTTP/2 のアップロードパフォーマンス、とりわけ高帯域幅だが遅延の大きいネットワークでのパフォーマンスを向上させた。それから、閉じたタブを開き直すキーボードショートカット (Command-Shift-T) の機能を拡張して、最後に閉じたタブや最後に閉じたウィンドウを (閉じた順番で) 開き直し、開き直すタブやウィンドウがない場合には前回のセッションを復元するようにした。(無料、127.1 MB、リリースノート、macOS 10.15+)

Firefox 116 の使用体験を話し合おう

Alfred 5.1.2 Agen Schmitz

Alfred 5.1.2

Running with Crayons が Alfred 5.1.2 をリリースした。ファイルやアプリを開くこのフレームワークを macOS 14 Sonoma 用に調整して、ウェブページをウェブアプリとして保存したものを開く機能を修正した。今回のアップデートではまた、パッシブな Gallery Workflow アップデートチェックを改良するとともに、オブジェクトが選択されていない状態での Prefab ワークフローメッセージダイアログの文言を明確化した。それに先立ってこの夏にバージョン 5.1.1 が出されて、ファイルのデフォルト結果での VoiceOver を改良し、Amazon 検索 URL を最新のものにし、Preferences Snippet 表のサイズを調整して見出しが途中で切れないようにした。(基本的機能は無料、Powerpack は 34 ポンド、5.3 MB、リリースノート、macOS 10.14+)

Alfred 5.1.2 の使用体験を話し合おう

Ulysses 31 Agen Schmitz

Ulysses 31

Ulysses が会社名と同名の執筆アプリ Ulysses のバージョン 31 を出して、方程式を LaTeX を使って入力し、それを書類の中へ正しくタイプセットする機能への対応を追加した。Ulysses 31 では方程式をエディタの中でプレビューしたり、それを PDF、DOCX、HTML、EPUB、Markdown に書き出したり、方程式を WordPress、Ghost、Micro.blog に出版したりできる。今回のアップデートではまた、プロジェクトを複製したりアーカイブしたり (さらにはアーカイブ済みのプロジェクトを複製したり) でき、起動が (とりわけ大きなライブラリや多数のプロジェクトがある場合に) 高速化し、iCloud からのシートのダウンロードが速くなり、ある種の同期のコンフリクトを自動的に解消するようにし、PDF に書き出す際に埋め込まれた PDF がラスタライズされないようにし、削除済みのプロジェクトがバックアップに残ったバグを解消し、ライブラリの中での VoiceOver によるプロジェクトのナビゲーションを修正し、シートをプロジェクトへ移した際にシートの出版状況が失われないようにした。(Mac App Store から購読月額/年額 $5.99/$49.99、Setapp からも入手可、無料アップデート、38.9 MB、 リリースノート,、macOS 11+)

Ulysses 31 の使用体験を話し合おう

URL Manager Pro 6.3 Agen Schmitz

URL Manager Pro 6.3

Alco Blom が URL Manager Pro のバージョン 6.3 をリリースして、この独立のブックマークマネージャユーティリティに Arc ウェブブラウザへの対応を追加した。(2023 年 7 月 27 日の記事“革新的なウェブブラウザ Arc が 1.0 リリースに到達”と 2023 年 5 月 1 日の記事“Arc はウェブでの作業のやり方を変える”を参照。) (新規購入 $34.99、無料アップデート、23.1 MB、リリースノート、macOS 10.13+)

URL Manager Pro 6.3 の使用体験を話し合おう

ExtraBITS

訳: Mark Nagata   

Adam Engst

Do You Use It? Mac の Spotlight

今週の Do You Use It? アンケートでは Spotlight を取り上げる。当初私は Spotlight への答は簡単だろうと思っていた。誰もが少なくとも時々はこれを使っていろいろなものを見つけているに違いないと思ったからだ。でもよく考えてみると、Spotlight は macOS の中で独特な位置を占めていると気付いた。Apple が Mac OS X Tiger でこの機能を導入したのは (2004 年 6 月 28 日の記事“タイガーパワーを身に付けろ... 2005 年に!”参照)、Mac にそれまであったファイル名とコンテンツの検索に、メタデータに基づく検索を追加するためであった。それ以来 Apple は Spotlight の活動範囲を拡張して、アプリを起動したり、電卓の計算や換算を実行したり、独自のデータベースを含んだアプリの内部を検索したり、オンラインの情報源から検索結果を返したりできるようにしてきた。そこで今週は、2つの設問をした。 あなたはどの程度頻繁に Spotlight を使っているかという質問と、あなたは Spotlight を何に使っているかという質問だ。

今回のアンケートでは、メニューバー上の拡大鏡アイコンをクリックするかまたは Command-Space を押すかしてアクセスする独立動作の Spotlight のみを対象にすることとし、Finder ウィンドウの検索機能 (これはファイルを探すことのみに限定された機能だ) は対象としないことを前提として頂きたい。

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Adam Engst

Apple Card の Savings 預金額が 100 億ドルを超える

Apple の Newsroom 記事 (米国版) がこう書いている:

本日、Apple は Goldman Sachs 提供による Apple Card の高利回り Savings 預金口座の 4 月開始以来のユーザーからの預金額が 100 億ドルを超えたと発表しました。Savings により、Apple Card ユーザーは年利 4.15 パーセントの高利回りを提供する Goldman Sachs の Savings 口座を通じて Daily Cash の額を増やすことができます。

4 か月に満たない期間での 100 億ドルは、かなりの額に思える。(2023 年 4 月 17 日の記事“新しい Apple Card Savings アカウントが 4.15% の利息を提供”参照。) Apple は Apple Card 口座の総数を公表していないが、ある銀行コンサルタントの推測によれば 6 百万から 1 千 2 百万の間だろうという。

ただ、Apple が今回この情報を公表したのは Goldman Sachs との間に問題を抱えているからではないかと思われる。Goldman Sachs は Apple Card とそれに付随する Savings 口座の背後にいる銀行だが、多額の損失を報告しており、その原因の大部分が Apple Card にあって、年会費や延滞手数料、外貨取引手数料などから収益を得られないためだとしている。報道によれば Goldman Sachs は Apple Card 事業を American Express に譲渡したがっているらしいが、少なくとも 2026 年までは Mastercard ネットワークに縛られている。それに比べて American Express の決済ネットワークは受入店舗数がやや少ない

わが家ではまだ Apple の Savings 口座にサインアップしていないが、その理由は財務管理システムに組み込むための方法が毎月ファイルを書き出してから読み込むやり方しかないからで、今は Apple Card 用に不承不承それをしている。Apple の金融サービスは個人用には Wallet アプリを通じてシンプルで使いやすいかもしれないが、この Savings 口座が (書き出したものをダウンロードする手間を掛けず) 直接に個人用財務管理システムに組み込めるようになるまでは、私には他の銀行の高利回り預金口座の方が魅力的だ。

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