TidBITS の出版を 33 年間続けてきた Adam Engst は、もう長年感じていなかったほどに今はこの仕事に熱中している。それはニュース報道を編集する仕事に割く時間を減らしたお陰で、個人的なテクノロジーの解決法について文章を書く時間が増えたからだ。そんな彼もやはり Elon Musk の Twitter の悲惨な現状から目を背けることはできず、この億万長者の常軌を逸した最近の振舞いを手早く概観する。また今週号では、tvOS 16.4.1 について、新しい Apple Card Savings アカウントについて、Steve Jobs Archive から新しく出た電子ブックについても触れる。今週注目すべき Mac アプリのリリースは 1Password 8.10.4、Microsoft Office for Mac 16.72、Firefox 112、Airfoil 5.11.5 と SoundSource 5.5.9、Lunar 6.1、Quicken 7.0、Ulysses 30、Farrago 2.0 だ。
リリースされたばかりの tvOS 16.4.1 は、他の Apple オペレーティングシステムに最近施されたものと同じセキュリティ脆弱性への対処のためのものではないかという気がしてしまうが (2023 年 4 月 7 日の記事“iOS 16.4.1、iPadOS 16.4.1、macOS 13.3.1 が深刻なセキュリティ脆弱性に対処、バグを修正”参照)、リリースノートにはただ単に「パフォーマンスと安定性が向上しています」としか書かれておらず、Apple Security Updates ページには「このアップデートには CVE の公開エントリがありません」と書かれている。ならば、どんな修正があったのだろうか? あなたの Apple TV で何か問題が起こっていて、もしかするとこのアップデートで解決するかもしれないと思えるのでない限り、わざわざ手動でインストールする必要はないだろう。ただ放っておいて勝手にインストールされるのを待つのがよい。
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私は Twitter を好きではないし、使ってもいないが、Elon Musk のスローモーションの惨劇には目を奪われてしまう ("Elon Musk、Twitter を (本当に) 440 億ドルで買収" 28 October 2022 参照)。出てくる話全てがテック会社を破壊する突拍子ないもので、Apple, Amazon, Google, Microsoft, 等々を経営している大人達に感謝の念を覚えさせられてしまう。(Facebook は含まれない。) 我々は彼らの決定に常に同意するわけではないし、彼らは時として強欲な或いは道徳的に問題視される領域に入り込むこともあるが、彼らは正気を失ってはいない。それに対して、Twitter が過去一ヶ月に亘って関わった馬鹿げた事態を挙げてみよう、見出しをそのまま引用する形で:
- 今や公式:Twitter は SMS 二要素認証に課金: November 2022 に Twitter はそのアカウント確認システムを有料の Twitter Blue ラベルの元で再スタートさせようとした - Eli Lilly and Company を名乗る誰かが "インスリンは今やただに" としたいたずらのツイートが Lilly 社の株価を暴落させた後、それは引っ込められた。一ヶ月後、Twitter Blue は再スタートした、今度は成功裏に、しかし申込者は殆どいなかった。個人に対する料金は月額 $8 である ($11、もし Apple のアプリ内課金経由の場合)。

人々に支払いをする動機を与えると見られる動きの中で、Twitter は March 2023 に、弱い SMS ベースの二要素認証選択肢を有料の Twitter Blue ユーザーに限定するであろうと言った。それでも全てのユーザーはより安全な認証アプリを無料で利用出来る。もし私が Twitter Blue に対して支払いをしているとしたら、私はアカウントがハイジャックされる機会を減らすために最も弱い方法は不能にして欲しいと望むであろう! 現時点で、iOS Twitter アプリ内のそのブロック画面は私が Twitter を避けるのをより手助けしてくれている。
- Twitter は公式にその古い認証プロセスを April 1 に終了。青いチェックマークを得るには、支払いが必要: Twitter は、著名人、アスリート、報道員、企業団体等の確認済みのユーザーに対して従来提供されていた "無料の" 青いチェックマークを 1 April 2023 をもって終了すると言った (April Fools のジョークではない)。それは誰もが想像するような結果となった - 一様でなく、不機嫌さをもって。とりわけ企業は反対した。Twitter は彼らに月額 $1000 とアカウント当り $50 を支払うよう要求したのである。The New York Times, The Washington Post, そして The Los Angeles Times の様な主要紙は、会社として Twitter Blue の料金を払う気もないし、従業員にその費用を払い戻す気もないと宣言した。White House もまた Twitter Blue に加入する気はないと報じられている。
- Elon Musk、San Francisco 本社の Twitter の看板の W を塗りつぶし、"Titter" に: おやまあ、中学生に戻ってのいたずらか。ひょっとすると、12月と1月に滞納となってしまった月 $3.4-million の家賃から Twitter を救おうとする試みなのかもしれないが、大家からの訴訟となっている。或いは、12才の子供が責任者なのかもしれない。と言うのも、Twitter の報道アドレスに送られたメールは今やうんち絵文字の付いた自動返信を受け取るからである。
- Twitter はもはや一企業ではない: 訴訟で裁判所に提出された書類によると Musk は Twitter を X Corp と言う新しく作られたペーパーカンパニーと合併させたと言う。これ等の企業偽装の目的は良く分からないが、Musk の願望である電子商取引、世界的で個人的なメッセージング、そして支払いを一緒にした "everything app" を作り出したいことと関係しているのかも知れない。これは中国で広く使われている同様のアプリ、特に Tencent Holdings のアプリである WeChat、と似ている。米国、ヨーロッパ、そして、実際のところ中国以外の何処でもだが、現在のアプリ、ウェブサイト、そして支払い環境の中でうまくいくのであろうか。
- NPR、"政府系メディア" と間違ってラベルが貼られた後 Twitter を離れる: どういう訳か分からないが、Twitter は最初 National Public Radio をロシアや中国の様な所の政府系のプロパガンダ放送局と一緒の括りにした。質問された時、Musk は彼が誤解していたかも知れないと認めた - 彼は NPR の資金調達モデルについて何も知らないことを暴露した - そして Twitter はそのタグを "政府出資メディア" と変更したが、それもまた正確ではない:NPR は政府が出資する Corporation for Public Broadcasting から 1% 未満しか資金援助を受けていない。(個々の局は、NPR に納付金を払うが、その他の公共ラジオネットワークや個々のプログラムも含めて、1% を超える資金を地元、州、そして連邦の資金源から受けることもある。)
- Elon Musk、買わざるを得ないと思ったから Twitter を買っただけと認める: この TechCrunch 記事は、 Musk が与えた BBC 記者 James Clayton との希なインタビューのたった一つの側面だけに焦点を当てている。当初、Musk は Twitter に対して一株当り $54.20 (大麻ジョークだ) での買収提案をしていたが、株価が低落した後、彼は買収から手を引こうとした。Twitter は彼を訴えようとして - そして恐らく勝っていたであろう - 彼に彼の大麻ジョークに従わざるを得なくした。今や彼が言うには - 私はジョークを言っているのではないが、彼はそうかも - 彼の犬が Twitter を経営しているのだと。そうであれば、色々辻褄は合う。
私は Mastodon をお薦めしたいと思うがどうだろうか? "Mastodon: ソーシャルネットワーキングの新たな希望" (27 January 2023) を見て、そして@[email protected]
で自由に私をフォローして欲しい。私はとりわけ頻繁な投稿者という訳ではないが。
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33 年間だ。1990 年 4 月以来、私はこれだけの年数にわたって TidBITS を出版してきた。去年は私が TidBITS を終了させようかという気持ちに一番近付いた年だったが、去年の後半に起きたある変化によって、今の私は長年感じていなかったほど TidBITS に熱中している。それがなぜなのかをお話ししよう。
人員削減の背後にあった物語
Josh Centers が私たちの編集主幹の職を去ることについては、それが両者お互いに合意した上での決定だったということ以外に私はほどんど記事に書いてこなかった。(2022 年 11 月 14 日の記事“Josh Centers:さようなら、いままで魚をありがとう”と 2022 年 12 月 5 日の記事“2023 年も会員になって TidBITS の進展にご支援を”参照。)
常に背景にあったのは、メジャーなテクノロジー業界と Apple のニュースをいつも報道していたいという絶え間ない願望に私自身がうんざりする気持ちになっていたことで、それに努力を注ぐ結果として自分自身が楽しめる個人的で情報豊かなテクノロジーの文章を書くことの方が困難になっていた。ニュース報道は主として Josh が執筆を担当していたけれども、記事として出す前にはやはり私自身がすべてを編集しなければならなかった。TidBITS に出すために必要だと私が自分に課した編集のレベルは、時間を要した。なぜなら私は語られる話題に関して十分調べた上で、書かれていることが事実として正しく、述べられている意見に十分な根拠があり、文章が淀みなく流れていることを確信できなければならなかったからだ。
その上、ニュースというのはいつ出現するか分からないので、私はしばしば自分がやっていることを放り出して Josh の記事を編集する仕事を始めなければならなかった。彼との共同作業は楽しかったけれども、編集のためにひっきりなしに仕事を中断させられることに私はうんざりする気持ちになっていた。とりわけ、同じ種類の記事を何度も何度も出版するような場合にそれを強く感じた。細かなことを除けば、ニュースというのはたいていあまり目新しくもない。記事は大まかにいくつかのカテゴリーに分かれ、30 年以上にわたって、私は大体においてそのほとんどを繰り返し繰り返し執筆または編集していた。
8 月ごろだったと思うが、私は何かを変えなければいけないと(それが何かはまだ見えていなかったが)決心した。けれどもそれは、TidBITS が Josh のために責任を負っている間は実行が難しいだろうと思えた。遥か昔のことだが、Tonya と私は Josh に、少なくとも 6 か月前に通知をすることなく彼の仕事に影響を与えるような変更はしないと約束していた。だから私は Josh に電話して、TidBITS を辞めた後のことを考え始めてほしいと頼んだ。自分たちがしてきたことに飽き飽きして満足できないでいるからだと説明すると、彼は自分も同じように感じていたし、実は既に自分のこれからの人生設計について考えているところだと話してくれた。私には意外だったが、それはこの上なく最善の結果だった。二人の目標と大まかなタイミングが見事に一致していたのだ。
その後直ちに何かが起こることはなかったけれども、10 月になって Josh が TextExpander の Business Journalist の職を求めるに至って事態は動き出した。TextExpander は最も長い間 TidBITS のスポンサーであり Take Control 電子ブックの題材でもあったので、私は同社の共同創設者 Greg Scown と Philip Goward に連絡して、私が Josh に求職を勧めているので、彼を雇えば TidBITS に悪影響を及ぼすのではと心配する必要はないと伝えた。そしてその一週間後に Josh は仕事の依頼を受け、11 月中ごろに私は一人きりになった。
TidBITS をもっとパーソナルなものに
当初、何が変わったかといえばチーム内部専用の TidBITS Slack 掲示板がひっそり静まり返ったことだけだった。ここでは Josh がニュース記事を共有したり、その記事に関するさまざまの議論が交わされたりしていた。その議論を私は楽しめたけれども、これもやはり仕事を中断するものに他ならなかった。ソーシャルメディアで過ごす時間がほとんどなかったのもこれが理由の一つだった。誰かに返信する必要がなくなったことで、自分の興味が向いている話題について邪魔されることなく仕事をする時間ができるようになった。
初めの頃私はもっと本格的な変更をしようと考えていたが (ポッドキャストを始めてみたいという考えは今も温めている)、頭の中で考えを練る時間を多く確保することで以前よりもリラックスできると同時に元気も出るのだと気付いた。他のことを打ち捨てて Apple のオペレーティングシステムの新たなリリースがまた出たことについて記事を書かなければならなくても、今の私はあまりストレスを感じない。Apple が公表している以上のことを私が何も知らないとしても、そういう記事が役に立つと言って下さる読者の方々が多いからだ。それからまた、多くの読者の生活に確かな違いを生むと思えるような話題に深く切り込んでいる間の私は、本当に心からワクワクしている。“Apple の File Provider、Mac のクラウドストレージに変更を強いる”(2023 年 3 月 10 日)、“スプレッドシートのデータで先行ゼロに対処する”(2023 年 3 月 16 日)、“通知が予期せず沈黙させられた? Focus を疑え”(2023 年 2 月 17 日) のような記事は書いていてとても楽しく、その記事が役立ったと書かれたコメントを読めばなおさら私の気持ちは明るくなる。
TidBITS で私が書く記事の割合が増えたことで、もう一つ意外な効果があった。それは、私の個人的意見の占める部分が大きくなったことだ。TidBITS で働く人たちの間で定番の冗談に、購読者たちは私 Adam がすべての記事を書いていると思っているという話がある。1990 年初頭以来、それが事実であったことは一度もなかった。私は TidBITS に他の人たちの声も載ることをとても重要視している。そして実際、今も他のライターたちが皆さんに記事をお届けし続けている。Watchlist (TidBITS 監視リスト) を書いている Agen Schmitz に加えて、頼りになる Glenn Fleishman、Jeff Carlson、Julio Ojeda-Zapata たちも記事を書いてくれるし、それから元 Apple で開発者をしていた David Shayer やコンサルタントの Ivan Drucker などゲスト執筆者たちもいる。それでも、Josh がいなくなり、Tonya が Cornell 大学でフルタイムの職を得て TidBITS では高レベルの財政的管理のみを担当するようになったので、TidBITS は今や“私たち”という言葉より“私”という言葉の方が相応しく感じられる。
それは奇妙な感覚だ。Tonya と私が 1990 年に TidBITS を始めた時点では、二人ともまだ 22 歳で自分たちが大人のふりをしていることを痛いほど自覚していたこともあって、私たちはできる限りプロフェッショナルな仕事をしようと懸命になっていた。二人の会社であることが長年その自負心を支え続け、小規模だという感覚を生み出すと同時に、書いた文章とそれを実際に書いた者との間に少しだけ隙間を挟み込む効果も生んでいた。時としてそのことは役に立ったけれども、時を経るうちに何かが違うという感じが増していた。私一人だけがその記事に責任を持っているにもかかわらず“私たち”が何かをしているという言葉を発するのに違和感が生まれるようになっていたのだ。
そして実際、日々 TidBITS で仕事をしているのが私と Josh でなく私だけになってみて、私は自分が書くものが以前よりほんの少しパーソナルな、私個人のものになっていることに気付いた。それは意図的なものではなくて、自分がしていること、自分に興味あることを書く方が私は好きだというだけだ。他の人が書いた記事が毎週登場していた頃よりも、他の人の記事が例外的になるに従って、実際そのように書くことが容易になっている。
たまたま、年末のホリデー休暇の最中に、高校時代の友人がわが家にブランチにやって来た。(そのことは 2023 年 2 月 6 日の記事“死んだネズミを探す: 救いの手は AirPlay レシーバー”で少しだけ触れた。) 彼は長年の TidBITS 読者であり、誰もが知っているテクノロジー会社でクリエイティブディレクターとして働いているのだが、ニュース記事なんて全然書かなくてもいいから自分に興味ある内容で毎週一つずつ記事を書くことに集中しろよと彼に言われて、私は愉快になった。それは私が既に向かっていたところにかなり近かったが、言われてみれば筋が通っている。TidBITS がニュースの第一報を知らせたり、業界の内幕情報を提供できたりした時代はとうに過ぎ去った。The New York Times や The Wall Street Journal のテクノロジー記者やら何やらに私が太刀打ちできる術は何もないし、Bloomberg の Mark Gurman に秘密をささやく口の軽い業界筋の情報源を私は誰も知らない。でもその反面、私と違って彼らの方はクラウドストレージのために使われる File Provider 拡張のはっきりしない詳細に分け入ることはしないだろうし、しつこく残る問題を Level 2 クリーンインストールで解決する方法を説明することもしないだろう。
よりパーソナルなやり方をすることで、もう一つ他に負けない優位性が生まれる。文章を生成する ChatGPT などの AI ツールは、明確に書かれた英語の文章を作り出すことにかけては恐ろしいほど優れている。最近になって私はあの種のツールをテキストのための電卓だと思い始めた。電卓によって単純な計算ミスが基本的に取り除かれたのと同じように、ChatGPT やその種のものによって出来の悪い英語の文章が一般的でなくなるのだろう。私の息子は大学院生だが、留学生たちが ChatGPT を使って弱い英語スキルを埋め合わせているとつい最近言っていた。
でも、文章を生成する AI ツールはただ単に統計的にありそうな組み合わせで単語を並べているだけに過ぎない。独創的なアイデアを練るようにはならないし、たとえ適切なやり方で指示されたとしても、その生み出したコンテンツが人間の精神が作ったものに匹敵することはあり得ない。洗濯室の棚の下のどこかで死んだネズミを AirPlay を使って見つけた経験を書いた私の記事は、ChatGPT に向かって「iPhone から MacBook への AirPlay ビデオを使って洗濯室の棚の下で死んだネズミを見つける方法で記事を書きなさい」と命令した結果に比べれば遥かに完結していて、詳細で、興味をそそる。比べてみたければどうぞご自分でお試しあれ。
(面白いことに、Bing の AI は「すみませんが、iPhone から MacBook への AirPlay ビデオが洗濯室の棚の下で死んだネズミを見つけるためにどう役立つのか知りません」と答えた。Google の Bard はもっと素っ気なく「私は言語モデルに過ぎず、そのお役には立てません」と答えた。)
そういう訳で、33 年目の TidBITS へと突入するに際して私が北極星と仰いで目指すのは、人間の手による手作りのコンテンツだ。私が楽しんで書いているのと同じくらいに、読者の皆さんも楽しんで読んで下さればと願っている。そして、もし楽しんで頂けたのなら、TidBITS 会員となって私がこれを続けられるよう支えて下さることをお願いできるならば嬉しい。
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TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート
訳: Mark Nagata
AgileBits が 1Password 8.10.4 を出して、LastPass からのパスワードの読み込みを改良するとともに、さまざまのバグ修正を施した。このリリースでは LastPass データから個人的項目を 1Password Personal または Private ヴォールトに LastPass フォルダに合わせたタグを付けて読み込むようにし、LastPass 項目の中のフィールドを 1Password 項目の中の対応するフィールドに割り当てる方法を改良し、読み込まれた LastPass アカウントメタデータのうち未知なものの量を減らし、空白の LastPass フォルダが Login 項目のウェブサイトフィールドに https://group と記して読み込まれてしまった問題を解消した。今回のアップデートではまた、パスワードフィールドにフォーカスがある場合に Secret Key またはパスワードフィールドを可視化するボタンを表示するようにし、項目のリストを見ている際の VoiceOver によるカーソル追跡の使い心地を改善し、1Password for Mac のアプリアップデータにセキュリティの改善を施した。(購読年額 AgileBits から $35.88、新規にアカウントをセットアップする TidBITS 会員は 6 か月間無料、無料アップデート、2.9 MB のインストーラダウンロード、リリースノート、macOS 10.15+)
1Password 8.10.4 の使用体験を話し合おう
Microsoft が Office for Mac のバージョン 16.72 をリリースして、Outlook、Excel、PowerPoint にアップデートを施した。Outlook ユーザーには Outlook 内部のマルチアカウント Profile 使用体験が大幅に向上し (この機能は段階的に有効にされつつある)、メキシコで今後の DST 移行のためにタイムゾーンを更新し、検索スコープで All Mailboxes が選択されている場合に Gmail アカウントで検索に問題があったのを修正し、1.9 Add-in API セットに対応し、IMAP と iCloud アカウントに関する認証の問題を修正した。Excel では数式評価ツールチップ (数式の一部を選択すると表示される) を追加し、PowerPoint ではオーディオオブジェクトにクローズドキャプションを追加した。(一回限りの購入は $149.99、年払い講読オプションは $99.99/$69.99、Microsoft AutoUpdate 経由で無料アップデート、リリースノート、macOS 10.15+)
Microsoft Office for Mac 16.72 の使用体験を話し合おう
Mozilla が Firefox 112 をリリースして、このウェブブラウザにいくつかの便利なユーザーインターフェイス機能を追加した。このアップデートでは、パスワードフィールドを右クリックしてパスワードを可視化するオプションにアクセスできるようにし、タブバーのタブリストパネルから直接に中クリックでタブを閉じられるようになり (macOS では Middle アプリなどのユーティリティを使って中クリックができる)、閉じたタブを開き直す Command-Shift-T を使った際に現在閉じたタブがもうなければ前のセッションを復元するようになった。macOS ユーザーには、メモリ破損を引き起こし攻撃を受ける余地を残すクラッシュが起こる可能性のあった WebGL の境界外メモリアクセスの脆弱性に対処した。(無料、128 MB、リリースノート、macOS 10.12+)
Firefox 112 の使用体験を話し合おう
Rogue Amoeba が Airfoil 5.11.5 (ワイヤレスオーディオ放送) と SoundSource 5.5.9 (オーディオ入力/出力コントロール) をリリースして、共有される Audio Capture Engine (ACE) をバージョン 11.9.3 にアップデートした。いずれのアプリも Debugging ウィンドウに Uninstall ACE オプションを新設するとともに、ACE の新規インストールによって再起動後に Almost Ready 画面が誤って表示されていた問題に対処した。Airfoil 5.11.5 はステレオペアとして使う第二世代 HomePod にフル対応するとともに、Chromecast デバイスへのストリーミングをする際に再生の問題が起こる可能性 (Google のバグによるもの) を警告するようにした。SoundSource 5.5.9 はフルスクリーンモードに入る際にピン留めされた SoundSource ウィンドウが誤って表示されることによる不具合を修正し、システムオーディオデバイスを変更すると稀にクラッシュが起こった問題を解消した。TidBITS 会員はこれらのアプリを 20% 割引で購入できる。(Airfoil は $35、43.0 MB、リリースノート。SoundSource は新規購入 $39、28.0 MB、リリースノート。いずれも無料アップデートで macOS 10.15+ を要する)
Airfoil 5.11.5 と SoundSource 5.5.9 の使用体験を話し合おう
Alin Panaitiu がバージョン 6.1 の Lunar をリリースして、Clock Mode に改良を加えた。このディスプレイ輝度制御ユーティリティは調光範囲にゼロ以下の部分を追加し (Controls メニューで無効にできる)、アルゴリズムの変種として fully automated (Clock Mode で手動調整が無効になる) と user-controlled (Clock Mode が手動調整に従う) を加えた。今回のアップデートではまた、複数個の似たモニタを使うセットアップで便利な Send Volume to All Monitors 設定を追加し、Options ボタンを Settings に、Preferences ボタンを Display Settings にそれぞれ改名し、スリープからの復帰後に Apple ディスプレイの輝度を 50% にリセットしてしまう macOS の厄介なバグを修正し、今は不要となった jitterAfterWake 設定を削除した。(新規購入 $23、無料アップデート、21 MB、リリースノート、macOS 11+)
Lunar 6.1 の使用体験を話し合おう
Quicken Inc. が Quicken for Mac のバージョン 7.0 をリリースして、この財務管理用アプリに新機能と改善を施した。ダッシュボードで、Quicken 7 は新しい Net Worth カードを導入し、Uncategorized Transactions カードに Recently Categorized Transactions を表示し、Income & Expense カードで説明部分をクリックすることで特定の期間のレポートを生成できるようになった。今回のアップデートではまた、スケジュール化した取引の Daily 頻度への対応を追加し、Connection Status ウィンドウに OFX Bill Pay エラーを表示し、支払先の表示を説明付きにして改良し、接続されたアカウントのパスワードを macOS キーチェーンから (可能ならば) 読み出せるようにし、新しい Portfolio グラフ機能に早見表を追加し、接続された新規のアカウントを追加する際にアカウント名を編集できるようにし、今回から macOS 10.15 Catalina かそれ以降を必要とするようになった。(講読年額 $34.99/$51.99/$77.99、購読者は無料アップデート、3.2 MB のインストーラダウンロード、リリースノート、macOS 10.15+)
Quicken 7.0 の使用体験を話し合おう
Ulysses が会社名と同名の執筆アプリ Ulysses のバージョン 30 を出して、macOS 版に画像の上で手書きしたり PDF に注釈を追加したりする機能を加えた。(iOS 版にも指や Apple Pencil を使ってテキストにスケッチを書き込める機能が追加された。) Ulysses 30 ではプロジェクトに色を指定できるようになり、プロジェクトに Favorites を復活させ、(画像と表の双方で) キャプションに Markup を追加し、表のコピー&ペーストを改良して Ulysses と Numbers、Notes、Excel などサードパーティのアプリとの間でのコピーができるようにした。今回のリリースではまた、大きな表のパフォーマンスを大幅に改善し、新規ウィンドウを開く際にインターフェイスの設定が無視されていたバグを修正し、Firefox や Chrome からのリンクの共有が正しく働くようにし、Footnote や Annotation を編集する際の奇妙な問題を解決し、プロジェクトを作成する際に稀に起こったクラッシュを解消した。(Mac App Store から購読月額/年額 $5.99/$49.99、Setapp からも入手可、無料アップデート、31.4 MB、リリースノート、macOS 11+)
Ulysses 30 の使用体験を話し合おう
2018 年の最初のリリースの後、Rogue Amoeba は 2 年の開発期間を経てバージョン 2.0 のサウンドボードアプリ Farrago を 50 以上の新機能とともにリリースした。(Andy Affleck による当初のレビュー記事、2018 年 2 月 6 日の“Farrago:Mac 用の楽しく有用なサウンドボード”参照。) Farrago 2.0 では、新しい Preview オプションが追加されて補助的なオーディオデバイスを使ってメイン出力に送らずにオーディオをテストできるようになり、オーディオファイルを Freesound データベースで検索しダウンロードできるようになり、内蔵エディタを使って個々のタイルごとにサウンドのトリミング、フェードその他ができるようにし、Actions への対応を追加し (macOS 12 Monterey かそれ以降が必要)、検索結果に GarageBand および Logic Pro 双方の音楽ループを表示し、Elgato Stream Deck ハードウェアを使って直接 Farrago をコントロールできるようにし、また VoiceOver 対応を導入した。
このリリースではまた、音量スライダーを改良してコンパクトな見た目にし、タイルごとのコンテクストメニューに便利な再生コントロールを追加し、複数のタイルを再生する際にレベルを抑制するためのデジタルリミッタを備え、最も小さな Mac スクリーンにも収まるように Farrago の最小サイズを変更し、波形のハイライトが正しく再生と同期するようにし、MIDI コマンドが働かないことがあったバグを修正し、アプリのアイコンを更新した。Farrago の現在の価格は $49 で、バージョン 1 のライセンスを持っている人は $25 で Farrago 2 にアップグレードできる。(新規購入 $49、TidBITS 会員には 20% 割引、無料アップデート、42.5 MB、リリースノート、macOS 10.15+)
Farrago 2.0 の使用体験を話し合おう