Thoughtful, detailed coverage of everything Apple for 33 years
前週号 | 日本語版ホーム | 次週号

#1698: OS アップデートがポッドキャスト書き起こしを追加、Text-to-Podcast サービス Listen Later、ハイブリッドの Mac-iPad ラップトップ、ヘルスケアと Vision Pro

先週 Apple は同社のすべてのオペレーティングシステムをアップデートして、新機能を追加するとともにバグを修正した。中でも特記すべきは iOS 17.4、iPadOS 17.4、および macOS 14.4 の Podcasts アプリに書き起こし機能を追加したことだ。今回のアップデートではバグにもいくつか対処が施されたが、重要なのは数多くのセキュリティアップデートを含んでいることで、そのいくつかは実際に悪用されている脆弱性に対処するものだという。それから、私たちの最新のスポンサーとして Listen Later を歓迎したい。これは、記事のテキストをなめらかな口調で語られるポッドキャストに変換するインターネットサービスだ。最後に、ヘルスケアの分野における Vision Pro に対する Apple のバラ色の見通しと、Federico Viticci が作ったとても印象的な "MacPad" つまり Mac ラップトップに iPad を取り外し可能なスクリーンとして取り付けたハックを簡潔に紹介する。今週注目すべき Mac アプリのリリースは EagleFiler 1.9.13、Mellel 6.0.3、Mimestream 1.3、PopChar 10、それに Quicken 7.6.1 だ。

Adam Engst  訳: Mark Nagata   

Text-to-Podcast サービス Listen Later が TidBITS スポンサーに

私たちの最新の TidBITS スポンサーとして Listen Later を歓迎したい。ここはウェブ上のどんな記事のテキストでもカスタマイズしたポッドキャストのエピソードに変換できる、インターネットサービスだ。変換したい記事の URL を電子メールで Listen Later に送るだけで、それほど時間もかけることなく、あなたのお気に入りのポッドキャストアプリの中に個人用 Listen Later フィードとして変換結果が登場する。

Listen Later splash screen

イスタンブール出身の独立系開発者 Yalim Gerger が作った Listen Later はまさに現代的な製品で、AI ツールに依存して記事のテキストを処理し口述する。その際、テキストのクリーンアップが極めて重要だ。多くの記事には広告や、画像の説明や、免責条項や、その他の余計なテキストが含まれており、滑らかな口調で語るオーディオを作るための邪魔になる。例えば、Listen Later は十分に賢くて TidBITS 記事の末尾に付くコメントをすべて除外してくれる。それからまた口述そのものも重要な点だ。その昔の Apple の Fred 音声を使った音声合成の時代から、私たちは長い道のりを進んできた。今では音声品質がとてつもなく良くなっている。

セットアップは単純だ。アカウントを作成した後に、Listen Later のメイン URL があなたの個人用ポッドキャスト URL、そのフィードに関連付けるべきアドレスのフィールド、送信先の電子メールアドレス、および利用可能なクレジットを表示する。その後は、ただ単に電子メールメッセージを送信するだけだ。メールの Subject は不要で、本文に一つ以上の URL を入れて、提供されたアドレスに宛てて送信すればよい。

Listen Later main screen

私はまず Patricia Lockwood が記した 6700 語の記事 "When I Met the Pope" (ローマ教皇に会った日) を Listen Later で試してみた。今にして思えば、これはあまり良いサンプルテキストではなかった。Lockwood の文章は説明的な部分からユーモアのある部分へと軽やかに飛び回る文体だからだ。

レセプションで、失礼、正式に言えば 'Lapidary Gallery の vin d'honneur' で、Sting のブドウ園のワインが出されています。Hope に向かって「何と言ったの?」と叫びます。一杯のグラスで飛び回っている彼女は、Sting が強烈なオーラでこちらを見つめるパンフレットを指差します。Trudie が後ろから彼の胸を抱きしめ、二人とも健康そのものの甘やかさに見え、おそらく 7 時間もブドウを踏みつけた後なのでしょう。思うに、教皇に会った後で Sting のブドウを一口味わうということなのですね。私はパンフレットに頷き、Hope も共謀者めいた顔で頷き、バッグにしまいます。これがやり方です。私たちもそうしています。そう、Vermentino は 'Message in a Bottle' と呼ばれるワインです。Sangiovese もそうです。

Listen Later の AI による口述が正しくできていたのかを確かめるために、私は元の記事の文章に戻ってある程度の量を読み、結果を比べてみた。すると、実際に正しくできていたことが分かった。いや、ほとんど正しかったと言うべきだろうか。この記事を朗読した 36 分間のオーディオ版の中で、私が気付いた間違いはたった2か所だった。いずれも "live" のように複数個の発音が可能な同形異義語だったが、ブドウの品種名 "Sangiovese" は最後の母音を飛ばして短く読まれていた。あと、私は "Jesus" という単語を読み間違えていると思ったが、元の記事を見てみると Lockwood が意図的にその単語を "Jaysus" と綴っていたことが分かった。それ以後他の記事でもテストしたが、Listen Later の語り口に私はますます感銘を受けた。ただ、略語とか数字とかでは時々間違いをした。特に $2599 のような金額では間違いが多かったが、これは私が4桁の価格では簡潔にするためコンマを使わない流儀であることが原因なのかもしれない。

私は Patricia Lockwood と知り合いではないが、最初のテストで Listen Later が彼女の記事を朗読した音声は、私の知る限り本物らしく聞こえた。その後間もなく彼女本人の声とは違うことが分かったのだが、この点について開発者の Gerger に問い合わせてみたところ、彼はすぐに設定項目を追加して 6 つの高品質音声のうちから選べるようにしてくれた。もう一点私が当初オーディオ品質について不満に思ったのは、朗読の速度が私の好みよりほんの少し速過ぎたことだった。Gerger はそれについては対処の仕方が分からないという返事だったが、その翌日になって彼から再び返事が届き、対処の方法が分かったので音声速度の設定項目を追加したと知らせてくれた。その一方で、朗読速度の問題は私自身に原因があったことに気付いた。普段私はポッドキャストを Marco Arment の Overcast で聴いているが、Overcast には Smart Speed というオプションがあって、これをオンにすると沈黙部分を自動的に短くしてくれる。人が朗読する場合には、息継ぎのために一時中断するのが普通なのでこのオプションがうまく働くのだけれども、AI による朗読はあまりにも滑らかで息継ぎの必要もないので、沈黙部分を短くすると不自然に息もつかせず語るように聞こえてしまうのだった。

Listen Later settings

上のスクリーンショットでご覧の通り、Listen Later はテキストをあなたが指定した言語に翻訳することもできるが、その場合には追加料金がかかる。話のついでにここで料金について触れておこう。Listen Later としては、テキストを処理して朗読するために呼び出した API コールに対して料金を、さらに翻訳もする場合にはそちらの料金も支払わなければならない。これらの料金はあなたが Listen Later に処理を依頼したテキストの量に直接に依存する。平均的な記事ならばおそらく $0.30 から $1.50 の間程度の料金がかかるだろう。 Listen Later の料金ページには推定ツールがあるので、どんな記事でもそれにどの程度の料金がかかるかの目安を得ることができる。

Listen Later は購読モデルを使わずに、使った分だけ支払う利用時払いのモデルを使っている。新規にアカウントを設定すると無料で $2 のクレジットが付くので、それを使ってサービスを試してみることができる。それを使い切れば、あなたが好きなだけの金額を補充することができる。あるいは、その種のことを考えたくもないと思う人は、残高が $0.10 を切る度に Listen Later が自動的にあなたのクレジットカードから $5 を引き出して補充するように設定しておくことも可能だ。私の感覚ではこのモデルが適切かつ透明に思えるし、購読モデルが嫌いな人にも受け入れやすいものだと思う。

一つだけ覚えておくべきことがある。Listen Later は、その名が示唆する通り、即座に結果を出す訳ではない。変換にどれくらいの時間がかかるかはその記事の長さによるし、その時点で OpenAI サーバにかかっている負荷の程度にもよる。米国におけるビジネスアワーでは負荷が高い傾向にある。私が試した長めの Patricia Lockwood 記事の場合には、Gerger から聞いた話では変換が終わるまでにおよそ 20 分ほどかかり、彼のアプリケーションに OpenAI から反応が返ってくるまでに最大 5 分ほどの待ち時間があったこともあるという。ただ、通常はあまり問題にならないはずとのことだ。そもそも Listen Later の目的は、あらかじめ記事を上げておいてから、例えば帰途の車の中で、あるいは次のワークアウトの最中に、ゆっくり聴こうというものなのだから。簡単に参照できるように、Listen Later はポッドキャストのエピソード概要欄の中に元の記事の URL を含めている。

Listen Later in Overcast

PDF をオーディオに変換することさえできることにも気付いた。私はその機能を、Andy Weir が小説 The Martian の出版十周年を記念して最近執筆した ボーナスの章で試してみた。加えて、ついさっき Gerger は Listen Later に JPEG、PNG、および WebP フォーマットの画像の中にあるテキストもオーディオに変換できる機能を追加したと知らせてくれた。それを聞いた私は最初、そんな使い方が実際にあるだろうかと訝しく思ったが、あとで聞くと X/Twitter に PDF のスクリーンショットを投稿するのが一般的なコミュニティーがあると分かった。だから、もしそういう使い方に興味があれば、普通の記事と同じやり方で、画像への URL を Listen Later へ送ればよい。

面白いことに、この記事ではテキストをポッドキャストに変換する Listen Later について書いてきたが、同じタイミングで Apple が、ポッドキャストをテキストに変換する機能を導入している。(すぐ次の記事を参照。)生成 AI についてはさまざまの問題が山積しているけれども、生成 AI によって実現される機能のいくつかはまるで魔法のようだ。

ポッドキャストを聴くのが好きで、文章を隅から隅まで読む時間がないと思っている人には、Listen Later に新規アカウントを作って得られる無料の $2 クレジットを利用して、まず試してみることをお勧めしたい。

討論に参加

Adam Engst  訳: Mark Nagata   

iOS 17.4 と iPadOS 17.4 がポッドキャスト書き起こしを導入、ゼロデイ脆弱性を修正

またもやアップデートの時がやって来た。Apple が iOS 17.4iPadOS 17.4 をリリースし、古いバージョンの iOS と iPadOS もそれぞれアップデートした。今回の目玉機能は Apple Podcasts が書き起こし機能に対応したことだが、それ以外にも舞台裏でかなりの数の機能調整やバグ修正やセキュリティアップデートが施されているし、European Union (EU, 欧州連合) によって義務付けられた (EU 域内のみで適用される) App Store の変更に対応するために必要な基盤の変更も施された。

iOS 17.4 release notes

他のオペレーティングシステムは

今回 Apple が macOS 14.4 Sonoma や watchOS 10.4 その他のアップデートを同時に出さなかったことに私は驚いたが、それらはほんの数日後に登場した。(2024 年 3 月 7 日の記事“Apple、macOS 14.4、watchOS 10.4、tvOS 17.4、HomePod Software 17.4、visionOS 1.1 をリリース”参照。) iOS 17.4 と iPadOS 17.4 をまず先に出した理由は、攻撃者がカーネルメモリの保護を回避できてしまう可能性がある深刻なカーネルのゼロデイ脆弱性 2 件を修正するためであったのかもしれない。これは重大な問題だし、Apple はその脆弱性が実際に悪用されたと認めているが、それに関して特定のセキュリティ研究者やチームの名前を挙げることはしていない。

Apple は iOS 16.7.6 と iPadOS 16.7.6のアップデートもリリースして上記の 2 件のゼロデイ脆弱性のうち片方に対処した。いずれについても Apple は近々 CVE 情報を追加すると述べているが、これは macOS と watchOS のアップデートが出るまで待っているのかもしれない。

それからもう一つ、Apple はさらに遡って iOS 15.8.2iPadOS 15.8.2 もリリースしたが、これらについてはバグ修正が含まれると述べるのみでセキュリティアップデートについては触れていない。

Apple Podcasts で書き起こし文章

今回の 17.4 アップデートで最も目立つ新機能は、Apple の Podcasts アプリに装備された書き起こし機能だ。Music アプリで歌詞が提供されるのと同様に、ポッドキャストのオーディオからフルテキストの書き起こし文章が生成され、オーディオと同期してスクロール表示される。書き起こし文章のテキストをタップすればその個所からオーディオが再生される。さらに嬉しいことに、単語やフレーズで書き起こし文章を検索することもできる。いずれは何らかのアプリ、または将来のバージョンの Podcasts がポッドキャストの複数のエピソードを検索して特定の事柄に触れた個所を見つけてくれるようになることを願いたい。

Transcripts in Apple Podcasts
私は今も Andrew Hickey の A History of Rock Music in 500 Songs ポッドキャストを気に入っているし、お奨めしたい。まだ Song #70, "Johnny B. Goode" by Chuck Berry のところまでしか来ていないが。

番組が Apple Podcasts カタログに載っていて Apple の要件を満たしている限り、書き起こし文章は自動的に生成され、新しいエピソードが登場した後で少し経てば書き起こしが利用可能になる。書き起こしの精度はかなり良いようだが、同音異義語を選んでしまうことも時々ある。例えば上のスクリーンショットでは正しい綴りの "Gene" と、同じ発音だが誤った綴りの "Jean" の両方が同じ画面に登場している。また、複数の人たちが登場するポッドキャストでも誰が話しているかは明示されない。当然予想できることだが、書き起こし文章では開く引用符と閉じる引用符が正しく使われていないことが頻繁にあった。ポッドキャスターが自身で用意した書き起こし文章を RSS 経由で提供することもできる。

Apple は古いポッドキャストについても時間をかけて書き起こしをしているところだが、Apple Podcasts カタログに 260 万以上のポッドキャストがありエピソードの総数が 9,200 万を超える (データは Daniel J. Lewis の Podcast Industry Insights による) ことを考えればそれは膨大な作業になることだろう。現時点では、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語の書き起こし文章のみが利用可能だ。ただし、一つの言語から別の言語への翻訳サービスはない。

EU の Digital Markets Act による変更点

EU の Digital Markets Act (デジタル市場法) によって義務付けられた iOS 17.4 の変更点がヨーロッパ在住のユーザーの日々のユーザー体験にどのような影響を与えるかを予見するのは不可能だ。(2024 年 1 月 29 日の記事“EU が壁に囲まれた Apple の庭を開放させる”参照。) またそれも、今回の変更点に不満を抱く者たちからの避け得ない異議申し立てに Apple の新しいルールが耐え得ると仮定した上での話だ。

現時点では、ヨーロッパ在住のユーザーたちには Safari から新しいポップアップが示されて、デフォルトのブラウザを選ぶように求められることになる。ブラウザメーカー各社も、ヨーロッパ在住ユーザーのために WebKit エンジンに依存しない iOS 版のブラウザを出すかもしれない。アプリ内購入に際しての決済方法として代替方法を選ぶことも問題になるかもしれず、ヨーロッパ在住のユーザーは Apple の Wallet アプリを経由しない非接触型決済方法を選べるようになるはずだ。

おそらく最も重大な要件、つまり Apple が iOS アプリ購入のための代替市場を許容するという件も、間もなく登場することになる。Mac 用に Setapp 購読サービスを提供しているウクライナの会社 MacPaw は、iOS アプリ用バージョンの Setapp として Setapp Mobile を発表した。開発者が Setapp に加入する際にどんなことが変わるのかがよく分からないと私が質問したところ、MacPaw の創設者であり CEO の Oleksandr Kosovan は電子メールで次のように答えてくれた:

Apple の European Union 域内での新しいビジネス条件は、大規模で人気ある無料アプリで何百万ものインストールを抱え、別の収益化モデルを使っている開発者にとっては必ずしも望ましいものではないかもしれません。けれども、私たちのモデルはさまざまのカテゴリーのアプリ、とりわけユーザーに長期的な価値を提供しているアプリの開発者の方々の需要に完璧に応えるものです。

Setapp のモデルにおいては、一つのアプリが長期間にわたって頻繁に使われれば、開発者がさらなる収益源を得られます。新しい要件を採用することで、開発者にとってさらに利益性が増すこともあり得ます。私たちは Apple の Core Technology Fee が Setapp のビジネスモデルとどのように協調することになるかを注意深く評価しつつ、今後も小規模や中規模の開発者にとって魅力的かつ利益の多いサービスとなるように努めているところです。

ヨーロッパ在住の読者の皆さんが、皆さんの観点から見て物事がどう変わりつつあるかを報告して下さることをお願いしたい。

その他の改良点

書き起こし機能以外で、iOS 17.4 と iPadOS 17.4 は他にも少数の改善を提供する:

バグ修正

Apple はリリースノートにたった 2 件のバグ修正しか記載していない。片方は Find My で連絡先の写真が空白になったバグだ。もう片方は極めて具体的なもので、Apple によれば iOS 17.4 が「デュアル SIM を使用している場合に電話番号が主回線から副回線に変更されてメッセージの送信先グループに表示される問題」を修正したという。

アップデートのアドバイス

私としてはすべての人に iOS/iPadOS 17.4 や iOS/iPadOS 16.7.6 アップデートを今すぐインストールすることをお勧めしたい。ゼロデイ脆弱性が修正されているからだ。iOS/iPadOS 15.8.2 については、Apple が具体的な変更点を示していないので、修正によって何か新たな問題が起きないかどうかを確かめるまで一週間か二週間待つのが賢明だろう。

討論に参加

Adam Engst  訳: 亀岡孝仁  

Apple、macOS 14.4, watchOS 10.4, tvOS 17.4, HomePod Software 17.4, visionOS 1.1 をリリース

Apple の残っていたオペレーティングシステムのアップデートがリリースされて、7つのアップデートが今週初めの iOS と iPadOS の大幅なアップデートに加わった("iOS 17.4 と iPadOS 17.4 がポッドキャスト書き起こしを導入、ゼロデイ脆弱性を修正" 6 March 2024 参照)。様々なレベルの新機能、バグ修正、重要なセキュリティアップデートを含んだ macOS 14.4 Sonoma、watchOS 10.4、tvOS 17.4、HomePod Software 17.4、そして visionOS 1.1 が今やダウンロード出来る。

現在のアップデートに目を向ける前に、Apple は macOS 13.6.5 VenturamacOS 12.7.4 Monterey をリリースして 25 のセキュリティ修正をしている事に注意して欲しい。そのうちの1つは、攻撃者がカーネルメモリ保護をバイパスすることを許す最近のゼロデイ脆弱性に対処している。これらの古いバージョンの macOSを未だ使用している場合は、直ぐにアップデートをインストールすることをお勧めする。アップデート中に、6つのセキュリティ修正を持つ Safari 17.4 もお見逃しなく。

macOS 14.4

全ての macOS 14.4 Sonoma の改善点は iPadOS 17.4 の改善と合致している:

リリースノートはバグ修正について言及していないが、このアップデートは、iOS 17.4 と iPadOS 17.4 で対処された2つのゼロデイを含む、途方もない 64 のセキュリティ脆弱性に対処している。これらの脆弱性ゆえ、すぐに macOS 14.4 をインストールすべきである。

Apple はまた企業に焦点を当てた変更を行い、モバイルデバイス管理ソフトウェアが Setup Assistant で標準ユーザーのために FileVault を適用できるようにする、そして Apple シリコンを搭載した Mac の電池の健康状態を報告する等が含まれる。

watchOS 10.4

watchOS 10.4 に対する Apple のリリースノートは目新しく異なる。このアップデートは:

リリースノートでは言及されていない(本当に、Apple?)大幅な変更が Timersアプリの表示方法にある。開発者の Craig Hockenberry が watchOS 10 でのTimers アプリの再設計を批判したように、"01:00" (watchOS 10.3.1, 左下) から"1 min" (watchOS 10.4, 右下) の表示に戻したのである。

watchOS 10.4 timer interface changes

watchOS 10.4 は、最近の2つのゼロデイを含む 24 のセキュリティ脆弱性も修正している。

私は Apple Watch のセキュリティ脆弱性を迅速に阻止する必要性については興奮出来ないし、多くの人はこの機能変更を気にするとも思えないので、誤ったタッチに悩まされていない限り、時間に余裕が出来た時にこのアップデートを計画すれば良いと思う。

tvOS 17.4

"パフォーマンスと安定性が向上しています。" 皆さん、ここには見るものは何もない、立ち止まらないで進めば良い。いずれ勝手にインストールされる。

HomePod Software 17.4

ほぼ衝撃的なことに、HomePod Software 17.4 には "パフォーマンスと安定性の改善" 以上のものが含まれている。これは Siri がお好みのメディアサービスを学習する事を可能にし、リクエストにメディアアプリの名前を含める必要がなくなる。気になるのであれば、Home アプリで手動でアップデートをインストールする。そうでなければ、HomePod に自分でアップデートさせる。

Siri が些細だが改善されるのを見るのはうれしいことだが、私の経験では HomePods の Siri は着実に劣化している。今、私が "Hey Siri, 私はこの曲が好きだ。" と言う度に、Siri は不可解にも "勿論、あなたのためだけに選んだ曲はこれです" と応答し、曲をお気に入りとしてマークして私のライブラリに追加するのではなく、何か他のものを再生し始める。さらに、私たちの HomePod の1つは HomePod Software 17.1.1 で立ち往生し、Siri はしばしば基本的な HomeKit コマンドを理解できなかった。私は HomePod をリセットして初めから再設定することで、最終的にこの問題を解決したと思っていて、その後は、なんとかアップデート出来ている。それは現在 HomePod Software 17.4 を走らせている。

Siri は全面的な AI ベースの脳移植を切実に必要としており、私は6月の AppleのWorldwide Developer Conference で何らかの動きが見られることを願っている。

visionOS 1.1

Apple はこれ迄 visionOS に対して3つの応急的なバグ修正として、バージョン1.0.1、1.0.2、および 1.0.3 の3つをリリースしてきたが、visionOS 1.1 は、変更点の説明をリリースノートとして出すに値する最初のアップデートである:

Vision Pro の数の少なさを考えると、現時点で攻撃者がこのプラットフォームを標的とするのは想像しにくいが、visionOS は Apple の他のオペレーティングシステムと共有しているコードが非常に多いので、2つのゼロデイを含む 16 のセキュリティ脆弱性修正を受けている。

私は、個人的な経験に基づいて visionOS の更新助言を提供することは出来ないが、プラットフォーム全体が非常に新しいので、殆どのユーザーは直ぐに更新してこれ等の変更を利用したいと思うのではないかと想像する。1時間以内に飛行機に乗るというのであれば更新を遅らせた方が良いかもしれないが、そうでなければ、待つ理由はないと思われる。

討論に参加

TidBITS 監視リスト: Mac アプリのアップデート

EagleFiler 1.9.13 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

EagleFiler 1.9.13

C-Command Software の Michael Tsai が EagleFiler 1.9.13 をリリースして、Evernote からの読み込みに改善を加えた。また、この書類整理およびアーカイブ作成用アプリは Twitter からウェブページを読み込むための Nitter ツールが使えなくなったのを受けて、その代わりに Safari でブラウズ中に EagleFiler のキャプチャキーを使うことによりツイートのコンテンツからテキストファイルを作成するようにした。今回のリリースでは、レコードにタグを割り当てる際の自動補完機能を改良し、.eml メッセージファイルのコンテンツを検索できなくしていた macOS のバグを回避し、システムサービスを利用して Unread から読み込む際に起こったハングに対処し、複数個の記事を選択した状態での NetNewsWire からのキャプチャを改良し、共有ライブラリにアクセスする際のファイルアクセス権の問題を解消し、Mail の非常に大きなメールボックスからキャプチャする際のタイムアウトエラーを修正した。(C-Command Software からも Mac App Store からも新規購入 $49.99、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、34.5 MB、リリースノート、macOS 10.13+)

EagleFiler 1.9.13 の使用体験を話し合おう

Mellel 6.0.3 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

Mellel 6.0.3

Mellel が会社名と同名の Mac 用ワードプロセッサのバージョン 6.0.3 をリリースして、バグ修正を施した。今回のリリースでは、表示が正しく再描画されなかった (空白のページが表示されたり他のページのテキストが表示されたりした) 問題を解消し、リストベースのパレットを再描画する際のクラッシュに対処し、テキストをペーストしたり挿入したりする際に起こることがあったハングを除去し、アウトラインやストーリー枠のマーカーセレクタが正しく表示されなかったバグを修正し、キーボード/言語の同期と分割表示に関する問題を解消した。(新規購入 $69.99、無料アップデート、93.8 MB、リリースノート、macOS 10.13+)

Mellel 6.0.3 の使用体験を話し合おう

Mimestream 1.3 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

Mimestream 1.3

Mimestream が Gmail 用電子メールアプリのバージョン 1.3 をリリースして、便利な新機能をいくつか追加しバグを修正した。今回のリリースでは、プライベートなディープリンク機能を追加して特定の電子メールメッセージへのリンクを作成できるようにし、特定のアドレスを提案しないようにするアドレス提案ブラックリスト機能を追加した。このアップデートではまた、下書きが同期されなかったバグを修正し、複数回の再起動を経ても独立のウィンドウが復元されるようにし、印刷したり PDF として書き出したりする際に添付画像がメッセージのテキストと重複することがあったバグを修正し、2件のクラッシュを解消した。(年間購読 $49.99、12.1 MB、 リリースノート、macOS 12+)

Mimestream 1.3 の使用体験を話し合おう

PopChar 10 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

PopChar 10

Ergonis Software が文字発見およびフォント探査ユーティリティ PopChar (最初のリリースは 1987 年のことだ!) をバージョン 10 にアップグレードして、ユーザーインターフェイスを一新し、機能性を拡張し、アプリの名前を簡素化 (もう "X" は付かない) した。今回のリリースでは、より多くの詳細情報を示す拡大鏡ツールを追加し、Swift などのコードをクリック一つで挿入する際の選択プロセスを改良し、言語対応の拡張としてスペイン語と Unicode 15 へのフル対応を追加し、Dark モード対応を拡張し、Emoji 15.0 用の内蔵レイアウトを追加し、また今回から macOS 11 Big Sur かそれ以降を要するようになった。PopChar 10 の価格は $34.99 で、従来のライセンスからのアップグレード料金は $17.99 だ。(新規購入 $34.99、TidBITS 会員には 25 パーセント割引、無料アップデート、4.8 MB、 リリースノート、macOS 10.11+)

PopChar 10 の使用体験を話し合おう

Quicken 7.6.1 Agen Schmitz  訳: Mark Nagata   

Quicken 7.6.1

Quicken Inc. が Quicken Classic for Mac のバージョン 7.6 をリリースして、Tags および Categories リストを改良し、隠す/表示が使えるようにし、使用回数を表示したり、使った項目に対して個々にレポートを走らせたりできるようにした。今回のアップデートでは、Schedule 3 - Capital Gains and Losses レポートのレイアウトを改良してカナダの税務申告要件により良く従うようにし、Home Dashboard カードで名前を編集したりアカウントを選択したりできるようにし、Mileage Trips が最初と最後のカラムを表示するオプションを追加し、多くの改名ルールを持つファイルの中のアカウントを更新する際のパフォーマンスを改善した。そのリリースの後間もなくバージョン 7.6.1 が出されて、既存のファイルのアカウントフィルターポップアップが誤った設定を表示することがあった問題に対処するとともに、隠されたアカウントの接続状況が正しくレポートされるようにした。(講読年額 $59.88/$83.88/$119.88、購読者は無料アップデート、3.2 MB のインストーラダウンロード、リリースノート、macOS 11+)

Quicken 7.6.1 の使用体験を話し合おう

ExtraBITS

Adam Engst  訳: Mark Nagata   

Federico Viticci がハックした Mac-iPad コンバーチブル

MacStories の記事で、Federico Viticci がこう書いている

ここ3週間ほど、私は自分で "MacPad" と呼んでいるものを、新しいラップトップ機として使っている。MacPad はハイブリッドのデバイスで、複数通りの目的に使える:

  • Vision Pro のためのキーボードとトラックパッドとして、
  • 取り外し可能なディスプレイを持つ Mac として、
  • 外付けキーボードとトラックパッドを備えた iPad Pro として。

言いたいことはお分かりだろう。これは決して3つの別々のデバイスではない。これは1つのコンピュータであって、実際には2つのコンピュータから成り、Apple エコシステムの魔法のお陰で両者が協力して働く。Mac に iPad をディスプレイとして取り付けてあり、いつでも取り外して独立のタブレット機として使えるが、この iPad はドックした状態では Mac の一部となる。そして、Vision Pro のためには理想的なキーボードとトラックパッドとして機能する。

もしもあの MacHack Conference が今も続いていたならば、きっと Federico Viticci はこのコンバーチブル・ラップトップを作り上げたハックの技を讃えて総立ちの拍手喝采を受けたことだろう。13 インチ MacBook Air のボトムケースが Mac の処理能力とキーボードとトラックパッドを提供し、11 インチ iPad Pro がスクリーンとして働くとともに独立にも動作できる。それと同時に、本体の MacBook Air は Studio Display を外付けディスプレイとして駆動することもでき、また Vision Pro の中で Mac 仮想ディスプレイとして使うこともできる。何ともまあ素晴らしい。

MacHack Conference(日本語)MacHack '98 | The Mac Hack Contest 1999 | MacHax Best Hack Contest 2000 受賞作品 | MacHax Hack Contest 2001 | MacHack の 2002 年度ベスト・ハック・コンテスト | MacHack の 2003 年度ベスト・ハック・コンテスト | ADHOC 2004: 古いもの、新しいもの、成功の伝統は続く | さらば ADHOC よ

もし Apple がこのアイデアを実際に製品化してくれたなら、私は買いたい。

元記事を読む | 討論に参加

Adam Engst  訳: Mark Nagata   

Vision Pro のシングルユーザ指向が Apple のヘルスケアに向けた努力の妨げに

Apple がこう書いている

心身の健康のための革新的なアプリが、visionOS の無限のキャンバスを活用しつつデザインされているところです。診察室の中でも、また自宅の中でも、空間体験がユーザーのお役に立ちます...

そして、visionOS のユニークな機能を活かしつつ、ヘルスケア製品の開発者はこれまでになかったアプリを開発して、臨床教育、手術計画、トレーニング、医用画像、行動保健学その他の分野に転換をもたらしつつあります。

バラ色の未来像と言うべきだが、Vision Pro が持つシングルユーザ指向がそこに影を落とす。デジタル的および物理的双方の意味でそこには制約がある。visionOS が複数ユーザーに対応する様子は容易に想像できるけれども、考えてみれば Apple がこれまで iPadOS に複数ユーザー対応を組み込んだことは一度もない。複数の人でデバイスを共有したい状況があり得るのは明白なのに。Vision Pro で何か空気袋のようなものを使って別のユーザー用にライトシールをカスタマイズすることは可能かもしれないが、真の意味で問題を解決するためには処方によってカスタマイズしたインサートレンズの必要をなくすことが必須だろう。例えば MIT は 2014 年の研究で視力矯正機能を持つディスプレイを論じているし、自動でピントを調節する ViXion01 アイウェア (紹介ビデオを作ってくれた Allison Sheridan に感謝) のようなものもある。

一台の Vision Pro を誰でもすぐに装着して使えるようになりさえすれば、教育、訓練、共同作業、プレゼンテーションなどの目的で相互的な AR や VR の環境が大いに現実的なものとなることだろう。

元記事を読む | 討論に参加