TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#870/12-Mar-07

あなたはどなたですか、と私たちが質問し、皆さんから答をいただいた。今週は、Adam がこの読者アンケートの結果の検討をスタートさせる! Adam はまた Nike+iPod Sport Kit でランニングを試し、本格的なランナーならばこんなキットはスタートラインに置いてきてしまうのではないかと考える。また、今週号では Apple が Apple TV に備えて iTunes 7.1 をリリースしたことと、Adobe が Creative Suite 3 の発表日を発表したことをお伝えし、Glenn Fleishman は Windows Vista を装備したラップトップ機をテスト目的のために購入してこの対抗機種について第一印象を報告する。それから Adam があなたの好きなアーティストを追跡してくれるウェブサイト、SonicLiving を検討する。最後に、アメリカ合衆国において先週末新たな規定により Daylight Saving Time(夏時間)が始まったことにちょっと付いていけていないというあなたのために、パッチや修正を少しリストしたので参考にしていただきたい。

記事:


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もし未だ一時間遅れていると感じている人のための DST 資源

  文: Jeff Carlson <jeffc@tidbits.com>
  訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@bellsouth.net>

先週末米国の大部分の時計は新しい Daylight Saving Time に合わせるため一時間時間が早まった。それについては我々も "Daylight Saving Time が時代遅れに噛み付く?" (2007-01-29) と "Daylight Saving Time 救われる" (2007-02-19) で取上げた。それでもまだ 11-Mar-07 に時間の変更をしなかった機器を持っている人のために、それを直す手っ取り早い資源の幾つかを挙げておく。

Mac アップデート -- Mac がこの変更にきちんと対応するようにするには、まず Daylight Saving Time Update (Tiger) (Mac OS X 10.4.8 用; Mac OS X 10.4.5 かそれ以降には、全てではないが一部ではアップデートされた DST 情報がある) 或いは Daylight Saving Time Update (Panther) (Mac OS X 10.3.9 用) がきちんとインストールされている事を確認する必要がある。これらは Software Update 経由か個別のダウンロードとして入手出来る。もしいまだ Mac OS X 10.2 Jaguar を使っているのであれば、AFP548.com にある修正パッチを探すこと。Apple はまた Java に対するアップデートもリリースしている:About Java for Mac OS X 10.4, Release 5 そして About Java for Mac OS X 10.3 Update 5 である。

Microsoft は Microsoft Office for Mac 11.3.3 Update で Entourage 2004 の DST 対応問題を修正しているし、Entourage X をいまだ使っている人のためには匿名ユーザーグループが非公式の修正を載せている。

その他のコンピュータ或いはオペレーティングシステムに関係する DST パッチについては、DSTPatch.com にあるリンクを参照されると良い。

その他の機器 -- 私は Treo 650 を持っているが、この切替日が近づく数日間というもの、私の機器をアップグレードする様にとのメール、ボイスメール、そしてテキストメッセージの一斉攻撃を受けることとなった。私が思うには、この携帯電話会社は、技術サポートの悪夢を避けるために、その顧客の注意を喚起するためやれることはすべてやろうとしたのであろう。

幾つかの最近の Palm OS ハンドヘルドや Palm ブランドの Windows Mobile スマートフォン用のパッチは Palm の Web サイトで入手出来る。

もし Blackberry 機器を使っているのであれば、Research in Motion (RIM) がダウンロードとインストール用にパッチを掲載している。

好みのテレビ番組を録画するのを TiVo に頼っているのであれば、この時間変更でどの様な影響を受けるのかについて This page at tivo.comtivo.com 上のページで見る事が出来るが、いくつかの機器で手動で録画時間を設定している人がとりわけ関係してくる。

最後に、もしあなたがiPhone を使っているのであれば、きっと "時間" など意味を成さないのでは?というのも、あなたは Apple で働いていて 6月の発売に向けて大忙しのはずだからである。ご心配には及ばないでしょう!誰かが DST の調整はやってくれるだろうし、そしてもうすぐ緊急食とカフェインを差し入れしてくれることであろう。


iTunes 7.1 は Apple TV への準備

  文: Jeff Carlson <jeffc@tidbits.com>
  訳: 笠原正純<panhead@draconia.jp>

Apple がiTunes 7.1 をリリースした。このアップデートには表面上大きな変化は見られないが、来る Apple TV への互換性が盛り込まれている。環境設定に追加された Apple TV セクションには iTunes と動作するように認証された Apple TV ユニットが表示される。このビデオストリーミングデバイスが今月リリースされれば、iTunes 7.1 を使って Apple TV の 40 GB ハードディスクと iTunes のライブラリを同期し、Apple TV に接続されたテレビで再生することができるようになる(2007-01-15 の"Apple TV が Mac とテレビを結ぶ"を参照)

他に、iTunes 7.1 には Cover Flow をフルスクリーンにしてライブラリをブラウズするオプションや情報を見るダイヤログ内に独立したトラックに対してニックネームを設定するための並べ替えタブが追加された。この並べ替えにより、関係するアーティストをまとめてソートすることができるようになる。例えば、二人のアーティストによって作曲されたトラックをそれぞれのアーティストの別の作品と一緒になるように並べ替えることが出来るようになるのだ。(Playlist の Chris Breen がより詳細な説明をしている。)

iTunes 7.1 はソフトウェア・アップデート経由か 28 MB のダウンロードとして利用可能だ。これには、Mac OS X 10.3.9 以降が必要になる。Apple は同様に、iTunes 7.1 for Windows もリリースしたが、Windows Vista との互換性(それはまだまばらなようだ)については述べられていない。Apple は Windows 版のシステム要件として Windows XP Service Pack 2 と Windows 2000 with Service Pack 4 を挙げている。


Universal Binary の Adobe Creative Suite 3 近づく

  文: Glenn Fleishman <glenn@tidbits.com>
  訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

Adobe は、Creative Suite 3(CS3)として知られる、同社の画像・ウェブ・文書編集ツールスイートについて、発表することがあると発表することで、リリース予定日の公表に向けてまた一歩前進した。CS3 には、Photoshop、Illustrator、Dreamweaver、Acrobat、InDesign と、いくつかの補助プログラムが含まれる。GoLive は CS3 からはずされる。

同社によれば、 CS3 は 2007 年 3 月 27 日に「発売」される 。これはきっと、その日に注文の受け付けが開始され、実際のリリース日が公表されるという意味なのだろう。出荷が始まるのは 2007 年第2四半期のいずれかの時点より早くはないだろうと見込まれている。CS3 のすべてのアプリケーションはUniversal Binary になるので、Intel ベースの Mac を持っている人にとっては、新型マシンの処理能力を最大限に活用することができる。2006 年 12 月に、Adobe は Photoshop CS3 のパブリックベータ版をリリースした。これをアクティベートするためには但し書きがいくつかあるのだが、新機能と Intelベース Mac で実現される速度とを試すことができる(2006-12-18 の "Adobe が Photoshop CS3 のユニバーサルバイナリ版ベータをリリース" 参照)。ある解説者の予測では、CS3 がリリースされれば、Apple はコンピュータを 9億ドル売り上げるだろうということだ。

Adobe は、宣伝文句で埋めつくされた発表の中で、Photoshop CS3 には通常版と Extended 版の2つがあると言っている。通常版は私たちが慣れ親しんだものと大きく変わらないだろう。Extended 版は、文字通り、拡張されている。つまり、何かが長くなる。Adobe は私に電子メールでこう答えた。

Extended というのは「Photoshop のまったく新しい版で、複数のメディアをまたぐ創造的なプロフェッショナルにとって、デジタルイメージングの限界を拡張することを可能にする。」ということだそうだ。

少し掘り下げてみると、Extended 版では、3D(3次元)グラフィック、モーショングラフィック、測定、分析が統合されており、そのため Extended は、Adobe が言うところの「建築、工学、医学、自然科学のプロフェッショナル」といった、Adobe がひいきを得ようとする人たちにとって、よりよいツールとなる。

Adobe は、Macworld とのインタビューの中で、3D モデルの視覚化とテクスチュアのマッピングや、測定と分析のツールを、Extended の機能として挙げている。CS3 がベールを脱ぐにつれて、ほかに実用的な例としてどんなものが現れてくるか、見守ることにしよう。


SonicLiving が音楽情報をリンク

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

SonicLiving について教えてくれた EFF の友人 Fred von Lohmann に感謝したい。SonicLiving は、最近の記事(2007-03-05 の“iConcertCal:あなたの演奏会の友!”)で紹介した iTunes プラグインの iConcertCal とよく似たサービスを提供しているウェブサイトだ。

iConcertCal と同様、SonicLiving もコンサートのカレンダーをあなたの iTunes ライブラリにあるアーティストを基に生成できる。ただし、その作業は一つの Java アプレットによって実行され、その Java アプレットがあなたのアーティストリストを読み込んでからどのアーティストを追跡すべきかをあなたに尋ねてくる。これは実際良いことだ。あなたはすべてのアーティストを選ぶことも、2曲以上の曲があるアーティストだけ選ぶことも、5曲以上あるアーティストだけ選ぶこともできるので、これで例えば「一発屋」を除外するのも簡単なわけだ。SonicLiving ではまたあなたのお気に入りのアーティストを例えば Pandora (2005-12-05 の記事“ホリデー音楽は Pandora で iTunes を鳴らそう”参照)や、それによく似たlast.fm のような音楽サービスからピックアップすることもできる。iConcertCal とは違い、SonicLiving は 11 の大都市圏内のコンサートしか表示できない。だから、これは特定の大都市の近くに済んでいる人たちにだけ意味のあるものかもしれない。

けれども SonicLiving が他のものと違っている点、そしてそれだけの理由で音楽に興味ある人ならばどんな人にも一見の価値があるかもしれない点は、これがどんなアーティストについてもたくさんの情報を統合して示すことができるというところだ。いったんあなたの好きなアーティストをあなたの wishlist に全員加えておけば、その中から一人のアーティストの名前をクリックしただけで overview ページが現われ、そこにはそのアーティストの今後のイベントいくつかと、YouTube のビデオクリップがどこにリストされているか、どこで再生できるか、その上そのアーティストが好きな他の人たちのサマリまで表示される。それらのセクションのどれでも拡張表示にすれば、すべてのイベントを表示させたり、このアーティストを wishlist に載せているすべての人のリストや、このアーティストについてのニュース項目のリスト、あるいは iTunes Store にあるそのアーティストのアルバムの一覧などを見たりもできる。

SonicLiving サイトの持つソーシャルネットワーキング的な側面に魅力を感じる人もいるかもしれない(他の人たちがどのコンサートに興味があるかがすぐに分かるし、友人関係を設定することもできる)が、私がもっと衝撃を受けたのは、SonicLiving が音楽ビデオを YouTube で見るための易しいインターフェイスを提供している点だった。(音楽ビデオの多くが著作権を侵害しているのは疑いもなく、低品質ながら全曲をプレビューできるものが多い。)また、iTunes Store の 30 秒クリップもたくさんのものを次々と連続的にプレイできることに驚いた。これまで、私は 30 秒クリップを iTunes で一つずつ別個に選んでプレイしなければならないのがとても嫌で、 iTunes Music Store Player スクリプトのようなものをいじり回す必要なしにアルバムの中の曲をすべて聞きたいと思うことが度々だった。もちろん、ここから iTunes Store にジャンプして曲やアルバムを購入することも簡単にできる。

私ががっかりしたのは、SonicLiving にはアーティストのウェブサイトへのリンクが無かったことだ。また、「X が好きな人はきっと Y も好き」的な推薦機能が無いことも意外だった。リストがあなたのものとオーバーラップしている人たちの wishlist を見ることができるので同じようなことかもしれないが、それではちょっと回りくどいように思える。まあ、それでも、SonicLiving はきっとあなたも夢中になってしまう類いのサイトなので、ここに手を染めるのはまとまった暇な時間がある時に、ということを心していただきたいと思う。


TidBITS 2007 読者調査結果: 読者像

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

いよいよ、TidBITS 2007 Reader Survey の結果を分析する準備が整った。今週は、最初の数問に対する回答について考察する。これらの質問は、どんな人たちが TidBITS を読んでいるかを確かめるためのものだ。執筆時点で 3,158件の回答があった。以前お知らせしたように、もしまだこの調査に回答していないなら、今からでも回答することができるが、それぞれの回答の割合が大きく変動することはないだろうと思う。

この世界では誰にでも、皆が自分たちと同じような人だと思ってしまう傾向がある。それも故無しとしない。私たちにとってもっとも身近なのは私たち自身なのだし、年齢を話題にするにせよ、学歴や収入、あるいは職業について話すにせよ、私たちは、多かれ少なかれ自分たちと似たような人と時間を過ごすことが多いものだ。そこで、今回のようなアンケートが役に立つ。Macintosh ユーザの中の、さらに TidBITS 読者の中ですら、類似点と相違点の両方が明らかになるのだ。

回答者は、読者の中からランダムサンプリングで選ばれたのではなく、自主的に回答した。そのような調査では必然的に、結果は、回答するだけの時間と興味を持っている人に偏ることになる。しかし、今回は非常に多くの読者から回答があったので、そこから何かしらの結論を得ることができる。ただし、この結果から、読者全体について推定するとか、まして Macintosh コミュニティ全体について推定するということは、統計学的に妥当な方法だとは言えないだろう。(オンライン調査とその回答の妥当性については、先週号 2007-03-05の "インターネット調査で学んだこと" を参照。)

年齢分布 -- たとえば年齢を考えよう。Tonya と私は 39 歳で、私たちがTidBITS を発行し始めたのは 1990 年、22 歳のときだ。そのときには、私たちは多くの読者よりも、まちがいなく若かっただろう。当時 Mac を購入するには、20 代前半の若者の多くが持っているよりもさらに多くの経済的手段と興味とが必要だった。それゆえ、論理的に敷衍すれば、読者たちが TidBITSを読み始めたのは 30 代か 40 代であって、それからいくらか、いつから読み始めたかにもよるが、TidBITS が始まってから 17 年のあいだに年齢を重ねたことになる。

その結果、回答者の年齢を 10 歳ごとにグループ分けしてみると、もっとも多いのが 51-60 歳のグループで、その両隣の 41-50 歳グループと 61-70 歳グループもそれほど隔たってはいない。(残念ながら、これを米国全体の人口と比べることは難しい。というのも、2000 年の国勢調査の数字は、年齢を奇妙な仕方で、つまり 5 年のかたまりと 10 年のかたまりとを切り替えながらグループ分けしており、たとえば 25-34 歳で 10 年のかたまりというようにしているので、私たちのグループ分けと一致していないからだ。)その結果を次に示す。数字を合計しても 100 パーセントにならないのは、この質問に回答しなかった人がいるからだ。


年齢          割合 (回答数)
 --------      -------------
 20歳以下       0% (4)
 21-30          2% (91)
 31-40         14% (447)
 41-50         22% (698)
 51-60         29% (917)
 61-70         20% (618)
 71-80          7% (228)
 81-90          1% (50)
 91歳以上       0% (3)

この年齢分布からいくつかの教訓が得られると思う。まず、もっもと大切なことは、私たちは Leetspeak や携帯メールの省略表現,を引き続き避けるべきだということだ。そのような俗語や略語を使ってしまうと、読者のうちのわずかな割合しか理解できないということになるからだ。

もっと真面目な話としては、この年齢分布を見ると、TidBITS 読者のほとんどは肩書きを持ち、おそらくは経済的にも余裕があって、技術についての読み物に集中するだけの時間の余裕もあるということが示唆される。そのほかにも引き出せる結論が間違いなくあるが、その前にほかの結果もあわせて見てみよう。

職業 -- 年齢というのは、質問するのも簡単なら、回答するのも簡単だ。しかし、職業について質問するのは厄介なことだというのはあらかじめ分かっていた。とりわけ、調査に使用したソフトウェアでは選択肢が 10 までに制限されていたので、選択肢の多くは、様々な分野の仕事を一緒くたにしたものとなってしまった。実際、500 人を超える人が自由記入欄に職業を記入することを選択し、そのうち 100 人ほどは、さまざまな非常に具体的な仕事に加えて「元」と入力していた。選択肢の中から選ぶことのできた人の結果は次の通りだ。(この質問でも回答しなかった人がいた。)


  職業                                                 割合 (回答数)
  --------------------------------------------------   -------------
  CEO/社長/管理職                                       9% (242)
  ネットワーク管理者/システム管理者                     3% (105)
  マーケティング/広報/営業                              3% (81)
  ソフトウェア開発/QA/テクニカルサポート               11% (306)
  作家/編集者/ジャーナリスト                            5% (146)
  グラフィックデザイン/イラストレーション/レイアウト    6% (170)
  オーディオ・ビデオ制作                                2% (57)
  教師/医師/弁護士/その他専門職                        25% (690)
  コンサルタント/IT サポートプロバイダ                  8% (232)
  学生/退職/無職/家事                                  24% (651)

私の見るところ、ここから引き出せる結論は、多くの読者がすでに退職していること(これは年齢の結果とも合っている)と、読者の大多数は専門職に就いていること、そしてかなり多くの人が何らかの仕方でコンピュータ業界にかかわっているということぐらいだ。これらの結論は、退職している人の割合が多いことを除けば自明のことだろうが、それでも興味深い。

それよりも興味深いのは自由記入の回答だ。それをすべてここに並べる紙幅はないけれど、読者の中に多数の芸術家がいることが分かったのは、私にとってうれしかった。その中には、ガラスアーティスト、肖像画家、彫刻家、ファイバーアーティスト(この人は、このような職業リストに「芸術家」が含まれることがないのはどうしてかと書いていた。その理由は、芸術で生計を立ててゆける人の数が、残念ながらとても少ないからだ。)、そして多数の写真家が含まれる。音楽家も目立っていた。オペラ歌手や San Francisco Ballet Orchestra のトランペット奏者、Pittsburgh Symphony のイングリッシュホルン奏者、Robert Cray のベース奏者も TidBITS を読んでいるということを知るのは結構なことだ。

航空機産業に関連する回答をした人の数には驚かされた。航空会社のパイロットが何人か、企業のヘリコプターパイロットとジェット機のテストパイロットが1人ずつ、そしてもちろん航空会社で働く人や飛行機の修理をする人、航空宇宙工学の研究者も何人かいて、そのうちの1人は正真正銘のロケット科学者だ。

読者が回答した職業のうち、単に興味深いものとしては、照明デザイナー、Broadway の裏方、ワイン商、原子核科学者と酪農家(皮肉なことに、私の年配の親戚は、この2つの職業を両方とも経験したことがある)、"Virtual Assistant"、宝石商と、その人に会うべきかもしれない岩盤坑夫、地図作成家、暗号作成家、エスプレッソマシン修理技術者と、その人と仲良しになるであろうスロットマシン修理工、防衛問題解説者、人権活動家、漁業評論家、そしてある人は「私は実はプロのガールスカウトです」と書いた。また「聖職者として任命されたユーモア作家兼マルチメディア・パフォーマンス・アーティスト」などというものにどうやったらなれるのか、ぜひとも知りたいものだと思う。

冗談が出てきたところでついでに言えば、読者の中には、牧師、司祭、神官、僧侶、ラビといった人もいるだろう。常々考えているのだが、コンピュータのプラットフォームを選ぶというのは、ある種宗教的なところがある。もちろん、特定の宗教に関連しているというわけではないが。

皆さんの中に、Mac をちょっと変わった方法で使って魅力的な仕事をしている人がいたら、そのお話を出版する方法をぜひとも考えたいと思う。もしあなたがそれに当てはまるとお思いなら、詳細を私に電子メールで送っていただきたい。

Mac の数と技術的予算 -- ひとつ明らかになったことは、TidBITS 読者の大部分は少数の Mac を管理している個人だということだ。回答者の 39 パーセントは 1 台または 2 台の Mac だけを管理しており、41 パーセントが 3 台から 5 台の Mac を管理している。回答者のかなりの数、10 パーセントが、6台から 10 台の Mac からなるネットワークを管理しているが、それ以上になると、割合は急激に落ち込む。これもそれほど驚くべきことではない。Mac は再び業務でも使われるようになってきているとはいうものの、大きな組織ではまだそれほど使われていない。

同様に、ほとんどの回答者(66 パーセント)の年間予算は 5,000 ドル未満だが、5,000 ドルから 9,999 ドルまでを消費している人も 14 パーセントいる。それ以上になると、数字は落ち込むが、Mac の数の場合ほど急激ではない。数十万ドルや数百万ドルの予算がある人も少なからずいる。

コンピュータでの作業 -- この記事の締めくくりとして、読者がどのような作業をしていると回答したかを見てみよう。職業と同じように、ここでも選択肢が 10 に制限されているということが問題となって、自由記入の回答が多かった。この質問では、回答者全体の数に対して、それぞれの選択肢を選んだ人の割合を示している。つまり、全体の 99 パーセントが電子メール/ウェブ/チャットを選択したということで、回答しなかった人はほんのわずかだ。


  作業                               割合 (回答数)
  -------------------------------    -------------
  電子メール/ウェブ/チャット         99% (3141)
  ワードプロセッシング               88% (2795)
  スプレッドシート                   63% (1990)
  データベース管理                   39% (1253)
  ウェブデザイン/ウェブ管理          39% (1234)
  ネットワーク管理/システム管理      28% (910)
  グラフィックデザイン/レイアウト    39% (1250)
  オーディオ・ビデオ制作             24% (786)
  ゲーム/教育                        29% (917)
  トラブルシューティング/サポート    49% (1555)

この結果に説明の必要はないだろう。正直言って、私はどの数字にも特別驚かなかった。調査ツールでもっと多くの選択肢が使えればよかったと思う。というのも、とても多くの人が、自由記入回答の中にデジタル写真を含めており、ソフトウェア開発を加えた人も多かったからだ。もう1つ、自由記入回答でよく見られたのは、音楽を聞くとかテレビや映画を見る、あるいはオーディオやビデオをダウンロードするといったことにまつわることだ。また、多くの回答者が Mac を財務関係の作業に使っていた。つまり、会計管理、銀行取引、税金処理、資金計画、株取引などだ。自由記入で複数の回答があった本格的な作業としては、様々な分野の研究、CAD(コンピュータ支援設計)、科学技術計算、統計分析などがある。そして最後に、多くの人がブログを日常の作業として挙げていた。

あらためて考えてみると、私が用意した選択肢は旧態依然としていた。デジタル写真がないというのはもちろん大きかったし、オーディオ・ビデオ視聴も絶対に含めるべきだった。そして、TidBITS 読者の多くがブログを持っているとは思わないけれど、持っている人の絶対数はかなり大きいに違いない。このいずれも、驚くには値しない。なぜなら私たちもやはり Mac を、このような現代的な作業のすべてに長時間使っているからだ。

今後の記事では、この調査結果の別の側面を掘り下げてみたい。まずは皆さんが何をどのように読んでいるかに集中し、そしてそれらの結果をすべて合わせると TidBITS の内容とどのように関係するかで締めくくりたい。最後にもう一度、参加していただいた皆さん、ありがとう!


わが展望 (Vista) を切り開く

  文: Glenn Fleishman <glenn@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Windows Vista がプリインストールされた新しいラップトップ機を買ったばかりの私だが、実は、何と、これが結構気に入っている。

常連の TidBITS 読者の皆さんからの喧々諤々たる非難の矢をかわしつつ、これは私のメインコンピュータではないしそうするつもりも全くないことだけはお断りしておこう。私は 1985 年以来ずっと Mac プラットフォームを使ってきたし、それに現在私は _実動の_ Mac を5台ほど持っているのだ。(そう、私たち Mac オーナーはその違いを知っている。実動の Mac 以外に、大昔のビンテージ Mac でもう何年も電源を入れもしていないものが2台ある。)

私がDell Inspiron 6400 ラップトップを買ったのには二つ理由がある。第一に、私はテクノロジー分野のジャーナリストであって、Vista はあと一・二年のうちにこの世界で主流のプラットフォームとなるべく運命づけられているからだ。私としては、それがどのように動くのか、どうやって使うのかを知っておく必要があるわけだ。第二に、私は Wi-Fi およびワイヤレスデータに関してよく記事を書いている。新しいワイヤレスカードはまず Windows ドライバが出るのが常で、Mac ドライバは何週間もあるいは何年も遅れることが多いし、またしばしば全機能をサポートしていないこともあるからだ。

私の Vista システムに対する基準は、結構念の入ったものだった。私はデュアルコアの Intel チップが欲しかった。実際に購入したのは「お買得版」の Core Duo チップに Core Duo の Level 2 キャッシュの半分が付いたものだった。これで、私は同等の Mac プラットフォームと横に並べて比較ができる良いプラットフォームが手に入ったと思った。また、ExpressCard 拡張スロットも必要だった。なぜなら、それこそが新しい Wi-Fi やセルラーデータのモデムが扱われる場所となるからだ。同様の理由で、私は Intel から出たばかりの Draft N (802.11n) 内蔵型カード も注文した。こちらは今後一年間で最もたくさん売れる Wi-Fi アダプタの一つとなるだろうからだ。

最後にもう一つ、私は Vista がプリインストールされたのでない PC は買いたくない。いろいろなところに買いてあるものを読むと、今日 Windows XP を買って明日アップグレードするというのが愚か者のすることだということは誰が見ても明らかだろう。その上、私は自分が実行しようと考えているテストに必要なネットワーキングオプションを得るために少なくとも Vista Business タイプ以上のものを必要としていた。

私はメジャーなメーカーの製品を全部検討してみたが、私の必要を満たしてしかも手ごろな値段で手に入るのは Dell が一番だった。Dell 社はここ2年ほどいろいろな失策にまみれていた。その昔は顧客サポートの面に関して Apple 社にあまりひけをとらない第2位にランクされていたものの、その後は大きく滑り落ちていた。ただ、同社は Michael Dell が主導的地位に返り咲いたことで方向転換の兆しを見せ始めているようだ。

私が選んだ Inspiron 6400 は 15.4 インチスクリーン、2 GB の RAM、120 GB 5400 RPM のハードドライブ、デュアルレイヤー 8x の DVD バーナー、Draft N のアダプタ、それに 1.6 GHz の Pentium T2060 デュアルコアプロセッサを備えている。ただし gigabit Ethernet はない。(この記事が最初に TidBITS ウェブサイトに載った時、私はこの Inspiron 6400 に Core 2 Duo プロセッサが付いていると書いたが、実際は「お買得版」の Core Duo だった。)

コンピュータとともに、私は McAfee のアンチ「何々」製品すべてを含んだ完全パッケージを2年間購読で購入した。アンチスパイウェア、アンチウイルス、ファイヤウォール、その他アンチ何たらかんたら一切全部だ。このパッケージをコンピュータ組み込みで購入したのでソフトウェアが既にインストールされてサポートも付いており、しかも別途購入するより安く済んだ。それから私は 24 時間電話サポート付きの3年間延長保証も購入し、その次の日にはオンサイト修理の契約までした。

これら全部で売上税込み $1,500 ほどを払った。それほど悪い価格じゃない。

Dell はセットアップも簡単なものにしてくれていた。まず箱を開け、電源アダプタを差し込む。電源キーを押す。一枚の紙に印刷されたセットアップ用のシンプルなマニュアルも付いていたが、私はそれを参照するまでもなかった。ほんのいくつか質問に答えるだけで Vista の初期化ができ、それでマシンはもう動き出した。

セットアップして動かすのにたった2時間ほど費やしただけだったが、そこまでの Vista の第一印象はそう悪くなかった。確かに、必要以上にプログラムへの許可を認めるよう求めてくるし、単純に「オイ、このプログラムでこのアクションならもう信用して任せるよ」と言ってしまえないところが奇妙な感じだった。私が Windows XP の下で Zone Alarm Pro をもう何年も使っているが、そこでは簡単にそういうことができたのに。

けれども、あの McAfee のパッケージは、コンピュータをフリーズさせてくれた。最小化されたウィンドウが出てユーザーの許可を求めてきたのだが、そのためにスクリーン下端にあるタスクバー上の最小化されたウィンドウがすべてロックアップされてしまった。仕方なく私はあの懐かしい Control-Alt-Delete のトリックを使って Process Manager を表示させ、そこから McAfee プログラムを前面に持って来て作業を続けることができた。ただし、これが起こったのは一回だけだった。

Vista は、全体として、表面上は Windows XP に美しい装いを施しただけのように見えるという、一般に言われている評判がうなずける感じがする。(ただし表面下においてはたくさんのことが変わっているのだが、それらの変更がセキュリティや安定性の面でどのような結果を生み出すのかはこれからじっくりと見て行かなければならないだろう。)いくつか素敵な機能もあり、そのうちの多くは長年の Mac OS X ユーザーたる私には馴染みのものだが、だからと言ってケシカランと感じたり混乱させられたりすることはない。半透明性をはじめとするさまざまの機能を提供した Aero インターフェイスは、魅力的だ。これまでのところ、Vista は、うまく動いている。(まあ、もちろん、これから本格的に使い始めるようになれば、どんな厄介事が出てくるかわからないが。)

さて、ここまで読んでこられて、きっと皆さんの脳裏には「どうしてだい、Glenn、いったいどうして、君は単に MacBook Pro を買わなかったのか? だって、それならちゃんと完全版の Intel Core 2 Duo で、お買得版 Core Duo なんかじゃないし、ExpressCard スロットも付いて、Windows が走るんだから」という疑問が浮かんでいることだろう。

それに対する私の答はこうだ。現時点では、ネイティブなブートをさせるためには Windows Vista を Boot Camp の下でインストールするしかない。(ネイティブなブートでないと ExpressCard スロット用の Windows ドライバが働かないのだ。)こいつはちょっときつい。Boot Camp はまだベータ版だし、それに Apple はまだ Boot Camp で Vista をサポートしていない。

その上、同程度の装備を持った MacBook Pro を Apple から購入すれば売上税込みで $2,400 近くかかるだろう。もちろんこれには 2.16 GHz Core 2 Duo プロセッサに gigabit Ethernet、それに Apple の供給する RAM という遥かに優れたものが付いてくるわけだが、それでも MacBook Pro シリーズの中では一番安くて一番遅いマシンだし、サードパーティの RAM を自分で買おうと思ってももうほとんど予算が残っていないだろう。さらに言えば、Apple の製品サイクルから予想するに、もうあと二ヵ月から四ヵ月ほどのうちに新しいバージョンの MacBook Pro が出るのではないかと私は思っている。

Macworld Expo の会場で Parallels 社の人たちに聞いたところでは、彼らの仮想化ソフトウェア Parallels Desktop も、将来は ExpressCard スロットに挿した機器で走る Windows ドライバをサポートできるようになるかもしれないとのことだった。彼らの最新リリースで USB のサポートが向上しているのと同じような具合に、ということだ。でも、実際に出てくるまではあくまでも予想でしかない。

私がじっくりと考え抜いたプランはこうだ。Boot Camp か Parallels Desktop のどちらかを使って私の必要をすべて満たす形で Vista を手軽にインストールして走らせられる日が来るまでの間は、この Dell ラップトップを使うことにする。Dell から買えば、結構嬉しい値段でイケるはずだから。そして、当然のことながら、このことすべては私が将来 MacBook Pro を買う際の正当化の手段として、巧みに張り巡らしたメンタルなトリックに他ならない。でも、今はまだ、その時が熟していないのだ。


Nike+iPod はフィットネス指向のランナー専用

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

このレビュー記事を出すのを、わざと私は遅らせてきた。なぜなら、人気あるこの製品から少人数であっても人々を引き離すようなまねはしたくないと思えたからだ。でも、実は、それこそが私のしなければならないことだ。一言で言えば、この Nike+iPod Sport Kit は、iPod を持ってランニングしたい人、あるいは走るためのちょっとした動機付けが欲しい人には楽しい追加装備になり得るだろうが、その一方で、本格的なランナーが真剣に考えるべきようなものではないということだ。使いやすいラップカウンター機能や、走行距離とペースの正確性を重視する人のためのトレーニング・エイドとしては、これは全くお話にもならない。

まず第一に、いくらか背景となる状況を説明しておこう。私は、本格的なランナーだ。私は Cornell 大学の High Noon Athletic Club と一緒に週五日のトレーニングを続けているし、毎週の走行距離はおよそ 40 マイル(約 64 km)ほどにもなる。週のうち少なくとも一日は高速ワークアウト、もう一日は長距離を走る日と決めている。夏や秋のシーズンには週末にレースに出ることもよくあって、その距離は 5 キロメートルから 10 マイルまでの間でいろいろ、またクロスカントリーを走ったことも何度もある。冬場はインドアのトラックで走るが、距離は 1 マイルか 2 マイルのレース、あるいはメートル法の競技の場合は 1500 か 3000 メートルのレースだけに絞ることにしている。もちろん私ももう大人なので、優勝しなければ気分が悪いなんてことはないが、私はいつも一生懸命走っている。2006 年で一番嬉しかった思い出と言えば、2 マイルレースで私が 21 年前の高校時代に出した自己記録を 2 秒破るタイムが 12 月のレースで出せた時だった。あのレースで、私はラップごとのスプリットタイムを秒単位まできちんと計画して、16 ラップ目の先にまだあと 18 メートル距離が残っていることまで計算に入れていた。私にとって走ることは趣味であると同時に社交の場でもあり、体にとっての素晴らしいエクササイズであるとともに精神的な休養にもなっている。でも、私の走りにおいては、正確さもまた非常に重要な意味を持っているのだ。

私が言いたいのは、本格的と自負するランナーとしての私の意見を、プロフェッショナルなグラフィックデザイナーたちが「イラストレーションをすべての人の手にもたらす」と公言するプログラムを前にして漏らす意見と同じようなものと受け取って頂きたい、ということだ。

デザイン上の問題点 -- Apple と Nike が去年の 5 月に Nike+iPod Sport Kit を発表した時(2006-05-29 の記事“iPod を掴んで走り出せ”参照)に、私は自分のランニングと Apple テクノロジーへの自分の興味とが組み合わせられるチャンスが訪れたと思って喜んだ。その喜びに最初に冷や水を浴びせたのは、Nike 製のシューズが必要と書いてあったことだった。私は Nike は履かないし、本格的なランナーならば靴のブランド、さらに言えばモデルでさえも、気軽に変えたりはしない。それだけで負傷の危険が増すからだ。でも、その後間もなく多くのユーザーたちの手によってセンサーを他のシューズに取り付ける方法がいくつも発見されるようになってきたので、私は $30 のこのキットを購入した。(私は既に iPod nano を持っていた。何もなしで始める人は少なくともこれにあと $150 追加しなければならないだろう。)

注文した Nike+iPod Sport Kit が届いた時、私は心を弾ませて包みを解き、説明書を読んで、そして手を止めた。すっかり面喰らって。確かに、私はこのセンサーを私の Mizuno Wave Inspire ランニングシューズの中に差し込む方法は分かっていた。でも、でも、この iPod nano 自体はいったいどうすりゃいいんだ? こんな高価な小型機器を手に握りしめたまま 45 分も 60 分もいつものように走り続けるわけには行かない。説明書を見ると、iPod nano を体に付けておく普通の方法はポケットに入れるかアームバンドで腕に固定するかしかないようだった。でもランニングショーツにはポケットなんてないし、ポケットに入れるにしてもアームバンドを使うにしても iPod のディスプレイやコントロールが隠れてしまう。

もう一つ関係するのが私は決してイヤーバッドやヘッドフォンなど、そういったものを耳に取り付けて走ったりしないことだ。だから、iPod からの音声フィードバックを走りながら聞くこともできない。私が走るのはたいてい High Noon クラブの友人たちと一緒だから、そんな時に iPod を聴きながら走ったりするのは失礼なことでしかないだろう。でも、たとえ一人で走る時であっても、私はそういうことはしない。耳の中で音が鳴るフィーリングが好きではないし、ワイヤーが体のまわりにまとい付くのも嫌だ。それに、道路上を走る時には自動車や犬などが近づいてくるのをきちんと聞き分けられないのは危険極まりない。(多くのロードレースでヘッドフォン類の着用が禁止されているのにはちゃんと理由があるのだ。)だから、私にはどうしても目で見て分かるインターフェイスが必要だ。それに、交差点で立ち止まったり、靴紐を結び直すのにいったん止まったりした際、ワークアウトのポーズを入れるためコントロールにも手軽にアクセスできる必要もある。

それにもちろん、汗や雨などから iPod nano を保護する工夫もする必要があった。多少の雨が降ってもランニングには支障ないし、それに走っている途中で雨が降り出すかどうかを予測するのはいつでも可能とは限らないのだから。

こうして私は行き詰まった。いったいどうやってこの Nike+iPod Sport Kit を使えばいいのか、全然分からなかった。

Marware 参上 -- けれどもその後間もなく救いの手が、 Playlist 誌 で iPod 関係記事を担当している iPod エキスパートの Dan Frakes からの助言として届いた。私はその前から Dan との何げない会話で、iPod nano 用のリストバンドで Nike+iPod のレシーバを取り付けた状態で使えるものはないだろうかという話をしていた。当初彼はそういうものはないだろうという返事だったが、彼が知らせてくれたのは Marware が $30 の Sportsuit Relay を発表した時のことで、これさえあれば私の問題がすべて解決するように見えた。

この Sportsuit Relay は合成ゴムとゴムで作ったリストバント型のケースで、Nike+iPod レシーバを取り付けた iPod nano をほとんど完璧にカバーしてくれる。(イヤーバッド用に小さな穴が開いているが、水が侵入する心配があるとしたらよほど激しい土砂降りの時くらいだろう。)また、小さな Sportsuit Sensor ポーチも付いていて、これで Nike+iPod センサーを靴紐にベルクロで取り付けることもできる。Marware はまたこのリストバンド型ケースを上腕部に付けるための拡張器具も出している。これはなかなか良い製品で、Nike+iPod レシーバの付いた iPod nano のための防水ケースが欲しい人にはどなたにでもお薦めできる。

けれども残念ながら、このリストバンドで私が感じた一番の問題点は、Marware には解決できないものだった。iPod nano は長細くて薄いので、私の手首にうまくフィットしてくれる。でも、その向きでは、スクリーンがどうしようもなく見にくいのだ。もちろん、iPod のディスプレイを 90 度回転させるなんて不可能だから。

調整とテスト -- この Nike+iPod Sport Kit はセンサーの中の加速度計を使って足の動きを探知する。そのままの状態でも使えるのだが、Apple は距離の分かった区間でこれを調整モードにして走ってみることによって再調整することを勧めている。Apple の出している Nike+iPod Technical FAQ によれば、この加速度計はあなたの足が地面に接地している時間量を判定することによって動作しているようで、Apple はその時間量があなたの走行ペースと直接に関連すると主張している。ならば問題は、Nike+iPod をある走行ペースで再調整したとして、それが違ったペースで走った時にも正確に動作するのかどうかということだ。

これをテストするため、私はまず最初に楽な 400 メートル(.25 マイル)をマイルあたり約 7:30(分速 210 m)のペースで走りながら再調整を実行しておいた。その日のワークアウトは 600 メートル(.375 マイル)を 5 本、マイルあたり 4:40(分速 340 m)のペースで走るというものだったが、これらの 600 メートル(.375 マイル)走では毎回、iPod は .31 または .32 マイルと走行距離を表示した。つまりおよそ 15% も短く表示してしまったのだ。他方、600 メートル走の合間にクールダウンのため楽に走った 400 メートルでは、iPod の表示は正確だった。きっとこれは再調整の際と基本的に同じ速度で走ったからなのだろう。どうやら、異なったペースで走るのは Nike+iPod の正確性に悪影響を与えるようだ。ただし、その理由が私のストライドが伸びたからなのか、走りのピッチが少し速くなったからなのか、それとも何か私の足並みに違うところがあったのか、本当のところは私には知る由もない。

実は、私のこのトラックテストはあまりフェアなものだったとは言えない。なぜなら Nike+iPod のインターフェイスはいずれにしてもトラック上でのワークアウトでは無意味なものだからだ。ほとんどすべてのランナー用デジタル腕時計や、さらに言えば最近の iPod に内蔵されている独立のストップウォッチ機能にさえも、必ずと言っていいほどラップカウンターが付いているが、この Nike+iPod のインターフェイスにはそれがない。だから、インターバルごとにいちいちワークアウトをスタートさせては止めるか、あるいは個々のラップごとにストップさせて、リセットし、また新しいワークアウトを始める、ということをしなければならない。そんなことはとてもやっていられないし、いくらインターフェイスが分かりやすいものだとは言っても、iPod のコントロールは走りながら正確に探ってボタンを押すということがかなり難しい。特に暑い日で体が汗ばみ、力を振り絞ったために手が震えているような場合には無理だ。

私はまたこの iPod を持って 8 マイル(13 km)の往復ロードランを中程度のペースで走ってみた。正確な距離の分かったトラックが近くにないためあらかじめ中程度のペースで再調整することはできなかったが、それよりも私は起伏のある一般道を走った場合に何か違いが出るのかどうかという点に興味があった。特に、この時走った道は往路がかなりの上り坂で帰りが下り坂だったからだ。そして何たることか、この Nike+iPod はこのテストでも見事なまでに悲惨な結果を示した。記録された距離を見ると、往きが 3.53 マイルで帰りが 1.86 マイル、合計 5.39 マイルとなっていたのだ。実際の合計距離(8 マイル)から 33% も違っているのはきちんと再調整が為されていなかったためだとしても、少なくとも往きと帰りの距離は同じくらいになるべきだろう。

これらのテスト、それから他にもいろいろやってみたテストでも、ただただ同じ結果が確認されるだけだった。私はかなり日常的に Nike+iPod を使って走り、その結果を既知の距離と比較したり、また Garmin Forerunner 201 GPS の表示する距離と比較したりしてみた。(そう、こういった電子機器を手首のあたりにたくさん付けて走っている私の姿はかなりの見ものだった。)一般的に言って、Nike+iPod の示す結果は相当変化が激しかったが、私の走るペースは毎回大きく違うことが多いし、さらには一回の走りの中で変化することもしばしばなので、うまく結果を予測する方法はないように思えた。

(Paul Lightfoot が 2005-07-25 の記事“Garmin Forerunner GPS と走る”で報告している通り、Garmin Forerunner 201 の結果にも頼りないところがある。もしもその走行全体にわたってロックされた衛星との良好な通信が確保されさえすれば、結果は高度に正確なものになり得るが、もしも何らかのトラブルが絡んでくれば、例えば雲が広がったり、衛星の位置が悪かったり、あるいはあなたのショーツの色が良くなかったりすれば、急激に正確度が落ちてしまう。それでもこの機器は読み取りが易しいし、良いラップカウンターが付いているし、その上防水だ。Garmin によれば、新機種では衛星からの信号をより良く受信できるようになっており、$375 のその Forerunner 305 にはワイヤレスの心拍数モニタも付いて、さらにオプションとして $100 出せば加速計ベースの Foot Pod が使え、インドアのトレーニングや、衛星がきちんと整列していないなどの場合に自動的に動き出すようにできるという。)

ペースの正確度というものは正確な距離の測定に依存するのだから、この Nike+iPod の表示するペースの数字にも怪しいところがある。例えば、もしも私が 600 メートルを 1:47(マイルあたり 4:45)のペースで走ると、iPod はその .375 マイルのはずの距離を .32 マイルと記録してしまう。すると、表示されるペースが突然「マイルあたり 5:34」という全然違った数字に変わるのだ。この混乱の原因は何かというと、これは Nike+iPod のマニュアルには全く触れられていないのだが、ワークアウトが進行中には、表示されるペースはあなたが設定したペースであって、現在進行中のワークアウトのペースではないのだ。この事実を教えてくれた TidBITS 読者の Mark Wickens に感謝したい。それまで私は、ワークアウト中表示されるペースが不正確に見えることにただ首をかしげるだけだったのだから。

もっとテストが必要? -- この記事を最初にウェブに掲載した時から、私の Nike+iPod が不正確な結果を出す理由についていくつかのコメントを頂いている。オーストラリア在住のコンピュータ・コンサルタントで陸上競技のコーチ、ロゲイニングのチャンピオン、さらにはグリーンベレーでもある(だからして私は彼の意見に個人的に反対することなどとてもできない!)Mike Donato は、彼自身によるテストの結果を教えてくれた。それによれば Nike+iPod は正しい Nike 製シューズとともに使えばおよそ 99% 正確で、Marware のセンサーポーチで使えばおよそ 75% しか正確でないとのことだった。もちろん Marware のセンサーポーチと使う時には Nike+iPod で再調整が必要となることは当然だと私も思うが、でもいったいどうして Nike 製シューズを使うことで私の直面した問題が消え失せることがあり得るのか、私には理解できない。結局のところ、Marware のセンサーポーチを付けて再調整の時と同じペースで走った場合は、フラットなコースにおいて Nike+iPod は完璧に正確だったのだから。残念なことに、私は昔 Nike のシューズで嫌な経験をしたことがあるので、テスト用の数回以上は履くつもりのないシューズに一足 $100 かそれ以上も払う気にはなれないでいる。

Grantwood Technology の Mike Banks からも便りが届き、彼の会社の製品、Shoe Pouch を勧めてくれた。これも競合製品で価格は $6 だ。Mike によれば彼自身も他の人から Marware のセンサーポーチを使ったことによる不正確な結果についての批判を聞いたことがあり、彼はこれがシューズの中でセンサーが動いてしまう(注意深くしないとしっかりと固定できない)ことによるものか、あるいはセンサーの向きが正しく取り付けられていない(Nike シューズに正しくフィットするようにデザインされているため)からか、いずれかの理由だろうと考えているという。Mike は、Shoe Pouch を使えばこれらの問題がすべて解決し、正確度も向上すると言う。私もこれをテストしてみて、後日その結果を報告したいと思う。その後 Mike Donato と話した時にも、取り付けが緩い場合には正確度が低下するという話になり、特に Nike+iPod Sport Kit を他メーカーのシューズで使う場合のさまざまの方法を論じる中で、Marware のセンサーポーチについてそのことを書いたものがあると紹介してくれた。

正確度が低いという報告が届いていないのだろうかと問い合わせてみると、Marware の Lee Goldring によれば、Sportsuit Sensor ポーチと共に使った場合の Nike+iPod の正確度に関する苦情で Marware がこれまでに受け取ったものは、取り付けの向きを間違えた場合に関することだけだったという。そのユーザーがポーチの中のセンサーを正しくオレンジの側を下に入れ直すと(オレンジ側を下にすることはポーチに添えられている説明の紙にも Marware のウェブサイトにも明記してある通り)その途端、正確度の問題は消え失せたとのことだった。私の場合は最初からセンサーを正しい向きに入れていたので、これは私の問題とは無関係だった。

明らかに、私はもっとしっかりとセンサーを私のシューズに固定しなければならないようだ。古いシューズで穴を開けて実験してみることもやってみようかと思う。こういういろいろな話を聞いてから、私は一度試しにセンサーポーチを思いっきりしっかりと固定してから短い往復ロードランをやってみた。その結果は往きと帰りでぴったり同じ距離が出たが、ただこの時は平坦なコースを再調整のペースで走っただけだった。

Apple でさえもいろいろな場所で正確度の問題点について認めていることは触れておくべきだろう。Apple のウェブサイトにあるサポート記事には、再調整の際には必ず一定のペースで走ることが重要だとはっきりと書いてある。いわく、「一定でないペースで走ったり歩いたりすると、また、実際に移動した距離が設定されている調整距離より長かったり短かったりした場合、予期せぬ結果になる場合があります(例えば、ワークアウトの距離が間違って表示されるなど)。」さらに、マニュアルにもこう書いてある。「再調整の後であっても、歩調、路面状態、傾斜、あるいは温度などの要素によって距離測定の正確度が変化することがあります。」それは結構な話だが、本格的なランナーにとってはそういう要素すべてが刻々と変化することなのだ。

フィットネス指向の人には好適 -- 私の批判を誤解しないでいただきたい。この Nike+iPod Sport Kit は、基本的にはそれがすると称していることをきちんとしているのだ。あなたがどのくらいの距離をどのくらいの速度で走ったかについていくらかのデータを提供してくれ、あなたが指定した通りの(非常に正確とは言えないまでも)距離を指定した通りの時間で走り切れる手助けもできる。iTunes で同期すればあなたのデータを Nike ウェブサイトにアップロードでき、実際に多くの人たちがそれで自分のワークアウトや一月に走った距離、あるいはレース結果などをオンラインの友人たちと比べるのことで自分の励みにしている。それにもちろん、走っている最中に一人で不安になったり周囲の環境が気に障ったりした場合には、音楽やポッドキャストを聞くこともできるだろう。

締めくくりに言っておこう。一人でも多くの人たちに走る喜びを広めることができるものならば、何であってもそれは良いことだ。Marware の Sportsuit Relay と組み合わせれば、Nike+iPod もまさにそういうものの一つとなる。でも、もしもあなたが本格的なランナーで、正確な走行距離とペースの測定が提供できる使いやすいトレーニング・エイド(ことにシューズを買い替えずに済むようなもの)を探しているのならば、別のものを探した方がよい。たとえ私の Nike+iPod の正確度に対する批判がテストにおける私のミスに起因するものであったとしても、物理的デザインが不格好なことや、ラップカウンターが付いていないことを考えれば、他の機器の方が便利だろうと言わざるを得ない。


TidBITS Talk/12-Mar-07 のホットな話題

  文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

あなたのユニコードフォントを調べる -- ある読者から、どうすればユニコード文字を見ることができるかについていくつかヒントが寄せられる。 (1 メッセージ)

アポや部屋割りのためのスケジュール用ソフト -- 大がかりな業務用ソフトウェアを使わずに、小規模のグループ内でのスケジュールを管理するにはどんな方法があるだろうか? いくつか選択肢が紹介される。 (8 メッセージ)

インターネット調査で学んだこと -- インターネット調査の有効性について書いた Adam の先週号の記事をめぐって、ランダムなサンプリングと応答率についての議論が展開する。(13 メッセージ)

Dragon Naturally Speaking を Parallels と Bootcamp の下で -- ある読者が、Dragon 社製の Windows ベース口述筆記用ソフトウェアを、Parallels Desktop と Boot Camp の両方で使って比較テストする。 (4 メッセージ)

Mac OS X のマウス加速問題 -- Mac OS X でのマウスの挙動に関する先週号の記事に読者たちが反応し、他のソフトウェアの紹介や、ペンタブレットについての質問も寄せられる。 (19 メッセージ)

Gigabit Ethernet 用の USB アダプタ -- USB アダプタを使って 1000 Mbps の Ethernet 速度を得ようとするのは、古い Mac でも有望な方法のように見えるが、実はそこには重大な制限事項が存在している。 (2 メッセージ)

Mac OS X ユーザは 2200 万人 -- 世界中の Mac OS X ユーザの人数を見積もった報道を受けて、読者たちがそれをオーストラリアの人口(約 2100 万人)などと比較する。 (4_メッセージ)

わが展望 (Vista) を切り開く -- Glenn Fleishman が Vista 装備のラップトップを買ったという記事に触発されて、Microsoft Vista を使ってみた Mac ユーザたちの体験レポートが届き始める。 (3 メッセージ)

Macworld Expo セッションがダウンロード可能に -- Macworld Expo セッションにオンラインでうまくアクセスできないという読者がいたが、どうやら問題は Macworld.com から振り向けられて膨大なトラフィックが押し寄せたためだったらしい。 (4-メッセージ)


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