TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1019/22-Mar-2010

今週号も、きっとどなたのためにも一つは役に立つ記事があるだろう。まず、Adam が悲しいニュースをお伝えする。Now Software 社が終焉を迎えたのだ。Adam はまた Google Wave に対して詳細にわたる批判記事も書いた。それから Matt Neuburg が GTD に着想を得たアプリケーション Things をレビューし、Doug McLean が多発している Time Capsule の不具合を調べる。Mark Anbinder は FileMaker Pro 11 の新機能を概観し、Glenn Fleishman は Amazon による Mac OS X 用 Kindle ソフトウェアのリリースを報告するとともに、Apple が iPad のバッテリ交換に関する方針をきちんと公表していないことによる混乱を伝える。最後にもう一つ、先週の DealBITS 抽選で当選しなかった人のために、請求書作成ソフトウェア ProfitTrain の割引販売を実施中だ。今週注目すべきソフトウェアリリースは、BusyCal 1.2.3 と Phone Amego 1.1.14 だ。

記事:

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Now Software 社が店じまい

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

とても残念なことだが、Now Up-to-Date & Contact ソフトウェアとそれに代わる Now X のメーカーである Now Software 社が日常業務を停止したことをお伝えしなければならない。同社の代表 John Wallace がウェブサイトを作って 既存の Now Software 顧客に対するサポートにあたっている。そのサイトでは、既にライセンスを受けたソフトウェアの再ダウンロードを提供するとともに、技術サポート用のユーザーフォーラムも設けている。

そのサイトに、Now Software コミュニティーにあてた John からのお別れの挨拶も載っている。その中で、彼は会社が基本的にその能力以上のことを注ぎ込んで次世代のコンタクト・カレンダー管理ソフトウェア Now X に取り組み過ぎたと説明している。Now X はコードネーム NightHawk の下で開発に何年も費やしてきていた。

Now Up-to-Date & Contact は、非常に古いコードベースに基づいて書かれており、この旧来のコードで達成できるごく基本的な Mac OS X 互換性を超えるものを得るためには完全に一から書き換えるしかないことを Now Software の開発者たちはよく知っていた。けれどもカレンダーを扱うソフトウェアを優れたものに仕上げるのは大変困難なことであって、広く散らばった多様なワークグループのメンバーの間で共有できる機能を提供したいのならばなおさらだ。その上、Now X はカレンダー管理とコンタクト管理の両方を一つのプログラムに詰め込まなければならなかった。

そのため作業には予定したより何年も長い期間を要し、その結果として Now Software 社は、古びた Now Up-to-Date & Contact からは大した収入を稼ぐことができず、その一方で Now X の開発にまだまだ大きな資金を必要とするという状況に陥ってしまった。Now X は 2009 年 8 月に公式に出荷されたけれども、荒削りなところが数限りなく残っており、しかも Now Up-to-Date & Contact ユーザーたちの多くは既に他のプログラムに乗り換えてしまっていた。どうやら Now X の売上げは、会社を危機から救えるだけのものをもたらすには十分でなかったようだ。

私たちは、まず BusyMac の BusySync と iCal に移行(2008 年 12 月 12 日の記事“Now Up-to-Date から iCal と BusySync へ変換”参照)し、その後 BusyCal に移行した。ちょっと愉快なのは、その結果私たちは Now Up-to-Date を元々作り出した人たち、 Dave Riggle と John Chaffee の作品へと立ち戻ったのだった。私たちは Address Book も使っているが、こちらはあまり満足がいくとは言えない。

今回店じまいを発表したこの Now Software 社は、実は二度の生まれ変わりを経験している。最初の会社は、私の記憶では 1990 年代の初期にシェアウェアのユーティリティをいくつかアップデートして一つにまとめた Now Utilities を中心に発足した。その後 1997 年に会社が Qualcomm に買収された時点で、Now Software は米国で 71 番目に大きなソフトウェア会社とされ、2 百万人近くのユーザーがいた。(当時、Qualcomm には 1 千 8 百万人の Eudora ユーザーがいた。世の移り変わりには感慨深いものがある。)見たところ、この買収はコンタクト・カレンダー管理についての Now Software の技術を Eudora ユーザーたちに Eudora Planner プログラムという形で提供することを狙ったもののようだったが、その試みは成功しなかった。その後ユーティリティ会社 Power On Software が 1999 年に Now Contact と Now Up-to-Date、それに Eudora Planner の権利を買い取った。

それから三年後、Power On Software は会社の中の一部門として Now Software の名前を復活させた。(2002 年 7 月 29 日の記事“Macworld Expo New York 2002 報告”参照。)その後、会社本体の名前を Now Software と改名するとともにそれまでの Power On Software の製品をすべて捨て去り、バンドル製品としての Now Up-to-Date & Contact のみに焦点を絞ることにした。それから長い年月にわたり、Now Up-to-Date & Contact はワークグループ向けのコンタクト・カレンダーツールの中で最も有能なもの、という定評を保ち続けた。とりわけ、iCal が共有に関してはどうしようもなくひどいこと、Address Book にはごく最近まで共有機能が一切なかったことがその要因となった。2006 年には、私たちが Now Software と提携して無料の電子ブック "Take Control of Now Up-to-Date & Contact" を作ったが、これは現在でもダウンロードで入手可能だ。

自分が頼りにして使っていたことのある製品を作った会社が消え行くのを見守るのはいつでも悲しいことだ。Now Software についてはそれがことさら強く私たちには感じられる。なぜなら、Take Control 電子ブックで共にプロとして仕事をしたよりもずっと以前から、私たちは John と Sheila Wallace も、その他何人もの Now Software 社員も、何度も MacHack や Macworld Expo の会場で会って知っていたからだ。彼らすべてに幸運を祈りたい。そして、彼らが次に手がける仕事を、楽しみに待ちたい。

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Amazon、Kindle for Mac をリリースそして iPad 計画も明らかに

  文: Glenn Fleishman <glenn@tidbits.com>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

The Unofficial Apple Weblog (TUAW) で我々の同僚は一人の読者に Amazon がついに Mac OS X に対する Kindle アプリケーションをリリースしたと教えられた。Kindle for iPhone アプリ は一年前に、そして Windows バージョンが昨年の 11月に登場した ("Amazon が iPhone 用 Kindle ソフトウェアをリリース" 3 March 2009 参照)。この無料の Mac OS X ソフトウェアは現在 1.0.0 Beta 1 の番号となっている。

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Amazon はまたスクリーンショットと iPad アプリに対する計画の詳細もリリースした。Apple は開発者達に対して 3月27日までに提出されたアップスは 4月3日の iPad 出荷日には App Store でのリリース対象として考慮すると言っている。

Amazon はその iPad 製品ページを "Kindle Apps for Tablet Computers" と遠慮がちに名づけ、その後にはより小さな字体で "iPad も含む" と綴っている。このアプリは Mac OS X 及び iPhone アップスに極めて似たもので更なるコントロールが追加されている様である。(Amazon が使っているこの言い回しは iPad の詳細を含む Apple との交渉の一部なのかもしれないし、或いは Apple のハードウェアとは一線を画していることを強調する独自のやり方なのかもしれない。)

Mac OS X プログラムと iPad アプリの両方とも、同じ Amazon アカウントを使って Kindle Store 或いは Kindle 機器から購入したどの本でも読みそして取り出すことが出来る。新聞、雑誌、そしてブログの購読 - Kindle ハードウェア上で入手出来る - は含まれていず、そしてこれは Windows 及び iPhone ソフトウェアでも同じである。

Mac OS X 及び iPad アプリの両方とも本の表示を iPhone アプリよりもずっと大きな自由度をもって調整させてくれる。Mac OS X プログラムでは、タイプフェースは Georgia に固定されるが 10 の字体サイズから選択出来る。更に読みやすさを助けるためコラムの幅も変えることが出来るが、列間の垂直方向の余白は変えられず、字体サイズに連動して固定される。

iPad アプリは、漠然と記述された "フォントサイズ" カスタマイズに加えて背景の色を調整そしてバックライトの明るさを設定させてくれる。このアプリはまたページめくりのアニメーションも使っているが (不能にも出来る)、これは iPad 発表で Apple の iBooks で見たのと似ている。

Image

iPad アプリは、ブックマークの付与と削除、テキストのハイライト、そしてノートの作成をさせてくれるが、 これは iPhone アプリと同様である。Mac OS X ソフトウェアはブックマークの操作はさせてくれるが、ノートとハイライトは見るだけである。Amazon はそのプレスリリースで "近い将来" のアップデートでノート作成とハイライト機能を可能にすると言っている。

Amazon の Whispersync サービスはその全てのソフトウェアで働き、読みかけで中断した場所を覚えており戻ることが出来、そして注釈、ノート、そしてブックマークも最新状態に保ってくれる。

Mac プログラムでのテキスト読み上げ機能については何も触れられていないが、これは Kindle 2 と Kindle DX の機能 (そして小さなセールスポイント) である、この機能は議論の対象となっている ("Why the Kindle 2 Should Speak When Permitted To" 2 March 2009 参照)。理屈の上では、Mac OS X に内蔵された音声合成機能を使えば Mac でこれをやるのはさほど難しいとは思えない。iPhone アプリでも iPad アプリのプレビューのどちらでもテキスト読み上げには触れていない。

Kindle Store の小さな秘密は、出版者が無料で提供している本が結構あることで、これを読んでみることでこのソフトウェアを試してみることが出来る (幾つかの素晴らしいタイトルを無料で楽しめるのは勿論)。このリンクは全ての Kindle 本が最低価格を先にして、$0.00 から始まる、ソートされて表示される。その上で左のナビゲーションバーで題名カテゴリをクリックすることで検索範囲を狭めていくことが出来る。

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FileMaker Pro 11、歓迎すべき拡張を約束

  文: Mark H. Anbinder <mha@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Apple の子会社 Claris が 20 年前に FileMaker Pro 1.0 を市場に出したのだったが、その 1.0 バージョンですらも既に、FileMaker の物語が始まってから何年も経ったものであった。それは、骨の髄まで Mac 流の精神が行き渡ったデータベースツールで、使いやすいインターフェイスを提供することによって、ごく普通のコンピュータユーザーたちがデータベースを作成し管理できるようにしてくれるものだ。FileMaker Inc. が最近リリースした同社の FileMaker Pro 11 製品スイートは、歓迎すべき機能を追加すると同時に、このソフトウェアのトレードマークであるエレガントさもきちんと保っている。

まず初めに、FileMaker Pro 11 for Mac がようやく純粋な Cocoa ベースのアプリケーションになったという歓迎すべきニュースを紹介しよう。FileMaker Pro 10 は Carbon と Cocoa のハイブリッドであり、それ以前のバージョンは Carbon アーキテクチャを使っていた。この変更はマニアックなものに聞こえるかもしれないし、実際これはほとんどのユーザーが気付かない種類の、内部の動作に関することがらの一つだ。それでも、これによってより良いパフォーマンス、安定性、さらには将来のバージョンの Mac OS X との互換性に繋がる可能性が提供される。(同社はクロスプラットフォーム FileMaker Pro 製品の Windows 版もこれと同時にリリースしたが、それについての議論は他の人たちに任せることにしよう。)

また、FileMaker Pro 11 には既製のテンプレートが以前よりさらに多数含まれていて、ユーザーが使い始めるのに便利になっている。それから、より開発者向けに作られた FileMaker Pro 11 Advanced では、カスタムメニューのインターフェイス改善とスクリプトのデバッグ機能改善が提供されている。

私の注意を引いた FileMaker Pro 11 の新機能が四つある 。新設のチャート機能、スクリプト化可能な QuickFind ツール (iTunes や Mail の検索機能と似た挙動をする)、あなたのデータの特定の表示を別のユーザーに手渡すことのできる "Snapshot Link"、それから変化する可能性のある外部データを扱うために最適な自動反復読み込みだ。

チャート -- 幅広い層からの支持を得ている機能の一つが、FileMaker Pro 11 に新たに内蔵されたチャート機能だ。これまでチャート作成は主としてスプレッドシートのアプリケーションに限られた機能であった。つまり、これまでは、FileMaker ユーザーはデータを書き出してそれを Excel に読み込ませなければごく簡単な円グラフさえも作れなかった訳だ。今回 FileMaker Pro 11 に新設されたチャート作成およびレポート機能は、このアプリケーション全般にわたって働く。つまり、最新のデータに基づいたチャートが、どのレイアウトにも追加できるし、どのデータフィールドからの情報も生かせるのみならず、FileMaker の計算エンジンをフルに活用できる。

QuickFind -- 今や iTunes や Mail のなかった時代を思い出すのも難しいし、地球上にあるすべてのウェブブラウザには一つ残らずウィンドウの右上の隅に検索フィールドが付くようになったが、従来のバージョンの FileMaker Pro では依然としてユーザーが個別のフィールドを指定して検索しなければならなかった。けれども今回から、QuickFind 検索フィールドを使えばユーザーがそのデータベース全体にわたる検索をすることができるようになった。

Snapshot Link -- この機能には数限りない応用の可能性があって非常に興味深いと思う。FileMaker Pro 11 ユーザーは、データベースの特定の表示、例えば特定のレイアウトの中の特定の選択されたレコードが表示された状態などを、仲間の誰かに送ることができる。もちろん、特定のフォーマットのデータを表示した PDF を仲間に送ることはずっと以前からできたが、今回新設された Snapshot Link 機能は、実際にデータベース自体の表示であって、受け取った方は十分なアクセス権さえあればライブのデータをアップデートしたり、検索を調整したり、その他のことができる。もちろん、PDF とは違って、受け取った人はオンラインでありかつデータベースへのアクセスの認証を得ていなければデータを見ることができない。

自動反復読み込み -- 新設されたこの「反復読み込み」機能で、FileMaker Pro 11 が外部ファイル、例えば別のデータベースやスプレッドシートなどの内容を扱うことができ、そのデータにおける変化を自動的に認識することができる。FileMaker 社の人たちが私に教えてくれた実例は、各郡の消費税率を示した外部スプレッドシートだった。顧客への請求書のデータベースがそのスプレッドシートを参照して、請求書を作成する度に対象となる顧客に適用される消費税を調べるというものだった。消費税率は変更されることがあるので、このデータを別に扱うことでうまく行く。

価格とアップグレード -- このソフトウェアは現在入手可能で、FileMaker Pro 11 は $299、FileMaker Pro 11 Advanced は $499、FileMaker Server 11 は $999、FileMaker Server 11 Advanced は $2,999 となっている。 アップグレード価格が適用されるのは Filemaker 9 と 10 のライセンスを受けたユーザーと、それに加えて 2010 年 9 月 23 日までに限り FileMaker 8 と 8.5 を使っているユーザーも含まれる。アップグレード料金は FileMaker Pro が $179、FileMaker Pro Advanced が $299、FileMaker Server が $599、FileMaker Server Advanced が $1,799 だ。

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iPad 電池交換の記事が混乱を生む

  文: Glenn Fleishman <glenn@tidbits.com>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

iPad は未だ出荷もされていない、しかし AppleInsider による iPad に関する電池交換 FAQ 入力の発見はこの話題に関する相次ぐ記事へとつながって行った。十分な充電量を保持出来なくなった iPad の電池に関しては、交換するのではなく、Apple はあなたiPad そのものを新しいものと交換して欲しいと思っている - 将来的には再生品、中古品と。

しかしこの話の行き着くところは電池の弱点は全てあなたの問題であると言うことの様に見える。交換のためにあなたは $105.95 を払う ($99 がハードウェア用でそして $6.95 が往き帰りの送料である;それに税金が必要な所ではプラスになる)。この New York Times ブログ入力では、例えば、大事な事に触れていない:元々のそして延長された製品保証について。

この混乱に輪をかけているのはその販売価格と一緒になっている iPad 基本保証に書かれている表現である。その全文は PDF としてダウンロード出来る。その保証は以下の様に言っている:

この保証は以下には適用しない:(a) 消耗部品、電池の様な、或いは経時劣化が想定されている保護コーティング、但し欠陥が材料又は加工の瑕疵によらない限りは...

これは AppleCare Protection Plan 契約の表現とは際立っている、もっともその契約文は見つけるのにちょっと手間取るが。AppleCare 契約を $99 で購入すると iPad に付いてくる一年間のハードウェア補償を二年に延長しそしてもっと明確な表現が提供される。(更に iPad 購入で付いてくる無料の電話サポートも 90 日から二年間に延長される。)

オンラインの Apple Store を訪れ、クリックしながら iPad の予約注文へ行き、そして AppleCare の所で Learn More リンクを展開すると、以下のリンクされたものが Apple Hardware Coverage に対する脚注として見ることが出来る:

電池に対するサービス保証は原仕様から 50% かそれ以上減耗した場合に適用される。

同様な記述が 実際の AppleCare Terms and Conditions PDF でも見られる:

Apple は、その自由裁量により、該当する Covered Equipment を修理又は交換する、もし (i) Repair Coverage Period 期間中に Covered Equipment の材料又は加工に瑕疵がある場合又は、(ii) Coverage Period 期間中に、Covered Equipment の電池の保持する充電量がその原仕様から 50% 或いはそれ以上減耗した場合、(完全に充電した後で Covered Equipment が全ての設定がリセットされた状態で音楽又はビデオを演奏している状態)。

さて、これは次の様に解釈出来るということなのだろうか、通常の保証付きで購入した一年以内に、元の充電の 50% を保持出来なくなった電池でも正等に動作していると見做される?これは想像も出来ない、そしてこれまでも Apple が充電がうまく行かない iPhone や iPod touch の電池を通常の保証期間内に交換するのはやぶさかでないと言うのを見てきた。

一方 AppleCare の方は通常の不具合以上の場合まで想定している様に見え、二年以内の多用に耐えられない電池に対する交換を提供している。

Apple の広報は、我々からの説明依頼に対して保証が何を補償するのかについては未だ何も明らかにしていない。しかしながら、その欠陥についての記述や個々の米国州が保証条件を履行させている現状を見ていると、Apple がこれについてかわい子ぶりをしそうには思えない。同社はこれまでに iPod や MacBook に関して電池に対する訴訟、悪評、和解、そして延長修理プログラムと十分な経験をして来ている、と私は思いたい。

TidBITS の友人である Jeff Porten が Macworld に書いているが、Apple から提供されている情報に基づく限り iPad の電池が劣化を兆しを見せる始めるまでには 400 から 500 回の充電サイクルが可能と彼は見ている - これはかなり使っても三年にあたる。

この劣化の程度は iPad が 80 から 90 パーセントしか保持できなくなった時に目に付くようになるかも知れない。iPad が保証対象とする 50% のレベルに達するまでには後数年が経っている可能性があり、その時点では AppleCare の保証期間すらとうに過ぎているかもしれない。

その時点では、$105.95 (もしこの料金がまだ生きているとして) の出費は iPad の寿命を刷新するコストとしては悪くないのかも知れない。もっとも Apple にすれば、新しい iPad を買って欲しいと言うのが本音であろうと思うし、それに値する新機能も付け加えられているであろう。

iPhone での時と同じ様に、密閉電池に関する問題はあるとすれば十分に一年以内に起こるであろうと私は思っている。どうもユーザー交換不能の電池に対する恐怖が問題の現実をはるかに超えてここまで来てしまった話の様に思える。

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DealBITS 値引き: ProfitTrain が 20% 安くなる

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

先週の DealBITS 抽選で当選し、ProfitTrain 2.0($49.95 相当)を受け取ることになったのは、gmail.com の Ralph Richardson、verizon.net の Loren Celentano、gmail.com の Clarence Ching、pobox.com の David Weingart の4名だ。おめでとう! 残念ながら当選しなかった皆さんも、Clickable Bliss が 2010 年 4 月 5 日までの期間、 ProfitTrain 2.0 の 20% 割引をすべての TidBITS 読者のために提供しているので、Clickable Bliss のオンラインストアで Coupon Code フィールドに "tidbits2010" と入力すれば割引を受けられる。今回の DealBITS 抽選に応募して下さった 281 名の皆さんに感謝したい。今後の DealBITS 抽選もお楽しみに!

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Time Capsule の故障:何時発生し、何をすべきか

  文: Doug McLean <doug_mclean@tidbits.com>
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

全てのハードウェアはどの時点かで故障するのは避けられないが、我々は一般的に、あるパターンが現れる、その問題が比較的大多数の人に影響すると思われる、或いは製造者が明白と思われる証拠を無視している時までそれを採りあげることはしない。

TidBITS の編集者達も人づてに数ヶ月にも亘って、Apple の Time Capsule ベースステーション/バックアップアプライアンスのユニットが比較的新しい内だが製品保証の期間を過ぎた時期に故障するのをユーザーが経験しているという話を聞いてきた。しかし販売された数量が分からないことから - 恐らくは数十万台、いや数百万台かも知れない - これらの故障が日常的に起こっているのか或いは統計的には異常値なのかを判断することは出来なかった。

TidBITS 読者の Dean Lombard が最近我々もこの問題に目を向けるべきだと言ってきた。彼は一台の故障した Time Capsule に関する彼の経験を綴ってきた。この機器は使用後間もなく死んでしまったのだが、彼は他の Time Capsule 所有者が彼らの動かなくなってしまったバックアップ機器を哀れんでいる Web 上の幾つかの場所も紹介してくれた。

我々が今これについて書いている理由は? 2009年遅くに Apple は静かにこの問題を認め影響のあるモデルの交換を始めた。そして Time Capsule が正常に動いていると思える人達に対しても、故障に対して備えをしその機器を正常に動作させておくために出来ることが幾つかある。

症状と原因-- この広範囲に拡がる不具合はどうも September 2008 に始まった様であるが、これは最初のユニットが販売されてからおよそ 18ヵ月後になる。代表的な症状は Time Capsule の電源を入れて立ち上げることが出来ない事である。世界中のユーザーが - United States, UK, China, Australia, そして他の地域 - Time Capsule の早すぎる死を報じている。この問題を追っているサイトに登録された Time Capsule の平均寿命は 19ヶ月と 20日である;これは バックアップ 機器として設計されているものとしては到底受け入れ難い数値であり、おまけに一年間の保証期間はとうに過ぎている。

これらの時期尚早の死の最も疑わしい犯人は熱である。或いは、もっと具体的に言えば、劣等な熱管理によって引き起こされた過熱したコンデンサである。ユーザーの一人 Ray Haverfield は、この問題を注意深く検討し修理のため Time Capsule のハードウェアを改修した事もある、彼のサイトにに次の様に結論付けている、"電源は高品質の部品、コンデンサも含まれる、から出来ているが、[Time Capsule は] 単純に高温のため死んでいるのである、と言うのも部品の寿命はその様な高温下で動作していると大幅に低下するからである。電解コンデンサの寿命はとりわけ温度に敏感である。"

Haverfield が言うには、これらの機器にはファンが内蔵されているが、大部分はケースの中で熱い空気を掻き回しているだけである。更に彼は、Time Capsule のゴム製の底も断熱材として働いて事態を悪化させているとも言っている。

問題は主として電源にある様なので、ハードディスクそのものではなくて、死んでしまった Time Capsule に閉じ込められてしまった情報は救出可能である可能性は高い。

-- この問題を整理し公開していこうとする Apple ユーザー界側の動きもとりわけ注目に値する。Apple からあなたの Time Capsule は保証期間を過ぎていてどうしようもありませんと言われ、ユーザーの Pim van Bochoven は、通常の Apple Discussion Forums に苦情を言うのは止めようと決心し、October 2009 に The Time Capsule Memorial Register を始めた。

そのサイトで、彼は似た様な状況と期間で機器が死んでしまった Time Capsule の所有者 2,500 人からのデータを収集、追跡、そして分析し、これは Apple が是正すべき広範囲に拡がった設計欠陥であると言う説得力ある議論を展開している。(繰り返しになるが、この 2,500 と言う数字が販売された機器の何パーセントに当たるのかは分からないが、その数字自体でも大きな数字には違いないし、それに死んでしまった機器の所有者がその損失を登録する比率を考えてみれば、これは全 Time Capsule 故障のほんの一部でしかないに違いない。)

2009 年 11 月に Apple は、内部 Knowledge Base 記事を掲載し、従業員に顧客から持ち込まれる死んでしまった Time Capsule のシリアル番号を調べるよう指示を出した;ある範囲の (しかし公表はされていない) シリアル番号に該当する Time Capsule は交換の対象となる資格がある。2010 年 2 月 15 日に、The Time Capsule Memorial Register サイトは 2,500 の故障登録に達し、この問題に対する注目を集め Apple からの正式な反応を引出すと言う当初の目的は達成されたとして閉鎖された。

交換と復元の戦略 -- あなたが死んでしまった Time Capsule をもしお持ちなら、オプションは幾つかある。最初に、あなたの Time Capsule を Apple に無償で交換して貰うよう試みることが出来る。 Time Capsule Memorial Register によれば、次の場合 Apple はあなたの Time Capsule を無償交換するという、あなたがどの機器でもいいから 3 年間の AppleCare 契約を持っている;一年以内にコンピュータを購入した (それに一年間の保証が付いてくるのでそれを Time Capsule に適用);或いはその Time Capsule のシリアル番号が特定の範囲に適合する場合。

この道を選ぶには、Apple Supportに電話をするか近くの Apple Store 又は Apple Authorized Dealer に出向く。但し、もしあなたの Time Capsule を交換する決心をしたとすると、あなたの死んだ Time Capsule を Apple に送り、そしてそのハードディスクは消去されてしまうことを知っておかねばならない。従ってデータの復元は不可能であるが、別の見方をすれば Apple がユーザーに約束している様に全てのデータは本当に消去されるのであなたのデータが他人の手に渡る可能性は低い。あなたのデータを救おうと、ハードディスクを外し、データを外に移し、そして再インストールするようなことをすれば、あなたの基本的な保証は無効となり Apple はそれを理由に交換を拒否するという事態になる可能性はある。従って、もしデータの復元が一番の関心事と言うのであれば、これはあなたにとっての最善のオプションとは言えなくなる。

データを取り戻したいという人にとって、二番目のオプションはハードディスクを交換或いは取り外すことなく、破壊してしまったコンデンサを交換できる人を見つけることである。もしこれを Ray Haverfield にやって欲しいという場合は (Australia のユーザーには好都合かも)、電源の修理と冷却ファンの改修 (換気を良くする) におおよそ $100 と送料がかかることを想定する必要がある。$130 であなたの Time Capsule に外部電源を付けてファンの改修を行ってくれる。Ray はまた親切にも世界中の他の地域で修理してくれる人を何人か挙げているので、較べてみたい人はどうぞ。覚えておいて欲しいのは、これらの修理には保証は無いことである;この人達は Apple の従業員ではないしそして彼らの作業により Apple の保証は間違いなく無効になる。

三番目のオプションは、あなたの Time Capsule データは取り戻したいがあなたの機器とそのデータを見ず知らずの他人に預けるのは気持ち悪い、そして自分では多少電子機器の修理の経験もあるという場合は、自分で修理を試みることである。Haverfield の Web サイトには、電源の修理を行うためのやり方が提供されている ( これを見て、 これを見て、そして これを見る。)

もし誰かにあなたの Time Capsule を修理して貰うか、或いは自分で修理してみると決めたとしても、その前にあなたの Time Capsule には問題がある事を Apple に知らせる事をしましょう。

結言 -- もしあなたの Time Capsule はちゃんと動いているのであれば、あなたのデータのバックアップを取ることを考慮されたい:やり方は AirPort Utility の Time Capsule ビューにある Archive 機能を使う。このためには最低でも内部ドライブでバックアップで使用されているのと同じだけの容量を持つ第二のドライブが必要である。そのドライブを USB 経由で Time Capsule に接続し、次に Applications > Utilities > AirPort Utility を立ち上げる。左にあるリストの中から Time Capsule ユニットを選択する、そして底部にある Manual Setup をクリックする。Disks ビューの中で、左にあるリストの中にあるドライブを選択する、そして Archive をクリックする。(このやり方や他の Time Capsule と AirPort Extreme ハードドライブ設定問題に関する更なる詳細については Glenn Fleishman の "Take Control of Your 802.11n AirPort Network" を読んで欲しい。) もし Time Capsule 上の Time Machine バックアップ以外にデータを保存しているのであれば、バックアップはきわめて重要である。

更にあなたの Time Capsule の置き場所と換気についても確かめた方が良い。置いてある平面から持ち上げて隙間を作るか、或いは縦置きにすることも考えてみる価値がある。Time Capsule のアンテナは広い面が水平の位置で働くよう設計されているので、それを傾ければ Wi-Fi のカバー範囲に悪い影響が出る可能性はある。しかし最近のハードドライブは水平でも垂直でもどちらでも問題ない。(ユーザーの中にはフォーラムで Time Capsule を縦位置に置いた場合ノイズがあると報告している人もいるが、これはファンに関係している可能性がある。)

"グリーン" ドライブで置き換えるのも発生する熱量が少なくなるので役立つが、ドライブを入れ替えなければならない他の理由でもない限りはやる価値が無いかもしれない。Apple はより新しい Time Capsule ユニットには発熱量の少ないドライブを使ってこの熱問題に対処していると言う報告もある。そして勿論、あなたのバックアップ戦略に CrashPlan の様なものを加えることで全く独立のバックアップを持つことが出来るし、もしあなたのバックアップドライブを友人の家に置かせて貰えればそれをオフサイトとすることも可能になる。

Pim van Bochoven には The Time Capsule Memorial Register サイトを立ち上げたことに対して賛辞を贈りたい、お陰でユーザーは彼らの個々の苦情を一つのより大きな、より組織だった、そしてより強大な力に変身させ Apple に対策を講じるきっかけを与えることが出来た。一方では、一つの広範に広がった問題に Apple の目を向けさせるのにこの様な強い圧力をかける行動を必要としたこと自体は不運なことであるが、ユーザー界が一致団結しそしてその大義のために勢いを生み出すのを目の当たりにするのは頼もしい限りである。

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Things、機敏かつ柔軟な To-Do リストアプリケーション

  文: Matt Neuburg <matt@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

近年、私は to-do リストの整理に精緻な Getting Things Done (GTD) モデルを利用することに専心したアプリケーションをいくつか試してきた。例えば Thinking Rock (2006 年 10 月 9 日の "Thinking Rock を拾い上げてみたら") や OmniFocus (2008 年 4 月 30 日の "OmniFocus、Get Things Done の補助を申し出るも、まだ本物ではない") などだ。また、私はカレンダープログラム Remember? (2003 年 6 月 30 日 "Remember? は健在") も使っている。これはイベントが近づいてきたら知らせてくれるし、一定の周期で繰り返すイベントの処理も賢くこなせる。それから、もっとずっとシンプルな to-do リストプログラム、例えば Ambrosia Software の ToDo! デスクアクセサリなども使ったことがある。(ToDo! は Mac OS X では走らないし、読者の皆さんの大部分は「デスクアクセサリ」とは何かさえ、もはや覚えておられないと思うが、ToDo! のシンプルかつクリーンなインターフェイスは、それに倣って作られた Omicron の ToDo X のスクリーンショット から窺い知れるだろう。)

Cultured Code(ドイツの Stuttgart を本拠にした開発ハウス)の製品 Things の優れた点は、これが今私が挙げたものたちの持ついろいろな側面を組み合わせていることだ。インターフェイスは鮮やかでクリーン、しかもシンプルだ。締め切り日を理解しており、繰り返し起こるイベントについてもしっかりした扱い方を備えている。最も単純なやり方で、最も基本的な整理だけをし、タスクに優先度の順位を付けたり大まかな目標の日付を割り当てたりすることもできる。けれどもその一方で、本格的な GTD システムに非常に近いものを実装することさえできる。そして、この柔軟性こそが肝心なところだ。Things は、基本的なツールをいくつか用意していて、それらを あなたが 好きなように組み合わせることができるのだ。

Things の説明 -- Things におけるタスクは、最小限にはただの単語一つ、あるいは語句一つであって、あなたが達成したいと思う何かを示すものだ。そこにはチェックボックスが付くので達成が済めばそれをチェックしてマークしておけるし、Things のウィンドウの中であちこちドラッグして動かすこともできる。基本的にはそれがすべてだ! けれども、もしもあなたが望むなら、そこに更なる情報を付随させることもできる。いくつか例を挙げよう:

ウィンドウの左側にはサイドバーがあって「専心度合」が下記のようにいくつか表示され、タスクがどれかに割り当てられるようになっている:

Inbox に属していないタスクは、必ず Someday か Scheduled か Next のどれかに属していなければならない。また、Next に属するタスクは、Today にも属しているかいないかのどちらかだ。この基本的な事実は Things の数少ない基本の一つであって、このプログラムを効果的に使いこなすために常に理解しておく必要のあることだ。

このサイドバーには「担当範囲」を表示することもできる。これらは自由に設定できるカテゴリーであって、ある意味でタグに似ている。最初のうちは、タグでなく担当範囲を使うのはいったいなぜか、きっと理解できないだろう。一つの理由は、専心度合とは独立にタスクを眺める方法があるのがありがたいこともあるからだ。例えば、私は "Programming" という担当範囲を作っている。これで、サイドバーのその項目を使えばプログラミング関係の すべての タスクを、それぞれの状況とは無関係に集めることができる。実際、担当範囲とタグとを組み合わせることもできる。つまり、一つの担当範囲に属するタスクには、すべて自動的にその担当範囲に付随したタグが付く。

タスクの中には複雑なものもあって、よりシンプルないくつかのサブタスクに分解した方がよいこともある。そうすればタスク全体がまだ達成できていなくても現在どの程度まで進んでいるかが分かりやすくなるだろう。このようなタスクは "project" にすべきだ。プロジェクトとは、それ自体タスクであって、そこにいくつか特別の機能を追加したものだ。例えば、プロジェクトのタグは自動的にそのすべてのサブタスクに割り当てられる。そして最も重要なのは、もしもそのプロジェクトが専心度合 Next に属しているならば、その中で達成できていないサブタスクのうち最初の少数だけが表示されるということだ。これによりプロジェクトがたくさんの項目で溢れかえるのが予防でき、あなたはサブタスクを順番にこなして行ける。(プロジェクトがサブブロジェクトを持つことはできない。)

いくつかのタスクに焦点を絞りたいなら、サイドバーで何かをクリックすればよい。これで、メインディスプレイの表示があなたがクリックしたもののコンテンツのみに限られることになる。例えば、次にやるべき (Next) タスクを見るには、サイドバーで Next をクリックすればよい。すると、ウィンドウの一番上に "filter bar" と呼ばれる領域が現われ、これを使ってさらに焦点を絞ることができる。この領域は必要な時にのみ現われ、現在ウィンドウに表示されているものに関係あるボタンのみしか表示しない。だから、もしも表示されたタスクの中に締め切り日を持つものがあれば、フィルターバーが現われ、そこに目覚まし時計アイコンが見える。そのボタンをクリックすれば、締め切り日を持つタスク のみ が(日付順に)並ぶ。もしも表示されたタスクの中にタグを持つものがあれば、フィルターバーが現われ、それらのタグごとにボタンを表示する。そのボタンを一つ(あるいは複数)クリックすれば、そのタグを持つタスク のみ が並ぶ。さらにウィンドウの下の方には検索フィールドもあるので、表示されるタスクをそのタイトル、メモ、あるいはタグが特定の文字列を含むもののみに制限することもできる。

Things にはまだ私が試していない機能もある。例えば iCal や Things iPhone アプリとの同期などだ。(私はこの iPhone アプリも試していない。)その上、私には意味が分からないような機能、例えば Add Teammate メニュー項目などさえある。

[Adam です... 私は iCal や iPhone アプリとの同期を試してみたが、いずれもうまく動くようだ。(Things の環境設定ウィンドウで同期のコントロールができる。)iCal と双方向の同期をするには、どのレベルの専心度合を同期したいか(Today なのか Next なのか)と、それぞれのレベルがどの iCal カレンダータスクに登場すべきかを選んでおかなければならない。Custom オプションを使えば Someday も同期でき、特定の担当範囲を特定のカレンダーと同期させることもできる。iCal 同期は Sync Services 経由で働くので、例えば BusyCal のようなプログラムもそのようなタスクを読み書きできる。iPhone や iPod touch 用の Things アプリとの同期は、いったんその機器を Things とペアリングさせておけば Wi-Fi 経由で動作し、Mac 上で Things が走っている間にそのアプリを起動させれば、いつでも両者が変更点をすべて同期する。Things アプリは、このプログラムの Mac インターフェイスを忠実に iPhone へと変換している。欠けているものの中で一番重大なのはフィルターバーだろう。そうそう、Add Teammate メニュー項目が何かって? 簡潔な説明がブログ記事にあるけれども、ネットワークで結ばれたユーザーの間でタスクを共有しているのでない限り、このメニュー項目を使うよりも Manymoon のようなサイトを使う方がずっと良いだろう。]

Things の判断 -- 一般的に言って、私は Things がとても気に入っている。これは、何か既製の哲学に忠実に従って動作するというところがない。その代わりに、かなりシンプルな機能を少数提供して、それらをどう使うかはあなたに任せるのだ。メニュー項目の数の少なさは注目に値するが、それでもそこには大きなパワーが詰め込まれている。インターフェイスが標準的でないのは、あまり私の好みではない。私から見れば、無駄にスペースを浪費している上に、思わずむきになってあちこちクリックしたりダブルクリックしたりして、折り畳んだり展開させたり、フォーカスを当てたり外したり、無駄な動きをさせられている気がする。でもまあ、それは我慢の範囲内だ。

ただ、時として、インターフェイスがちょっとシンプル 過ぎる と思えることもある。例えば、フィルターバーを使って特定のタグを持つタスクのみを表示させることができるが、特定のタグを 持たない タスクのみを表示させる方法がない。なぜそんなことが必要なのかと言えば、例えば何か否定的な意味を持つタグ(「「保留中」とか「返答待ち」など)があったとしよう。それらもやはり Next に属するが、今すぐ実行に移す訳には行かない。だから、今すぐ できる ものを選ぶためにはそれらを隠す必要が生じるのだ。

同様に、すべての タスクを一挙に表示させる方法がない。常に、サイドバーからどれか 一つ だけの専心度合を選ばなければならず、そうするとその専心度合に属するタスク だけ しか表示されない。同様に、ある項目の締め切り日が近づいたことは魔法のように合図で示される訳ではない。あなたが意図的に Next を表示させて、そこで意図的に締め切り日によるフィルター付けか並べ替えかをしなければならない。結果として、かなり多数のタスクを抱えるようになったとたん、どれがどうなったのか混乱してしまう羽目になる。だから、いつでも注意してあちこち覗き回り、さまざまなリストをチェックして、状況がどうなっているのかの全体像を掴む努力をしなければならない。

でも、そういったことはすべて、まともな説明書がないという事実に比べれば些細なあら探しに過ぎない。ここに現存している説明書なるものは、まるで後からの思い付きで添えただけのような気がする。実際、かなり最近になるまで、Things についての最良の説明はあるユーザーの作ったオンラインビデオで、これは Cultured Code のサイトにホストされてもいなかった! 確かにオンラインヘルプはあるが(これがあの Apple の恐ろしい Help Viewer で表示される)その内容は大ざっぱで役に立たない。何よりも内容が完備していない。例えば、タグの Note にファイルをドラッグできることはオンラインヘルプのどこにも記述がないし、あの意味不明の Add Teammate が何のためのものかも書いてない。同様に、Things は AppleScript でスクリプト化可能であり、PDF による Things AppleScript Guide もあるのだが、そのことにオンライン説明書は全く触れていない。それにプログラムをダウンロードしてもこの Guide は含まれない。ならば、いったいどうやってこれを見つけ出せというのか? Cultured Code は、機能の説明を同社のブログwikiで説明し、その後一年か二年経ってから説明書がやっと追い付くという習性を持っているようだ。けれども、アプリケーションが何をするかについて基本的な事実を知るために、必ずしもすべての人がウェブを検索したいと思うとは限らない。

このオンラインヘルプには首尾一貫していないところもある。同じものに対して、別の場所では別の用語を使ったりしている。("task" なのか、"item" なのか、それとも "to-do" なのか?)アプリケーション自体の使っている用語にも同じ問題がある。Add Teammate メニュー項目を使うと、サイドバーに People というセクション(Teammate ではない)が出現する。同じものに二つの用語だ。説明書での用語「専心度合」("Levels of commitment") はサイドバーでは「焦点」("Focus") と呼ばれている。タスクを一つ選択すると、あるメニュー項目は Move to Someday または Move to Next となるが、プロジェクトを一つ選択すると、その同じメニュー項目が Make Inactive または Make Active となる。いずれもすることの内容は全く同一だ。これこそ、典型的なオッカムの剃刀と言うべきだろう。私の処方箋を言うなら、いつもの通りだ。つまり、Cultured Code は経験を積んだ教師であり説明書の著者でもある人物を雇って、オンラインヘルプを書き直し、PDF のマニュアルを提供し、インターフェイスの用語を正すようにすべきだ。

いろいろと留保事項を述べてきたが、私は Things が著しく 有用性の高い アプリケーションだと思う。あなたが本当に求めているものがアプリケーションを使うことなんかでなく、何かを達成する (Getting Things Done) ことである時に、有用性の高いアプリケーションを求めてしまうというのは皮肉なことではあるが。価格はちょっと高めだが、それにもかかわらず Culture Code フォーラムでのユーザーたちの熱気は衰え知ずだ。彼らは Cultured Code に対し、自分たちがこのプログラムをいかに 本当に 使っているかを口々に述べ合っている。これは、健全さの証しだ。また、Cultured Code は現在開発中の新機能についてかなりオープンに議論している。これもやはり健全さを示すことと言える。

Things は Mac OS X 10.4.11 かそれ以降を要する。価格は $49.95 (1家族、5ユーザーまでの "family pack" は $74.95) で、 ダウンロードすればライセンスなしでも 15 日間は完全機能で動作する。

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なぜ Google Wave には大幅な見直しが必要か

  文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私は本気で Google Wave が好きになりたいと思った。でも、数ヵ月かけてさまざまなやり方でこれを使おうと試みた結果、私はある結論に達した。それは、現在の状態での Google Wave にはあまりにも根本的に欠陥があり過ぎて、使いものにならないということだ。そうは言うものの、Google Wave がまだプレビューリリースの段階であることを Google ははっきり述べているので、私としては Google が今後このサービスを徹底的に見直してくれることを願うばかりだ。Google はきっとこれらの問題点を認識しているのだと思う。なぜなら、Google Wave 自体の中にも最近 Feedback アンケートリンクが登場したし、そこに記されている質問の多くもユーザーたちが強烈な不満を持っていることを認めたような書き方だからだ。

以下に、私が Google Wave で何をしようと試みたかを紹介しよう。そのいずれも、何らかの程度のフラストレーションを伴っていて、全体的に成功したと言えたものは比較的少なかった。

基本的なコミュニケーション -- Google Wave はよくインターネットコミュニケーションを再考したもの、電子メールとインスタントメッセージング、その他を練り合わせたもの、などとして持ち上げられている。けれどもそのような方法で Google Wave をテストするのは難しい。これは電子メールでもなければインスタントメッセージングでもない、という単純な事実があるからだ。コミュニケーションしたい相手が Google Wave アカウントを必ず持っていなければならないし、Google Wave アカウントを持つ者には友人や同僚に手渡すべき招待状が与えられているものの、あなたがコミュニケーションしたいと思う人たちの大部分が現在は Google Wave を使っていないという事実が厳然として立ちはだかっている。その結果、誰かにコンタクトする手段としてあなたが Google Wave を使う可能性は、限りなく低いと言わざるを得ない。

さらに悪いことに、私の経験では、私がいつも一緒に働いているようなテクノロジーに詳しい人たちでさえも、一般的に Google Wave に対して半信半疑の気持ちでいるように思える。そのシステムに首を突っ込んでみる前から、人々はそういう気持ちなのだ。誰かに Google Wave にサインアップしてくれるよう頼むのは髪の毛を掻きむしるほどにイライラのつのる体験となることが多く、まずは招待状を送って、相手の Google Wave アカウント情報(これは他の Google アカウントや電子メールアドレスとは異なり @googlewave.com という疑似メールアドレスだ)を問い合わせ、それから相手を wave に追加し、その後で Google Wave の使い方の基本的なことを説明してやらねばならない。いったい何回電子メールをやり取りしなければならないというのか? そしてそのフラストレーションは、単なる平均的なユーザー相手でなく極めて経験豊富な技術ライターたちやプログラマーたちを相手にした場合にも必ず発生するのだ。

さらに問題がある。これもやはり現在は Google Wave を使っていない人たちが多いという事実に大きく関係しているのだが、定期的に自分の Google Wave アカウントをチェックして新しい wave や返信が来ていないか調べたいと思う人など、基本的にほとんど存在しない。だから、Google Wave ではコミュニケーションが起こっていることを誰かが気付くかどうかさえ保証の限りでない。しばらくの間、私はこの問題を回避するために、変更がある度に電子メールによる通知をするよう人々がリクエストできるという機能拡張を使っていたが、その後 Google による発表があって、この電子メール通知は Google Wave 自体の中に内蔵されるようになるという。

もう一つ別の回避策は、例えば Waveboard のようなプログラムを使うことだ。(2009 年 10 月 30 日の記事“Waveboard で Google Wave の波に乗ろう”参照。)このプログラムはさまざまの形でローカルな通知方法を追加する。例えば Growl や、Dock アイコンバッジなどだ。それでも、他の人に頼んでこの Waveboard というプログラムを常時 Google Wave とともに走らせ続けるように説得するのは、無駄な努力以外の何物でもない。

最後にもう一つ心配事がある。あなたの wave を public とマークすれば、それが Google Wave アカウントを持つ人ならば誰でも見られコメントも付けられるようになるのだが、私の感覚ではこれはどう見ても変だ。私には、Google Wave をブログのような、ましてや Twitter のような出版システムと見ることはできない。Google Wave の持つ内容はあまりにもランダムで、一般的に特定の話題あるいは人または組織を中心として形成されるブログの状況も当てはまらなければ、人々が自分に興味あることを言う人々をフォローする Twitter の、暗黙に個人的な状況も場違いだ。電子メールもインスタントメッセージングも、完全にランダムな聴衆にむけて公共のポストするという概念を持ち合わせていないわけだから、何か大がかりな変更を加えでもしない限り、Google Wave のやり方は本質的に紛らわしくて不満足なものと言える。

グループの計画 -- 先月サンフランシスコで開催された Macworld Expo で、私は電子メールクライアントについてのパネルディスカッションの司会をした。その準備のため、私はすべてのパネリストたちにこのディスカッションのテーマは何か、討論をどのように進める予定でいるか、彼らのいつも通りの機知に富んだ会話術に加えて、どんなことを彼らに期待しているか、そういったことを説明しておく必要があった。その種の議論には普通電子メールを使うが、私の経験から言って、電子メールでの議論はあっという間に脱線して行くことが多く、議論の一面だけが過度に注目を浴びたり、それ以外の部分がほとんど無視されてしまったりする。また、その議論は本番の何ヵ月も前に行なわれるので、本番が近づけば何が決まったのかを思い出すのすら難しいことがある。

そこで私はこの会話を Google Wave ですることにした。Google Wave ならばどんなことが言われたかが半永久的に記録として残るし、私の言いたいことがいつでも示されていて、パネリストたちがそれぞれ一つのことだけに注目して他のことには目もくれないということも避けられるだろうと思ったからだ。

おそらく、これが私の Google Wave 使用体験の中で最も成功裏に終わったものだった。パネリストたちは全員そこに参加し、少なくとも初めのうちは、私の書いたことを読んでくれた。また、その後いくらか討論もなされ、そのお陰で私はセッションのやり方を改善することができた。けれども、その最初のうちのおしゃべりが下火になった後は、私以外誰も二度とそこを訪問することがなくなった。これこそが Google Wave の持つ通知に関する問題点であって、半永久的記録に私が抱いていた望みが期待したほど重要ではなかったことを示唆している。こうして、本番の直前になった頃、結局私はパネリストたち一人一人と直接議論して、私たち全員が同じページの上にいることを確認しなければならなかった。

結局のところ、この作業は電子メールでやっても(これ以上とは言わないが)これと同等にうまく処理できただろう。

書類への共同作業 -- さて、私が心から大切に思っている題材がこれだ。私は、ライターとしても編集者としても、普段から TidBITS 記事で膨大な量の共同作業をしている。基本的なアプローチはごくシンプルだ。まず新規の wave を始めて、記事の原稿をペーストし、チェックしてくれる人たちを招待し、彼らがコメントをくれればそれに応えるのだ。最終段階には、出来上がったテキストを Google Wave の外へコピーする。(そうしなければ何の役にも立たないからだ。)

書類の共同作業に Google Wave を使うことの理論的利点は、その wave の中にいる誰もがそのテキストに直接変更を加えたり、あるいはコメントを残して他の人たちとの議論の題材になるようにしたりできることだ。これは、理論としては素晴らしいが、実際問題としてはうまく機能しなかった。

ダブルクリックしてから、そこで出てくる Reply/Edit のひし形で Edit ボタンをクリックすれば、どんな wave のどんな部分でも編集できる。けれども、あなたが施した変更を他の人たちが見つけるのは難しい。もちろんあなたが編集中に彼らがリアルタイムで見つめていれば変更が起こったのを簡単に見分けられるかもしれないし、また別の方法として Google Wave の再生機能を使って個々の人が施した変更を段階的に見ることもできる。でもこの方法は出来が悪いことこの上ない。まず一段階を再生し、書類を全部スクロールしてハイライト表示された変更点を探し、それからまた一段階を再生、ということを繰り返さなければならないからだ。この再生機能は編集と返答とを別々に記録するので、一人の人がまず何か編集をしてから、その後返信メッセージを残し、それからまた何か編集する、という風にすれば、再生する際にそれらが一つ一つ別々の段階として操作に加わることになってしまう。

その結果、Google Wave がまともに使えるのはごく小さなテキストの変更が加えられた場合のみだった。もしも大幅な編集が必要となれば、ここに装備されたテキスト処理や著者マーキングのツールだけではどうにも力不足だった。ある時など、私はテキストをいったん EtherPad に持ち出して、誰がどんな変更をしたかがすぐに分かる EtherPad で編集をせざるを得ないこともあった。

返答も、トラブルの元だった。書類の中でダブルクリックして、Reply/Edit ひし形で Reply ボタンをクリックすれば、Google Wave は時によってその返答を文の途中に挿入し、時によって黒丸とそのテキストとの間に挿入することもあった。返答が段落の後に来るように、あるいは特定の場所に来るようにしたい場合、それが保証される唯一の方法は、まずテキストを選択してから、その選択されたテキストの上でダブルクリックし、それから Reply をクリックすることだった。私は、このテクニックを私が wave に招待した人たちすべてに説明しなければならない羽目になった。そうしないと、レイアウトが分かりにくくなってしまう危険があったからだ。

返答に関するもう一つの問題は、それが他のものと階層的関係にあるかどうかをコントロールするのが難しいという点だ。一般的に、最初のブリップ (blip) にあるテキストのどれかに返答すれば(ちなみに、blip というのは Google Wave において一群のテキストを表わすうまい用語だ)あなたの返答はそのブリップの下にインデント付けされて現われる。ただしあなたの返答がそのブリップの末尾に来た場合だけは別だ。返答に対してさらに返答すれば、一般的にインデントはされないが、ただしあなたが返答する前に何かテキストを選択していれば別だ。それに、そのつもりがなくて返答を作ってしまったり、正しくない場所に作ってしまったりすることがあまりにも頻繁に起こるので、そういう場合は作ったばかりのブリップを消去しなければならない羽目になる。

他の人たちがタイプしている最中に Google Wave がそれを表示してくれるのは話を聞く限りでは素敵な機能に聞こえるが、実際にはかなりイライラさせられた。その人がタイプし終えるよりも前に、その人の言いたいことが分かってしまうからだ。結局私は始終相手が書き終える前に返答を出してしまうことが多かった。きっと相手の気に障ったことだろうと思うが、私にはどうしてもそうせずにいられなかった。iChat では、相手がタイプの最中であることを示すけれども実際のタイプ内容の途中表示まではしない。私はこの方がずっと良いと思う。これならば、じっくり考えをまとめてから返答できる。

編集と返答との間で行き来して切り替えることも、やはり面倒だ。長いブリップでいちいち最後までスクロールしてから Done ボタンをクリックせずに済むキーボードショートカット (Shift-Return) はあるが、それでもやはり、編集モードと返答モードの切り替えには意識して注意を集中させておく必要がある。編集とコメントの両方ができるプログラムの大多数は、そのような余計な注意が不要となるように作られているというのに。Microsoft Word のような長年続いているプログラムでさえ、そのような配慮がなされている。

最後にもう一つ、返答に対してそれを既読とマークできる良い方法がない。将来それを見えなくなるようにしたり、完全に隠して書類を読む邪魔にならないようにすることができない。ここでもやはり、Microsoft Word の変更追跡とコメントのための機能が、その力量で他を大きく引き離している。Microsoft Word には共同作業のための機能が一切ないのだが。

Google Wave を書類の共同作業のために使ってみて、意外にも良かったことが一つある。それは、元のブリップでテキストを選択して、それをコピーして BBEdit に持ち込んでみると、私が現時点までで編集を施した原稿のテキストのみが持ち込まれ、中途の返答その他は持ち込まれなかったことだ。当然ながら私たちにはこの挙動が望ましいのだが、実際に試してみなければこれはどうなるか分からないところだった。それから、私のところでは何の問題もなかったが、ある一人の人のところではテキストをコピーして持ち出すことがどうしてもできず、この件に関しては原因が分かっていない。

結びにもう一言。Google Wave は書類への共同作業については Google DocsEtherPad(これも今では Google が所有する、2009 年 12 月 4 日の記事“EtherPad が Google 買収後オープンソースとなる”参照)に比べて、さらには古参の QuickTopic Document Review に比べてさえも、はるかに不満だらけであることが分かった。Google Docs では、編集作業はずっと楽にできるが、コメント付けや討論は非常に手間がかかるし、変更履歴の追跡やバージョン管理もあまり良くない。EtherPad では、変更履歴の追跡やバージョン管理が全般的によく出来ているし、討論は書類の外で別のチャットパネルを使ってできる。それから QuickTopic Document Reviewは、私たちの場合 Take Control 電子ブックの技術レビューのために使っているが、コメント付けが容易な一方、編集が全くできない。

プロジェクト管理 -- 次に私が試したのは、私たちが計画しているアカウント管理システムのためのプロジェクト管理に Google Wave を使うことだった。電子メールはこの目的にはうまく働いていなかった。誰かが数日間他のプロジェクトで留守にした場合、電子メールだけではどの作業が残っているか覚えているのが難しいことが多く、またプロジェクト内でかなり以前に行なわれた議論の内容も忘れ去られてしまうからだ。その上、グループ計画で実験してみた時と同様に、議論が一つの話題について深まる一方で、他の話題も見失ってしまわない、そんなシステムを私は作りたいと思った。

私はこの目的のために、我らがテクノロジー熟達者の Glenn Fleishman と、我らがフリーランスの ExpressionEngine 開発者の Adam Khan との共有で、一つの wave を作り、すべてのタスクをアウトラインにしてみた。基本となる考えは、一つのタスクを作って、それに付随した機能を一つのブリップの中に明細書きして行けばよいのではないかということだった。そして、もし Adam か Glenn に質問やコメントがあれば、彼らはそのタスクブリップの内部で返答としてそれを書き込み、私も返答を返すことができる。こうすればすべての議論が一まとまりになって首尾一貫するだろう。

この頃には電子メール通知のアドオンもうまく働くようになっていたので、私たちは何か変更がある度に知らせを受けることができた。これで、私たちは皆順調にプロジェクトを進めることができた。でも、それだけの条件が揃ってさえも、私は進み具合はどうかと彼らに尋ねる際、単純に電子メールを使っている自分に気付くのだった。なぜなら、彼らが私の施した変更を見たのかどうか、知る手段がなかったからだ。

けれども本当の問題点はまだ他に、たっぷりと控えていた。結局最後に私たちがこの wave を見捨てた時点で、そこには 200 通近くのメッセージが含まれていた。想像して頂けると思うが、個々のメッセージの下には多数の返信が付いていることもあった。初めのうちはそれでも問題なかったが、いろいろなタスクが次々と完了して行くに従い、それらの分のメッセージとそれに付随した議論を隠せるような良い方法が何もなかった。Google Wave の中でブリップを消去することはでき、消去済みのものを再生して見ることもできるので、それらは永遠に失われる訳ではないのだが、そうする際には他の人たちの書いた文章も消去しなければならない訳で、やはり抵抗を感じざるを得なかった。その上、いったん消去したものの中から何かをもう一度検索して見つけることができるのかどうか、私にはよく分からなかった。別の方法として、返信のスレッドを折り畳むことはできるのだが、Google Wave はあとでそこを再び訪れた際に折り畳んだ状態を保持しようとしなかった。

さらに重要なことがある。一つのタスクを特定の一人の人に割り当てる本物の方法がない(私たちはタスクの説明の冒頭に名前のイニシャルを付けることにした)し、何かが注目を要することが一目で分かるような首尾一貫した方法もなく、あるタスクが完了したことをマーク付けできる本物の方法もない。(私たちは冒頭の名前のイニシャルの前にチェックマークを入れた。)言い替えれば、それらしいことをさせるのは可能だが、Google Docs の中の普通のテキスト書類に比べて大して良くなっていない。(私たちは Google Docs の方法も試してみたが、こちらもやはり具合の悪いことだらけ、苦労だらけだった。)

結局、私たちはこのプロジェクトを Manymoon と呼ばれるプロジェクト共同作業用サイトに移した。ここは、人気のある Basecamp プロジェクト共同作業サイトとほぼ同様の機能を備えているが、私たちの目的のような小規模なものに無料で使える。Manymoon ではタスクを作ったり、それを特定の人たちに割り当てたり、そのタスクについてコメントを書き込んだり (これこそが私の経験では最も重要な機能だ)、変更やコメントがあればプロジェクトのすべてのメンバーに電子メールで通知したり、タスクをユーザーごとに、あるいは進行状況ごとに表示したり、完了すればそのようにマーク付けしたり、といったことが手軽にできる。プロジェクト共同作業サイトをお探しなら、Manymoon は間違いなく一見の価値がある。

ここまでの過程で、私は Google Wave を使っていくつか他のプロジェクトも(それぞれかなりの量の議論が行き交うと思われるものを)管理しようと試みてみたが、いずれのプロジェクトでも、Google Wave は基本的にゴキブリホイホイと化してしまった。つまり、私がそこに情報を収め、他の人たちは皆その情報を一度見ただけであとはすっかり無視してしまうという状況に陥ったのだ。それらのプロジェクトも、いずれそれぞれ Manymoon へと移行させるつもりだ。私は別に自分が Google Wave でしたことを失うのが嫌な訳ではない。とにかく私は、プロジェクトにかかわった他の人たちすべてに Google Wave の利用を強制することができない(強制したくもない)だけの話だ。

アンチ・ネットワーク効果 -- すべてのことを考え合わせると、Google Wave における最大の問題は、これがネットワーク効果(既に参加している人たちが増えれば増えるほど、他の人たちが参加したいと思う動機をそれがより大きく生み出せるようになること)を作り出せるに十分な魅力を持ち合わせていないことだ。私が誰かを wave に招待した際、その相手の人が既に Google Wave アカウントを持っていようといまいと、ほとんど毎回、私は何らかのレベルの抵抗に遭遇した。そもそも TidBITS は高いところから下る命令によってでなく主として説得の力によって動いているので、熱中の気持ちに欠けるところがいつでも(しかも相当の程度に)あることは、どうにもならない障害であった。

どうやら、Google もこの問題を認識しているらしい。彼らが Google Buzz を Gmail の一部として導入したのは、Buzz が最初から膨大な数のユーザーを持っているところから始めるためだった。残念なことに、Google はその方向に勇み足をしてしまい、大勢の人たちが Buzz をオンにしたくないと考え、さらにもっと膨大な人数の人たちが Buzz とは何のことかさっぱり分からないという状態に陥ってしまったのだが。

Google は、最近買収したばかりの EtherPad の開発者たちの声を聞くべきだ。EtherPad はアカウントの必要をなくし、非常に軽量級のシステムを作ることに、非常にうまく成功している。(EtherPad では、一つの pad を作った人はただ単にその pad を示す URL を他の人と共有するだけで、URL ならば電子メールでもインスタントメッセージングでも、他のどんな方法でも簡単に共有できる。)Google Wave や Google Buzz のようなシステムのための理想的な中間背景とは、そこに加わるのをごくごく簡単に、何も特別なことをせず、何かにサインアップする必要もなしにできるようにすること(私が Buzz を使いたいからと言って、それは別に私がフルの Google アカウントを欲しがっていることは意味しない)それと同時に、そのサービスを十分魅力ある、ウイルス的に増殖するものとして、人々が大挙して参加したがるようなものにすることだ。Twitter と Facebook ではそれが成功したし、同様のネットワーク効果を生み出したシステムは他にも数限りなくある。もちろん Google Wave が少々特殊なケースであることは私も承知している。これは、どんな団体にも運営可能なプロトコルとサーバとしてデザインされたものだからだ。それでもやはり、大規模に採択されるようになるためには軽量級でなければならない。

私が Google Wave に対して具体的な提案を述べるのはちょっと気が引ける。これは導入以来大きな変更を受けたことがあまりにも少ないので、ひょっとしたら Google はメジャーな改訂に向けた開発作業など全然していないんじゃないかという感じがするからだ。それでも、ここで私が批判の言葉を述べることで、どんな種類の変更が加えられれば役に立つかというアイデアが生まれる力に少しでもなれればと思う。他にも、いくつかの考えを最後に挙げておこう:

以上述べてきたものは比較的マイナーな概念的変更だ。ただ、それらを実現するために非常に大がかりなアーキテクチャ上およびインターフェイス上の改変が必要となることは私も十分承知しているつもりだ。だから、たとえ Google がこれらすべてのことを実装してくれたとしても、私が喜んで Google Wave を使うようになるとは確約できない。それでも、Google Wave がこれまで私に残してきたフラストレーションのすべてを捨て去って、新鮮な熱狂の気持ちで私が改めて Google Wave に向かい合うであろうことはお約束しよう。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2010 年 3 月 22 日

  文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

BusyCal 1.2.3 -- BusyMac 社はまだまだ忙しい (busy)。小さなバグを修正した BusyCalのアップデートをまたもや出してきた。共有機能を持つ、同社の iCal 代替カレンダープログラムだ。BusyCal 1.2.3 では Google Calendar へのカレンダー出版を取り消す際の問題点を修正し、カレンダーを Google へ出版する際のタイムゾーンの食い違いも修正した。(ただし、Google Calendar がまだ "floating" タイムゾーンをサポートしていないことに注意。このため、例えばワークグループのメンバーが異なるタイムゾーンに散らばっていて、すべての人たちが同じタイムゾーンに集合するカンファレンスのイベントを調整したいような場合には使えない。)また、見栄え上のバグもいくつか解消され、添付ファイルや to-do 項目がデフォルトで WebDAV カレンダーから削除されなくなるなどの修正も施された。 フルのリリースノートもある。($49、アップデート無料、5.6 MB)

BusyCal 1.2.3 へのコメントリンク:

Phone Amego 1.1.14 -- Sustainable Softworks が Phone Amego をアップデートした。Bluetooth モバイルフォン (iPhone を含む) を Mac からコントロールできるようにするユーティリティだ。(詳しくは 2009 年 9 月 3 日の記事“Phone Amego: Macintosh と iPhone の精神が融合”を参照。)バージョン 1.1.14 では Growl 通知をサポートし、Call Window の機能性を改善し、かかってきた相手の番号が非通知、取得不能、またはすべてゼロだった場合の発信者番号通知の表示を改善した。また、別のコンピュータに Phone Amego で接続された固定電話からの通話を遠隔操作でかけることができるようになり、ドイツ語翻訳版を追加し、クラッシュ後に自動的に Phone Amego を再起動する CrashReporter 機能を追加し、いくつかのクラッシュのバグも修正した。($20、アップデート無料、2.7 MB)

Phone Amego 1.1.14 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2010 年 3 月 22 日

  文: TidBITS Staff <editors@tidbits.com>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の ExtraBITS リンクで扱う話題は、自分で Mac ソフトウェアのバンドルを組んで値引き購入できるというニュースと、音楽ストリーミングサービス Pandora がいかにして生き残ったか、Apple が Fortune 誌の "Most Admired Companies" で引き続きトップランク入りを果たしたこと、それから John Gruber によるバックアップのサクセス・ストーリーだ。

TheMacBundles が Build Your Own Bundle オプションを追加 -- Mac ソフトウェアの値引きバンドル販売に新しい趣向が登場した。TheMacBundles が、普通のバンドル販売ではユーザーによっては既に持っているアプリケーションが含まれていたり、バンドルされているもののすべてに興味がわくとは限らなかったりすることに気が付いた。そこで、顧客が $29.75 を出して 5 タイトル(1つあたり $5.95)または $49.50 を出して 10 タイトル(1つあたり $4.95)を自由に選べるようにしたのだ。いずれの場合も、追加のタイトルが同じ1つあたり価格で追加購入できる。また、TheMacBundles のウィークリースペシャルと組み合わせればさらに値引きになる。

コメントリンク:11100

Pandora は iPhone アプリのお陰で生き残った -- Pandora 音楽ストリーミングサービスを利用している人なら、同社がずっと以前から生き残りを賭けた危うい立場にいたことにたぶんお気付きだったろう。では、この会社はどうやってその危機を脱して 2009 年の終わりに同社としては初めての黒字の四半期を迎えることができたのか? New York Times が、浮き沈みの激しい Pandora の歴史を概観し、その好調の要因として Pandora iPhone アプリを挙げる。このアプリは毎日 35,000 人ずつの新規ユーザーを同社のサービスにもたらした。

コメントリンク:11096

Apple が再び Fortune "Most Admired Companies" リストの首位に -- 私たちは二週間前にこのニュースを見逃したが、やはりここに改めて書いておくべきだろう。これで三年連続になるが、Apple が Fortune による世界で最も尊敬されている企業のリストで首位に輝いた。Google は(Warren Buffet の Berkshire Hathaway を抜いて)二位となったが、Apple はこれまでにない大差で他社を引き離した。Amazon.com は五位、Microsoft は十一位だった。

コメントリンク:11095

多極バックアップが Gruber のデータを救う -- Daring Fireball の John Gruber の持っていたハードドライブで機械的な問題が発現するようになり、彼のラップトップ機をブートさせることができなくなってしまった。けれども SuperDuper、Dropbox、それに DiskWarrior を取り揃えていたお陰で、彼は何一つ失うことはなかった。彼が自分のバックアップ戦術を詳しく語り、同様の結果を得られるようにするためのアドバイスを述べる。(言うまでもなく、Joe Kissell の電子ブック "Take Control of Mac OS X Backups" と "Take Control of Easy Mac Backups." もお薦めだ。)

コメントリンク:11088


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Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2011年 1月 8日 土曜日, S. HOSOKAWA