TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#676/14-Apr-03

TidBITS が 13歳を迎えたが、ティーンエイジャーの難しい年ごろに差しかかって来たことに我々は楽観的である、Adam はその理由を明かす。さらにAndrew Laurence は、iTunes ミュージックを家庭のステレオで (または家の何処ででも) ストリーミング再生する SLIMP3 について検証した。そして本号では The Wireless Networking Starter Kit が電子版で入手可能になったこと、Apple が Mac OS X 10.2.5 と Safari Public Beta 2 の両方をリリースしたことを伝える。

記事:

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MailBITS/14-Apr-03

Mac OS X 10.2.5 をリリース -- Apple は多くの改善を施した最新システム Mac OS X 10.2.5 のリリースを発表した。Nokia 7650 および P800 携帯用に Bluetooth サポートが追加され、「Bluetooth 設定アシスタント」は特定の Microsoft マウスやキーボードを認識するようになった。また3機種のキヤノン製デジタルカメラと、数多くのディスク焼き込みツールのサポートを追加した。ネットワーク機能では、DNS ルックアップの問題、ファイルを ボリュームにコピーする際に起きる問題、特定の DSL 接続やケーブルモデム接続が共有されている場合での「インターネット共有」の問題を解決した。.Macパスワードは 32 文字長まで可能になり、LDAPv3 接続でタイムアウトが発生する問題も解決した。共有「Drop Box」フォルダでのセキュリティの問題と、内蔵モデムで特定のスカンジナビアのインターネットサービスプロバイダへ接続する際の問題を解決した。

むろん、この 10.2.5 アップデートには、起動時に日付が 1969年か 1970年にリセットされる問題の解決や、Mail の応答性の改善、数多くの言語に対する文字エンコーディングを追加、Classic 環境でのバグなど多数のバグも解決され、さらに、Classic ソフトウェアとネイティブ Mac OS X ソフトウェア間のAppleEvents トラフィックの信頼性を改善している。 Apple は、このアップデートを下記の三種類の様態で提供している。「ソフトウェアアップデート」またはダウンロードによる Mac OS X 10.2.4 からのスタンドアロン 38.2 MBアップデート、Mac OS X 10.2 以降でどのバージョンからも可能な 81.9 MBコンボアップデート、オンライン Apple Store から $20 で購入できるアップデート CD (Apple Software を参照)がある。[JLC](細川)

<http://www.info.apple.com/kbnum/n25406>
<http://www.info.apple.com/kbnum/n120210>
<http://www.info.apple.com/kbnum/n120211>
<http://store.apple.com/>
(日本)<http://til.info.apple.co.jp/techinfo/25405>

Apple が Safari Public Beta 2 をリリース -- Apple の幅広く普及しているベータ版ウェブブラウザ Safari に、Public Beta 2 への更新版がリリースされた。この Public Beta 2 で新しくなった点は、タブ・インタフェースを使い同一ウィンドウ内で複数のページをブラウズできること、Internet Explorer で普及した AutoFill(自動入力)フォーム等だ。新たに追加されたReset Safari オプションを使うと、閲覧履歴、キャッシュ、クッキー、ダウンロード済みウィンドウの中身、これまでに保存された名前やパスワード、AutoFill テキスト、Google検索ボックスへの記入内容などを消去できる。また、Web 標準との互換性を改善して、AppleScript のサポートを強化し、Netscape や Mozilla のブックマークを容易にインポートできる。英語、日本語、フランス語、ドイツ語で使用できる。このアップデートは、ソフトウェアアップデートまたは 3.7 MB のダウンロードとして入手できる。[JLC](細川)

<http://www.apple.com/safari/download/>
(日本)<http://www.apple.co.jp/news/2003/apr/15safari.html>


The Wireless Networking Starter Kit 電子版登場

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: 倉石毅雄 <takeo.kuraishi@attglobal.net>

私が Glenn Fleishman と共著した The Wireless Networking Starter Kit が電子本としても入手できるようになった。印刷版が期待したほどのベストセラーにならなかったため (多くの著者に共通する誤解だが)、私の iPhoto Visual QuickStart Guides の際とはかなり違った手法をとった。

<http://wireless-starter-kit.com/buy_book.html>

今までのリクエストから判断すると、この本の電子版に興味がある人達は二つに分類できる。片方は既に印刷版を購入したものの、ラップトップで読んだり、紙の本では絶対に不可能なテキスト検索を行いたい人達だ。もう片方は、実際に本を手に入れる手間や費用に問題があったり、紙の無駄遣いを防ぎたいため、印刷版よりも電子版を希望している人達だ。

そこで、次の二つの方法を提供したい。どちらの方法でも印刷版と同じ内容を完全に含む 8 MB の Acrobat PDF ファイルが手に入る。これには、第二版のために提供したいくつかの小さな変更点や、私達の Web サイトに二月に公表した 802.11g と AirPort Extreme についての 10 ページの付録の更新版も入っている。

<http://wireless-starter-kit.com/80211g_update.html>

既存の読者 -- もしこの本の印刷版を既に購入したのなら、PayPal 経由でたった $5 で電子版が購入できる。この方法を選ぶ人達は少ないだろうと思うので、複雑なオンラインの注文システムを設定する手間はかけなかった。下記の Web ページの指示に従ってパスワードを見つけ、Buy Now Button をクリックし、PayPal Special Instructions の項目にパスワードを入力すれば、私達からダウンロードの場所を電子メールで送ろう。

<http://wireless-starter-kit.com/ebook_deal.html>

電子版のみ -- もし本を所有していないものの、電子版を購入したいのであれば、私達の友人、Lockergnome の GnomeTomes から購入できる。印刷版との競争を防ぐため、印刷版の最終的な価格と同じ値段である $22 に電子版を設定した。GnomeTomes の eSellerate 提携関係を通して発売しているので、GnomeTomes は本のダウンロードに関して必要な助けを提供してくれる。だが、手順は非常に分かり易いので問題は恐らく無いだろう。

<http://store.eSellerate.net/a.asp?c=0_SKU3561656490_AFL7874399338>
<http://www.gnometomes.com/>

実験は続く -- これらの提供方法がどれだけ受けるか分からない。だが、私の iPhoto の本や Glenn の Real World GoLive 6 の本での試した方法などのリストに加えてみても良いだろう。この結果や新しい実験については後日報告したい。


TidBITS も 13 歳: 目標を持とう

文: Adam C. Engst <ace@tidbits.com>
訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

ティーンエイジャーになるということは、何ともぎごちない時を過ごさなければならない、ということを意味している。一方では自分はもう子供じみたことはしたくないと思いつつ、また一方では大人の社会への反発と、大人になることの目くるめく甘美さへのあこがれとの間で、揺れ動き続けることになるのだ。こんな青春世代の困惑についての話題がどうして私の脳裏に浮かんだのかというと、それは今週 TidBITS が 13 年目に突入し、TidBITS もいよいよティーンエイジャーの仲間入りを果たしたからだ。もちろん、出版の年数のことを実際の年齢なんかと比較しても何の意味もないことは承知しているのだが、それでもやはりこうして見れば、TidBITS も結構長い間続いてきたのだと、実感が湧いてくる。Tonya と私が2人して TidBITS を出版し始めたのは 1990 年 4 月のことで、当時私たちは2人ともたったの 22 歳だった。つまり私たちは、大人になってからのほとんどすべての年月を TidBITS と共に歩んできたとも言える。TidBITS の歴史に興味のある方は、どうぞこれまでの記念号記事に目を通してみて頂ければと思う。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tbser=1166>
(日本語)オランダ語版 TidBITS
(日本語)TidBITS 7.0
(日本語)あなたにふさわしいバッジをつけて
(日本語)TidBITS Talk 登場
(日本語)TidBITS 創刊 9 周年を達成
(日本語)TidBITS 10 年の教訓
(日本語)TidBITS が満12歳に

たぶんこれは自然なことなのだろうが、私たちが年齢を重ね、TidBITS も年を重ねるにつれて、私たちはもっと大きな視点から物事を考えることが多くなってきた。つまり、TidBITS が 18 歳になった時、あるいは 21 歳になった時、TidBITS がいったいどんなものになっているのだろうか、というような事だ。そして、そういう想像にはいつも、息子の Tristan が1年ほど前に始終発し続けていた質問、「どうして? どうして? ねえ、どうして?」という声が響き合う。小さな子供からひっきりなしに質問を浴びせられるのは、確かにわずらわしくも感じるのだが、一方ではそういう質問の答えを真剣に考えることも、時には啓発的なものだ。私たちが他の人々と情報を分かち合おうとするのは、いったい何のためなのだろうか? 私たちが特定のタイプの製品をレビューしたい衝動に駆られるのは、いったい何が動機なのだろうか? 私たちが興味を持つ話題というのは、いったいどういう性格のものなのだろうか? 私たちは、TidBITS によっていったい何を成し遂げようとしているのだろうか?

こうした深い疑問の数々は、ここ最近私たちが深夜に交わす会話の話題を占めることが多くなってきた。私たちが TidBITS や TidBITS Talk を作った元々の動機、例えば他の人々と情報を分かち合い、上質の情報の保管場所を作り、またオンラインのコミュニティーも作ってみたい、というような事は今でも変わらずに存在しているのだが、今回私はこの記事で、それらを以下に述べる4つの目標の下に整理し、今後の進展の方向や新しいアイデアなどを評価してゆく助けとなるべく、考え直してみたいと思う。このような数々のアイデアをもとに、それを具体的な新プロジェクトとして実現できるだけの時間が作れるかどうか、それは時のみが知るというところだが、このように焦点を絞って考えをまとめ、新たに導入するコンテンツ管理システムの助けも借りれば、その実現の道は決して夢物語に終わることはないと思う。

理解を深める -- ずっと昔から、TidBITS では深く踏み込んだ内容の記事に絞って書いてゆく、と決めてきた。深く踏み込む、というのは詳細なレビュー記事のこともあるだろうし、広く情報を集めて熟考を尽くした分析記事とか、複数種類の製品を比較した記事とかのこともあるだろう。もちろんイベントのニュースや製品リリースのお知らせなど、最新の情報を手短に盛り込むことはあるが、それは決してすべてのニュースを網羅しようという意図によるものではなくて、あくまでも以前の記事の内容の上に立ってそれを補完するためのものなのだ。製品リリースのお知らせが TidBITS に載るのは、ほとんどの場合その製品またはその製品のジャンルについて扱った記事が過去に載ったことがある場合であり、またイベントのニュースについても、そのイベントが過去の記事に載っていてその情報を継続させる場合か、または後日の記事のための舞台をあらかじめ用意しておこうという意図のものか、いずれかの場合に限るというわけだ。記事の出版のモデルとしては他にもさまざまのやり方があるが、私たちが選んだのはこのやり方なのだ。そして、このやり方こそ、今後も TidBITS と他のメディア出版者たちとを、はっきりと分かつところであり続けるだろう。ちょうど、The New Yorker のような週刊雑誌と The New York Times のような日刊新聞とが、決して混同されないのと同じように。

<http://www.newyorker.com/>
<http://www.nytimes.com/>

けれども、私たちの記事が普通の月刊雑誌に載る記事さえよりもさらに長文の記事になりがちなのは、いったいなぜなのだろうか? この質問に答えようと考えて行くうちに、私たちは、テクノロジーに対するわが読者たちの(そして、私たち自身の)理解度を深めること、これこそが私たちの目標なのだ、ということに考え至った。つまり、ただ単にイベントや製品のニュースを伝えるだけではなく、あるいは単にちょっとしたアドバイスや意見を書くだけではなく、むしろそれらのことの理由をしっかりと説明することによって、記事全体を高い情報度で満たしたい、という考えがあるのだ。無理やりに格言風の言い方で言い直させて頂くと、私たちは事実というお魚をそのままあなた方に手渡すことはしたくない。むしろ私たちは、どこに糸を垂らせば事実のお魚が入れ食いになるかを、あなた方が学び取るお手伝いをさせて頂き、そしてあなた方がご自分で釣糸を垂れることができるようになるならば嬉しい、ということなのだ。

このような目標は、疑問が湧いたのでとにかく手早く解答が欲しいとか、情報は一言でしっかり掴めるのが一番、というのがお好みの、多くの人々の嗜好とは真っ向から食い違うものに違いない。冷静に考えれば、確かに単純な事実を伝えるだけで充分な場合もたくさんあるだろう。その事実の裏に潜むものを理解するなんてまったく必要無し、ということも多いだろう。けれども多くの場合、時間の節約のために表面的な事実だけを知って済ますことは、結局不経済になるのだ、と私たちは感じている。なぜなら、事実というものは数限りなくあるが、それらの事実を説明できるシステムの数というものはそれよりもずっと少ないからだ。TidBITS を読めば、あなたも私たちと一緒に、ともに学んで行くことができるのだ。

独立な情報源 -- われわれメディア人というものは、必ずしもいつもクリエイティブな人間たちばかりとは限らない。プレスリリースをほんの少し書き換えたものを出版したり、同業者の書いた記事を読んだり、同じ話題で何度も記事を書いたりすることもよくある。加えて、メディアの巨大企業化の傾向も進みつつある。このことを考えれば、ニュースと情報の独立な情報源でありたいということを、私たちが TidBITS での第2の目標として掲げた理由を、おそらく皆さんも理解して下さるだろうと思う。

この目標は、一見して受け取れるような内容よりも、たぶんもっと微妙な内容を含んでいるだろう。なぜなら、Macintosh やインターネットの世界というのは、決して独立な意見が聞こえてこないような世界ではないからだ。むしろ問題なのは、どうやって麦の粒をもみ殻の中から選り分けて、それを充分に多くの人数の人々の前に伝えて見せることができるのかということだ。このことこそ、実はインターネットにおける最も有望な点の1つだったのだ。それは、有名な A. J. Liebling の言葉、「出版の自由は出版社を所有するものの手のうちにのみ保証されている」という警告に対する答えを出すものだと期待されていた。けれども今日では、Liebling ならずとも当時にも増して深い憂慮に沈まざるを得ないだろう。今日の世界では、あまりにも多くの人々が出版の手段を持ってしまったので、その中で人々の注目を引くに足る充分な能力を持っていない人にとっては、多数派の意見とは事なるアイデアを発表・出版する自由を事実上制限されているのと同じ事態になってしまっているのだ。

高い品質の独立な出版が可能であるという実例を提示し続けることは、一方では必ずしも大会社の庇護の下でなくとも出版ができるという事実を実証するという、重要な意味を持っている。多くのタイプのメディア出版においてすべてが大会社に隷属させられてしまった今日では、なおさら重要なことだ。私たちがこれまで主に扱ってきたトピック以外の範囲にまで広げて新しいタイプの出版に進出する予定は当面私たちの力の及ぶところではないが、さまざまな分野の話題について、TidBITS に啓発されて小さなニュースレターのようなものを自分で出版し始めた、という人たちから時折お便りを頂くことがある。私たちにとって、これほど嬉しい気持ちになることはない。

革新を促進する -- 独立な個人の声をインターネットで人々に聞いてもらうことが難しいのにも増して、革新的なアイデアを持つ一人のプログラマーが自分の作品を多数のユーザーに紹介したいと願っても、その実現はさらにまた難しいことだ。もちろん、インターネットが生まれるよりも前の時代に比べれば、確かにそれは易しくなっているには違いない。その時代にはソフトウェアの大量配布といえば大規模メールオーダー会社に広告料を払って、箱詰めした製品を販売してもらうしかなかったのだから。けれどもこの問題に関してもやはり、今日ではあまりにもたくさんのものがインターネット上に溢れてしまっているので、いくら最高におもしろいソフトウェアであっても、それをうまい形で編み出して多くの人々に知ってもらうことは、誰の手にとっても非常に難しいことになってしまっている。

そこで大切になってくるのが、私たちの第3の目標だ。TidBITS では、ビッグなアイデアを持った小さなソフトウェア開発者たちをサポートすることを通じて、コンピュータ業界における技術革新を促進してゆきたいのだ。大勢の開発者の人たちがきっと証言して下さると思うが、私たちが言う革新の促進というのは、単に価値は高いがあまり知られていないプログラムについてしっかりしたレビュー記事を書くということだけを意味するのではない。私たちはしばしば、その開発者に対して直接のフィードバックや助言を伝えるようにしてきた。それは、インターフェイスの在り方からマーケティングの方法まで多岐の内容にわたり、またその際には互いに自分の発言に責任を持てる本人同志が直接お互いを知り、可能な限り共同作業を押し進めることができるように工夫してきた。このことはまた、私が毎年 MacHack の開発者カンフェレンスの会場でプレス関係者とのベストな付き合い方について、またユーザーたちに製品を紹介するベストな方法について、開発者たちの前で講演をしてきた理由でもあるのだ。(昨年の講演では、私はユーザーへの製品紹介の話題をメインにした。今年の講演は、製品リリースを成功させるための文書書類作成の実習講座と銘打って、リリースノートやプレスリリース、あるいはウェブでの製品ページなどの書き方について話をしてみたいと思っている。)

デジタルコンテンツの実験 -- 最後に、私たちの第4の目標は、私たちが毎週実践していることそのものの根底深く潜むものを掴み取ろうとしている。すなわち、デジタル社会におけるコンテンツの創作そのものにかかわる問題だ。言うまでもなくこれはわれとわが身を見つめることに他ならないのだが、なぜか私たちは昔も今も、デジタルコンテンツの創出と消費とをめぐる現在と過去の状況について、目くるめく興味が溢れてくるのを止めることができないでいる。デジタルなコンテンツとは、もっとアナログなフォーマットで配布されるコンテンツと比べて、いったい何が違うのだろうか? あるコンテンツが別のコンテンツに比べてより高い価値を持つとは、いったい何を意味しているのだろうか? コンテンツそのものと、そのコンテンツの消費に伴って使われる媒体とは、本当に別々のものなのだろうか? デジタルコンテンツのビジネスモデルとして持続可能なものは、本当に存在するのだろうか?

私たちは、このような問いかけをいつも自分自身に問い続けている。そして、そこで生まれてくるのが、私たちの第4の、そして最終的な目標だ。私たちは、デジタルコンテンツの創出と消費とをめぐる持続可能なモデルを検証し、解明し、実際に育成してゆきたいのだ。これまで私たちは、いろいろな形でその努力を続けてきた。例えば著作権をめぐる争いを扱った一連の記事や、現在も継続中の PayBITS の実験、また私の著書を電子本バージョンとしてさまざまの方法で出版してみる実験などの試みは、まだ皆さんの記憶にも新しいと思う。

パーソナルな立場を忘れずに -- こうしていろいろと目標を立ててきたが、だからと言ってこれで TidBITS の何かを大きく変えて行こうとしている訳ではない。今、これらの目標を検討し、それをはっきりと口に出して表現しようとしていることの目的は、組織としての TidBITS の焦点を、より明確にしたいという試みであり、また言葉を変えて言えば、私たちが今していることを、私たちがなぜしているのか、という疑問をもっと具体的に意識していたいという気持ちの表われなのだ。中でも私たちが忘れてはならないのは、TidBITS は、今もそしてこれからも、パーソナルなものであり続けたいということだ。私たちは今後も皆さんから届いた電子メールにはすべて答えられるように努めてゆきたいし、私たちも読者の皆さんも、互いに一人一人を独立の個人として尊重してゆけるようになりたい、ということだ。

私たちが読者の皆さんを独立の個人として考えてゆきたいと考えている一方、私たちは読者の皆さんからの数限りない応援の気持ちを受け取る立場にも立たせて頂いているのは嬉しいことだ。電子メールではそれこそいろいろな形の応援のお便りを頂いているし、TidBITS への寄付という形での暖かい志も皆さんから寄せられている。また、私たちやその他の筆者たちへの PayBITS によるサポートという形でも、皆さんからの力を頂いている。そればかりではなく、読者の皆さんからはさまざまのとてもユニークな形での交わりを頂くこともある。あまりにも数が多くて、そのすべてをここで紹介することはとてもできないが、その中から2・3の例だけを紹介させて頂こう。少し前のことになるが、Power On Software 社の人たちが私のところにやって来て、私の著書のブックカバーに記されていた私の略歴の最後の行を冷やかし始めた。私は冗談で、自分の略歴の最後の行に「彼はまだアクション・フィギュアにされる光栄には浴していない。」と書いておいたのだった。彼らは何という創造性、何という悪戯なユーモアのセンスを持っていたことだろうか、彼らがその場で取り出して見せたのは、何と私の人形、私とそっくりの顔をして、超ミニサイズの私の著書を小脇に抱えた、まさに私のアクション・フィギュアだった! 彼らのこの作品は本当に傑作で、私はただ笑い転げるしかなかった。(下記のリンクでご覧あれ。)これこそ素晴しい「プレスのハッキング」ではないだろうか。当然、私がその後自分の略歴を書き換えたことは言うまでもない。最近経験した別の例を挙げれば、Paul Durrant から Tonya に、子供がよく眠れるようになるにはどうするか、という本が届いた。これは、Tonya が彼女の記事の中で、乳児を持つ母親はいつも睡眠不足だというコメントを書いた後のことだった。また、これはつい2・3週間前のことだったが、カリフォルニア州 Berkeley から送り主不明の包みが届き、その中には何と“Tidbit”という名前のキャラメルキャンディーが入っていた。とても美味しかった!

<http://www.tidbits.com/resources/676/adam-action-figure.mov>
<http://www.tidbits.com/resources/676/gifts-from-readers.jpg>

皆さんは素晴しい人たちだ。だから、毎週毎週皆さんのために書き続けるのは、私たちにとって楽しみでもあり、名誉でもあるのだ。今後も、私たちが元気で書き続けられ、書くことを楽しみ続けていられるようにと、願わずにはいられない。これから、また新たな 13 年が過ぎた後になっても。

PayBITS: あなたのカンパで TidBITS を応援し、コンテンツがずるい連中に食い荒らされることのない世界を目指して、力を合わせてみませんか?
<http://www.tidbits.com/about/support/contributors.html>
PayBITS の説明 <http://www.tidbits.com/tb-issues/lang/jp/paybits-jp.html>


SLIMP3: MP3 よ、いざ Hi-Fi へ

文: Andrew Laurence <atlauren@uci.edu>
訳: 亀岡孝仁 <takkameoka@earthlink.net>
訳: 佐藤浩一 <koichis@anet.ne.jp>

皆さん、Andrew と申します。私は音キチでもあります。

私は、妻のものと合わせると 1,000 枚以上の CD を持っているので、保管場所が問題になって来ているし、それを考えると夜も眠れなくなってしまう。勿論、もう一つラックを追加すれば更に 200 枚は収納できるだろうが、この調子では家中の部屋という部屋にはラックが立ち並ぶことになってしまうであろう。CD ジュークボックスの方が場所を取らないかもしれないが、より高価だし、400 枚しか収納できない上に、二台までしか従属接続できない。例えその場合でも、全体の中から特定のアルバムを選び出したり、一宵のためのプレイリストをどうやってすばやく作れるというのであろうか?結局の所、ライブラリというのはその中身にアクセスできて初めて役に立つというものである。

MP3 は魅力的な選択肢である。ハードドライブが小型で安価となり、プレーヤソフトはソーティングやプレイリストのフィルタが上手に出来るようになったからである。十分に大きなシングルのハードディスク(或いは複数のハードディスク)があれば、私の全コレクションを収納するのはそう大変な話ではないし、品質の劣化を最小限とする高ビットレートでの収納すら可能であろう。明らかに、MP3 サーバはその解である。容易なインターフェースとリモコンが付けば更に良い。さて問題は、その MP3 をステレオや高品質スピーカへどうやってつなぐかである?

我々の所ではコンピュータはデンにあり、タイピングの音、印刷の音、それにハードドライブのうなり音といったものは、居間のメディア天国から安全に隔離されている。私はラップトップは持っていない(中古ですら買うのは高価である)ので、ステレオの上に一台置いておくのは(装飾上の問題にもなり得るし)考えないこととする。コンピュータがステレオの近くにないとすれば、安価な minijack-to-RCA アダプタケーブルは明らかに選択肢とはならない。一方で、我が家は Ethernet で配線されており、802.11b のワイヤレスも使える。それでは、このデジタルメディアをアナログ再生するためにステレオの所に持っていくのにこのネットワークが使えるのではないだろうか?

スリムな解 -- Slim Devices, Inc. から出されている $230 の SLIMP3は、このコンピュータとホームステレオの間を橋渡しする。これにはプレーヤ(一つのネットワークデバイスハードウェアでステレオ受信機の RCA 入力に接続する)、リモコン、それにリモートのコンピュータで走るサーバソフトウェアが含まれている。このソフトウェアは iTunes Library (プレイリストも) を解析し MP3 ファイルをストリーム化しネットワークを通してプレーヤに送り、プレーヤがそれをステレオ用にアナログオーディオに変換する。

<http://www.slimdevices.com/>

このプレーヤの唯一目に見える機能は、明るい緑色の二列の蛍光ディスプレイ(VFD) だけで、ソフトウェアのメニュー構成、プレイリストと現在のトラックを表示する。プレーヤの裏側にあるのは、電源用ジャック、10Base-T Ethernet、それに左と右の RCA 出力だけである。8.5 x 2.5 x 2 インチ(21.6 x 6.4 x 5.1 cm) のスリムなボディとくすんだ灰色のスタンドにのった形は単純そのものである。全体を黒色で包まれた SLIMP3 プレーヤは Johnny Cash 調のかっこよさを体現している。

SLIMP3 のインストールは簡単で早い。まず、あなたの OS に合った最新バージョンをダウンロードする(1.4 MB のダウンロード)。Mac OS X の他にもSLIMP3 のソフトウェアは Windows 95/98/Me/XP/NT/2000 及び Linux を正式にサポートしている。他の Unix OS はソースコード・ターボールからインストールできる。Mac OS X では、インストーラを起動して、設定画面は自分のためだけに出るようにするのか、それとも他の全ユーザーにも出るようにするのかの選択をし、Install をクリックする。インストーラは System Preferences の中に新しい SLIMP3 Server 画面を自動的に開く。SLIMP3 ソフトウェアが起動時またはログイン時に自動的に立ち上がるようにするかどうかの選択をし、Start を押す。次に、付属の RCA オーディオケーブルを使ってプレーヤをステレオに接続し、10Base-T Ethernet ネットワークへも接続する(或いは Linksys WET11 のような 802.11b ワイヤレスブリッジ)。パワーアダプタをつないでスタートアップの yes-or-no 質問に答えれば、はい、出来上がり!自分のステレオから MP3s の音楽が流れてくる。

<http://www.linksys.com/Products/product.asp?grid=22&prid=432>

SLIMP3 は一つの IP ネットワーク装置なので、装置の設定の簡単さはそのネットワークの構成に左右される。もし家の中にルータがあって DHCP 経由でIP アドレスが割り振られるならば、設定質問に "No" と答えることで、プレーヤは IP 番号を得るのに DHCP を使い、SLIMP3 Server を見つけるのにZeroConf (Apple の Rendezvous) を使うようになる。もし、何かをマニュアルで設定したければ、"Yes" と答えることでこれらのオプションが設定できるようになる。

SLIMP3 Server が立ち上がると、それは iTunes の設定ファイルをスキャンし音楽ライブラリの場所と内容を読み込む。ファイルと共に、アーティスト、アルバム、ジャンル、すべてのプレイリストが、分析され表示と選択のために供される。SLIMP3 は、MP3 ベースのインターネットラジオ局も聞くことが出来る;そしてまた iTunes の中のプレイリストにあるものは何でも対象となる。

SLIMP3 プレーヤのコントロールは付属のリモコンでか、サーバに含まれている Web インターフェースで行なう。いずれのインターフェース経由でも、曲、アーティスト、アルバム、ジャンル、或いはプレイリストによってライブラリをブラウズしたり、選曲したり出来る。プレーヤの現在のプレイリストにアイテムを追加したい時は、Add を押す。追加された新しいアイテムは、それが一つの曲であっても或いは多くの曲が入った一つのグループであっても、直ちにプレイバックに供することが出来る。一旦アイテムがプレイリストに収納された後は、個々の曲を削除したり、並べ替えたり出来る。曲を聴くにはただPlay を押せばいい。プレーヤには二行のテキストが表示されるだけなので、個人的には Web インターフェースの方が好みである。このプレーヤのディスプレイとリモコンは大変機能的に出来ているが、長大なライブラリをスクロールしていくのは結構面倒な作業である。

スリムな選択肢 -- このように簡単な設定をすれば、私は無限の音楽を束縛されずに聴く至福の喜びを味わえるはずだった。曲とアルバムをその日の気分でプレイリストに並べて、底なしのマルチディスク CD プレーヤから途切れることのないサウンドトラックを紡ぎだすことを心に思い描いていたのだ。

現実には、ほとんどの場合ライブラリ全体からランダムに選んだ曲を聴いている。このような聴き方は、すっかり忘れていた曲や時にはアーティストさえも再発見する喜びを際限無くもたらしてくれているが、例えばフランクシナトラの“我が町シカゴ”の次に Guns N' Roses の“Paradise City”が流れてくるなど、予期せぬ曲の組み合わせにも驚かされる。ここ何週間か実際に CD には触っていないが、いまだ実際に一枚ずつ探すときの感触、そしてその場の思いつきで曲を選ぶことが忘れられない。これは主として、私がまだアルバム単位で曲を聴こうとしていることが問題なのだ。私の曲の聴き方はそのうち順応してくれるだろうし、その時の“気分”に合ったプレイリストをさらに作成しようとは思っている。しかしながら、私はまだ CD インサートをどうしたら良いものか途方に暮れている。ライナーノーツをめくらないと分からないこともあるのだ。しかし、長い目で見れば、CD とケースをしまうということは、ぼんやりとしたコンセプトから成し遂げられることができるゴールへと変化している。

音は素晴らしいし便利なのだが、SLIMP3 は一般受けする商品ではないことを指摘しておきたい。これは例えば TiVo のように、誰もがみな欲しがるものではないのだ。例えば、SLIMP3 のサーバからストリーミングされる音楽を聴くということは、家庭での使用では予期せぬ結果を招く。例をあげると、MP3 は私のメインコンピュータに入っているが、これは以前には未使用時間が 15 分を過ぎるとスリープするような設定になっていた。もし SLIMP3 で音楽を聴こうと思ったら、iMac がスリープ状態かどうかを気にしなければいけないし、さらに省エネルギー設定でスリープしないように調節する必要がある。この面倒さは、この機器が Wake-on-LAN をサポートしていれば少しは低減されただろう (最近TidBITS Talk で議論されたように、Wake-on-LAN は、ネットワーク関連のアクセスのためにコンピュータをスリープから解除する、魔法のパケットである)。こうなっていれば、サーバがネットワーク上で見つからなかった場合、ユーザのリモコンの最初のアクションに対応してプレーヤが Wake-on-LAN パケットを送出することができただろう。サーバコンピュータのスリープ状態はこれで解除され、再び音楽の演奏を再開できるのだ。同じように、ネットワークベースの機器は、ネットワークのインフラの上限を越えることはできない。何人かのLinksys ルータ所有者が、SLIMP3 サーバマシン上のほかのアプリケーションのネットワークパフォーマンスが低下したことを報告している。

<http://db.tidbits.com/getbits.acgi?tlkthrd=1900>
<http://docs.info.apple.com/article.html?artnum=106790>

私は、質素なパッケージの中にソフトウエア CD が含まれていないことに少しがっかりした。インストールの前にダウンロードしなければいけないのは、ソフトウエアの更新頻度が高いことを考慮すればかえって好都合なのかもしれないが、初期の導入処理に余計な手間がかかるのは間違いない (実際、ソフトウエアがアップデートされたことにより、このレビューの何箇所かを書き直さざるを得なくなった)。ソフトウエアのアナウンス用のメーリングリストもあると良いのにと思う。現在は、同社が運営する Yahoo Group ディスカッションリストを通じてしかアナウンスされていない。

そうは言っても、 SLIMP3 はまさにマニアにピッタリのギアだ。サーバソフトウエアは Perl で書かれており、それとプレーヤのファームウエアの双方は GPLライセンスのオープンソースで SourceForge から入手できる。ユーザーと開発者のためのメーリングリストは、ユーザーの傾向、バグ (すぐに修正される)、そして追加して欲しい機能 (実装されることもしばしばである) に関するディスカッションが豊富にある。ソフトウエアはウエブインターフェースからほとんど無限に設定することが可能で、メニュー項目の並べ替え、追加あるいは消去、表示フォーマットの変更、ウエブインターフェースを表示するスキンを交換、そしてゲームを含む数多くの高度な機能をアクティブにすることなどができる (同梱の素晴らしい SlimTris は、プレーヤの表示画面でリモコンを使って遊ぶテトリスで、縦にして使用する)。Perl モジュールとパッケージの依存性に関して作業するのが苦にならなければ、サードパーティーのプラグインにより天気予報や BBC ニュースの電光掲示板などが提供されている。同じストリーミングに同期しているか、あるいは個別のストリーミングを聴いているかには関係なく、プレーヤは何台でも帯域幅が許す限りサーバーに接続できる。ソフトウエアは ZeroConf 準拠ネットワークサービスなので、たとえば Appleの Safari など Rendezvous 対応のブラウザなら、サーバのウエブインターフェースを簡単に表示させることができるだろう。最後に、サーバからのストリーミングを聴けるのは SLIMP3 ハードウエアだけに限らない。インターネットのストリーミングを聴くことができる MP3 プレーヤソフトウエア (iTunesや WinAMP など) で SLIMP3 サーバのポート 9000 の stream.mp3 を開けば動作する (あなたがこれを試す場合には、下記の 3 行目の URL の“YourMusicServer”を、あなたのコンピュータの環境設定の共有パネルに表示されている Rendezvous 名称に合うように変更する必要がある)。

<http://sourceforge.net/projects/slimp3/>
<http://www.slimdevices.com/dev_third_party.html>
<http://YourMusicServer.local:9000/stream.mp3>

SLIMP3 はエレガントな MP3 ソリューションだが、私には若干物足りなかった。PC サーバからステレオにストリーミングする方式は、私が想定していたものでは無かったのだ。今気が付いたのだが、私が望んでいたのは、他のステレオコンポ同様、キャビネットに納まるハードディスクベースのシステムに MP3 が入ったものだ。数年前にあったカリフォルニアの計画停電を経験した身としては、音楽を聴いていない時にはその記憶装置の電源を切っておきたいと思っていた。管理は、コンピュータかテレビのインターフェースで行えるのが希望である。要するに、TiVo の MP3 版が欲しかったのである。大容量ハードディスクが簡単に追加できればなお良い。

とは言うものの、SLIMP3 の方式はポピュラーであり、現在破産申請しているSONICblue 社の Rio Digital Audio Receiver、Turtle Beach 社の AudioTron、そして MacSense 社の 次期製品である HomePod などの競合各社も採用している。これらの機器は、比較的低価格の、そして何より重要なのは、成長しているマーケットセグメントとして成長している。これに対し、高価なディスクベースの機器は慢性的にマーケットで苦しんでいる。TiVo もストリーミングソリューションのマーケットに参入した。同社の Series2 ハードウエアは新しくHome Media Option を採用し、あなたの Mac あるいは PC からストリーミング終了後 MP3 やデジタルフォトを TiVo Desktop アプリケーション (SLIMP3 サーバと同様に Rendezvous を利用している) 経由でテレビに表示できる。

<http://www.sonicblue.com/shop/_templates/item_main.asp?model=172&cat=34>
<http://www.turtlebeach.com/>
<http://www.macsense.com/>
<http://www.tivo.com/4.9.asp>
<http://www.tivo.com/4.9.4.1.asp>

私自身の考えはさておき、SLIMP3 プレーヤは小さくて良く出来た機器であり、コンピュータの MP3 を家庭のステレオで聴くための素晴らしい方法である。

[コンピュータのキャリアを追い求める Andrew Laurence は、ライター一家の厄介者である。新しい排水ポンプからあふれ出る水と格闘していないときには、だんだん容量が大きくなっていくハードディスクを買う彼の姿がしばしば見られる。]

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Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2005年 12月 26日 月曜日, S. HOSOKAWA