TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1275/08-Jun-2015

またもや WWDC 基調講演の季節がやって来た。そして季節外れというか何と言うか、OS X に似合うのは雪の予報だ。つまり、間もなくリリースされる予定の OS X 10.11 El Capitan だ。[訳者注: El Capitan は Yosemite 国立公園にあるロッククライミングの名所です。]Adam Engst はこれが Mac OS X 10.6 Snow Leopard 以来最良のアップデートになるかもしれない理由を説明する。Josh Centers は iOS 9 の詳細と、新しい Apple Music ストリーミングサービスの概要を伝える。一方 Michael Cohen は watchOS 2 に何が期待できるかを語る。私たちの新しいスポンサーとして、Mapbox を歓迎する。デザイナーや開発者がカスタマイズした地図を作成できるプラットフォームを提供する会社だ。その他のニュースとしては、議会が USA FREEDOM Act を可決したので、Josh が最新の「スパイ活動の情報に遅れずついて行こう」記事でそれが政府による監視活動にどのような変化をもたらすかを解説する。そして今週の特集記事では、Adam が Apple Watch を使ったエクササイズを語る二部作の後半として、Apple のフィットネス向けソフトウェアを調べる。今週注目すべきソフトウェアリリースは、Fission 2.2.4、QuarkXPress 2015 11.0.0.1、CrashPlan 4.2、SpamSieve 2.9.20、Evernote 6.0.13、iFlicks 2.2.1、Mactracker 7.4.4、Tinderbox 6.3、それに Fantastical 2.0.6 だ。

記事:

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Yosemite に雪が: Apple、OS X 10.11 El Capitan を発表

  文: Adam C. Engst: ace@tidbits.com, @adamengst
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Mac OS X 10.6 Snow Leopard を、覚えておられるだろうか? 多くの人たちにとって Snow Leopard は OS X の見せ場と言え、パフォーマンスと安定性に集中したものであった。そして今、その時が再び訪れた。アクティブな Mac ユーザーの 55 パーセントが 10.10 Yosemite を走らせていると Apple は声高に宣伝したけれども、Apple がデザインや機能を優先するあまり洗練と安定性を軽視しているという不満の声は広くささやかれていた。Apple が口に出して言うことはあり得ないが、あの Snow (雪) という単語を Yosemite にくっつけたものにあたるのが、OS X 10.11 El Capitan だ。開発者は本日から入手でき、公開ベータ版は 2015 年 7 月に出される予定で、正式リリースは「今年の秋」となっている。

Apple が口に出す言葉は「OS X El Capitan は、OS X Yosemite で導入された画期的な機能と美しいデザインをベースに、エクスペリエンスの洗練とパフォーマンスの向上を数多くの細かなところに施し、結果として大きな違いを生んでいる」というものだ。変更は主として二つの分野、ユーザー体験と、パフォーマンスとに集中する。

パフォーマンス -- ここで言うべきことはあまりない。ユーザーの観点からは、パフォーマンスが良ければそれは良いことだし、いったんありがたいと思えばそれでたいてい忘れてしまうことだからだ。良くなったパフォーマンスはすぐに当たり前のこととなり、以前は痛いほど遅かったことなど思い返したりしないからだ。

Apple は El Capitan でアプリの起動が最大 1.4 倍速くなり、アプリの切替が最大 2 倍速くなり、Preview が PDF を最大 4 倍速く開き、Mail が最初のメッセージを最大 2 倍速く表示すると主張する。要するに、Apple はより高速のハードウェアに丸ごと依存するのでなく、よくある活動のためのコードを効率化しているのだ。

El Capitan では Metal が登場する。これは昨年の iOS 8 で初めて登場した高性能のグラフィック API だ。Metal があれば、開発者はゲームやその他のグラフィック負荷の大きいアプリに直接グラフィックプロセッサへのアクセスをさせることができ、システムレベルのグラフィックレンダリング速度が最大 50 パーセント高速化される。Metal はとりわけゲームを出版する者にとって大きな恩恵となる。従来 Mac はゲームの分野での競争に苦しめられてきたが、これで優位を得られるかもしれないからだ。

ユーザー体験 -- あなたの目に映る変化は、そしておそらくあなたが最も歓迎することがらは、ユーザー体験の分野のものだろう。しかしそうは言っても、変化はいずれも小さなもので、OS X や Apple のアプリをより早く、より易しく使えるようにすることに焦点が置かれている。

詳細は -- 現時点では、El Capitan について私たちが知っているのはそれが「今年の秋」に到来することと無料であることだけだ。Apple の過去の実績に照らし合わせれば、リリース時期は 10 月の中旬か下旬だろうか。基調講演の場ではハードウェア互換性について何も語られなかったが、その後判明した情報によれば El Capitan は Yosemite、Mavericks、または Mountain Lion の走るすべての Mac で走るという。後方互換性としては見事だ。

Apple が OS X に新機能を追加するよりも既にあるものを磨き上げ洗練させることに集中する気になってくれたのを嬉しく思う。願わくは、El Capitan が Yosemite のいくつかのバージョンを通して残り続けていたバグをきっちりと片付けることもしてくれればと思う。

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iOS 9、さらなる知性と iPad マルチタスキングを追加

  文: Josh Centers: josh@tidbits.com, @jcenters
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

本日の Worldwide Developers Conference において Apple は iOS 9 を発表し、「今年の秋」に出すと述べた。iOS をより効率的に、より知性的に使えるようにし、また iPad 上での作業がより iPad に適したものとなるようデザインされた機能が組み込まれる。Apple の内蔵アプリの多くも、拡張を受ける。

iOS がより知性的に -- おそらく最も興味深い点として、iOS 9 は iOS 8 よりもずっと賢くなる。まずは Siri だが、Apple によれば Siri がより正確かつ有能になり、デバイス上で複雑な検索を実行できるようになる。例えば、"Show me photos from my 2014 trip to San Francisco" と話しかけることもできる。また、Siri に命じて現在のアプリが表示しているものを覚えさせることもできる。例えば、Safari で旅行先のことを調べている最中に "Remind me of this tonight" と言えばよい。あるいは、Maps である場所を見ている最中に、車に乗ったらこれを思い出させてくれと Siri に命じてもよい。

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どうやら Apple は Spotlight という名前を捨てたようだ。その代わりに、検索は単に Search と呼ばれ、Siri と統合される。また、iOS 7 と 8 ではホーム画面を下へスワイプしていたのを、それ以前と同じくホーム画面を右へスワイプして検索にアクセスするようになる。OS X 10.11 El Capitan で拡張された Spotlight (2015 年 6 月 8 日の記事“Yosemite に雪が: Apple、OS X 10.11 El Capitan を発表 ”参照) と同様、iOS 9 の Search もスポーツのスコアやスケジュール、天気予報、株価、簡単な計算などを表示する。最も重要なのは Search がいろいろなアプリの内部で検索できることで、開発者たちが独自の検索フックを作成できるようになる。基本的に、もしも Siri が何かをできるならば、iOS 9 の Search にもそれができると考えてよいであろう。

Search を開くと、"Siri Suggestions" として関係ある人々やアプリが表示される。また、近くの名所やあなたの位置情報に関連するニュースなどの提案も表示される。

Apple が「先を読むアシスタント」と呼んでいるものの中に数多くの機能が組み込まれる。iOS 9 はあなたの利用パターンを観察して、Lock 画面上にあなたが特定の時に開くであろうアプリを提案する。また、あなたがヘッドフォンを差し込めば自動的に音楽やポッドキャストを提案するが、その際あなたの位置情報や現在時刻も参考にして選ぶ。また iOS 9 は電子メールのメッセージから自動的にカレンダーのイベントを作成でき、間に合うように着くためにはもう出かけなければと促してくれさえする。その際に交通渋滞の状況や歩いてかかる時間まで勘案してくれる。それからもう一つ、新バージョンの iOS は知らない電話番号から電話がかかってくればあなたの電子メールをスキャンして誰からの電話か調べてくれる。

以前からずっと Google やその他ハードウェアベースのビジネスモデルを持たないテクノロジーの巨人たちを狙い撃ちにしようとしている Apple は、ここに集められる情報のすべてが匿名化されると強調した。あなたの位置情報やその他の個人的データが必要となる場合でさえ、その情報があなたの Apple ID に結び付けられることはなく、その代わりにランダム化された識別子が利用される。それらのデータが Apple の他のサービスにリンクされたり、第三者と共有されたりすることもない。

iPad がレベルアップ -- 長年にわたり、Apple は iPad の大きなスクリーンについて無視してきた。少しだけ違うインターフェイスを推奨しつつ、それ以外では iPod touch をただ大きくしただけのもののように扱ってきた。けれども iOS 9 は違う。Apple はついに、iPad の大きなスクリーンの利用について語り始めた。(そして、これはもっと大型の iPad が iOS 9 と同時にリリースされる予兆ではないかという考えが浮かぶのも自然だろう。)

iPad 上でテキストを編集することの困難に文句を言い続けてきた人たちのために、iOS 9 ではテキストの選択に非常に大きな改善が見られる。スクリーン上に二本の指を置いて「トラックパッドモード」にすれば、テキストの選択・編集・移動ができる。(ベータテスターたちからの初期報告によれば、この機能は iPhone 6 や iPhone 6 Plus でも使えるという。)

キーボードにも歓迎すべき改善がある。新しい Shortcut Bar が QuickType バーと統合され、テキストを手軽にカット・コピー・ペーストしたり、ボールド体やイタリック体に切り換えたりできる。さらに、物理的なキーボードを使ってもアプリを切り替えたり検索を開始したりでき、サードパーティのアプリも独自のキーボードショートカットを組み込むことができる。Command、Option、Control の各キーを押せば iOS 9 がそれらのショートカットを表示する。

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おそらく iPad で最も重要な新しい進展はマルチタスキングだろう。新設されたタスクスイッチャーが大きなフルスクリーンのアプリプレビューを表示するのも素敵だが、本当に興味深いのは三つの新しいテクノロジー、Slide Over、Split View、それに Picture in Picture を使って同時に複数のアプリで作業ができる点だ。

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これらの機能は多くの人々が古い iPad を買い替える動機になるかもしれない。なぜなら、これらの機能には iPad Air、iPad Air 2、iPad mini 2、または iPad mini 3 が必要だからだ。Split View 機能だけはさらにもう一歩進んで iPad Air 2 のみで働く。

ニュース、メモ、地図 -- iOS 9 は長らく好かれていなかった Newsstand を止め、その代わりに新しい News アプリを採用した。美しく、親しみやすいフォーマットで記事を表示し、ビデオやアニメーションにも対応する。個々の出版元をフォローすることも、百万以上ある幅広いトピックから選んでフォローすることもできる。(Newsstand は通常のフォルダとなり、ついに削除できるようになる。)

Apple はあらゆる出版社に呼びかけてそれぞれのコンテンツを News に共有してもらおうとしており、対象はメディア界の巨人たちに限られない。あなたがブログを書いていたり、何かの出版を運営したりしているのならば、私たちがしたのと同じように News Publisher のサインアップができる。現在のところこのシステムは RSS に基づくものだが、将来は特別の Apple News Format が登場することになる。News に何が現われるかを Apple がどの程度厳しく管理しようとするのか、私たちは注目していたいと思っている。Apple は、これまで App Store や iBooks Store でやってきたと同じことをしようとしているのだろうか?

Notes (メモ) アプリは、iOS 9 で極めて大きなアップグレードを受ける。より多くのフォーマッティングのオプション、例えばヘッダやリスト、さらにはチェックリストも Notes に含められるようになる。メモに写真を添付したり、メモに手書きのスケッチを描いたりさえできる。Notes は共有シートにも現われるようになるので、URL をメモに送ることもできる。そして、これらすべてのことが iCloud 経由であなたのすべてのデバイスの間で同期される。Mac 版の Notes アプリも OS X El Capitan で同様のアップデートを受ける。

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都市に住む人たちは、iOS 9 の Maps アプリに交通機関案内が加わって大喜びするだろう。しかしながら、スタート時には次に挙げる都市でしか使えない: Baltimore、Beijing、Berlin、Chengdu、Chicago、Guangzhou、Hangzhou、London、Mexico City、New York City、Philadelphia、San Francisco、Shanghai、Shenzhen、Toronto、Washington D.C.、Wuhan、それに Zhengzhou だ。Apple はあと 300 の都市がこれに続くと約束している。Search 機能と同じように、Maps もその検索画面にあなたの近くにあるものの情報を紹介する。

Apple Pay と Wallet -- Passbook が再ブランドされて iOS 9 で Wallet という名前に変わり、それに伴ってポイントカードが Apple Pay に統合される。当初から提携するのは BJ's Wholesale Club、Dunkin' Donuts (聞いたか Starbucks よ!)、JCPenney、Kohl's、Panera Bread、それに Walgreens だ。Baskin-Robbins、JCPenney、Peet's Coffee & Tea、Trader Joe's など新たに Apple Pay に対応する小売業者もある。

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Apple Pay は 7 月から英国でも使えるようになり、当初から 250,000 ヵ所で使える。

Apple はまた数多くの新しい Apple Pay 提携社を発表した。Discover が今年の秋に Apple Pay に加わり、Square は Apple Pay 対応の新しいリーダーを出し (小規模ビジネスにとってありがたい知らせだ!)、Pinterest は新しい "buyable pins" 機能をスタートさせてユーザーが Pinterest からピンの付いた項目を直接 Apple Pay で購入できるようにする。

コアの効率が増す -- こちらは飛び抜けて魅惑的な機能とは言えないが、Apple は iOS 9 をコアの段階でより効率的なものにするため多大な努力を注いだ。最悪のタイミングで iPhone がバッテリ切れになる経験をしたことのある人は、通常の使用でバッテリ駆動時間が 1 時間伸びるのをありがたいと思うだろう。これは、単純に電力を有効に使うようになったことによる。その上、iOS 9 には Low Power モード (低電力モード) が導入され、これを使えば余計な機能を自動的にオフにすることにより iPhone のバッテリ駆動時間が最大 3 時間伸びる。また、iOS 9 では周辺光センサーと近接センサーを使ってデバイスがテーブルの上に伏せて置かれている場合にスクリーンがオンにならないようにしている。

とても嬉しいことに、Apple は iOS 9 アップデートをインストールするために必要な空き容量を減らし、iTunes に頼らなければ iOS 8 へのアップデートができなかった経験をしたユーザーたちの問題を回避するようにしている。インストールのために iOS 9 が必要とするのはたった 1.3 GB で、iOS 8 のダウンロードに必要であった 4.6 GB という巨大な容量とは大きな違いだ。セキュリティの面について言えば、iOS 9 では六桁のパスコードと二要素認証とが提供される。

これらの基礎的な改善点はすべて、iOS 8 ユーザー全員の利益となる。iOS 9 は、iOS 8 と全く同じデバイスに対応しているからだ。

Apple は iOS 9 を使うすべての人のためを思うあまり、Android からデータを移行する方法さえ提供しようとしている。登場予定の Move to iOS アプリが、あなたの連絡先データ、メッセージ履歴、写真、ビデオ、ブックマーク、電子メールアカウント、壁紙、さらには DRM-フリーの楽曲や電子ブックまで、ワイヤレスでセキュアに転送する。Move to iOS はあなたが持っている無料のアプリに代わるべきものを提案し、有料のアプリに代わるべきものをあなたの iTunes Wish List に追加する。

その他 -- iOS 9 について私たちが気付いた新しいことがらを以下にいくつか挙げておこう。他にも何かご存じならコメントに書き込んで頂きたい!

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Apple が Apple Music サービスを発表

  文: Josh Centers: josh@tidbits.com, @jcenters
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Worldwide Developer Conference 基調講演の中の長ったらしい紹介の中で、Apple の Internet Software and Services 担当 Senior Vice President の Eddy Cue が、同社の長らく予想されていた Apple Music ストリーミングサービスを発表した。これは、Apple が昨年買収した(2014 年 5 月 28 日の記事“Apple、Beats を $3 Billion で買収”参照)Beats の、今は Beats Music として知られているサービス(2015 年 5 月 16 日の記事“FunBITS: Beats Music は何が違うのか”参照)から生まれたものだ。

このサービスは 2015 年 6 月 30 日に開始される予定で、価格は個人プランが月額 $9.99、最大 6 名までの家族が使えるファミリープラン(その全員が同じ Family Sharing の仲間に属していなければならない)が月額 $14.99 だ。サービスの導入にあたって、Apple は新規のユーザーに三ヵ月間の無料試用を提供する。Apple Music は後日登場する iOS 8.4 の Music アプリ、watchOS、それに Mac および PC 上の新バージョンの iTunes に内蔵される。Apple TV と Android スマートフォンへの対応は今年の秋に追加される予定だ。

Apple Music には三つのコンポーネントがある:

たとえ会員料金を払っていなくても、Connect でアーティストをフォローしたり、Beats 1 の放送を聴いたり、一部の楽曲スキップを伴った Apple Music を聴いたりできる。

WWDC での長々しい実演を見た後も(Merlin Mann は Twitter で「まるで初めて iPod を買ったばかりの退職者に飛行機に乗っている間ずっと付き合わされているようなものだ」と皮肉った)実際どうやって Apple Music とやり取りするのかははっきりしなかった。私たちは、今月末になって自分で手を触れてみることができるのを楽しみにしている。使ってみれば Spotify や Rdio など他のサービスとの比較もできるだろう。

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Apple の watchOS 2、ネイティブアプリと、他社製の複雑時計を獲得

  文: Michael E. Cohen: mcohen@tidbits.com, @lymond
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

WWDC の壇上で Tim Cook は開発者たちに向けて Apple Watch が「世界を変えるための次のチャンス」と語り、それから Apple のテクノロジー担当副社長 Kevin Lynch を紹介して watchOS 2 に登場予定の機能を説明させた。このウェアラブル機のオペレーションシステムの、来たるべき新バージョンだ。開発者とユーザーの双方にとって最も重要な追加機能は、ネイティブな Apple Watch アプリへの対応だ。でも、他にも新機能はたくさんあって、顧客たちの手首を頻繁に持ち上げさせることになるはずだ。

ネイティブアプリ -- まず第一に、ギーク向けの話をしよう。現在 Apple Watch 上にあるサードパーティのアプリは起動が遅い。これは、Apple Watch 開発者たちが今のところ手にできるライブラリのセット、WatchKit の持つ制約の結果だ。記事“最初の Apple Watch アプリは表面をなでるだけとなろう”(2014 年 11 月 20 日) に書いたように、最初のバージョンの WatchKit ではウォッチ用のアプリが二つに分離されていた。アプリのユーザーインターフェイスのためのコードはウォッチの上に置かれたが、論理や処理はすべてペアリング相手の iPhone の上で実行された。そのため、コミュニケーションの行き来には時間がかかる。ウォッチがデータのリクエストを送る時間、それに応じて iPhone がリクエストを処理する時間、結果をウォッチへ送る時間、そしてウォッチがそれらの結果を表示するのにかかる時間だ。

来たるべきバージョンの WatchKit では、開発者たちがウォッチ上で走るアプリの中に論理を組み込むことができるようになり、現在よりずっと高速で動作し、ずっと多くの機能を持つアプリが実現できるようになる。

ネイティブアプリによって Apple Watch のバッテリ寿命にどんな影響があるかは分からないが、その点はぜひ知りたいものだと思う。アプリ開発者たちが新たに使えるようになるものには、Digital Crown、加速度センサー、Taptic Engine、心拍センサー、ウォッチのスピーカー、ウォッチのマイクロフォンなどへの直接アクセスが含まれる。また、ウォッチアプリは短いビデオを再生したり、HomeKit と連係して家の中の機器を制御したり、HealthKit 情報にアクセスしたりもできるようになる。(例えばエクササイズ用アプリが過去の測定値にアクセスしたりもできる。)

それだけではない。watchOS 2 はサードパーティの開発者が時計の文字盤上に置く追加のコンプリケーション(複雑時計の要素)を開発できる方法も提供する。だから、例えば旅行用アプリが時計の文字盤上に飛行機の出発時刻や電気自動車の充電状況などを表示することも可能になるだろう。

新たな標準機能 -- この watchOS 2 に標準で付く新機能はたくさんあり、その種類もさまざまだ。

スマートな時計としての Apple Watch が、さらにスマートに(賢く)なる。Apple が Time Travel と名付けた機能を Digital Crown で操作し、時計の文字盤上に表示される情報をスクロールして見ることができる。例えば、文字盤上のコンプリケーションとしてカレンダー項目や世界時計を表示させるように設定していれば、Digital Crown を回して時間を前に進めることができ、それらのコンプリケーションに表示される情報が更新されて行く。ちょうど、現在の Digital Crown が現在の Solar 文字盤で太陽のアイコンを空の上で動かすことができるのに似ている。

文字盤といえば、watchOS 2 ではあなたの手首を飾る新しい文字盤がいくつか提供される。Photos 文字盤はあなたが好みの写真を選び、それを切り取って時計の文字盤の背景として使えるようにする。また、Photo Album 文字盤にすれば手首を上げるたびにフォトアルバムからランダムに選ばれた写真が文字盤の背景として使われる。また、watchOS 2 では Time-Lapse 文字盤も加わり、これは世界中のいろいろな場所で撮影されたタイムラプス動画を背景として表示する。例えば London (Big Ben を見よう!) や、Mack Lake (湖面に映る雲が動くのを眺めよう!) などがある。

私のように毎晩ベッド脇で Apple Watch を充電する人のために、Nightstand モードが新設された。これは、Apple Watch を充電器に接続すると作動する。このモードでは、文字盤が明るくなって、あなたが文字盤か Digital Crown に触れるたびに時刻を表示し、サイドボタンを押せばアラームがオフになり、Digital Crown を押せばアラームをスヌーズする。Nightstand の文字盤は通常の文字盤を 90 度回転させた向きになっているので、Apple Watch が横向きに置かれていても読みやすい。(そう、充電中に Apple Watch をどういう風にストラップの上に置けば時刻が読みやすいか、私はどうやっても分からないのだが。)

拡張される機能 -- 既存の Apple Watch 機能も、watchOS 2 でさらにパワフルになる。例えばあなたの友達だが、Apple Watch は従来 12 人までの連絡先しか扱えなかったけれども、これが新しい watchOS 2 ではサイドボタンを押せば新たな「友達」画面に切り替わって、そこでさらに 12 人を割り当てることができる。画面から画面へはスワイプして移る。その上、連絡先を追加するのにもはや iPhone 上の Watch アプリを訪れる必要はなくなる。ウォッチ自体の上で新たな人を追加することができるようになる。

その他のコミュニケーション関係の拡張機能としては、電子メールに(Siri 口述により)ウォッチだけで返信できる機能、ウォッチ上のお絵描き(Apple Watch を持っている友人でヘタクソないたずら書きを送れる相手があまりにも少ないので私はめったに使わないが)で複数の色が使える機能、通常の携帯電話の通話以外に FaceTime Audio を使った通話もできる機能などがある。この最後の機能は、既知の Wi-Fi ネットワークを探知すればどんなものにも接続できる watchOS 2 の機能のお陰で働く。

Siri は既に watchOS の重要なインターフェイスコンポーネントとなっているが、バージョン 2 ではさらに重要性を増す。Siri が、エクササイズの開始、HomeKit 機器の制御、グランスの表示(ウォッチ上にあるアプリでまだ有効に設定していないグランスも呼び出せる)などもできるようになるからだ。また、Siri は単語を辞書で調べたり、チップの計算をしたりといったこともできる。

Maps (マップ) もパワフルになる。Transit (交通機関) と呼ばれる新機能が、指定された行き先へのベストの道順を決める助けとなり、少なくともいくつかの都市では(ただし私が住んでいるロサンゼルス広域圏はまだ対象となっていない)バスと地下鉄の正確なスケジュールも示すことができる。また、停留所や駅から歩く道順も案内する。

従来 Passbook という名前で知られていたアプリは(次期バージョンの iOS で Wallet という名前になるが)小売店が発行したポイントカードやクレジットカードにも対応するようになり、現在 Apple Watch で管理される銀行系のクレジットカードに加えて小売店のクレジットカードも扱えるようになる。

それから、Wallet アプリに新たな個人情報がたくさん保存されるのではないかと心配な方のために言っておくと、watchOS 2 には Activation Lock 機能があって、万一の紛失や盗難の場合にウォッチを遠隔ワイプできるようになっている。

いつ、そしていくら? -- Apple 開発者は、今すぐ watchOS 2 を入手できる。それ以外の人たちは、この新しいオペレーションシステムで Apple Watch をアップデートするのを「今年の秋」まで待たなければならない。(もちろん、デビュー当時に出荷が延び延びになったのを思い出せば、多くの Apple Watch オーナーたちはもう既に待つことに十分慣れているとも言えるだろう。)アップデートが正確にいつになるかについては、どうやら Apple は iOS 9 と一緒にまとめて大きなリリースとして出すつもりのようだ。

Apple の最近のオペレーションシステムのアップデートがすべてそうであったように、watchOS 2 も無料となる。Apple は、あなたがハードウェアを購入した際に金を稼いでいるのだから。

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Mapbox が TidBITS スポンサーに

  文: Adam C. Engst: ace@tidbits.com, @adamengst
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私たちの最新の TidBITS 長期スポンサーとしてMapbox社を心から歓迎したい。デザイナー、開発者、およびあらゆる種類の地図製作ギークたちのための地図製作プラットフォーム、Mapbox のメーカーだ。Mapbox はホームユーザー向けのものではないが、モバイルまたはウェブベースのアプリの中に位置情報を組み込みたいと思う人たちには魅力的なサービスだ。

この会社は、国際的な NGO (民間非営利団体) が位置情報ベースのデータをもとにデータ駆動型の決断をする助けをするために発足した。西アフリカでマラリアの分布を調べることから、アフガニスタンで選挙を追跡することまで扱った。オープンソースのツールやデータを基にした開発により、Mapbox はそのプラットフォームを 2011 年に開始して、ホワイトハウス、FCC (連邦通信委員会)、教育省などとは初期事業顧客として契約し、その後間もなく NPR や Foursquare などの団体も Mapbox の地図を統合するようになった。それ以来、Mapbox はオープンなやり方を維持しつつ、OpenStreetMap (言わば地図の世界の Wikipedia と思えばよい) から取り寄せたオープンな地図データに依存し、すべてのツールをオープンソースとした。OpenStreetMap 用の地図エディタである iD も、同社のツールだ。

位置情報データに関するものすべてに言えることだが、プライバシーこそが最も重要な問題だ。Mapbox は Electronic Frontier Foundation と協力して働くことにより、すべてが正しく行なわれるよう努めてきた。すべてのユーザーがデータ収集からオプトアウトできるようにし、データをモバイルデバイスに保持するのは 60 秒間を超えないようにし、収集したデータをオンラインに集約したものは 24 時間以内に破棄するようにし、たとえ従業員でも保存されたデータにはアクセスできないようにした。それは、データを提供したどの人のプライバシーにも影響を及ぼすことなく OpenStreetMap プロジェクトにデータをフィードバックできるようにするための、考え抜かれたデザインだ。

Mapbox が持つ数多くのデザインオプションや機能のお陰で、自社のアプリで位置情報データを使いたいと思う会社が競って Mapbox を使うようになった。その上、iOS や Mac のアプリに Mapbox を追加するにはたった一行のコードを書き加えるだけでよいことも好都合だ。例えば、Pinterest の Place Pins はカスタマイズした Mapbox 地図を装備しているし、The Financial Times もカスタマイズした地図を使っている。

Mapbox の使用はアクティブなモバイルユーザー数が 50,000 人まで、ウェブのビューカウントならば 50,000 までが無料なので、小規模の開発者たちの間でも高い人気を得ている。その他のブランとしては月額 $5 の Basic プラン、月額 $49 の Standard プラン、月額 $499 の Premium プラン、大規模ユーザー用のカスタム Enterprise プランがある。

コードを書いたりせずに Mapbox を試してみたいなら、これを手早く使う方法が二つあって、いずれも無料だ。(ただし、いずれもアカウントが必要だ。)オンラインの Mapbox Editor を使えば、地図のスタイルを選んだり、地図にマーカーや双方向性を追加することができる。もっと柔軟性が欲しい人には、オープンソースの Mapbox Studio アプリがある。私は地図製作にはあまり詳しくないし、もちろんデザイナーでもないが、そんな私でもほんの数分のうちに、いつもランニングで走るコースを示した地図を Garmin Forerunner GPS ウォッチから取り込んだデータをもとに作ることができた。(言わば Pirates 風の地図だ!)

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TidBITS と、Apple コミュニティーへの貢献に対し、Mapbox に感謝の気持ちを捧げたい!

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スパイ活動の情報に遅れずついて行こう 11: 11 時のニュース

  文: Josh Centers: josh@tidbits.com, @jcenters
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Edward Snowden が U.S. National Security Agency (国家安全保障局) による大量監視プログラムを暴露してから二年後、議会は USA FREEDOM Act (米国自由法) の第二のバージョンを通過させ、そこに USA PATRIOT Act (米国愛国者法) と FISA Court (外国諜報監視法による合衆国外国情報活動監視裁判所) の部分的改革を組み込んだ。(2015 年 5 月 8 日の記事“スパイ活動の情報に遅れずついて行こう X 10.0”参照。)その時点で、復活した Freedom Act を下院は可決したけれども、その結果として戦いは、以前に元のバージョンの Freedom Act を否決していた上院(2014 年 11 月 21 日の記事“スパイ活動の情報に遅れずついて行こう 7: スパイが多過ぎる”参照)へと持ち込まれ、これが興味深い状況となっている。

(ところで、これら二つの法令の名前が実際逆アクロニムである(頭文字を並べると PATRIOT とか FREEDOM など意味ある単語になるように作られている)ことをご存じだろうか? USA PATRIOT Act は "Uniting and Strengthening America by Providing Appropriate Tools Required to Intercept and Obstruct Terrorism Act" の省略形で、USA FREEDOM Act は "Uniting and Strengthening America by Fulfilling Rights and Ending Eavesdropping, Dragnet-collection and Online Monitoring Act" の省略形だ。)

昔ながらのケンタッキーの決闘 -- 長年にわたり、議会は大した議論をすることもなく「一時的な」Patriot Act に再授権してきた。けれども今回は、数多くの要因が重なって直接の再授権をすることができなくなった。まず第一に、当然ながら、Snowden の暴露があった。これが、反テロリズムの努力に関して今も続いている公の論議の火付け役となった。

もっとタイムリーだったのが、2015 年 5 月 7 日に巡回控訴裁判所 Court of Appeals for the Second Circuit が出した、Patriot Act の Section 215 の下での国内通話記録の大量収集が違法とした判決だ。(2015 年 5 月 8 日の記事“スパイ活動の情報に遅れずついて行こう X 10.0”参照。)この判決は基本的に、議会がその存在を知らなかったのであるからプログラム自体は違法とは限らないとし、もしも議会がそのようなプログラムを認めようと思うならば議会にはそれをする自由があると述べている。

そこに二つの重要なイベントが迫っていた。Memorial Day で議会が一週間にわたり休会することと、Patriot Act が 2015 年 6 月 1 日に失効することだ。そしてこの大量監視活動を巡る戦いの舞台上で、二人の重要な論客が注目を浴びることとなった。二人とも共和党のケンタッキー州選出上院議員で、一人は Patriot Act と大量監視活動を強硬に支持する Mitch McConnell、もう一人はずっと以前から Patriot Act に反対してきた、自由主義の側に近く大統領選挙に出馬を予定している Rand Paul だ。(幸いにも、ケンタッキー州は公務員による決闘を 1891 年に非合法化している。)McConnell は下院が可決した Freedom Act に反対して、Patriot Act の二ヵ月間延長を望んだ。一方、Paul は Patriot Act にも Freedom Act にも反対した。Freedom Act は監視活動をいくらか改革しようとするが、同時に Section 215 を含む Patriot Act の重要な条項三つに再授権するからだ。

この決闘は 2015 年 5 月 20 日に始まった。Rand Paul が、Patriot Act の採決を遅らせようと 議事進行の引き伸ばしを試みた。上院議員 Ron Wyden (民主党、オレゴン州)、Mike Lee (共和党、ユタ州)、Ted Cruz (共和党、テキサス州) らに助けられ、Paul は 10.5 時間にもわたる演説を繰り広げた。ありがたいことに C-SPAN のお陰で、時間をつぶしたいと思う人は誰でもその演説の全部を観たり読んだりできるし、また 主要部分だけを読むこともできる。

上院の日程が迫り一週間の休会も近づいたので、Patriot Act と Freedom Act の採決はあまり前例のない土曜日に押し出され、そこで上院は両方とも否決した。上院はこれらの Patriot Act 条項を瀕死の状態のままにして休会に入り、次の日曜日に新たな採決の予定を組んだ。

その日曜日、2015 年 5 月 31 日に、Rand Paul と Mitch McConnell は再び対決した。McConnell は暫定的な Patriot Act 延長を通そうと何度か試みたが、いずれも否決された。この時点で、監視活動を支持する者たちにとって 前進の望みのある唯一の残された道は、既に下院を通過済みの Freedom Act を可決することだった。Paul は引き伸ばしを試みたが、Freedom Act は何とか前進を果たした。けれども最後に笑ったのは McConnell であった。Freedom Act に彼自身の修正条項を "filling the tree"[訳者注: 上院の多数党院内総務が法案の修正を提起できる議会手続]に基づいて提出することに成功し、上院議員の Rand Paul と Bernie Sanders (民主党、バーモント州) が独自の修正を追加しようとした試みを阻止できたからだ。

その一方で、たとえ短期間ではあっても、Section 215 の下での通話記録の収集はたなざらしのままとなった。

2015 年 6 月 2 日に、Rand Paul は Freedom Act の可決は避け得ないと認めるに至り、こうして上院はついにこれを可決したが、この法案を骨抜きにしようとした Mitch McConnell の修正条項は三つとも否決された。

結局のところ、Rand Paul の大言壮語はあまり大した意味を持たず、ただ大統領選挙に向けた彼の運動のために自身の知名度を上げただけに終わった。そもそも Patriot Act にはっきりした再授権を与えるのか、それとも完全になくしてしまうのかについて、上院としての十分な政治的意思があったとは思えない。そうして、Patriot Act の最終期限を巡るこれらさまざまの先の見えない議論も、単なるたわ言に過ぎないことが分かった。一時的な失効期間を過ぎて、物議を醸したこれらの条項も結局は再授権されたのだから。

いつものように、パロディーサイト The Onion こそが最も事態の真相に近づいたのかもしれない。そこには「苛立ちまぎれの NSA は、もはや未だ明るみに出ていない大量監視活動プログラムに依存せざるを得なくなった」とある。そして実際、Patriot Act がない状態の下でさえ、法執行機関は 多くの回避策を持ち合わせている。

Freedom Act (米国自由法) -- 今や Obama 大統領が署名して Freedom Act は法律となったので、連邦法執行機関は一時的に失効していた能力を再獲得した。ただし、いくつかの新たな制約の下に。

Freedom Act が更新した Patriot Act の三つの条項とは次のようなものだ:

これらの条項は 2017 年 12 月 31 日までの期間更新される。

Freedom Act における最大の修正点は、Patriot Act の Section 215 に対する変更だ。法執行機関が勝手に通話記録を収集するのではなく、法執行機関はサービスプロバイダにその情報を求めなければならない。

今回の法案には FISA court の改革も盛り込まれた。公的監督者を任命して、他の部分は秘密であるこの裁判所について判明した内容の一部を出版することが義務付けられた。しかしながら、政府が「国家安全保障」の理由でその出版に異議を唱えることができるので、実際に何かが変わったとしたらそれこそ驚くべきだろう。

Freedom Act はまた、National Security Letter (国家安全保障書簡) を従来より具体的なものとし、FISA リクエストと National Security Letter が出された回数を公的に報告しなければならないとしている。

しかしながら、Freedom Act は Patriot Act の Section 702 については何も変更していない。これこそが PRISM その他のプログラムの法的根拠となり、Snowden の暴露により最初に大きく取り上げられた点だ。他の条項と同じく、Section 702 も 2017 年 12 月 31 日に再び失効する。

今この場においては、Freedom Act は大量監視活動を抑制するために大して何もできない。したことは何かと言えば、9/11 以後の政治風土にほんの少し施した転換だ。議会はもはや、国家安全保障の名目で要求されたことならば何でも盲目的に承認したりはしない。そう、 大量監視活動を巡る戦いは今始まったばかりなのだ

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運動と Apple Watch:ソフトウェア

  文: Adam C. Engst: ace@tidbits.com, @adamengst
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

"運動と Apple Watch:ハードウェア" (15 May 2015) で、私は Apple Watch の物理的な側面全てを、色々なフィットネス追尾にどの様に役立つかの観点から見てみた。今回は、そのソフトウェア側を見てみよう。

Apple Watch のセンサーはデータを集めるだけである;このデータを表示、報告、そして解釈するのは、Apple Watch と iPhone の両方の上にあるアプリの仕事である。それを評価するのは難しい仕事である、何故ならばソフトウェアについてのあなたの意見は、あなたが運動から何を引き出そうとしているかに大きく依存するからである。

私が取り上げるのは Apple が提供するアプリであり、サードパーティのアプリの評価ではない。と言うのも、それらは現時点では iPhone 上で走るアプリに対するリモコンか二次的なウィンドウ以上のものではないからである。Apple は、開発者に全ての Apple Watch センサーへのアクセスを与えると発表している;これが実現した暁には、サードパーティアプリは根本的により興味深いものとなる可能性を秘めている。

時計自身に、Apple は Workout アプリ、Activity アプリ、そして Activity と Heartbeat に対するグランスを含めている。そして iPhone には、Apple は別の Activity アプリ (これはまた Workout アプリから運動についても報告する) そして Health アプリを与えている。

Heartbeat (Watch) -- 我々の多くは殆ど心拍数など意識していない。しかし、心拍数を引き上げる運動は良いことであり、Apple Watch のセンサーはあなたの行動がどう心拍数に影響するかを知る手助けとなり得る。どんな時でも自分の心拍数を見るには、Heartbeat グランスを使う。これは時計の表面を上方にスワイプすることでアクセス可となる。

これを初めて見る時、Heartbeat グランスは最後の測定値とその時間を報告するが、それは 30 分前、或いはもっと前かもしれない。現在の値を知りたければ、更に数秒たって 、Heartbeat グランスが測定中であることを報告するまで待たなければならない;実際の測定には更に 10 から 15 秒かかるが、その進行はどうしようもなく遅く感じる。時には失敗することもあり、再度やってみるよう促してくる。

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即座の応答を期待するのは理にかなわないのかもしれない。何故ならば、この時計は毎分の鼓動数を計算するのにある程度の心拍数を必要とするからではあるが、Apple はより速く結果を提供するためにもっと頻繁に心拍数を計るとか出来ないのだろうかと思ったりしてしまう。或いは、この時計は心拍数を即座に表示し、更にデータが来たら更新することで、ユーザーは今何かが起こっていることを実感出来るのかもしれない。

Workout (Watch) -- この時計は一日を通してあなたの歩数と心拍数を追尾しているが、もしそのデータのある特定のものと特定の運動とを関連づけたいと思うのであれば、この Workout アプリを使う。Apple は、走る、自転車をこぐ、そして歩く、屋外か屋内か、更にエリプティカルマシン、ボート漕ぎ、或いは階段昇降機から選択させてくれる。最後に、Other 運動のタイプは時間を追尾し、そしてもしセンサーの読みがない場合は、速歩と同等のカロリー消費量を与えているように見える。

走る、歩く、そして自転車の運動に対して、Workout アプリは、カロリー、時間、或いは距離の目標を設定するよう勧める;ジムマシン運動に対しては、カロリーと時間の目標だけである。室内運動に対しては、これらの目標は納得がいくし、極めて低い活動レベルから始めている人達にとっては、これらは強力な動機付けとなり得る。勿論、ここでは Apple が革新を起こしているとは言い難い;他のフィットネス追跡機はこの種の目標設定を何年も前から提供している。

屋外で運動する人達は、Open Goal 画面を使えば、目標設定無しで運動を始められる。走者や自転車の人は通常ルートや距離に基づいて運動を計画するし、それに、時間ベースの運動 (例えば、1 時間走るとか) でさえ、適切なルートを選ぶことから始まり、行って戻るルートでは中間地点を決めるには経過時間を見たり、或いはトラックや周回コースでは経過時間を見たりすることが拘わってくる。Open Goal 画面は次回にも選択されたままであり、目標画面が意味を成さない人達に対して他の目標画面を無視しやすくしてくれる。

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目標設定が終わっていれば、スタートボタンをタップ、カウントダウンを待ち、そして動き出す。運動中、燃焼したカロリー、心拍数、そして対応するなら、距離と歩速を表示する画面をスワイプすることで切り替えられる。走っている最中にスワイプするのは困難であるし、それに自転車に乗っている間にそんなことをするのは馬鹿に違いない (そして死にたいのでない限り、ぴったりするヘルメットをきちんと締めてかぶること!)。一番左に位置する画面で、一対の小さすぎるボタンを使って運動の中断と停止が可能である (画面をフォースタッチすることでこれらを表示する事も出来る)。

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一旦運動が停止されると、詳細を見ることが出来、そしてそれを保存するか或いは廃棄するかが出来る。うっとうしい話だが、一旦保存してしまうと、時計上では詳細には戻れなくなる (データは iPhone の Activity アプリに保存される)。Workout アプリ上では、最後の運動の距離か時間を見ることは出来る。

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私は、この Workout アプリは殆ど全ての点でもどかしいと感じた。アプリアイコンの雲の中から探し出さなければならないことを除いても (Apple よ、どうして Last Workout グランスはないのか?)、開始と停止もはっきりしない、画面間を移動するやり取りもぎこちない、そして運動の詳細を見るには役に立たない。もっとも、そのデータを iPhone から戻すことは可能ではあるが。ユーザーが欲しい数値を表示するようデータ画面をカスタマイズすることを許し、画面を見ること無しにタッチベースで制御出来れば - 例えば、フォースタッチで開始と停止、ダブルタップで一時停止と再開のように - 使い心地はずっと改善されるであろう。(物理的なボタン経由でのやり取りを望むことは無益なように思える - Apple は Digital Crown と側面のボタンはどんなアプリが使われていようが同じ様に動作することを望んでいる。)

私には、将来サードパーティアプリが多くの人に対して Workout アプリに取って代わるであろうと思える。

Activity (Watch) -- Workout アプリは意図して有効化しなければならないが、Activity アプリは背景で常に働いており、動くことでどれだけのカロリーを燃やしたか、運動は何分間やったか、そして何回立ち上がったかを追跡して、予め決めてある目標にどれだけ近づいたかを示して、もっと動くよう励ます。

Activity アプリを初めて開く時、Move 目標をカロリーで設定し、更に resting metabolic rate (安静代謝率) 或いは RMR を計算するための性別、年齢、体重、そして身長に関するデータを入力する。RMR は安静時にあなたの身体が燃焼するカロリーの推測値である。

Activity アプリには 4 つの画面があり、左から右へとスワイプすることで見られる。最初のものは Move, Exercise, そして Stand の目標に対する進行度を一連のカラーコード化された同心リングで要約している - リングの終点に達すれば、目標を達成したことを意味する (目標を超えた場合、リングは二周目を開始する)。更なる画面はこれら三つの目標の一つについてのもっと詳しい詳細を一つのリングとして表示するし、それぞれを上方にスワイプするとその日を通してのあなたの活動のグラフが表示される。Workout アプリと同様、Activity アプリでも一日分しか見られない;履歴に関しては、iPhone の Activity アプリを使わなければならない。

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Apple は Activity アプリに対してもグランスを提供し、三つの目標全てを同心リングとして表示するまとめの画面を模しているので、その日はどの程度頑張っているかを一目で見られる。グランスをタップすると、アプリ全体が起動されるが、時計フェース上のそれを含む活動要素をタップすることでも同じことが出来る - 私はこの要素が最も速いアクセスをさせてくれることに気づいた。このリングについて見てみよう、何故ならば、Apple は Activity では、時計上でも iPhone 上でもこれに大きく依存しているからである。赤い Move リングは、どれだけの能動カロリーを燃焼させたかを示すが、Apple はその数字をどの様に計算しているかは明らかにはしていない。そこには心拍数情報も組み込まれていることを望みたい。その場合、精度は格段に上昇する。(私の理解する所によれば、この分野における第一人者はフィンランドの会社 Firstbeat Technologies で、彼らの適合アルゴリズムは基礎的な身体計測値から始まり、それから心拍数の情報に基づいて学んでいく - Garmin や他のスポーツ時計の会社は Firstbeat に依存している。) 私は、何時かこの心拍数センサーを遮蔽した後、試験してみたと思っている。

緑の Exercise リングは、活発な活動を何分間やったかを示す。"活発な活動" の定義は何処にも見当たらないが、何らかの心拍数に基づいていると思われる。何故ならば、Apple Watch は、私が集団走に参加するために ElliptiGO に乗った時間、走りの時間、そして同じ自転車での帰りの時間を運動として正しく認識していたからである (この間どの場合でも iPhone は携えていなかった)。実際には、ほぼ正確にである - 自転車での行き帰りと走りで 84 分かかったが、Exercise アプリはその日に対して 76 分しか記録しなかった。最初の自転車の部分で心拍数が十分上がらず直ちに認識しなかったという可能性はあり得る - Workout アプリを使っていれば、時計が全ての時間を運動として認識するよう強制されていたであろう。この Exercise リングは全くデタラメだと言っている人もいるが、何らかの理由で心拍数のデータが取り損なわれいたからかもしれない。

最後に、青い Stand リングは、一日のうちで 1 時間の内少なくとも 1 分間は立ち上がった時間は何時間あるかを示す。これには、1 時間の内最初の 50 分に十分な動きがない場合に立ち上がることを促す断続的な催促も付いている。これは Apple Watch の加速度計が動きを検出することに基づいている様に見える。それからこれは少々能なしでもある - 立ち机で仕事をしていても、立ち上がるよう催促されるかもしれない。しかし、机に座っている大多数の人、或いは立ち机の使用者でも、この催促を少しの間動き回るようにとの進言と受け取る人にとっては、この催促は良いことである。もしこれが不正確だとか或いは煩わしいと感じるのであれば、この催促を不能に出来る (iPhone 上の Apple Watch アプリで);車の中や映画の途中で立ち上がるべきだと言われるのは確かに邪魔くさい。

Activity の評価 -- iPhone アプリに移る前に、このデータ全ては何を意味しているのであろうか? 注意して欲しいのは私は競技走者であり、練習中はマイル毎のスプリット時間に、週間の距離と練習時間、そして時には歩調や上下動の様な統計数字にも注意を払うことである (これらは私の Garmin Forerunner 620 で心拍数モニター帯を身につけている時に記録される)。私の経験から言えば、Activity アプリの報告は殆ど意味を成さない。

その理由は、私は集めた練習データを全体として事後に使うからである。これからの練習の流れを決めるために - Strava の練習ログを見れば、その週の距離目標を達成するためにはもう一回走らねばならないとか、或いは、その週は走りすぎなので、週末は無理をしないようにすべきだとかが分かる ("FunBITS: Strava でエクササイズがソーシャルに、しかも仮想競争に" 27 July 2014 参照)。私にとっては (そして殆どの本格的な走者にも)、練習は週単位で計られる、何故ならば、生理学的な適応には何ヶ月も、日単位ではない、かかるからである。Strava はまた、ある特定の靴でどのくらい走ったかを記録するのにも有用で、何時交換すべきかの見当も付けられる。実際の所、私はこのデータを集めそして検討もするが、それに私の生活を牛耳らせるわけではない。私は、目標とするレースを決め、それに向けて色々な練習の組合せを考えたり、或いは ElliptiGO で距離を稼いだりと、身体の調子を見ながら決めている。

Apple Watch の Activity は、そうではなく、一日を通して常にフィードバックが欲しい人達を狙いにしており、経過報告通知や目標達成のための少々の後押しといったもので補完している。これは奇妙な組合せである、と言うのも、もっと動くという曖昧な目標に仕えるのに正確なデータに依存しているからである。皆さんの仕事机の重力という魅力から解き放ってくれる肩の上に舞うデジタル妖精としてなら、Activity アプリは成功である。理想の世界では、もっと動くという良い習慣を身につける手助けとなるであろう。

鍵となるのは Activity アプリの追尾機能は Apple Watch に埋め込まれていることである。スマートフォンカメラがデジタルばかチョンの市場を席巻した様に、スマート時計もまた簡単な単機能フィットネス追尾器に取って代わるであろう。最善のフィットネス追尾器とは、もう既に身につけているものであり、Apple Watch の他の機能がそうするのを手助けするであろう。

皆さんがすべきでないことは、Activity アプリが報告してくる特定の数字にこだわりすぎることである。それは極めて詳細であり、私は今日 76 分運動して 824 カロリー燃焼したと言ってくるが、詳細さは正確性を保証しているわけではないし、色々な具体的な活動を区別しているわけでもない。世界的な運動選手は詳細さと正確性の両方をとても気にする、何故ならば、彼らはある特定の生理学的適応を達成するために汗しているからであり - より速く走る、より遠く投げる、より高く跳ぶ、全て怪我すること無しに - これら全ては運動と食生活の注意深い管理に基づいている。それ以外の我々にとって、燃焼カロリーと運動時間について言えることは、多ければ多い程良い (理にかなった範囲で、そして段階的に増やしていくのは勿論である)。この Activity アプリは、良く言っても、鈍器である。

これは、エネルギー消費と摂取の話 - そして、ストレートに言えば、体重への影響 - が実験室条件外で計られた時には、良くも悪くも曖昧だからである。例えば、活動カロリーは全燃焼カロリーの 10% (デスクワークの人) から 50% (肉体労働者や競技者) を占めるに過ぎない。これが自分でかなり制御出来るエネルギー消費の唯一の部分である (筋肉量を増やせば RMR も増やせるが、大幅には変わらない)。摂取の側では、それぞれの主要栄養素は処理にそれぞれに異なる量のエネルギーを必要とする。例えば、タンパク質の 20-35 パーセントは、消化、吸収、そして排泄に使用される。それから、 腸内細菌の演ずる役割があり、そしてこれは重要でありながらきちんと理解されていない - 自分の細菌大領主を決して過小評価しないように!

結論? もし Activity アプリの常駐するデジタル的存在が役に立つのであれば、是非ともそのリングと通知に注意を払って欲しい。しかし、その詳細にあまり拘泥しないように - そこで発している真のメッセージは、もっと動くべきだと言うことだけだからである。それから、何を食べるかに注意を払うこと無しに、もっと動くことだけでは減量にはつながらないこと自覚すべきである。例えば、作家 Michael Pollan は、私が最善の忠告と思っていることを言っている:"食物を食べよ。食べ過ぎはダメ。主に植物を。" そして彼が言う "食物" とは、皆さんの曾祖母が見て分かるような本物の食物であって、我々の現代の食品工場基地で作り出される加工混合物のことではない。もし、もっと詳細を知りたければ、彼の嵩張らない本 "Food Rules" はためになる。

Activity (iPhone) -- アプリに戻ると、Apple Watch 上の Workout アプリは、あなたの最後の運動の簡単な要約しか表示せず、そして時計の Activity アプリはその日のデータしか示さない。履歴の詳細は、iPhone 上の Activity アプリに頼らなければならない。しかも、これは iPhone が Apple Watch とペアになっている時にしか現れない。

これは、スクロール出来るカレンダービューを提供し、そこには各日のリングベースの結果を要約した小さなアイコンが表示される。その内の一つをタップすると、日毎のビューに切り替わり、そのリング表示の大きいバージョンとこのアプリの時計バージョンにあるのと同じグラフが現れる。

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Activity の iPhone バージョンに現れるのは、あとほんの少々の追加データしかない。Move, Exercise, 或いは Stand データに関連したグラフを見ている時、左にスワイプすることで、更なる数値データを見ることが出来る。Move に対しては、活動カロリーと安静時カロリーを加え総カロリーを算出する;Exercise に対しては、あなたの何分間の活動が運動と計測されたかと、全 "活動時間" (これが何かの説明はない) が示される;そして Stand に対しては、少なくとも 1 分間は立ち上がった時間は何時間あるかと、そして何時間は "動いていない" かを伝える。

日別の詳細を更に下がっていくと、この Activity アプリは、時計の Workout アプリを使って追尾した運動のまとめを示す;一つをタップすると更なる詳細が現れる。一番下には、歩数と距離があるが、これは加速度計から計算されたものと思われる。

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他のビューではあなたに "成果" を示す。これは小さなバッジで Activity アプリが色々な実績に対して贈るものである - 一つをタップすると、何をなすべきかの記述が見られる。もしこの手のものでもっと運動する気になれるのであれば、それはそれで素晴らしい。これらは、私には Junior Galactic Explorer ユニフォームのロゴに様に見える。

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iPhone の Activity アプリには、はっきりした穴が二つある。

考えられるのは、Apple はこれら両方とも開発者達が実現するサードパーティのための機会であると見なしている、とりわけ彼らが一旦 Apple Watch のセンサーへのアクセスを手にしたあとでは、ことである。例えば、もし自分の運動を Strava 上で共有することが大事なのであれば、この Workout アプリは無視して、Strava アプリを使えば良い。

Health (iPhone) -- 私は一番悪い話を最後にとって置いた。この Health アプリは iOS 8 と共に出されたのだが、あなたの健康データを報告するという観点からすると初日から最悪であった。(Health はまたあなたの Medical ID も保存する。これは iPhone のロック画面から救急応答者に対してアクセス出来るようにする;もし何らかの疾患を持っていたり、薬に対してアレルギーがあったり、或いは投薬中であったりした場合、その情報は事故時にあなたの処置をする人達にとっても役立つことがある。)

Health を設定するには、画面の底部にある Health Data ボタンをタップ、グラフの中に何らかのデータを持つ望みの項目を探す、そして Show on Dashboard スイッチをオンにする。こうすることでそのグラフは Dashboard 画面に置かれ、それが Health を起動した時のデフォルトとなる。これら全ては理にかなっているように見える - データのグラフを示している。

問題なのは、これらのグラフは、日、週、月、そして年のビューの間での切り替えを許していることはさておき、殆ど使い物にならないことである。幾つか問題点を挙げると:

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一つのグラフをタップすると、そのグラフにだけ焦点が当てられるが、大きくも読みやすくもならない。この詳細画面ではまた、Show All Data, Add a Data Point, Share Data, そして対応する場合単位の設定もさせてくれる。

私には沢山のデータを手動で入力することなど考えられない。普通なら、データは Apple Watch や、自分自身を Health の資源であると宣伝している iPhone アプリの様な資源から得るものである。私にはどのアプリが Health アプリから共有データを受け取れるのか分からない - 私の iPhone には何も現れない。

ここで最も興味深いのは Show All Data だが、実際には、それは働かずそしてアプリをクラッシュさせるか (表示するには多すぎる?) 或いは、そのデータは役立たずである。例えば、私は Apple Watch によって記録された全ての心拍数のデータを見ることが出来るが、分かったことは、この時計はデータをひどく飛び飛びに記録したかと思えば (間隔は 10 から 60 分かそれ以上離れている) 1 分間に最大 4 回の間隔で記録したりする。そして、私の Cycling Distance データは本当に不可解である。Strava でもデータをとってみると、Apple Watch はどうも個々の足を別々に記録している様に見える (真面目な話、0. 0002 マイルとはその数字である)。

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恐らく、Health アプリはもっと本格的な医療データ、血糖値とか酸素飽和度とか、を追尾するための方がより有効なのかもしれない;もしこれをその様な風に使っている人がいれば、どう思うか教えて欲しい。

まとめ -- フィットネスに関しては、自分の目標は何で、やる気は何処から見いだしているかを注意深く考えることが大事である。Apple Watch は、もし自分の目標が単純で大まか、もっと動く、であれば輝くであろう。もし、今までに iPhone アプリ (Move の様な)や、Fitbit の様なフィットネス追尾器に目をやったことがないとか、或いは多くの人のように、Fitbit を身につけるのをしばらくしたら止めてしまったとか言うのであれば、これはとりわけ当て嵌まるであろう。Apple Watch はこの分野では革新的ではないが、人々はこれを他の目的で買いそして身につけるというのは大きな利点である。

更なる柔軟性や自分の運動データの更なる分析に興味がある人にとっては、Apple のアプリは現時点では失望ものであろう。これは特に驚くには当たらないであろう;Apple は Mail や Safari の様な主たるアプリには多くの努力を惜しまないが、Reminders, Notes, Stocks, Weather, そして Podcasts の様な副次的な iOS アプリは、多くのユーザーがより有能な独立アプリに置き換えてしまう基本の品揃えに過ぎない。私は、フィットネス関連のアプリについても、同じことが来年大きな波として起こると思っている。

最後に、前回の記事でも述べたように、自分自身を運動家と考える人達にとっては、Apple Watch は Garmin, Suunto, そして Polar の様な目的に合わせて作られたスポーツ時計と競争出来るとは私には思えない。サードパーティのアプリが使えるようになった後でも、Apple Watch のハードウェアは、運動中の流動的なやり取り、ペアとなった iPhone 無しの場所追尾、水が絡む運動、或いは長時間の耐久スポーツには単純にそぐわない。これは何も恥じることではないし、同じことが写真についても起こった - iPhone やその他のスマートフォンは大衆向けコンパクトカメラの市場を破壊してしまったかもしれないが、DSLR やミラーレスカメラの販売は伸び続けている。Apple は、たまにしかやらない人は惹きつけられるかもしれないが、本格派は常にその上を求める。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2015 年 6 月 8 日

  文: TidBITS Staff: editors@tidbits.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Fission 2.2.4 -- Rogue Amoeba が Fission 2.2.4 をリリースした。少数ながらいくつかの重要な安定性改善を加えたアップデートだ。前回の 2.2.3 リリースでは読み込みエンジンの ffmpeg 2.6.2 へのアップデートが部分的にしかされなかったが、今回のバージョン 2.2.4 でフルにアップデートされた。さらに、Fission 2.2.3 ではファイルを読み込む際にクラッシュが起こることがあった。その問題と、ある種の FLAC ファイルに関連したクラッシュが今回解消され、また一部の MP4 ファイルが正しく開かれなかったバグも解消された。(Rogue Amoeba から新規購入 $32、 TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、14.8 MB、リリースノート、10.7+)

Fission 2.2.4 へのコメントリンク:

QuarkXPress 2015 11.0.0.1 -- 4 月の末に、Quark はより高速の 64-bit アーキテクチャ(パフォーマンス改善のために利用可能なシステム RAM をすべて消費できるようにするもの)と PDF/X-4 出力(ファイルサイズを小さく保ったまま透明化を可能にするもの)を盛り込んだ QuarkXPress 2015 11.0 をリリースした。このプロ向けグラフィックデザインおよびページレイアウト用ソフトウェアのメジャーなアップデートで、オートメーション機能を改善し、脚注と巻末注の自動作成、テーブルスタイルで Excel と統合するより高速のテーブルツール、繰り返し起こるフィールド(ランニングヘッダーなど)を自動追加するためのテキスト変数を追加した。QuarkXPress 2015 11.0 ではまた、固定レイアウトの電子ブックを作ってそこにスライドショー、ページめくり、アニメーションその他、インタラクティブな強化機能を含めることができるようになった。その他の追加機能としては、Orthogonal Line Tool、どの画像でも Usage ダイアログで再リンクできる機能、ユーザー定義の Shortcut Keys、OS X 10.10 Yosemite 対応、テーブルスタイル、Format Painter などがある。5 月の末になって、Quark は詳細不明ながら安定性改善を盛り込んだバージョン 11.0.0.1 をリリースした。 フルライセンスの価格は $849 で(無料の試用版もある)以前のバージョンからは $349 でアップグレードできる。(新規購入 $849、従来のバージョンからのアップグレード $349、バージョン 11 のライセンスからは無料アップデート、10.8.5+)

QuarkXPress 2015 11.0.0.1 へのコメントリンク:

CrashPlan 4.2 -- Code42 Software が、インターネットバックアップソフトウェアCrashPlan の最新バージョンを出して、前回のバージョン 3.7 から、Code42 クラウド版のバージョン番号に合わせるため一気にバージョン 4.2 へと上げた。今回のアップデートでは大量のメタデータ (ファイルあたり 1 MB 以上) を持った個々のファイルの扱いを改善し、一度に複数のファイル名除外設定を追加できなかったバグを修正し、Settings > Account 画面でユーザ名や電子メールを変更する際にファーストネームとラストネームを順番に変更しなければ保存できなかった問題を解消している。また、Friend を行き先として (従来の Guest Restore) 大量のファイルをリストアする際の推薦手順を変更している。詳しくは Code42 のサポート書類 を参照のこと。CrashPlan 4.2 を手動でダウンロードする必要はない。アプリが自動的に自らをアップグレードするはずで、まだそれが起こっていなくても数日中に起こるはずだ。バージョン番号はアプリ起動時のスプラッシュ画面にも、また Settings > Account 画面にもはっきりと表示される。(30 日間試用できる CrashPlan オンラインバックアップサービス付きで無料、54 MB、リリースノート、10.6+)

CrashPlan 4.2 へのコメントリンク:

SpamSieve 2.9.20 -- C-Command Software の Michael Tsai が SpamSieve 2.9.20 をリリースし、このアプリのフィルタリングの精度と起動エージェントプロセスに改善を加えた。このプロセスは Apple Mail が走っていない場合には動作しないようにして全体的なメモリ使用を抑えている。このスパムフィルタリングユーティリティはトレーニング中の項目の送信者アドレスがログに表示されるようにし、Microsoft Outlook がメッセージのソースを正しく返せなかったバグを回避し、OS X 10.10.3 Yosemite におけるテキスト変換のバグを修正し、エラー処理に数多くの改善を施し、マニュアルの多くの章を更新している。(新規購入 $30、TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、14.2 MB、リリースノート、10.6+)

SpamSieve 2.9.20 へのコメントリンク:

Evernote 6.0.13 -- Evernote が、社名と同じ名前の情報管理アプリのバージョン 6.0.13 をリリースしていくつかのバグ修正を加えた。今回のアップデートでは古いバージョンの OS X でノートエディタにスクロールの問題があったのに対処し、Mac OS X 10.7 Lion と 10.9 Mavericks のユーザーが Work Chat で遭遇した選択に関する数多くの問題点を解消し、サイドバーに関係したいくつかのクラッシュを修正し、Apple Mail からノートへ電子メールをドラッグすればそのメールを正しく添付するようにしている。Evernote はこれと同じアップデートを施したバージョン 6.0.12 を先にリリースしたが、中国語、日本語、韓国語のローカライズ版におけるデフォルトフォントの問題があったために取り下げていた。(Evernote からも Mac App Store からも無料、64.1 MB、リリースノート、10.7.5+)

Evernote 6.0.13 へのコメントリンク:

iFlicks 2.2.1 -- Jendrik Bertram が iFlicks 2.2.1 をリリースして、iFlicks が走っていない間もフォルダを監視する Watch Folder エージェントを改良した。このビデオエンコーディングおよびメタデータ管理アプリはまた、画像を正方形に限定しないようになり、(Preferences の中の) Rules により多くのタグアクションを加え、起動時にサイドバーのサイズを正しく復元するようにし、いくつかの稀なクラッシュを修正している。(Mac App Store から新規購入 $18.99、無料アップデート、13.6 MB、 リリースノート、10.8.3+)

iFlicks 2.2.1 へのコメントリンク:

Mactracker 7.4.4 -- Ian Page が、Mactracker 7.4.4 をリリースした。Apple Watch の詳細な情報を追加するとともに、Force Touch トラックパッド搭載の新型 MacBook Pro と、Retina 5K ディスプレイを持つ入門レベル iMac (2015 年 5 月 19 日の記事“Apple、更新された MacBook Pro, iMac, そして iPhone Dock をリリース”参照) の情報も追加している。この人気の Apple 製品百科事典はまた、個々のモデルが Handoff に対応しているか否かを示す項目を追加するとともに、Support Status を更新して Apple の Vintage および Obsolete 製品の最新の情報を記載している。(Mactracker ウェブサイトからも Mac App Store からも無料、38.7 MB、リリースノート)

Mactracker 7.4.4 へのコメントリンク:

Tinderbox 6.3 -- Eastgate Systems がTinderbox 6.3 をリリースして、何百ものノートの複雑な階層構造を一目で可視化できる treemap 表示を新設した。この個人用コンテンツアシスタントは進行バーと円グラフを改良し、枠の分離線をドラッグする際に Outline の要素をよりスムーズに更新するようにし、大きく複雑な地図の反応性を改善し、テキストリンクを持つノートがテキスト内のリンク位置をずらしてしまったバグを修正し、HTML Preview のコンテクストメニューに Print コマンドを追加し、タブバーを隠せる(マウスをウィンドウ最上部の近くに動かせばタブバーが再び開く)ようにしている。(新規購入 $249、無料アップデート、49.4 MB、 リリースノート、10.8+)

Tinderbox 6.3 へのコメントリンク:

Fantastical 2.0.6 -- Flexibits が Fantastical 2.0.6 をリリースして、開始・終了日を編集する際に現われるポップアップカレンダーウィジェットを追加した。この人気のカレンダーアプリはまた、OmniFocus や Mail からイベントを作成した際にそれらのアプリにもリンクを張るようにし、時刻ピッカーを追加してイベントの編集の際に時刻の選択が簡単にできるようにし、イベントの作成中に見つかった被招待者を Command-Shift-I のキーボードショートカットで順繰りに巡れるようにし、またタイムゾーンメニューを追加している。Fantastical 2 は 14 日間無料で試用でき、現在の定価は Flexibits Store からでも Mac App Store からでも $39.99 だ。当初の値引期間が終わった後は $49.99 となる。(新規購入 $39.99、無料アップデート、12.8 MB、 リリースノート、10.10+)

Fantastical 2.0.6 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2015 年 6 月 8 日

  文: TidBITS Staff: editors@tidbits.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の ExtraBITS では、Tim Cook が Apple における多様性の問題に取り組み、Yahoo が一部のサービスについて古い Apple デバイスへの対応を打ち切り、Apple が Beats Pill XL スピーカーをリコールする。

Tim Cook、Apple における多様性の欠如につき責任を認める -- Apple CEO の Tim Cook が Mashable の Christina Warren と対談して Apple の多様性、いやむしろ多様性の欠如について議論した。昨年出された Apple の初めての多様性報告書によれば、Apple の全従業員の 70 パーセントが男性だ。「これは私たち、つまりテクノロジーコミュニティー全体の責任だと思う。一般的に言って、私たちは若い女性たちに向かってこれがどんなにクールでどんなに楽しい仕事になり得るかを十分に訴えてこなかったと思う」と Cook は語った。Cook は今後は女子学生たちや、黒人のための大学にももっと働きかけることで Apple の多様性を増して行きたいと述べた。Apple はまた、WWDC の奨学金を STEM (science, technology, engineering, and mathematics) 教育機関にも広げてより多彩な参加者を迎えようとしている。

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Yahoo、一部の古い Apple デバイスへの対応を終了 -- Yahoo が二つのサービスで古い Apple デバイスへの対応を 2015 年 6 月 15 日に終了すると発表した。iOS 4 またはそれ以前の走るデバイスに内蔵の Mail アプリでの Yahoo Mail サービスと、Mac OS X 10.7 Lion またはそれ以前の走る Mac での Yahoo Contacts 同期対応だ。Yahoo はまたこの 6 月の末をもって Yahoo Maps を終了し、2015 年 8 月 30 日をもって Yahoo Pipes を終了、その他にもいくつか終了予定のサービスがある。

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Apple、Beats Pill XL スピーカーをリコール -- Apple が Beats Pill XL スピーカーのリコール(自主回収)を発表した。バッテリーが過熱して火災を起こす可能性があるのが理由だ。顧客は自分のスピーカーを Apple に返送して $325 の返金を受け取ることができる。この Beats Pill XL は 2013 年に導入された製品で、Apple が Beats を買収したのは 2014 年であった。

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TidBITS ISSN 1090-7017©Copyright 2014 TidBITS: 再使用はCreative Commons ライセンスによります。

Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2015年 6月 13日 土曜日, S. HOSOKAWA