TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#922/01-Apr-08

もし私達が今耳にしていることが正しいなら、Apple が買収交渉中のIrigium 衛星ネットワークを伴った第二世代 iPhone が 2008 年の後半に現れるまでの間、iPhone を買い控えたほうがいいかもしれない。もう一つ第二世代 iPhone を待ったほうがいいと思われるヒントもある。iPhone 2.0 のベータ版ファームウェアに見つかった非公開機能、Time Machine のサポートは待つに値するだろう。しかし、Mac ユーザに感染する新種のウィルスが確認されているので、貸し借りには注意すべきだ。インターネット関連のニュースとしては、Merriam-Webster が辞書の説明文をスポンサーする実験を行うことと連邦裁判所の判決により電子メールの破産が違法とされたことがある。さらに、私達の TidBITS をもっと若い読者に対して魅力あるものとするための新しい頒布方法をアナウンスし、最近の Take Control 読者調査から頂いた新しいタイトルの提案をお目にかけたい。

記事:

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Time Machine が iPhone と iPod Touch のサポートを追加

  文: Joe Kissell <[email protected]>
  訳: 笠原正純<panhead@draconia.jp>

Glenn Fleishman は、"AirPort アップデートが Time Capsule を拡張し AirDisk を追加"(2008-03-19)でApple 最新の AirPort Extreme Base Station version 7.3.1 ファームウェアアップデートがベースステーションにつないだ USB ハードドライブを Time Machine のバックアップ先に使う機能を本来の姿に戻し、数ヶ月にわたるユーザの苦情にピリオドを打ったことについて書いた。さて、今度はこんな話が飛び交っている。同じ機能が iPhone とiPod touch に加えられたというのだ。[訳注:日本では AirPort は AirMac、Base Station はベースステーション]

iPhone 2.0 ファームウェアのベータリリースにアクセスできる Appleの iPhone Developer Program(年間 $99)のメンバーは、新しいファームウェアを入れた iPhone と iPod touch が Time Machine の保存先に現れること、そのときハンドヘルドと Leopard が走っているコンピュータの両方が同じ Wi-Fi ネットワークになければならないことを確認した。AirPort Extreme ファームウェアアップデートのものと同じく、Apple の iPhone ファームウェアアップデートに関する文書はこの変更について触れていない。

この新機能を発見した開発者の一人(匿名を希望している)は容量に関しての疑問を呈している。曰く、「たった 8 GB か 32 GB のメモリしかないデバイスを、もっと多くのデータを保管しているコンピュータのハードディスクのバックアップデバイスとして使うだろうか?」何人かの開発者はこのいわゆる「機能」がバグに過ぎず、ファームウェアの最終リリース版までには取り除かれると信じている。しかしながら、これが iPhone と iPod touch に劇的に大きなストレージを持ったモデルが現れる前兆だと確信している開発者達もいる。例えば、80 GB の容量がある iDevice(現在の最大容量 iPod classic の半分)でさえ、MacBook Air の 64 GB ソリッドステートドライブを丸ごとバックアップし、さらに 16 GB を音楽やビデオに使える。そのようなデバイスなら、私が頻繁に指摘した問題に対処できるだろう。つまり、Time Machine がバックアップのコピーをオフサイトに保存できる便利な仕組みを提供していないという問題が解決するだろう。ただし、現状のTime Machine には暗号化オプションがないので、その点だけはまだ対処すべき問題点として残る。

それとは別に、iPod の大半のモデルがストレージへのアクセス方法を提供しているにもかかわらず、iPhone と iPod touch は(2.0 ファームウェアのベータでさえも)Mac の外部ボリュームとしてアクセスする方法を提供していない。ユーザとしてはサードパーティのハック、例えば Ecamm の $9.95 のMegaPhone ユーティリティのようなものを使えばこれに対処できる。ただし、そのようなユーティリティでは追加のファイルに iDevice から直接アクセスできるユーザインターフェースは提供してくれない。


Merriam-Webster、スポンサーを受け入れて unlimited を再定義

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

歴史ある辞書出版社 Merriam-Webster は本日、Wiki 風の読者参加と商業的機会とを組み合わせる実験を開始した。Merriam-Webster オンライン辞書の"unlimited" という言葉の再定義について、Yahoo と Verizon Wireless が共同スポンサーとなることを受け入れたのだ。

unlimiteddefinition

これは、Merriam-Webster の辞書に対し編集者による修正つきで読者からの投稿を受け入れるという、同社のより広範な取り組みの最初の1歩で、それにより辞書の定義の「正確性、範囲、適時性を向上する」ことを同社は願っている。スポンサーつきの項目は、はっきりそれと分かるように表示され、「企業がはぐくむ言葉の変化について読者の理解と容認とを促進することを目的としている」と編集者の Michael Pangloss は述べている。「私たちはきわめて好意的な反応を予想しており、スポンサーからの収益によって私たちのウィクショナリー事業がまかなえるだろう。」

Yahoo と Verizon Wireless をはじめとするいくつかの企業は、Merriam-Webster がこのスポンサー制度を用意するずっと前から、"unlimited"(無制限)という言葉を再定義しようと熱心に活動してきた。最近の例で言えば、Yahoo は "unlimited" と銘打った制限つきの電子メールストレージ小規模ビジネス向けウェブ・ホスティング・リソースを提供しているし、Verizon Wireless は以前 "unimited" BroadbandAccess 携帯電話データプランを提供していた。Verizon Wireless はニューヨーク州検事総長から差し止めを受けているが、辞書の定義が公式に変わったことによって、Verizon Wireless は "unlimited" プランを再開することができる見込みだ。


iPhone、Iridium で国際化

  文: Adam C. Engst <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Apple の iPhone は世界中で大人気となり、公式のキャリアがない国においてさえも尋常でない人気となっていることが実証済みだ。(iPhone、大人気。どこでも…シリアでも? 2008-03-24 参照)Apple が引き続き主要各国のキャリア各社と交渉を続けるだろうことは間違いないが、私たちがスクープしたこのニュースは、同社がある革命的なプランを密かに練っている最中で、このプランが実現されれば iPhone が文字通り世界中いたるところで使えるようになるというものだ。

現在既に、iPhone は EDGE セルラーデータネットワークと Wi-Fi との間で切り替えることができる。その時により良い接続が得られる方を選んで使っているのだ。Wi-Fi の方が EDGE に比べてはるかに大きなスループットを提供するが、Wi-Fi が使える場所はずっと少ない。第二世代の iPhone は 2008 年中頃に出ると予想されていて、その際には Apple が 3G データサポートを追加するだろうと大いに期待されている。3G ではより大きなセルラーのバンド幅が提供できるからだ。けれども、今回私たちのニュース源が確認したところでは、Apple は単に 3G のサポートを追加しようとしているだけでなく、Iridium 衛星電話ネットワークを買収して、第二世代の iPhone に衛星通信携帯電話の機能を持たせようとしているというのだ。Iridium のサポートがあれば、iPhone は世界中どこででも、海上でも、上空でも、北極や南極でさえも使えるようになる。

空に浮かぶ i -- [訳者注:“pie in the sky”とは「絵に描いた餅」という意味で、これは pie を i にもじったタイトルです。]Iridium は 66 の通信衛星によるメッシュネットワークで、これらの衛星は低い軌道で地球を巡り、真にグローバルな音声およびデータのネットワークを提供することを狙っている。このサービスがオンラインになったのは 1998 年 11 月 1 日のことだが、その後一年も経たないうちに民事再生法 (Chapter 11) に基づく破産に直面した。これだけ多数の通信衛星を打ち上げるために初期費用がかかり過ぎた(およそ 60 億ドルと推定されている)からだ。問題はそれ以外にもあって、地上波携帯電話のコストの低下、地上波のキャリア間でのローミング協定の利用の増加、同社のハンドセットおよびサービスの高い価格、経営上の失敗などが積み重なった。2001 年になって、このサービスはおよそ 2 千 5 百万ドルで個人投資家のグループに買い取られ、サービスが再開した。新しくなった Iridium Satellite LLC 社 は現在およそ 250,000 人の顧客を持ち、2007 年の総収入は 3 億ドルに達したと見られる。

Apple は Iridium Satellite 社に 5 億から 7 億ドル程度を支払うことになるだろうと言われている。これは、同社がコンピュータおよびコンシューマエレクトロニクス市場の外へと向かう進出としては初めてのこととなる。(AppleLink と eWorld のオンラインサービスを勘定に入れなければの話だが、これらは Apple の現在のインターネットサービスの前身となった有料サービスと見なす方がよいだろう。)Apple の手持ちの現金が 184 億ドルにのぼることを考えれば、Iridium の買収程度は Apple の懐に何の痛みも与えないだろう。Iridium が現在採算が取れていることを考えればなおさらだ。

Iridium のビジネスの多くの部分は米国国防総省に由来している。同省は Iridium が生き延びられるために出資もしたし、現在でも同社の最大の顧客となっている。毎年 3 千 6 百万ドルを払って、最大 20,000 人のユーザーの使い放題アクセスを得ているのだ。Apple はおそらくこの国防総省との契約を引き継ぐだろうし、米国の軍事分野との強い繋がりが iPhone や Macintosh のユーザーたちを狼狽させることはあるかもしれないものの、Apple 関係者たちはこの取り決めによって他にも米国の連邦、州、あるいは地方の政府との間に、さらには外国政府との間にも、多いに利益をもたらすチャンスがもたらされるのではないかと述べている。

この Iridium ネットワークは EDGE よりもさらに低いバンド幅しか提供しない。そのため、Amundsen-Scott 南極点基地では毎秒 28.8 キロビットを都合するために 12 基のモデムを組み合わせた多重送信をしなければならなかったくらいだ。けれども音声通話ならば十分使える。ただ、高度の圧縮が必要とされるために音声が若干途切れたりすることがあるのはやむを得ないが。Apple は、iPhone のデザインを通じて身に付けた最先端のラジオ・信号処理テクノロジーを駆使することで Iridium の能力を大幅に向上させられると期待されているという。

とにかく無料で通話したい -- これは大胆な一手だが、Apple はどうやら第二世代 iPhone への Iridium サービスを無料で提供することになるらしい。ただし、現在手持ちの iPhone がより高速の Wi-Fi 地上波サービスに代わって Iridiumサービスを使うということはできない。(これは iPhone SDK のお披露目の際に Steve Jobs が VoIP 電話について語ったことと首尾一貫している。Apple は第二世代 iPhone に VoIP 電話のサポートを組み込むが、Wi-Fi を差し置いてそれを使うことは制限することになる。)Iridium サービスの料金が現在毎分 1 ドルから 14 ドルもすることを考えれば、Apple はこの変更点だけでも十分に大きな iPhone の売上げの伸びが期待できると考えている。

Iridium は当初採算をとるために百万人という顧客数を必要としていた。従って、このネットワークはそれだけの数のユーザーを扱うだけの能力があるはずだ。そこで Apple は、現状の衛星たちが使い物にならないほど老朽化するよりも前に(現在の衛星は少なくとも 2010 年までは保つと見られている)Iridium が次世代衛星通信テクノロジーに進化できることに賭けている。それさえ実現すれば、Apple としても Iridium のスループットを増やし、はるかに多人数の顧客をサポートできるとともにより良いデータのパフォーマンスも提供できるようになるだろう。

Apple が iPhone に Iridium サポートを追加することの最大の負の側面は、iPhone ハードウェアチームから漏れ聞いた情報によれば、iPhone が Iridium の通信衛星と交信するために必要なアンテナのせいであの格好良い iPhone がほんの少し不格好になってしまうことだ。現時点でのプロトタイプを示したこの写真をご覧になればお分かりだろう。Apple はアンテナのサイズを縮小できることを期待しているが、私たちの情報源によれば、Iridium 対応の iPhone がポケットに入るようになるのは次世代の衛星がオンラインとなってよりパワフルで感度の高い電波が届くようになるまでは無理ではないかと思われ、そのような次世代の電波によって初めて、現在の iPhone のフォームファクターに収まる程度にミニサイズのアンテナで実用に使えるようになるのだという。

iridium_iphone


Mac ユーザーたちが新たなウイルスに感染

  文: Rich Mogull <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

先週、新しいウイルスがゆっくりと Mac コミュニティーに広まりつつあるというニュースが表面化した。最初の感染報告は 1 月の Macworld Expo の数日後に現われ、当初は San Francisco や Cupertino 地域に集中していたが、間もなくカリフォルニア州全域に広がり、その後北アメリカやヨーロッパのいたるところの大都市圏地域にも集中して現われた。このウイルスは依然としてゆっくりとした広がりを見せ、現在のところこれを根絶させようとする試みは失敗に終わっている。Mac ユーザーたちは通常、Windows 使いの同胞たちに比べてウイルスのリスクは比較的低いのだが、専門家たちは今回の感染が Mac コミュニティーに限られたものであって、これがより広いコンピューティングの世界に移行することはないと見ている。

当局はこのウイルスが最初に Macworld Expo に現われ、保護を受けていなかったユーザーたちの間に静かに感染を広げて行ったと考えている。また Apple 社の従業員たちももう一方のベクトルとなったと考えられ、そのため第二波の感染が Apple のリテール各店舗を中心に起こった。こうしてこのウイルスはより広範な Mac コミュニティーへと足を踏み入れ、リスクの多いトレードショウ習癖を持つ愛好家たちを乗り越えて、さらに一般の Macintosh 市民たちへと広がった。症状としては、吐き気、嘔吐、その他一般的なインフルエンザに似た症状が起こる。

ジョージア州 Atlanta にある U.S. Centers for Disease Control(米国厚生省疾病対策センター)の担当官 Peter Norton 博士はこう語る。「奇妙なことだが、このウイルスはほとんど完全に Mac、iPod、その他 Apple 製品のユーザーのみに限られて広がっているようだ。Macworld カンファレンスには何万人もの熱狂的なユーザーたちが集まったので、このウイルスは早期に Apple ユーザーたち、特に同社の従業員たちの中に足掛かりを得たと思われる。メジャーなイベントを機会にウイルスが感染を広げることは珍しくないが、今回のケースが突出しているのは、その後ウイルスが各地の Apple リテール店舗に根を下ろしたため根絶が難しくなったという点だ。」

専門家たちは今回の感染が ノロウイルスの仲間の新しい一変種だと特定した。ノロウイルスは、クルーズ航海の船上のような場所で発生して、その種の隔離されたコミュニティーの中で短期間に感染を広げることでよく知られている。Norton 博士は次のように述べている。「平均的なノロウイルスでは、感染してから通常 24-48 時間以内に症状が現われる。けれども今回のバージョンでは症状が現われるまでに最大 4 日の潜伏期間があるようだ。ただし、感染してから最初の 12 時間が過ぎればもう人にうつす可能性がある。私たちは、この潜伏期間が長いことこそが、感染の広がりの遅さとそれを食い止めることの難しさの原因となっていると考えている。全人口に占める割合が比較的小さな Mac ユーザーがベースになっていることも、そこから説明できるだろう。」

ノロウイルスは特に環境耐性が強く、キーボードや iPod のクリックホイール、iPhone のスクリーンなどの表面に付いた場合でも通常の室内環境の下で最大三週間程度生き続ける。感染者は回復後でもさらにまだ最大二週間ほどウイルスを放出し続ける。症状が続くのは通常 1-2 日ほどで、たいていのユーザーは何事もなく回復する。ノロウイルスは日光に当たると急速にその力が衰えるが、残念ながらそのような環境を好む Mac ユーザーは非常に少数だ。

SymCaftego Software 社のセキュリティ製品マネージャ Jim Borne は、Mac ユーザーたちがこの病気に苦しんでいる本当の原因は、彼らが軽率にも自分たちは感染なんかしないと思い込んでいる、その愚かな習性にあると考えている。「Apple ユーザーたちは Windows ユーザーたちと全く同じに危険に晒されている。それなのに、彼らは自分たちの方が安全だというのが事実ではないことを認めようとしない。Windows コミュニティーはこれまで長い年月をかけて防衛策を築き上げてきたが、Mac ユーザーたちは何の考えもなく自分たちのラップトップ機や iPod、iPhone などを他人と共有し、その際に安全なコンピューティングのための最良の手順を踏もうとさえしない。」

専門家たちは、このような Apple コミュニティーの社交的性格に、セキュリティに対する誤った意識が重なったことが、今回の感染の広がりをとりわけたちの悪いものにしてしまったと考えている。ある匿名の専門家は吐き捨てるようにこう言った。「この連中ときたら(男たちだけでなく女たちも)自分たちが俺たち他の人間よりも優れてると思ってるんだ。でもな、あいつらは現実の世界がどんなものか全然分かってない。互いのコンピュータや iPod、それに他の機器も、何の用心もせずにホイホイと触り合ってるのさ。少なくとも手を洗うくらいのことが何で出来ないのかと思うね。何しろ危険なことだ。ゾッとするね。」

手指消毒ジェル Purell のメーカーが実施したアンケート調査によると、コンピューティングセッションの合間にこの抗菌ジェルを使用する度合いは Mac ユーザーでは何と 42 パーセントも減少 するとのことだ。ある研究者の報告にはこんな記述がある。「彼らはまた長髪でヒッピー風の服装をしていることが多い。少なくとも真夏に黒ジーンズとタートルネックを着たりはしない。」

米国国土安全保障省 (The Department of Homeland Security) は、疾病対策センター (Centers for Disease Control) と合同で、今回のウイルスが意図的に Mac コミュニティーへの感染を狙ってリリースされたものである可能性について調査を始めている。DHS のスポークスマンは次のように述べた。「遺伝子操作というものはもはや巨大企業や国家的単位で行なわれるものとは限らない。今回のものがテロリストによって作り出され特に Mac ユーザーをターゲットとした人工的なウイルスである可能性もある。それを裏付ける証拠はまだ今のところ何もないが、私たちがこう言ったからにはあなたがたに怖がってもらわなければならない。」

セキュリティ専門家たちは、人工的なウイルスの大部分が政治的ないし金銭的な動機を持っていることは事実だが、Mac ユーザーたちの中に存在している一般的なうぬぼれの気持ちが、ついに地下に潜む遺伝子ハッカーの心までも突き動かして、このような概念実証 (proof of concept) のためのウイルスを作らせる結果になったのかもしれないという点で意見が一致している。Mac のワイヤレス脆弱性について研究したことで一躍有名になったセキュリティ研究者の David Maynor は、Mac ユーザーたちが感染することは何も驚くにあたらないと述べた。(2008-09-21 の記事“Wi-Fi Exploit Precursor Published One Year Later”参照。)Maynor は言う。「私はもう何年も前からこのことを警告してきた。実際、私は Black Hat 2005 カンファレンスで自分が Mac を使った後で 2 日間にわたって嘔吐し続ける様子を示したビデオを上映したが、その時は誰もこれを信じなかった。Apple はこのことを隠蔽しようとさえしたが、私たちは皆 Mac ユーザーたちが Windows ユーザーに比べて何も安全なことはないことをちゃんと承知していたのだ。」

Daring Fireball の John Gruber は素早く Maynor に反論し、彼の非難を実際に証明してみせよと挑戦した。Gruber は新品の Mac を購入し、Maynor に証人たちの目前でそのマシンを感染させてみるようにと迫る予定だ。もしも、その Mac を使った Gruber が吐き気を催せば、Maynor が賞品としてその Mac を持ち帰れる。Gruber は言う。「あのビデオはヤラセに違いない。カメラがトイレのドア周りをパンして Maynor が吐いている様子を写している間、棚の上に吐根シロップの瓶が置いてあるのがはっきり写っていたじゃないか。彼はすべてをでっち上げたのさ。」

この件について Crazy Apple Rumors サイトの John Moltz にも尋ねてみたが、彼からの返事はなかった。どうやら彼は、税金対策のために一年間は一切音信不通で暮らすことに決めたらしい。


電子メール破産に対し連邦裁判所から違法判決

  文: Glenn Fleishman <[email protected]>
  訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

これは 2000 万人もの米国市民に影響を与えかねないことだが、ニューヨーク州連邦地方裁判所はこのほど、1人の Poughkeepsie 市民に対し、受信箱にあるすべての電子メールを保持し、可及的速やかに返信しなければならないと命じた。この男性は、37 歳の Bob Sneed で、地元 ISP の営業部長をしているが、裁判所からの停止命令を受けたときには、7,500 通以上もの未読メールを削除しようとしていた。

訴えたのは Sneed の義兄で、イリノイ州の弁護士 Philip S. Duenzel だ。彼が連邦裁判所に訴えたのは、この事件が州境をまたぐためだ。Duenzel が主張し、裁判所が是認したことは、過去3か月にわたって送信され返信を求めていることが記録されている 107 通の電子メールについて、Sneed が返信を怠れば、Duenzel は取り返しのつかない損害を被るだろうということだ。それらの電子メールは、家族についての話題から、親戚に共同で贈ったプレゼントの代金について、さらには弁護士に関するジョークを 23 集めたものまで、多岐にわたっている。

Sneed の弁護士が読み上げた申し立ての中で、Sneed はこう言っている。「個人の弁別の権利、すなわち、どの電子メールが重要で返信に値し、どの電子メールが削除すべきであるかを識別する権利を行使することについて制限を加えることによって、裁判所は過ちを犯していると私は信ずるものです。」Sneed は控訴する構えで、それまではフィルターを用いて、Duenzel からのメッセージは受信すると同時に表示し、自動的に返信するように設定するつもりだという。

Sneed は「電子メール破産」を宣告し、現在のすべての電子メールを削除し1からやり直そうとしていた。Pew Internet & American Life Project による研究から National Rifle Association が頻繁に行っている会員アンケートまで、様々な調査によれば、電子メール破産は、数百ないし数千の未読メールに苦しめられている人たちにとって、ますます魅力的な選択肢となっている。

Randall Siemenbocher 裁判官による判決は、Sneed の訴えを保留したことで、彼を不確実な状態にとどめるばかりでなく、個人ユーザとビジネスユーザの両方に影響を及ぼすかもしれない。ある Gartner の研究員は、企業において未読メールの削除を一切禁止すれば「生産性の低下および法的責務は毎年5000 億ドル」に相当すると見積もっている。Gartner 上級分析員 Jaylee Schmitzenlooper はこう言っている。「理論的には、この判決を使って、個人と企業の両方に対しすべてのスパムメールを受け入れるよう要求することが可能だ。なぜなら、受信箱の中の未読メールを削除することと、スパムフィルターが未読メールを削除することとのあいだには、技術的にほとんど違いがないからだ。」

Slashdot のコメントではすでに、リモートから受信箱を破壊し、その見返りにサードパーティーの匿名支払いシステムを使って料金を受け取るという地下ビジネスが提案されている。あるコメントでは、どうやらすでにアルバニアの企業が準備段階に入っているようで、次のように書かれている。「私たちは、50 ドルの料金で、ある電子メールを送信いたします。このメールはあなたのコンピュータに感染し、受信箱を削除し、さらに明白な痕跡を残すので、仮に法的な調査の対象となった場合でも、あなたの過失がないことを証明できます。アンチウイルスの削除も追加料金なしでいたします。」

1,000 通近い未読メールを抱え、そのすべてに返信することなどとても叶わない私たちとしては、今こそ Delete を押・・・


TidBITS に新しい購読モードを導入

  文: Matt Neuburg <[email protected]>
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

ここ TidBITS では、自分自身を最大限に人目に現わし読者にアピールすることに長らく失敗し続けてきた。率直に認めよう、TidBITS が万人向きではないということを。私たちの歴史は既に何度も記事で触れてきた(記事シリーズ“TidBITS History”参照)のでここで改めてまとめることはしないが、ごく簡単に振り返ってみるだけでも問題点がすぐに浮き彫りになる。私たちがスタートしたのははるか昔の 1990 年、「インターネット」という言葉がまだ一般的でなかった時代だった。当時の TidBITS は HyperCard スタックという形で sumex-aim FTP ミラーサイトにアップロードされた。その後、多くの人たちが電子メールを使うようになって、私たちは購読ベースのメーリングリストを使って私たちのコンテンツをプレーンな setext フォーマットで送り出すようになった。けれどもその後は非常にのろのろとしか革新が進まなかった。なぜなら、私たちが従うべき指導原理によれば、TidBITS はほとんど厳格とも言えるほどにきちんとして洗練されたものであって、プレーンテキスト以上の媒体を必要としないものだったからだ。

TidBITS の歴史: TidBITS 10 年の教訓|TidBITS 創刊 9 周年を達成|あなたにふさわしいバッジをつけて|TidBITS Talk 登場|TidBITS 7.0|TidBITS 6.0|TidBITS、11 年を経て|TidBITS が満12歳に|TidBITS も 13 歳: 目標を持とう|TidBITS の誕生日: Macintosh の 15 年間を振り返って

こうして、長年にわたり、世の中が使うようになった「きらびやかな」メディアを導入することに関して私たちは後手後手の対応をし続けてきた。例えば HTML 電子メール、ウェブサイト、それから(何と!)私たちの記事のウェブ版に埋め込まれる写真についてすらもそうだった。ごく最近になって、私たちはウェブサイトの基盤テクノロジーの根本的な改訂を実施し(2006-09-11 の記事“TidBITS のカーテンの裏側で”参照)その後サイトを動的に改変して、毎週の号をベースにした構造を脇に追いやるとともに新しい記事ベース指向の考え方を取り入れた。その背後には、正真正銘のコンテンツ管理システムが伴っていた。(2007-09-10 の記事“近代的な TidBITS ウェブサイトをデザイン”参照。)その記事で Adam も述べている通り、当時私たちは新たな読者を惹き付ける魅力に欠けていたわけで、これは「進化するか、それとも死に絶えるか」の決断だった。

いや、私たちは _今でも_「進化するか、それとも死に絶えるか」の岐路に立たされている。あれだけ努力したにもかかわらず、たった一つの傾向だけは如何ともし難い。それは、私たちがどうあがいても毎日何百人という新規の読者を開拓することが _できていない_ ということだ。このことは最近の読者アンケートでもはっきりと数字に表われて(2007-03-12 の記事“TidBITS 2007 読者調査結果: 読者像”参照)いるし、その上あらわになったのが、それと密接に関係するちょっと心配な傾向、つまり TidBITS 読者たちが年老いて行くという傾向だ。「回答者の年齢を 10 歳ごとにグループ分けしてみると、もっとも多いのが 51-60 歳のグループ」という結果だったのだ。新しい、若い読者層が足りないことは誰の目にも明らかだった。この傾向があと 30 年続けば、悲惨なことになると想像するのもたやすいだろう。私たちが若い読者たちを呼び込むことができない限り、今日の若者たちが好む Web 2.0 (さらには 3.0 や 4.0) のサイトのわき上がる津波に、TidBITS は間もなく飲み込まれる運命にあるに違いない。訪問者数がなければ、広告がなくなる。広告がなくなれば、サーバの費用を払うことができない。サーバがなければ、TidBITS はない。

最近私たちスタッフは多方向 iChat 仮想ミーティングで話し合った。私たちはこの状況に絶望しかけていたのだ。その時、Twitter に関する私たちのシリーズ記事に対して読者から寄せられた反応を思い出した人がいた。(2007-10-09 の記事“Twitter 転向者の告白”と 2008-01-02 の記事“Confessions of a Twitter Revert”参照。)Adam が Twitter にも使い道があると告白した時、読者たちは「そんなの当たり前さ!」と叫んだ。Glenn が Twitter からひっきりなしに文章が入ってくるのに耐えられないと告白した時、読者たちは「何て古くさい奴だ!」と叫んだ。(記事では認めなかったが、Glenn は結局 Twitter に戻ってきている。)明らかに、読者たちはインスタントメッセージングが気に入っているのだ。そして若い世代ほど、その傾向が強い。

そこで、結論は突然明白になった。私たちがウェブフォーマットに転換して以来、ことに最近の記事ベースの構造への移行以来、毎週の号はますます長くなって、電子メールのゲートウェイに制限があった時代に私たちが自らに課した 30,000 文字の上限など完全にどこかへ行ってしまっている。明らかにこれは、方向として間違っている。若い読者たちが望むのは長い文章ではなくて、より短い文章だ。実際、それこそが Twitter だ。考えてもみるとよい。注意力のスパンは近年ますます短くなりつつある。今日の若者は、刺激の大群に攻め立てられている。携帯電話もテキストメッセージングも、事実上いたるところにある。彼らにとっては、TidBITS もそのようにあって欲しいのだ。シェークスピアの _Anthony and Cleopatra_ で、メッセンジャーが到着した際に Anthony がいみじくも「その分量が気に障る」と言ったように、「詳しく聞いている暇なんてない、要約して言ってくれ」というわけだ。その意味で、Twitter ほど要約されたものがあるだろうか? たった 140 文字の、純粋な、混じりけのない「分量」だ。虚空に向かってメッセージを叫び投げれば、即座にすべての購読者たちがそれを見て、理解して、次に進むのだ。

というわけで、こんなプランはどうだろうか。次週から、TidBITS は新しい Twitter アカウント TwitBITSによって代表されることになる。すべての TidBITS 記事は最大 140 文字までに要約され、私たちのウェブサイトに記事がポストされた瞬間、その要約が自動的に tweet として送信される。私たちの Twitter 化された TidBITS アカウントを「フォロー」している読者たちは、どんな媒体(Twitterific、SMS、PocketTweets、その他)を使っていようとも、記事が登場したその瞬間にそれを知ることとなる。当然ながら、すべての人がこのフォーマットを気に入るわけでないことは私たちも承知している。読者の中の高齢者層は、きっと今まで通り長編の形で TidBITS を読み続ける方を好むだろう。けれども、この TwitBITS のざわめきが人気を呼ぶようになれば、ずっと若い層の人たちも私たちのことを知るようになり、ひょっとしたら、私たちのまわりに群れ集まるのも夢ではないかもしれない。

でも、たった一つだけ問題が残る。TidBITS の記事を丸々たった 140 文字に要約するのは決して易しいことではない。それをするためには、長さをあきらめるだけでなく文章の洗練さも手放さなければならないのは明らかだ。特に、何らかの略語法を導入して、できるだけ少ない文字数に最大の意味量を込める工夫をすることが必須となるだろう。もちろん、今日の若者たちはとうにこの問題を解決済みだ。彼らは、テキストメッセージの中に“LOL”“ROTFL”“CUL8R”などといった、あらゆる種類の略語をちりばめている。私たちも、この種の略語をたくさん学んで、それを身に付ける努力をしなければならない。少し調査をした結果、私たち TidBITS ではまさにこの種の省略を目指した英語のある方言が既に存在していることを発見した。その名を、LOLCat という。

ご存知でない方のために説明しよう。 LOLCat は高度に縮約された方言で、テキストメッセージングにその起源を持ち、文法的に障害のある猫の知能によって生み出される言葉だとされている。その表情たっぷりの潜在力は、キリスト教の聖書全巻が 現在 LOLCat に翻訳されている最中 だという事実によっても立派に証明される。(現時点では、そのプロジェクトはほぼ半分が達成されているらしい。)明らかに、山上の説教の二番目の教え「悲しむ人たちは、幸いである。その人たちは慰められる。」を“U r doin good if U iz sad kitteh; U can has petting”と表現できるなら、その方言は真面目に相手をする価値があると見なさなければなるまい。

もちろん、私たちはまだ詳細を極めるところまでは行っていないが、例えば最近の Rich Mogull の記事“Mac ユーザーはアンチウイルスソフトウェアを使うべきか?”(2008-03-18) なら、こんな感じに要約することになるだろう: “Macs can haz virusez? No, U r doin good. But f u haz Windoze BFz, can iz in ur mail sistem. So u iz tell ur ISP 2 blok spam an virusez, k?”(138 文字)。

私たち TidBITS には、洗練された文章と、発展的かつ技術的な解説という素晴らしい伝統があるので、これほど粗野な、幼稚なたわ言を書きつづらなければならないのは確かに苦痛に満ちたことだ。けれども、繰り返して言うが、これが私たちが生き残るために避けられないステップなのだ。だから皆さん、どうかお一人お一人がこのプログラムに馴染んで頂きたい。私たちの記事の TwitBITS 版を購読したくないと思われる方はそれでも結構だ。私たちだってこんなものは好かないのだから。でも、もしもあなたがこのテキストメッセージング世代の子供たちをお持ちなら、どうか彼らに、そして彼らの友人たちに、購読するように強く勧めて頂きたい。私たちは喉から手が出るほど訪問者数が欲しい。TidBITS の創設者であり出版責任者である Adam Engst でさえ、TidBITS の長年の伝統、深く掘り下げた、練り上げられた文章の記事という定評を放棄してしまうことについてどう思うかと聞かれた際に、(ちょっと口ごもりながら)こう答えたのだから:“Yo, dude, LOLCat teh bom. Srsly.”


Take Control ニュース: 新刊の提案

  文: TidBITS Staff <[email protected]>
  訳: 羽鳥公士郎 <hatori@ousaan.com>

最近私たちが行った Take Control 読者調査は驚くべきものだった。ご意見をお寄せいただいた皆さん、ありがとう。もっとも興味深かったのは、新しい本の提案だった。私たちが今、作ろうと考えているのは以下のとおりだ。

ストックオプションのバックデートを Take Control -- これは合法だ。本当に合法なのだ! この本は、ストックオプションのバックデートについて裏も表も説明し、証券取引委員会に目を付けられない方法、あるいは少なくとも、あなたが黄金のパラシュートを手に入れて高飛びするまで見つからない方法をお伝えする。実体験に基づくアドバイスには、従順な取締役を選び、前任のCFO に責任を負わせ、愚か者だと思われることなく無知を主張するためのヒントが含まれる。

エスペラント語の罵り言葉を Take Control -- Sercu vian kacon per pincilo! さて、今、私はあなたのブラウスを賞賛したのだろうか、それともあなたを排泄物呼ばわりしたのだろうか。 あなたに分かるはずはない。だが、"Take Control of Swearing in Esperanto" を読めば、卑猥な言葉を吐くというあなたの生来の能力を磨きながら、あなたより図体の大きな人たちとの暴力沙汰に巻き込まれずにすむ。ちょうど古典的な映画 "Breaking Away" のように、人々はあなたのことを外国生まれだと思い、しばしば突然母国語が出てきてしまうのだと思うだろう。あるいはトゥーレット症候群にかかっていると思われるかもしれない(この点については付録 A に具体的なアドバイスがある)。

キルトと詰め物で作るハワイを地形学的に Take Control -- あのすばらしかったハワイ旅行を覚えているだろうか。その一部でも自宅に置いておけたらよいとは思わないだろうか。火山岩やぼったくりのコナコーヒーは脇に置いておけばよい。そのかわりに、針と糸、そして発泡スチロールを手に取り、このすばらしいベッドカバーを作れば、頭をうずめるたびに Mauna Loa を懐かしく想うことができる。私たちはキルトと詰め物で作る 50 州をシリーズにしようと計画している。次の1冊にはカンザス、ネブラスカ、アイオワが一緒に載る予定だ。アリゾナ版はあなたのベッドに合わせて修正する必要があるだろう。(注: "Let's Quilt Hawaii and Stuff It Topographically" から承認も受けていなければ関係もない。)

あなたの摂取量コントロールを Take Control -- 私たちの献立本 "Take Control of Thanksgiving Dinner" があまりに酷評されたので、私たちはこれを補完する本が必要だと考えた。"Take Control of Controlling Your Intake" は、各章で主立ったダイエット法をすべて取り上げ、その利点と欠点、摂食障害を防ぐためのヒントを説明している。スペシャルボーナスとして、Michael Pollan による序文と、あの有名な1行 "Eat food. Not too much. Mostly plants" が収録されている。

Google によるわいせつな検索を Take Control -- Google がウェブ上で支配的な検索エンジンだということは誰でも知っているが、だからと言って、いつでも探しているまさにその物が見つかるとは限らない。とりわけ、わいせつなものを検索するのは、インターネットにはたくさん転がっているといつも聞かされているにもかかわらず、難しいことがある。そこでこの本では、Googleにいかがわしいものを表示させるためにオタク少年たちが使っているありとあらゆるトリックを明らかにする。

寝つきの悪い子供を Take Control -- この本の著者たちは皆インハウス・ペアレンタル・スリープの専門家で、自身が何年にもわたって毎夜間起床とそれに伴う認知過程障害や記憶障害に苦しめられてきた。この本では、健康な赤ちゃんなら誰でも寝つかせることができるという古代中国の秘法をお教えする。それと、酒だ。もちろん、赤ちゃんのためではなく、あなたのためだ。すべての電子ブックにはくりぬかれた仮想間隙があって、そこにはバーボンの小瓶が隠されている。アルコールをどのようにして電子ブックからとり出しあなたの食道に導くのかは、Take Control の企業秘密だ。そして、もちろん、赤ちゃんの分もある。(私はいったい何を話しているのだろう。ああ、そうだ、昨晩見た夢のことだ。正気を取り戻さなくては。冷たい水で顔を洗って、よし、戻ろう。)スペシャルボーナスとして、簡単な吸入器の作り方を説明する章がある。この原料はすべて自然の中で見つかる天然のもので、自然が用意した催眠剤であり、あなたが昼食をとったりシャワーを浴びたりする 30 分のあいだ赤ちゃんを確実に眠らせることができる。もちろん、これは酒ではない。いや、待てよ、これは酒じゃないか。では、この間違った方法にしたがって使うとしよう。州や郡の児童保護サービスがあたりに潜んでいないことを確認して。

コントロールを Take Control -- 弱小チームの監督になりたいと思ったことはないだろうか。あるいは取るに足りない独裁者は? この本は、どんなレベルのどんな状況でもあなたが人々をコントロールするのに必要なすべてをお伝えする。簡単な心理学的トリックを使って、恐れと欲とで人々を操作する方法を学び、その後の章では、目的を達成するための実力行使(狡猾なものと血なまぐさいものの両方)の使用について考える。この本を注文するには、画面の左側にある Buy ボタンをクリックする。いや、それじゃない、その下のボタンだ。ああ、だめだ、かしてごらん、私がやってあげよう。

自由放任を Take Control -- あなたはコントロールマニア? どんな状況でも人をコントロールしようとする? それがまったく適切でなかったり、頭痛を引き起こすことが明らかな場合だったりしても? それならこの本で、自由にまかせ、すべての人の生活を動かそうと試みることを止めるための芸術的方法を学ぶとよい。章の1つでは、あなたの子供の Lego キットをいかに子供のために組み立てないかということに焦点を絞っている。また別の章は「妻の許可なしに妻のラップトップに新しいバージョンの Mac OS X をインストールするのは止めよう!」と題されている。

Leopard の配偶者共有を Take Control -- Apple は Mac OS X 10.5 Leopard で共有機能を大幅に強化し、スクリーン共有を追加しファイル共有も使いやすくなった。しかし、ほとんどの人がまだ気がついていないのだが、Leopard には配偶者共有を簡単にするためのユーティリティが含まれている。いや、まじめな話、みんなやっていることだ。Sharing 環境設定パネルを選び、Services のリストを下までスクロールして、Spouse ボックスにチェックを入れればよい。配偶者を同僚と交換する方法を探しているが、恥ずかしくて会話の話題を見つけられない? それなら、Leopard の新しい Bonjour ベースの配偶者共有ユーティリティが役に立つ。話を切り出し、あいびきの約束をし、さらには常時アップデートされているお住まいの地域の離婚弁護士データベースを検索することもできる。ボーナスもある! このすばらしい男性自身強化プラシーボの割引クーポンだ。

Apple 社を Take Control、Fake Steve Jobs 著 -- 伝説的なテクノロジー企業を創立し(まあ、1人じゃないとしても)、その企業を危機に直面させたことがある? 優れた技術だが宣伝がなくて開始したことも忘れられ、悲しい思いをしたことは? 世界を救うと教え込まれ、そのための方法として、ますます少なくなるカルトを従えながらパーソナル・コンピュータ・メーカーを再び手に入れるという以上のものが見当たらない? この本では、そんなあなたに必要な偽の秘密が明らかになる。あなたの企業を買収させて、実際には買収先の起業を乗っ取る方法や、1年後にしようとしていることと正反対のことを言って報道陣を煙に巻く方法、iPod を発明する方法、そして禅プレゼンテーションのための厳選された 10 のヒント(十八番は "Boom!")だ。

Starbucks で飲み物の注文を Take Control -- あなたの地元の Starbucksにある様々な選択肢にまごついたことがある? あなたの家の近くの3軒のStarbucks のうち、どこをひいきにすればよいか分からない? この本では、Seattle で生まれ育った著者が有名な Starbucks 専門家 Winter からの助言を得て、あなたが選択することのできるすべてと正しい選択をするための方法を説明する。この本を読み終わるころには、あなたも「トール、エクストラホット、フォーポンプ、ノンファット、ノーウォーターチャイ、ホイップ入り1つ」と、つっかえたり笑い出したりせずに言うことができるようになるだろう。

カオスを Take Control -- アジアの蝶がアメリカの竜巻になる前に捕まえる方法を学び、あなた自身のティッピングポイントを簡単な道具と家庭にある材料で作ろう。もしもあなたとあなたの初期条件が共依存であったなら、あるいはもしもあなたがストレンジアトラクタの呪文に魅せられたことがあるなら、はたまたフラクタル・マンデルブロ(コーヒーにぴったり!)を焼く方法を知りたいと思ったことがあるなら、この非線形動的ブックがあなたのパラダイムを転換し、あなたの人生を再び正常に戻すだろう。


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Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2008年 4月 2日 水曜日, S. HOSOKAWA