TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1294/19-Oct-2015

今週号の TidBITS はハードウェアが話題の中心となる。まず Adam Engst が 21 インチ 4K Retina モデルもある新型 iMac と、Apple の新しい Magic シリーズのマウス、キーボード、トラックパッドを調べる。引き続き Apple の競争相手に目を向ける Julio Ojeda-Zapata は Microsoft から出た新しいハードウェア、Surface Pro 4 と、興味深い新 Surface Book その他を概観する。ソフトウェアの側では、Apple Music がどうやらあらゆる人たちを混乱させているらしく、Apple が尋常ならぬやり方を打ち出して混乱した Apple Music ユーザーを助けようとしていると Josh Centers が説明する。最後にもう一つ、Michael Cohen が iBooks 専用の「拡張版」Harry Potter シリーズをレビューする。これは新たに購入する価値のある拡張なのだろうか? 今週注目すべきソフトウェアリリースは、Tweetbot 2.1.1、Quicken 2015 for Mac 2.6.2、Audio Hijack 3.2.1 と Airfoil 4.9.1、DEVONthink/DEVONnote 2.8.7、Sandvox 2.10.3、Fantastical 2.1.1、iMovie 10.1、Dropbox 3.10.8、Pixelmator 3.4、1Password 5.4、それに Mac 用の Pages 5.6, Numbers 3.6, Keynote 6.6 だ。

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Apple Music で困っている? Apple につぶやこう

  文: Josh Centers: josh@tidbits.com, @jcenters
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

Apple Music は不可解だと思っている人は沢山いる。その中には、この業界で最も Apple に精通した仲間と思われている人達も含まれる。例えば、我々の Adam Engst ("Rdio に戻る: 私はなぜ Apple Music を止めたか" 7 October 2015) や The Loop の Jim Dalrymple ("Jim Dalrymple、Apple Music を止め、それを「悪夢」と呼ぶ" 23 July 2015) である。

Apple が自らの粗雑な仕事を認めることは殆ど無いが、どうも Apple Music に関してはこれらの問題の存在は認識している様に見え、ユーザーを教育するための措置を講じつつある。まず最初に、Apple はその YouTube チャネルに 7 つのガイド付きツアー を載せ、Apple Music の看板機能を説明している。おもしろいことに、これらのツアー全ては Apple Music を Mac 上の iTunes ではなく iPhone の Music アプリで示している。

そして今や Apple は異例の措置を取った:ユーザーの問題と直接関わるため、ソーシャルメディアに行ったのである。Twitter 上の新しい @AppleMusicHelp アカウントは、皆さんの Apple Music 問題について手助けをするため、毎日 6 AM から 8 PM PDT までオンラインにいる。もし Apple Music でお困りのことがあるならば、彼らに知らせよう! 但し礼儀をわきまえて - これは何も Twitter アカウントの面倒を見ている人達のせいではない - これは我々皆が経験している問題について Apple に知らせるのを確実にする良い方法かもしれない。

Apple が Apple Music 加入者を助けるため一層の努力をするというのはいい話で、我々は同社がこのアプリとサービスをよりユーザーに優しくそして信頼性のあるものにするべく再設計することを望みたい。そうすれば、指導ビデオや Twitter サポートアカウントを作ったりすることも不要になるであろう。

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Apple、Retina ディスプレイモデル iMac を追加、入力機器をアップデート

  文: Adam C. Engst: ace@tidbits.com, @adamengst
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

止められない技術の進化の最新例の一つとなるが、Apple は iMac ラインをアップデートし、21.5-inch iMac 4K Retina ディスプレイモデルを追加し、そして non-Retina モデルの 27-inch iMac を降壇させたが、工業デザインはそのまま維持した。要するに、入手可の iMac モデルは 3 つのままである。

それでは、それぞれの仕様を順に見て、それから、魅力的な新しい Magic Keyboard, Magic Mouse 2, そして Magic Trackpad 2 を見てみよう。これら全ての新製品はもう既に売り出されている。

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21.5-inch iMac non-Retina ディスプレイモデル -- この製品群の伝統を保持しつつ、この iMac は単純に、更に数百ドルのお金を工面出来ない人達のために存在する。二つの構成がある:一つは特売場バージョンで 1.6 GHz dual-core Intel Core i5 搭載で $1,099、もう一つはずっと高速な 2.8 GHz quad-core Intel Core i5 搭載で $1,299 である。

この $1,099 モデルは 1 TB 5400-rpm ハードドライブ付きだが、1 TB Fusion Drive ($100 増し) 或いは 256 GB のフラッシュストレージ (+$200) との交換も可能で、グラフィックス処理は統合された Intel HD Graphics 6000 に依存している。外部ディスプレは 1 台までサポートし、解像度は最大 3840 x 2160 である。つまり、大抵のディスプレイには対応するが、フルの 4K ディスプレイは駆動出来ない。$1,299 モデルもデフォルトでは 1 TB ハードドライブだが、1 TB (+$100) 又は 2 TB (+$300) Fusion Drive 或いは 256 GB のフラッシュストレージ (+$200) の構成とすることも出来る。グラフィックスは Intel Iris Pro Graphics 6200 に増強され、最大 4096 x 2304 の外部ディスプレイ 1 台をサポートする - 能力としてはもう 1 台の 4K Retina ディスプレイを駆動出来る、Apple が出せばの話ではあるが。

これらのモデルは、置き換わる前のモデルと同じ価格となっているが、プロセッサ速度は 0.1-0.2 GHz 速くなり、初級モデルではドライブ容量を増やし、そして Intel ベースのグラフィックスもアップデートしている。

もし $200 を余分に出せるのであれば、2.8 GHz quad-core モデルを買うべきである - 性能の違いははっきり感じられるはずである。その後の性能向上は、遅い 5400-rpm のハードドライブをニーズに応じて 1 TB Fusion Drive か 256 GB フラッシュストレージに入れ替えることである。

21.5-inch iMac 4K Retina ディスプレイモデル -- この小型の iMac ラインへの新規参入者はネイティブで 4096 x 2304 の解像度を持つ 4K Retina ディスプレイを搭載している;現実には、これを Retina の鮮明さを生かして 2048 x 1152 で走らせることになる。$1,499 の価格で、3.1 GHz quad-core Intel Core i5 ($200 のオプションとして 3.3 GHz quad-core Intel Core i7 がある) と Intel Iris Pro Graphics 6200 が得られ、そして標準の 1 TB ハードドライブに対するオプションには、1 TB (+$100) か 2 TB (+$300) Fusion Drive, 或いは 256 GB (+$200) か 512 GB (+$500) のフラッシュストレージがある。

3 つの 21.5-inch モデルに共通する機能には、8 GB の RAM ($200 で 16 GB に出来る), 802.11ac Wi-Fi, Bluetooth 4.0, FaceTime HD カメラ、ステレオスピーカー、デュアルマイクロフォン、3.5mm ヘッドフォンジャック、SDXC カードスロット、4 つの USB 3 ポート、2 つの Thunderbolt 2 ポート、ギガビット Ethernet, そして Kensington ロックスロットが含まれる。ご想像の様に、これらには OS X 10.11 El Capitan がインストールされて出荷される。

私は、より大型の 27-inch 画面の方が好きだと言う偏見を隠すつもりはないが、27-inch の巨獣を載せるだけの余裕が机の上に無いのであれば、この 21.5-inch iMac 4K Retina ディスプレイモデルは、より高速の CPU, 16 GB の RAM, そして Fusion Drive かフラッシュストレージのどちらかで、素晴らしい構成に出来る。もし机上の空間が得がたいものであるならば、これぞ勝者であろう。

27-inch iMac 5K Retina ディスプレイモデル -- 上述した様に、私は偏見に満ちている。と言うのも、これが基本的に私が今書こうとしている Mac であり、Tonya, Josh, そして Michael も最近手にしたモデルでもある。これはとても素晴らしいマシンで、陳腐な言い方かもしれないが、これは私がこれまで使った中で最高の Mac である (新モデルからこれ以上のものは期待出来ないから)。

Apple は、今 3 つのバージョンの 27-inch iMac を出していて、全てに 5120 x 2880 で走る 5K Retina ディスプレイが使われている。Apple はこの新しいモデル上の画面はより広範囲な色域を表示すると言っている。以前は、この 5K Retina ディスプレイは業界標準の sRGB カラーの全てを表示できたが、新しい画面はより最新の P3 と呼ばれる標準、これは sRGB よりも約 25% 広い、をサポートする。

その他の共通仕様には、8 GB の RAM、オプションで 16 GB (+$200) 又は 32 GB (+$600) に構成可、802.11ac Wi-Fi, Bluetooth 4.0, FaceTime HD カメラ、ステレオスピーカー、デュアルマイクロフォン、3.5mm ヘッドフォンジャック、SDXC カードスロット、4 つの USB 3 ポート、2 つの Thunderbolt 2 ポート、ギガビット Ethernet, そして Kensington ロックスロットが含まれる。そして、勿論 El Capitan も。

違いが出るのは、CPU、グラフィックスプロセッサ、そしてストレージオプションにおいてである。

新しい 27-inch iMac のグラフィックス能力が意味する所は、内蔵のディスプレイ上でフルのネイティブ解像度をサポートし、かつ最大 2 台の 4096 x 2160 外部ディスプレイ、又は 1 台の 5120 x 2880 デュアルケーブル外部ディスプレイをサポート出来ることである。これは大きな進化である - 以前の 27-inch iMac 5K Retina ディスプレイモデルは 1 台の外部ディスプレイを 3840 x 2160 ピクセルでサポートするだけであった。これは、Apple が間もなく 27-inch Retina Thunderbolt Display をリリースする兆しではないかと願いたい。尤も、デュアルケーブルというのは Apple のスタイルとは思えないので、より広帯域の Thunderbolt 3 を待たねばならないのかもしれない。

この新しい 27-inch 構成に対する価格付けは多少奇妙である。上位 2 機種に対する価格付けは同じだが、以前はちょっとだけ高速の CPU が付いていた - 3.3 GHz 対 3.2 GHz, そして 3.5 GHz 対 3.3 GHz である。この第六世代 Intel Core i5 "Skylake" プロセッサはその性能差を埋めているであろうことは想像出来るが、Apple が新しいモデルにより遅い CPU クロック速度を使うというのは珍しい。いずれにしても、最大限の性能を欲するのであれば、4.0 GHz quad-core Intel Core i7 アップグレードに跳びつくべきである。

魔法 (Magic) の指 -- これらの iMac 全てには新しい Magic Keyboard が付いており、そしてケーブル付きの Apple Mouse か新しい Magic Mouse 2 のどちらかを選択するか、或いは $50 追加して新しい Magic Trackpad 2 を選べる。もし Magic Mouse 2 と Magic Trackpad 2 の両方を欲しいならば、$129 が必要となる。新しい Mac を買うわけではないが、これらの新しい機器を欲しい人に対しては、Magic Keyboard は $99, Magic Mouse 2 は $79, そして Magic Trackpad 2 は $129 の値段となる。では、これらの新しい機器はどんなものなのか?

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一番の違いは、これら 3 つの新しい Magic 入力機器には充電可能なリチウムイオン電池が組み込まれており、これから出される Apple Pencil の様に Lightning-to-USB ケーブル経由で充電出来る。また、長い間待つ必要も無い - 2 時間の充電で 1 ヶ月もつが、1 分間つなぐだけで半日の作業に十分な充電が出来る。

これは大きい - 私自身は入力機器としては、クリック感の良い Das Keyboard と型破りな Contour Designs RollerMouse Pro 2 が好きである。Tonya はワイヤレスの Magic Mouse を使っており、いつも電池に苦情を言っている。この Lightning-to-USB ケーブルはまた、機器を Mac とペアリングする役目も担っており、これで Bluetooth ペアリングの問題も軽減されるであろう。更に良いことに、Magic Keyboard と Magic Trackpad 2 は USB 経由で接続されている時も動作すると報じられており、その間は Bluetooth を必要としない。

新しい機器に実際に手を触れられる迄は、Apple の言う "内部の構造がより強固になり、さらなる質の高さを感じられる作り" を繰り返す以上のことをするのは困難である。Apple はリリース前の機器を Six Colors の Jason Snell に提供しているので、Magic KeyboardMagic Trackpad 2 に関する彼のレビューを読んでみる手もある。

Magic Keyboard はフルサイズのキーボードで、面積は 13% 少なくそして背高も低くなっているが、恐らく新しいシザー構造のお陰なのであろう。いずれにせよ、キーは以前のものより大きい。(しかし、キーパッドは無い - スプレッドシート操作者にはお気の毒だが。) でも、これは Apple が 12-inch MacBook に対して "Apple 設計のバタフライ構造は従来のキーボードのシザー構造よりも驚異的な 40% も薄く、それでいて 4 倍以上も安定している" と説明したものとは同じものとは思えない。従って、その感触を見るには待つしか無い。残念ながら、キーボードのバックライトはない、何故ならばそれは電池寿命に悪影響を及ぼすから。

Apple は、新しい Magic Mouse 2 が "強固なのにより軽くなったボディに加えて、底面のデザインを最適化したので、動かす時の抵抗が一段と少なくなり" と言っている。もっと興味を引くのが Magic Trackpad 2 で、これは 29% 大きい表面を持ち、そしてこれまではある種の MacBook モデルに限定されていた Force Touch 機能を付加した。Force Touch があれば、トラックパッド上で押しそしてもっと圧力をかけることで感圧クリックすることで出来る - 基本的にはもう一つの変形クリックの手段を提供する。

これらの新しい iMac とポインティング機器は革命的では無い - そしてそうあるべきでも無い。しかし、これらは、膨大な工業努力を要した既に第一級のハードウェアに対する格別に素晴らしい改善である - Steven Levy は Apple がどの様に細かい点まで気にしているかに関して Medium の Backchannel に偉大な記事を載せている。もし iMac を買う機会を待っていたのであれば、今がその時である。

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Microsoft の新しいハードウェアが Apple に挑戦

  文: Julio Ojeda-Zapata: julio@ojezap.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

先週の記事で、その昔は非常に異なる会社であった Apple と Google が似たものになりつつあることを詳しく述べた。この検索エンジンの巨人は Apple の Mac や iOS デバイスと競合するために作られたハードウェアを次々と作り出している。(2015 年 10 月 6 日の記事“Google の秋イベントが Apple のイベントを反響”参照。)そして、その前には Amazon の 9 月のハードウェア発表があり、ここでも Apple の製品ラインと重なり合うところがあった。(2015 年 9 月 18 日の記事“Amazon、Fire タブレットとストリーミング機器をアップデート”参照。)

そして、どうやら Microsoft についても同じことが言えるようだ。

2015 年 10 月 6 日に、Redmond に本社を置くこのソフトウェアの巨人は巨大な規模のハードウェアイベントを開催し、同社を Apple のライバルとして繰り返し位置付けた。それはソフトウェアの世界においては歴史的にあったことだけれども、ハードウェアのビジネスにもその傾向が見られるようになったのは最近のことだ。そして Microsoft はこのことを隠そうともしなかった。最新型の PC を発表する際、Apple の製品との比較を(もちろん自社製品を持ち上げて)強調してみせたのだった。

Microsoft の機器、MacBook Air と競合させるように作られたタブレット機 Surface Pro 4 と、MacBook Pro に狙いを付けた全く新しい Surface Book は、Microsoft の役割を(特定分野ではあるが)最上位の機器メーカーとして固定することになる。

Microsoft は Surface PC を 2012 年中頃から出しているが、このような傾向は昨年の Surface Pro 3 で本格的に始まった。(2015 年 5 月 20 日の記事“Microsoft の Surface Pro 3、MacBook Air/iPad ユーザーに照準”参照。)

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かつてはソフトウェアの稼ぎ頭 Windows と Office のみに鋭く焦点を当てていた会社としては、これは極めて劇的な転換であった。従来の Microsoft は入力デバイスなどのハードウェアにちょいと手を出す程度に過ぎなかったが、今や同社はハードウェアもすべてひっくるめて、コンピュータ市場を独占していたかつての地位を少しでも取り戻そうと闘っている。

しかしながら、成功の見込みははっきりしない。

この 10 月のイベントで、Microsoft は華やかで機能満載の Lumia スマートフォンをお披露目した が、これは土壇場の逆転を狙う大博打のようにも感じられる。同社は Android と iOS が支配するハンドセット市場に見当違いな迷い込み方をしていると言わざるを得ないからだ。それよりも、手首に着けるデバイス Band の更新の方が多少とも有望と言える。直接に競合する Apple 製品がないからだ。(これは Apple Watch に打ち勝とうとするよりも、むしろハイエンドのフィットネス専用バンドだ。)

Microsoft は同社のゲーミングコンソール Xbox One や、拡張現実ヘッドギア HoloLens (2015 年 1 月 23 日の記事“Windows ユニバーサルとなる... そしてホログラフィックにも”参照)、最近リリースされたばかりの Windows 10 (2015 年 8 月 20 日の記事“Apple が盗むべき 6 つの Windows 10 機能”参照) についてもほんの少しだけ触れた。Windows 10 は 2015 年 7 月 29 日にリリースされて以来 1 億 1 千万件以上のインストールを達成している。

MacBook よ、これが Surface Book だ -- Microsoft はテレビ上のブランド戦略としてラップトップ機のリッドに必ず Windows ロゴを付けさせるよう努めたことで嘲りの種となったものだ。もちろん、現実世界でそのようなラップトップ機は存在しなかった。その点、リッドに Apple ロゴが輝く MacBook とは大違いだ。

けれども、もはや Microsoft を嘲笑することはできない。いや、少なくともその理由ではできない。

同社の全く新しい Surface Book は、同社が初めて出す伝統的な意味でのラップトップコンピュータで(そう、リッドには Microsoft ロゴがある)基本的にタブレット機に Type Cover と呼ばれた薄いキーボードカバーを取り付けただけの従来の Surface モデルとは違う。

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この Surface Book は、それと同時に一種のタブレット機であるとも言える。他の PC "convertible" デバイスと同様、ディスプレイをキーボード部分から取り外して使えるからだ。

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新型 Surface Book がそれまでの convertible 機と違っているのは、その独特の接合ヒンジだ。これは「ダイナミック支点ヒンジ」と呼ばれ、四ヵ所で蛇腹状に折れ曲がることで Surface Book のリッドを開く際には柔らかな手応えが得られる。この支点ヒンジはスクリーン幅よりも Surface Book の幅を広く取っているが、これは他の convertible 機のように頭でっかちでバランスが悪くひっくり返り易い問題を解決するためのものだという。

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このヒンジは、Surface Book を閉じた状態では独特な見栄えをもたらす。ディスプレイはキーボードにぴったりとはくっつかず少々角度を持って閉じ、両者の間に僅かな隙間が残る。これを洗濯挟みと形容する人もいるが、従来型のラップトップ機が好きな人には抵抗があるかもしれない。

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ディスプレイは電気的なボタンを押すことでヒンジから取り外せる。180 度回して裏返しにヒンジに取り付けることもでき、ディスプレイをイーゼルのように立てて使ったり、あるいはスクリーンが上向きになるように畳んでほんの少し角度の付いたスケッチブックとして使ったりすることもできる。

このスクリーンはそれのみ独立で使うこともでき、Microsoft はそれを「クリップボード」モードと呼んでいるが、バッテリ容量の大部分はキーボード側にあるバッテリに依存しており、またハイエンドの構成においてはディスクリート GPU もキーボード側に装備されていてグラフィックスの馬力が必要な場合にはそれに依存する。

Microsoft は Surface Book が MacBook Pro のライバルだと言っているが、その中で速度は二倍高速だと主張している。まだ検証ができない大言壮語だが、実際 Surface Book のスペックを見れば MacBook Pro と同じクラスで、いくつかの面では上回っている。

この Surface Book は解像度 3000 × 2000 ピクセルの 13.5 インチスクリーンを誇り、これに対して Retina MacBook Pro のディスプレイは 13.3 インチ、2560 × 1600 ピクセルの解像度だ。アスペクト比も違い、Surface Book は箱型の 3:2 (Google の Chromebook Pixel ノートブックと同様)、MacBook Pro は 16:10 だ。

プロセッサも違っていて、Surface Book には第六世代 Intel Core チップが搭載され、それに対して MacBook Pro のチップは第五世代だ。Surface Book のベースモデルは "Skylake" Intel Core i5 チップを搭載し、あのディスクリート Nvidia GPU を持つ Intel Core i7 にもアップグレードできる。

ベース構成で比べれば、Surface Book と MacBook Pro はそれ以外の点でほぼ同等で、8 GB の RAM (16 GB にアップグレード可能)、重量は 3.34 ポンド対 3.48 ポンド (1.51 kg 対 1.58 kg)、128 GB のストレージ容量、バッテリ寿命はいずれも 12 時間程度と宣伝されている。MacBook Pro と Surface Book のいずれも、最大搭載可能ストレージ容量は 1 TB だ。

入門レベルの価格はほぼ同等で、Surface Book は $1,499 から、MacBook Pro のベースモデルは $1,299 となっている。けれどもハイエンドに行けば値段の高さに驚く覚悟をしておく必要があり、1 TB の Surface Book は $3,199、つまり同等の MacBook Pro より $500 も高くなる。

当然ながら、もう一つの大きな差別化要因は、タッチスクリーンだ。Surface Book にはタッチスクリーンがあるが、これはどの MacBook モデルにもない。

Surface Book は、間もなく登場する iPad Pro と同様、スタイラスペンが付属している。Microsoft は新しいバージョンの Surface Pen の消しゴムモードを実演してみせた。(その際、Apple Pencil には消しゴムが付いていない、と軽口を叩いてみせた。)また、先端を取り替えれば別の種類のペンとして使える。この Surface Pen は Surface Book に付属しており、スクリーンの側面に磁石で取り付けられる。

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この Surface Book と改訂版の Surface Pen は既に予約注文受付が始まっており、2015 年 10 月 26 日にリリースされる予定だ。

第四世代 Surface Pro -- Microsoft の一時は冷笑を浴びた Surface タブレットも、最近はある程度の勢いを得ている。つまり、他のコンピュータメーカー各社がタブレット風 PC の類似品を出し始めているのだ。Apple も iPad Pro の Smart Keyboard カバーで Microsoft の真似を始めた、と言う人たちもいる。Surface の Type Cover と、かなりよく似ているからだ。(2015 年 9 月 9 日の記事“iPad Pro、Smart Keyboard と Apple Pencil と共に発表される”参照。)もちろん、Apple がそう認めることはあり得ない。

私はかなり長い間、Surface Pro シリーズに楽観的な感覚でいた。(2014 年 3 月 11 日の記事“Microsoft Surface: 二つのコンピュータの物語”参照。)最近になって私は Surface 3 にも夢中になった。小型でパワーも少ないコンピュータだがそれ以外の点では形も機能も変わらず、AT&T のワイヤレスデータサービスを付けて購入できる。

Surface Pro 4 は、Surface Pro 3 の漸進的な改善となっている。この新しい Surface は、Microsoft によれば「より静かで、クールに走り、効率も以前より向上している」という。

フォームファクターの面では、ほとんど変わっていない。やはり少し大きめのタブレットで、背面のスタンドで安定を保つようになっており(ただしスタンドのせいで膝の上に乗せて使うと具合が悪いと言う人も多い)長さも幅も同じだ。ただしボディーの厚みが少し薄く、解像度も上がって、ベゼルが狭くなり古典的なタッチ式の Windows ホームボタンもなくなったお陰でスクリーンが少しゆったりした。

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Surface Book でしたのと同様に、Microsoft は Surface Pro 4 を Apple のハードウェア、つまりこの場合は MacBook Air と比較した。

Microsoft によれば、Surface Pro 4 は MacBook Air に比べ 50 パーセント高速だという。Surface Book と同様 Surface Pro には第六世代 Intel Core プロセッサが搭載され、対して MacBook Air は第五世代チップだ。

その他のスペックでは、Surface Pro は MacBook Air と同レベルだ。いくつかの分野ではっきり優れているところもあり、はっきり劣っているところもいくつかある。

この Surface Pro の 12.3 インチディスプレイは 2736 × 1824 ピクセルという高解像度で、MacBook Air の 1400 × 900 ピクセルを大きく引き離している。ただし MacBook Air の 13.3 インチスクリーンの方が物理的に大きい。

いずれのマシンもベース構成は 4 GB の RAM と 128 GB のストレージ容量から始まるが、Surface Pro 4 は最大 1 TB のソリッドステートストレージに拡張でき、MacBook Air は 512 GB より上に拡張できない。

Microsoft によれば Surface Pro 4 のバッテリ寿命は 9 時間とのことでこれはなかなか立派だが、もちろん公称 17 時間の MacBook Air のバッテリ寿命には遠く及ばない。

価格は同程度で、Surface Pro 4 のベースモデルは $899、それに対してベースモデルの MacBook Air は $999 (Amazon から購入すれば $898) だ。

スペックは別にして、Surface Pro 4 は MacBook Air とあまりにも異なるマシンなので、比較は馬鹿げたことのような気がする。伝統的なラップトップ機である MacBook Air と、多少のラップトップ風の性格を盛り込んでもやはりタブレット機である Surface Pro 4 を比較するのはいかがなものか。

けれども Microsoft は、ラップトップとして使う際の Surface Pro 4 の機能を改良することに苦労を注ぎ込んだ。新しい $129.99 版のクリップ留めカバー Type Cover は、以前よりしっかりしてキーの感触も良くなり、以前より大きめのトラックパッドは初めてガラス製となった。さらに、$159.99 版の Type Cover には指紋リーダーも付く。どの版のカバーも Surface Pro 3 と互換だ。

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Type Cover は Surface Pro 4 に付属していないが、Surface Pen が付属する。このスタイラスペンはディスプレイの側面に磁石で取り付けられる。(どうやらかなりしっかりと付くようになって、あの恐ろしきスタイラス紛失症候群は回避されるようだ。)

この Surface Pro 4 は、兄弟機の Surface Book と同様、既に予約注文受付が始まっており、2015 年 10 月 26 日にリリースされる予定だ。

Microsoft は $200 の Surface Dockも販売している。これはデスクの上に置いて使う長方形のデバイスで、Surface Book、Surface Pro 4、または Surface Pro 3 に接続する。するとこのドックは外付けモニタに繋ぐ Mini DisplayPort 2 基と、ギガビット Ethernet ポート 1 基、USB 3.0 ポート 4 基、オーディオ出力ポート 1 基という形で拡張を提供する。

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この Surface Dock は、Mac 用のいろいろな Thunderbolt ドック(2014 年 7 月 10 日の記事“Mac 用 Thunderbolt ドック: Belkin 対クローンたち”参照)とおおよそ同等と思ってよい。

Surface Dock は 11 月に出る予定だ。

主力スマートフォン Lumia -- Microsoft はトラブルに見舞われた 2013 年の Nokia 買収の副産物として携帯電話ビジネスに参入した。そして、Apple と Android が支配するこの市場で巨大な挑戦に直面している。

その痛みの一部は自ら招いたものと言える。主力となるべき新しい Lumia ハンドセットがなかなか登場しなかったからだ。けれども今回ついに、上級レベルの Lumia 950 ならびに Lumia 950 XL フォンが発表されて状況が変わった。これらはそれぞれ iPhone 6s と iPhone 6s Plus にほぼ同等と考えられることとなる。また、新しいローエンドの Lumia 550 についても少しだけ発表があった。

新しい Lumia 950 と 950 XL はそれぞれ 5.2 と 5.7 インチで、共通して備えているものもある。例えば USB-C による充電と同期、Gorilla Glass を備えた AMOLED ディスプレイ、取り外し可能なバッテリー、32 GB のストレージ容量は microSD カードで 200 GB まで拡張可能、2560 × 1440 ピクセルのディスプレイ解像度、背面の 20 メガピクセルカメラは 4K ビデオの撮影が可能、ブラックまたはホワイトのポリカーボネート製ボディなどだ。

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それだけではない。Microsoft は Lumias が Windows 10 オペレーションシステムを走らせるという事実を大きく取り上げた。つまり、Windows PC と同じだ。これは単なる豆知識でなく、新しい Display Dock アクセサリーを通じてこのハンドセットを外付けモニタに接続すれば基本的に PC として動作するということを意味している。

イベントの席上、Microsoft は Display Dockと呼ばれるアダプタにモニタ、マウス、キーボードと共に繋いだデスクトップモード(または "Continuum" モード)にすることで、携帯電話上で電子メールを扱ったり Office アプリを操作したりでき、それと同時にハンドセット上の小さな第二スクリーン上にある機能もすべてそのまま使えるところを実演してみせた。

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Microsoft はこの Continuum を大きく自慢すべき点だと思っているようだ。競争相手の会社はそのようなものを一切提供していないからだ。けれども、これがスマートフォン市場における同社の不安定な立ち位置に少しでも良い影響を及ぼすのかどうかは(ましてや、人々を iPhone や Android から乗り換えさせるものとなるかどうかは)はっきりしない。

実際、テクノロジー評論家の何人かは既に、この新しい携帯電話は基本的にスタート時点から死んでいるとさえ言っている。発売当初は AT&T との契約でのみ購入可能なことも、状況を決して好転させないだろう。

これらの新しいスマートフォンは 11 月にリリースされる予定だ。

Microsoft Band の第二周目 -- Microsoft が健康バンド市場へ進出した当初は、賛否両論の評価を受けた。

Microsoft Band は紛れもなく高度なテクノロジーで、GPS、ジャイロメーター、3 軸の加速度計、電気容量センサー、さらには心拍数、周辺光、皮膚温、電気皮膚反応を測定するセンサーも備えている。また、Microsoft はこの Band を iOS とも Android とも、また自社の Windows Phone とも互換にしたことで大いに賞賛された。

けれどもこの Band の物理的デザインは不格好で、平らで薄いスクリーンと、快適とは言い難い留め具が、パーソナルな健康用具というより警察による監視用デバイスであるかのような感覚を与えてしまう。

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そして今回、Microsoft は $250 の Band 2 に新たなセンサーが追加されると発表した。高度を測定するための気圧計だ。そして工業デザインも改訂されて、スクリーンが曲面をなし、同社によれば以前よりずっと快適に着けていられるという。

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この多目的バンドは心拍数や、エクササイズ、カロリー消費、睡眠の質などを追跡するためにデザインされており、ランニング、サイクリング、さらにはゴルフまで、幅広い活動に組み込ませることができる。また、スマートウォッチに近い性格もあって電子メール、テキストメッセージ、カレンダーその他が使え、Microsoft の音声呼び出しアシスタント Cortana も備えている。ただ、Apple Watch の競争相手という位置付けはされていない。

この Microsoft Band 2 は今月中にリリースされる予定だ。

HoloLens よ、これがおまえの作り主だ -- Microsoft による実験的な拡張現実ヘッドセット は、今年の前半に発表された際に、かなりの反響を呼んだ。それは一つには、流行となっている仮想現実 (VR) デバイスとははっきり違ったものだからだ。

拡張現実は現実世界の上にデジタルな構造物を重ねるのであって、現実世界を視野から隠して VR コンテンツのみをそれ自身として見せる仮想現実とは違う。

HoloLens は今もまだ実験的なものであり、平均的な消費者の手の届くものではないが、Microsoft によれば来年の初め頃にも開発キットが一つ $3,000 という法外な価格で販売されるという。

同社は HoloLens の実演もしてみせた。Project X-Ray と呼ばれる実験的ビデオゲームの一環として、ロボットのモンスターがステージの壁を突き破ってヘッドセットを着けている人に突進して来るように見えるというものであった。観客たちは、二つの大きなスクリーン上でこのSF的場面を鑑賞できた。幸いにも、実際にモンスターに食われた者は誰もいなかった。

Xbox One -- 最新の Apple TV をゲーミングコンソールだと思う人もいるかもしれないが、Microsoft の Xbox One ほどにハードコアのゲーミングの意味で Apple TV をそう位置付けることはできない。結果として、多くの Apple ファン(例えば私の息子)は Microsoft のコンソールを主たるゲーミングプラットフォームと考えている。

Microsoft は今回のイベントでかなりたくさんの Xbox 関係のニュースを発表したが、大騒ぎを招く新事実はなかった。近々コンソールが Windows 10 にアップグレードされる(Microsoft のハードウェアでは OS の一貫性を構築しようというのだろう)とか、古い Xbox 360 ゲームとの後方互換性(間もなく登場予定)とか、Halo、Gears of War、Forza Motorsport、それに Tomb Raider 続編など、期待できる新しいゲームタイトルが進行中だとかいったことだ。

新たな面 (Surface) を見せる Microsoft -- 他のテクノロジーライターたちも書いたように、今回の Microsoft イベントは非の打ちどころのない段取りと、豊かなショウマンシップに満ちていた。例えば、ハードウェア担当重役の Panos Panay は最初の製品紹介の中で Surface Book のディスプレイが取り外せることをわざと言い漏らし、あとでそうそう一つ言い忘れたと前置きして陽気に駆け足でそれを説明するという芸を見せた。

まばたきをしたら見逃しかねない瞬間をもう一つ紹介しておこう。Surface のスクリーンに手書きの冷蔵庫が映り、その上からトーストがポンと跳ね上がった。もちろんこれは、以前 Apple の Tim Cook が Surface コンピュータみたいなハイブリッド機は冷蔵庫とトースターを混ぜ合わせたような馬鹿げた組み合わせだと例えたくせに、自ら iPad Pro という形でハイブリッド PC を出してきたことへの微妙な皮肉であった。

Steve Jobs の死後 Apple が足掛かりを見出してついに記者発表の場でもパーティーのような賑やかな雰囲気を作り出すに至った(Hair Force One よ、あんたのことを言ってるんだよ)のと同じように、Microsoft も長年の CEO であった Steve Ballmer が去って Satya Nadella が率いるようになって以来、新しい会社に生まれ変わったような気がする。

この Microsoft イベントでは Apple 互換なソフトウェアは何も登場しなかったけれども、この新しい CEO の最近の やり方の流儀 は、iOS と Mac 用のアプリケーションに焦点を合わせることにあった。

それと同時に、Microsoft はハードウェアの領域で Apple と競争することにのめり込んで、直接に Mac のライバルとなるだけでなくタッチスクリーンで iPad の代わりにもなる機器を出している。Surface Pro 4 と Surface Book によって Microsoft は本物の興奮を呼び起こしたし、新しい Lumia フォンは大成功を収めそうに見えないとしても、少なくとも Display Dock はユニークだ。今月中には現物が手にできて、本当にその熱狂に沿うものであるかどうかが分かるだろう。

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Harry Potter と iBooks Author

  文: Michael E. Cohen: mcohen@tidbits.com, @lymond
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Apple は今回、J.K. Rowling の "Harry Potter" シリーズの小説七冊全部の「拡張版」をiBooks Store からのみ入手できるようにしたと発表した 。それぞれ一冊 $9.99 という価格で、新しい表紙、カラー挿絵、埋め込まれたアニメーション、それから Rowling による注記という形で新しい内容も含まれる。[訳者注: これらの拡張版電子ブックは今のところ日本では入手できないようです。]

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このニュースは、紙に印刷された本や、以前 Pottermore (Rowling 本人によるデジタル・エンターテインメントおよび e-コマース会社) からリリースされたデジタル版を既に持っている読者たちには大して興味を引くものでないかもしれないが、デジタルな本の出版をするためのツールに全般的興味を持つ人にとっては大きな意味がある。なぜか? それは、これらの本と iBooks Author との結び付きがあるからだ。

背景に詳しくない人たちのために説明しておくと、Apple は 四年近く前に無料の作成ツール iBooks Author をリリースした。(2012 年 1 月 19 日の記事“Apple、学校に戻る: iBooks 2、iBooks Author と iTunes U”参照。)当時、それは有望だけれどもかなり機能に制約のある電子ブック作成ツールであった。最大の制約は、iBooks Author で作成された本が Apple 独自仕様の "Multi-Touch book" フォーマットを使っていたことで、これは iBooks 2 の走る iPad でしか読めず、オープンな標準である EPUB とは大きく違っていたことだ。それに加えて、Apple は iBooks Author を教育者や教育出版者向けのツールとして宣伝し、このツールで作成した電子ブックの配布に Apple が課した厳しい制約もあって、このアプリは広く電子ブック出版コミュニティー全般にとって本来あるべき魅力を感じられないものとなってしまった。

それでも、教育用でない本を作るために iBooks Author を採用する人たちはいた。結局のところ、Multi-Touch book フォーマットは料理本、旅行本その他、iBooks Author のレイアウト機能とインタラクティブなウィジェットから恩恵を受けることのできるさまざまのものによく適していたからだ。

去年、iBooks Author はバージョン 2.2 となり、以前より EPUB に適合するようになった。標準的な EPUB を読み込む機能が備わったからだ。(2014 年 10 月 17 日の記事“iBooks Author に新たな読み込みオプション”参照。)それでもこのアプリは Multi-Touch book のみ(またはインタラクティブでない PDF)しか作成できなかったのだが、少なくとも本の著者は標準的な EPUB を読み込んで、iBooks Author の機能を使ってそれをインタラクティブに拡張したり魅力的なページレイアウトを作ったりできるようになった。

今年の初めに、Apple はついに大きな一歩を踏み出して、iBooks Author 2.3 に EPUB 書き出し機能を装備した。(2015 年 7 月 10 日の記事“アップデートで iBooks Author の範囲広がる”参照。)このバージョンを使って、今回の拡張版 Harry Potter 本は作られた。

では、この iBooks Author による "Harry Potter" 本は、iBooks で開けばどのような見栄えなのだろうか? あるいはもっと一般的に、iBooks Author で作成した EPUB は iBooks で開けばどう見えるか?

一般的に言えば、普通の EPUB とそれほど大きく異なるところはない。別に驚くほどのことではない。iBooks Author の EPUB は EPUB 3.0 標準に従っているので、追加のデジタル著作権管理さえなければ、どのような EPUB 3.0 対応 EPUB 閲覧プログラムでも読める。だからと言って Apple 外の EPUB ビューワーで電子ブックが完璧に読めるという訳ではない。例えば、その電子ブックにインタラクティブなウィジェットが含まれている場合(iBooks Author は EPUB への挿入に適した四つのタイプのウィジェットを提供している)ウィジェットが期待通りに動作しないかもしれない。多くの場合、インタラクティブなウィジェットはインタラクティブでない単なる挿絵となって現われるだろう。

とはいえ、iBooks 自体の中でも、iBooks Author で作成した EPUB は普通の EPUB とはいくらか違った見栄えで挙動も少し違う。ただしそれらはいずれも微妙な違いだ。

まず第一に、iBooks Author は書き出す EPUB の中に文字書体情報を(場合によっては文字書体そのものも)含める。そして iBooks はその情報を尊重する。例えば、あなたが本文の書体に Cochin を使って EPUB を作成すれば、その本を読む読者も Cochin を見ることになる。他の多くの EPUB と違って、iBooks Author の EPUB では読者が本文の文字書体を勝手に選ぶことができない。ユーザーは文字サイズを選ぶことはできるけれども、違う書体は選べない。同様に、iBooks が通常の EPUB では設定できるようにしているさまざまのテーマ(例えば sepia や night など)は、iBooks Author の EPUB では提供されない。また、iBooks が iBooks Author の EPUB をレイアウトする際には、あなたが選んでおいた行端揃えやハイフネーションの設定は尊重されず、たとえあなたが行端を両端揃えにしてハイフンをフルに使いたいと思っても iBooks は出版者が選んだ行端揃えとハイフネーションの設定に従う。(参考までに: 今回の拡張版 Harry Potter 本では、ハイフネーションなし、行の右端を揃えない設定になっている。)

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第二に、Mac 用 iBooks にあるシングルカラムとダブルカラムを選べる機能は iBooks Author の EPUBでは利用できない。Mac 上では、そのような EPUB は _常に_ 一つのページを二つのカラムでレイアウトする。その上、本のウィンドウのサイズを大きくしても、他の EPUB のように多くのテキストが見えるようになったりしない。その代わりに、ウィンドウを大きくすれば文字のサイズが大きくなる。

第三に、iBooks Author の EPUB では、iOS 用の iBooks で通常見られるように一つのボタンでその電子ブックの統合された目次、メモ、ブックマークのページへアクセスするのではなく、ヘッダ部分にボタンが並んでいて個々の機能にアクセスするようになっている。

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(実際、メモ機能については iBooks Author の伝統的利点が明らかとなる。iBooks Author の EPUB では、Multi-Touch ブックでするのと同様に、メモを学習カードとして使いこなすことができる。)

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最後にもう一つ、必要に迫られてインタラクティブな題材を追加すれば、多くの場合 iBooks Author の EPUB は iBooks Author 外の同等の EPUB に比べて大幅にファイルサイズが大きくなる。例えば拡張版の "Harry Potter and the Deathly Hallows" は 88 MB 以上のストレージ容量を食い尽くすが、拡張しない版ならばたった 2.2 MB しか占有しない。

そういう訳で、はたして今回の拡張版の Harry Potter 本を、買うべきだろうか? もしもあなたが電子ブックおたくではなくて、しかも既に本を持っているなら、付加価値はそれほど魅力的でもないだろう。拡張された分は、確かに凝った作りでチャーミングなところも多いが、物語を豊かにするというよりもむしろ単なる飾りだと感じられるかもしれない。非常に短いアニメーションのループ(例えば魔女たちが Privet Drive から飛び立とうとして、ほうきの柄に乗って上下にゆらゆらする)や、単純なトランジション(例えば Godric's Hollow の War Memorial が Potter 一族の肖像に変わるところ)などに過ぎないものも多いが、少しだけインタラクションを提供するものもある。(例えば、Xenophilius Lovegood の乱雑なオフィスで積み上がった紙の山にタッチするとそれが崩れ落ちる。)

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拡張に向けたこのようなあまり意欲的でないアプローチは、必ずしも悪いことではない。本の主要なセールスポイントはそこに語られる物語であって、その上に追加される拡張はそれを魅力的に飾りはしても気を散らすものであってはならない、という考え方は理に適っている。同時に、それらの拡張は本を買い直したいと思えるだけの十分な理由にはならないということだ。

電子ブックおたくたちにとっては、今回の Harry Potter 本は iBooks Author が制作能力を持つ高品質の EPUB の良い実例であり、iBooks Author の EPUB に含めることのできる機能の具体的実例ともなっている。ただ、それを味わうためだけならばシリーズ全冊を買う必要はなく、一冊で十分だ。

まだ Harry Potter 本を持っていないけれども自分のライブラリに加えたいと思っている人には、これらの拡張版は考慮に値するだろう。本としての見栄えは _確かに_ 良い。価格も高過ぎる訳ではない。全冊購入しても $70 以下で、拡張版でない Kindle フォーマットで Harry Potter をセット購入するのと比べても大して変わらない。

悲しいことに、Pottermore による最初のデジタル版とは違って、今回の拡張版の Harry Potter EPUB には Apple の FairPlay DRM による保護が付くので、iBooks Store アカウントを使って iBooks アプリで読む以外はできない。別の EPUB リーダーでは開くことができないし、友だちに貸すこともできない。私にとっては、その点があまり魅力的とは言えない拡張点だ。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2015 年 10 月 19 日

  文: TidBITS Staff: editors@tidbits.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Tweetbot 2.1.1 -- Tapbots が Mac 用 Tweetbot 2.1.1 をリリースした。多数のバグ修正を施した、メンテナンスリリースだ。この Twitter クライアントは New Tweet と Show/Hide のグローバルホットキーを修正し、いくつかの場合にジェスチャーが逆に解釈されていた問題を解消し、通知へのクイック返信が返信のテキストを含まなかったバグを修正し、OS X 10.11 El Capitan でのレイアウトの問題を解決し、検索タブで検索フィールドにタイプし始めることができなかった問題を直し、いくつかのクラッシュを解消している。( Mac App Store から新規購入 $9.99、無料アップデート、11.5 MB、10.10+)

Tweetbot 2.1.1 へのコメントリンク:

Quicken 2015 for Mac 2.6.2 -- Intuit が Quicken 2015 for Mac のバージョン 2.6.2 をリリースして、Quicken Connect ダウンロードサービスのセキュリティとパフォーマンスをアップグレードするとともに、同期エラーの処理を改善した。この個人用財務管理ソフトウェアにはまた、データ接続や同期に関する複数の問題(Web Connect アカウントから Direct Connect で銀行に再接続した場合に取引データがダウンロードされなかった問題など)を修正し、変換に関する複数の問題(Windows 2015 Home and Business からのファイルの変換など)を解消し、さまざまのクラッシュを修正している。そうは言っても、今回のアップデートはしばらくの間見送っておく方が良いかもしれない。Quicken フォーラムにいろいろなトラブルが報告されているからだ。この記事の執筆時点で、 Mac App Store では Quicken 2015 for Mac はバージョン 2.5 のままだ。(新規購入 $74.99、無料アップデート、リリースノート、10.7+)

Quicken 2015 for Mac 2.6.2 へのコメントリンク:

Audio Hijack 3.2.1 と Airfoil 4.9.1 -- Rogue Amoeba が Audio Hijack 3.2 に VoiceOver 関係の改良をいくつか加えた。この人気のオーディオ録音ユーティリティは今回から、VoiceOver が動作中には自動的に VoiceOver および com.apple.speech のバックグラウンドアプリを Source セレクタにリストして手軽に選択できるようにし、さらに Application Blocks の Source メニューにいくつかの VoiceOver 関係の改善(例えば Source メニューに tab で移動した際に正しく読むなど)を加えている。今回のリリースではまた、Instant On コンポーネントをバージョン 8.1.3 にアップデートして OS X 10.11 El Capitan にフル対応し、オーディオデバイスが見つからない(例えばデバイスの差し込みが抜けたり、他のマシンから Sessions を読み込んだりした)場合の処理を改善し、Block をオフにした際にそれを完全に停止させるようにし、Audio Hijack がコピーしたり読み込んだりしたセッションを扱う方法を改善して名前の重複が起こらないようにしている。

さらに、 Airfoil 4.9.1 も Instant On コンポーネントをバージョン 8.1.3 (Airfoil に極めて稀に起こる問題点が OS X の coreaudiod をクラッシュさせていた問題を修正している) にアップデートしてリリースされた。また、Source メニュー上のアプリケーションアイコンがピクセル化されてしまう問題も修正している。 TidBITS 会員はこれらの Rogue Amoeba 製品も Fission、Piezo、および Nicecast もすべて 20 パーセント割引で購入できる。(Audio Hijack は $49、15.4 MB、 リリースノート。Airfoil は $29、14.5 MB、 リリースノート。すべて無料アップデートで 10.9+ を要する。)

Audio Hijack 3.2.1 と Airfoil 4.9.1 へのコメントリンク:

DEVONthink/DEVONnote 2.8.7 -- DEVONtechnologies が DEVONthink の三つの版 (Personal、Pro、Pro Office) すべてと DEVONnote をバージョン 2.8.7 にアップデートして OS X 10.11 El Capitan のための重要な互換性変更を施し、また Mac 同士で(また Mac と iOS デバイスの間で)同期する際の信頼性を向上させた。El Capitan に関することとしては、これら四つのアプリがいずれも App Transport Security への対応を追加し、アイコン表示でのドラッグ&ドロップの際に起こった不具合を修正し、フルスクリーン書類ウィンドウの処理を改善し、起動および進行パネルの表示が期待通りになるようにしている。三つの版の DEVONthink はいずれも Evernote からの読み込みを改善し、索引付けの速度を(メタデータとファイルのサイズにもよるが最大二倍に)高速化し、Apple Mail から件名が空白の電子メールメッセージをドラッグする際のバグを修正し、また MultiMarkdown エンジンをバージョン 4 にアップデートしている。

DEVONthink Pro Office のユーザーは、2.8.7 の当初リリースにバグがあって OCR 機能が働かなくなっていたことに注意すべきだ。この問題は今は修正されているが、修正前にアップデートをインストールした人はもう一度新たにダウンロードし直して問題点を修正する必要がある。(いずれもアップデートは無料。DEVONthink Pro Office 新規購入 $149.95、リリースノート。DEVONthink Professional 新規購入 $79.95、リリースノート。DEVONthink Personal 新規購入 $49.95、 リリースノート。DEVONnote は新規購入 $24.95、 リリースノートTidBITS 会員には DEVONnote もいずれの版の DEVONthink もそれぞれ 25 パーセント割引。10.7.5+)

DEVONthink/DEVONnote 2.8.7 へのコメントリンク:

Sandvox 2.10.3 -- Karelia が Sandvox 2.10.3 をリリースして、YouTube ビデオのフルスクリーン対応を改善した。このウェブサイトオーサリングツールはまた、あなたが Sandvox Hosting に何か出版する度に古いファイルを削除しようといつまでも試みては失敗し続けるというバグを修正し、SFTP サーバ上に見つからないディレクトリを作成する際の信頼性を改善し、Arial フォントが利用できない場合に書類が開かなかった問題を修正し、遠隔サーバへの接続で起こったクラッシュを解消している。Sandvox はまた Amazon List オブジェクトの "enhanced" および "shuffle" レイアウトに機能を復活させ、"Use product preview popups" 機能も復活させている。(ただし Karelia は国際 Amazon ストアによっては製品を表示できないところがあるので現在調査中であると述べている。)(新規購入 $79.99、Karelia または Mac App Store から無料アップデート、43 MB、リリースノート、10.6.6+)

Sandvox 2.10.3 へのコメントリンク:

Fantastical 2.1.1 -- Flexibits が Fantastical 2.1.1 を出して、この機能満載のカレンダーアプリにいくつかの修正と改善を加えた。今回のアップデートでは Google Calendar 上でイベントを公開またはプライベートに設定するオプションを追加し、詳細表示のキーボードショートカット (Command-E) を使った後に直接ノートフィールドに移るようにし、OS X 10.11 El Capitan の Split View に改善を施し、新規イベントを追加する際に招待者に対する Send Email および Show Contact Card のオプションを追加し、イベントへの招待者を追加する際に随意とマークできるようにした。Fantastical 2 は 21 日間無料で試用でき、Flexibits Store からも Mac App Store からも購入できる。(新規購入 $39.99、無料アップデート、11.7 MB、 リリースノート、10.10+)

Fantastical 2.1.1 へのコメントリンク:

iMovie 10.1 -- Apple が iMovie 10.1 をリリースして、1080p HD ビデオを毎秒 60 フレームで作成・編集する機能に対応し、ムービーの 4K 解像度での編集にも対応した。(フル解像度の 4K 再生は最新リリースの iMac など互換な Mac が必要、2015 年 10 月 13 日の記事“Apple、Retina ディスプレイモデル iMac を追加、入力機器をアップデート”参照。)今回のアップデートではまた iOS 用の iMovie (バージョン 2.2 かそれ以降) からムービープロジェクトを読み込めるようになり、Projects 表示を改善してムービーを手軽に探して開くことができるようにし、ムービーの編集中は Browser を隠すオプションを追加し、iOS 用 iMovie からビデオフィルタを 10 個追加している。iMovie は今回から OS X 10.10.5 かそれ以降を要する。(Mac App Store から新規購入 $14.99、無料アップデート、2.02 GB、10.10.5+)

iMovie 10.1 へのコメントリンク:

Dropbox 3.10.8 -- Dropbox が、 社名と同名のファイル同期アプリをバージョン 3.10.8 にアップデートし、コメントと共同作業用の機能にいくつか変更を加えた。(2015 年 5 月 1 日の記事“Dropbox、ファイルコメントを追加”参照。)Dropbox は (あなたの Dropbox の中に保存されたすべての Microsoft Word、PowerPoint、または Excel ファイルに現われる) Badge に隠すオプションを新たにいくつか増やし、あなたがそのファイルを最後に開いたよりも後に共同作業の相手が変更を加えれば Badge から通知が出るようにした。(ただし現時点ではまだ一部のユーザーしか使えるようになっていない。)また、今回のアップデートでは一部のバージョンの AutoCAD が同期できなくなっていたバグを修正し、LAN 同期のパフォーマンスが一貫しなかった問題点を修正し、高速のインターネット接続でダウンロードをする際にネットワークの利用法を改善している。今回のアップデートは、自動的にインストールされるはずだ。(無料、43 MB、リリースノート、10.6+)

Dropbox 3.10.8 へのコメントリンク:

Pixelmator 3.4 -- The Pixelmator Team が社名と同名の画像編集アプリのバージョン 3.4 をリリースし、OS X 10.11 El Capitan、とりわけ Split View に対応した。Pixelmator 3.4 (別名 "Twist") はまた Metal ベースの Photos Extension を追加し、Apple の Photos アプリの内部で画像をリシェイプ、レタッチ、また芸術的効果を加える数多くの Distort ツールも追加している。Photos Extension は Mac の GPU への直接アクセスを提供して、処理速度を速めるとともに Distort ツールの品質を大幅に強化する。今回のアップデートでは Force Touch 対応が改善されて Force Touch トラックパッドを使って絵を描く作業がぐっとスムーズになり、また San Francisco フォントをインターフェイスに使うようになった。(Mac App Store から新規購入 $29.99、無料アップデート、46.7 MB、リリースノート10.9.5+)

Pixelmator 3.4 へのコメントリンク:

1Password 5.4 -- AgileBits が Mac 用 1Password 5.4(別名 "The Convenience Edition") をリリースして、パスワードを大きな文字で表示するオプションを追加した。このパスワードマネージャはまた、大きな文字で表示した場合に個々の文字を番号付けする。パスワードの中に番号の付いた文字を指定するよう求められた場合には便利だろう。今回のアップデートではまた、二次的ヴォールトのパスワードが変更できるようになり、Top Layout 表示のカラムに変更を加える(その際にカラムの横幅は保つ)機能を追加し、ブラウザ拡張の 1Password と 1Password mini の間のコミュニケーションを改善し、項目がフォルダである場合にはフォルダパスを表示するようにし、AirDrop を使って Mac 上の項目を他の Apple デバイスへ送信する機能に対応し、電話番号に空白文字が含まれていた場合に Call 機能が働かなくなった問題を修正し、Top Layout へ切り替えた際にアイコンが正しく表示されるようにしている。(AgileBits からも Mac App Store からも新規購入 $29.99、TidBITS 会員が AgileBits から購入すれば 25 パーセント割引、無料アップデート、34.9 MB、リリースノート、10.10+)

1Password 5.4 へのコメントリンク:

Mac 用 Pages 5.6, Numbers 3.6, Keynote 6.6 -- Apple が Mac 用 iWork アプリを三つとも大掛かりな改善を加えてリリースした。Pages 5.6Numbers 3.6Keynote 6.6 だ。全体として、これら三つの生産性アプリは OS X 10.11 El Capitan の Split View に対応し、Force Touch トラックパッドを使って画像を Force クリックすると触覚フィードバックを返し、iWork '08 および '06 の書類を開く機能に対応し、iOS 上や Android 上のブラウザで書類をプレビューできるようにし、Fonts メニューで最近使ったフォントにアクセスする機能を改善し、画像から表、チャート、図形スタイルを作成する機能を追加し、小型大文字・contextual 部分・別字形などの OpenType フォント機能へのサポートを拡張している。

三つのアプリとも VoiceOver 関係の拡張が施された。コメントを追加・点検する機能や、チャートデータやチャート要素を編集する機能だ。また Pages では VoiceOver を使って変更追跡ができるようになり、Keynote ではスライドショーの最中のプレゼンターメモ読み上げ対応が追加された。三つのアプリともそれぞれ対応する Microsoft Office アプリへの書き出し対応を(Pages では EPUB 書き出しも)改善し、チャートやテキストオーバーフローや長方形でないマスクを Microsoft Office から読み込む際の互換性を改善し、PDF 書き出しに際しては新たな AppleScript オプションが追加された。

それに加えて、これらの生産性アプリの iOS 版や iCloud 版も上記の機能の多くを備えてアップデートされた。(iOS 版の PagesNumbersKeynote では Force Touch の代わりに 3D Touch を使っている。)OS X でも iOS でも今回のアップデートは無料だ。

iCloud といえば、Michael Cohen (Take Control of Pages の著者) は今回から変更追跡がオンになっている書類の追跡された変更点を iCloud 版の Pages でも見られるようになったことを喜んでいる。しかしながら、すぐに彼はこれが読み出し専用であることを知ってがっかりした。実際、Mac 版や iOS 版の Pages で追跡された変更点のある書類に対して、iCloud 版の Pages では一切の変更をすることが許されない。(新規購入 Pages $19.99、224 MB、Numbers $19.99、166 MB、Keynote $19.99、456 MB、すべて 10.10.4+ 必要)

Mac 用 Pages 5.6, Numbers 3.6, Keynote 6.6 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2015 年 10 月 19 日

  文: TidBITS Staff: editors@tidbits.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

盛り沢山の今週の ExtraBITS では、Apple がついに "Staingate" 問題に対処し、Adam Engst が The Committed ポッドキャストで Apple Music について議論し、Apple が初代の iMac に懐古的一瞥を与え、Discover が Apple Pay ユーザーを気前の良いボーナスで誘惑し、Apple の電子ブック価格操作訴訟が終わりに近づき、Apple が AppleCare に期間案分による返金を提供し、Steve Jobs が Woz を Apple に復帰させようと試みたと伝えられ、また iOS デバイスのスクリーンをもっと暗くする方法がある。

Apple が "Staingate" に対処中との報道 -- 公式の発表は何もないが、MacRumors によれば Apple は "Staingate" という名前で呼ばれた MacBook と MacBook Pro のディスプレイの問題点に関する内部通知を出したという。もしもあなたの Apple ラップトップ機のスクリーンから防幻コーティングが剥がれてきたなら、購入から 3 年以内であるかまたは 2015 年 10 月 16 日の一年後以前であるかいずれかの場合 Apple が無料で交換してくれるとのことだ。既にその修理のために Apple に料金を支払った人は AppleCare サポートから返金を受けられる可能性がある。(私たちが "Staingate" を伝えた記事“一貫性に欠けるサポートが MacBook Pro の "Staingate" 問題を深刻化”(2015 年 3 月 28 日) を参照。)

コメントリンク: 16025

Adam、The Committed ポッドキャストで Apple Music と Apple エコシステムを語る -- The Committed ポッドキャストに初めてゲスト出演を果たした Adam Engst は、Ian Schray、Rob Griffiths、Kirk McElhearn と共に Apple Music が iTunes インターフェイスに邪魔をされていることについて、Apple の新しい Magic 入力デバイスについて、また Apple エコシステムの全体的状況について議論した。会話は和やかで広範囲にわたり、聴く価値は十分ある。

コメントリンク: 16019

iMac の過去と現在 -- iMac の新シリーズを記念して、Apple は最新の 5K Retina ディスプレイモデル iMac と初代の 1998 年モデル iMac を比較するページを公開した。Apple によれば新型 iMac はピクセル数が 1 千 4 百万多く、グラフィックスは 62,000 倍高速で、RAM は 1,000 倍、ストレージ容量は 750 倍、処理能力は 366 倍に、それぞれ増えているという。けれども新型の iMac に Bondi ブルーの選択肢はない。

コメントリンク: 16008

Apple Pay で Discover に 10% のキャッシュバックボーナス -- iOS 9 のリリース以来、Discover クレジットカードも Apple Pay に追加できるようになった。Discover カードメンバーにそれを促すため、Discover は Apple Pay を通じて Discover カードで決済した購入について $10,000 を限度に 10 パーセントの Cashback Bonus を提供中だ。Discover カードと Apple Pay 互換の iPhone を持っている人は、考えるまでもなく利用すべきだろう。

コメントリンク: 16006

Apple の電子ブック価格操作訴訟、ドラマは終わりに近づく -- 米国地方裁判所判事 Denise Cote が Apple が出版社各社と共謀して電子ブックの価格を吊り上げたとする判決を出してから二年以上が経ち、米国司法省は Apple の独占禁止法に従おうとする努力に満足しており Apple の監視はもはや延長する必要がないと述べた。Apple は、法廷が指名した監視官 Michael Bromwich との間に論争が絶えなかった。彼は Apple が協力しようとしないと主張し、Apple は Bromwich が権威を濫用しているとした。司法省は Apple が「監視官との間に共同して働く関係を築くことができなかった」としつつも、Apple が「現在では意味のある独占禁止ポリシーと手続き、および訓練プログラムを実践している」と認めた。

コメントリンク: 16003

Apple、AppleCare に期間案分返金を提供 -- Macworld の記事で、Glenn Fleishman は Apple が AppleCare に期間案分による返金を提供することを明かす。米国内では、返金として戻る額は "Original cost pro-rated for time remaining less the value of any service used and less a cancellation fee of either $25 or 10 percent of the pro-rated remaining value, whichever is lower" という決まりだという。Glenn はほとんどの人に対しては返金を受けることはお勧めできないとしつつも、電話機をキャリアにトレードインする人や、盗難や損傷で Mac を失った人には有益だろうと述べる。

コメントリンク: 16005

Steve Jobs、Woz の Apple への復帰を試みた -- 新しい Steve Jobs 映画についてのインタビューの席上で、Apple 共同創設者の Steve Wozniak が興味深いこぼれ話を明かした。Jobs は亡くなる前に、Wozniak に Apple への復帰を頼んだのだという。Wozniak はその申し出を断わったのだが、もしも復帰していたならば彼が Apple で何をしていただろうか、彼は今もそこに留まっていただろうかと想像を巡らすのも面白い。映画については、相談役として制作に参加した Wozniak は細かい点でフィクションがたくさん入っているけれども映画として太鼓判を押せると語った。「この映画は現実を描いたものではない。これは人物像についての映画だ」と Wozniak は述べた。

コメントリンク: 16002

iPhone や iPad のスクリーンをもっと暗くする -- 私たちの多くは iPhone や iPad の輝度設定を一番暗く設定してもまだ明る過ぎると感じてしまう。特に暗い部屋ではそう感じる。幸いにも、Justin Searls がそのための技を教えてくれた。アクセシビリティ設定の Zoom のところで、輝度を最低よりさらに暗くする設定ができる。そのように設定した後、Home ボタンをトリプルクリックすればスクリーンが暗くなる。

コメントリンク: 16001


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Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2015年 10月 27日 火曜日, S. HOSOKAWA