TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1320/09-May-2016

Apple が 13 年ぶりの財政不安に直面したことを受けて、CEO の Tim Cook は CNBC のエネルギー溢れる Jim Cramer とのテレビ・インタビューに出演し、投資家や顧客を安心させようと努めた。Netflix はモバイルデータ上限の苦痛を訴える声に応えて、セルラー接続でのバンド幅使用へのスロットル適用を始めた。Glenn Fleishman が、なぜ Netflix があなたをネットワーク超過料金から救おうとしているのかを説明し、希望すればスロットル適用を無効にできることも解説する。旅行から帰宅したばかりの Adam Engst は素敵な旅行計画ツール Google Flights をレビューする。"Take Control of Apple TV" の著者 Josh Centers は Apple TV App Store のスタート後六ヵ月経っての現状を詳しく調べ、開発者たちとも話をしてどんなアプリがあるのかを探り出す。それから、TidBITS 会員用には Glenn Fleishman が連載中の本 "Take Control of Slack Basics" の Chapter 10 が Slack の統合機能を解説し、内蔵の仮想アシスタント Slackbot も紹介する。今週注目すべきソフトウェアリリースは、iFlicks 2.4、Hazel 4.0.1、Quicken 2016 for Mac 3.3.1、Capto 1.0 だ。

記事:

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Tim Cook、Mad Money で Jim Cramer と対談

  文: Josh Centers: josh@tidbits.com, @jcenters
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

私は決して「Steve Jobs がいた頃にはこんなこと決して起こらなかった」などと言うタイプの人間ではないが、そんな私でさえも、あの元 Apple CEO が CNBC のテレビ番組 Mad Money に出演して Jim Cramer と対談する場面はとうてい想像できない。Jim Cramer といえば、怒鳴り散らしたり、叫び声をあげたり、ブザーを鳴らしたりするので有名な男なのだから。けれども Tim Cook が舵を取る今は、Apple にとって別の時代だ。とりわけ四半期収益が年々低下している(2016 年 4 月 26 日の記事“Apple、Q2 2016 で 13 年ぶりの売上げ減少を記録”参照)のだからなおさらだ。ありがたいことに、今回は大音量の騒ぎは横に置くことにしたようで、対談は穏やかな、知的な、Apple の財務と Apple の未来を語り合う 24 分間のインタビューとなった。

番組の始まりは Apple の財務状態への懸念を和らげようとする試みであった。Cramer はまず聴衆に向かって「Apple のような株式は、売買するためのものでなくて、持っているためのものです」と語りかけた。即座に Cook は Apple の Q2 2016 業績報告への「過剰反応」を重要視していないと述べて、Apple が Q2 に得た 100 億ドルの純利益は他のどの会社より多いと指摘した。

Cook は、Apple の、特に iPhone の収益のつまずきは、三つの原因によると説明した。アップグレード率の低下 (それでも彼によれば過去より高い率だという)、一年前より勢いを失った経済、そして弱くなった為替レートだ。彼はまた、中国におけるスマートフォン市場の成長がなかったことにも触れた。

けれども Cook は明るい知らせもたくさんあると続けて、「ユーザーの忠誠率はかつてなかったほどに高く、それは私たちにとって真に重要なことです」と語った。Cook はまた、これから来る iPhone の革新は必ずや人々にアップグレードしたい気持ちを起こさせるだろうとも述べた。「私たちは、皆さんが今はまだ気付いていないけれども、それ無しには生きて行かれない、そんなものを皆さんにお届けします。まだ iPhone を持つ楽しさを手に入れていない人々が大勢おられます」と彼は言葉を続け、まだまだ成長の余地はあると指摘した。

また、Cook は Services 部門の収益の増加に注目するとともに、勢いを増しつつある中国の中流層が成長分野となるとも述べた。中国政府は最近中国での iBooks Store と iTunes Movies の閉鎖を強制したが(2016 年 4 月 25 日の記事“iBooks Store と iTunes Movies、中国で閉鎖”参照)Cook は両方とも近いうちにオンラインに戻ることに楽観的だ。

反対向きの議論が盛んに交わされているにもかかわらず、Apple Watch について Cook はまだまだ自信を示す。「数年後には、過去を振り返って『いったいなぜこの腕時計を身に着けない気持ちになることができたのだろうか』と皆が思い返すようになります」と彼は述べた。

CNBC は現在、このインタビューの第二部分と最終部分も公開している。インタビューは Cook の柔らかな側面にも触れ、Apple 製品が人々の助けになっていること、Cook の価値観、Cook に着想を与える人について語っている。

Apple は依然としてどんどん金を儲けているというのに、Wall Street はほんのわずかの Apple の業績低下におかしな反応をした。音楽業界のアナリスト Bob Lefsetz は現在あからさまに Cook を首にせよと叫んでいるが、Daring Fireball の John Gruber がこの種の声を「反動的な馬鹿げた話」だと形容しているのは正しい。Lefsetz はずっと以前から Apple の破滅を説く者であったが、Cook の辞任を求める声は今後も聞こえてくるだろう。それでも、馬鹿げた話であることに変わりはない。

Jobs 後の時代の Apple の進む方向について批判的な人々の声はよく聞こえてくるし、その大多数は正当な批判を含んでいる。(ただ、それらの批判の多くは Steve Jobs 時代の Apple に向けられたとしても等しく正当なものとなるのだが。)けれども、Apple を率いるに Tim Cook より優れた人物がいるだろうか? 確かに、彼は営業畑の出身だし、彼は Steve Jobs ではないけれども、Jobs のような先見者が出現するのは稀なことだし、その Jobs でさえ長年にわたる苦痛に満ちた変容をいくつも経なければ、ビジネスの歴史における最も偉大な復活劇の一つの主人公となることはできなかった。

能力に欠ける CEO の多い、さらには不正にまみれた CEO さえ目立つこの分野の中で、Cook を得た Apple は幸運だと言える。過去 5 年間にわたり、彼は CEO としてこの会社を率いて、記録的な収益と純利益を達成してきた。また、Apple は彼の指導力の下で、慈善事業への寄付を増やし、再生可能エネルギーの使用に向けた努力を深め、顧客のプライバシーを保護するために米国政府を屈服させてきた。だから、一つの四半期で収益が前年に比べて減少したからといってそれはしくじりでも何でもない。とりわけそれが、100 億ドルの純利益を伴う減少であるならば。

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Netflix、モバイルアプリに 600 Kbps に設定済みの帯域制限を追加

  文: Glenn Fleishman: glenn@glennf.com, @glennf
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

ストリーミングビデオは、現代の 4G LTE ネットワーク上では知らぬ間に大量のデータを消費することが出来る。4G LTE は殆どの家庭向け DSL スループットに対抗出来るし、それを超えることすらある。Netflix は iOS 及び Android 向けのモバイルアプリに変更を加えセルラーネットワーク上ではストリーミング速度を 600 Kbps に抑えるようにした。勿論、それを変更することは出来る。

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このアップデートは Netflix が AT&T, Verizon, そして他の世界中のセルラーネットワーク上でユーザーに対してこれと同じ速度で帯域制限をかけていたこと、しかもそれを5年以上にわたって行っていたことを March 2016 に認めたこと を受けてのことである。その時、Netflix は帯域制限をかけるのは "顧客がモバイルデータ上限を超えるのを防ぐため" だと言っていた。(Netflix は T-Mobile や Sprint では帯域制限をかけておらず、これらの会社では超過料金を課する代わりに顧客の回線を這いずり回る速度にまで落としてしまう。)

iOS にはセルラーデータを制御するため色々なやり方が提供されていて、どの様な種類の活動が、そしてどのアプリがすらも、モバイルネットワーク上でデータを使えるかを制御させてくれる。これも一つのやり方であるが、きめ細かいことは出来ない:アプリはセルラーを使えるか、使えないかのどちらかしか選べない。

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これらのモバイルデータスイッチの多くを Off の位置に設定している人の中には、iOS 9 の Wi-Fi Assist 機能故に超過料金を請求されて びっくりさせられた人もいる。この機能は、安定しない Wi-Fi を使っているとセルラーへと切り替えたり戻したりする。Wi-Fi Assist が働いている時は、iOS は、たてまえ上は、バックグラウンドアプリ、メール添付、或いはサードパーティストリーミングビデオやオーディオにはデータを使わないことになっている - しかし、iOS が常にその設定を認識しているかどうかははっきりしない。(Wi-Fi Assist は、Settings > Cellular の下に長いリストになることもあるセルラー対応のアプリで不能にすることが出来る。iOS はまた、最後にセルラーデータ使用統計をリセットした後に使用したデータ量もそこに表示する。)

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Netflix の意図は善意である。こうすることで、同社がより大量のデータを皆さんにストリームするにはコストがかかることになるが、それは皆さんが視聴するメディアに対する許諾権料に較べればわずかなものである。Netflix が気にするのは皆さんを顧客として繋ぎ止めることであり、皆さんが超過料金の請求書を見て怒り、これはきっと Netflix アプリのせいに違いないと購読をキャンセルされてしまうことは避けたいのである。しかし、Netflix はこのことをもっと早く開示し、そのアプリで今提供している様な制御を提供すべきであった。

私は Netflix がこの変更に織り込んだデータの単位は理にかなっていると思った。同社はそのブログで、600 Kbps だと皆さんの機器は 3 時間の映画やテレビ番組で 凡そ 1 GB のデータを転送すると言っている。言い換えれば 1 時間見れば 300 MB となる。

Netflix は、このオプションを 4 May 2016 にリリースされた新しいアプリバージョンでデフォルトでオンにしている。このオプションはアプリの中のメニューボタンをタップし、そして下にスワイプし App Settings をタップすることで見つけられる。現在の所 Cellular Data Usage が iOS では App Settings の中に現れる唯一の設定である。

このオプションは帯域制限のないモバイル視聴よりもある程度品質を落とすが、そのうちのどれだけが平均的な iPhone や iPad 視聴者にも分かるであろうか? 答えは簡単ではない。何故ならば、アクション映画は動きや色彩面を強調した場面を目に付きやすくするかもしれないが、それも照明の状態や、機器を目からどれ程離して持ったり立てかけたりしているか、そして皆さんの視力にもよるからである。

キャリアの中には無制限のデータプランを提供している所もあるので、とりわけ T-Mobile、その場合は Set Automatically をタップしてこの設定をオフにし、そして Unlimited を選択する。話は変わるが、T-Mobile は Binge On と呼ばれる独自のデータ最適化方法を提供しており、全てのサービスプラン、無制限プランも含んで、に対してそれをデフォルトで有効化している。T-Mobile はストリーミングビデオを劣化させるが、従量制のプランに入っている人に対してはそれをデータ使用量には算入しない。Netflix の帯域制限と Binge On が相互作用してどの様にビデオ品質に対して影響するかは定かでない。(Binge On は不能化出来る。)

Cellular Data Usage には Set Automatically 及び Unlimited 以外にも4つのオプションがある。Off (Wi-Fi Only) 設定は、アプリがモバイルデータを使用出来ないようにするが、これはそのアプリに対する iOS 設定をどの様に設定しようとも影響を受けない。或いは、Low, Medium, 又は High を選ぶことも出来る。それぞれが Netflix によると 1 GB を 4, 2, 又は 1 時間で (時間当たり 250 MB, 500 MB, そして 1 GB) 消費すると言う。このデータ使用率は、大雑把に言って 500 Kbps, 1 Mbps, そして 2 Mbps に相当する。Netflix のデータ使用率に関するヘルプ記述には、最高品質速度として標準解像度 (SD 又は 480p) に対しては 3 Mbps、そして HD (1080p) に対しては 5 Mbps を挙げている。

December 2015 に、 同社は Variety に そのビデオのエンコードを内容に応じて異なるレベルの圧縮を使う方式に変えようとしていると語った。その方式を使うと "My Little Pony" はおよそ 1.5 Mbps で HD に対応出来、同社オリジナルの "Orange Is the New Black" は 5.8 Mbps から 4.6 Mbps へと品質劣化なしに縮小出来たと言う。つまり、同じスループットならば、より詳細なはっきりしたストリームが得られることを意味する。Netflix を含めたストリーミングサービスは常にこの様な進化を追求しており、新たなビデオエンコーディングアルゴリズムが出ればデータレートは更に下がる可能性がある。

無制限プランにいるのでない限り、Set Automatically のままにしておくことを私はお勧めする。これは Netflix モバイルアプリを使っている限り、これまで通りに働く。従って、その品質が気に入らず、もっと改善したいというのでない限り変更すべき理由はない。それに何週間か、何ヶ月後には、皆さんが何もしなくとも、自動的に改善しているかもしれない。

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"Take Control of Slack Basics" の Chapter 10、入手可に

  文: Josh Centers: josh@tidbits.com, @jcenters
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Slack は素晴らしいメッセージング用プラットフォームであるけれども、これが傑出しているのは、内蔵アシスタントの Slackbot と、Slack が外部のサービスと非常に簡単に統合できるところだ。Slackbot はチームの新しいメンバーを歓迎し、フォローしていないチャンネルにあなたの名前が挙がった際にはそれを通知し、またイベントの日程が近づいた際にあなたに(あるいは他の人たちに)リマインダーを出すこともできる。それから統合機能だが、あなたが聞いたことのあるメジャーなインターネットサービスのほとんどすべてが、何らかの意味で Slack に統合される。例えば Dropbox、Google Calendar、Google Hangouts、IFTTT、Trello、Twitter などが人気ある選択肢だ。統合により、Slack があなたのダッシュボードとなって、外部サービスのすべてが Slack 上にそれぞれの活動を報告するようになるので、すべてを一ヵ所で追跡できるようになる。

もちろん、Slack にはさらにもっと高度な機能もいろいろある。そこで Glenn Fleishman は連載中の本 "Take Control of Slack Basics" の Chapter 10、"Manage Bots and Integrations" で手際よくそれらを解説する。Slackbot とやり取りすることでリマインダーを作成したり、プライベートなメモを書いたり、メッセージを試しに書いてみたり、さらには Slackbot の礼儀正しさのレベルを調整したりもできる。それから話題は統合機能に移り、最も人気あるものいくつかについて概略を紹介するとともに、全般的なインストールの説明も述べる。

統合機能を試してみたくなっただろうか? ならば私たちの SlackBITS グループに参加して(現在 175 名が参加している)自由に実験してみて頂きたい。誰でも統合機能を追加できるようにアクセス権を設定してある。(10 個までという制限に達したためどれかを削除したい場合にはご連絡頂きたい。)簡単な SlackBITS 参加方法の説明が Chapter 1 の "Introducing Slack" にある。

現在の連載形式での "Take Control of Slack Basics" は、最初の二つの章は誰でも読めるけれども、Chapter 3 とそれ以降は TidBITS 会員限定なので、まだ会員になっていない方はどうぞこれを機会に参加して頂きたい! TidBITS 会員になった方には他にも多くの特典がある(例えば私たちの RSS フィードがフルテキストで読めるようになる!)けれども、何より大切なのは TidBITS 会員の力があったからこそ TidBITS を毎週皆さんの受信箱にお届けできているということだ。既に TidBITS 会員になっておられる方は、会員登録の際の電子メールアドレスを使って TidBITS サイトにログインして、これらの章をお読み頂きたい。

完成版の電子ブック "Take Control of Slack Basics" は、完成し次第 PDF、EPUB、Mobipocket (Kindle) の各フォーマットでどなたでも購入して頂ける。管理者向けの "Take Control of Slack Admin" も合わせて出版する予定だ。また、Slack チーム全体を対象に、完成版の電子ブックの値引きまとめ買いができるようにする予定なので、ご希望の方はご連絡頂きたい。

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Google Flights、旅行計画に洗練されたインターフェースを提供

  文: Adam C. Engst: ace@tidbits.com, @adamengst
  訳: 清水 史彦 <qff01604@nifty.com>

ここ何年か、飛行機での旅行を計画する際、私は、いつも iPhone 上の Kayak というアプリから始めることにしている。(iPad でも良いのだが、いつも携帯 しているカメラが最上のカメラであるのと同様に、私にとっては、iPhone が 最高の旅行プランナーなのだ。なぜなら、iPhone は常に私のポケットに入って いるからだ。) Kayak では、どこからどこに行くか (近隣の他の空港を指定 するオプションもある)、旅行の日付、旅行するグループの人数を素早く指定 できる。すると、Kayak は、往きと帰りのフライトをまとめて、値段別に示し てくれる。また、乗り継ぎが多すぎたり、出発や到着が厄介な時刻になるのを 除くため、検索結果にフィルターをかけることもできる。だが、日程変更の 余裕があって、安いフライトを探している場合に、これらのオプションを全て 設定したり、日程をいじくりまわしたりするなら、すぐにイライラする羽目に なる。

それで、私は、Google Flights (2011 年頃からあるが、私は聞いたことが なかったサービス) について述べられているものにたまたま出会ったので、 試しに使ってみた。率直に言って、それは、素晴らしい実演だった。つまり、 Google が明らかに行っているように、本当にビッグデータというものを理解 して、そしてまた、デザイナーたちが、ユーザーのために積極的に動く Web 上のインターフェースに並々ならぬ思いをつぎ込んだ時に、会社ができること に関する素晴らしい実演である。

基本となるインターフェースは、おなじみのものだ。まず、往復か、片道か、 または、複数の都市に行くのかを選び、希望する航空券のクラスを指定し、 航空券が何枚必要か入力する。それから、出発地と目的地の都市を、お好みの 日程に沿って入力することになる。日付を指定する画面の下にはフィルター メニューがあり、乗り継ぎ回数、値段、航空会社、出発および到着時刻の幅、 トータルでどのくらい時間がかかるか、そして、空港間の連絡で、検索結果に フィルターをかけることができる。

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だが、Google Flights は、細かいところまで行き届いていることが、すぐに 明らかになる。例えば、私は New York 州 Ithaca に住んでいるが、Ithaca Tompkins 地方空港よりも、近隣の 3 つの空港を使った方が、しばしば安い。 出発空港を入力するフィールドで + ボタンをクリックすると、役に立つポップ アップメニューが現れ、これら近隣の空港も検索に含めるようにすることが できる。そして、個々の空港ごとに、私の日程に応じた最安値が表示され、 自宅からそれらの空港まで、どのくらい遠いかも示される。こうしたことは、 自宅のあるエリアでは全て分かっているかもしれないが、Google Flights は、 隣接する空港の情報や、目的地までいくらかかるのかについても同様に教えて くれるのだ。こうした情報については、おそらく、みんな、あまり知らない だろう。近隣の空港についてもチェックする旅行プランサービスという点では、 新しいものは何もないが、私がこれまで見た中では、Google Flights ほど上手 に安価なフライトを強調して表示してくれるものはなかった。

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Google Flights は、カレンダー・ビュー (出発と帰りの日付を指定する画面) でも、引き続き、強調表示を行う。航空券の値段は、目的地に何日滞在するか、 また、いつ飛行機に乗るかによって大きく変わるが、ほとんどの旅行プラン サービスは、指定した日付から 1 日か 2 日以内で代替案を示すこと以上のこと はしてくれないし、日程によって値段がどの程度変わるのか、分かりやすく示し てくれるものは滅多にない。

Google Flights のカレンダービューでは、出発日を一度入力したら、考えられ る帰りの日付の下に、最安値が小さな文字で表示される。なかでも最も安いもの は緑で表示される。1 回クリックして出発日を選び、次のクリックで帰りの日を 選ぶが、出発日を早める選択について詳しく調べるためには、そのフィールドに ある左向き矢印をクリックすれば良い。すると、Google は、出発日が変わること によって滞在日数が連鎖的に変わる影響を計算し、フライトの最安値が変わる。

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私にとって、カレンダービューはうまく機能しているが、 Google Flights で は、同じ情報を「変更が利く日程 (Flexible Dates) 」ビューでも見ることが できる。このビューでは、横方向のグリッドで複数の出発日を設定し、縦方向 のグリッドで帰りの候補日を設定する。すると、最安値が緑色で表示される。 どのようにデータを解析するかにもよるが、これは、旅行日程と航空券の値段 の最適な組み合わせについて狙いを定める速くて分かりやすいやり方かもしれ ない。

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Google Flights で、3 番目の、そして最後のデータ関連ビューは、価格グラフ ビューだ。このビューでは、異なる滞在期間と異なる出発日ごとに最安値が 表示される。正直言って、日程の自由度が非常に高い休暇を計画していて、価格 を最適化したいのでなければ、これは、到底役に立つとは思えない。ただし、 考えうる最善の取引をしていることが分かっていないと気が済まない私たち A 型人間は、価格グラフビューを使えば、自分のしていることの正しさを再確認 でき、それは歓迎すべきことだ。

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いったん日程を決めたら、往きと帰りのフライトを決める番だ。もし、急いで いて、考えうる最安値のために日程を最適化していなかったとしたら、最初に 気づくのは、Google Flights は、別の日に出発することによって、著しく安い 料金が手に入る可能性を教えてくれるということだ。

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出発時刻、トータル飛行時間、乗り継ぎ回数、そして到着時刻といった、その 他標準的な変数をすべて決めたら、Google Flights は、時刻と乗り継ぎに 関するきれいな画面を示す。注目すべきは、Google Flights では、実際に乗る ことになる機体について、もっと詳しい役に立つ情報が与えられることだ。 スクリーンショットで分かるように、Ithaca からの短距離フライトでは、Wi-Fi はなく、座席に電源もないが、Detroit から San Francisco への長距離フライ トは、オンデマンド・ビデオに加えて、そのどちらも備わっている。さらには、 足元の広さの平均値まで示されている。

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往きと帰りの両方のフライトを選ぶと、Google Flights は、航空券を予約する オプションを示し (しばしば、個々の航空会社のサイトに行くように要求され る。)、値段が変わった時に見ることができるように旅程を保存し、情報を共有 する。ここには、特に革新的なものは何もないが、きれいでスムーズな Google Flights のインターフェースから、雑然として扱いにくい航空会社のサイトに 移動したら、ショックを受けるかもしれない。おそらく、航空会社は、Google に、自社の基幹システムに対して、何の縛りもないアクセス権を与えることに ついて関心はないだろう。たとえ、それが顧客を勝ち取ることになるかもしれ ないとしても。

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一つ警告がある。この記事が最初に発表された後、数名の TidBITS の読者が、 国際線で Google Flights がどのように動作したかについて、苦情を述べる べく、議論に参加してきた。私は、そうした旅程の経験もないし、それを現実 にテストする機会もないが、もし、あなたが米国内にいなかったり、あるいは、 他の国への旅行を計画中であれば、航空会社のサイトで確認が取れるまでは、 Google Flights が示す価格については、"割り引いて" 考えてほしい。あらゆる 旅行サービスと同様に、Google Flights はただのデータであって、Kayak やら Expedia やら Orbitz やら、あるいはその他、競合するサービスを、あなたが 試すのを妨げるものは何もないのだ。

結局のところ、Google Flights は革命的だとは言えないが、人の心をつかんで 離さない非常に優れたインターフェースを提供しているので、あなたが次回、 旅行の計画を立てる際に、試す価値があると言える。

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半年経った tvOS: アプリはいったいどこにある?

  文: Josh Centers: josh@tidbits.com, @jcenters
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Apple が去年の 9 月に第四世代 Apple TV を発表した際に、私はプレゼンテーションを観ながら(恥ずかしいことに)誰からも聞こえる声で "Whoop!" と叫び、これはすぐに "Take Control of Apple TV" の第二版(今は既に発売中)を書かなけりゃと思った。あのちっぽけなセットトップボックスが、突如として大きな可能性を持つものとなった。それは、Apple が App Store をようやく Apple TV にも追加してくれたお陰だ。(2015 年 9 月 9 日の記事“ついに第四世代 Apple TV が登場間近”参照。)

けれども、今ではもう第四世代 Apple TV がリリースされてから半年近くも経っているというのに、紹介すべきことはまだ大して多くない。確かに、tvOS App Store は 1000 個以上のアプリを素早く加えたけれども、当初のその爆発的増加より後には、ゆっくりとした成長しか見えていない。私は "Best New Apps" セクションを忠実に毎週チェックしているけれども、面白そうな新しいアプリがぽつりぽつりと現われるだけという状態にがっかりするばかりだ。

問題は、アプリが全然ないことではなくて(去年の 12 月には 2600 個以上のアプリがあり、今はそれより多いだろう)人を Apple TV に惹き付ける魅力を与えるようなアプリがないことだ。(2015 年 12 月 11 日の記事“Apple TV App Store 急速に成長... 間違った方向に?”参照。)ケーブルチャンネルでプロバイダがアクティベートするストリーミングアプリを提供しているところはほとんどすべて、tvOS App Store にアプリを出している。けれども人々が本当に欲しがっているアプリ、例えば Amazon Video、Sling TV、Spotify といったものはどこにも見当たらない。

"Take Control of Apple TV, Second Edition" の読者から私のところに届く質問の中でおそらく最も多いのは、どうすれば Amazon Video アプリを入手できるのかというものだ。記事“Amazon Instant Video が Apple TV にやって来る”(2015 年 11 月 30 日) の中で、エンジニア Dan Bostonweeks に対して Amazon は Apple TV 用アプリを開発中だと答えたとお伝えしたが、今になってもそれはまだ表に出ていない。私も Amazon PR に Apple TV 用アプリについて問い合わせてみたが、返事はない。

Amazon が Apple TV に関してどんなことをしているのかを見極めるのはとても難しい。Apple は公式声明の中で Amazon による Apple TV 用の開発は大歓迎だと述べており、Amazon は iOS App Store にはアプリを出しているので、Apple の側にトラブルの元はないと思われる。他方、Amazon は同社のオンラインストアから Apple TV を排除することで Apple に対し強硬な態度に出ようとしている。(2015 年 10 月 2 日の記事“Amazon、Apple TV と Google の Chromecast を販売中止”参照。)また、Amazon は成功を収めた漫画本小売店 ComiXology を買収して、その iOS 用アプリからアプリ内購入を削除したが、それ以後この会社に大したことはしていない。(2014 年 5 月 3 日の記事“ComiXology のアプリ内購入騒動を解説”参照。)

Amazon が何も発表せず、読者たちは答を求めるので、私としては推測するしかない。私が思うに、Apple への 30 パーセントの取り分なしに電子ブックやその他のメディアを Amazon アプリを通じて販売させるのを Apple が拒否しているというのが主たる問題点なのだろう。Tech Insider の Steve KovachAppAdvice の Jeff Byrnes も、同じ結論に達している。賭けてもよいが、Apple TV 用の Amazon Video アプリは既に存在していて、Amazon はそれを Apple との交渉の切り札として使おうと考えているに違いない。

iOS は既に確固としたプラットフォームなので、Amazon としてもそれをサポートする以外に選択肢はない。けれども tvOS のような発達途上のプラットフォームでは、Amazon は既に人気ある Prime Instant Video サービスという強力な交渉ツールを手にしているし、これには同社も多額の投資を注ぎ込んでいる

期待される他のアプリに目を向けて、私は Sling TV の PR グループに連絡を取り、Apple TV 用アプリについて尋ねてみた。けれどもその返答は「私たちはまだ新しいデバイスの発表をしておりませんが、Sling TV 関係のすべてのニュースに通じていたい方には私たちのメディアリストに登録して頂いております」というものでしかなかった。ここでも、Apple の他のデバイス上には既にアプリが存在しているので、Apple TV 用のみ Sling TV アプリがないのは奇妙だ。私は Spotify PR にも連絡を試みたが返事はなかった。Spotify がないのは Sling よりもっと奇妙だ。Spotify は、ストリーミングメディアデバイス上では Netflix と同じくらいどこにでもあるからだ。私が思い付く理由は、Spotify が Apple Music との競合を歓迎しないことくらいだ。

大きな会社が揃って口を閉ざしているので、私は独立の開発者たちに連絡して Apple TV 用の開発について見解を聞いてみようと思った。

電子メールに最初に返事をくれたのは開発者 Matt Braun だった。彼は、登場予定のバージョンの SketchParty TV について話してくれた。彼は Apple TV が App Store を持つよりずっと前から Apple TV 用 SketchParty TV の開発作業をしていたので、彼が状況をどう見ているかに私は大いに興味があった。残念ながら、話は良いことばかりではなかった。SketchParty TV からほとんど利益を得られない四年間を経て、彼は事実上タオルを投げた状態だったが、ある内輪の Apple イベントで SketchParty TV を紹介して欲しいと頼まれてやっと続ける気になったのだと彼は語った。

第四世代 Apple TV がリリースされて以後売り上げは増えたかと私が尋ねると、Braun は「確かに売り上げは増えたけれども、私の場合は例外的だと理解している。ずっと長い間 SketchParty TV ブランドを築いてきたので、小さいけれども成長しつつあるファン層があるからだと思う」と答えてくれた。

私は開発者 Marco Arment にも尋ねて、彼の Overcast ポッドキャストプレイヤー(2014 年 7 月 16 日の記事“Overcast が iPhone ポッドキャスト体験に磨きをかける”参照)を Apple TV 用に移植するつもりはないかと聞いてみた。彼の返事は「そのつもりが全くないとは言わないが、当面それに取り掛かる計画はない。こんな歴史の浅い TV ボックスには、オーディオのみのポッドキャストプレイヤーの需要がまだ少な過ぎる。今のところ、Apple TV 用のものを作って欲しいという要望よりも、Amazon Echo、Sonos、Chromecast Audio などのようなもっとオーディオ中心のシステム向けに作って欲しいという要望がたくさん届いている。もちろん、将来状況が変われば、考えを変えることもあるだろう」というものだった。

当然ながら、オーディオベースのアプリの開発をオーディオベースのシステムに絞るというのは極めて妥当な考え方だと言える。その上、Overcast のユーザーはいつでも AirPlay を使ってオーディオを Apple TV に送ることができるので、Apple TV ネイティブなアプリが必要不可欠だとは言えないだろう。それでも、このプラットフォームを応援したい者にとってはちょっとがっかりさせられる知らせだ。

全体的に見て、新型 Apple TV に対する開発者たちの反応はさまざまだった。匿名希望のある開発者は、Apple TV への移植に時間をかけてもそれに見合う価値はないという意見だった。けれども Galaxy on Fire - Manticore RISING (2015 年 11 月 20 日の私の記事“FunBITS: ゲームコントローラとしての Siri Remote をテスト”参照) の開発者、Deep Silver FISHLABS の Michael Krach は次のように語った:

Manticore RISING は見事に動くし、スタートしつつあるプラットフォームに「初日」から参加した供給元として私たちが受けた注目は貴重なものだった。このアプリは何週間も Apple TV 用有料アプリのトップチャートに残り続けたし、レビュー筆者の多くは新しいハードウェアが秘める大きな可能性を実証するゲームだと評した。その上、Manticore RISING のリリースに際して私たちが受けた注目のお陰で、iPhone や iPad 用の他のタイトルにもプラスの影響があった。Manticore RISING の Apple TV 用リリースの後、それら他のアプリにも App Store で、またメディアでも、注目度が増した。

どうやら Deep Silver FISHLABS にとっては Manticore RISING は大ヒットであったようで、Krach は今後も新たな Apple TV タイトルを出したいという姿勢を見せた。ただ、Manticore RISING が Apple による大々的な宣伝の恩恵を受けたことも忘れてはならない。Apple TV の宣伝用資料の中でも、また App Store 自体の中でも。見逃しようのない取り上げ方であった!

他のところでは、Apple TV 用ゲーミングは苦戦中のようだ。Disney は最近になって Apple TV 版 Disney Infinity のサポートを中止しつつあると発表した。フォーラム投稿の中で、Disney は「現在私たちのチームは従来型のゲーミングプラットフォームに集中しているところです。もちろん評価は常に続け、必要に応じて変更はしていますが、現時点でこのゲームの Apple TV 版へのアップデートを準備する計画はありません」と述べている。$99.95 も出して Apple Store から Disney Infinity 3.0 Edition Starter Pack を購入した者にとっては憂慮すべきニュースだ。今でもまだ販売中だというのに! Apple がこのゲームに関連して Disney Infinity のアクションフィギュアを多数販売していることを考えれば、Disney がアプリを放棄したことは Apple TV チームにとってもショッキングなニュースに違いない。

たとえあなたのお気に入りのアプリの Apple TV 版が登場したとしても、その後ずっとそこにあったとしても、それが働き続ける保証はない。例えば最近リリースされた Starz アプリを見てみるとよい。これは、Starz コンテンツを二つの方法のうちどちらかで視聴できる。協賛ケーブルプロバイダでアクティベートするか、月額料金を払って Starz から直接購読するかだ。Comcast は同社のテレビサービスでこのアクティベートの部分を拒否しており、Comcast 顧客の多くの怒りを買っている。The Verge の Chris Welch は、Comcast が問題にするのはこのアプリがケーブルでのアクティベートと購読サービスとを組み合わせている点だろうと理論立てている。これに対して HBO や Showtime のアプリは二つの機能を別々のアプリに切り分けている。いずれにしても、顧客にとっては迷惑なことこの上ない。

この問題を抱えているのは Starz アプリだけではない。Comcast はケーブルでのアクティベートをする Apple TV 用アプリの多くをサポートしていない。特に注目すべきは AMC と Viacom のアプリだ。Viacom のアプリには Comedy Central、MTV、VH1 などがある。けれどもこれは Apple TV に限った問題でもない。私は HBO GO を Apple TV でアクティベートできるけれども、Fire TV や PlayStation 4 ではできない。

霧に覆われたるテレビの未来 -- 第四世代 Apple TV の発表に際して、Tim Cook はアプリこそがテレビの未来だと宣言した。それは全くもって良識ある見解と言うべきだが、ご覧の通りに、iPhone においては存在していなかった政治的な問題が、Cook の予言した未来を妨げている。

では、Apple TV を押し止めている要因には何があるだろうか? いくつか挙げてみよう。

つまりそれは、小魚のようなあなたならばの話だ。もしもあなたが大手の開発者ならば、Apple が自分のコアビジネスに競合してくるのではないかと心配しなければならない! Apple が Apple Music を掲げて Spotify を廃業への道に押し出そうとしているのならば、いったいなぜ Spotify としてはアプリを作って新型 Apple TV の後押しをしなければならないのか? もしもあなたがコンテンツのプロバイダならば、もうすぐ Apple が自分と競争してくると分かっているというのに、いったいなぜ Apple TV をサポートしなければならないのか? もしもあなたがケーブルテレビの会社ならば、あなたが 1980 年代以来提供している古いケーブルボックスに取って代わろうとする Apple を、いったいなぜ助けなければならないのか? (ただ、FCC があなたに選択の余地を与えないことはあり得る、)

思うに、第四世代 Apple TV はかの恐ろしい「鶏が先か、卵が先か」の領域に入ってしまったのではないか。リビングルームの機器、とりわけビデオゲームのコンソールで、私はこのことを数限りなく見てきた。ソフトウェアはハードウェアを動かし、もしもアプリがなければ、人々は機器を購入しない。そしてハードウェアの売れ行きが芳しくなければ、開発者たちはそのプラットフォームのためにソフトウェアを作ろうとしない。これはたちの悪い循環だが、かすかな救いは Apple ならばたいていの会社よりも良い体勢が整っていて悪循環を断ち切れるかもしれないという望みだ。

開発者、開発者、開発者! -- 元 Microsoft CEO の Steve Ballmer が「開発者、開発者、開発者」と繰り返し唱えたのを見て、テクノロジーのコミュニティーは大笑いしたものだった。けれども彼は正しかった! プラットフォームというものは、もしも開発者たちがそのために興味深いアプリを作ってくれないならば何の役にも立たない。残念ながら、彼がその問題に気付いた頃には、既に Apple の方が開発者たちを呼び込める魅力を備えていた。

けれども Apple は開発者たちのありがたさを忘れ、曖昧かつ厄介なルールで彼らを不当に扱い、彼らの仕事の価値を低く見積もり、製品のラインアップを複雑化し、さらには彼らのアイデアを着服するにまで至った。

多くの人たちは現在の Apple の地位が iPhone に端を発したものだと言うが、私はむしろ今や有名になったスローガン、iPhone 3G と共に世に出た "There's an app for that" という言葉に注意を向けたい。もちろん、根っからの Apple ファンの中には革新的なタッチスクリーンなどのテクノロジーの故に iPhone を欲しいと思った人たちもいるだろう。けれども大衆が iPhone を大枚を投じて購入しデータプランを契約する気持ちになったのは、App Store の中にあるアプリの宇宙の故であった。究極的には、サードパーティの開発者たちこそが、プラットフォームの運命を左右する力となるのだ。

私はさらに話を進めて、Apple の現在の苦悩の多くは自信喪失し意気消沈した開発者たちから始まったことだと論じたい。かつては有望に見えた Mac App Store が今や荒廃した場所となっているのは、Apple の高圧的な要求、例えばサンドボックス化要求などが原因だ。人気あるアプリの多くで、サンドボックス化は実行不可能だからだ。もしも Apple Watch が実際失敗に終わるのなら、その理由はこのプラットフォームの売りとなるような興味深いアプリがほとんどないからだ。もしも人々が iPhone や iPad に飽きてきているとすれば、それはかつては尽きぬ泉のごとくに現われていた胸踊らせる新しいアプリが今ではほんのぽつりぽつりとしか登場しなくなったからだ。

そこでもう一度 Apple TV に目を向けてみよう。もしも開発者たちがこぞって素晴らしいアプリを Apple TV 用に出していたなら、価格がどうであろうと、リモコンが奇妙であろうと、大会社が協力的であろうとなかろうと、Apple TV は売れたに違いない。そして、ある時点以降は、大会社としても Apple TV をサポートせざるを得ない立場に追い込まれたことだろう。けれども、スタート当時には有望だと思われていたアプリ(2015 年 11 月 9 日の記事“Apple TV の可能性を垣間見せるアプリ”参照)でさえ、まだ改善が見えてこない。いったいなぜ Zillow も Airbnb も、地図の位置のまわりをパンして見せる機能 (tvOS 9.2 で導入されたもの) に対応しないのか? いったいなぜ Fidelity アプリはまだウィジェットのカスタマイズができないのか? これらのアプリは、死にかけているとでも言うのか?

Apple の売上げが久しぶりに前年より減少したというニュース(2016 年 4 月 26 日の記事“Apple、Q2 2016 で 13 年ぶりの売上げ減少を記録”参照)が伝わって、同社に助言を述べる評論家たちの言葉が絶え間なく飛び交っている。けれども、自動車を作れとか、もっと安価な iPhone を出せとか、株主にもっと還元せよとかいう話は横に置いて、私は単純な助言を一つだけしたいと思う。それは、今年の Worldwide Developer Conference で App Store ポリシーの変更を発表することによって、開発者コミュニティーを再び活性化せよという提案だ。もしも開発者たちが Apple を頑固な門番と見るのを止めて、自分たちのビジネスの目標達成を手助けしてくれるパートナーと見るようになれば、Apple の全プラットフォームで、Apple TV の上でも、豊かなアプリの世界が花開く時が来るかもしれない。そして、もしそれが実現すれば、結果として Apple の顧客たちにも、再びワクワクする気持ちが戻ってくることだろう。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2016 年 5 月 9 日

  文: TidBITS Staff: editors@tidbits.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

iFlicks 2.4 -- Jendrik Bertram が iFlicks 2.4 をリリースした。このビデオエンコーディングおよびメタデータ管理アプリへの、メジャーなアップデートだ。(2013 年 1 月 10 日の記事“iFlicks、iTunes インポートを改善”参照。)映画とテレビ番組のメタデータにアクセスできるようになったほか、今回の新リリースでは章タイトルと字幕を取り込めるようになり、またタイトル用に章の画像を作成してそれを直接ビデオファイルに埋め込めるようになった。iFlicks 2.4 はまた、ルールを改善し(個別のタグにカスタムテキスト置換を施せるようになり、新たな述語やアクションも追加された)壊れたビデオファイルに対する処理を改善している。(Mac App Store から新規購入 $18.99、無料アップデート、15 MB、リリースノート、10.10+)

iFlicks 2.4 へのコメントリンク:

Hazel 4.0.1 -- Noodlesoft が Hazel 4.0 をリリースした。このファイルクリーンアップユーティリティへのメジャーな新リリースで、ルールの作成と管理を手軽にできるようにするためのいくつかの機能を追加している。今回の新バージョンでは、ライブのルールプレビューを追加して編集中にファイルを選んでそれがルールの条件にマッチするかどうかを調べられるようにし、ルールを特定のファイルに同期させる機能を追加し、スマートフォルダを監視してその内容にルールを適用できるようにし、ルールの名前・メモ・フィールドのいずれでもテキストを検索できるようにしている。今回のアップデートではまた、通知オプションを歯車プルダウンから Info セクションに移し、フォルダ間で移動されたルールを無効化し(移動先にあるチェックボックスをクリックして再有効化できるようにし)"is among the..." を使うルールに関するバグを修正し、テキスト置換が数値アトリビュートにも働くようにしている。

デビューしたその次の日に、Noodlesoft はバージョン 4.0.1 をリリースして二件のバグ修正を施した。Hazel のシステム要件が OS X 10.10 Yosemite 以上となり、シングルライセンスが $32 (同一家族内の最大 5 名までのファミリーパックが $49) となった。旧バージョンの Hazel のいずれかを購入した人は $10 でアップグレードできる。(新規購入 $32、アップグレード $10、無料アップデート、7.6 MB、リリースノート、10.10+)

Hazel 4.0.1 へのコメントリンク:

Quicken 2016 for Mac 3.3.1 -- Intuit が Quicken 2016 for Mac 3.3.1 をリリースして、この個人用財務管理ソフトウェアに二つの新機能を加えた。(2016 年 2 月 29 日の記事“あなたの好みの Mac 個人財務アプリ”参照。)今回のアップデートでは、新たに 12ヵ月予算(一回限り、定期的、月ごとの出費で予算をカスタマイズ可能)を追加し、ポートフォリオ・タイムマシン機能を新設して過去の特定の時点におけるポートフォリオや個々の債券の価値の履歴を見られるようにしている。今回のリリースではまた、請求書リマインダーの設定と Online Bill Pay 取引の作成ができるようにし、カレンダーピッカーに today ボタンを追加し、銀行から情報をダウンロードした後に手動で入力した取引の中から誤ったものを選んでいた自動マッチングの問題点を修正し、数多くのクラッシュを是正している。(新規購入 $74.99、無料アップデート、リリースノート、10.10+)

Quicken 2016 for Mac 3.3.1 へのコメントリンク:

Capto 1.0 -- Global Delight が Capto 1.0 をリリースした。同社の従来の Voila アプリ(2015 年 11 月 8 日の記事“Voila 3.9.2”参照)に代わる、新しいスクリーンキャプチャ用ユーティリティだ。一から作り直されたこの新しい Capto アプリは、スクリーン録画とスクリーンショットキャプチャとをビデオおよびグラフィックス双方のファイルに対するパワフルな編集ツールと組み合わせることで、教育用のビデオや画像を作成したり、それに対するフィードバックを送ったり、教材を開発したりするための理想的な環境を提供する。

Capto は全画面または選択した一部分、ウェブページ全体、あるいは Mac の FaceTime カメラからのビデオ画像をキャプチャまたは録画できる。iOS デバイスのスクリーンを録画することもできる。ビデオをトリミングしたりクロップしたり、他のクリップと組み合わせたりもでき、その後でテキストやコールアウト、矢印などで注釈付けできる。スクリーンショットを Capto 内蔵の画像エディタで編集でき、テキストやグラフィックスを追加したり、画像をクロップしたりぼやかしたり、その他の作業ができる。スクリーンショットやビデオは直接 YouTube や Facebook その他のソーシャルネットワークに共有でき、ファイルを Dropbox、Google Drive、Evernote にアップロードすることもできる。また、ファイルを FTP/SFTP サーバにアップロードする機能もある。

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Capto の価格は 2 台までの Mac にインストールできるシングルユーザライセンスで $29.99、無料の試用版もダウンロードできる。また最大 5 つのユーザアカウントで使えるファミリーパックが $74.99 で、学生や教師には $19.99 (1 台の Mac にのみインストール可) となる。Voila のライセンスを 2015 年 10 月 1 日かそれ以降に購入した人は、Capto を無料で入手できる。2015 年 10 月 1 日以前に (Global Delight または Mac App Store から) Voila または Boom 2 (2016 年 1 月 15 日の記事“Boom 2 v1.4”参照) を購入した人は、Global Delight からの直接購入に限り Capto が 50 パーセント割引となる。Voila は、2017 年 9 月まで技術サポートが受けられる。(Global Deligh から新規購入 $29.99、TidBITS 会員には 25 パーセント割引、Mac App Store からの新規購入も $29.99、20.7 MB、リリースノート、10.10.5+)

Capto 1.0 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2016 年 5 月 9 日

  文: TidBITS Staff: editors@tidbits.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の ExtraBITS では、有名どころのポッドキャスターたちの変更を求める声に直面した Apple がポッドキャストに関して岐路に立っていることを認識する一方で、開発者でありポッドキャスターでもある Marco Arment が同僚たちに向けて何を望むかの発言には注意が必要だと警告する。他のニュースとしては、衛星テレビのプロバイダ Dish が負傷した iPhone に往診を提供する。

Apple、ポッドキャストで岐路に立つ -- Apple が公式に iTunes のポッドキャスト対応を開始してから 10 年以上が経ち、今やポッドキャストの人気は急上昇中だ。けれどもそんなこの時代においても、Apple は人気ある iTunes のポッドキャストディレクトリにほとんど何も手を加えておらず、その点に懸念を感じているポッドキャスターたちも多い。New York Times の記事によれば、寄せられる苦情の中には、ポッドキャストの宣伝担当の Apple 従業員が一人しかおらずその人を捕まえなければ何もできないこと、リスナーに関するデータがほとんど入手できないこと、ソーシャルメディアにポッドキャストのエピソードを共有することの難しさなどがあるという。Google と Spotify がそれぞれの音楽購読サービスにポッドキャストを追加して、ポッドキャスター向けの特典を付けているのを見れば、Apple としても何か変更を加えることを考慮中なのかもしれない。この 4 月に Cupertino で開催された主要なポッドキャスターたちとのミーティングで語られたことに基づく変更もあるだろう。

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Marco Arment からポッドキャスターへ: 何を望むかに気をつけろ -- ポッドキャスト用クライアントの開発者でありポッドキャスターでもある Marco Arment が、Apple がポッドキャスト対応に熱心でないと指摘した New York Times 記事への反論を発表して、ポッドキャスターたちに対して何を望むかの発言には注意が必要だと警告した。Arment は New York Times の記事を「重要なことに無知」だとして、そこに書かれた提言の多くがポッドキャストという媒体に害を及ぼすものになりかねないと戒める。彼が警告するのは、大手のポッドキャスターにリスナーのデータを提供するならばポッドキャスティングをウェブと同程度に侵害的で迷惑なものと化してしまう可能性があることで、番組や収益について Apple により大きな力を与えることも否定的結果を招くだろうと彼は言う。「それはさらなるルール、制約、遅延、高額な手数料を伴うのみでなく、ポッドキャストにおける Apple の優位を増し、多様性を排除し、かつてないほどの制御の力を Apple に与え、ウェブ上に残された数少ないオープンなメディア・エコシステムの一つを破壊してしまう可能性を生むことになる」と彼は述べる。

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Dish、iPhone の往診を提供 -- 衛星テレビのプロバイダ Dish が興味深い新サービスを始めた。オンサイトの iPhone スクリーンおよびバッテリー修理サービスだ。サービス料金は高く、$74.99 から $184.99 までだ。Apple が通常課す料金よりも高い。けれども近所に Apple Store も Apple Authorized Service Provider もない人にとっては、価値あるものとなるかもしれない。料金のうち $35 は "Drive to Me" 料金となっており、一回の注文で複数個のデバイスの修理を依頼する場合 Dish は 2 個目以降に対しては $35 を請求しない。Dish が修理したデバイスは Apple の元の保証の対象外となるが、Dish は修理後 60 日間の保証を付ける。

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日本語版最終更新: 2016年 5月 13日 金曜日 , S. HOSOKAWA