TidBITS: Apple News for the Rest of Us  TidBITS#1269/20-Apr-2015

TidBITS が出版 25 周年を祝い、Adam Engst がその歴史の中の重要な変曲点のいくつかを考察する。Sharon Zardetto の "Take Control of Numbers" が出版されたことも喜ばしい。これは 330 ページから成る本だが、Apple のこの無料のスプレッドシートアプリについて知っているべきことすべてをカバーしている。ネット中立性に関する争いが再燃したので、Geoff Duncan が寄稿記事として、誰が、何を根拠に FCC に対する訴訟を起こしたのかを解説する。Apple Watch はまだ入手できないけれども、いくつかの Apple Store の店頭で試着できる。Julio Ojeda-Zapata が四つの Apple Store を訪れ、その体験を詳しく語る。それからまた今週号では、Josh Centers がまたもう一つ「スパイ活動の情報に遅れずついて行こう」記事を書き、Joe Kissell が iCloud Photo Library についての疑問に答える広範な FAQ を書き上げた。今週注目すべきソフトウェアリリースは、OS X Server 4.1、Nisus Writer Pro 2.1.1、OmniOutliner 4.2、Tinderbox 6.2、LaunchBar 6.3、Final Cut Pro X 10.2、Compressor 4.2、Motion 5.2、それに OS X Yosemite 10.10.3 Supplemental Update 1.0 だ。

記事:

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TidBITS がインターネット出版四半世紀の節目に到達

  文: Adam C. Engst: ace@tidbits.com, @adamengst
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

TidBITS はもともと、Tonya のアイデアだった。それは、1990 年の 4 月のことだ。私は Ithaca で Mac コンサルタントの仕事をしており、当時 Tonya は Cornell Information Technologies にいて、Cornell 大学コミュニティーの人たちが Mac や PC、NeXT マシン、あるいは幅広い種類の周辺機器を評価・購入する手助けをしていた。彼女の同僚の何人かはかなり長い間そこで仕事をしていた人たちで、WYG を WYSIWYG で提供する安価なプリンタとか、パワーとグラフィックスの並外れた混合を実現した NeXT コンピュータとかいった、当時の最新のテクノロジー革新にはあまり関心がないように見えた。

そこで Tonya は、テクノロジーの世界で最近何が起こっているかをまとめた週刊のニュースレターを同僚たちのために書こうと思い付いた。私たちは、その種の情報を MacWEEK、MacUser、Macworld、さらには PC WEEK と InfoWorld など(彼らすべてが安らかに憩わんことを)の印刷された雑誌を読んで知っていた。彼女にはまた、Aldus PageMaker を使ったデスクトップ出版に馴染み続けていたいという動機もあった。私はそのアイデアを大いに気に入り、諸手を挙げてそこに飛び込んだ。記事を書いて手助けしようと申し出たばかりでなく、まだ発生期にあったインターネットに HyperCard スタックという形で配布して、より多くの人たちに読んでもらおうと提案した。印刷版の TidBITS が続いたのはたった数週間だけだったが、電子版はオンラインで好評を博した。

その後のことは、諺にもあるように、周知の通りだ。そう、厳密に 25 年間続いたわけだ。つまり、私たちの成人期のすべてだ。TidBITS の週刊号は今週で 1,269 号となり、14,000 以上の記事が出版され、素晴らしい 300 人以上の執筆者と、そして数百万人もの読者が集まった。読者の大多数は気軽にウェブをブラウズする人たちだが、21,000 人もの人たちが今も毎週 TidBITS を電子メールで受け取っており、それとは別に 16,000 人が RSS フィードを受けている。

今日に至るまで、私は今週号の TidBITS が単に私たちの 25 周年を記念するものとなるだけでなく、最も長く続いたインターネット出版の称号を私たちに与えるものになると思っていた。その称号はこれまで The Irish Emigrant が持っていた。The Irish Emigrant は 1987 年 2 月に電子メールのニュースレターとしてスタートし、その後広告に支えられたウェブサイトに進化した。出版者の Liam および Pauline Ferrie 夫妻は 2012 年 2 月に彼らの 25 周年記念日をもって引退したので、私たちにその称号が引き継がれるはずだった。(この件について詳しくは 2013 年 4 月 19 日の記事“TidBITS の 23 年間: 私たちの過去・現在・未来を思う”を参照。)

ああ何たることか、この記事の準備のために調べていて、私は Wikipedia の BITNET ページが eAIR について書いている個所に気付いた。Association for Institutional Research が出している月刊ニュースレターで、1987 年 10 月に始まり、今もまだしっかり続いているという。つまり TidBITS より二年半も古くからあるということだ。(ただし編集者は年月を経て何人かが引き継いでいる。)というわけで、どうやら私たちは二番目に古くから続いているインターネット出版ということになるようだ。簡単に手に入れたものは、簡単に失われる。

TidBITS のいくつもの記念日に、私はたくさんの記事を書いてきた。TidBITS と Apple エコシステムとの歴史に興味がある方は、どうぞ TidBITS History 記事シリーズをお読み頂きない。(ヒント: 英語版ウェブサイトでは一番上にある "Show full text of all articles" リンクを単純にクリックするだけでその場に全部の記事が開くので、スクロールするだけで読める。)

(日本語)TidBITS 6.0 | TidBITS 7.0 | あなたにふさわしいバッジをつけて | TidBITS Talk 登場 | TidBITS 創刊 9 周年を達成 | TidBITS 10 年の教訓 | TidBITS、11 年を経て | TidBITS が満12歳に | TidBITS も 13 歳: 目標を持とう | TidBITS 14 周年を記念して Take Control 50% 割引セール | TidBITS の誕生日: Macintosh の 15 年間を振り返って | TidBITS 16 周年記念休暇 | TidBITS が 17 歳に | TidBITS の 18 年間を振り返る | TidBITS の 19 年間を振り返って思ったこと | TidBITS がインターネット出版 20 周年を祝う | TidBITS スタッフがそれぞれのスタート時を回顧 | TidBITS の友人たちから寄せられた 20 年分の思い出 | TidBITS が 22 歳に: あなたは TidBITS 会員ですか? | TidBITS の 23 年間: 私たちの過去・現在・未来を思う | TidBITS は 24 年を経てますます逞しく

今年は変曲点について書いてみたい。つまり、私たちのその後の進む道を決定付けた、何らかの事件、決断、あるいは偶然の出来事についてだ。変曲点は、何が 起こり得たか と何が 起こったか の分かれ目であって、ある意味すべてが予想通りに進む日常の仕事に比べれば格段に興味深い。皆さんがご存じの(願わくは気に入っていてもらえると嬉しいが)今日ある TidBITS を生み出した、いくつかの変曲点を以下に紹介してみたい。そのいくつかは皆さんが既にご存じかもしれないし、ひょっとするとご自身がそこに足を踏み入れたことのあるものかもしれないが、いくつかはこれまで TidBITS で一度も語ったことのないもののはずだ。

インターネットを発見する、1986 年 - 1987 年 -- 私たちが TidBITS のアイデアを思い付くより以前、私たち二人がまだ Cornell 大学の学生だった頃に、二つの重要な変曲点があった。学生は全員、Cornell の IBM メインフレーム機 CORNELLA にアカウントを持つことができたが、ほとんどの学生はサインアップしなかった。私はサインアップしていたが、1986 年の秋に、Uris Hall のターミナル室に並んだ VT100 の一つの前に私がある友人と座っていると、隣のターミナルの前にいた男がログアウトせずに立ち去った。友人と私は誘惑に勝てず、彼のアカウントの中をあちこち覗いて、BITNET に関する情報を見つけた。これは蓄積交換の大学ネットワークで、インターネット出版とはどんなものかに私が少しでも目を開かれたのはこれが最初の機会であった。その年の夏、私は Usenet を知った。これは世界規模のインターネット討論システムであった。卒業研究のテーマにハイパーテキスト小説を選んでいたので、早速私は rec.arts.int-fiction ニュースグループを作成した。それから私はインターネットに夢中になり、世界中の膨大な数の人々とコミュニケーションできるという考えに魅せられた。ある意味、それは TidBITS の真の起源であった。

シアトルで Halcyon/Northwest Nexus に接続、1991 年 -- 次に TidBITS が直面した難問は、1991 年に私たち二人が Seattle に引っ越したことだった。Tonya は Microsoft のために Word をサポートする職を得た。私はもはやコンサルタントの仕事をしていなかったので TidBITS に集中することができたが、私はどうしてもインターネット接続を必要とした。けれども当時は、注文するだけで誰でも気軽にインターネット接続が得られるような時代ではなかった。数週間経たないうちに、私は Ralph Sims と知り合った。彼は Halcyon という名前の UUCP マシンを運営していて、電子メールと Usenet ニュースを私にフィードしてくれた。当時インターネット接続はそうやって得ていた。つまり、個人の厚意で手渡してもらうしかなかった。私にとっては本当に救いの手であったし、数年後に私はその恩を返した。Ralph の会社が合併してできた Northwest Nexus の Ed Morin と一緒に仕事をした際に、私は世界初の定額制グラフィカルインターネットアカウントを作成し、私の本 "Internet Starter Kit for Macintosh" にそれを含めたのだった。(それ以前には消費者レベルのインターネットアクセスはすべて分単位で課金されていた!)当時これは他のどの方法よりもずっと安価で、Northwest Nexus は日本にいる顧客から問い合わせの電話を受けたくらいだった。

初めてのインターネット広告、1992 年 -- TidBITS の最初の数年間は、純粋に好きでしている仕事であった。最初のうちはそれも良かったけれど、それがますます私の時間を食い尽くすようになるにつれて、何らかの収入を稼ぐ必要があることが明白になった。そこで Tonya と私は PBS 流のスポンサー契約による広告というアイデア(1992 年 7 月 20 日の記事“TidBITS Sponsorship Program”参照)を思い付いた。当時のインターネット基幹回線の大部分を占めていた NSFNET の Acceptable Use Policies を記した National Science Foundation の文書によれば、その種の広告はそれまでインターネットでは未知のものであった。けれども 1991 年に至ってインターネットの商業利用に関する制約が崩れ始め、そこで私たちは、たとえこれが何らかのルールを破っていたとしてもおそらく単にちょっと叱られて止めるよう言われるだけだろうと期待して、広告を敢行することにした。(おお、若者の楽観主義よ!)それはまだウェブの存在しない時代であったので、TidBITS での広告は電子メール駆動のファイルサーバに支えられたもので、宣伝された製品について詳しい情報が知りたければ読者が自分でメールを書いて尋ねるというものであった。今日の標準に比べれば驚くほど原始的だったが、それは確かに道筋を示すとともに、私が TidBITS を自分の仕事とするのを可能にしてくれた。記録のために言っておくと、私はうっかりとあの“one weird trick”広告を出してしまったことを心からお詫びしたい。でも、その一方で、Google はウェブ広告から大金を稼いでも一度として感謝の言葉を述べていないとも指摘しておきたい。

Internet Starter Kit for Macintosh、1993 年 -- ああ、私の人生を変えた、そして膨大な人数の他の Mac ユーザーたちの人生も変えた、あの大きな黄色い本だ。私が Hayden Books からこの本を書く機会を得たのは純粋に私の TidBITS での仕事の結果であり、またこの本がもの凄い人気を得るようになって、四回の Mac 版、いくつもの Windows 版、それにさまざまな言語への翻訳版を合わせて数十万冊も売り上げた結果として、TidBITS の購読者数も劇的に伸びた。今日に至るまで、TidBITS 購読者のうちで 1994 年か 1995 年に購読を始めた人たちの割合はまだかなり大きい。この本の第三版が今もまだオンライン購入できることをご存じだろうか? 今やこれは大いなる過去の思い出だ。

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友人たちからの援助 -- 1994 年に至り、私は "Internet Starter Kit for Macintosh" を最新にしておくための仕事量の多さに、また世界中の人たちから届く質問や援助要請の電子メールに応対する作業に、あっぷあっぷするようになっていた。(電子メールは一度に一つずつしか応対できない。カリフォルニアの ISP Netcom の顧客が電子メールを使えるように援助するため、当時の私は Netcom 社のサポート担当者よりも多くの知識を持っていたと思う。)幸いにも極めて有能な何人かの友人たちが手伝ってくれたお陰で TidBITS をその後長年にわたって続けることができた私たちは、本当に素晴らしい幸運に恵まれていた。まずは Mark Anbinder が、私たちが 1991 年にシアトルに引っ越した最初の一ヵ月間 TidBITS の出版を引き受けてくれた。Geoff Duncan は 1994 年以後重要な役割を果たしてくれたし、Jeff Carlson は 1997 年に仲間に加わった。また Glenn Fleishman は一読者から特派員となり、1996 年には私たちのサーバのホスティングを引き受け、2007 には TidBITS Publishing System の開発を担当してくれた。私たちは今もこの出版システムを使っている。(それぞれの物語について詳しくは 2015 年 4 月 19 日の記事“TidBITS スタッフがそれぞれのスタート時を回顧”を参照。)それぞれの人たちが、おそらく本人も知らなかったような形で変化をもたらしてくれた。

ドット・コムのバブルを傍観する -- 1990 年代の末ごろ、ドット・コムのバブルが膨れ上がりつつあった時代にも、私たちは楽しく TidBITS を出版したり本を書いたりしていた。すべてが面白かった。Tonya と私はしょっちゅう夜遅くまで話し込んで、TidBITS の到達範囲をもっと広げるためにベンチャーキャピタルを探しスタッフを雇うべきかと議論した。その当時私たちはもっとお金を稼ぐ必要に迫られておらず、読者の数も十分多かったので、その気になれば知り合いのベンチャーキャピタルを起用することも考えられないことではなかった。けれども外部の資本を受け入れるのは私たちの流儀ではなかったし、私たちはそのビジネスモデルを非常に疑わしく思っていたのでその方向には踏み出さなかった。実際、バブルが過ぎた後でそのビジネスモデルは正気の沙汰でなかったことが証明された。これは、何も起こらなかった変曲点の一つだが、今から考えればもし何かが起こっていたならうまく行ったとは思えない。

未来を Take Control、2003 年 -- 2003 年に至るまでに、ドット・コムのバブルはもうはじけていたし、私たちは楽々とそれを乗り切っていた。私たちの息子 Tristan は 1999 年に生まれ、2001 年に私たちは生まれ故郷のニューヨーク州 Ithaca に引っ越して戻った。私は TidBITS で忙しかったが、Tonya は記事を書いたり時折 Peachpit など出版社の本の編集仕事をしたりする以上のもっと大きな仕事を求めていた。そこで私たちは、インターネット上の執筆や編集と、MacUser や Macworld などの雑誌その他さまざまの書籍出版社での仕事の経験を組み合わせて、Take Control 電子ブックシリーズを生み出した。自分の手で書く代わりに Joe Kissell や Glenn Fleishman など友人たちに執筆を依頼し、収入は 50:50 で分け、電子ブックの形のみで出版することにした。(2003 年 10 月 20 日の記事“Take Control してみようよ!”参照。)Take Control 本は、想像もできなかった風に私たちをとことん働かせることとなったが、それでも私たちはこうして作り出してきたコンテンツと、私たちが援助してきた何万人もの読者たちをこの上なく誇りに思っている。TidBITS の読者たちがいなければ Take Control は実現できなかっただろうけれども、今や形勢は逆転して Take Control のメーリングリストの方が TidBITS のものより 50 パーセントも大きくなり、Take Control の方が収入の大きな部分を占めるようになっている。

TidBITS 会員が救いの手を、2011 年 -- 2010 年代に入って Take Control の力で TidBITS は何とか踏みとどまっていたが、状況は芳しくなかった。私は実際お金になる Take Control プロジェクトの仕事と、実際お金にならない TidBITS 記事の仕事の間で板挟みになっていた。スポンサーからの収入は毎年のように細り続けていた。Glenn がバックエンドの開発を支えてくれたので、私たちは TidBITS を純粋に広告にのみ支えられたものから、TidBITS 会員プログラムを通じて読者たちからの自発的な寄付によって主として支えられるものへと転化させることができた。(2011 年 12 月 12 日の記事“TidBITS 会員になって TidBITS をサポートしよう”参照。)こうして得た資金のお陰で Josh Centers を編集主幹として雇い入れ、寄稿編集者やフリーランスのライターたちにもお金を払って記事を書いてもらえるようになった。TidBITS 会員プログラムは見事に成功を収め、2,900 人近くの人たちが TidBITS を毎週出版できるようにと進んでお金を出して下さったが、それでもその人数はまだ電子メール購読者数の 15 パーセントにも達していないし、RSS やウェブで記事を読んでいる何万人もの人たちのごく一部に過ぎない。長年続けてきた私たちの仕事を価値あるものと思って下さるなら、あるいは私たちスタッフの誰かが個人的にあなたの問題解決のために役立ったなら、どうかあなたも $20 だけ出して TidBITS を続けるための力添えをして下さらないだろうか?

さて次に来るものは? -- これは、私たちへというより、皆さんへの質問と言うべきだろう。今から四半世紀前には、私たちもこれほど長く続けてこられようとは思いもしなかった。それでも、これら多くの変曲点が、私たちを最も楽な道へと導いてくれた。私たちは自分たちのしていることが大好きだし、その過程で会うことのできた人たちも大好きだ。現在の私たちの課題は、自分たちがしていることをフレッシュな気持ちでし続けることだ。皆さんのためにも、私たち自身のためにも。繰り返しが多くなり過ぎればどんなものでも色褪せる。TidBITS を 25 年間続け、Take Control をその半分近くの期間続けて、私たちはたくさんのことを何度も何度も繰り返した。テクノロジーを解説することで人々の力になろうという私たちの目標に忠実でありつつ、そこにいろいろのものを織り交ぜるため、私たちはいくつかアイデアを練っているけれども、もし何か提案をお持ちならば、あるいは私たちにこんなことをして欲しいという希望をお持ちならば、どうぞ遠慮なくお便り下さればと思う。

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数字 (Numbers) がマジになる時、"Take Control of Numbers" を読もう

  文: Tonya Engst: tonya@tidbits.com, @tonyaengst
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

Paul Simon の有名な歌に「数字がマジになる時、そこいらに形となって現われる (When numbers get serious, you see their shape everywhere)」というのがある。Apple の Numbers アプリは、Microsoft Excel のちゃんとした競争相手となろうとマジになり、今や Mac ユーザーはどこでもそれを見ることができるようになった。すべての Mac が Numbers アプリを搭載して出荷されるからだ。でも、Numbers のパワーを存分に引き出すのはいつも簡単とは限らない。とりわけ、長年スプレッドシートを使って来た人にとってはそれが問題だ。そこで、ここに私たちが出版した中でも最も重要な本の一つ、Sharon Zardetto の "Take Control of Numbers" をお届けできてとても嬉しい。この本には Mac の上であなたのデータを手軽に入力し、計算し、並べ替え、フィルター分けし、フォーマットし、チャートにするやり方が書かれている。この本が扱うのは OS X 10.10 Yosemite での Numbers 3.5 だ。

330 ページもあるので、この "Take Control of Numbers" は大きい。これよりもっと大きくならないように、私は Sharon を説得しなければならなかったほどだ。Numbers はそれほどに深い。それでもこの本は力作だ。注意深く注釈が付けられたスクリーンショットが何百もあり、手作りの実例スプレッドシートがこの本にある 27 個のコンセプトをインタラクティブに実演する。チュートリアルの章はあなたがすべてをまとめて考える助けになる。もちろん、この本を参照用の資料として使うこともでき、Quick Start から入れば興味ある話題にすぐさま入り込んで集中できる。

この本と共に Michael Cohen の同様に網羅的な 266 ページの "Take Control of Pages" にも触れておかない訳には行かない。こちらは Apple のワードプロセッサの中で、書類を作成し、レイアウトツールをマスターし、Mac 用の Pages 5、iOS 用の Pages 2、iCloud 用 Pages、あるいはそれらの組み合わせも使いこなせるように互換性と iCloud Drive を処理できるようにするベストな方法を教える。Apple の iWork スイートの三分の二を成すこの二つのアプリの包括的な説明書として、合計 600 ページ近くになるこれらの本を読みたい方は、二冊合わせて購入すれば 20 パーセント割引となり、定価の $40 が $32 になる。(具体的なことはまだお約束できないが、"Take Control of Keynote" も出して三部作を完成させることも計画中だ。)

TidBITS Publishing の CFO (最高財務責任者) として、私は Excel を使って長い時間を過ごす。何度か Numbers を試してみたことはあるけれども、いつもすぐに Excel に戻ってしまった。Numbers が違っているところに戸惑ったからだ。けれども Sharon の原稿を読んでみて初めて、私はいくつかの重要な原理、例えば表には四つの状態があることなどを知った。また、Numbers がいかにパワフルなものであるかに目を見開かれる思いもした。条件付きハイライト表示、他の表からデータを取り込める lookup 関数、ネスト化可能な IF 文、特定の行だけを表示するためのルールに基づくフィルター、首尾一貫したルック&フィールを保てる段落スタイルや文字スタイル、といった機能だ。

電子ブック "Take Control of Numbers" を作って欲しい、という要望を寄せてくれた多くの読者の方々に感謝したい!「もう分からないほど何度も繰り返すと、マジな数字は喜びしゃしゃり出てくる (When times are mysterious, serious numbers are eager to please)」という歌詞を、思い出してみよう。もうお分かりと思うが、Paul Simon の詩 "When Numbers Get Serious" は、この本の編集作業を進めるに際して一度ならず私にひらめきを与えてくれた。聴いたことがないという方も、あるいは最近聴いていないという方も、歌詞を読んでみるか、曲を聴いてみることをお勧めしたい。
[訳者注: Paul Simon の歌詞の翻訳は musiker 氏の訳詞を参考にしました。]

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ネット中立性に向けた最初の法律的一撃

  文: Geoff Duncan: geoff@tidbits.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

2015 年 4 月 13 日に、Federal Register (連邦公報) は公式に、Federal Communications Commission (FCC、連邦通信委員会) が採択した最新の Open Internet order を公表するとともに、米国においてこの新しいルールが発効するまであと 60 日間として時を刻ませ始めた。(2015 年 2 月 7 日の記事“FCC、ネット中立性に本腰”参照。)とりわけこのルールは、あらゆる合法的なインターネットトラフィックについてブロードバンドプロバイダが差別をしたりいわゆる「優先レーン」を作ったりして提携会社や系列会社に優先的な扱いをするのを禁ずることにより、ネット中立性の原則を保つことを狙っている。今回のルールでは、ブロードバンドサービスを Telecommunications Act (電気通信法) の Title II に基づく common carrier (通信事業者) に再分類することによってそれを達成しようとしている。FCC は common carrier に対しては業務遂行を規制し強制できる幅広い権限を持っているからだ。

ネット中立性に異議申し立て -- 新しいルールが正式に公表されたことで、法的な異議申し立てへの道が開かれた。そして電気通信業界は時を無駄にすることなく、法廷闘争への準備を始めた。原則的に、再検討の申し立ては以下の三つのいずれかの論拠によるものとなるだろう:

  1. FCC には ISP を common carrier と再分類する権限がない

  2. FCC は ISP を Title II の下で再分類するかもしれないという通知を適切に提供せず、ルール作成手順を無視した

  3. 新しいルールの個別の要素、例えば「優先レーン」の禁止などに対する攻撃

一つ目の論拠は少々危うい。ブロードバンドプロバイダを common carrier と宣言する FCC の権限はかなり確かなものに見えるからだ。2002 に、FCC はブロードバンドインターネットを電気通信サービスではなく軽度に規制を受ける情報サービスだと分類したことがあり、その裁定に対する異議申し立ては結局連邦最高裁判所まで行ったが、そこにおいて FCC には再分類の決定権があるという判決が出た。だから基本的に、もしも FCC がブロードバンドプロバイダは common carrier であると宣言したいのならば、最高裁判所がそれを支持しており、それに勝る権限を持つものは存在しない。

この点での FCC の権限は 2014 年に、従来のネット中立性ルールが無効とされた時点で支持された。(2014 年 1 月 20 日の記事“ネットの中立性は低下したが、廃れてはいない”参照。)コロンビア特別区の控訴裁判所が、基本的に FCC が ISP をあたかも common carrier であるかのように規制することは ISP が common carrier で ある のでなければ無効であると裁定し、それを再分類する FCC の権力を認めたのだ。従って、FCC の権限に対する異議申し立てはおそらく単なる時間稼ぎのためのものであって、ルールを無効とさせるための本筋の望みのためのものではないだろう。だからといってそれが実行されないとは限らない。その点についてはあとでまた触れる。

二つ目の論拠、つまり FCC が Title II 再分類が検討中であることの適切な通知をしなかったという点は、Obama 大統領が自ら乗り出して FCC に対してブロードバンドおよびモバイルの運営業者を common carrier と再分類するよう促す(2014 年 11 月 14 日の記事“Obama 大統領がネット中立性に介入”参照)という、大統領の異例の判断に端を発したものだ。あの時点で、FCC は既に提案予定のオープンインターネット規則を公表しており、それはいわゆる「優先レーン」を認めて ISP を common carrier と再分類 しない ものであった。公式に提起した後も FCC がルールに変更を加えることは 可能 だけれども、そのような変更は通常一般からのフィードバックに応えたマイナーな調整だ。有料の優先扱いを認めず ISP を Title II の下で再分類するというルール変更はあまりにも抜本的な変更であって FCC が当初提起したものとは全く異なるルールを作るものであり、そのようなルールならば新たな公式のルール作成手順に則ってするべきであったという議論は成り立つだろう。

それは興味深いアイデアだが、ブロードバンドを common carrier に再分類するという考え方が青天の霹靂であったと電気通信業界が主張することはできない。FCC がルール作成提案として最初に通知した文書の中には Title II 再分類について詳細に記したセクションがあり、この当初のルールが出された際にはあらゆるお偉方が Title II の選択肢について意見を述べたものだ。もちろん、それが法律の文面(おそらく 1946 年の Administrative Procedure Act)に照らして十分なものであるか否かは裁判所が判断する問題だが。

三つ目の論拠、つまり新しいオープンインターネットルールの個別の要素に対する攻撃は、FCC が ISP の特定の行為を「公正かつ妥当」なものでないとして特定のルールを 強制 しようと動いた後でなければ使えないかもしれない。そうなるまでにはかなりの時間がかかるだろう。まずはルールが発効しなければならず、その後誰かが ISP の挙動ないしビジネス慣行について苦情を申し立てなければならない。FCC はその苦情を精査し、調査を実施し、行動することが正当だと判断し、それからやっと行動に移すという各段階を必要とする。その手順には一年あるいはそれ以上かかるだろう。それよりも以前に特定の条項に対する異議申し立てをすることは、理論上のものに過ぎずおそらく法廷には持ち込めないだろう。

ISP たちよ、エンジンをスタートさせよ -- 今や FCC のオープンインターネットルールが公表されたので、法律的な異議申し立てが殺到し始めている。各種業界団体、例えば USTelecomNational Cable and Telecommunications AssociationAmerican Cable AssociationCTIA-The Wireless Association も動き出しているし、テキサス州の ISP Alamo Broadband や、通信業界の巨人 AT&T も動き出した。AT&T はいくつかの業界団体による訴訟にも参加しているが、独自にも訴訟を起こすことを決めた。

これらの最初の訴状はいずれも短く、単に足場を確保するためだけのものだ。もしもそれが直ちに却下されなかったならば(直ちに却下されることもあり得る - FCC はまず間違いなくこれらの訴訟が時期尚早だと申し立てるだろう)今後数ヵ月かけてそれぞれの団体は論拠の概略を示した拡張弁論趣意書を提出するだろう。今のところ、いずれの訴訟も上記の三つの戦略のうち初めの二つのいずれかを追い求めるようだ。

それならば、なぜ急いで訴訟に持ち込もうとするのか? 新しいルールへの再検討の申し立ては、公式発表の後 60 日間のうちに提出できるけれども、最初の 10 日間に出された訴状は同時に提出されたと見なされ、どの順番に扱うかを抽選で決めることになっている。ネット中立性への異議申し立てはコロンビア特別区の巡回裁判所に行き着く可能性が高いが、手続きを他の巡回裁判所で開始することにより、訴訟がコロンビア特別区の巡回裁判所に移されるのに先立ってより多くの手続きの段階が踏めることになる。それには時間がかかる。

現時点では、ブロードバンド業界は手続きにできる限り時間をかけることを望んでいる。さきほども書いた通り、FCC の新しいオープンインターネットルールへの異議申し立ては、おそらく薄氷を踏むようなものとなる。業界としては、これらのルールの実施を遅らせられるならば、自らのビジネスモデルを新しい規制の現実に適応させるための時間を稼ぐことができる。

そして、時間を稼ぐことによって、ブロードバンド業界が現実を 変える こともできるかもしれない。さきほども書いた通り、FCC がブロードバンドを再分類する決定権を支持するために、最高裁判所に勝る権限を持つものはいない。しかしながら、アメリカ合衆国では 2016 年に国政選挙が行なわれる。大統領政権が変わり、新しい連邦立法議員が選出されれば、FCC に権威を認めている法律の風向きも変わるかもしれない。今やブロードバンド業界からの選挙献金やロビー活動の資金は、こぞってその方向へと注ぎ込まれていると考えるのがまず間違いないところだろう。

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Apple Watch 試着、過剰宣伝でもあり役にも立つ

  文: Julio Ojeda-Zapata: julio@ojezap.com
  訳: 亀岡孝仁<takkameoka@kif.biglobe.ne.jp>

私は、戦闘的なほど自力的な Apple Store 買い物客である。私は何も色鮮やかな T シャツを身につけた笑顔たっぷりの Apple 店員に文句があるわけではないが、ただ放っておいて欲しいだけである。

しかしながら、新しい Apple Watch とそのアクセサリーをじっくり見るには、私は少々態度を変える必要があった - そして予約も必要であった。

10 April 2015 以後、Apple は Apple Watch の購入を考えている人達に 15 分間の一対一の場を提供している。この狙いは、スマートウォッチ、そして時計とそのバンドに大枚をはたいても良いという考えの両方に慣れて欲しいというものである。

その様な予約無しでは、やれることは限られている。様々なモデルの時計に見とれる - 基本の Apple Watch Sport, "中間の" ステンレススチール Apple Watch, そして高級品のゴールド Apple Watch Edition - 更に色々なバンドも展示ケースに入っている。しかし、それらはガラスの向こう側にあり、触ることは出来ない。

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実際に動く時計のサンプルはデモテーブルの上にあるが、基本の黒のバンドは卓上のディスプレイに組み込まれていて他のバンド、例えばより優雅な皮やメタルのものと入れ替えてみることは出来ない。このデモ時計はインターフェースのやり取り確認のためだけに置かれている。

と言う訳で、店員とのやり取りを嫌う気持ちは抑えて、私は Apple Watch 予約を取り、そして店員と顔付き合わせての親密なやり取りを受け入れることとした。実際、私は St. Paul にある自宅に近い 5 つの Twin Cities, Minnesota 店のうち 4 つで予約を入れた。

予期しなかったことだが、私は楽しい時間を過ごせた。この試着の場は思ったよりも啓発的で、そして従業員は例外なく魅惑的な人達であった。私は Apple がその最新の製品を流行らせるために取っている新しい店頭販売促進方法に感心して帰ってきた。それは必勝法の一つである様に見えた。

店員たちをインタビューした小売業アナリスト達によると、店で Apple Watch を試着した人達は、それらを買う傾向がより強いと報じられている。Apple Watch の予約開始の週末での予約販売台数はアナリスト達によって 2.3 百万台とされているが、奇妙なことに、通常は積極的な Apple がこの事前予約数量については公式には何も語っていない。そして店頭での Apple Watch 販売は少なくとも 6 月まで延期されたと報じられている。

予約する -- Apple Watch 啓発への道は Apple のサイトから始まる - 具体的には Apple Store の Web サイト上で、そこに予約ページへのリンクがある。

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そのページ上で、私は私の州と店を確認するように言われ、それから私の iCloud アカウントにログインするよう求められた。私はそれから選択可能な時間をタップし、私の予約取りは完了した。

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私は予約時間より少し前に店に着き、ハンドヘルドの iOS 機器上に予約リストを持った Apple 従業員に名前を申し出た。私はそれから私の試着を担当する人へと導かれた。

秘密の時計引き出し -- Apple Watch 試着には神秘的な雰囲気があった。何故ならば、時計はデモテーブルの引き出しにしまい込まれており、Apple 店の従業員によってしか開けられないからである。彼らは、彼らの iOS 機器に付いたある種の RFID チップを使ってタップしてその引き出しを開けていた。

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引き出しの中には、各種の時計とバンドの組み合わせが綺麗に整頓されてしまわれていて、それぞれに独自の充電器が付いていた。

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私は試着してみたい時計を幾つか指さし、そしてそれらは直ちに私の腕の上におさまった。典型的な状況下では、時間内に 5ー6 個を試してみることが出来た。

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しかし、Apple の店員は全ての望みを叶えてくれるわけではない。ある店で、私は入門レベルの Apple Watch Sport によりお洒落なバンドを付けて試着してみたいと思った。これは純粋に機械的な意味合いで言えば可能である。しかしながら、何らかの理由で私の願いは叶わなかった。私の依頼は丁重ではあるが即座に拒否された。これは奇妙である。私の見たテックブログのポストによると、他の店ではこれは何ら問題ではなかったという。

写真撮影はこの経験の一部である。店員が訪問者の電話を使って好みのショットを撮影しましょうかと申し出てくれることもある。私は一つの店で私の番を記録するために私の友人の Mark Fawcett を同伴した。店の責任者はこれには異を唱えなかったが、従業員の顔が写った写真はオンラインには載せないよう慇懃に言われた。

Edition は私には無縁 -- 優雅な Apple Watch Edition を試着してみたいと願う人の多くは失望を経験することとなった。Apple Watch Edition の試着予約はごく少数の限られた Apple Stores でしか受け付けておらず、私の驚いたことには、Twin Cities の店はどれも該当していない。この時計を見るには、8 時間かけて Chicago にドライブしなければならないことになる (興味深いことには、そちらではその様な豪華な試着を提供している店が一つならず二つもある)。display cases.私はパスしておく。現実的に言えば、ステンレススチールモデルですら私の価格帯を外れているので、Apple Watch Edition に触ることで何かが変わるという話ではない。ではあるが、私の地元の店でもショーケースに展示されているものをどうして私は試せないのか困惑していることは白状しておきたい。

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どの時計サイズ? -- この試着の場は、Apple Watch が 9 月に明かされて以来引っかかっていた疑問に答える点で非常に有益であった。疑問の中で一番大きかったものは、どの時計サイズが私には一番合っているか、38mm 又は 42mm のどっち?

私は事前に勝手に色々な想定をしていたが、どれもが合っていなかった。例えば、私の腕は細いので、小さい時計の方が合うだろうと思っていた。私は、両方の時計の構成を写真やビデオから精査して、大きい方のモデルは私よりも腕の太い人にとっても大きすぎるだろうと想像していた。

従って、時計を試着してみた時、私は 38mm のは嫌いだと分かって自分でも驚いた。それは耐えられない程小さいと思えた。42mm の方は見た目も、感じもぴったりに思えた。大きいことは大きい。

時計バンドはどれ? -- 時計バンドの買い物はもっと複雑である、何故ならば、様々なスタイル、色、そして素材にまたがり沢山あるからである。素材には、皮、メタル、そして "フッ素エラストマー" と呼ばれるゴムがある。この時計バンドこそが、Apple が試着イベントを提供し始めた最も重要な理由なのかもしれない。と言うのも、これらは宝飾品店の訪問を思い起こさせるからである - そして Apple Watch は、あらゆる意味で、宝飾品である。

時計と同様、私はバンドについても沢山のことを学んだし、結果的にも、オンラインから得た私の思い込みの幾つかは切り捨てることとなった。

Sport Band: 現実的な話として、これは私の予算を超過することなく買える唯一のバンドでもある。入門レベルの Apple Watch Sport には 3 つのフッ素エラストマー部品が付いていて、2 つあるバンドサイズのどちらかに設定出来る。私の心配事項? 写真では Sport Band は固くて、いかにもプラスチックという風に見えたが、これらは実際には柔らかくそして付け心地も良い、通気性があるとは言えないまでも。

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Milanese Loop: ステンレススチールのメッシュから出来ていて、腕の周りに心地良く巻き付き、そして磁石でカチッと嵌まる。私はインターネット上の情報からこれを選択対象からあっさりと外していたが (私の趣向からすると余りに女性っぽい)、店で見たらとても好きになっている自分を発見した。オタクのために言っておくと、メタルメッシュはチェーンメールだと思えば分かり易い。

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Link Bracelet: これはかなり男っぽいメタルバンドで結合したリンクから出来ているが、このリンクはツール無しで外せ (小さなボタンを押すだけ)、長さの調整が出来る。このバンドは私の好みではないが、私の父親なら好みそうだ。腕毛が間に挟まってしまうのではないかとの心配の声も出ているが、私は経験しなかった。

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Leather Loop: このバンドは Milanese Loop とほぼ同じ原理で働き、腕に巻き付く長い Italian レザーの帯があり、そして磁石の働きで定位置に収まる。このバンドのキルト風のデザインはどことなく "2001: A Space Odyssey" の雰囲気を醸し出しており、メタルバンドよりも多少付け心地も良い。私はとても気に入っている。

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Classic Buckle: 大昔、私がまだ腕時計を付けていた頃、私は縫い目のはっきり見える柔軟なレザーバンドが好きであった。Apple にはこの様なものは何もないが、Classic Buckle は最も近いものと言える。このバンドの Netherlands 起源はセールスポイントにはなっていないし、正直言って洗練されているとも見えないが、私はその単純さが好きであり、そしてこの時計バンドはきちんと仕事をする。私はこれの黒を買いたい。

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Modern Buckle: これは私の好みではない。その最大の理由は、嵌め合いを担う二つの磁石部品からなる大きな、女性っぽいメタルバックルである。このバンドは French レザーで、内部にはかって NASA によって Mars Rover の着陸エアバッグ用として用いられた Vectran の層が使われている。この様な印象的な伝統にも拘わらず、私はこれを身につけると間抜けな感じがした。

将来性あるスマートウォッチ -- 私は、凡庸な自前の Apple アプリしか備えていないデモに基づいて Apple Watch に対する評価を下す積もりはない。しかし、私は、私が見たもの、そして見込みがあると思えたものを実際に好きになった。

どの様に使うかを覚えるには多少時間がかかるので、私は Mall of America の Apple Store では、Apple 制作のガイドビデオ.経由で自分を訓練するため、自分の MacBook をデモ機の横に置いた。15 から 20 分で、私は使える確信がついた。

アプリアイコンが雲をなして並んだ主たるインターフェースは天才的である。Siri は電話でよりも時計での方が意味があると私には思えたし、それに店内の雑音の中でも、私のことをとても良く理解してくれた。

気がついたことを順不同に挙げてみる:私は Mickey Mouse 文字盤が大好きである。心臓鼓動を送るのはやはりおかしい。この様に窮屈な画面上での写真は意味がないように思えるが、通話、メッセージング、地図、音楽の制御、そして Apple TV のリモコンとしては、Apple Watch は現状を打破する道具となるかもしれない。

幸運にも初期の評価ユニットを手に出来たテックジャーナリスト達を悩ませた動きの遅さは殆ど感じられなかったが、私が手にしたのは手つかずの店頭デモユニットで、仕事を台無しにしてしまう 未だ完成度の低い段階のサードパーティのアプリも全く入っていないものであった。

結論としては (そして、これは極めて初期の評価である)、私は Apple Watch を大変気に入った。私はもっと徹底的なテストをする機会を楽しみにしたい。

腕に巻いてみよう! -- 私は最初 Apple の試着プログラムには懐疑的であり、きっと人気を煽るためのこけおどしと切り捨てていた。それは確かにその通りではあったが、私はまた、この経験を自分で想像していた以上に楽しんだし、店を出る時には、私の Apple Watch エコシステム理解度はより深まっていた - そして私の先入観の多くは捨て去られていた。

もし皆さんがまだ Apple Watch を注文していないのであれば、(いいや、もう既に注文していたとしても) そして Apple を扱う店が近くにあるのであれば、予約を入れて、行って楽しんできて欲しい。絶対後悔はしないと私が保証する。

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スパイ活動の情報に遅れずついて行こう 9: PRISM の中身はガラクタ

  文: Josh Centers: josh@tidbits.com, @jcenters
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

コメディアンの John Oliver はアメリカで最高の伝達者かもしれない。毎週の HBO 番組 Last Week Tonight で彼がどんな話題を選ぼうとも、多くの人々が彼の言葉に耳を傾ける。彼が宝くじについて話そうと、核兵器について話そうと、民事没収 (civil forfeiture) について話そうと、それは変わらない。

Oliver が政府による監視活動に焦点を当てた際にも、それは変わらなかった。そのために彼ははるかモスクワまで出かけ、Edward Snowden その人と直接話をしてきた。番組の 33 分間の中で、Oliver は彼の漏洩が責任ある判断であったかどうかで Snowden を質問攻めにした上で、たいていの人は Snowden が誰なのか全く知らないと指摘した。(この話題に少しでも関心があるなら、 このビデオをぜひ見ておくべきだ。ただし乱暴な言葉が使われていることはお断りしておく。)

アメリカ人の大多数は監視活動について理屈の上では大して気にもしていないように見えるけれども、Oliver は人々がもっと関心を持っていることの方に話題を向けた。つまりはガラクタだ。婉曲に言うのを止めるなら、自分たちの生殖器の写真を政府が見ていると人々は気にしている。次に Oliver は、個々の監視プログラムによって人々が撮ったかもしれないきわどい写真を政府が見られるようになったと述べて、少しばかり Snowden を当惑させた。おかしな話だが、裏を返せばこれは政府による大量監視活動をすべての人が考えなければならない理由を浮き彫りにしたとも言える。

結局のところ、大量監視活動は私たちが思っていたよりずっと早い時期に始まった。 USA Today が明かしたところでは U.S. Drug Enforcement Administration (DEA、麻薬取締局) は 1992 年に早くも米国と 116 ヵ国との国際電話を記録し始めたという。このプログラムは米国における大量情報収集活動として知られている中で最も古いものであり、2013 年になって法務長官 Eric Holder が Snowden の暴露を受けてこれを中止するまでずっと続いていた。

この DEA のプログラムは四つの大統領政権に跨がって続いたが、そこで生まれる疑問は、次期大統領がいかにして監視活動の改革に取り組むかだ。現在の大統領候補者の中で、上院議員 Rand Paul (共和党、ケンタッキー州) が監視活動改革について最も積極的な姿勢であり、Bitcoin での寄付を受け付けるとともに、選挙運動ストアで "NSA Spy Cam Blocker" を販売するとまで 踏み込んで発言している。( ノーブランドのブロッカーはずっと安い値段の 3 個セットで Amazon が売っている。)Paul のキャンペーン声明の中で彼は「大統領になったら、その初日のうちに、私は即座に憲法違反のこの監視活動を終わらせる」と誓った

しかしながら、たとえ Rand Paul が大統領選挙に勝ったとしても、はたして彼はそれをやり通せるだろうか? Paul はかつて一度 NSA の改革に 反対 の票を投じたことがある。これは記事“スパイ活動の情報に遅れずついて行こう 7: スパイが多過ぎる”(2014 年 11 月 21 日) に書いた通りだ。監視活動の改革を約束した USA Freedom Act に彼が反対票を投じたのは、はたして彼の言うようにこの法案が骨抜きにされたからなのだろうか、それともあれは監視活動を支持する人たちに向けた、計算し尽くした政治的行動だったのか? 公平を期して言えば、Paul は NSA の監視活動をめぐって Obama 政権を相手に起こされた 訴訟に加わった。けれどもたとえ Paul の意図が誠実なものだったとしても、彼は実際に効力ある変化をもたらすことができるのだろうか、ましてや初日のうちに? 結局のところ、Barack Obama も自らの選挙運動の中で大筋で同じことを約束していた。大統領候補者 Obama と大統領 Obama が大量監視活動について 論争を戦わすビデオがある。

Paul の主要な競争相手の一人、上院議員 Ted Cruz (共和党、テキサス州) は USA Freedom Act に賛成票を投じた。(そして Paul が反対票を投じたことを厳しく非難した。)驚くには当たらないが Marco Rubio (共和党、フロリダ州) は NSA の断固たる擁護者であり Patriot Act (米国愛国者法) を永遠に延長せよと論じた人物なので、反対票を投じた。

大統領候補者を USA Freedom Act に対する票に基づいて判断するのは困難だ。意見の相違の原因の一部は、USA Freedom Act が Patriot Act の一部の条項を 2017 年まで再認可しているという事実だ。元の下院の法案の共同起草者の一人であった下院議員 Justin Amash (共和党、ミシガン州) でさえ反対票を投じたのだから。けれども Electronic Frontier Foundation (EFF) は、 下院が USA Freedom Act を弱い内容にしたことに失望しつつも、 上院を通過しなかったことに同じくらい落胆した。

Patriot Act (米国愛国者法) の話のついでに、その Section 215 は NSA の大量監視活動の法律的根拠となっている条項だが、これが今年の 6 月に期限切れとなる。EFF は Fight 215 キャンペーンを開始して、有権者たちに対してこの条項の再授権に反対する代議士に投票するよう呼びかけている。議会で再授権が議決されない限り、2015 年 6 月 1 日にこの条項は失効する。大量監視活動に反対する人の目から見れば良いことのように見えるかもしれないが、Brookings Institution の Benjamin Wittes は単に失効させるだけでは実際かえって悪い結果となると指摘する。なぜなら、それは議会が適切な改革をする能力がないと証明することになるからだ。

2016 年大統領選挙に話を戻すと、現在のところ上記以外の候補者は民主党の Hillary Clinton だけだが、これまでのところ大量監視活動に対する彼女のコメントは曖昧なものばかりだ。Recode の Kara Swisher の質問に彼女は次のように答えているが、皆さんはその意味が理解できるだろうか:

そうですね、でもどこまで行けば行き過ぎなのでしょうか? それに、どこまでなら不十分なのでしょうか? そこが判断の難しいところです。私が思うに、もしもアメリカ人がナンバー・ワンだと思うのなら、私の個人情報を追いかけたりしないでしょう。でも、私は皆さんに悪い人たちを捕まえて欲しい。なぜなら、その人たちにソーシャルメディアを悪用して、わが国で発明されたコミュニケーション・デバイスを悪用して、私たちに向けた企みをして欲しくないからです。ですから、一線を引こうではありませんか。そして、それは誰もが隅っこに座っていては難しいと思うのです。ですから、私からはこれをしろ、あれをしろと言わないことにします。皆さんに、より良いバランスを見出して欲しいのです。

Clinton のこれまでの実績はまちまちだ。彼女は 2001 年に元の Patriot Act にも、その 2006 年の再授権にも賛成票を投じた。けれども、2008 年の予備選挙の際に彼女は Barack Obama が再授権に賛成したと言って非難した。NSA 問題の暴露に関しても彼女の視点はまちまちだ。 Snowden の行動に「困惑している」と言ったこともあるし、その後 NSA について「人々は裏切られた」とも言っている。

監視活動の改革を主要な争点と考えて選挙運動を見るならば、最良の候補者を選ぶのに頭を抱えねばならなくなる。監視活動についてはっきりした実績があるのは Rubio のみで、彼は全面的にこれを支持している。けれども、take their own Web site securityという基準で考えれば、Clinton と Rubio がトップに並ぶ。少なくとも、暗号化された HTTPS をデフォルトで使っているのはこの二人だ。

他のことはともかく、Paul と Cruz は監視活動の問題を選挙運動の争点にできるかもしれない。Radley Balko が大統領候補者に問うための司法システムに関する たくさんの質問を用意 しており、監視活動の問題もそこに含まれている。それらは厳しい、しかも広範囲にわたる質問であり、ジャーナリストたちがそれらの質問をすべて問いかけることを(そして候補者たちから実際に返答を引き出すことを)私は期待したい。

候補者たちが象徴的なる鉄の王座を目指して戦う一方で、NSA は力の及ぶ限りあらゆるデータを収集するというその任務を少しも緩めようとはしていない。NSA 局長の Michael Rogers 海軍中将はテクノロジー各社に対し顧客情報への「表玄関」を国家安全保障局に与えるように説き伏せることを試みているところだ。その構想は二つの部分から成る鍵で、一つの部分は会社が、もう一つの部分は政府が参加しなければユーザーのデータのロックが外れないというものだ。お察しの通り、セキュリティ専門家たちは懐疑的な反応をしている。

記事“スパイ活動の情報に遅れずついて行こう 7: スパイが多過ぎる”をお読みの方は覚えておられると思うが、法執行機関は Stingrays と呼ばれる偽の携帯電話基地局デバイスを使ってセルラー通信を傍受しユーザーを追跡してきた。そして今、FBI はそれらのデバイスが無関係の第三者のサービスを邪魔していると認めた。FBI の特別捜査官 Michael A. Scimeca による令状申請の中で、彼は次のように述べている:

この Mobile Equipment が時として運用する方式の影響によって、その使用がごく近くにいる Sprint のワイヤレス顧客の一部に対して断続的にセルラーサービスへの干渉を引き起こす可能性がある。Mobile Equipment の使用の範囲と継続時間を合理的な範囲で制限することにより、サービス途絶は起こったとしても短時間かつ最小限のものとなるだろう。

だから、今度あなたの携帯電話で不可解にもサービスが途切れたなら、それはあなたが Stingray の近くにいるからなのかもしれない。ただし現実には、単にあなたのセルラーキャリアが無能なだけの可能性が高いかもしれないが。

日常が邪魔されるという話のついでに、The Intercept の最近の記事に、興味深い Transportation Security Administration (TSA、運輸保安局) についての暴露話が載っていた。内部資料によれば、TSA はまだテロリストを捕まえるのに成功してはいないが、その代わりに密入国者や麻薬密輸業者に対象を絞っているという。

飛行機に乗る際にテロリストとして目を付けられるのではと心配しているあなたのために、TSA が探している危険予兆のいくつかを紹介しておこう:

だから、もうじき飛行機に乗るのなら、きちんと毎日ひげを剃り、自信を持って顔を上げ、行列に並んでも文句を言ったりしないようにしよう。また、TSA の局員があなたを悩ませてやろうと狙っているかもしれないので気を付けよう。これは最近 Denver で二人の TSA 局員が実際にしていたことだ。でも、明るい面を見るならば、もしもあなたが 「搭乗禁止」リストに載っていれば政府の係官がはっきりとそう言ってくれるようになったらしい。

明るい気分で読み終えて頂くために言い添えると、開発会社 Mikengreg LLC は NSA の監視活動を基にした iOS 用パズルゲームをリリースした。その名もTouchTone ($2.99) という。ひょっとするとこの「スパイ活動の情報に遅れずついて行こう」シリーズの次回の記事は FunBITS と合同記事になるかも?

それまでの間、いつも服装は相応しいものにして、パソコンのウェブカメラにはちゃんと覆いをかけておこう。念のために。

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iCloud Photo Library: 問われなかった FAQ

  文: Joe Kissell: jk@alt.cc, @joekissell
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

OS X 10.10.3 で Mac 用 Photos アプリがリリースされ、Mac ユーザーたちはただ単に悪評高かった iPhoto に代わるものを得ただけでなく、iCloud Photo Library へのアクセスも得た。Apple が iOS 8.1 で導入した、写真を同期するための iCloud 機能だ。理論的には、この機能は「ただそのまま働く」のであって、魔法のようにあなたのすべてのデバイス間ですべての写真を同期するはずだ。けれども Apple エコシステムの中にある他の多くのものと同様、この iCloud Photo Library にもたくさんの厄介な疑問が伴う。とりわけ、何らかの意味で一般的でない使い方をしている人には多くの疑問が生まれる。

Apple の名誉のために言っておくと、同社は iCloud Photo Library FAQ を公表しているし、これはいくつかの基本的な事項について十分読む価値がある。けれども残念ながらこの FAQ (frequently asked questions、よくある質問) は私が個人的に疑問に思っていたことにはどれ一つとして答えてくれない。それに、読者たちから届いた電子メールやコメントから判断すれば、この機能をめぐる混乱はかなり広がっているようだ。

そこで、ここにそれらの問われなかった疑問をまとめて、私自身のテストや調査、また他の TidBITS スタッフや、"Photos for Mac: A Take Control Crash Course" の著者 Jason Snell の体験に基づく答も書き留めてみた。もしもこの FAQ があなたの疑問に答えていなければ、あるいは私が書いた答があなたの体験と食い違っていたならば、どうかこの記事へのコメントとしてお聞かせ願いたい。できる限り、それに従って記事を更新したいと思っている。

問: iCloud Photo Library とは何?

答: iCloud Photo Library は iCloud の機能で、Mac または iOS デバイスのどれかでこれを有効にしておくと、そのデバイスの Photos ライブラリの内容すべてを Apple のサーバに同期するとともに、他のデバイスでシステム要件に適合し、同じ iCloud 認証情報でサインインしてあり、かつ iCloud Photo Library を有効にしてあるものにも同期する。

問: システム要件は?

答: まず初めに、iCloud アカウントが必要だ。これは誰でも無料で手に入れることができる。Apple によれば、Mac では OS X 10.10.3 かそれ以降、iOS デバイスでは iOS 8.3 が必要だという。(iCloud Photo Library はもっと古いバージョンの iOS 8 でも利用できるが、どうやら写真を Mac と同期できるために必要な変更が iOS 8.3 で施されたらしい。)また iCloud.com の Photos ウェブアプリでも写真へのアクセスはできるが、そのためには少なくとも一つのデバイスから Photos ライブラリの同期を済ませておくことが必要だ。

問: Photos ウェブアプリでは Mac や iOS デバイス上の Photos と同じことがすべてできるのか?

答: いいえ。Photos ウェブアプリは主として写真を見るためのものだ。JPEG グラフィックスならばウェブからもアップロードできるが、他のフォーマットはできない。写真をダウンロードしたり電子メールで送ったりはでき、お気に入りをマークすることもできる。できることはほぼそれだけだ。

問: 互換デバイスが一台しかなくても iCloud Photo Library は使えるか?

答: おそらくは。あなたの写真をクラウドに同期するので、ある種のバックアップを提供してくれることになる。(私は iCloud Photo Library を 唯一の バックアップとして信用して使おうとは絶対に思わないが、もしもたった一つのデバイスしか持っていなくて、それがなくなったり、盗まれたり、あるいは壊れたりした場合に備えたい場合には便利かもしれない。)すべての写真をオンラインに持っておくことでものごとが単純化されるという利点もある。誰かに写真を送る際に、元の写真を電子メールやその他の方法で送る代わりにクラウド上にある写真やアルバムへのリンクだけを送れば済むからだ。

問: iCloud Photo Library は無料なのか?

答: ある意味そうだとも言えるけれども、大体において答はノーだ。iCloud アカウントにはたった 5 GB しか無料ストレージが付いておらず、このストレージを(電子メール、iCloud Drive、iOS バックアップなど)あらゆる機能で共有しなければならない。無料で使える容量で十分な程度に小さな写真ライブラリを持っている人などほどんどいないだろう。なので、iCloud Photo Library を使いたいならば、写真ライブラリが収まるのに十分な量の追加ストレージを持つために Apple に料金を払うことになる。月額 $0.99 で 20 GB に、月額 $3.99 で 200 GB に、月額 $9.99 で 500 GB に、月額 $19.99 で 1 TB にアップグレードできる。(これらの料金は米国におけるもので、国によって実際の額は異なる。)

問: iCloud Photo Library では私の写真ライブラリを妻や他の家族と同期できるのか?

答: いいえ。あなたの iCloud Photo Library はあなたの iCloud ユーザ名に結び付いていて、あなた自身の写真やビデオをあなた自身のデバイスの間で同期するために作られている。異なる iCloud アカウントの間で写真を同期するようには作られていない。

しかしながら、iCloud Family Sharing はまさにそのために作られて いる ものだ。iCloud Family Sharing は、家族一人一人のデバイスに Family フォトアルバムを作成し、家族の誰かがそのアルバムに写真を入れれば(手動で入れる必要がある)他の家族のデバイスにもそれが同期される。この件に関して詳しくは、私の本 "Digital Sharing for Apple Users: A Take Control Crash Course" の Use iCloud Family Sharing という章に説明してある。

問: My Photo Stream という同期機能が既に存在していたと思うのだが、それとどう違うのか?

答: iCloud は MobileMe を置き換えて登場した。MobileMe サービスには、限界はあったが自分のデバイスの間で写真を同期できる機能が存在した。当初それは Photo Stream と呼ばれ、その後リブランドされて My Photo Stream となった。My Photo Stream 機能は今でも存在していて、iCloud Photo Library の代わりに使うことも、あるいは iCloud Photo Library に追加して使うこともできる。(詳しくはこの FAQ の後の部分を参照。)これら二つのサービスは表面上は似たものに見えるし、どちらの機能も写真の自動同期を提供するけれども、細かいところで両者はいろいろと違っている。大きな相違点を手早くまとめてみると次のようになる:

iCloud Photo Library は:

My Photo Stream は:

問: Photos アプリからも My Photo Stream を使い続けられるか?

答: はい。ただし、iCloud Photo Library も使っている場合は、My Photo Stream を別途に見ることはできず、すべての写真が All Photos に現われる。

問: もしも iCloud Photo Library を有効にしていて、かつ十分なストレージ容量があるなら、My Photo Stream を使い続ける意味があるだろうか?

答: My Photo Stream は、iCloud Photo Library のシステム要件を満たさないデバイスとの互換性を保つ必要がある場合には引き続き役に立つし、iCloud ストレージ容量の上限に達した場合に備えて写真同期のバックアップ手段を提供することにもなる。それらの点を除いては、おそらくどちらか片方だけを使うようにした方が混乱せずに済むだろう。

問: OS X 10.10.3 か iOS 8.3 で Photos アプリを使ったら、iCloud Photo Library を使うことが必須となるのか?

答: そんなことは全然ない。iCloud Photo Library をオフにしたまま使い続けることもできるし、Photos でも iPhoto や Aperture でしていたのと全く同じ方法で同期ができる。追加のストレージ容量のために料金を払いたくない場合や、自分の写真をクラウドに置いておくのが心配な場合、あるいはこの FAQ の後の方にも登場するがその他の懸念がある場合など、iCloud Photo Library を使わねばならぬ義務など全くない。(ついでに言えば、Photos を使わねばならぬ義務も全くない。既に iPhoto、Aperture、その他のアプリを使っているなら、そちらを使ってもかまわない。)

問: 写真の同期を iTunes 経由でし続けられない理由があるのか?

答: これまで Mac や PC と iOS デバイスの間で写真の同期を iTunes を使ってしていたなら、(iTunes 12.1.2 またはそれ以降を持っている限り) Photos を使って以前と同様に同期し、iCloud Photo Library はオフにしておくことができる。ただし、Mac 上で iCloud Photo Library を有効にした場合は、もはやその Mac と iOS デバイスの間で iTunes 経由の写真同期をすることはできない。

問: Apple が iPhoto と Aperture を Mac App Store から削除したと聞いたが、本当にそれらのアプリを使い続けてもよいのか?

答: はい。Apple はもはやそれらのアプリを販売していないけれども、それらのアプリは既にあなたの Mac にインストールされているなら以前と全く同じに働き続ける。たとえあなたがそれらのアプリを削除したとしても、依然として Mac App Store の Purchased 画面から再ダウンロードできるはずだ。ただしもちろん、いつまでもできるという保証はない。加えて、今後アップデートがあるとは思えないので、将来いずれかの時点で動かなくなることはあり得る。

問: 自分の写真ライブラリが既に iPhoto か Aperture の中にある場合にはどうすべきか?

答: 初めて Photos アプリを走らせた際に、iPhoto または Aperture の既存のライブラリを使うかどうかを尋ねてくる。ここでそうすることを選んだ場合は、まずあなたの写真をすべて読み込んでから(その際、ディスク上にファイルが重複することのないよう賢い読み込み方をする)その後でもし iCloud Photo Library が有効ならば Photos からクラウドへ写真を同期する。けれども、この iCloud Photo Library は iPhoto や Aperture と直接には互換でないので、それ以後に iPhoto や Aperture のライブラリに施した変更は iCloud Photo Library には同期されず、新規の写真や変更された写真はまず Photos に手動で読み込ませてからでなければ同期されない。

問: 複数個の Photos ライブラリを持っているとどうなるのか?

答: Photos は(iPhoto や Aperture と同様に)一度に一つしかライブラリを開くことができないが、好きなだけ多くの異なった Photos ライブラリをディスク上に置いておくことはできる。それらの間で切り替えるには、Finder でダブルクリックするか、または Photos を起動する際に Option キーを押さえたままにしてそのセッションでは別のライブラリを使うようにする。ただし、iCloud Photo Library を使ってクラウドに同期できるのは一度に一つのライブラリのみ、つまりあなたの System Photo Library だ。(次の質問を参照)

問: System Photo Library とは何?

答: これは Photos が第一のものと見なすライブラリ、つまり、例えばそれは iCloud が(iCloud Photo Library、My Photo Stream、その他の目的で)使用するものであって、iCloud 対応のアプリがアクセスできるのはこれだ。あなたの Mac 上に Photos ライブラリがたった一つしかないなら、それが自動的にあなたの System Photo Library となる。一方、複数個のライブラリがある場合には、別のライブラリに切り替えてから Photos > Preferences > General を選び、Use as System Photo Library をクリックすればそれを System Photo Library にすることができる。

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問: iCloud Photo Sharing とは何?

答: iCloud Photo Sharing は iCloud の三つ目の写真関係機能で、iCloud Photo Library とも My Photo Stream とも独立に働き、"photo streams" と呼ばれる特別のアルバムを他の人たちと共有できるようにする。

問: 複数の Mac や iOS デバイスで iCloud Photo Library をオンにして、それぞれが独立の Photos ライブラリを持っている場合、何が起こる?

答: それらが過去にどのように重複していたかにかかわらず、それらのライブラリは合併される。すべてが同期された後には、それぞれのデバイス上にある Photos アプリは(さらに iCloud ウェブサイト上のものも)すべて全く同じ写真やビデオを含むようになる。

問: 複数のデバイスで既にそれぞれライブラリを持っていて、それらに重複したところがある場合、合併の結果のライブラリには重複が残るか?

答: そうはならないはずだ。私がテストしてみた限りでは、合併されたライブラリに画像の重複はなかった。

Photos が重複の選別をローカルにするのかそれともクラウド上でするのかという問題に関しては、私のテストでははっきりとした判断ができなかった。ある Mac で、私は iCloud Photo Library をオフにし、非常にサイズの大きな一枚の写真をウェブブラウザを使って手動で iCloud Photo Library にアップロードしてから、その写真を Photos にも手動で追加してみた。それから再び iCloud Photo Library をオンにして、Activity Monitor でネットワーク活動を監視したが、転送されたデータ量はその写真のサイズに比べればはるかに小さなものだった。このテストの結果(私はいろいろに条件を変えて数回テストを繰り返した)写真をアップロードするに先立って Photos が何らかの方法で(おそらくチェックサムかそれと同種の仕組みを使って)その写真が既にクラウド上にあるか否かを判定していると推測された。そう判定されたファイルはアップロードから除外され、またどの画像をダウンロードするかを決める際も同種の判定が使われるのだろう。

しかしながら、もう一つの Mac では、少し違った結果が出た。こちらの Mac に既存の Photos ライブラリは既に iCloud Photo Library にあるものと大きく重複した内容を持っていたが、それでも私がこの二つ目の Mac で iCloud Photo Library を有効にすると、その後二日間にわたって膨大な量のデータ転送が続いた。それでも転送されたデータの総量は私の Photos ライブラリの総サイズに比べればずっと少なかったけれども、もしもチェックサムのみが転送されていたならば予想されたであろう量よりは数倍多い量だった。私はこの差異をうまく説明することができない。なぜなら、Photos が表示するのは何枚の写真がアップロードまたはダウンロードされたかということのみで、それがどの写真であったかを(あるいは写真が丸ごと転送されたか否かを)表示しないからだ。このように透明性が欠けているのは憂慮すべきことだ。Photos が今何をしているのかが(それに加えて最近何をしたかも)明確に示されるようになったならば、とても嬉しいのにと思う。

いずれにしても、二つの場所にある写真が 全く同一 でなかったとしても、何らかの重複はある可能性があり、時折 Photos が重複のマッチングに失敗したからといって私は驚かない。

プラス面を言えば、ライブラリのマッチングはデータ保持の観点で誤りに陥るようだ。例えば、ある写真が既にクラウドに同期済みであったとしよう。その写真を System でない Photo Library から削除して、その後 Photos に命じてそのライブラリを System Photo Library に指定したとしよう。新たに指定されたこのライブラリをクラウドとの間で合併させようと、Photos はあなたが以前削除したその写真をダウンロードすることになる。その写真をクラウドから削除することはしない。なので、結局は望まぬ写真があなたの手許に残ることになる。でも、欲しい写真がなくなるよりもマシではあるだろう。

問: 一つの Mac 上で iCloud Photo Library をオンにして、System Photo Library を同期させ、それから別のライブラリを System Photo Library に指定するとどうなるのか?

答: まず第一に、Photos は System Photo Library を切り替えると iCloud Photo Library がオフになりますという警告を出す。(iCloud に同期させず一時的に System Photo Library を切り替えたいこともあるので、これは良いことだ。)あなたが本当にその別のライブラリを同期させい場合には、System Preferences > iCloud に行ってから、Photos の隣にある Options ボタンをクリックし、iCloud Photo Library を選んでそれをオンにし直さなければならない。(Photos > Preferences > iCloud でもオンにし直すことができるように 見える が、私がテストした限りでは、このチェックボックスは何の働きもしなかった。枠を切り替えたりウィンドウを閉じたりした瞬間、チェックボックスは勝手にオフに戻ってしまった。)iCloud Photo Library をオンにし直すと、My Photo Stream もデフォルトでオンになるが、必要ならばそちらをオフに戻すこともできる。

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いったん iCloud Photo Library をオンにすれば、新たに選ばれたその System Photo Library が既に iCloud に同期されているライブラリと合併される。

問: では、その時点で、同期が終わった後は、新しい System Photo Library が以前のライブラリの内容の写真をすべて含んでいるので、古いライブラリは削除してもよい、そういうことなのか?

答: その通り。ただし、バックアップの重要性を決して忘れてはならない。何かがおかしくことは、いつでもあり得るのだから。

問: iCloud Photo Library がオンの状態で Photos から写真を削除すると何が起こる?

答: 写真の削除は二段階の処理を含む。Finder や電子メールアプリでゴミ箱を空にするのと似ている。iCloud Photo Library をオンにしたデバイスのどれかで写真を Photos から削除すると、その写真は "Recently Deleted" 領域に移される。そのデバイス上のみならず、クラウド上でも、他のデバイス上でもそうなる。(Mac 上の Photos では File > Show Recently Deleted を、iOS では Albums > Recently Deleted を選ぶ。)その写真が永続的に削除されないうちは、写真をその領域から元に戻すことができる。元に戻せば、すべてのデバイス上で元に戻る。また、Recently Deleted 表示の中で写真を(一つまたは複数)選んで永続的に削除することもできるし、(Mac 上の Photos でなら) Delete All をクリックしてすべて削除することもできる。

さて、ここでちょっと奇妙なことがある。通常は、iCloud Photo Library は削除された写真を 30 日間保持してくれて、その後は完全に削除するのですべてのデバイス上で Recently Deleted からも消えることになる。でも、Photos は削除のプロセスが(Recently Deleted 表示から手動で削除しても、時間が経って自動的に消えるまで待っても)最大 40 日間かかると表示する。私が思うに、それはつまり私たちには見ることもアクセスすることもできないけれども Apple がまだどこかに(バックアップかもしれない)そのファイルのコピーを持っているということなのだろう。なので、犯罪または無分別な行動の証拠を消したいような場合、あなたは運の尽きに陥ってしまうかもしれない。

問: iCloud Photo Library を使っている(または使っていた)Mac の上で iCloud からサインアウトすると何が起こる?

答: 何も起こらない。あなたの写真はそのまま Photos ライブラリに残る。iCloud Photo Library をオフに切り替えるのはただ同期をオフにするだけのことであって、あなたの Mac から写真が削除されたりはしない。

問: iCloud Photo Library を使っている(または使っていた)Mac の上で iCloud からサインアウトして、その後(そちらも iCloud Photo Library を既に持っている)別の iCloud アカウントでサインインすると何が起こる?

答: 二つのライブラリが、その新たに選ばれた iCloud アカウントに統合される。つまり、あなたの Mac 上の Photos は、同期が終われば二つのライブラリに含まれていた写真のすべてを含むようになる。そして、同じ Apple ID で署名され iCloud Photo Library がオンになっている他のすべてのデバイスでもそうなる。その一方で、あなたが以前に選択していた iCloud アカウントでクラウド上に保存されていた写真はそのままだ。もちろん、また別のデバイスでライブラリを切り替えたりアカウントにアクセスしたりすれば話は別だが。

問: iCloud Photo Library のストレージに月額料金を払っていて、その支払いを途中で止めたらどうなる?

答: あなたの Mac や iOS デバイスに保存されている写真には何も起こらない。あなたが料金を支払っていたのは、データをクラウドへ同期してクラウドにコピーを保存するサービスに対してだ。料金の支払いを止めれば、クラウド上にあったあなたのライブラリのコピーが消滅し、あなたのデバイスは同期をしなくなるけれども、それぞれの中に既に存在していたローカルなコピーはそのまま残る。

もしもあなたのデバイスの すべて があまりにも容量が少なくて、ローカルなフル解像度のコピーを保持できず、オリジナルのファイルがクラウド上のみに保存されていた場合は、理論的に言えばあなたの写真のどれかについては低解像度版しかあなたの手許に残らない可能性がある。このような状況下で何が起こるのかについて Apple のウェブサイトを探してみたが、情報は見当たらなかった。ただ、私の直感は最悪のケースを予想する。(なのでもう一度言っておこう: すべてをバックアップしておくこと!)

問: iCloud Photo Library は私のバンド幅やデータ転送量上限に配慮してくれるのか?

答: 答はノーだ。そんなことはこれっぽっちも期待できない。iCloud Photo Library をオンにするやいなや、その Mac はクラウドとの間で、あなたのインターネット接続が許す限り最大の速度で写真の転送を始める。あなたが二百ギガバイト分の写真を持っていれば、それらがすべてアップロードされるので、あなたのインターネット接続を使い尽くして不愉快な結果を生むかもしれない(あなたの他のすべてのデバイスでもしたいことがすべてスローダウンするかもしれない)し、月払いで許容されたデータ転送量をあっという間に使い尽くしてしまうかもしれない。(北米のブロードバンド顧客の大多数はデータ転送量に上限がある。)私の身にもそういうことが起こったし、私の知っている他の人たちにも起こった。かなりひどいものだ。

問: ならば、うむ... このバンド幅の問題について何か対策はないのか?

答: 対策はある。まず第一に、転送を一時停止することができる。そうするには、Photos > Preferences > iCloud に行き、Pause for One Day をクリックすれば転送が丸一日間停止される。(丸一日経つ前に Resume をクリックして手動で再開させることもできる。)ただし、もっと長い間停止させておきたい場合は毎日このボタンをクリックする必要がある。第二に、一時的に iCloud Photo Library を丸ごとオフにするには、System Preferences > iCloud に行って Photos の隣の Options ボタンをクリックし、iCloud Photo Library をオフに切り替えればよい。それをしても何も不都合はない。これは単に同期をオフにするだけのことで、あなたの Mac 上にある写真に何ら影響を与えない。(ただし、iCloud Photo Library が低解像度版の写真をダウンロードしていて、同期を無効にした時点でフル解像度の写真が手許になければ、Photos が低解像度版を削除するかもしれない。その場合、その前に警告は出る。)あとで再びオンに戻せば、同期が再開される。

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でも、Photos アプリを終了したらどうなるのか? やはり同期は止まるのか? たぶんそうだ。私の実験では、初めのうちは実際 Photos を終了すると転送は止まった。けれども Jason Snell がそれとは違った結果だったと言うのを聞いて、さらにテストをしてみたところ、次のような結果が出た。iCloud Photo Library からの ダウンロード は Photos を終了すると止まるけれども アップロード の方はアプリが走っていなくても続く。その上、My Photo Stream は(もしオンになっていれば)Photos が走っていなくても写真の転送をすることがある。とにかく言えるのは、Photos を終了するのは場合によって対策になるが、あまり当てにはならないということだ。

問: Optimize Mac Storage をオンにすればバンド幅の問題を避けられる?

答: たぶんそうはならないだろう。iCloud Photo Library は常にフル解像度の写真やビデオをクラウドに保存する。Photos > Preferences > iCloud に行って Optimize Mac Storage をオンにしても、空き容量に余裕がある場合 Mac は他のデバイスから追加された写真のフル解像度版のコピーを ダウンロード する。Mac に十分な空き容量がない場合にのみ、代わりに低解像度版をダウンロードする。(それに、そうなった場合でも、あなたが作業したい画像のフル解像度版はいつでも手動でダウンロードできる。)iOS にも似たようなオプションがある。Settings > iCloud > Photos に行って Optimize iPhone (または iPad) Storage を選ぶ。

問: Apple はこれらの問題を解決してくれるのか? 例えば Photos が使用するバンド幅を自分で調整できるようにはならないのか?

答: その点について私は何も知らない。

問: 写真を iCloud Photo Library で同期することに関して、他に何か問題はあるか?

答: インターネットには常にリスクが伴う。特に、あなたの iCloud ユーザ名とパスワードを知っている(または推測できる、またはハッキングできる)者なら誰でも、あなたのライブラリの中にある写真やビデオをすべて見られる。これもまた、長くランダムなパスワード("Take Control of Your Passwords" を参照)と、二段階認証(2013 年 3 月 21 日の記事“Apple が Apple ID の二要素認証を実装”参照)を使うべき大きな理由だ。でも、もしもあなたのライブラリの中に公開されれば重大な害を及ぼしたり非常に困ったことになったりする写真が含まれているのならば、iCloud Photo Library など一切使わず、その代わりにローカルにのみ写真を同期する方がずっと賢い対策だ。

問: iCloud Photo Library を使うべきなのか? それとも Dropbox、Amazon Cloud Drive、その他のクラウドストレージ方法を使うべきか?

答: それは場合による。もしもあなたが Apple デバイスしか使わないならば、とりわけそれらがすべて Yosemite か iOS 8 を走らせているならば、iCloud Photo Library が最も便利でシームレスな体験を提供してくれるだろう。他のプロバイダ、例えば Dropbox や Amazon Cloud Drive などでは、写真やビデオのためのオンラインストレージの料金が Apple より安く、より広範なプラットフォームで動作する。なので、もしもお金の節約が最優先ならば、あるいは Windows や Android デバイスなどとも写真を同期したいならば、別のサービスを使った方がよい。ただ、覚えておくべき重要なことは、Apple の Photos アプリが対応しているクラウドストレージサービスは iCloud Photo Library のみだという点だ。だから、Photos を使って写真やビデオの管理がしたい、それと共にクラウドストレージや同期も使いたいと思うのならば、間違いなく iCloud Photo Library こそが最良の選択となるだろう。

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TidBITS 監視リスト: 注目のアップデート、2015 年 4 月 20 日

  文: TidBITS Staff: editors@tidbits.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

OS X Server 4.1 -- 最近出た OS X 10.10.3 Yosemite (2015 年 4 月 8 日の記事“Apple、Photos の入った OS X 10.10.3 をリリース”参照) 用にアップデートされた Apple の OS X Server 4.1 は、iOS 8.3 で導入された拡張機能(Profile Manager が対応した新機能、Mobile Device Management コマンド、ペイロード)を利用できるよう改善されている。今回のアップデートではまた、Caching Server 構成を改善して DNS TXT レコードを Windows フォーマットで出力するオプションを追加し、グループアクセス用に Messages サービスを改善し、User および Group アカウントをファイルに書き出せるようにし、Profile Manager のデバイス検索を強化し、Profile Manager および Wiki サービスをアップデートする際に OS X Server がストールすることのあるバグを修正している。(新規購入 $19.99、無料アップデート、198 MB、10.10.3+)

OS X Server 4.1 へのコメントリンク:

Nisus Writer Pro 2.1.1 -- Nisus Software が Nisus Writer Pro 2.1.1 を出した。前回のバージョンがリリースされて以後(2015 年 3 月 17 日の記事“Nisus Writer Pro 2.1”参照)に発見されたいくつかの問題点に対処した、メンテナンスリリースだ。今回のアップデートでは、いくつかのクラッシュやハング(書類ウィンドウのポップオーバーを使っている際、スタイルシートからスタイルを削除する際、複数カラムのセクションでテキストのバランスコマンドを使う際など)を修正して安定性を改善するとともに、Ignore Rich Text Commands オプションが正しく働くようにし、マクロにファイルやフォルダへの自働アクセスを永続的に認める機能 (Macro > Application > Manage Macro File Access) を追加し、二重引用符を含む CSV ファイルをメールマージする際の問題点を修正している。さらに、Mac App Store でのレシートで Nisus Software からダウンロードした Nisus Writer Pro をライセンスすることができるようになった。Mac App Store 版の Nisus Writer Pro は依然としてバージョン 2.0.7 のままのようだ。(新規購入 $79、無料アップデート、242 MB、リリースノート、10.7.5+)

Nisus Writer Pro 2.1.1 へのコメントリンク:

OmniOutliner 4.2 -- The Omni Group が OmniOutliner 4.2 をリリースして、Standard 版と Pro 版双方で OS X 10.10 Yosemite により良くマッチするようユーザーインターフェイスを更新した。このアウトライン作成および情報整理アプリは今回から、リソースブラウザで使われるサムネイル画像をキャッシュして速度を向上させ、Keynote 書き出しオプションを(現行バージョンの Keynote と非互換なため)削除し、Dictionary ポップオーバーを使う際のクラッシュを修正し、Help 書類を更新している。(新規購入 $49.99、無料アップデート、21.6 MB、 リリースノート、10.9+)

OmniOutliner 4.2 へのコメントリンク:

Tinderbox 6.2 -- Eastgate Systems が Tinderbox 6.2 をリリースして、100 件以上の改善をこの個人用コンテンツアシスタントに施した。(2002 年 10 月 14 日の記事“Tinderbox でハートに火を点けて”参照。)今回のリリースでは Edicts 機能が新設され、頻繁に更新する必要のない維持管理アクション(例えば、もう不要になったメモを時々アーカイブ保存するなど)を指定できるようになった。また、Export ツールがいくつか新たに追加されてたくさんのお馴染みのフォーマットにファイルを書き出しできるようになり、マップのパフォーマンスを改善(複雑なマップではスクロールの最中に自動的にリンクを隠してパフォーマンスを上げるなど)し、テキスト枠に表やリストを追加する機能を導入し、アウトラインの page-up/down キーによるスクロールを改善し、.webarchive ファイルを読み込む機能を追加し、検索フィールドに自動補完機能を追加した。(新規購入 $249、無料アップデート、45.3 MB、 リリースノート、10.8+)

Tinderbox 6.2 へのコメントリンク:

LaunchBar 6.3 -- Objective Development が LaunchBar 6.3 をリリースし、Finder タグへの対応を改善した。このキーボードベースのランチャーは複数個のタグでの動作を精緻化し、複数個のタグを持つファイルの検索や、一アクションでのファイルへの複数タグの適用(追加、削除、置換)をできるようにした。今回のリリースではまた、複数個の選択をドラッグできる機能も追加された。聞いたことがあるという方のために説明すると、この機能は前回のリリース(2015 年 4 月 4 日の記事“LaunchBar 6.2”参照)で発表されたものだが、ビルド段階のミスにより有効となっていなかった。LaunchBar 6.3 ではまた、ブックマーク索引付けオプションとして Detect Search Templates を追加し、ウェブブラウザのブックマークから検索テンプレート (星印を含む URL) を探知する機能を復活させた。さらに Calculator 設定には Instant Calculate オプションを追加して、Instant-Send で数式を LaunchBar に送れば自動的に計算を実行し結果を表示できるようにした。(新規購入 $29、 TidBITS 会員には 20 パーセント割引、無料アップデート、9.8 MB、リリースノート、10.9+)

LaunchBar 6.3 へのコメントリンク:

Final Cut Pro X 10.2, Compressor 4.2, Motion 5.2 -- Apple が、同社のプロフェッショナル向けビデオ編集アプリのシリーズをアップデートして、Final Cut Pro X 10.2Compressor 4.2Motion 5.2 をリリースした。アニメーション化された 3D テキストを作成する機能を追加した Final Cut Pro X 10.2 には、背景とアニメーションが埋め込まれた映画のようなテンプレートが含まれ、素材、ライティング、エッジを何百種類にも組み合わせてテキストをカスタマイズできる。今回のアップデートではまた、最大 4 つのビデオスコープを同時に表示する機能に対応し、カラーグレーディングの精度を向上させ、どのクリップにもスーパー楕円 Shape マスクを適用できるようになり、Smart Collections のイベントレベルとライブラリレベルでに使用に対応し、新たに数個のカメラフォーマット (Panasonic AVC-Ultra、Sony XAVC S、JVC H.264 Long GOP、RED RAW アナモーフィックフォーマットなど) に対応した。

Compressor 4.2 は iTunes Store 送信用のパッケージを作成できるようになり、このパッケージにはムービーファイルのみならず予告編、クローズドキャプション、字幕も追加できる。クローズドキャプションや字幕を Viewer でプレビューでき、それをズーム表示して実際のピクセル精度でコンテンツを観ることができるようになった。バージョン 4.2 ではまた対応システムでのハードウェア・アクセラレーションを利用したマルチパス H.264 エンコーディングを提供し、Send to Compressor の使用時にデュアル GPU 対応を追加している。Motion 5.2 は複数のライティングやカメラを使った動的な 3D タイトルを作成できるようになり、マルチレイヤーのシーンで 3D タイトルが他のオブジェクトにシャドウや反射を投げ掛けられるようになった。Motion 5.2 ではまた 12 種類の新しいジェネレータ (Manga 線、Sunburst、Spiral Graphics など) を追加し、キーフレーミングを改良し、矩形や円のマスクとシェイプの作成を改良し、複数のフレームを使用する FxPlug プラグインや内蔵エフェクト (Echo や Trails など) のパフォーマンスを向上させている。(Final Cut Pro は新規購入 $299.99、2.82 GB、リリースノート、10.10.2+; Compressor は新規購入 $49.99、428 MB、リリースノート、10.10.2+; Motion は新規購入 $49.99、2.20 GB、リリースノート、10.10.2+。三つのいずれも Mac App Store から入手可能、以前に購入した場合は無料アップデート)

Final Cut Pro X 10.2, Compressor 4.2, Motion 5.2 へのコメントリンク:

OS X Yosemite 10.10.3 追加アップデート 1.0 -- Apple が OS X Yosemite 10.10.3 Supplemental Update (追加アップデート) 1.0 をリリースした。元の 10.10.3 アップデート(2015 年 4 月 8 日の記事“Apple、Photos の入った OS X 10.10.3 をリリース”参照)のリリース後一週間ほどで出された、小さなメンテナンスリリースだ。今回のリリースでは多くのユーザーたちを悩ませたビデオドライバの問題点が修正され、ビデオを取り込む一部のアプリの実行時にシステムが起動しなくなるのを予防した。 AppleInsiderOS X Daily の記事によれば、この問題に遭遇したユーザーたちは Safe Mode で起動するか、PRAM をリセットするか、System Preferences で起動ディスクの選択をリセットするかしか方法がなかったという。この追加アップデートは Software Update 経由で、または Apple の Support Downloads ウェブサイトからの直接ダウンロードでも入手できる。(無料、1.8 MB、10.10.3+)

OS X Yosemite 10.10.3 追加アップデート 1.0 へのコメントリンク:


ExtraBITS、2015 年 4 月 20 日

  文: TidBITS Staff: editors@tidbits.com
  訳: Mark Nagata <nagata@kurims.kyoto-u.ac.jp>

今週の ExtraBITS では、Apple が同社の ResearchKit フレームワークをオープンソースコミュニティーにリリースし、開発者 Marco Arment がもっと分厚い Apple デバイスをと声をあげ、Apple が林業に乗り出し、iOS 8.3 がサードパーティのファイルマネージャを妨害し、Josh Centers が The Tech Night Owl で蜘蛛ロボットを語る。

Apple、ResearchKit をリリース -- 約束していた通り、Apple は医療用の調査アプリを作るために使う開発用フレームワーク、ResearchKit をオープンソースコミュニティーにリリースした。(2015 年 3 月 13 日の記事“Apple の ResearchKit の約束 (そして、限界)”参照。)試してみたいと思う開発者はソースコードを GitHub から取り寄せることができる。

コメントリンク: 15586

もっと分厚い Apple デバイスを -- あらゆる世代の Apple デバイスが揃って薄くなりつつあるように見える。開発者 Marco Arment は、もっと分厚くてもっとバッテリ寿命の長い製品もシリーズに加えることを Apple が考慮してくれたらと願っている。彼が夢見るのは、今の二倍のバッテリ寿命を持つ厚めの iPhone や、フルサイズの MacBook Pro 筐体に MacBook クラスの CPU を搭載して 16 時間連続使用ができるようにしたもの、あるいは 17 インチの 4K Retina MacBook Pro だ。

コメントリンク: 15599

Apple、36,000 エーカーの森林を購入 -- 垂直統合とはこのことだろうか! Apple の包装材料として持続的に収穫する目的で、Apple はメーン州とノースカロライナ州の二ヵ所で森林を購入しようとしている。この 36,000 エーカー (146 平方キロメートル) の森林は The Conservation Fund の手で管理されるが、同 Fund はこの土地を原材料を供給しつつ同時に保存もする「働く森林」に変えることを目指す。

コメントリンク: 15598

iOS 8.3、ファイルマネージャや転送ユーティリティをブロック -- もしもあなたが iOS デバイスでサードパーティのファイルマネージャに依存しているなら、OS 8.3 をインストールするのはしばらく控えた方がよい。OS 8.3 の新しいセキュリティ設定により、その種のアプリの多くが使えなくなるからだ。影響を受けるユーティリティとしては iFunbox、iTools、iExplorer などがある。iFunBox と iExplorer はこれらの新しいセキュリティ設定を回避できるようにアップデートされたけれども、その回避策も iTunes File Sharing を使うアプリでしか働かないという制約付きだ。

コメントリンク: 15597

Josh Centers、The Tech Night Owl で蜘蛛ロボットに取り組む -- 編集主幹 Josh Centers がまたもや The Tech Night Owl に出演してホストの Gene Steinberg と語り合った。話題は彼自身の Apple Watch 予約注文計画、新型の MacBook、新しい Apple TV の噂、それから Intel が実演してみせた、リストバンドでコントロールする蜘蛛ロボットだ。はたして、Tom Selleck ただ一人が人類の最後の望みなのだろうか? これこそ、Josh が Tech Night Owl に出演した中で最も面白い回に違いない。

コメントリンク: 15583


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TidBITS ISSN 1090-7017©Copyright 2014 TidBITS: 再使用はCreative Commons ライセンスによります。

Valid XHTML 1.0! , Let iCab smile , Another HTML-lint gateway 日本語版最終更新:2015年 4月 25日 土曜日, S. HOSOKAWA